JP3711290B2 - ディジタル演算回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、数値演算処理及び信号処理用のディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、またはそれに類する大規模集積回路(LSI)に設けられるディジタル演算回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のディジタル演算回路は、各時刻ごとに以下のような処理を行っていた。
図4は、時刻tから時刻t+2における、符号化率1/2、拘束長K=4、状態数8(=2K−1=23)の畳込み符号器の内部状態の遷移を示すトレリス図である。ここで、S0(t)、…、S7(t)は時刻tにおける状態を示し、P0(t)、…、P7(t)は状態S0(t)、…、S7(t)に対応するパスメトリックを示す。B0(t+1)、…、B7(t+1)は、時刻tから時刻t+1における枝メトリックを示す。ここで、状態S0(t+1)におけるパスメトリックP0(t+1)は、下記の式(1)又は(2)
P0(t+1)=P0(t)+B0(t+1) …(1)
P0(t+1)=P1(t)+B1(t+1) …(2)
を計算して得られた2つのP0(t+1)のうちで、尤度の高いP0(t+1)である。ここで、枝メトリックにはB1(t+1)=−B0(t+1)という関係が成り立つことより、式(2)は
P0(t+1)=P1(t)−B0(t+1) …(2’)
のように表せる。
【0003】
以下、図4を用いて時刻tから時刻t+2における従来のディジタル演算回路の動作を具体的に説明する。初めに、ディジタル演算回路はP0(t)とP1(t)とB0(t+1)とを入力し、式(1)及び(2’)を計算して2つのP0(t+1)を求める。そして、得られた2つのP0(t+1)を比較し、その1ビットの比較結果を用いて2つのP0(t+1)のうちで尤度の高いP0(t+1)の値をパスメトリックとし、図示しないパスメトリック保管用メモリに退避する。また、比較結果も図示しない保管用メモリに退避させる(ステップ(1))。次に、ディジタル演算回路はP0(t)、P1(t)、B0(t+1)の値をそのまま保持し、式(3)及び(4)
P4(t+1)=P0(t)−B0(t+1) …(3)
P4(t+1)=P1(t)−B1(t+1)
=P1(t)+B0(t+1) …(4)
を計算して2つのP4(t+1)を求める。そして、得られた2つのP4(t+1)のうちで尤度の高いP4(t+1)の値をパスメトリックとして求める(ステップ(2))。このように、状態S0(t+1)のパスメトリックを計算した後すぐに状態S4(t+1)のパスメトリックを計算すると、状態S4(t+1)のパスメトリックを計算する時に状態S1(t+1)で用いた同じデータP0(t)、P1(t)、B0(t+1)をもう一度入力する必要がなくなる。同様にして、ステップ(3)(4)→…→(7)(8)を行い、パスメトリックP1(t+1)、P5(t+1)、P3(t+1)、P7(t+1)を求める。そして、時刻t+1のすべての状態におけるパスメトリックを計算した後に、ステップ(9)(10)→…→(15)(16)を行い、時刻t+2におけるパスメトリックを得ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のディジタル演算回路にあっては、状態数が増加するにつれ、状態数の増加と等価な時間だけ次の時刻に対する処理が遅れるという問題点があった。
【0005】
本発明は、状態数が増加しても、状態数の増加と等価な時間分の処理遅延を防ぐディジタル演算回路を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第一の信号と第二の信号を入力して加減算演算を行い、第一の演算結果を出力する第一の加減算手段と、第一の信号と第三の信号を入力して加減算演算を行い、第二の演算結果を出力する第二の加減算手段と、前記第一及び第二の演算結果を入力して尤度を比較し、比較結果を出力する第一の比較手段と、前記比較結果と前記第一及び第二の演算結果とを入力して前記比較結果に応じた前記第一又は第二の演算結果を現時刻の第1のパスメトリックとして出力する第1の選択手段と、前記第1の選択手段から出力された前記第一又は第二の演算結果を入力して記憶する記憶手段と、前記記憶手段から出力された前記第1のパスメトリックと第三の信号とを入力して加減算演算を行い、第三の演算結果を出力する第三の加減算手段と、前記記憶手段から出力された前記第1のパスメトリックと第四の信号とを入力して加減算演算を行い、第四の演算結果を出力する第四の加減算手段と、前記第三及び第四の演算結果を入力して尤度を比較し、比較結果を出力する第二の比較手段と、前記比較結果と前記第三及び第四の演算結果とを入力して前記比較結果に応じた前記第三又は第四の演算結果を次時刻の第2のパスメトリックとして出力する第2の選択手段とにより構成する。
