JP3711533B2 - 合成樹脂製ホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、管端に柔軟質素材製のスリーブを内嵌させてある合成樹脂製ホースに関するものであり、より詳しくは、空調装置のドレン排出口に接続して使用するのに適した合成樹脂製ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の合成樹脂製ホースとしては、可撓性を持たせるために管壁を環状凹凸の蛇腹状構造としたものが一般的に知られている。また、ドレン排出用ホースの場合には、このような管体の外周面に断熱層を形成した二層構造のものが一般的である。また、管体の素材は、ポリ塩化ビニール(PVC)樹脂が一般的である。断熱層は通常発泡樹脂素材で形成されている。この発泡断熱層を形成する一つの手段として、発泡合成樹脂材を所要幅の帯状に裁断してこれを長手方向に沿って筒状に丸めながらその両側縁どうしを突き合わせて熱溶着させるか接着剤によって繋ぎ合わせて断熱被覆層用の筒体を形成し、この筒体に前記の管体を挿入しまたは圧入することによって管体の外周に断熱層を形成することができる。この技術については、本出願人において既に提案済みである。(例えば、特願平10−196394号出願参照)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造とした合成樹脂製ホースは、機器の連結筒への水密的な密着連結を容易にするために、前記のように、管端に、例えばゴムのようなクッション性に優れた柔軟質素材製のスリーブを内嵌させて、このスリーブの弾性締め付け力を利用して機器の連結筒への外嵌連結を容易に水密的に行うようにすることが考えられる。しかしながら、このスリーブの形状を、開口部から管端内への挿入が容易な単純な筒体とすると管体内での位置固定が困難であり、管体内での位置固定を確実にするために大径部分を備えた形状とすると管体内への挿入が困難で手間のかかるものとなる。
【0004】
他方、前記のように、管体をPVC樹脂によって形成した場合は、廃棄処分時に、燃焼させるとダイオキシンのような有害ガスが発生し、埋立て処分した場合であっても長期に亙って有害物質を地中に流出させるという公害上のおそれがあるので、出来る限りPVCの使用を廃し、公害のおそれの少ない樹脂素材を選択使用する必要性が生じている。
【0005】
そこで、本発明の第1の目的は、スリーブの構造を管体内での位置固定が確実にできるものでありながら、同時に、管体内への挿入も簡単に出来、容易迅速にできるものとすることにあり、第2の目的は、公害問題の多いPVC樹脂の使用をできるだけ廃し、これに代わる素材としてポリエチレン(PE)樹脂やポリプロピレン(PP)樹脂のようなポリオレフィン系樹脂素材を用いて形成した管体でありながら、極めて容易に漏水防止を行うことができる合成樹脂製ホースを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
該目的を達成するために講じた本発明の第1の構成を、実施例において使用した符号を用いて説明すると、本発明にいう合成樹脂製ホースの構成は、切欠がない円筒状の胴部30と、該胴部30から外周方向に向かって突出した大径フランジ部33とを備え、かつ、該大径フランジ部33が内周面31側に向って凹入する凹入部34を備えていて、求心方向に押圧圧縮させることによって、小さく変形させることができる柔軟質素材製のスリーブ3が、管本体1の管端部分に内装されている構成としたものである。
【0007】
また、第2の構成は、ポリオレフィン系樹脂製の無継ぎ目の筒状管本体1と、該管本体1の管端に内装される柔軟質素材製のスリーブ3とからなり、管本体1が、一端側に空調機器のドレン排出口の外径よりも大径に形成された筒状部13と前記スリーブ3の大径フランジ部33を受け入れる大径空間16を形成する環状突条部15を備え、前記スリーブ3が、ドレン排出口の外径とほぼ同径の内周面31と、前記管本体1の筒状部13の内径とほぼ同径の外周面32とを備えた切欠がない胴部30と、該胴部30の外周方向に突出し、前記管本体1の大径空間16に内嵌される大径フランジ部33とを備え、かつ、該大径フランジ部33が内周面31側に向って凹入する凹入部34を備えていて、求心方向に押圧圧縮させることによって、小さく変形させることができる構成としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
