JP3710815B2 - Il−2発現に適したプラスミド - Google Patents
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Description
本発明はIL-2発現、特にヒトIL-2発現に適したプラスミド、及び関連する方法に関する。
発明の背景
免疫系の生物学についての理解の最近の進歩により免疫反応の重要なモジュレーターが同定されている。サイトカインとして知られる物質は、抗腫瘍活性に関連する免疫反応の多くを媒介する。これらのサイトカインのいくつかのものは組換えDNA法により製造され、その抗腫瘍効果について評価されている。臨床試験において、サイトカインの投与により種々の種類の新生物形成を有する患者において目的とする腫瘍反応が得られている。
インターロイキン2(IL−2)は抗腫瘍免疫の生成における重要なサイトカインである。腫瘍抗原に応答して、ヘルパーT-細胞が局所量のIL-2を分泌する。このIL-2は、腫瘍抗原による刺激部位において局所的に作用し、細胞毒性T-細胞(CTL)及びナチュラルキラー細胞(NK)を活性化し、全身的な腫瘍細胞破壊を媒介し得る細胞免疫活性を活性化する。
IL-2の静脈内、リンパ内あるいは病巣内(intralesional)投与により、ある範囲の患者において臨床的に有意な反応が得られる。しかし強い毒性(例えば、低血圧、肺水腫、腎前性高窒素血症、心不整脈及び心筋梗塞)により全身IL-2投与の投与量及び効能が制限される。サイトカインは局所的な細胞相互反応を媒介し、通常はパラ分泌様式で限られた量分泌されることから、全身投与されたこれらの物質の毒性は驚くべきものではない。
IL-2を低い投与量で使用して効果を得る方法が研究されている。1つの方法は、患者の腫瘍細胞を患者から取り出し、レトロウィルスベクターを使用してそれらをIL-2遺伝子でトランスフェクトし、その後それらを患者に注射してもどすことにより患者の腫瘍細胞を改変することからなる養子免疫細胞移入法である。別の方法としてはIL-2を分泌するように改変されたHLA-A2ポジティブ免疫化樹立細胞系(同種適合細胞)を注射する方法がある。
組換体遺伝子をin vivoで定着腫瘍に直接病巣内投与して、それらがその場で増殖する間に遺伝学的に改変し、局所量のIL-2を生産させ分泌させることが求められている。
腫瘍細胞を回収し、in vitroで増殖させ、改変して選択し、その後in vivoで再注射する方法における制限を克服することも求められている。
発明の要旨
本発明によれば、IL-2の真核生物発現に適したプラスミドが提供され、該プラスミドは、CMVの即時型(immediate-early)プロモーター領域から得られた発現促進配列、BGH遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列から得られた発現促進配列、完全なIL-2の生物活性を有するIL-2の真核生物発現をコードし、前記の両方の発現促進配列に機能可能なように結合された配列であって、成熟IL-2及び野生型IL-2リーダーペプチドと比較して真核生物発現を増加させる非IL-2リーダーペプチドをコードする配列である前記IL-2の発現をコードする配列、及び任意に、非哺乳動物複製起点及び選択可能なマーカーを機能可能なようにコードする配列から実質的になる。
前記成熟IL-2は野生型ヒトIL-2に相同なものであってよい。
前記非IL-2リーダーペプチドは、4つのアミノ酸の付加を除いてヒトIL-2リーダーペプチドを構成(constitute)するものであってもよい。
前記非IL-2リーダーペプチドは、5'末端におけるMet-Ala-Leu-Trp-Ile-AspによるMet-Tyrの置換を除いてヒトIL-2リーダーペプチドを構成するものであってもよい。
CMVの即時型プロモーター領域から得られた発現促進配列は、プロモーター配列及びイントロン配列であってもよい。
BGH遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列から得られた発現促進配列は、転写終結及びポリアデニル化シグナル配列であってもよい。
前記プラスミドは、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされたプラスミドの機能的特徴を有していてもよい。
前記プラスミドは配列番号1のヌクレオチド配列を有してもよい。
前記プラスミドは、ヒト腫瘍細胞においてヒトIL-2の生産及び分泌を起こすことができるものであってもよい。
別の態様においては、本発明は、上記プラスミドいずれかのものにより形質転換された宿主細胞を提供する。
また別の態様においては、本発明は、前記プラスミドを含む細菌細胞を増殖させ、細菌細胞からプラスミドを回収するステップを含む上記プラスミドいずれかのものの製造方法を提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、定着した腫瘍細胞にin vivoで組換体遺伝子を直接病巣内投与するのに使用して、それらがその場で増殖する間にIL-2を生産させ分泌させるためのカセット系(cassete system)を提供するものであり、該カセット系はレプリコン中にIL-2をコードし、5'末端におけるMet-Ala-Leu-Trp-Ile-AspによるMet-Tyrの置換を除いてヒトIL-2リーダーペプチドを構成する非IL-2リーダーペプチドをコードする配列を含む転写単位から実質的になり、前記非IL-2リーダーペプチドをコードする配列は前記IL-2をコードする配列に機能可能なように結合されている。
さらにまた別の態様においては、本発明は、対象のタンパク質と非IL-2リーダーペプチドを機能可能なようにコードするDNA配列を含むベクターであって、該非IL-2リーダーペプチドは、5'末端におけるMet-Ala-Leu-Trp-Ile-AspによるMet-Tyrの置換を除いてヒトIL-2リーダーペプチドを構成し、非IL-2リーダーペプチドは哺乳動物細胞において該タンパク質の分泌を増加させることができるものである前記ベクターを提供するものである。
別の態様においては、本発明は、請求項1に記載のプラスミドを医薬上許容されるビヒクルとともに含む医薬組成物を提供する。プラスミドはカチオン性脂質混合物と複合化してもよい。カチオン性脂質混合物はDMRIE-DOPEとすることができる。DMRIE-DOPEは約1:1のモル比を有するものとすることができる。プラスミドと脂質の比は約5:1とすることができる。
本発明はさらに、ヒト組織中でDNA配列を発現するための真核生物発現ベクターも提供するものであり、該ベクターは、CMVプロモーター及びCMVイントロンを含むCMV即時型配列と、5'末端が前記CMV配列の3'末端に結合されており、非IL-2リーダーペプチドをコードする配列であって、該ペプチドが、5'末端におけるMet-Ala-Leu-Trp-Ile-AspによるMet-Tyrの置換を除いてヒトIL-2リーダーペプチドを構成するものである前記配列と、5'末端が前記の非IL-2リーダーペプチドをコードする配列の3'末端に結合されており、発現されるDNA配列を含むカセットと、5'末端が前記カセットの3'末端に結合されており、転写終結及びポリアデニル化シグナルを含むBGH遺伝子配列と、選択可能マーカーとから実質的になり、該ベクターは前核生物中で複製できるものである。
