JP3712019B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、補強剤としてシリカを配合した場合に、優れた発熱性を示すとともに、引張強度及び耐摩耗性にも優れたジエン系ゴム、並びにその製造方法に関する。また、本発明は、該ジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含有してなるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省資源や環境対策などが重視されるにつれて、自動車の低燃費化に対する要求は、ますます厳しくなり、自動車タイヤについても、転動抵抗を小さくすることにより、低燃費化に寄与することが求められている。タイヤの転動抵抗を小さくするには、一般に、発熱性の低い加硫ゴムを与えることができるゴム材料を使用する。
【0003】
従来より、タイヤ用ゴム材料として、ジエン系ゴムに補強剤として、カーボンブラックに替えてシリカを配合したゴム組成物を用いることにより、発熱性を低めることが提案されている。ところが、シリカ配合ゴム組成物は、カーボンブラック配合ゴム組成物に比べて、十分な耐摩耗性と引張強度が得られないという問題点があった。この原因の一つは、ジエン系ゴムに対するシリカの親和性がカーボンブラックよりも小さいために、十分な補強効果を発現することができないことにあると考えられている。
【0004】
従来、シリカとジエン系ゴムとの親和性を高めるために、シリカと親和性のある置換基を導入したジエン系ゴムを用いることが検討されている。例えば、アルキルシリル基(特開平1−188501号公報)、ハロゲン化シリル基(特開平5−230286号公報)、置換アミノ基(特開昭64−22940号公報)、アルコキシシリル基と置換アミノ基(特開平7−233216号公報)またはアルコキシシリル基と置換アミノ基とヒドロキシル基(特開平7−233217号公報)などを導入したジエン系ゴムが提案されている。しかしながら、これらの置換基を導入したジエン系ゴムを用いたシリカとのゴム組成物では、いまだ発熱性、引張強度及び耐摩耗性が十分でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、補強剤としてシリカを配合した場合に、転動抵抗の指標となる発熱性に優れ、しかもカーボンブラック配合物と同等の引張強度や耐摩耗性を示すジエン系ゴム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ジエン系ゴムと補強剤を含有し、発熱性、引張強度及び耐摩耗性などに優れたゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分として、ヒドロキシル基とアルコキシシリル基とを有し且つ共役ジエン結合部分のビニル結合量を充分に高めたジエン系ゴムをシリカと配合することにより、発熱性、引張強度、耐摩耗性及び加工性に優れたゴム組成物が得られること、そして該ジエン系ゴムが有機リチウムなどの有機アルカリ金属を開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニルを極性化合物の存在下に重合した後にエポキシ基含有アルコキシシラン化合物と反応させることで得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして本発明によれば、共役ジエン単量体単位40〜100重量%と芳香族ビニル単量体単位60〜0重量%とからなり、有機アルカリ金属を開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にエポキシ基含有アルコキシシラン化合物を反応させることにより製造されたゴム状重合体であって、共役ジエン結合単位のビニル結合量が60%以上で重量平均分子量が100,000〜2,000,000であり、且つ分子中にヒドロキシル基とアルコキシシリル基とを有するジエン系ゴムを含むゴム成分と、比表面積が、窒素吸着比表面積(BET法)で100〜220m 2 /gであるシリカを含む補強剤と、を含有してなるゴム組成物が提供される。本発明によれば、ジエン系ゴムが、炭化水素系溶媒中、極性化合物の存在下に有機アルカリ金属を開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にエポキシ基含有アルコキシシラン化合物を反応させることにより製造されたものである上記ゴム組成物が提供される。本発明によれば、さらに、ゴム成分100重量部に対して、加硫剤0.1〜15重量部および酸化亜鉛0.5〜2重量部を含んだものである上記ゴム組成物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
ヒドロキシル基とアルコキシシリル基とを含有するジエン系ゴム
本発明のジエン系ゴムは、共役ジエンの重合体または共役ジエンと芳香族ビニルとの共重合体であって、ヒドロキシル基とアルコキシシリル基とを有することを特徴とする。
【0009】
ヒドロキシル基とアルコキシシリル基は、それぞれ重合体鎖のいずれの場所に結合していてもよいが、好ましくは重合体鎖末端に結合したものである。ヒドロキシル基とアルコキシシリル基の少なくとも一方が重合体鎖末端に結合することにより、更に高い改質効果を示せるので好適である。
【0010】
ヒドロキシル基の炭素原子への結合形態としては、1級、2級、3級の何れであってもよく、格別な限定はない。
【0011】
重合体鎖に結合したアルコキシルシリル基は、少なくとも一つのアルコキシ基を有するアルコキシシリル基で、例えば、一般式(1)
【化1】
(式中、R1、R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、Pは重合体鎖、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数を示し、m+nは2〜4の整数である。)で表される。
【0012】
一般式(1)中のR1、R2の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10の範囲である。R1、R2は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などが特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、低級アルキル置換のフェニル基である。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
【0013】
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
【0015】
これらの芳香族ビニルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。芳香族ビニルのジエン系ゴム中の含有量は0〜60重量%である。
【0016】