このような構成とした本発明の実施に当たっては、上記構成におけるスリーブ3を形成する素材としては、前記例示のゴム即ち天然ゴムや合成ゴムのほか、弾性復元力に富んだ軟質の合成樹脂や、ゴムとの合成素材等を使用することができる。また、該スリーブ3における大径フランジ部33に形成した前記凹入部34の形状は、半円弧状のもののほか、U字状やV字状その他適宜の形状として実施することができる。上記の管本体1は、その長手方向の他端側に、前記筒状部13に内嵌する外径をもった接続用筒状部12を備えているものとすることができ、前記筒状部13のみ、または該筒状部13と他端側の接続用筒状部12とを除くほぼ全長に亙って、外周方向に突出する環状突条11…を形成した可撓性管として実施することができる。更に、管本体1を断熱層2によって覆う場合にあっては、発泡合成樹脂シート素材を帯状に裁断して長手方向の側縁部21どうしを繋ぎ合わせて筒状に形成したものとして実施することができる。
【0009】
本発明にいう合成樹脂製ホースの断熱層2を構成する発泡合成樹脂素材としては、水の浸透を防ぎ断熱効果を高め得る素材として独立気泡の発泡体を用いることが望ましい。また、断熱層2の外周面を、合成樹脂膜状の外皮層によって覆ってあるものとして実施することができる。更には、また、この発泡体の表面若しくは発泡体に被せた表皮層の外表面に、ホースの屈曲配管箇所において生じる皺や折曲げ襞が目立たないようにするためのシボ加工や微小な凹凸模様22を施してあるものとして実施することができる。
【0010】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面に基づいて説明する。図面中、図1乃至図7は、本発明に関する第1実施例の合成樹脂製ホースについて示した図であって、図1はホースの一部を縦断除去した部分縦断正面図、図2はホースの一端部分とスリーブとの上半部縦断正面図、図3はスリーブの斜視図、図4はスリーブのフランジ側の側面図、図5及び図6はスリーブの操作を説明するフランジ側の側面図、図7は使用の態様を説明する上半部縦断正面図である。
【0011】
該第1実施例として示した合成樹脂製ホースHは、空調機器用のドレンホースとして使用するのに適したホースの実施例であって、管本体1と、管本体1の外周面を覆う断熱層2と、管本体1の管端に連結されるスリーブ3との3部材からなっている。管本体1は、ポリエチレン樹脂で全体を無継ぎ目の筒状に形成してあり、後述するスリーブ3を取り付けて空調機器のドレン排出口Dに連結するための連結用筒状部13を一端側に備え、他端側に同じく筒状の接続用筒状部12を備えていて、これらの両筒状部12,13間が、外周方向に突出する環状突条11…をほぼ全長に亙って形成してある構造としてあり、全体として可撓性を備えた管本体としてある。また、前記機器への取り付け側の連結用筒状部13は、空調機器のドレン排出口Dの外径よりも大径に形成されていて、その開口端14近くにスリーブのフランジを嵌め込ませる大径空間16を形成するための、外周方向に向かって突出する環状突条部15を形成してある。
【0012】
前記断熱層2は、独立気泡の発泡樹脂シート素材を所要幅に裁断した帯状素材を用いて、その長手方向の側縁部21,21どうしを加熱熔融させて接当させて繋ぎ合わせることによって筒状に形成したものである。この断熱筒は、断熱材のままでもよいが、必要なら断熱筒の外周面を合成樹脂膜状の外皮層で被覆してもよい。
【0013】
図1の上部に示した断熱層2の外周面に形成してある環状溝23は、断熱層2の曲げを容易にするためのものである。このようにして筒状に形成した断熱層2に、その開口端から前記の管本体1を押し込んで、図1に見られるように管本体1の外周を断熱層2で覆った二重筒にしてある。
【0014】
この実施例に示した断熱層2は、図1の上部に示したように、断熱層2の外表面に微細な凹凸模様22を形成してある。この模様22は、断熱筒体を作る帯状とした発泡樹脂素材を、表面に適宜の凹凸模様を形成してある加熱押圧ロール間を通過させることによって模様付けしておくことができる。このように、断熱層2の表面に模様付けをしておくことによって、ホースの梱包状態時や曲げ配管時において、ホースの曲げ縮小側に生じる皺や折曲げ襞が目立たないようにすることができ、ホース全体の美観を保持させることができるようにしてある。
