JP3711756B2 - 水田除草装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水田の雑草を除去する水田除草装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、水田の除草を行う方法及び装置として、特開平8−256661号公報に記載されたものがある。この構成は苗条列の中間位置を苗条列に沿って移動しながら田面にほぼ所定深さ入った状態で除草体を水平方向に往復回動させ、雑草を根部から除去し、湛水面に浮上させる方法である。
【0003】
この構成によると、除草体が前後株間に侵入して当該株間の雑草をも除去できる点で有利であるが、なお完全でない。即ち苗の直ぐ前後の範囲には除草体が作用できないため、この部分には雑草が残る結果となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の欠点を解消しようとするもので、次の技術的手段を講じた。
【0005】
即ち、請求項1に記載の水田除草装置は、走行車体1に装着され、同車体1を進行させながら、複数のツース32…を潅水状態の水田内で左右方向に揺動させることで前記水田に繁茂する雑草の根部あるいは茎葉部に接触して同雑草を潅水面に浮き上がらせて除草する除草装置であって、前記ツース32…は、棒状部材で構成され且つこの先端部を後方へ延出させ条間に位置させる条間用ツース32aと、前記条間用ツース32aよりも細くて弾力に富む棒状部材で構成され且つこの先端部を波状または螺旋状に形成して株間に位置させる株間用ツース32bにて構成し、前記条間用ツース32aと株間用ツース32bを左右方向のフレーム14上に複数配設したことを特徴とする水田除草装置とした。
【0006】
また、請求項2に記載の水田除草装置は、前記条間用ツース32aと株間用ツース32bを配設したフレーム14を、共通の揺動機構16によって揺動すべく設けてなる請求項2に記載の水田除草装置とした。
【0007】
【0008】
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施例を図面に基づき説明する。1は四輪走行作業車両であり、機体前部のエンジンの駆動力を前後車輪2,3に伝達すべく構成している。4は前輪2を操向連動するステアリングハンドル、5は運転者用シートである。機枠6の前部側には、昇降リンク機構7を介して除草作業装置8を装着している。
【0010】
上記昇降リンク機構7は、上下に並行リンクを構成したリンク杆9,10と、上記除草作業装置8を吊り下げ支持する作業機フレーム11と、このフレーム11と前記リンク杆のうち下側リンク杆9に連結した油圧シリンダ機構12等からなる。なお油圧シリンダ機構12はその伸縮によって作業機フレーム11を上下に昇降連動しうる構成である。
【0011】
次に除草作業装置8について説明する。この除草作業装置8の支持構成は、作業機フレーム11に支持されるローリングフレーム13と、該ローリングフレーム13に対して左右揺動自在に取り付けられる揺動フレーム14,15と、これらフレーム14,15を揺動すべく駆動する揺動機構16等からなる。即ち、矩形状の中間に縦枠を配設した上記作業機フレーム11の左右中間部下部にはブラケット17を設け、該ブラケット13に前後に貫通する揺動軸18を設け、この揺動軸18に左右に長いローリングフレーム13を前後軸芯回りに揺動自在に支持している。このローリングフレーム13の左右部側には、夫々下端側に筒状軸受19,19を固着した支持部材20,20をローリングフレーム13に対して上下位置変更自在に設けている。なお、ローリングフレーム13の各左右端には接地そり21,21の縦軸部21aを上下取付位置変更自在にピン連結する構成である。
【0012】
上記ローリングフレーム13の支持部材20,20に夫々設けた上記筒状軸受19,19には、中間フレーム22,22の中央に上方突設する支軸23,23を挿通させて、該中間フレーム22,22を縦軸回りに揺動可能に連結している。各中間フレーム22,22の前端側及び後端側を夫々連結すべく、揺動フレーム14,15を前後平行状態に設ける。従って、中間フレーム22,22の支軸23,23回りに揺動に従って、前後の揺動フレーム14,15は相互に反対方向に左右揺動する構成である。