本発明のジエン系ゴム中の芳香族ビニル単量体単位の有無は、使用目的に応じて適宜選択できる。発熱性を特に重視する場合は、共役ジエンの単独重合体が選択される。一方、発熱性とウエットスキッド抵抗を高度にバランスさせる場合には、共役ジエンと芳香族ビニルとの共重合体が好ましく、その場合の共重合体中の各単量体の含有量は、共役ジエン単量体単位が、通常40〜95重量%、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは70〜95重量%、芳香族ビニル単量体単位が、それぞれ、通常60〜5重量%、好ましくは50〜5重量%、より好ましくは30〜5重量%の範囲である。ジエン系ゴム中の芳香族ビニル含有量が過度に多いと発熱性に劣り好ましくない。
【0017】
本発明のジエン系ゴムの共役ジエン結合単位におけるビニル結合(1,2−ビニル結合及び3,4−ビニル結合)の割合は、60%以上、好ましく60〜90%、より好ましくは65〜85%の範囲である。共役ジエン結合単位のビニル結合割合が過度に小さいと、引張強度や耐摩耗性が充分でなく好ましくない。ビニル結合割合の過度に高いものは製造上の制約がある。ビニル結合以外の残部の共役ジエン結合単位は、1,4−結合で、1,4−シス結合、1,4−トランス結合のいずれであってもよい。
【0018】
本発明のジエン系ゴムが芳香族ビニルを含有する場合の芳香族ビニル連鎖分布については、特に制限はされないが、芳香族ビニル単位1個の独立鎖量が全結合芳香族ビニル量の50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上であり、且つ芳香族ビニルが8個以上連なった芳香族ビニル長連鎖量が結合芳香族ビニル量の2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1.2重量%以下であるものが、引張強度、発熱性及び耐摩耗性を高値にバランスさせるので好適である。
【0019】
本発明のジエン系ゴムの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で、100,000〜2,000,000、好ましくは150,000〜1,500,000、より好ましくは200,000〜1,200,000の範囲である。ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)が、過度に小さいと発熱性や耐摩耗性に劣り、逆に、過度に大きいと加工性に劣り、いずれも好ましくない。
【0020】
本発明のジエン系ゴムの製造方法は、特に制限されないが、例えば、炭化水素系溶媒中、極性化合物の存在下に有機アルカリ金属を開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にエポキシ基含有アルコキシシラン化合物を反応させることができる。
【0021】
有機アルカリ金属としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物が特に好ましい。
【0022】
これらの有機アルカリ金属は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機アルカリ金属の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択されるが、単量体100g当り、通常0.1〜30mmol、好ましくは0.2〜15mmol、より好ましくは0.3〜10mmolの範囲である。
【0023】
炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;等の周知のものから選ばれ、好ましくはn−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼンなどである。また、必要に応じて、1−ブテン、シス−2−ブテン、2−ヘキセンなどの重合性の低い不飽和炭化水素などを使用してもよい。これらの炭化水素系溶媒は、単独、あるいは2種以上組み合わせて、通常、単量体濃度が1重量%〜30重量%になる量比で用いられる。
【0024】
極性化合物としては、通常のアニオン重合で共役ジエン結合単位のミクロ構造や芳香族ビニルの共重合体鎖中の分布を調整するために一般的に用いられるものであれば格別制限はなく、例えば、エーテル化合物;3級アミン;カリウム−t−アミレートなどのアルカリ金属アルコキシド;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、3級アミンやエーテル化合物、特に3級アミンとジエーテル化合物が、共役ジエン結合単位のビニル結合量と芳香族ビニルの独立鎖量を高度に上げられるので好適である。
【0025】
3級アミンとしては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどが挙げられる。
【0026】
エーテル化合物としては、例えば、分子内にエーテル結合を1つ有するモノエーテル化合物、分子内にエーテル結合を2つ有するジエーテル化合物、分子内にエーテル結合を3つ以上有する多価エーテル化合物などに分類され、いずれのエーテル化合物であっても特に制限はないが、ジエーテル化合物が最も好ましい。エーテル化合物の炭素数は、特に限定はされないが、通常2〜100、好ましくは2〜50、より好ましくは4〜20、最も好ましくは4〜15の範囲である。
【0027】
モノエーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル類;アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテルなどの芳香族モノエーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状モノエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、脂肪族モノエーテル類や環状モノエーテル類が好ましい。
【0028】
ジエーテル化合物としては、例えば、アルキレングリコールジエーテルや環状ジエーテルなどが挙げられ、好ましくはアルキレングリコールジエーテルである。
【0029】
アルキレングリールジエーテルとしては、例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルアリールエーテル類、アルキレングリコールジアリールエーテル類、アルキレングリコールジアラルキルエーテル類などが挙げられ、好ましくはアルキレングリコールジアルキルエーテル類である。
【0030】