また別の態様においては、本発明は遺伝子治療法を提供するものであり、該方法は上記のプラスミドを直接固体腫瘍に投与し、IL-2の局所的分泌を得ることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1:IL-2プラスミドDNA構築物。
図2:DMRIE-Br及びDOPEの構造。図2A:DMRIE-BRの構造。DMRIE-Br(CAS名: (+/-)-N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド)として合成されるDMRIEは分子量636.89のカチオン性脂質である。図2B:DOPEの構造。DOPE(CAS名:1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)は分子量744.04のカチオン性脂質である。
図3:DMRIE-Br合成。
図4:DNA:脂質の比が5:1のIL-2プラスミドDNAとDMRIE/DOPEまたはBAE/DERIE、及び生理食塩水で処理したB16担癌マウスの腫瘍退縮。
図5:IL-2プラスミドDNAとDMRIE/DOPEまたはBAE-DERIEで処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍注射後21日目の腫瘍退縮。
図6:IL-2プラスミドDNAのみあるいはDMRIE/DOPE、BAE-DERIEと配合したものまたは生理食塩水により処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍注射後21日目の腫瘍退縮。
図7:50μg IL-2プラスミドDNAのみあるいはDMRIE/DOPEまたはBAE-DERIEと配合したものにより処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図8:10μg IL-2プラスミドDNAのみあるいはDMRIE/DOPEまたはBAE-DERIEと配合したものにより処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図9:2μg IL-2プラスミドDNAのみあるいはDMRIE/DOPEまたはBAE-DERIEと配合したもににより処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図10:0.4μg IL-2プラスミドDNAのみあるいはDMRIE/DOPEまたはBAE-DERIEと配合したものにより処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図11:週3回、2回または1回の注射あたり50μgのDNAで、IL-2プラスミドDNAとDMRIE/DOPEにより3週間連続して処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図12:週3回、2回または1回の注射あたり50μgのDNAで、IL-2プラスミドDNAとDMRIE/DOPEにより腫瘍注射後3週間処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図13:週3回、2回または1回の注射あたり10μgのDNAで、IL-2プラスミドDNAとDMRIE/DOPEにより3週間連続して処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図14:週3回、2回または1回の注射あたり10μgのDNAで、IL-2プラスミドDNAとDMRIE/DOPEにより腫瘍注射後3週間処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図15:週3回または1回、50μgまたは10μgで、DMRIE/DOPEと配合したIL-2プラスミドDNAにより3週間連続して処理したB16黒色腫担癌マウスの腫瘍増殖。
図16:DNA及びタンパク質治療の比較。
図17:IL-2プラスミドDNAのみ及びDMRIE/DOPEと配合したもののネズミ腎臓細胞癌の増殖に対する効果。
図18:in vitro培養後のB16腫瘍により分泌されたIL-2。
図19:プラスミドDNAによりトランスフェクトされたマウス黒色腫(B16)細胞におけるヒトIL-2発現。
図20:プラスミドDNAによりトランスフェクトされたRenca細胞におけるヒトIL-2発現。
図21:IL-2バイオアッセイ。in vitroトランスフェクションに使用した脂質は試料番号の後の括弧内に示した。試料:No. 5-6、CMVBGH(ヒトIL-2遺伝子なしの親プラスミド);No. 19-24、IL-2プラスミドDNA;No.21 + Ab,IL-2プラスミドDNA + 中和抗IL−2抗体;hr IL-2、組換体ヒトIL-2。
発明の詳細な説明
本発明の範囲及び概念から逸脱することなく、本明細書に開示された発明に種々の置換及び改変を加え得るとは当業者に直ちに明らかであろう。
ヒト悪性腫瘍の治療のための新規な免疫治療剤が開発された。固体腫瘍あるいはリンパ腫を有する患者の治療において免疫治療剤として使用するための、IL-2発現に適するプラスミドが開発された。このアプローチはin vivoにおいて定着した腫瘍細胞中に組換体遺伝子を直接病巣内投与して遺伝学的にそれらを改変し、その場(in situ)でそれらが増殖する間に局所量のインターロイキン-2(IL-2)を生成させ分泌させることによるものである。
このアプローチは、腫瘍細胞を回収し、in vitroで増殖させ、改変し選択してin vivoで再注射するこれまでの方法とは異なっている。このような後者のアプローチの制限としては、1)各実験個体から細胞系を樹立し、組織拒絶反応を回避する必要があること、2)組織培養で増殖された細胞の発現型を変化させることに関すること、3)異所性の形質転換細胞が外殖(outgrowth)すること、4)時間と労力がかかること等が挙げられる。
腫瘍細胞による局所量のIL-2の病巣内分泌は全身的な毒性反応を減少させ、あるいは除去し、免疫細胞を腫瘍部位に集合させ、特異的腫瘍抗原の免疫的認識を生じ、その後の腫瘍減退及び根絶を生じると考えられる。
本発明の方法においては、遺伝子は固体腫瘍部位に直接移入され、そこで局所細胞が遺伝子を取り込み、発現する。骨格筋や心筋のような一部の部位においては、発現可能なDNAをキャリアを使用することなく注入できる。腫瘍細胞のような一部の組織においては、DNA発現はカチオン性脂質と複合化したDNAを導入することにより容易化される。脂質成分は、そのようなDNA/脂質複合体の通路を与える細胞へのDNAの進入を容易化する。
