JP3713162B2 - 通気性粘着テープの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば絆創膏などに用いられる通気性粘着テープの製造方法に関し、より詳細には粘着剤層が通気性を有する繊維状基材に部分的に含浸されることにより通気性が付与された通気性粘着テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
絆創膏や粘着性包帯などの外科用粘着テープとして、通気性がないものはこれを用いると皮膚にかぶれを生じたり、傷の回復が遅延したりするという問題がある。そこで、上記のような外科用粘着テープにおいて、通気性を与えるための種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、(1) 基材シートにストライプ状に粘着剤層を積層する方法、(2) コーティングロールとメタリングロールとの回転速度比を変えて高粘度粘着剤の塗工面を粗くすることにより通気性を付与する方法、(3) 発泡剤を配合する方法、(4) 粘着剤を塗工した直後にジェットノズルを用いて水を散布する方法などが知られている。
しかしながら、上記いずれの方法も粘着剤塗工時の作業性が悪く、通気性が不均一であったり、経時で通気性が失われるという問題があった。
【0004】
また、特公昭63−40545号公報などには、通気性を有するテープ基材に直接粘着剤溶液を部分的に塗工し乾燥する方法が提案されている。
しかしながら、この方法では、粘着剤がテープ基材背面に染み出し易いという問題があった。
【0005】
そこで、製造工程において、塗布ロールの速度比、塗工部から乾燥炉までの距離、巻き取り速度、テープ基材の組成や坪量、粘着剤の粘度、チキソ性もしくは流動性または含浸処理などの多種多様な要因を考慮して、テープ基材背面への粘着剤の染み出しを防止し得る条件を選択する必要があった。
しかしながら、上記のような様々な要因が影響するため、最適条件を設定することは非常に困難であり、かつ設定し得たとしても、工程管理が非常に煩雑であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解消し、経時的にも安定した均一な通気性を維持し、製造上煩瑣な工程管理を必要としない通気性粘着テープの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の通気性粘着テープの製造方法は、通気性を有する繊維状基材の一面に、アクリル系粘着剤100重量部及び有機過酸化物0.01〜10重量部からなるゲル分率40%未満の粘着剤層を転写により積層した後、加熱することにより粘着剤層を軟化させて通気性を有する繊維状基材に含浸させることにより粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜90%となるように架橋することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明の通気性粘着テープの製造方法は、通気性を有する繊維状基材の一面に、アクリル系粘着剤100重量部及びベンゾイルパーオキサイドまたはジクロロベンゾイルパーオキサイド0.01〜5.0重量部からなるゲル分率30%未満の粘着剤層を転写により積層した後、60〜100℃の温度で加熱することにより粘着剤層を軟化させて上記通気性を有する繊維状基材に含浸させることにより粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜70%となるように架橋することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明の通気性粘着テープの製造方法は、請求項1または2記載の通気性粘着テープの製造方法であって、架橋方法として放射線を照射することを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明の通気性粘着テープの製造方法は、通気性を有する繊維状基材の一面に、アクリル系粘着剤100重量部及びイソシアネート系架橋剤0.01〜1.0重量部からなるゲル分率30%未満の粘着剤層を転写により積層した後、70〜100℃の温度で加熱することにより粘着剤層を軟化させて上記通気性を有する繊維状基材に含浸させることにより粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜70%となるように架橋することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明の通気性粘着テープの製造方法は、請求項1〜4に記載の製造方法であって、特に、転写された粘着剤層が、少なくとも一面に離型性を有し、かつ一様に多数の凹部が形成されている離型フィルムの上記凹部形成面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥したゲル分率30%未満の状態のものであることを特徴とするものである。
