JP3712143B2 - オーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化プラスチック(FRP)の中空管からなるオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトのチップ側先端部の補強方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、筒状に巻成された繊維層で強化されたプラスチック中空管からなるゴルフクラブ用シャフトを用いたゴルフクラブは広く利用されている。このようなゴルフクラブにおいて、そのゴルフクラブ用シャフトは、クラブヘッドの接合形態によりインナーホーゼルタイプとオーバーホーゼルタイプの2種類に大別される。また、そのシャフトの長さは、一般に810〜1300mmの範囲内である。
インナーホーゼルタイプのシャフトは、シャフトのチップ側先端ホーゼル部がクラブヘッドの連結管内に挿入されて接合一体化される。
一方、オーバーホーゼルタイプのシャフトは、そのシャフトのチップ側先端ホーゼル部内にクラブヘッドの連結棒が挿入されて接合一体化される。
ところで、このオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトにおいて、シャフト先端からシャフト長手方向に発生する縦割れの防止性にすぐれたものとして、シャフトの長手方向に対して傾斜して配列されたバイアス繊維層の複数をその繊維方向が互に交差するように積層したバイアス繊維層を、シャフトの中空内表面に近接した位置にシャフトの略全長にわたって配置するとともに、シャフトの長手方向に対して平行に配列されたストレート繊維層を、前記繊維層の外側にシャフトの略全長にわたって配置し、さらに、シャフトの長手方向に対して略直交して配列されたフープ繊維層を前記バイアス繊維層とストレート繊維層との間にシャフトのチップ側先端部のみに配置したシャフトが知られている(特開平5−177020号)。
このシャフトの場合、ストレート繊維層の使用量を増加させることにより、シャフトのチップ側先端からシャフト長手方向に発生する縦割れの防止性においては良好な結果を得ることができるものの、最外層の繊維層がシャフトの長手方向に対して平行に配列された使用量の多いストレート繊維層からなり、かつシャフト全長にわたって配置されているため、曲げ剛性が比較的大きく、その結果、シャフトのしなり性が損われ、ボールの飛距離及び打球時のフィーリングの点で不十分であるという問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、繊維強化プラスチックの中空管からなるゴルフクラブ用シャフトにおいて、そのシャフトのチップ側先端からシャフト長手方向に発生する縦割れの防止にすぐれるとともに、シャフトのしなり性を損なうことのないオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトのチップ側先端部の補強方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明等は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、シャフトの長手方向に対し傾斜して配列された複数の繊維層を隣接する繊維層相互の繊維方向が交差するように積層して形成された繊維層Aが、シャフトの中空内表面に近接した位置にシャフトの略全長にわたって配置され、シャフトの長手方向に対し略平行に配列された繊維層Bが、前記繊維層Aの外側にシャフトの略全長にわたって配置されている繊維強化プラスチック中空管からなるオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法において、シャフトの長手方向に対し90±10度の範囲内に配列された繊維層Eを、前記繊維層Aよりもシャフトの中空内表面に近接した位置に、チップ側先端部に配置し、のチップ側先端部に、シャフトの長手方向に対し略直交して配列された繊維層Cを前記繊維層Bの外側に配置し、チップ側先端部のみに、シャフトの長手方向に対し略平行に配列された繊維層Dを、前記繊維層Cの外側に該繊維層Cを実質的に覆うように配置するオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法によるゴルフクラブ用シャフトが提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明におけるFRP製中空シャフトは、従来公知の一方向引揃え炭素繊維に樹脂組成物を含浸・半硬化させたプリプレグをマンドレルに巻成するシートワインディング法(SW法)によって形成されたものである。プリプレグに使用する補強用繊維としては、炭素繊維のほか、アラミド繊維、ガラス繊維、チタン繊維、セラミック繊維等の有機系、金属系及び無機系の繊維が用いられるが、シャフト特性向上とシャフト軽量化の観点から、炭素繊維、ガラス繊維又はアラミド繊維の使用が好ましい。