アルキレングリコールジエーテルの具体例としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールブチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、イソプロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジブチルグリコールなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルフェニルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルアリールエーテル類;エチレングリコールジフェニルエーテルなどのアルキレングリコールジアリールエーテル類;エチレングリコールジベンジルエーテルなどのアルキレングリコールジアラルキルエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールブチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどが特に好ましく、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールブチルt−ブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテルなどが最も好ましい。
【0031】
環状ジエーテルとしては、例えば、ジオキサン、1,10−フェナントロリンなどや米国特許公報第4,429,091号に記載されているジオキソランアルカン類、例えば、ビス(2−オキソラニル)メタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(5−メチル−2−オキソラニル)プロパンなどが挙げられ、これらの中でも、ジオキサンやジオキソランアルカン類などが好ましい。
【0032】
多価エーテル化合物としては、例えば、オリゴオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類、オキソラニルジオキサン類、オキソラニルジオキソラン類、クラウンエーテル類などが挙げられる。
【0033】
オリゴオキシアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルグリコール、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのオリゴオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジイソプロピレングリコールジアミルエーテルなどのオリゴオキシプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジブチレングリコールジメチルエーテルなどのオリゴオキシブチレングリコールジアルキルエーテル類;などが挙げられる。これらの中でも、オリゴオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類が好ましく、特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどが好ましい。
【0034】
ポリオキシアルキレングリコールジアルキルエーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジブチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジオクチルエーテルなどのポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールジエチルエーテルなどのポリオキシプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ポリオキシブチレングリコールジメチルエーテルなどのポリオキシブチレングリコールジアルキルエーテル類;などが挙げられる。
【0035】
オキソラニルジオキサン類やオキソラニルジオキソラン類としては、例えば、特公平7−74245号公報に記載されている化合物などが挙げられ、具体的には、例えば、2−(2−オキソラニル)ジオキサン、2−(2−オキソラニル)−4,4,6−トリメチルジオキサン、2−(5−メチル−2−オキソラニル)−4,4,6−トリメチルジオキサン、2−(2−オキソラニル)−5,5−ジメチルジオキサン、2−(2−オキソラニル)ジオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4−t−ブチルオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4,5−ジメチルジオキソラン、2−(2−オキソラニル)−4,4,5,5−テトラメチルジオキソランなどが挙げられる。
【0036】
クラウンエーテル類としては、例えば、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、12−クラウン−4−エーテル、ジベンゾ−18−クラウンエーテル、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6−エーテル、4’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5−エーテルなどが挙げられる。
【0037】
これらの極性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの極性化合物の使用量は、開始剤として用いる有機アルカリ金属1モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1〜100モル、より好ましくは1〜50モル、最も好ましくは1.2〜30モルの範囲である。極性化合物の使用量が過度に少ないと、共役ジエン結合部分のビニル結合割合を十分に高くすることができず好ましくない。
【0038】
各単量体の使用量は、ジエン系ゴムの用途に応じて適宜選択されるが、通常共役ジエンが40〜100重量%、芳香族ビニルが60〜0重量%である。共役ジエンと芳香族ビニルとを共重合する場合の各単量体の割合は、共役ジエンが、通常40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは70〜90重量%であり、芳香族ビニルが、通常60〜5重量%、好ましくは50〜10重量%、より好ましくは30〜10重量%の範囲である。
【0039】
重合反応は、通常、−78〜150℃の範囲で、回分式あるいは連続式等の重合様式で行われる。また、芳香族ビニルを共重合させる場合は、芳香族ビニル単位のランダム性を向上させるため、例えば、特開昭59−140211号公報や特開昭56−143209号公報に記載されているように、重合系中の芳香族ビニルと共役ジエンの組成比における芳香族ビニル含有量が特定濃度範囲になるように共役ジエンあるいは共役ジエンと芳香族ビニルとの混合物を、反応系に連続的あるいは断続的に供給するのが望ましい。
【0040】
上記重合反応により、重合体鎖末端に有機アルカリ金属を有する活性重合体が得られる。重合体鎖の具体例としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体などが例示できる。
【0041】
かかる活性重合体と反応させるエポキシ基含有アルコキシシラン化合物としては、分子内に少なくとも1つのエポキシ基と少なくとも一つのアルコキシ基を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、一般式(2)