【0013】
前記ブラケット17に支持されるローリングフレーム13に軸受部材24を設け、油圧モータ25に連動する連動軸26を支承している。この軸26の前端にはクランク軸27を設け、クランク軸27と前記中間フレーム22の一方とをロッド28にて連結して、連動軸26の回転を中間フレーム22の左右揺動に変換する揺動機構16を構成している。
【0014】
なお、上記油圧モータ25の作動油を発生する油圧ポンプ29は、機体1の後部PTO軸30に回転連動すべく構成し、油圧配管31,31によって油圧モータ25に圧油を供給しうる構成である。
前記前後の揺動フレーム14,15には揺動体としてのツース体32が固着されている。即ち、前側の揺動フレーム14において、田植え後の左右植え付け苗間(以下、条間)に対応すべく、複数のツース32aが設けられ、かつ各条間用ツース32a,32a…の間には、前後植え付け苗間(以下、株間)に対応すべく複数のツース32bが設けられる。このうちツース32aは、L型にわん曲した本体部と、その折り曲げ部が後方に延出状となるようその先端を溶着したサブツース部とからなり、本体部の上部を揺動フレーム14に対して挿通しボルト止めしている。上記本体部の後方延出部及びサブツース部とで撹拌助長体を構成する。またツース32bは、ツース32aよりもやや細くて弾力に富む材質をL型に曲げ、その先端を波状または螺旋状に巻回している。当該先端を撹拌助長体に構成するものである。このツース32bの複数(図例では3本)を1枚の取付ベース33に溶着固定し、当該取付ベースをフレーム14に着脱自在に固定している。
【0015】
これらツースは同じ形状のものを後ろ側の揺動フレーム15についても同様に構成するものである。即ち、条間用ツース32aの後方には条間用ツースが、株間用ツースの後方には株間用ツースが対応すべく配設している。なお実施例では、前側のツース本数に対して後ろ側ツース本数を少なく設定しているが、同数でもよくあるいは逆に多くしてもよい。
【0016】
上記ツース32a,32bを取り付けた前後の揺動フレーム14,15は、中間フレーム22,22の前端に枢支軸34,34を介して揺動フレーム14が連結され、一方それの後端には枢支軸35,35を介して揺動フレーム15が連結されている。
上例の作用について説明する。
【0017】
田植え後の圃場において、除草作業装置8を作業姿勢に降下し作業車輌1を前進する。PTO軸30の回転に伴い、油圧ポンプ29が駆動し油圧モータ25を回転する。この回転により揺動機構16は、中間フレーム22,22を縦方向軸芯を呈する支軸23,23回りに左右に揺動する。このため、前後の揺動フレーム14,15は枢支軸34,34や枢支軸35,35をもって支持されているため、左右互いに逆方向に向け、所定小ピッチ(イ)で揺動する。
【0018】
上記除草作業装置8の湛水圃場における作用は以下のとおりである。機体進行(ロ)とともに左右に揺動するツース32は湛水圃場を撹拌しながら進行し、苗の深さよりも浅い位置で繁茂する雑草は、その撹拌によって根部あるいは茎葉部が除去作用を受け湛水面に浮き上がる。
ツース32のうち、ツース32aは苗の条間に作用し、ツース32bは株間に作用するものである。特にツース32bは弾性を有する細い形状に構成して左右に揺動する形態であるから、植え付け苗(ハ)部に直接接触作用しても深い根部に直接作用する恐れもなくこれを損傷しないで無事通過することができながら、植え付け苗の直前・直後位置の雑草(二)の根部や茎葉部に接触作用してこれを除去し、雑草を湛水面に浮き上がらせる(ホ)。なお、波状あるいは螺旋状の後尾部が撹拌作用を助長することとなって雑草に付着する泥土をふるい落す効果があって、雑草の浮き上がりを助長しつつ、雑草自体の除草効果も大きくする反面、進行方向には当該ツース32bによる抵抗は少なく、上記の苗への損傷軽減には影響の少ないものである。
【0019】