樹脂組成物としては、プリプレグの製造に用いられている各種の熱硬化性樹脂組成物が用いられるが、エポキシ樹脂を主体とした樹脂組成物の使用が好ましい。
【0006】
本発明によるチップ側先端部の補強されたシャフトを製造するには、まず、従来公知の方法に従って樹脂組成物を含浸させ半硬化させたユニプリプレグシートを、全長1300mm〜1600mmのマンドレルのマンドレル最細径部(シャフトのチップ側先端部)の外周面に従来公知のSW法によって巻成させて最内層を形成する。このとき、最内層を構成する繊維の方向がマンドレル軸方向に対し90±10度の範囲内、好ましくは90度になるようにマンドレル外周面上に巻成する。
この最内層の配置は、ゴルフクラブとしたとき、シャフトチップ側先端ホーゼル部内に挿入したクラブヘッド連結棒の抜け防止性の点のほか、シャフト重量バランス向上による打球感の向上の点、チップ側端部の圧縮強度向上による縦割れの防止性の点及びシャフト厚み調節が容易になるという点で効果がある。
この最内層に含まれる繊維層Eでは、その繊維はシャフトの長手方向に対して90±10度の範囲内に配列される。この最内層の長さは、シャフトとしたときに、シャフトのチップ側先端からの長さで120〜270mmの範囲内が好ましい。
前記範囲より短いと上記の効果が十分に得られず、また、上記範囲より長くなると、シャフトの重量バランスがくずれてしまうとともにシャフトが重くなってしまうため、ゴルフクラブとしてスイングした場合に打球時の感触が悪くなるという問題がある。
【0007】
前記最内層形成のためにユニプリプレグシートを巻成させる場合、ユニプリプレグシートを構成する繊維層Eの繊維方向がマンドレル軸方向に対し90±10度の範囲内にあるので、プリプレグシートをマンドレルの外周上に巻成する際にプリプレグシートが繊維方向に沿って裂けやすく、それを防ぐためには、あらかじめガラスクロスにプリプレグシートを貼り合せておき、その貼り合せ体をマンドレル外周面上に巻くのが有利である。この際、ガラスクロスはプリプレグシートが繊維方向に沿って裂けるのを防ぐために使用するのであって、チップ端部の曲げ剛性及びねじれ剛性の向上が目的ではないので、ガラスクロスはごく薄手のもの、例えば厚さ150μm以下のものを使用すれば十分である。
【0008】
次に、上記マンドレル外周面に最内層として形成した巻成体の外周面上かつ上記マンドレルの略全長にわたって、ユニプリプレグシートをそのシートの繊維がシャフト長手方向に対し傾斜するように上記と同様にSW法によって巻成させ、複数のバイアス層からなる積層バイアス層を形成する。この積層バイアス層に含まれる繊維層Aは、シャフトの長手方向に対して45度±15度の範囲内の方向に配列された繊維層とシャフトの長手方向に対して−45度±15度の範囲内の方向に配列された繊維層との交互積層繊維層からなる。
本明細書で言うバイアス層とは、繊維方向がマンドレル軸方向に対し45度±15度の範囲内の繊維強化樹脂層及び繊維方向がマンドレル軸方向に対し−45度±15度の範囲内の繊維強化樹脂層を意味する。
この積層バイアス層の配置により、十分なねじり剛性をもったシャフトが得られる。この積層バイアス層がないとシャフトに十分なねじり剛性を確保できないため、打球の方向安定性が得られない。
本発明における積層バイアス層は、ねじり剛性向上の点から、各バイアス層を構成する繊維層の繊維方向がマンドレル軸方向に対して+45度のものと、−45度のものとが交互に積層されるように形成するのがもっとも望ましい。
【0009】
次に、上記のようにして積層バイアス層として形成した巻成体のグリップ側先端部の外周面上に、ユニプリプレグシートを、上記と同様のSW法によって巻成させ、グリップ側補強層を形成する。このとき、グリップ側補強層を構成する繊維層の繊維方向がマンドレル軸方向に対して略平行になるようにグリップ側補強層を配置する。このグリップ側補強層に含まれる繊維層Fは、シャフトの長手方向に対して略平行に配列された繊維層からなる。