【化2】
[式中、R3、R4はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、R5は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、Aはアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基または一般式(3)−A1−O−A2−(式中、A1、A2はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基またはアリーレンアルキレン基を示す。)基、xは1〜3の整数、yは0〜2の整数、zは1〜3の整数を示し、x+y+z=4である。また、AとR5とは結合して環構造を形成してもよい。]で表される。
【0042】
一般式(2)中のR3、R4の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10の範囲である。R3、R4は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を示し、好ましくはアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などが特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、低級アルキル置換のフェニル基である。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
【0043】
一般式(4)中のR5は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、好ましくは水素原子またはアルキル基である。R9がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基である場合の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10の範囲である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基などが挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基などの低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などが特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、低級アルキル基置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、低級アルキル置換のフェニル基である。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、低級アルキル基置換のベンジル基などが挙げられる。
【0044】
一般式(2)中のAの炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10の範囲である。Aは、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基または一般式(3)−A1−O−A2−(式中、A1、A2はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基またはアリーレンアルキレン基を示す。)で表される結合基であり、好ましくはアルキレン基や一般式(3)で表される結合基である。
【0045】
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ヘキシレン基などの低級アルキレン基などが好ましい例として挙げられる。アリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基などが挙げられ、一部の水素原子が低級アルキル基で置換されていてもよい。アルキレンアリーレン基やアリーレンアルキレン基などとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレンなどの低級アルキレン基と、フェニーレン、低級アルキル基が置換されたフェニーレンなどが組み合わされた結合基などが挙げられる。
【0046】
一般式(3)−A1−O−A2−中のA1、A2の例示は、上記Aのアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基またはアリーレンアルキレン基の具体例と同様である。
【0047】
一般式(3)−A1−O−A2−で表される結合基の具体例としては、例えば、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンアリーレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアリーレン基、アルキレンアリーレンオキシアリーレン基、アリーレンオキシアルキレン基、アリーレンアルキレンオキシアルキレン基、アリーレンオキシアリーレン基、アリーレンアルキレンオキシアリーレン基、アルキレンオキシアリーレンアルキレン基、アルキレンアリーレンオキシアリーレンアルキレン基、アリーレンアルキレンオキシアリーレンアルキレン基、アルキレンオキシアルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンオキシアルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレンオキシアルキレンアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアリーレン基、アリーレンオキシアルキレン基、アリーレンオキシアリーレン基などが好ましく、アルキレンオキシアルキレン基が最も好ましい。
【0048】
アルキレンオキシアルキレン基としては、例えば、メチレンオキシメチレン基、メチレンオキシエチレン基、メチレンオキシプロピレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシブチレン基などの低級アルキレンオキシ低級アルキレン基などが好ましい例として挙げられる。アルキレンオキシアリーレン基としては、例えば、メチレンオキシフェニーレン基、エチレンオキシフェニーレン基、プロピレンオキシフェニーレン基などが挙げられる。アリーレンオキシアルキレン基としては、フェニーレンオキシメチレン基、フェニーレンオキシイソプロピレン基、フェニーレンオキシブチレン基などが挙げられる。アリーレンオキシアリーレン基としては、例えば、フェニーレン基や水素原子の一部が低級アルキル基で置換されたフェニーレン基などがオキシ基で結合したものが挙げられる。アリーレンアルキレンオキシアルキレン基としては、例えば、フェニーレンメチレンオキシメチレン基、フェニーレンエチレンオキシエチレン基などが挙げられる。
【0049】