【0015】
前記スリーブ3は、ゴムのような弾性力に富んだ素材やTPE,TPRのような熱可塑性エラストマーなどの非塩素系樹脂素材等によって形成してあり、該スリーブ3の胴部30は、空調機器におけるドレン排出口Dの外径とほぼ同径か少し小径とした内周面31を備え、外周面32は管本体1における連結筒状部13の内周面とほぼ同径に形成してある短筒体であって、一端側に外周方向に向って突出する大径フランジ部33を備えていて、その周方向の一部に図3,4にみられるように、内周面側に向って凹入する半円弧状の凹入部34が、その凹入底部が前記胴部30の外周面32とほぼ一致する深さに形成されている。而して、該スリーブ3は、図1に見られるように、該スリーブ3の胴部33を前記管本体1の筒状部13に、その大径フランジ部33を前記管本体1の環状突条部15によって形成された大径空間16に、それぞれ嵌合させて用いる。
【0016】
而して、該スリーブ3に形成されている大径フランジ部33は、当然のことながら管本体1における大径空間16を形成する環状突条部15の管端側に位置する管本体1の開口端14よりも大径のものであるため、放射方向に幅のある通常のフランジ体では大径空間16内に嵌め込ませることができない。しかしながら、本発明にいう該フランジ部33には、前記のように、その一部に、内周面31側に向って凹入する凹入部34を形成してあるので、図5に示したように、先ずこの凹入部34上を矢印で示した求心方向に押圧し、引き続いて図6に示したように、両側方向からも求心方向に圧縮させることによって、スリーブ3の全体を凹入部34を中心として小さく変形させることができるようにしたものである。このように小変形状態として管本体1に対して、その開口端14から挿入するようにしたものである。
【0017】
該実施例に示したホースHについての概寸を例示すると、前記管本体1の内径は約14mm、環状突条11の最大外径は約21mm、連結筒状部13の長さは約24mm、該筒状部13の内径は19mm、環状突条部15の内径は24mm、スリーブ3の胴部30の長さは28mm、同内径は16mm、外径は18.4mm、大径フランジ部33の外径は23mm厚さは3mm、凹入部34の凹入底は胴部30の外径と一致する深さとして実施した。
【0018】
このような構造とした本発明にいうドレンホースHを、図7に示したように、そのスリーブ3を空調機器における内部機器の壁面Fから突出させてあるドレン排出口Dに対して圧入して外嵌させる。このとき、管本体1は多少の経時劣化を起こしてスリーブ3に対する弾性挟着力が減少しても、その環状突条部15がスリーブ3の大径フランジ部33と嵌合しているので、濫りに抜け外れたりすることがない。
【0019】
図8及び図9は、スリーブ3についてのそれぞれ別実施例について示したものである。図8に示したスリーブ3は、半円弧状の凹入部34を大径フランジ部33における周方向の2箇所に形成してある構造としたもの、図9に示したスリーブ3は、大径フランジ部33に形成してある凹入部34の形状を略コの字形のものと、略U字形またはV字形としたものとを備えている構造としたものである。その他の点については、前記第1実施例の構造に準ずる。
【0020】
図示は省略したが、管本体1の外周面を覆わせる断熱層2は、当該断熱素材の耐候性を強化し経年劣化を防止する目的で、例えば厚さ100μm程度のPE樹脂フィルムを加熱加圧接着させた外皮層を形成してある素材を用いることによって、外皮層を有する断熱層2としてもよい。
【0021】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではなく、例えば空調機器用以外のホースとして実施することができ、外周面に断熱層を備えていないホースとしても実施することができるものであり、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にいう合成樹脂製ホースは、柔軟質素材製のスリーブを切欠がない円筒状の胴部と、該胴部から外周方向に向かって突出した大径フランジ部とを備え、殊に、該大径フランジ部を内周面側に向って凹入する凹入部を備え、求心方向に押圧圧縮させることによって、小さく変形させることができるものとしてあるので、この凹入部を中心として大径フランジ部分を含むスリーブ全体を小さく折り畳み状に変形させ易く、大径フランジ部を備えたものであるにもかかわらず、極めて容易にかつ速やかに管端内に内装させることができるという顕著な効果を有する。