本明細書におけるマンドレル軸方向に対して略平行とは、マンドレル軸方向に対し0度±10度の範囲内を意味する。
このグリップ側補強層の配置はかならずしも必須ではないが、このグリップ側補強層を配置することにより、グリップ側先端部の曲げ剛性が増大し、重量バランスが向上するため、打球時の感触が向上するとともに、グリップ側補強層のシャフト長手方向長さを変えることによって、キックポイント調節が容易になるという効果があり、グリップ側補強層の存在は望ましい。
このグリップ側補強層の長さは、グリップ側先端からの長さで300〜800mmの範囲内が好ましい。上記範囲より短いと、グリップ側先端部に上記効果が十分に得られず、上記範囲より長いと、シャフト全体の曲げ剛性バランス・重量バランスがくずれてしまうとともに、シャフトが重くなってしまうため、ゴルフクラブにした際の打球時の感触が悪くなってしまう。また、グリップ側先端部の曲げ剛性向上の点から、このグリップ側補強層は、その繊維方向をマンドレル軸方向と一致させて配置するのがもっとも望ましい。
【0010】
次に、前記のようにして形成した巻成体の外周面上に巻成体の略全長わたって、ユニプリプレグシートを上記と同様にSW法によって巻成させてストレート層を形成する。このとき、ストレート層を構成する繊維層の繊維方向がマンドレル軸方向に対して略平行になるようにストレート層を配置する。このストレート層に含まれる繊維層Bは、シャフトの長手方向に対して略平行に配列された繊維層からなる。
このストレート層の配置により、十分な曲げ剛性をもったシャフトが得られる。このストレート層がないとシャフトに十分な曲げ剛性を確保できないため、ゴルフクラブとして打球した場合に十分な飛距離が得られない。
また、シャフトの曲げ剛性向上の点から、このストレート層はストレート層を構成する補強繊維の繊維方向がマンドレル軸方向と一致するように配置するのがもっとも望ましい。
本発明の場合、このストレート層は、シャフトの良好なしなり性を保持する点から、その繊維層Bの重量は、通常、前記積層バイアス層に含まれる繊維層Aの重量よりも少なく、好ましくは繊維層Aの重量の40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%である。また、その繊維層Bの重量は、平均重量で、シャフトの長さ1cm当り、0.10〜0.30g、好ましくは0.15〜0.25gである。
【0011】
次に、シャフトのチップ側先端部を補強するために、前記のようにして形成した巻成体のチップ側先端部の外周面上にフープ層を形成する。このとき、フープ層を構成する補強繊維の繊維方向がマンドレル軸方向に対して略直交するようにフープ層を配置する。このフープ層に含まれる繊維層Cは、シャフトの長手方向に対して略直交するように配列された繊維層からなる。
本明細書におけるマンドレル軸方向に対し略直交とは90度±10度の範囲内を意味する。
このフープ層の配置により、チップ側先端部の圧縮強度が向上するため、チップ側先端部の割れ防止効果が得られ、その効果をもっと良くするためにはフープ層を構成する繊維層の繊維方向がマンドレル軸方向に対して直交するように配置するのがもっとも望ましい。
また、このフープ層を配置することにより良好な重量バランスのシャフトが得られるため、打球時の感触向上及び打球の飛距離増大という効果がある。
このフープ層を構成する繊維としては、
引っ張り弾性率:7,000〜30,000kg/mm2
引っ張り強度 :200〜600kg/mm2
の範囲のものがチップ側先端部の割れ防止の点及びシャフト製造の際に手作業で巻くことができるという作業性向上の点から望ましく、それには、繊維として、アラミド繊維を採用するのがもっとも適している。フープ層の長さは、20〜100mmの範囲内が好ましく、更に好ましくは40〜80mmの範囲内である。上記範囲より短いと上記の効果が十分得られない。また、上記範囲より長いとシャフト全体の重量バランスがくずれてしまうとともに、シャフトが重くなってしまうため、ゴルフクラブにした際の打球感が悪くなってしまう。また、このフープ層は上記長さの範囲で少なくとも1周以上巻成して配置させる必要がある。フープ層の巻成が上記長さの範囲で1周に満たない場合は、上記効果が十分得られない。
【0012】
次に、前記のようにして形成した巻成体のチップ側先端部外周面上に実質的にフープ層を覆うように最外層を形成する。このとき、最外層を構成する繊維の繊維方向がマンドレル軸方向に対して略平行になるように最外層を配置する。この最外層に含まれる繊維層Dは、シャフトの長手方向に対して略平行に配列した繊維層からなる。