【0012】
(1)通気性を有する繊維状基材
本発明で使用される通気性を有する繊維状基材としては、例えば、綿布、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、パルプ、麻、ビニロン繊維等、もしくはこれらの中から2種以上の混合繊維からなる不織布が挙げられ、絆創膏等に使用するためにその厚みは30〜1000μmの範囲が好ましい。
【0013】
上記繊維状基材は、粘着剤が含浸され易くするためにJIS P 8117に規定される透気度が10秒/300ml以下のものを使用することが好ましい。
【0014】
(2)粘着剤
以下に請求項1〜3記載の発明で使用される粘着剤について詳細に説明する。
請求項1記載の発明で使用される粘着剤は、アクリル系粘着剤100重量部及び有機過酸化物0.01〜10重量部からなるものである。
上記アクリル系粘着剤としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートと極性基含有ビニルモノマーからなる混合モノマーが共重合されてなるアクリル系共重合体を主成分とするものが全て挙げられるが、その重合方法は特に限定されるものではない。
【0015】
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
上記極性基含有ビニルモノマーは、アクリル系共重合体中で架橋基点となるように共重合されるものであり、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシアルキル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有ビニルモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニルモノマー等が挙げられる。
【0017】
アクリル系共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、40万〜80万が好ましい。
【0018】
上記アクリル系粘着剤には、他の物質が添加されてもよく、このような添加物としは、例えば、粘着付与樹脂、増量剤、充填剤などが挙げられる。
【0019】
上記有機過酸化物は、従来の架橋剤に比べて架橋反応速度が遅いことに着眼して使用されたものであり、アクリル系粘着剤に添加することにより通気性を確保した後に架橋を促進させることを可能としている。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、3,5,5−トリメチルヘキサイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシル)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0020】
有機過酸化物の添加量は、少ないと所望の架橋度が得られず、多いと通気性が悪くなることがあり、また養生後のゲル分率が90%を超え、粘着力が低下することがあるため、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.01〜10重量部である。
【0021】
請求項2記載の発明では、特に有機過酸化物として、比較的高温で反応するため、粘着剤層が軟化可能な60〜100℃では架橋反応が進行しにくいという点で、ベンゾイルパーオキサイド及びジクロロベンゾイルパーオキサイドが好適に使用され、その添加量は上記と同様の理由から0.01〜5.0重量部が好ましい。
【0022】
上記アクリル系粘着剤および有機過酸化物からなる粘着剤層を通気性を有する繊維状基材に積層するには、通常、離型紙上に粘着剤を塗布乾燥して粘着剤層を形成し、次いで転写により積層する方法が一般的である。
【0023】
粘着剤層の厚みは乾燥後で20〜100μmとなるようにするのが好ましい。20μm未満では粘着力が不足し、100μmを超えると透気度が10秒/300mlよりも大きくなるので好ましくない。
【0024】
本発明の粘着剤層は、通気性を有する繊維状基材に積層した後加熱することにより軟化し、通気性を有する繊維状基材の表面付近に存在する比較的大きな空隙に落ち込み、通気化される。
このため、通気化前の粘着剤層はそのゲル分率が高いと加熱による軟化が不十分であり、通気性が得られにくくなるので40%未満でなければならない。
また、請求項2記載の発明では上記と同様の理由から特に30%未満が好適である。
【0025】
この際の加熱温度は低いと軟化不充分となり通気化されにくく、高いと粘着剤の劣化や通気性を有する繊維状基材の劣化黄変が生じることがあるため、60〜100℃の範囲が好ましい。