計画した試験においては、このアプローチはIL-2の発現に適したプラスミドを使用して固体悪性腫瘍あるいはリンパ腫を有するヒト患者に応用される。このプラスミドは固体腫瘍結節に導入される。腫瘍の種類としては全ての固体皮膚癌、悪性黒色腫の転移巣、腎細胞癌、進行結直腸癌の肝臓転移巣、リンパ腫等が含まれる。
本研究においては、IL-2プラスミドを選択された患者の固体悪性腫瘍あるいはリンパ腫に注射し、Il-2遺伝子の発現を確認する。遺伝子投与量応答は特異的な免疫反応と関連してる。その後の段階においては、この手順はその他の抗腫瘍治療により増強されるプロトコルの一部とされる。このような研究により、悪性腫瘍に対する代替的な免疫治療法が提供され、腫瘍細胞における免疫拒絶反応のメカニズムを明らかにすることができる。この方法はその他のヒト疾患の治療にも適合させて応用される。
プロトコルの説明
フェーズI試験は、IL-2遺伝子を固体腫瘍及びリンパ腫に直接送達するための直接遺伝子移入法の安全性の試験と投与量最適化についてのものである。
フェーズIプロトコルにおいては、生成物はカチオン性脂質混合物と配合された、IL-2をコードするプラスミドDNAからなるものとする。カチオン性脂質混合物は脂質、好ましくは正の電荷を持つ脂質及び中性の脂質、例えばDMRIE及びDOPEの混合物から調製される。標的の腫瘍細胞に導入されると、これらの脂質によりプラスミドのトランスフェクションが容易化される。プラスミドが導入されると、組換体遺伝子が発現される。
フェーズI試験は、IL-2発現に適したプラスミドを使用した直接遺伝子移入法の安全性の判定と投与量最適化に関するものである。好ましいプラスミドは環状の二本鎖DNAプラスミドであり、これは簡略化された真核生物発現ベクターである。IL-2の遺伝子は、プラスミドが細胞内に導入されたときにIL-2が発現されるようにプラスミドに挿入される。IL-2の発現を助け、増強するためのその他の遺伝子も含ませることができる。従ってIL-2は、サイトメガロウイルス(CMV)からの5'非翻訳(UT)配列、IL-2コード配列及びウシ成長ホルモン3'UT配列を含む複合体mRNAの発現を容易化するサイトメガロウィルス(CMV)即時型プロモーター/エンハンサー配列の転写制御下に置かれる。プラスミドは転位可能なエレメントTN903から得られた細菌により発現されたカナマイシン耐性(kanamycinr)遺伝子及び細菌の複製起点も含む。真核生物の複製起点は含まず(宿主ゲノムDNAへの組み込みを排除する)、あるいは他のウィルス配列を含まず(感染を排除する)、あるいは公知の発癌性コード配列を含まない(腫瘍形成を排除する)。このプラスミドの図を図1に示す。
好ましいDMRIE/DOPE脂質混合物は2種の脂質成分を含む。DEMRIE-Br(CAS名: (+/-)-N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジメチル-2,3-ビス(テトラデシルオキシ)-1-プロパンアミニウムブロミド)として合成されるDMRIEは636.89の分子量を有するカチオン性脂質である。DEMRIE-Brの構造を図2に示す。
DOPE(CAS名: 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)は744.04の分子量を有する中性脂質である。DOPEの構造を図2に示す。
フェーズI臨床試験は注射用ビヒクル中に、DMRIE/DOPE脂質混合物と配合したプラスミドDNAの漸増する投与量を含む投与量パッケージを必要とする。各投与量パッケージで使用したプラスミドDNA及びDMRIE/DOPEの濃度を下記の表に示す。
フェーズI臨床試験においては、直接の遺伝子移入により固体腫瘍あるいはリンパ腫における免疫治療剤としてのIL-2 DNA/DMRIE/DOPE脂質複合体を試験するものである。
フェーズI試験の目的は、1)固体腫瘍あるいは転移あるいはリンパ腫を有する患者にIL-2遺伝子を導入するように設計されたDNA/脂質混合物を漸増投与量で直接腫瘍内注射した場合の安全性、副作用、毒性及び最大許容投与量(MTD)を転位悪性腫瘍を有する患者において調べること、2)腫瘍細胞におけるIL-2遺伝子のin vivo発現を確認すること、3)PCR分析による腫瘍内遺伝子トランスフェクション及び転写、腫瘍生検の免疫組織化学試験による腫瘍内炎症あるいは免疫反応、基準末梢血単核細胞(PBMC)チミジン取り込みにより測定される全身的免疫活性化、自家腫瘍細胞に対するNK細胞活性及びCTL活性を含む、治療剤の生物学的活性及び薬剤動態を調べること、及び4)注射された腫瘍の大きさ、及び存在し評価し得るその他の腫瘍量の大きさを連続的に調べることにより、試験薬剤に対する臨床的反応を特性評価すること等である。
これはフェーズIオープンラベル試験であり、25人の患者について脂質と配合したIL-2プラスミド複合体を直接腫瘍結節に注射する。調べる腫瘍の種類は固体腫瘍(骨腫瘍を除く)及び悪性黒色腫の転移巣、腎細胞癌、進行結直腸癌の肝臓転移巣、及びリンパ腫である。
適格な患者は、試験化合物の特定の投与量(下記参照)を、特定の間隔で数回、一次腫瘍結節に注射した。5人の患者からなる4つの群についてそれぞれ規定の投与量(10、30、100または300μg)で処置し、5人の患者の一つの群をMTD投与量で再処置するかあるいはMTDに達していない場合は300μgで再処置する。グレード3あるいはそれより高い毒性を示さない最高の投与量をMTDとする。全ての毒性は世界保健機構(WHO)の急性及び亜急性毒性効果の評価についての勧告に従って段階化する。
患者はその過去の治療歴及び患者の状態に基づいて慎重に選択し、従来法による治療が失敗した場合あるいはその治療が適用でない場合、及び下記の加入基準に合致した場合に選択した。1)悪性腫瘍疾患の転移が組織学的に確認された場合、2)患者が明らかに二次元的に測定可能な少なくとも一つの転移病巣を有しており、最大の直径が少なくとも1cmである場合、3)患者がその疾患について以前に標準的な治療を受けており、その治療に対して応答しなくなったことが明らかであるか、その他の治療が大きな効果をもたらさないであろうと判断された場合、4)患者が成人である場合、即ち18歳以上である場合、5)患者が適当な骨髄リザーブ(reserve)を有している場合、即ちWBC>3000/mm3、血小板>100,000/mm3、ヘモグロビン>9.0gm%、適当な腎及び肝機能、即ちクレアチニン≦2.0、ビリルビン<2.0mg/DL、SGOT及びSGPT<正常時の上限の3倍、適当な凝集、即ち正常範囲のPT及びPTT、6)患者が少なくとも70の基準カーノフスキーパーフォーマンスステータス(KPS)スコアを有していること、7)少なくとも16週の推定余命を有していること、8)患者がインフォームドコンセントに署名できること、9)患者がHIV抗体陰性、B型肝炎抗原陰性及びIL-2抗体陰性であること、10)妊娠可能性のある女性の患者は認可された避妊法を使用し、妊娠について陰性であること(男性及び女性の患者の両方とも実験の期間避妊法を使用していること)、及び11)患者は正常な範囲のPHA刺激リンパ球反応を有することにより免疫適格を示すこと。