【0013】
この最外層の配置により、チップ側先端部の曲げ剛性向上の効果が得られるとともに、この最外層は、研磨工程の際に研磨によってフープ層が損なわれるのを防止し、研磨を支障なくスムーズに行うのに役立つ。もし、この最外層を配置しないと、研磨工程でフープ層を削り採るためフープ層の効果を損なってしまうという問題があるとともに、フープ層はその繊維方向がマンドレル軸方向に対して略直交して配列しているため、繊維層の繊維方向がマンドレル軸方向に対して略平行に配列している最外層を研磨する場合にくらべ研磨がしにくいという問題がある。フープ層を構成する繊維層にアラミド繊維を採用した場合は、炭素繊維を採用した場合にくらべ研磨が更に困難になる。また、この最外層を配置することにより、巻成体からのフープ層の剥離を防止する効果がある。最外層のすぐ内側のフープ層は、フープ層を構成する繊維層の繊維方向がマンドレル軸方向に対して略直交するように配置されており、しかもその繊維は弾性を有しているため、フープ層は巻成体から剥離しやすく、この最外層がない場合は、シャフト製造工程におけるフープ層巻き付け後の作業性が悪くなる。
この最外層を構成する繊維としては、曲げ剛性向上及び研磨の容易さの点から、好ましくは炭素繊維又はガラス繊維の採用が望ましく、より好ましくは炭素繊維の採用がもっとも望ましい。
また、この最外層を配置することにより、研磨後のシャフトの外観も損なわれない。
この最外層のマンドレル軸方向長さは、少なくともストレート層外側に配置したフープ層より長いのが望ましく、また250mmより短いのが望ましい。
上記範囲より短いと上記の効果が十分得られず、また、研磨の際にフープ層の一部を削り取ってしまうのでフープ層の効果が損なわれ、またスムーズな研磨が行えないとともに研磨後のシャフト外観が損なわれてしまう。また、上記範囲より長いと、シャフトの曲げ剛性バランス・重量バランスがくずれてしまうとともに、シャフトが重くなってしまうため、ゴルフクラブにした際の打球感が悪くなってしまう。
また、曲げ剛性向上及び作業性の点から、この最外層は最外層を構成する繊維層の繊維方向がマンドレル軸方向に対し好ましくは0±10度の範囲内、より好ましくは0度になるように配置するのが良い。最外層の繊維方向がマンドレル軸方向に対して0±10度の範囲をこえてしまうと、チップ側先端部の曲げ剛性が低下するのでシャフトの曲げ剛性バランスがくずれてしまい、ゴルフクラブにして使用したとき打球の飛距離が低下してしまうとともに、打球感が悪くなるという問題があり、また、最外層に使用するプリプレグシートを手で巻くのが困難になるために製造の際の作業性が悪くなってしまうという問題がある。
【0014】
最外層とフープ層に使用するプリプレグシートの形状については、それぞれ図3及び図4に示すように、最内層に使用するプリプレグシートの形状は中央凸状の四角形が望ましく、フープ層に使用するプリプレグシートの形状はチップ端の辺(a)がグリップ側の辺(b)よりも長い四角形が望ましい。その理由は、シャフトのチップ側先端部の割れを防止するためには、フープ層のチップ先端側の厚みをより厚く構成するのが良いためである。それには、プリプレグシートの形状を、図4に示すように、a>bにすると良い。また、シャフト外観向上の点からチップ側先端部のシャフト外径を一定にする場合は、最内層に使用するプリプレグシートの形状を、図3及び図4に示すように、x<yかつa+x=b+yにすると良い。また、図3及び図4に示すように、最内層に用いるプリプレグシートにおけるXとYとの間の長さ(c)は、フープ層に用いるプリプレグシートのPとSとの間の長さ(c)に一致させるのが、チップ側先端部の割れ防止及び外観向上の点でもっとも効果がある。
【0015】
次に、前記のようにして形成した巻成体の外周面を全面にわたってテーピング処理した後、加熱処理してその樹脂組成物を加熱硬化させた後、マンドレルを除去して、中空のFRP製素管を得る。
次に、このFRP製素管の外表面部を切削研磨し、素管の両端を所望の長さだけ切断して長さ810〜1300mmの範囲内の中空FRP製シャフトを得る。
【0016】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0017】
実施例1
(アイアンゴルフクラブ用シャフトの製造例)