【0026】
上記通気化された粘着テープは、粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜90%となるように架橋される。この時のゲル分率が40%未満では粘着剤が流動し易く、通気化された粘着剤層が再合着し、経時で通気性が低下することがあり、また、90%を超えると粘着力が低下することがある。
【0027】
上記架橋方法としては、例えば、加熱養生、放射線照射などが挙げられる。
上記加熱養生は、巻重体もしくは枚葉の状態で、例えば40〜80℃の加熱養生室で24時間以上養生することであり、通常は48時間以上養生される。
また、放射線照射の場合は、通気化された粘着テープに紫外線ランプを用いて紫外線照射する方法が使用できる。この方法はインラインで可能であり、更に養生の必要がないため好適である。
【0028】
以下に請求項4の発明について詳細に説明する。
請求項4記載の発明で使用される粘着剤は、アクリル系粘着剤100重量部及びイソシアネート系架橋剤0.01〜1.0重量部からなるものである。
上記アクリル系粘着剤としては、上述のものが全て挙げられるが、イソシアネート系架橋剤と反応可能な活性水素が粘着剤ベースポリマー中に導入されている必要がある。
【0029】
イソシアネート系架橋剤の添加量は、少ないと所望の架橋度が得られず、多いと通気性が悪くなることがあり、更に養生後のゲル分率が90%を超え、粘着力が低下することがあるため、上記アクリル系粘着剤100重量部に対して0.01〜1.0重量部である。
【0030】
上記アクリル系粘着剤およびイソシアネート系架橋剤からなる粘着剤層を通気性を有する繊維状基材に積層するには、通常、離型紙上に粘着剤を塗布乾燥して粘着剤層を形成し、次いで転写により積層する方法が一般的である。
【0031】
粘着剤層の厚みは乾燥後で20〜100μmとなるようにするのが好ましい。20μm未満では粘着力が不足し、100μmを超えると透気度が10秒/300mlよりも大きくなるので好ましくない。
【0032】
本発明の粘着剤層は、通気性を有する繊維状基材に積層した後、加熱することにより軟化し、通気性を有する繊維状基材の表面付近に存在する比較的大きな空隙に落ち込み、通気化される。
このため、通気化前の粘着剤層はそのゲル分率が高いと加熱による軟化が不十分であり、通気性が得られにくくなるので30%未満でなければならない。
【0033】
この際の加熱温度は低いと軟化不充分となり通気化されにくく、高いと粘着剤の劣化や通気性を有する繊維状基材の劣化黄変が生じることがあるため、70〜100℃に限定される。
【0034】
上記通気化された粘着テープは、粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜70%となるように架橋される。この時のゲル分率が40%未満では粘着剤が流動し易く、通気化された粘着剤層が再合着し、経時で通気性が低下することがあり、また、70%を超えると粘着力が低下することがある。
【0035】
架橋方法としては、上述した請求項1〜3の発明と同様に、例えば、加熱養生、放射線照射などが挙げられる。
【0036】
また、粘着剤層を得る際に、少なくとも一面に離型性を有し、かつ一様に多数の凹部が形成されている離型フィルムの上記凹部形成面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥したゲル分率30%未満の状態の粘着剤を上記通気性を有する繊維状基材の一面に積層し、その後、上記と同様に加熱して通気化させることにより、粘着剤をより効果的に通気化させることが可能である。
【0037】
更に請求項5の発明に記載の製造方法で得られた粘着テープは通気性が向上している。上記多数の凹部が形成されている離型フィルムについて、以下に詳細に述べる。
上記離型フィルムを構成している樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体等のエチレン系共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
【0038】
上記離型フィルムは、上述の樹脂からなるシートの表面に離型処理されたものでもよく、具体的には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤等が塗布されたもの等が挙げられる。
上記離型フィルムの表面濡れ張力は、31dyne/cm以下が好ましい。
【0039】
上記離型フィルムに形成されている凹部は、表面から凹部の底に向って90°未満の垂下方向、好ましくは70°未満の方向に形成されたものがよく、その形状はピラミッド状、ダイヤ状、ドット状、ストライプ状、半月状等の様々な形状が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いられてもよい。