以下の排除基準に合致するものは除外した:1)B型肝炎抗原陽性、HIV抗体陽性、あるいはIL-2抗体陽性である患者、2)自己免疫疾患の病歴を有する患者、3)肝炎の病歴のある患者(急性あるいは慢性活性)、4)経口抗生物質を必要とする何らかの活性感染を有する患者、5)非制御高血圧あるいはニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)のステージ3あるいは4の疾患を有する患者、6)放射線、化学療法、ステロイド治療を過去3週間以内、あるいはBCNUあるいはマイトマイシンCを投与された場合は6週間以内に受けた患者、7)同時に抗腫瘍薬治療、免疫抑制剤治療、及びその他の実験的治療を受けている患者、8)上記のような免疫適格についての基準を満たさない患者、9)医療治療により制御されていない糖尿病を有する患者、10)非制御脳転移を有する患者、及び11)プロトコルに従うことを困難にする、あるいはインフォームドコンセントを与える能力を損なうような精神疾患が予め診断された患者。
試験薬剤は、注射用ビヒクル中のインターロイキン-2プラスミドDNA及びDMRIE/DOPE脂質混合物を含む単一の滅菌バイアルとして用意する。
DNA濃度を下記の表に示す。
試験薬剤を投与し、毒性を監視する。腫瘍病巣は、接近可能で直接の針による注射により腫瘍内投与できる場合に治療のために選択する。これらの転移病巣は任意の接近可能な部位、例えば皮膚、結節、肺、肝臓、軟組織等に位置する。骨腫瘍は除外する。各腫瘍に注射される試験薬剤物質は以下に概略を示すアルゴリズムに基づくものである。所定投与量(10、30、100あるいは300μg)を溶解し注射用ビヒクルで適当な容量に希釈する。必要な場合は、転移巣の音波ホログラフィーまたはCATスキャン可視化を使用して試験薬剤を注射する。注射の前、針を所定位置に置いた後に、シリンジを軽く吸引して静脈内に注射される物質がないようにする。薬剤の注射の後、針がまだその位置にある間に、0.25-0.50mLの注射用ビヒクルでデッドスペースを洗い流す。
生命徴候は開始時、注射中、注射後少なくとも2時間あるいは患者が安定になるまで、15分毎に測定する。心収縮期血圧が80mmHg未満に低下した場合は、注射を直ちに停止し、血圧が正常に戻るまで患者を注意深く監視し適切に処置する。
患者は、注射後3-4時間、その後一回目及び二回目の注射後24時間及び7日間毒性について注意深く監視する。注射3〜6については、注射1及び2の後の4及び24時間の観察期間に毒性が観察されない限り、注射後3〜4時間、その後注射後7日間、患者を監視する。
それぞれの次の注射の前に、先の注射からの毒性について患者を評価し、グレード3以上の毒性が起こっていないときにのみ次の投与量を注射する。結節の各壁内注射において腫瘍のサイズ測定を行う。注射ができないような点まで腫瘍が収縮した場合は、存在する場合には別の腫瘍結節に次の投与量を注射する。
6回目の注射の後、患者フォローアップとして8週及び16週に腫瘍サイズ測定による評価を行う。16週の後は、最低4か月毎に患者を評価する。
最初の治療期間の最後の注射の後4〜8週において患者が安定な疾患を示したりあるいは部分的な応答を示したりした場合(下記参照)は、最初の治療期間と同一あるいは次のより高い投与量の追加の期間を患者に与えてもよい。しかし患者は導入基準を満たし続けていなければならない。
実験に入る前2週間以内に、及び試験の間に数回、治療事象のスケジュールに従って、全ての患者はその疾患状態を調べるために行う以下の試験を受ける。1)身長、体重、生命徴候、動作状態、及び腫瘍測定(接近可能な場合は物理的観察による腫瘍の段階付け)を含む身体的観察及び医療歴、2)胸部X線、3)EKG、4)CBC、血小板計数、特異形態、PT、PTT、5)血液化学: クレアチニン、BUN、ビリルビン、アルカリホスファターゼ、LDH、SGOT、SGPT、リン、尿酸、カルシウム、総タンパク質、アルブミン、グルコース、6)PHAに対するリンパ球増殖反応、7)アネルギーパネルスキンテスト、8)女性に対する妊娠試験、9)HIV抗体試験、10)肝炎スクリーニング、11)IL-2抗体試験、12)腫瘍生検、13)基準のため及び疾患の状態を評価するためのCT/MRI/超音波(使用し得る場合)、14)特別な試験: プラスミドの存在についてPCRにより分析する血清のための血液を採取する、15)この間の採血はそれぞれの場合において最大60mLに制限される。
副作用を監視し、許容できない毒性(グレードIIIまたはIV)が発生した場合はその患者を試験から除外する。
薬剤分布、半減期、代謝、及び排泄についての古典的な薬理学的試験は、in vivo遺伝子注射及び発現には完全に適当なものではない。しかし、プラスミドの運命、及び遺伝子産物(IL-2)の検出はこの物質の開発に適当である。さらに、免疫活性化が重要である。従って、この試験の有効性の測定の一部として、遺伝子移入及び発現の成功は分子及び免疫学的分析により評価する。以下のパラメーターを測定して腫瘍トランスフェクション及びIL-2の発現を評価する。1)IL-2遺伝子からのDNAの存在は、試験薬剤の注射の後に治療部位の生検により得た細胞のPCR増幅により調べる、2)腫瘍生検試料の免疫組織化学的染色を使用して免疫学的反応及び可溶性IL-2発現を調べる、3)血清IL-2レベルは処置前及び治療の開始後2回測定するが、血清IL-2のレベルは検出されないと予測される、4)末梢血試料のPCR分析を使用して治療開始後のDNAプラスミドの存在を試験し、治療前と比較するが、末梢血試料中に該遺伝子は検出されないと予測される、5)治療前及び治療後の末梢血におけるチミジン取り込みアッセイ及びNK/LAK応答により基準及び処置後のPBMCのIL-2誘導活性を測定することにより細胞免疫反応を評価する、そして6)診断、免疫化学的試験、凍結保存のため、及び処置の前及び後に腫瘍に対する末梢血リンパ球の免疫学的反応を評価するために処置の前に別の部位から腫瘍組織を切除することを試みる。
本試験の有効性の評価の追加的な部分として、臨床的反応を測定する。標準的な発癌性の基準を適用して患者が試験薬剤に応答するかどうかを判断する。全ての腫瘍の測定をセンチメーターで記録し、腫瘍の最も広い部分において最大の直径と垂直方向の直径の測定を行う。以下に記載した腫瘍反応の定義を使用してそのときの全腫瘍サイズを処置前全腫瘍サイズと比較する。
最低4週間について活性腫瘍の全ての臨床的証拠が消失し、患者は癌の全ての徴候がないものであるとき、完全な腫瘍反応があったものとする。
測定可能な病巣の全ての直径の積の合計について50%以上の減少がある場合に部分的な腫瘍応答があるものとする。これらの腫瘍サイズの減少は最低4週間継続しなければならない。いずれかの病巣においてサイズが同時に増加すること、あるいは新たな病巣の出現は起ってはならない。適当な診断試験を使用して、最初の観察から4週間その応答が再現されることを示し、その期間を記録する。
測定可能な病巣の全ての直径の積の合計において50%未満の減少があるか、新たな病巣の出現なしに25%未満の腫瘍体積の増加がある場合に安定な疾患が存在するものとする。