【0007】
【作用】
上記のように構成されたディジタル演算回路においては、第一の加減算手段及び第二の加減算手段で計算された後に選択手段から出力された現時刻でのパスメトリックを記憶手段でいったん記憶させ、記憶手段から出力されたパスメトリックを用いて第三の加減算手段及び第四の加減算手段で次時刻でのパスメトリックを計算する。
【0008】
【実施例】
以下、本発明のディジタル演算回路の第一の実施例を図面を参照して説明する。ここで、図1は、第一の実施例の詳細構成を示すブロック図である。
【0009】
初めに、本発明のディジタル演算回路の構成を説明する。本発明のディジタル演算回路は、第一のデータバス101と、第二のデータバス102と、加減算データ記憶回路103と、第一の加減算回路104と、第二の加減算回路105と、第一の比較回路106と、第一のシフトレジスタ107と、第一の選択回路108と、選択結果格納用記憶回路109と、第三の加減算回路110と、第四の加減算回路111と、第二の比較回路112と、第二のシフトレジスタ113と、第二の選択回路114とにより構成される。
【0010】
第一のデータバス101は加減算データ記憶回路103及び第一の加減算回路104と接続され、加減算データ記憶回路103は第一の加減算回路104及び第二の加減算回路105と接続される。第一の加減算回路104及び第二の加減算回路105は第一の比較回路106及び第一の選択回路108と接続され、第一の比較回路106は第一のシフトレジスタ107及び第一の選択回路108と接続される。第一のシフトレジスタ107はデータバス101に準ずるビット幅を有し、第一のデータバス101と接続され、第一の選択回路108は選択結果格納用記憶回路109と接続される。選択結果格納用記憶回路109は第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111と接続され、第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111は第二の比較回路112及び第二の選択回路114と接続される。第二の比較回路112は第二のシフトレジスタ113及び第二の選択回路114と接続され、第二のシフトレジスタ113はデータバス102に準ずるビット幅を有し、第二の選択回路114とともに第二のデータバス102と接続される。第二のデータバス102は第二の加減算回路105、第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111と接続される。
【0011】
次に、図2を参照して、時刻tから時刻t+2までにおける本発明のディジタル演算回路の動作を説明する。
【0012】
以下、ステップ(1)の動作について説明する。初めに、第一の加減算回路104は第一のデータバス101からパスメトリックP0(t)を入力し、第二の加減算回路105は第二のデータバス102からパスメトリックP1(t)を入力する。加減算データ記憶回路103は第一のデータバス101からブランチメトリックB0(t+1)を入力・記憶し、第一の加減算回路104及び第二の加減算回路105に出力する。そして、第一の加減算回路104は、式P0(t)+B0(t+1)を計算してP0(t+1)を求める。また、第二の加減算回路105は、式P1(t)−B0(t+1)を計算してP0(t+1)を求める。そして、第一の加減算回路104及び第二の加減算回路105は、計算結果P0(t+1)を第一の比較回路106及び第一の選択回路108に出力する。第一の比較回路106は入力した2つのP0(t+1)の尤度を比較し、尤度の高いP0(t+1)をパスメトリックと判断する。ここで、比較回路106は比較結果として『0』または『1』を出力する。ここでは、第一の加減算回路104から入力されたP0(t+1)の尤度が高い場合は『0』を出力し、第二の加減算回路105から入力されたP0(t+1)の尤度が高い場合は『1』を出力する。第一のシフトレジスタ107は、第一の比較回路106から出力される比較結果を蓄え、格納し得るビット数を1単位として第一のデータバス101に出力する。第一の選択回路108は第一の比較回路106から比較結果を入力し、第一の比較回路106において尤度が高いと判断されたP0(t+1)を選択・出力する。選択結果格納用記憶回路109は第一の比較回路106から入力されたP0(t+1)を記憶する。
【0013】
次に、ステップ(2)の動作について説明する。ここで、加減算データ記憶回路103、第一の加減算回路104及び第二の加減算回路105はステップ(1)で入力されたパスメトリック値及びブランチメトリック値をそのまま保持している。そして、第一の加減算回路104は、式P0(t)−B0(t+1)を計算してP4(t+1)を求める。また、第二の加減算回路105は、式P1(t)+B0(t+1)を計算してP4(t+1)を求める。ここで、第一の比較回路106等の動作は、ステップ(1)と同様である。