下記No.1〜7のプリプレグシートを用意した。このプリプレグは一方向引揃え炭素繊維にエポキシ樹脂組成物を含浸させて形成したプリプレグシートである。なお、以下において示す繊維配向角度はマンドレル軸方向中心線に対する角度であって、+はシャフトのチップ端側からグリップ端側に向けマンドレル軸方向に対して右廻りの角度であることを示し、−は左廻りの角度であることを示す。
No.1プリプレグシート
(1)形状及び寸法:図1(a)
(2)繊維配向角度:90度
(3)引張り弾性率:24,000kg/mm2
(4)引張り強度:400kg/mm2
(5)補強繊維:炭素繊維
(6)商品名:Q1111−1003(東邦レーヨン(株)製)
なお、図1には示さないが、No.1プリプレグシートは厚さ45μmのガラスクロスで裏打ちされたシートである。
また、図1に示したプリプレグシートにおいて、その左側はシャフトのチップ端側(細径部側)に対応し、その右側はシャフトのグリップ側(太径部側)に対応する。また、図1において、各図の下方に示した数字は寸法を示し、その数字の単位はmmである。各図の上方に示す数字は、そのプリプレグシートを巻成する際のその特定部における巻回数(プライ数)を示す。
【0018】
No.2プリプレグシート
(1)形状及び寸法:図1(b)
(2)繊維配向角度:+45度
(3)引張り弾性率:30,000kg/mm2
(4)引張り強度:380kg/mm2
(5)補強繊維:炭素繊維
(6)商品名:MR370C150S(三菱レイヨン(株)製)
No.3プリプレグシート
(1)形状及び寸法:図1(c)
(2)繊維配向角度:−45度
(3)引張り弾性率:30,000kg/mm2
(4)引張り強度:380kg/mm2
(5)補強繊維:炭素繊維
(6)商品名:MR370C150S(三菱レイヨン(株)製)
No.4プリプレグシート
(1)形状及び寸法:図1(d)
(2)繊維配向角度:0度
(3)引張り弾性率:24,000kg/mm2
(4)引張り強度:500kg/mm2
(5)補強繊維:炭素繊維
(6)商品名:P3053S−15(東レ(株)製)
No.5プリプレグシート
(1)形状及び寸法:図1(e)
(2)繊維配向角度:0度
(3)引張り弾性率:30,000kg/mm2
(4)引張り強度:380kg/mm2
(5)補強繊維:炭素繊維
(6)商品名:MR340lG75S(三菱レイヨン(株)製)
No.6プリプレグシート
(1)形状及び寸法:図1(f)
(2)繊維配向角度:90度
(3)引張り弾性率:11,100kg/mm2
(4)引張り強度:300kg/mm2
(5)補強繊維:アラミド繊維
(6)商品名:PC−07(東レ(株)製)
No.7プリプレグシート
(1)形状及び寸法:図1(g)
(2)繊維配向角度:0度
(3)引張り弾性率:24,000kg/mm2
(4)引張り強度:400kg/mm2
(5)補強繊維:炭素繊維
(6)商品名:Q1111−1000(東邦レーヨン(株)製)
【0019】
No.1のプリプレグシートを、そのプリプレグシートを構成する繊維の繊維方向がマンドレル(全長:1300mm)の軸方向に直交するようマンドレルの細径側先端から太径側先端側に150mmの位置まで、チップ側から1.0〜2.0〜0プライとなるようにマンドレルの外周面上に巻成した。
次に、No.2とNo.3のプリプレグシートを、それぞれのプリプレグシートを構成する繊維の繊維方向が互いに直交するようにNo.2とNo.3のプリプレグシートを貼り合せ、その貼り合せ体を上記巻成体外周面上に細径側先端から太径側に1030mmの位置まで、チップ側から2.2〜2.4プライとなるように上記巻成体の上面に巻成した。
このとき、貼り合わせ体の繊維方向がマンドレル軸方向に対し45度と−45度になるように貼り合わせ体を配置した。
次に、No.4のプリプレグシートを、そのプリプレグシートを構成する繊維の繊維方向がマンドレル軸方向に対し平行になるように上記巻成体のグリップ側端部外周面上の最太径部端から最細径部側に向かって620mmの位置まで、グリップ側から2.0〜2.0〜0プライとなるように上記巻成体の上面に巻成した。
次に、No.5のプリプレグシートを、そのプリプレグシートを構成する繊維の繊維方向がマンドレル軸方向に対し平行になるように上記巻成体外周面上に巻成体の略全長わたって、2プライとなるように上記巻成体の上面に巻成した。
次に、No.6のプリプレグシートを、そのプリプレグシートを構成する繊維の繊維方向がマンドレル軸方向に対して直交するように上記巻成体の最細径部端から最太径部側に向かって50mmの位置まで、チップ側から2.0〜1.0プライとなるように上記巻成体の上面に巻成した。