また、ツース32aは、苗との干渉の恐れがないために、やや太い棒状体で構成し、しかも上下に本体部とサブツース部とを適宜間隔離れて配置する構成のため、撹拌効果が大きく、それだけ雑草除去効率も大きい。上記実施例では、ローリングフレーム13を構成し、左右に接地体としての接地そり21,21を配置したものであるから、ツース32a,32b深さが不測に変動することを防止でき、植え付け苗の接触による損傷を極力小さくできる。
【0020】
条間用ツース32aと株間用ツース32bと左右に併設することができ、単一の揺動フレーム14又は15に構成し得て構成を簡単化できるものである。
加えて揺動フレーム14,15は前後に配設されていて、その揺動方向が逆の関係であるから、左右方向の振動を抑制しあい、機体全体の振動を少なくする。
【0021】
【発明の作用効果】
この発明は上記の構成としたから、次の作用効果を奏する。
即ち請求項1に記載の発明では、ツース32bを、弾性を有する棒状部材で構成して左右に揺動するものであるから、十分に活着した苗に接触しても折れや引き抜きを回避でき、無事通過することができる。反面、苗の直前・直後に繁茂する雑草に接触すると、これを除去して雑草を湛水面に浮き上がらせることができる。また、波状あるいは螺旋状の後尾部が、撹拌作用を助長することとなって雑草に付着する泥土をふるい落し、雑草の浮き上がりを助長して、除草効果を向上することができる。
【0022】
また、前記ツース32…は、棒状体で構成され且つこの先端部を後方へ延出させ条間に位置させる条間用ツース32aと、前記条間用ツース32aよりも細くて弾力に富む棒状部材で構成され且つこの先端部を波状または螺旋状に形成して株間に位置させる株間用ツース32bにて構成し、前記条間用ツース32aと株間用ツース32bを所定間隔毎に複数配設したので、複数の左右苗間を一挙に除草作業でき、作業効率を向上できる。
【0023】
更に、請求項2の発明では、各別の駆動機構を要しないため、軽量化がはかれるほか、製作コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水田除草装置の斜視図である。
【図2】水田除草機を備えた走行車体の全体側面図である。
【図3】水田除草装置の正面図である。
【図4】水田除草装置の平面図である。
【図5】水田内のツースの作用説明図である。
【図6】水田上方から見たツースの作用説明図である。
【符号の説明】
1…四輪走行作業車両、2…前輪、3…後輪、4…ステアリングハンドル、5…運転者用シート、6…機枠、7…昇降リンク機構、8…除草作業装置、9,10…リンク杆、11…作業機フレーム、12…油圧シリンダ機構、13…ローリングフレーム、14,15…揺動フレーム、16…揺動機構、17…ブラケット、18…揺動軸、19,19…筒状軸受、20,20…支持部材、21,21…接地そり、22,22…中間フレーム、23,23…支軸、24…軸受部材、25…油圧モータ、26…連動軸、27…クランク軸、28…ロッド、29…油圧ポンプ、30…後部PTO軸、31,31…油圧配管、32…ツース、32a…条間用ツース、32b…株間用ツース
Claims (2)
- 走行車体(1)に装着され、同車体(1)を進行させながら、複数のツース(32…)を潅水状態の水田内で左右方向に揺動させることで前記水田に繁茂する雑草の根部あるいは茎葉部に接触して同雑草を潅水面に浮き上がらせて除草する除草装置であって、前記ツース(32…)は、棒状部材で構成され且つこの先端部を後方へ延出させ条間に位置させる条間用ツース(32a)と、前記条間用ツース(32a)よりも細くて弾力に富む棒状部材で構成され且つこの先端部を波状または螺旋状に形成して株間に位置させる株間用ツース(32b)にて構成し、前記条間用ツース(32a)と株間用ツース(32b)を左右方向のフレーム(14)上に複数配設したことを特徴とする水田除草装置。
- 前記条間用ツース(32a)と株間用ツース(32b)を配設したフレーム(14)を、共通の揺動機構(16)によって揺動すべく設けてなる請求項1に記載の水田除草装置。
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