また、その凹部は上記離型フィルムの表面に多数形成されていることが好ましく、上記離型フィルムの一表面の内、凹部の占める割合は50%未満が好ましい。
【0040】
上記凹部の深さは、浅くなると実際の転写量が少なく、大きな粘着力が得られにくくなり、深くなるとニップロールの材質に関わらず転写されにくくなるので、10〜200μmが好ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を説明する。
(実施例1〜4、比較例1〜2)
表1の組成に従って、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名「SKダイン1720」)およびベンゾイルパーオキサイド(以下、BPOという)を混合し、離型紙に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布乾燥して粘着剤層を形成し、次いで粘着剤層を通気性を有するポリウレタン繊維からなる通気性を有する繊維状基材(鐘紡社製、商品名「エスパンシオーネ」、坪量75g/m2 、透気度0秒)の一面に貼り合わせ、離型紙も積層した状態で枚葉状に切断して85℃の恒温槽で48時間放置して通気化させ、更に85℃の恒温槽で48時間放置加熱養生することにより粘着テープを得た。
【0042】
(実施例5、6)
表1の組成に従って、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名「SKダイン1720」)およびBPOを混合し、離型紙に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布乾燥して粘着剤層を形成し、次いで粘着剤層を通気性を有するポリウレタン繊維からなる通気性を有する繊維状基材(鐘紡社製、商品名「エスパンシオーネ」、坪量75g/m2 、透気度0秒)の一面に貼り合わせ、離型紙も積層した状態で枚葉状に切断して85℃の恒温槽で48時間放置して通気化させ、更に離型紙を剥離し、25mW/cm2 の強度の紫外線を3分間(0.05時間)照射することにより架橋し、粘着テープを得た。
【0043】
(実施例7〜12)
表2の組成に従って、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名「SKダイン1720」)およびBPOまたはジクロロベンゾイルパーオキサイド(以下、DC−BPOという)を混合したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0044】
(実施例13〜15、比較例3〜5)
表3の組成に従って、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名「SKダイン1720」)およびイソシアネート系架橋剤を混合し、離型紙に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布乾燥して粘着剤層を形成し、次いで粘着剤層を通気性を有するポリウレタン繊維からなる通気性を有する繊維状基材(鐘紡社製、商品名「エスパンシオーネ」、坪量75g/m2 、透気度0秒)の一面に貼り合わせ、離型紙も積層した状態で枚葉状に切断して各温度の恒温槽で48時間放置して通気化させ、更に85℃の恒温槽で48時間放置加熱養生することにより粘着テープを得た。
【0045】
(実施例16〜21)
中密度ポリエチレン(三井石油化学社製、商品名「ネオゼックス3510F」、MFR(190℃)=1.6g/10分)を溶融することにより90μmのベースフィルムを得た。次にベースフィルムの片面に、該面への垂直方向に対して60°角の傾斜を持ち、深さ60μm、凹部中心点間距離1mmでそのうち500μmを該凹部からなる部分が占めるように、フィルム巻きだし方向に対して直角方向にエンボスを形成することにより離型フィルムを得た。
【0046】
次いで、表4の組成に従って、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名「SKダイン1720」)およびBPOまたはジクロロベンゾイルパーオキサイド(以下、DC−BPOという)を混合したものを、上記離型フィルムに30g/m2 となるように塗布乾燥して粘着剤層を形成し、次いで粘着剤層を通気性を有するポリウレタン繊維からなる通気性を有する繊維状基材(鐘紡社製、商品名「エスパンシオーネ」、坪量75g/m2 、透気度0秒)の一面に貼り合わせ、離型紙も積層した状態で枚葉状に切断して各温度の恒温槽で48時間放置して通気化させ、更に85℃の恒温槽で48時間放置加熱養生することにより粘着テープを得た。
【0047】
(評価項目)
以下の項目について測定した結果を表1〜4に示した。