次に、No.7のプリプレグシートを、そのプリプレグシートを構成する繊維の繊維方向がマンドレル軸方向に対し平行になるように上記巻成体の最細径部端から最太径部側に向かって200mmの位置まで、チップ側から3.2〜3.2〜0プライとなるように上記巻成体の上面に巻成した。
次に、前記のようにして形成した巻成体の外周面をテーピングした後、加熱処理してその樹脂組成物を加熱硬化させた後、マンドレルを除去して、中空のFRP製素管を得た。
次に、このFRP製素管の外表面部を切削研磨し、管のチップ側先端を10mm切断し、グリップ側先端を29mm切断して全長991mm、重量60g、チップ外径11.5mmのオーバーホゼルタイプの中空FRP製シャフトを得た。このシャフトの断面図を図2に示す。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、チップ側先端から縦割れの生じやすいオーバーホーゼルタイプの繊維強化プラスチック中空管からなるゴルフクラブ用シャフトにおいて、そのチップ側先端部に、そのストレート層の外側に繊維層Cを配置し、さらにその外側にその繊維層Cを実質的に覆うように繊維層Dを配置して、そのチップ側先端部を補強したことにより、シャフトのチップ側先端からの縦割れを効果的に防止することができる。また、この場合の繊維層C及びDによる補強は、チップ側先端部のみにおいて行い、シャフト全体に対して行うものでないことから、シャフトのしなり性を損なうことがなく、また、シャフトの軽量化を損なうこともない。
本発明によりチップ側先端部の補強されたシャフトは、ゴルフクラブシャフトとしてスイングしたときに、ボールの飛距離及び打球時のフィーリングが向上したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりチップ側先端部の補強されたアイアン用ゴルフクラブシャフトの製造に際して用いるプリプレグシートの形状と寸法についての説明図を示す。
【図2】 本発明によりチップ側先端部の補強されたシャフトの断面図を示す。
【図3】本発明によりシャフトのチップ側先端部の補強に用いる最内層の形成用プリプレグシートの形状についての説明図を示す。
【図4】本発明によりシャフトのチップ側先端部の補強に用いるフープ層形成用プリプレグシートの形状についての説明図を示す。
Claims (4)
- シャフトの長手方向に対し傾斜して配列された複数の繊維層を隣接する繊維層相互の繊維方向が交差するように積層して形成された繊維層Aが、シャフトの中空内表面に近接した位置にシャフトの略全長にわたって配置され、シャフトの長手方向に対し略平行に配列された繊維層Bが、前記繊維層Aの外側にシャフトの略全長にわたって配置されている繊維強化プラスチック中空管からなるオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法において、シャフトの長手方向に対し90±10度の範囲内に配列された繊維層Eを、前記繊維層Aよりもシャフトの中空内表面に近接した位置に、チップ側先端部に配置し、チップ側先端部に、シャフトの長手方向に対し略直交して配列された繊維層Cを前記繊維層Bの外側に配置し、チップ側先端部のみに、シャフトの長手方向に対し略平行に配列された繊維層Dを、前記繊維層Cの外側に該繊維層Cを実質的に覆うように配置することを特徴とするオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
- ゴルフクラブ用シャフトがシャフトの長手方向に対し略平行に配列された繊維層Fを有し、該繊維層Fは前記繊維層Aよりもシャフトの外側の位置に、グリップ側先端部に配置されている請求項1記載のオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
- 繊維層Cを構成する繊維がアラミド繊維からなり、繊維層Dを構成する繊維が炭素繊維又はガラス繊維からなる請求項1または2記載のオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
- 繊維層Dのマンドレル軸方向長さが、前記繊維層Cのマンドレル軸方向長さよりも長く250mmより短い、請求項1〜3のいずれか一項記載のオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
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