一般式(2)中のR5とAが互いに結合した環構造は、通常4〜12員環構造、好ましくは5〜10員環構造、より好ましくは5〜8員環構造である。具体的には、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などが挙げられ、これらの中でも、シクロペンタン環やシクロヘキサン環などが好ましく、シクロヘキサン環がもっとも好ましい。
【0050】
エポキシ基含有アルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、特開平7−233217号公報に開示されている化合物などを用いることができる。具体的には、例えば、3−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシブチルプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン、トリス(3−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプロペンオキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0051】
これらエポキシ基含有アルコキシシラン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、その使用量は、有機アルカリ金属当り、通常1当量以上、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量、最も好ましくは1〜2当量の範囲である。
【0052】
活性重合体と上記エポキシ基含有アルコキシシラン化合物の反応は、重合反応終了後に該化合物を添加して行うことができる。反応温度は、通常0〜200℃、好ましくは20〜150℃で、反応時間は、通常30秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、より好ましくは10分〜2時間である。
【0053】
尚、これらの活性重合体とエポキシ基含有アルコキシシラン化合物との反応で、アルコキシシリル基とヒドロキシル基とが重合体鎖に導入されることは、例えば、特開平7−233216号公報や特開平7−233217号公報などの研究で証明されている。
【0054】
上記反応終了後に、停止剤としてメタノール、イソプロパノールなどのアルコールを添加して重合反応を停止し、酸化防止剤やクラム化剤を加えた後、直接乾燥などの方法で溶媒を除去し、生成重合体を回収することができる。
【0055】
ゴム成分
本発明のゴム組成物のゴム成分としては、前記ヒドロキシル基とアルコキシシリル基とを有するジエン系ゴムを含むものが用いられる。ゴム成分中の該ヒドロキシル基及びアルコキシシリル基含有ジエン系ゴムの割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは30〜100重量%、最も好ましくは40〜100重量%である。ゴム成分中の本発明の該ヒドロキシル基及びアルコキシシリル基含有ジエン系ゴムの割合が過度に少ないと、改質の効果が充分でなく好ましくない。
【0056】
併用できるその他のゴムとしては、特に限定はないが、通常ジエン系ゴムが用いられる。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、溶液重合ランダムSBR(結合スチレン5〜50重量%、ブタジエン結合単位部分の1,2−ビニル結合量10〜80%)、高トランスSBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、低シスポリブタジエンゴム(BR)、高シスBR、高トランスBR(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合ゴム(SIR)、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、溶液重合ランダムスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム(SIBR)、乳化重合SIBR、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、高ビニルSBR−低ビニルSBRブロック共重合ゴム、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体などのブロック共重合体等が挙げられ、要求特性に応じて適宜選択できる。これらの中でも、NR、BR、IR、SBR、SIBRなどが好ましい。これらのその他のゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
補強剤
補強剤としては、特に制限はないが、例えば、シリカやカーボンブラックなどを用いることができる。
【0058】
シリカとしては、特に制限はないが、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、及び特開昭62−62838号公報に開示されている沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが特に好ましい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
シリカの比表面積は、特に制限はされないが、窒素吸着比表面積(BET法)で、通常50〜400m2/g、好ましくは100〜220m2/g、さらに好ましくは120〜190m2/gの範囲である時に、補強性、耐摩耗性及び発熱性等の改善が十分に達成され、好適である。ここで窒素吸着比表面積は、ASTM
D3037−81に準じBET法で測定される値である。
【0060】
カーボンブラックとしては、特に制限はないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましく、その具体例としては、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEF等の種々のグレードのものが挙げられる。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に制限はないが、通常5〜200m2/g、好ましくは50〜150m2/g、より好ましくは80〜130m2/gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。また、カーボンブラックのDBP吸着量は、特に制限はないが、通常5〜300ml/100g、好ましくは50〜200ml/100g、より好ましくは80〜160ml/100gの範囲である時に、引張強度や耐摩耗性が高いレベルで改善され好適である。
【0062】
カーボンブラックとして、特開平5−230290号公報に開示されているセチルトリメチルアンモニウムブロマイドの吸着(CTAB)比表面積が110〜170m2/gで24,000psiの圧力で4回繰り返し圧縮を加えた後のDBP(24M4DBP)吸油量が110〜130ml/100gであるハイストラクチャーカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性をさらに改善できる。