以下の基準の1以上に合致する場合、定義したような腫瘍進行における進行性疾患が存在するものとする。1)新たな病巣の出現、2)測定可能な病巣の全ての直径の積の合計において25%以上の腫瘍サイズの増加、3)治療あるいはその他の医学的状態によるものとすることができず、増加した腫瘍負荷に関連するものと推定される有意な臨床的悪変、及び4)医師により臨床的に有意であるとみなされる腫瘍関連徴候の悪化。
食品医薬品局(FDA)規則21C.F.R.パート50に記載されたインフォームドコンセントの原則に従った。
実験地のInstitutional Review Board (IRB)により臨床プロトコルとインフォームドコンセント記録について承認を得、実験の実施を監視し、それを定期的に検査することについてIRBから同意を得た。
このプロトコルの一次的な目的は、固体腫瘍あるいは転移あるいはリンパ腫を有する患者においてIL-2プラスミドを増加する投与量で直接腫瘍内に注射した場合の安全性、副作用、毒性及び最大許容投与量(MTD)を調べることである。5人の患者からなる5つの群を可能性として4種の投与量レベルで評価する。MTDは、その投与量(MTDに達していないと考えられる)で処置した患者のいずれもがグレード3以上の毒性を生じない最大の投与量と定義される。各投与量における毒性及び副作用を表にする。
この計画は初期フェーズI実験の伝統的な計画に基づくものである。統計学的な観点からはより新しいアプローチの方が好ましい特性を有するが、そのようなアプローチは可能性のある投与量のずっと大きい数(Storer BE. Biometrics 45:925-937, 1989)あるいは投与量と毒性との関係についての前もっての情報(O'Quigley J, Chevret S. Statistics in Medicine 10:1647-1664, 1991; O'Quigley J, Pepe M, Fisher L. Biometrics 46:33-48, 1990.)を必要とするのが典型であることから、それらを本実験に適用することは制限される。従って、伝統的な設計を選択して使用することが好ましい。
化学、製造及び制御
IL-2発現に適するプラスミドは、ヒトIL-2タンパク質の生産をコードする真核生物発現ベクターである。このプラスミドの製造方法は大腸菌を使用して開発された。この方法はスケール変更可能であり、再現性の高い単位操作(醗酵、細胞溶解、沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー、配合及び充填)の組み合わせである。これまでの方法に較べて有利な点は、スケール変更可能であること、改善されたプラスミドの純度、及び例えば毒性溶媒や動物由来の酵素等の望ましくない処理混入物が除去されることである。
プラスミドDNAは好ましくはDMRIE/DOPEのカチオン性脂質と複合化してDNAを分解から保護し、細胞内進入を容易にする。
プラスミドDNAは薬剤物質として同定される。プラスミドDNAは良く特性評価された大腸菌宿主での細菌醗酵により製造される。真核生物細胞中に導入すると、プラスミド中の組換体遺伝子が発現され、生物学的に活性な遺伝子発現産物、インターロイキン-2が生成される。
薬剤生成物を形成するため、プラスミドDNAを脂質DMRIE及びDOPEの組み合わせとともに注射用ビヒクル中で混合する。DMRIE/DOPEの脂質の組み合わせは正味で正の電荷を有し、負の電荷を有するDNA分子と結合できる。得られるプラスミドと脂質の混合物を固体腫瘍中に直接注射する。
プラスミドDNA/脂質複合体薬剤生成物は、単一投与量バイアル中の液体注射剤投与形態で包装され、販売される。
プラスミドDNAは薬剤物質として同定される。この薬剤製品は注射可能ビヒクル中で脂質混合物成分と複合化されたプラスミドの最終配合物であり、バイアル封入注射用投与形態にある。
特徴
当業者であれば、本明細書に記載されたIL-2プラスミドは例示的な好ましい態様を代表するものであり、本発明の範囲を限定するものではないことは容易に理解されるであろう。
目的の内容を実施し、本明細書に挙げられた目的と利点並びに内在するものを達成するようにされた任意の真核生物発現ベクターは本発明の概念の範囲にあるものである。
従って、IL-2プラスミドはその成分から組み立てられ、種々の選択可能遺伝子、起点、プロモーター、イントロン、5'非翻訳(UT)配列、ターミネーター、ポリアデニル化シグナル、3'UT配列、及びリーダーペプチド等を組み合わせて所望のベクターとする。このベクター系は、カセット系のような完全なベクターではないと考えられる。即ち、選択可能遺伝子、起点、プロモーター、イントロン、5'UT配列、ターミネーター、ポリアデニル化シグナル、3'UT配列、及びリーダーペプチド等は記載されたものに置換できる。
さらに、IL-2遺伝子を除去し、所望の別の対象の遺伝子に置換し、真核生物発現ベクターに使用して別のタンパク質を生成することもできる。
プラスミドはそれがどのように合成されたかにより、大腸菌のような細菌細胞、あるいは酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞のような真核生物細胞中で複製できるようにすることができ、従って、適当な複製起点を含むものである。
さらに、選択可能遺伝子を含むことができ、これにより形質転換/トランスフェクトされた宿主細胞を選択することができ、これは例えば抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子である。
任意に、どのように構築されるかにより、例えばpUCをベースとするプラスミド及びpBR322及びその誘導体のようなベクターから得たバックボーンを含むものとすることができる。
あるいは、化学的に合成され、複製起点を含まないものであってもよく、あるいはレプリコンとされてもよい。
真核生物発現を促進するプロモーター及び同様なエレメント、例えばエンハンサー及びイントロン、及び5'UT配列が考えられる。
真核生物発現を容易化するターミネーター、ポリアデニル化シグナル、3'UT配列が想起される。
リーダーペプチド及び融合リーダーが意図される。例えば、IL-2リーダーペプチドを使用することができ、あるいは別のリーダーペプチドあるいは融合リーダーにより置き換えることができる。
例えば、対立遺伝子差異及び種の相違を考慮に入れてIL-2遺伝子の配列が想起される。保存変異体及び機能的フラグメントも意図される。これらは完全なIL-2の生物活性を保有する分子を含む意味である。
簡略化された発現ベクターが好ましいが、その他のものも考えられる。即ち、ベクターはビシストロン性あるいはポリシストロン性のものであってもよい。例えば他の治療上重要な分子をコードする他の対象となる遺伝子を挿入することができる。真核生物発現を容易化するその他のエレメント、例えば翻訳エンハンサーとして機能する米国特許第4,937,190号明細書のEMC CITE配列をベクターに付加することができる。