(1) ゲル分率
粘着剤層を所定量採取し、ほぼ100倍量のテトラヒドロフランに浸漬した状態で1昼夜放置した後、300メッシュのステンレス製金網により濾過し、金網上に残った分を架橋ポリマーとして計算によりゲル分率を求めた。
ゲル分率は、▲1▼通気性を有する繊維状基材に積層した直後と、▲2▼加熱養生もしくは紫外線照射により完全に架橋した後の場合の両方について測定した。
【0048】
(2) 透気度
実施例および比較例で得られた粘着テープについて、JIS P 8117に準拠して製造直後と1ヶ月間放置したものの両方の場合の透気度を測定した。
【0049】
(3) 対ステンレス板粘着力
実施例および比較例で得られた粘着テープについて、JIS Z 0237に準拠してステンレス板(SUS#304)に対する180°引きはがし粘着力を測定した。
【0050】
(4) 対ステンレス板保持力
実施例および比較例で得られた粘着テープについて、JIS Z 0237に準拠してステンレス板(SUS#304)に対する剪断保持力を測定した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の通気性粘着テープの製造方法によると、粘着剤層に配合された有機過酸化物により架橋の進行が遅くなるので、粘着剤のポットライフが長くなり製造上煩雑な工程管理が必要なく製造でき、更に通気性を付与した後で架橋により粘着剤のゲル分率を40〜90%となるように架橋させるので、経時的にも安定して均一な通気性と粘着力を有する通気性粘着テープが得られる。
【0056】
また、請求項2記載の発明の通気性粘着テープの製造方法では、有機過酸化物として特に、ベンゾイルパーオキサイドまたはジクロロベンゾイルパーオキサイドを使用しているため、更に効果的に通気化できる。
【0057】
請求項3記載の発明の通気性粘着テープの製造方法では、熱に代えて紫外線により架橋させることにより、インラインで製造途中に架橋工程を設けることができ、養生といった工程が必要なく製造できる。
【0058】
請求項4記載の発明の通気性粘着テープの製造方法では、有機過酸化物に代えてイソシアネート系架橋剤を使用しており、架橋の進行が遅くなるので、粘着剤のポットライフが長くなり製造上煩雑な工程管理が必要なく製造でき、更に通気性を付与した後で架橋により粘着剤のゲル分率を40〜70%となるように架橋させるので、経時的にも安定して均一な通気性と粘着力を有する通気性粘着テープが得られる。
【0059】
請求項5記載の発明の通気性粘着テープの製造方法では、転写されるべき粘着剤層を予め通気性の有るドット状、ストライプ状に形成されているため、更に効果的に通気化できる。
Claims (5)
- 通気性を有する繊維状基材の一面に、アクリル系粘着剤100重量部及び有機過酸化物0.01〜10重量部からなるゲル分率40%未満の粘着剤層を転写により積層した後、加熱することにより粘着剤層を軟化させて上記繊維状基材に含浸させることにより粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜90%となるように架橋することを特徴とする通気性粘着テープの製造方法。
- 通気性を有する繊維状基材の一面に、アクリル系粘着剤100重量部及びベンゾイルパーオキサイドまたはジクロロベンゾイルパーオキサイド0.01〜5.0重量部からなるゲル分率30%未満の粘着剤層を転写により積層した後、60〜100℃の温度で加熱することにより粘着剤層を軟化させて上記繊維状基材に含浸させることにより粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜70%となるように架橋することを特徴とする請求項1記載の通気性粘着テープの製造方法。
- 架橋方法として放射線を照射することを特徴とする請求項1または2記載の通気性粘着テープの製造方法。
- 通気性を有する繊維状基材の一面に、アクリル系粘着剤100重量部及びイソシアネート系架橋剤0.01〜1.0重量部からなるゲル分率30%未満の粘着剤層を転写により積層した後、70〜100℃の温度で加熱することにより粘着剤層を軟化させて上記通気性を有する繊維状基材に含浸させることにより粘着剤層を通気化した後、もしくは通気化しながらゲル分率が40〜70%となるように架橋することを特徴とする通気性粘着テープの製造方法。
- 転写された粘着剤層が、少なくとも一面に離型性を有し、かつ一様に多数の凹部が形成されている離型フィルムの上記凹部形成面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥したゲル分率30%未満の状態のものであることを特徴とする請求項1〜4記載の通気性粘着テープの製造方法。
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