【0063】
補強剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、より好ましくは30〜120重量部である。
【0064】
本発明のゴム組成物の目的を高度に達成するためには、補強剤として、シリカ単独で、あるいはシリカとカーボンブラックとを併用して用いることが好ましい。シリカとカーボンブラックとを併用する場合の混合割合は、用途や目的に応じて適宜選択されるが、通常、シリカ:カーボンブラック=10:90〜99:1、好ましくは30:70〜95:5、より好ましくは50:50〜90:10(重量比)である。
【0065】
シランカップリング剤
本発明のゴム組成物が補強剤としてシリカを用いる場合は、シランカップリング剤を添加すると、発熱性や耐摩耗性がさらに改善されるので好適である。
【0066】
シランカップリング剤としては、特に限定はないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、及び特開平6−248116号公報に記載されるγ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどのテトラスルフィド類などを挙げることができる。
【0067】
これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。シランカップリング剤の配合割合は、シリカ100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の範囲である。
【0068】
ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、上記成分以外に、常法に従って、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、老化防止剤、活性剤、可塑剤、滑剤、充填剤等のその他の配合剤をそれぞれ必要量含量することができる。
【0069】
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄などのハロゲン化硫黄;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシムなどのキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリンなどの有機多価アミン化合物;メチロール基をもったアルキルフェノール樹脂;などが挙げられ、これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。これらの加硫剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0070】
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。加硫剤の配合割合がこの範囲にある時に、引張強度や耐摩耗性に優れるとともに、耐熱性や残留ひずみ等の特性にも優れるので特に好ましい。
【0071】
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;チオカルボアニリド、ジオルトトリルチオウレア、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチオウレア系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアミン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペコリン等のジチオカルバミン酸系加硫促進剤;イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸系加硫促進剤;などの加硫促進剤が挙げられる。
【0072】
これらの加硫促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられるが、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものが特に好ましい。加硫促進剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
【0073】
加硫活性化剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸などの高級脂肪酸や酸化亜鉛などを用いることができる。酸化亜鉛としては、例えば、表面活性の高い粒度5μm以下のものを用いるのが好ましく、かかる具体例としては、粒度が、例えば、0.05〜0.2μmの活性亜鉛華や0.3〜1μmの亜鉛華などを挙げることができる。また、酸化亜鉛は、アミン系の分散剤や湿潤剤で表面処理したものなどを用いることができる。
【0074】
これらの加硫活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。加硫活性化剤の配合割合は、加硫活性化剤の種類により適宜選択される。高級脂肪酸を用いる場合、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。酸化亜鉛を用いる場合は、ゴム成分100重量部に対して、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。酸化亜鉛の配合割合がこの範囲にある時に、加工性、引張強度及び耐摩耗性などの特性が高度にバランスされ好適である。
【0075】
その他の配合剤の例としては、例えば、シランカップリング剤以外のカップリング剤;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シリコーンオイルなどの活性剤;炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの充填剤;プロセス油、ワックスなどが挙げられる。
【0076】
本発明のゴム組成物は、常法に従って各成分を混練することにより得ることができる。例えば、加硫剤と加硫促進剤を除く配合剤とゴム成分を混合後、その混合物に加硫剤と加硫促進剤を混合してゴム組成物を得ることができる。加硫剤と加硫促進剤と除く配合剤とゴム成分の混合温度は、通常、80〜200℃、好ましくは100〜190℃、さらに好ましくは140〜180℃であり、混合時間は、通常、30秒以上であり、好ましくは1〜30分間である。加硫剤と加硫促進剤の混合は、通常100℃以下、好ましくは室温〜80℃まで冷却後行われ、その後、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度でプレス加硫した本発明のゴム組成物を得ることができる。
【0077】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)重合体中の結合スチレン量は、JIS K6383(屈折率法)に準じて測定した。