好ましい態様においては、IL-2プラスミドは4928bpのサイズであり、2500アデニン、2428シトシン、2428グアニン及び2500チミジンの塩基組成を有する。分子量は3.38018×106g.m.u.である。IL-2プラスミドを図1に示し、該プラスミドのコード鎖のヌクレオチド配列は配列番号1として示す。これは公知の配列のクローン化DNAの単離されたセグメントを使用して構築された高コピー数プラスミドであり、これらのセグメントは標準的な分子遺伝学的手法と市販の酵素を使用して1つのプラスミドから別のプラスミドに移されたものである。
バックボーンプラスミドDNAはpUC18から得られたものであり、pUC18は分子生物学の研究所で広く使用されている市販のDNAである。
このプラスミドはヒトIL-2遺伝子を含み、これまでの前臨床実験において生物学的に活性であることが示されたIL-2を発現する。
このプラスミドは2つの有意なオープンリーディングフレームを含み、これは細菌細胞中で発現されるカナマイシン耐性タンパク質と、哺乳動物細胞で発現されるラットインシュリンIIリーダーペプチド/IL-2融合タンパク質のものである。このプラスミドDNA内にはウィルス性あるいは発癌性配列はない。
製造された薬物物質、プラスミドDNAは、共有結合で閉環された環状DNA高分子であり、カナマイシン選択培地中で増殖する細菌細胞中で生合成される。即ち、細菌細胞の増殖は、プラスミドDNA内にコードされたカナマイシン耐性タンパク質の発現に依存するものである。このプラスミドを有する細菌細胞の培養物を調製した後、プラスミドを他の全ての細胞生成物から精製する。従ってプラスミドDNAは無細胞生成物である。
カナマイシン耐性遺伝子に加えて、プラスミドDNAは、ラットインシュリンII遺伝子からの短いDNAセグメントに結合したほぼ完全なIL-2cDNAを含む。得られる配列は、ラットインシュリンIIリーダーペプチドからの最初の6個のアミノ酸とIL-2のアミノ酸3〜153(完全カルボキシ末端)を構成する融合タンパク質をコードするものと考えられる。この融合タンパク質コード配列の真核生物細胞転写は、サイトメガロウィルス(CMV)即時型1プロモーターにより制御され、これは内因性即時型1遺伝子転写開始部位においてmRNA合成を開始し、即時型遺伝子5'非翻訳(UT)領域及びイントロンを含む一次RNA転写物を発現する。このイントロンはその後mRNA分子から切断除去される。IL-2コード配列の3'末端に隣接するのは、ポリアデニル化及び転写終結のシグナル配列とともにBGT3'UT領域のコード領域を含むウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子配列である。
従って、真核細胞限定CMVプロモーターにより転写されたIL-2mRNA分子は、CMV5'UT及びヒトIL-2コード配列に加えて、BHG3'UT配列の大部分及びポリアデニル化テイルを含む。そして細菌細胞中におけるこのプラスミドDNAの複製は細菌複製起点の存在により制御される。
260ナノメーターの光源(1吸収単位=50μgのDNA)を持つ分光光度計を用いた光学濃度吸光度測定により、精製されたDNAの個々の調製物を濃度について特性評価する。プラスミドサイズと共有結合で閉環されたDNA生成物の百分率とを既知の標準に対するアガロースゲル電気泳動の移動度により決定する。
薬剤DNAの選択的制限エンドヌクレアーゼ消化を使用した後、アガロースゲル電気泳動により分離と予想DNAフラグメントのサイズ測定を行い、さらに特性評価する。コード配列の発現の出現は、選択培地中でのプラスミド形質転換細菌細胞の対数増殖(カナマイシン耐性発現)により、そしてin vitroで増殖するこれら細胞のプラスミドトランスフェクションの後、培養された哺乳動物細胞消費培地試料のELISAアッセイにより判断する。
カチオン性脂質DMRIEを電荷中性脂質DOPEと合わせることによりプラスミドDNA/脂質複合体薬剤生成物に使用するDMRIE/DOPE脂質混合物を得る。プラスミドDNAはDMRIE/DOPE脂質の組み合わせと約9:1から1:9、好ましくは5:1の質量比(プラスミドDNA/カチオン性脂質)で混合し、プラスミドDNA/脂質複合体薬剤生成物を形成する。プラスミドDNA:DMRIEの好適な質量比5:1は、計画された最高臨床投与量の0.3mgプラスミドDNA/mLにおける水溶性とin vitroトランススフェクション効率とを同時に最適化することにより選択される。
DMRIEとDOPEは両方とも純粋に化学合成物で、残渣として抗原生成物質を残すような天然ソースから得たものではない。従って、DMRIE及びDOPEが抗原生成物質によって汚染されている可能性は殆どない。
調製
標準的な分子遺伝学的手法により一つのプラスミドから別のプラスミドへ移された、公知配列のクローン化DNAの単離されたセグメント及び市販の酵素(即ち大腸菌DNAポリメラーゼI(Klenowフラグメント)、バクテリオファージT7ポリメラーゼ、バクテリオファージT4リガ―ゼなど)を用いてIL-2プラスミドDNAを構築した。DNA制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより、サブクローン化された生成物の配向及び配列の完全性を試験した。個々のセグメントは、細菌細胞中でプラスミドDNAの高レベル複製をもたらすように機能し、プラスミドを有する細菌細胞に選択可能性マーカータンパク質の発現を与え、哺乳動物細胞に導入されたとき高レベルのIL-2発現をもたらした。IL-2DNAドメインに関する以下の記載においては、CMVプロモーターの5'末端における最初のヌクレオチドをヌクレオチド番号1とした向きとする(図1及び配列番号1を参照)。
プラスミドDNA pUC18バックボーンの複製起点は、天然細菌プラスミド、ColiE1(Bolivar, R et al. [1997] Gene 2, 95-113)から取った。pUC18配列は、プラスミド内の2つの位置に見出される。
最初のものは、細菌lacオペロンの5‘末端及びColiE複製起点を含み、塩基A2798及びG3871の間に位置し、pUC18のEcoRIからBspHIのフラグメントに対応する。
第2のpCU18セグメントは、A4740とT4911との間に位置し、pUC18のNarI/HindIII制限エンドヌクレアーゼ部位に対応する。
これら2つのフラグメントを、細菌トランスポゾンTN903(Oka, A. et al. [1981] J. Mol. Biol. 147, 217-226)から取り出されたカナマイシン耐性遺伝子をコードするDNAを挿入することにより、IL-2プラスミド上で分離する。これは、NarI(Klenow充填)及びAlwNI制限エンドヌクレアーゼ消化により通常pUC18上で見出されるβラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)を含むフラグメントを除去し、TN903遺伝子を含むpET-9a(Novagen, Inc., Madison, Wisconsin)からのEcoRI(Klenow充填)及びAlwNI制限フラグメントをIL-2プラスミドのT3872からG4739に挿入して得られたものである。
