JP3712125B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェーハやガラス基板等に対して、エッチング、アッシング、CVD処理、イオン注入処理等を行うプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体ウェーハや、ガラス基板などの被処理物の大口径化に伴い、プラズマ処理装置におけるプラズマ発生室の径が大きくなっている。このため、プラズマ発生用のガスの流速が下がり、発生室内でのプラズマ分布の均一性が悪化したり、プラズマが被処理物まで到達する前に消滅してしまい、その結果処理速度が低下してしまうことが起こっていた。
【0003】
そこで、本発明者は、特願2001−221048号で、大口径化したチャンバー内でも均一にプラズマを発生させるために、チャンバー内部に同軸状のインナ−チャンバ−を設置することで、被処理物近傍でプラズマを均一に発生させることに成功した。
【0004】
また、下側処理チャンバー部と上側チャンバードームとの間に流入リング及びガス散布リングが配置され、これらによってプロセスガスが処理チャンバー内に導入されることが記載されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−239775号公報(第4頁〜第6頁、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アウターチャンバーに対して同軸状に設置されたインナーチャンバーとの間のプラズマ発生空間に、反応ガスを供給するのに、従来のように1箇所からだけでは、ガス供給に時間がかかりすぎてしまう。また、ガス散布リングによるガス供給構造が複雑であるから、メンテナンスに要する時間がかかり、コストも高くなる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、反応ガスの供給構造が簡単であり、且つ速やかに反応ガスを供給できるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明のプラズマ処理装置は、プラズマ発生用アウターチャンバーの周囲にプラズマ発生用電極が設けられ、更にこのプラズマ発生用アウターチャンバーの下方に処理チャンバーが配置され、前記プラズマ発生用アウターチャンバーの内部に、前記プラズマ発生用アウターチャンバーの断面積より小さいインナーチャンバーが同軸状に設けられているプラズマ処理装置において、前記プラズマ発生用アウターチャンバーとインナーチャンバーの間の空間をプラズマ発生領域とし、前記プラズマ発生領域に対して反応ガス供給口が2個以上開口し、更に前記インナーチャンバーにはプラズマ処理装置外部に連通する連通孔が開口しているようにした。
【0009】
また、前記反応ガス供給口は、例えば、前記プラズマ発生領域に対して放射状に配置され、細管から構成することが考えられる。
【0011】
要するに、大口径化した被処理物(基板)に対して、プラズマを均一に供給するためにプラズマ発生用アウターチャンバーの周囲にプラズマ発生用コイルを設け、プラズマ発生用アウターチャンバーの下方に処理チャンバーを配置する。上記プラズマ発生用アウターチャンバーの内部には、アウターチャンバーよりも断面積の小さいインナーチャンバーが同軸状に取り付けられている。このアウターチャンバーとインナーチャンバーの間がプラズマ発生空間であり、その上方には反応ガス供給口が2個以上開いている。即ち、このドーナツ状のプラズマ発生空間に対して、均一に反応ガスを供給するには、ガス供給口の数は2個以上であれば、いくつでもよいが、12個あれば十分である。
【0012】
このように、ガス導入口から導入された反応ガスは、2個以上からなる細管を通ってアウターチャンバーとインナーチャンバーとの間に供給されるため、プラズマ発生領域内に速やかに且つ均一に拡散し、コイル電極によって均一にプラズマ化する。
【0013】
また、インナーチャンバーは、底面が閉塞され、その内部が大気で満たされている。処理中、プラズマ処理装置内部は高温になるので、インナーチャンバー内の大気を膨張する。そこで、インナーチャンバー内部とプラズマ装置外部を連通する連通孔を設けることで、膨張した大気は装置外部放出され、インナーチャンバーの膨張等におけるチャンバー内の圧力変化にも対応することができる。インナーチャンバーは連通孔を通して装置外部と大気を入れ替える。
【0014】
もしインナーチャンバーの内部と装置外部を連通する連通孔を設けなければ、インナーチャンバーは膨張した大気によっていずれ破損してしまう可能性が極めて高い。なお、連通孔はインナーチャンバー内部と装置外部をつないでいるだけなので、1箇所で十分である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、図1は、本発明に係るプラズマ処理装置の一実施例の縦断面図、図2は反応ガス供給口としての細管の部分の拡大断面図、図3は連通孔の部分の拡大断面図、図4〜図7は、それぞれ図1のA−A、B−B、C−C、D−Dに沿った横断面図である。
【0016】
図1に示すように、プラズマ処理装置1において、プラズマ発生用アウターチャンバー2の上方に天板3が取り付けられている。天板3は、反応性ガスを導入するためのフランジを備えている。また、プラズマ発生用アウターチャンバー2は、石英、若しくはセラミックスで形成されている。更に、プラズマ発生用アウターチャンバー2の外周囲にアルミニウム合金製又はステンレス製のファラデーシールド4が形成されている。