(2)重合体中のブタジエン結合単位のビニル結合割合は、赤外分光法(ハンプトン法)で測定した。
(3)重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、GPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を求めた。
(4)共重合体中のスチレン連鎖分布は、高分子学会予稿集第29巻第9号第2055頁に記載されている方法に従って、共重合体をオゾン分解した後、GPC測定を行い、スチレン単位1個の独立鎖量(S1)、及びスチレン単位が8個以上連なった長連鎖量(S8)の割合を算出した。
(5)引張強度は、JIS K6301に準じて300%応力(Kgf/cm2)を測定した。この特性は、指数(引張強度指数)で表示した。この値は大きい程好ましい。
(6)発熱性は、レオメトリックス社製RDA−IIを用い、1%ねじれ、20Hz、0℃と60℃のtanδを測定し、tanδ0℃/tanδ60℃の値を比較例100とする指数(発熱指数)で表示した。この値は、大きい程好ましい。
(7)耐摩耗性は、ASTM D2228に従い、ピコ摩耗試験機を用いて測定した。この特性は、指数(耐摩耗指数)で表示した。この値は、大きい程好ましい。
【0078】
参考例1〜2
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン220g、ブタジエン780g及びテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)20ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム13ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のスチレン170gとブタジエン830gの混合物を連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン13ミリモル添加して、30分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.1を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。ジエン系ゴムNo.1と同様にして、表1記載の重合条件でジエン系ゴムNo.2〜3を得、それら重合体の性状を表1に示した。
【0079】
参考例3
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン220g、ブタジエン780g及びテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)20ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム13ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合開始10分後に、残部のスチレン170gとブタジエン830gの混合物を連続的に添加した。重合転化率が100%になったことを確認してから、四塩化錫(SnCl4)を1.3ミリモル添加し20分間反応させた後、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン13ミリモル添加して30分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.4を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0080】
比較例1
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン400g、ブタジエン1600g及びテトラヒドロフラン(THF)700ミリモルを仕込んだ後、n−ブチルリチウム12ミリモルを加え、50℃で重合を開始した。重合転化率が100%になったことを確認してから、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン12ミリモル添加して30分間反応させた。反応終了後、停止剤としてメタノールを20ミリモル添加し、2,6−ジ−t−ブチルフェノールを20g添加してから、スチームストリッピング法により重合体の回収を行い、ジエン系ゴムNo.5を得た。ジエン系ゴムの性状を測定し、その結果を表1に示した。
【0081】
【表1】
【0082】
(*1)TMEDA;テトラメチルエチレンジアミン、THF;テトラヒドロフラン
(*2)4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン
(*3)スチレン単位が1個の独立鎖の含有量
(*4)スチレン単位が8個以上連なった長連鎖の含有量
【0083】
実施例6〜9、比較例2,5
原料ゴムとして、参考例1〜4及び比較例1で作成したジエン系ゴムNo.1〜5を用い、表2の配合処方に基づいて、容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、原料ゴム、シリカ、シランカップリング剤及びジエチレングリコールの全量を170℃で2分間混合後、硫黄と加硫促進剤を除く残りの配合剤を添加し、同温度で3分間混練した。
【0084】
次ぎに、得られた混合物と、硫黄及び加硫促進剤を50℃のオープンロールに加えて混練した後、160℃で30分間プレス加硫して試験片を作成し、各物性を測定した。結果を表3に示した。
【0085】
【表2】
【0086】
(*1)Si69(デグッサ社製)
(*2)ノクラック6C(大内新興社製)
(*3)ノクセラーCZ(大内新興社製)
【0087】
【表3】
【0088】
(*1)ポリイソプレンゴム(日本ゼオン社製)
(*2)ニプシルVN3(日本シリカ社製;窒素吸着比表面積=240m2/g)(*3)ニプシルAQ(日本シリカ社製;窒素吸着比表面積=200m2/g)(*4)Z1165MP(ローヌプーラン社製;窒素吸着比表面積=175m2/g)
(*5)これらの指数は、比較例2を100とした。
【0089】
表3の結果より、本発明のジエン系ゴムを用いたゴム組成物(実施例6〜9)は、引張強度、発熱性、耐摩耗性及び加工性のいずれの特性にも優れることがわかる。また、比表面積の小さいシリカを用いると引張強度、発熱性、耐摩耗性及び加工性のいずれの特性もさらに改善されことがわかる(比較例5と実施例6の比較)。
【0090】
本発明の実施態様を以下に示す。
(1)共役ジエン単量体単位40〜100重量%と芳香族ビニル単量体単位60〜0重量%とからなるゴム状重合体であって、共役ジエン結合単位のビニル結合量が60%以上で重量平均分子量が100,000〜2,000,000であり、且つ分子中にヒドロキシル基とアルコキシシリル基とを有することを特徴とするジエン系ゴム。
(2)ヒドロキシル基とアルコキシシリル基の少なくとも1つが重合体鎖末端に結合したものである(1)記載のジエン系ゴム。
(3)アルコキシルシリル基が、一般式(1)