従って、カナマイシン遺伝子プロモータを用いて細菌細胞中で30,700MWアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼタンパク質(Berg, D. et al. [1978] In Microbiology 1978 [Schlessinger, D. ed.] pp 13-15, American Society for Microbiology, Washington, D.C.)を発現するようにIL-2プラスミドを設計する。このタンパク質は、IL-2をコードするのと同じDNA鎖上にコードされる。カナマイシン耐性のオープンリーデイングフレームはA3923からT4736までである。
ヒトIL-2タンパク質コード配列の哺乳動物細胞発現は、サイトメガロウィルス(CMV)即時型1(IE1)プロモーター及び即時型遺伝子の5'非翻訳領域の転写制御下にある。この制御配列はIL-2プラスミド上のIL-2をコードする配列の5'に位置し、プラスミドの塩基1〜1619(SspI/SalI)に相当する。これはヒトCMV(Towne株)ゲノムから得た21Kb HindIIIフラグメントから調製されたpRL103aプラスミドクローン(LaFemina, R.及びHayward, G. [1980] In Fields and Jaenish (ed.), Animal Virus Genetics, Academic Press, New York, Vol. 18, pp. 30-55)から最初に得られたものである。
21KbクローンからのDNAを使用し、-671のSspI(CMV IE1遺伝子転写開始部位からの塩基)及び+944bpのPstIフラグメントを用いて、pCMV6発現プラスミドを構築した(Chapman, B. et al. [1991] Nucl. Acids Res. 19, 3979-3986)。5'UT領域内でウィルスPstI部位の3'にSalI部位を含む合成リンカーフラグメントを挿入したpCMV6からSspI/SalI配列を得た。このウィルス転写制御エレメントは、プラスミド塩基1〜1619に非転写IE1プロモーターの671bpと転写IE1 5'UT領域の948bpを含んでいる。948bpセグメントは、833bp IE1遺伝子イントロンを含んでおり、これはIE1プロモータから転写された一次mRNAだけに見出される。
IL-2のコード配列を、ATCC(No.67618)から得たpBC12/HIV/IL2クローンから単離した。翻訳開始コドンの41bp 5'側を切断するNheI(Klenow充填)及び翻訳停止コドンの34bp 3'側を切断するBamHIでのpBC12/HIV/IL2の制限エンドヌクレアーゼ消化により、IL-2コード配列を切り出し、IL-2プラスミド(G1645からG2195)への向きを決定した挿入が可能となった。この配列は、ラットインシュリンII遺伝子から得た、ラットインシュリンの5'UT領域とシグナルペプチドの6つのアミノ酸とをコードする5'セグメント(G1645からC1706)と、シグナルペプチドのArg3で始まるヒトプロIL-2をコードする3'セグメントとを含む(Cullen B. [1988] DNA 7, 645-650)。即ちこの推定プロIL-2は、ヒトIL-2よりも4アミノ酸長いシグナルペプチドを有するが、分泌される成熟IL-2は野生型ヒトIL-2と相同である。
T1620からA1644、G2196からA2249、及びT4912からC4928は、クローニングを容易化するために使用される合成DNAリンカー配列の部分に相当する。
IL-2プラスミドの最後のセグメント、G2250からG2797は、ウシ成長ホルモン遺伝子から取られた転写ターミネーター/ポリアデニル化シグナル配列である。この配列は、市販のベクター、pCMV3(Invitrogen, Inc., SanDiego, California)から得たもので、A2346ATAAAポリアデニル化シグナル配列を含むウシ成長ホルモン遺伝子3'UT領域と、転写終結シグナルを与える遺伝子配列の400塩基以上を含む。
IL-2プラスミドDNAを合成し、標準的な市販の大腸菌宿主株、DH10Bにトランスフェクトした。DH10B遺伝子型は、F-mrcA Δ(mrr-hsdRMS-mcrBC) Φ 80dlacZ Δ M15 Δ lacX74 deoR recA1 endA1 araD139 Δ(ara,leu)7697 galU galK λ-rpsL nupGである。
宿主細胞の特性評価は、栄養要求性突然変異体試験及び抗生物質耐性試験に基づき、商業的サプライヤーGIBCO/BRL/LTI、Bethesda、Marylandの認証による遺伝子型の記録資料による裏付けにより行った。
IL-2プラスミドを標準的な形質転換手順によってDH10B細胞に導入した。形質転換細胞を50μg/mLのカナマイシンを補充したLB-アガロースプレート上で選択した(単一クローンコロニー)。これらの細胞は、前臨床薬剤安全性及び臨床ロットの製造に使用されたマスター細胞バンク(Master Cell Bank, MCB)及び製造者ウォーキング細胞バンク(Manufacturer's Working Cell Bank, MWCB)のソースとした。
MCB宿主細胞を、1.28mg/mLのプラスミドDNAの1μLをTEバッファーで1:100に希釈することにより調製した。製造者のコンピテント宿主細胞を-70℃フリーザーから取り出し、氷上で解凍した。次いで宿主細胞を静かに混合し、100μL容量のアリコートに分割して冷却した1.5mLのマイクロ遠心分離チューブに入れた。100μLのコンピテント宿主細胞に、希釈したプラスミドDNAの0.78mL(即ちDNAの1ng)を静かに攪拌しながら加えた。細胞が入ったマイクロ遠心分離チューブを氷上(0〜4℃)で30分インキュベートし、ついで37℃で45秒間熱ショックを与えた。次いでマイクロ遠心分離チューブを2分間氷に戻した。
環境室温でルリア液体培地(Luria Broth, LB)(900μL)を各チューブに添加した。次いでチューブをINNOVA 4300インキュベーター中で37℃、225 RPMで60分間振盪し、Sorvallマイクロ遠心分離機で12,000gで1分間遠心分離した。上清900μlを除去し、細胞を残りの〜100μlの液体培地に再懸濁した。
LB + 寒天 + カナマイシンのプレート上に、プラスミドで形質転換した細胞を含む25μlインキュベーション容量を広げ、乾燥熱オーブン中で37℃で一晩インキュベートした。
LB + 寒天 + 50mg/Lカナマイシンのプレートで増殖した細胞を観察した。これら形質転換細胞の特性評価には、ミニプレップ分析と制限酵素切断を使用した。