【0014】
同様にステップ(3)を行い、パスメトリックP1(t+1)を求める。
【0015】
次に、ステップ(4)の動作について説明する。ステップ(1)と同様に、第一の加減算回路104はP2(t)を入力し、第二の加減算回路105はP3(t)を入力し、加減算データ記憶回路103はB1(t+1)を入力・記憶する。そして、第一の加減算回路104は式P2(t)+B1(t+1)を計算し、第二の加減算回路105は式P3(t)−B1(t+1)を計算して、各々P5(t+1)を求める。ここで、第一の比較回路106等の動作は、ステップ(1)と同様である。また、ステップ(4)では、パスメトリックP5(t+1)を求めると同時に、ステップ(1)及び(3)で求められたパスメトリックP0(t+1)及びP1(t+1)を用いてパスメトリックP0(t+2)を求める。
【0016】
以下、パスメトリックP0(t+2)を求める動作を説明する。選択結果格納用記憶回路109は記憶していたパスメトリックP0(t+1)を第三の加減算回路110に出力し、P1(t+1)を第四の加減算回路111に出力する。第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111は、第二のデータバス102からブランチメトリックB0(t+2)を入力する。そして、第三の加減算回路110は式P0(t+1)+B0(t+2)を計算し、第四の加減算回路111は式P1(t+1)−B0(t+2)を計算して、各々P0(t+2)を求め、出力する。そして、第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111は、計算結果P0(t+2)を第二の比較回路112及び第二の選択回路114に出力する。第二の比較回路112は入力した2つのP0(t+2)の尤度を比較し、尤度の高いP0(t+2)をパスメトリックと判断する。ここで、第二の比較回路112は比較結果として『0』または『1』を出力し、ここでは、第三の加減算回路110から入力されたP0(t+2)の尤度が高い場合は『0』を出力し、第四の加減算回路111から入力されたP0(t+2)の尤度が高い場合は『1』を出力する。第二のシフトレジスタ113は、第二の比較回路112から比較結果を入力し、格納し得るビット数を1単位として第二のデータバス102に出力する。第二の選択回路114は第二の比較回路112から比較結果を入力し、第二の比較回路112において尤度が高いと判断されたP0(t+2)を選択して第二のデータバス102に出力する。以上の動作によりパスメトリックP0(t+2)は求められる。
【0017】
以下同様に、ステップ(5)においてパスメトリックP2(t+1)及びP4(t+2)を同時に求め、ステップ(6)においてパスメトリックP6(t+1)及びP2(t+2)を同時に求め、ステップ(7)においてパスメトリックP3(t+1)及びP6(t+2)を同時に求め、ステップ(8)においてパスメトリックP7(t+1)及びP1(t+2)を同時に求める。そして、ステップ(9)においてパスメトリックP5(t+2)を求め、ステップ(10)においてパスメトリックP3(t+2)を求め、ステップ(11)においてパスメトリックP7(t+2)を求める。以上により、時刻tから時刻t+2の各状態におけるパスメトリックが求められる。
【0018】
次に、本発明のディジタル演算回路の第二の実施例を図面を参照して説明する。ここで、図3は第二の実施例の詳細構成を示すブロック図であり、図1と同一、対応部分には、同一符号を付して示している。
【0019】
初めに、本発明のディジタル演算回路の第二の実施例の構成を説明する。本発明のディジタル演算回路は、第一のデータバス101と、第二のデータバス102と、加減算データ記憶回路103と、第一の加減算回路104と、第二の加減算回路105と、第一の比較回路106と、第一のシフトレジスタ107と、第一の選択回路108と、選択結果格納用記憶回路109と、第二の加減算データ記憶回路301と、第三の加減算回路110と、第四の加減算回路111と、第二の比較回路112と、第二のシフトレジスタ113と、第二の選択回路114とにより構成される。
【0020】
第一のデータバス101は加減算データ記憶回路103及び第一の加減算回路104と接続され、加減算データ記憶回路103は第一の加減算回路104及び第二の加減算回路105と接続される。第一の加減算回路104及び第二の加減算回路105は第一の比較回路106及び第一の選択回路108と接続され、第一の比較回路106は第一のシフトレジスタ107及び第一の選択回路108と接続される。第一のシフトレジスタ107は第一のデータバス101と接続され、第一の選択回路108は選択結果格納用記憶回路109と接続される。選択結果格納用記憶回路109は第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111と接続され、第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111は第二の比較回路112及び第二の選択回路114と接続される。第二の比較回路112は第二のシフトレジスタ113及び第二の選択回路114と接続される。第二のシフトレジスタ113は第二のデータバス102に準ずるビット幅を有し、第二の選択回路114とともに第二のデータバス102と接続される。第二のデータバス102は第二の加減算回路105及び第二の加減算データ記憶回路301と接続され、第二の加減算データ記憶回路301は第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111と接続される。