【化3】
(式中、R1、R2はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、Pは重合体鎖、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数を示し、m+nは2〜4の整数である。)で表されるものである(1)または(2)記載のジエン系ゴム。
(4)共役ジエン単量体単位40〜95重量%と芳香族ビニル単量体単位60〜5重量%とからなる(1)〜(3)のいずれかに記載のジエン系ゴム。
(5)芳香族ビニル単位1個の独立鎖量が全結合芳香族ビニル量の50重量%以上である(4)記載のジエン系ゴム。
(6)芳香族ビニルが8個以上連なった芳香族ビニル長連鎖量が全結合芳香族ビニル量の2重量%以下である(4)または(5)記載のジエン系ゴム。
【0091】
(7)炭化水素系溶媒中、極性化合物の存在下に有機アルカリ金属を開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にエポキシ基含有アルコキシシラン化合物を反応させることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴムの製造方法。
(8)有機アルカリ金属の使用量が単量体100gに対して0.1〜30mmolである(7)記載の製造方法。
(9)極性化合物の使用量が有機アルカリ金属アミドまたは有機アルカリ金属1モルに対して0.1〜100モルである(7)または(8)記載の製造方法。
(10)極性化合物がエーテル化合物、3級アミン、アルカリ金属アルコキシド及びホスフィン化合物から選ばれる少なくとも1種である(7)〜(9)のいずれかに記載の製造方法。
(11)極性化合物が3級アミンまたはジエーテル化合物である(10)記載の製造方法。
【0092】
(12)エポキシ基含有アルコキシシラン化合物が、一般式(2)
【化4】
[式中、R3、R4はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、R5は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、Aはアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基または一般式(3)−A1−O−A2−(式中、A1、A2はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基またはアリーレンアルキレン基を示す。)基、xは1〜3の整数、yは0〜2の整数、zは1〜3の整数を示し、x+y+z=4である。また、AとR5とは結合して環構造を形成してもよい。]で表されるものである(7)〜(11)のいずれかに記載の製造方法。
【0093】
(13)(1)〜(6)のいずれかに記載のジエン系ゴムを含むゴム成分と補強剤とを含有してなるゴム組成物。
(14)該ジエン系ゴムの含有量がゴム成分中の10重量%以上である(13)記載のゴム組成物。
【0094】
(15)ゴム成分100重量部に対して、補強剤10〜200重量部を用いる(13)または(14)記載のゴム組成物。
(16)補強剤が、カーボンブラックである(13)〜(15)のいずれかに記載のゴム組成物。
(17)補強剤が、シリカを含むものである(13)〜(15)のいずれかに記載のゴム組成物。
(18)シリカの比表面積が、窒素吸着比表面積(BET法)で、50〜400m2/gである(17)記載のゴム組成物。
(19)さらにシランカップリング剤を含んだものである(17)または(18)記載のゴム組成物。
(20)シランカップリング剤の配合量が、シリカ100重量部に対して0.1〜30重量部である(19)記載のゴム組成物。
【0095】
(21)さらに加硫剤、加硫促進剤及び加硫活性化剤を含んだものである(13)〜(20)のいずれかに記載のゴム組成物。
(22)ゴム成分100重量部に対して、加硫剤0.1〜15重量部および加硫促進剤0.1〜15重量部である(21)記載のゴム組成物。
(23)加硫促進剤が、少なくともスルフェンアミド系加硫促進剤を含むものである(21)または(22)記載のゴム組成物。
(24)加硫活性化剤として、酸化亜鉛を含むものである(21)〜(23)のいずれかに記載のゴム組成物。
(25)酸化亜鉛の使用量が、ゴム成分100重量部に対して2以下である(24)記載のゴム組成物。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、補強剤としてシリカを配合した場合に、優れた発熱性を示すとともに、引張強度や耐摩耗性にも優れたジエン系ゴム及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、発熱性、引張強度及び耐摩耗性が大幅に改善されたゴム組成物が提供される。
【0097】
本発明のジエン系ゴム及びそれを含むゴム組成物は、その特性を活かして、各種用途、例えば、トレッド、カーカス、サイドウオール、ビード部などのタイヤ各部位への利用、あるいはホース、窓枠、ベルト、靴底、防振ゴム、自動車部品などのゴム製品への利用、さらには耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂等の樹脂強化ゴムとして利用が可能になる。
【0098】
本発明のジエン系ゴム及びそれを含むゴム組成物は、特に低燃費タイヤのタイヤトレッドに優れるが、その他にもオールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等のタイヤトレッド、サイドウオール、アンダートレッド、カーカス、ビート部等のゴム材料として好適である。
Claims (3)
- 共役ジエン単量体単位40〜100重量%と芳香族ビニル単量体単位60〜0重量%とからなり、有機アルカリ金属を開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にエポキシ基含有アルコキシシラン化合物を反応させることにより製造されたゴム状重合体であって、共役ジエン結合単位のビニル結合量が60%以上で重量平均分子量が100,000〜2,000,000であり、且つ分子中にヒドロキシル基とアルコキシシリル基とを有するジエン系ゴムを含むゴム成分と、比表面積が、窒素吸着比表面積(BET法)で100〜220m 2 /gであるシリカを含む補強剤と、を含有してなるゴム組成物。
- ジエン系ゴムが、炭化水素系溶媒中、極性化合物の存在下に有機アルカリ金属を開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンと芳香族ビニルとを(共)重合させた後にエポキシ基含有アルコキシシラン化合物を反応させることにより製造されたものである請求項1に記載のゴム組成物。
- さらに、ゴム成分100重量部に対して、加硫剤0.1〜15重量部および酸化亜鉛0.5〜2重量部を含んだものである請求項1または2に記載のゴム組成物。
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