【0017】
ファラデーシールド4の外周囲にプラズマ発生用コイル5が設けられている。プラズマ発生用コイル5は、二つの固定部6によって取り付けられ、3周巻回されている。更に、プラズマ発生用コイル5は、図示しない高周波出力ユニットに接続されている。
【0018】
また、プラズマ発生用アウターチャンバー2の内側に、インナーチャンバー7が同軸状に取り付けられている。インナーチャンバー7は、その直径がプラズマ発生用アウターチャンバー2の径より小さく、その底部8がプラズマ発生用アウターチャンバー2の底部9より高く配置されている。すると、プラズマ発生用アウターチャンバー2の内側とインナーチャンバー7の外側との間にプラズマ発生領域10が形成される。なお、インナーチャンバー7の材質はプラズマ発生用アウターチャンバー2と同じである。
【0019】
プラズマ発生用ガスが、矢印で示しているように、天板3の中央に設けられているガス導入部11を通して、ガス拡散空間12に供給される。そのガス導入部11の断面図は、図4に示されている。また、ガス拡散空間12に供給されたプラズマ発生用ガスは、ガス拡散部13に配置されているコ字型細管14を通って、プラズマ発生領域10に導入される。
【0020】
細管14はガス拡散部13から仕切り部15、接続部16を通ってプラズマ発生領域10に達している。具体的には、図5に、細管14の配置状態を示しており、12個の細管14が、ガス拡散空間12に対して放射状に等間隔で開口している。また、図6に示すように、接続部16のフランジに貫通した細管14は、インナーチャンバー7と接続部16のフランジとの隙間を通って、プラズマ発生領域10と連通している。
【0021】
更に、図7に示すように、インナーチャンバー7が、プラズマ発生装置1の外部と連通孔17で繋がっている。インナーチャンバー7は、底部8で閉塞されているので、熱によって内部の大気が膨張した場合、インナーチャンバー7に悪影響を与える。この連通孔17は、膨張した大気をインナーチャンバー7から逃がし、室温に戻ったときは外部から大気がインナーチャンバー7内部に入っていく。
【0022】
なお、インナーチャンバー7の内部を真空にしてもよい。また、プラズマ発生用ガスの種類は被処理物の材質等を考慮して決定されるが、例えば、アッシング用にはO2、エッチング用にはCHF3、CF4、C26、C38、HBr、Cl2、BCl3、プラズマCVD用にはSiH4、SiF4、N2、NH3、N2O、イオン注入用にはC,N等が挙げられる。
【0023】
このように、プラズマ処理装置1の上方にあるガス導入部11から導入されたガスは、細管14を通ってプラズマ発生領域10に供給される。そして、プラズマ発生領域10でプラズマ化されたガスはプラズマ発生領域10の上から下に降りてくる。インナーチャンバー7の底部8を過ぎた時点で一気に中心に向かって流れ込み、渦を作る。その後、プラズマ化されたガスは、均一な状態で被処理物に到達する。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、ガス導入口から導入された反応ガスは、2個以上からなる細管を通ってアウターチャンバー内に供給されるため、チャンバー内に速やかに且つ均一に拡散し、コイル電極によって均一にプラズマ化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ処理装置の一実施例を示す縦断面図
【図2】反応ガス供給口としての細管を示す図1の要部拡大断面図
【図3】連通孔の部分を示す図1の要部拡大断面図、
【図4】図1におけるA−A方向の断面図
【図5】図1におけるB−B方向の断面図
【図6】図1におけるC−C方向の断面図
【図7】図1におけるD−D方向の断面図
【符号の説明】
1… プラズマ処理装置、 2…プラズマ発生用アウターチャンバー、 3…天板、 4…ファラデーシールド、 5…プラズマ発生用コイル、 6…固定部、 7…インナーチャンバー、 8、9…底部、 10…プラズマ発生領域、 11…ガス導入部、 12…ガス拡散空間、 13…ガス拡散部、 14…細管、 15…仕切り部、 16…接続部、 17…連通孔。

Claims (3)

  1. プラズマ発生用アウターチャンバーの周囲にプラズマ発生用電極が設けられ、更にこのプラズマ発生用アウターチャンバーの下方に処理チャンバーが配置され、前記プラズマ発生用アウターチャンバーの内部に、前記プラズマ発生用アウターチャンバーの断面積より小さいインナーチャンバーが同軸状に設けられているプラズマ処理装置において、前記プラズマ発生用アウターチャンバーとインナーチャンバーの間の空間をプラズマ発生領域とし、前記プラズマ発生領域に対して反応ガス供給口が2個以上開口し、更に前記インナーチャンバーにはプラズマ処理装置外部に連通する連通孔が開口していることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記反応ガス供給口が前記プラズマ発生領域に対して放射状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記反応ガス供給口が細管から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
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