【0021】
次に、時刻tから時刻t+2までにおける本発明のディジタル演算回路の動作を説明する。第二の加減算データ記憶回路301を除いては、第一の実施例と同様な動作である。そのため、第二の加減算データ記憶回路301の動作についてのみ以下に説明する。第二の加減算データ記憶回路301は第二のデータバス102からブランチメトリックを入力して記憶し、記憶したブランチメトリックを第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111に出力する。
【0022】
このように、第二の加減算データ記憶回路301を設けると、第一の実施例とは異なり、第三の加減算回路110及び第四の加減算回路111にブランチメトリックを入力するごとに、図示しないメモリ等からブランチメトリックを読み出す必要がなくなる。そのため、ブランチメトリックを読み出す処理時間が短縮される。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、従来2つの時刻におけるパスメトリックを算出するのに16ステップかかっていたが、11ステップと大幅にステップ数が削減されるため、処理時間が短縮される。なお、この実施例では、状態数8(拘束長K=4)の場合について記載しているため、5ステップ数の削減になっているが、北米規格CDMA方式では状態数256(拘束長K=9)であることより、ステップ数は512ステップから259ステップとなり、約半数に削減できる。
【0024】
また、計算及び選択されたパスメトリックは、メモリに格納され、従来では各時刻毎に状態S0、S1、…の順番に並び替えが行われていたが、本発明によれば、並び替えが2時刻に1回となり、並び替えにかかるステップ数が半減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディジタル演算回路の第一の実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明のディジタル演算回路の動作を示すトレリス図である。
【図3】本発明のディジタル演算回路の第二の実施例を示すブロック図である。
【図4】従来のディジタル演算回路の動作を示すトレリス図である。
【符号の説明】
103、301 加減算データ記憶回路
104、105、110、111 加減算回路
106、112 比較回路
108、114 選択回路
109 選択結果格納用記憶回路

Claims (2)

  1. 第一の信号と第二の信号を入力して加減算演算を行い、第一の演算結果を出力する第一の加減算手段と、
    第一の信号と第三の信号を入力して加減算演算を行い、第二の演算結果を出力する第二の加減算手段と、
    前記第一及び第二の演算結果を入力して尤度を比較し、比較結果を出力する第一の比較手段と、
    前記比較結果と前記第一及び第二の演算結果とを入力して前記比較結果に応じた前記第一又は第二の演算結果を現時刻の第1のパスメトリックとして出力する第1の選択手段と、
    前記第1の選択手段から出力された前記第一又は第二の演算結果を入力して記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段から出力された前記第1のパスメトリックと第三の信号とを入力して加減算演算を行い、第三の演算結果を出力する第三の加減算手段と、
    前記記憶手段から出力された前記第1のパスメトリックと第四の信号とを入力して加減算演算を行い、第四の演算結果を出力する第四の加減算手段と、
    前記第三及び第四の演算結果を入力して尤度を比較し、比較結果を出力する第二の比較手段と、
    前記比較結果と前記第三及び第四の演算結果とを入力して前記比較結果に応じた前記第三又は第四の演算結果を次時刻の第2のパスメトリックとして出力する第2の選択手段とにより構成されることを特徴とするディジタル演算回路。
  2. 前記第一の信号及び第三の信号はパスメトリックを示す信号であり、
    前記第二の信号はブランチメトリックを示す信号であることを特徴とする請求項1に記載のディジタル演算回路。
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