【0023】
また、本発明にいう合成樹脂製ホースは、公害問題をかかえた塩素系樹脂素材の利用を廃し、公害問題のない非塩素系樹脂素材を利用するものであり、その素材として、塩素系樹脂に比して弾性力の点で劣り、ドレン排出口への挟持保持力が弱いポリオレフィン系樹脂素材で管本体を形成し、前記スリーブの大径フランジ部を該管本体における大径空間に嵌合内装させることによって管とスリーブとの相対軸方向移動を阻止させるようにし、このスリーブをドレン排出口等の危機の取り付け部に外嵌連結させることによって、機器の修理や移動のために管を引き抜くことがあっても、再び異常なく差し込み接続させておくことができ、管の再使用が不能となったり他の新品ホースと取り替えなければならないような事態を排することができ、長年に亙って支障なく使用することができるという顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を示した部分縦断正面図。
【図2】図1の要部の上半部縦断正面図。
【図3】スリーブの斜視図。
【図4】スリーブのフランジ側の側面図。
【図5】スリーブの小形変形作用を示すフランジ側の側面図。
【図6】スリーブの小形変形作用を示すフランジ側の側面図。
【図7】使用状態を説明する要部の上半部縦断正面図。
【図8】スリーブ別実施例を示すフランジ側の側面図。
【図9】スリーブの更に別の実施例を示すフランジ側の側面図。
【符号の説明】
1 管本体
11 管本体の環状突条
12 接続用筒状部
13 筒状部
15 環状突条部
16 大径空間
2 断熱層
21 側縁部
3 スリーブ
30 胴部
31 内周面
32 外周面
33 大径フランジ部
34 凹入部
Claims (6)
- 切欠がない円筒状の胴部(30)と、該胴部(30)から外周方向に向かって突出した大径フランジ部(33)とを備え、かつ、該大径フランジ部(33)が内周面(31)側に向って凹入する凹入部(34)を備えていて、求心方向に押圧圧縮させることによって、小さく変形させることができる柔軟質素材製のスリーブ(3)が、管本体(1)の管端部分に内装されている合成樹脂製ホース。
- 管本体(1)が、一端側に前記スリーブ(3)の胴部(30)を内装する筒状部(13)と、スリーブ(3)の大径フランジ部(33)を受け入れる大径空間(16)を形成する環状突条部(15)とを備え、スリーブ(3)における前記胴部(30)の外周面(32)が、管体(1)における前記筒状部(13)の内径とほぼ同径とされ、前記大径フランジ部(33)が、管本体(1)の前記大径空間(16)に内嵌される大きさとされている請求項1に記載の合成樹脂製ホース。
- ポリオレフィン系樹脂製の無継ぎ目の管本体(1)と、該管本体(1)の管端部分に内装される柔軟質素材製のスリーブ(3)とからなり、管本体(1)が、一端側に筒状部(13)と、大径空間(16)を形成する環状突条部(15)とを備え、前記スリーブ(3)が、機器の取り付け口の外径とほぼ同径とした内周面(31)と、管本体(1)における前記筒状部(13)の内径とほぼ同径とした外周面(32)とを備えた切欠がない胴部(30)と、該胴部(30)の外周方向に向かって突出し、管本体(1)における前記大径空間(16)に内嵌される大径フランジ部(33)とを備え、かつ、該大径フランジ部(33)が内周面(31)側に向って凹入する凹入部(34)を備えていて、求心方向に押圧圧縮させることによって、小さく変形させることができる形状とされている合成樹脂製ホース。
- 前記凹入部(34)が、半円弧状のものである請求項1または3に記載の合成樹脂製ホース。
- 前記管本体(1)が、他端側に、前記筒状部(13)に内嵌可能な外径とされた接続用筒状部(12)を備えている請求項1または3に記載の合成樹脂製ホース。
- 前記管本体(1)が、前記筒状部(13)のみ、または該筒状部(13)と他端側の接続用筒状部(12)とを除くほぼ全長に亙って、外周方向に突出する環状突条(11)…を形成した可撓性の管体である請求項1または3に記載の合成樹脂製ホース。
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