抗生物質カナマイシンを含むルリア液体培地(LB)寒天プレート上に、形質転換大腸菌をストリークし、プラスミド構築によりカナマイシン耐性となったプラスミド含有細胞を選択することによりMCBを製造した。4.0gmのLB寒天粉末を、100mLの蒸留水を含む500mLフラスコに添加し、LB寒天粉末が分散されるまで十分混合することによりLB寒天を調製した。フラスコに栓をし、栓をSterigard紙でカバーした。次いでフラスコを121℃以上で30分オートクレーブ処理した。オートクレーブの後、フラスコを約45℃まで冷却させ、LB寒天に5mgのカナマイシンを添加した。それぞれ約25mLのLB寒天を含む注入プレートを4つ調製し、固化させた。間違いなく別々のコロニーが増殖するようにプラスミド含有細胞を各プレートにストリークした。
その後プレートを37℃で20〜30時間インキュベートした。プレートは2〜6℃で貯蔵するかあるいはすぐに使用した。層流フード内で無菌的手法を用いて3つのコロニー(各々一つの細胞から増殖した)を滅菌ループを使用してプレートから個々に掻き取り、250mL滅菌フラスコ中の滅菌Terrific Broth(TB)培地(完全、カナマイシン含有)の50mLに接種した。フラスコを振盪インキュベーター中で、37℃、300〜400rpmで10〜20時間インキュベートした。
層流フード内で無菌的手法を用いて、各フラスコから1.50mL±0.025mLを取り出し、マイクロ遠心分離チューブに入れた。フラスコは2〜6℃で冷蔵した。試料をSorvallマイクロ遠心分離機で約12,000rpmで2分間遠心分離し、細胞ペレットを得、ミニプレッププラスミドDNA分析を行った。制限消化を行い、プラスミドの実体を確認し、アガロースゲル電気泳動用にプラスミドミニプレップを調製した。アガロースゲルで泳動し、ポラロイド写真を取り、ラベルを付した。ゲル写真から決定した最も高収率の1晩培養物を用いてストック溶液を作った。
4mLの滅菌グリセロールを含む培養チューブに、ミニプレップ分析に基づき選択された4mLの培養物を添加した。これを静かに攪拌して均一に混合した。
培養物−グリセロール混合物を、滅菌されラベルを付された低温保存バイアル40〜80本に0.1mLアリコートとして分配した。バイアルにラベルを付した。バイアルを適当にラベルを付した容器に入れ液体窒素中に貯蔵した。
MCBグリセロースストック1バイアルを取り出し、それをカナマイシン抗生物質含有のLB寒天プレート上にストリークすることによりMWCBをMCBから得た。プレートを37℃で20〜30時間インキュベートした。層流フード中で、滅菌ループを用いて個々のコロニーを採取した。各コロニーを、カナマイシン抗生物質を含むTB倍地(完全)250mLの入った3つの1Lフラスコのそれぞれに接種した。フラスコを振盪器中で37℃、300〜400rpmで10〜15時間インキュベートした。
3つのフラスコのそれぞれから1.5mLの試料を取り出し、ミニプレップ分析用に調製した。ミニプレップ分析の結果に基づき、最も高収量のフラスコを選択してMWCBのグリセロールストック液の調製に用いた。
層流フード中で、4mLの培養物をフラスコから取り出し、それを4mLの滅菌グリセロールの入った培養チューブに添加した。チューブを静かに攪拌し均一に混合させた。培養物/グリセロール混合物を、滅菌されラベルを付された低温貯蔵バイアル30〜60本に0.1mLのアリコートとして分配した。個々のバイアルにラベルを付した。バイアルを-70℃〜-80℃で貯蔵した。
20LのBraun発酵槽内でTB培地(トリプトン、酵母エキス、リン酸バッファー及びグリセロール、抗生物質カナマイシン含有)で、15Lバッチ発酵として発酵工程を行った。次の表は発酵工程を示す。その後に詳細に説明する。
LB/Kan寒天ゲルプレート上に0.1mLのMWCBストックをストリークし、37℃で20〜30時間インキュベートすることにより、接種物原料の調製を行った。2Lの振盪フラスコに24gmの酵母エキスと12gmのトリプチカーゼペプトンを添加することによりTB培地を調製した。次いでフラスコに900mLの蒸留水を加え、十分に混合した。全ての含有物が溶液になったとき、4mLのグリセロールを加え、十分に混合した。この培地を3つの1Lフラスコに180mLずつ分配した。フラスコに栓をし、栓をSterigard紙でカバーした。次いでフラスコを121℃以上で30分オートクレーブ処理した。培地が冷えた後に10mgの滅菌カナマイシンと20mLの滅菌リン酸塩溶液を添加した。リン酸塩溶液は、500mLフラスコ中で100mLの脱イオン水に12.5gmのK2HPO4と2.3gmのKH2PO4を溶解することにより調製した。フラスコに栓をし、栓をSterigard紙でカバーした。次いでフラスコを121℃以上で30分オートクレーブ処理した。カナマイシンとリン酸塩溶液の添加により、TB培地を完成した。接種フラスコを振盪インキュベータキャビネット中で37℃において300〜400rpmで10〜20時間振盪した。
20LのBraun Biostat ED発酵槽を水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、次いでリン酸で洗浄し、さらに脱イオン水で十分に濯いだ後に発酵物を調製した。発酵槽に6Lの脱イオン水を加えた。次いで360gmの酵母エキス粉末と180gmのトリプチカーゼペプトンを添加した。攪拌器を稼動させ、粉末の溶液を促進した。次に60mLのグリセロールと2mLの消泡剤を発酵槽に添加した。発酵槽の壁を脱イオン水で洗浄し、容量を約14Lにした。発酵槽の内容物を、制御ユニットで121℃で少なくとも30分のバッチ制御自動サイクルを使用して滅菌した。
発酵条件は以下の制御ループ、即ちpH、溶解酸素(DO)及び温度を用いてモニターした。温度は30℃±0.5℃に制御した。攪拌速度は600rpmに設定し、空気流量は1v/v/m±0.1v/v/mに制御した。
発酵槽での全ての制御ループが有効で正しく動作しているかを確認した後、発酵物を接種した。発酵槽の頭部プレートの隔壁に、3ftから4ftの3つの3/32IDシリコンチューブを取り付けた製造者の滅菌接種用部品を通した。一つの滅菌チューブは発酵槽に1.5Lのリン酸塩溶液を導入するために使用した。第2の滅菌チューブは発酵槽に接種物を導入するために使用した。第3の滅菌チューブはpHコントロールが必要な場合にとっておいた。全ての溶液を蠕動ポンプを用いて発酵槽内に導入した。滅菌カナマイシン溶液50mg/L、即ち750mg/発酵槽をリン酸塩溶液に添加した。
発酵は、自動制御のもとに上記パラメータで継続した。発酵液体培地の試料を、一定間隔で回収バルブから取り出し、OD600が20以上になったときに発酵を完了した。液体培地を回収バルブから風袋を計った1L遠心分離ボトルに引き入れることにより細胞を発酵槽から回収した。細胞は、Jouan遠心分離器で4600gまで30分間遠心分離することにより濃縮した。上清をデカントし、ボトルの重さを計り細胞収量を決定した。回収試料から1.5mLのアリコートをミニプレップ分析用に取り、制限酵素切断を行い、プラスミドの実体を確認した。
精製工程を次の表に示す。その後に詳細に説明する。
細胞溶解:細胞ペーストを湿潤細菌のグラム当たり7mLの溶液I(61mMのグルコース + 25mMのトリスバッファーpH8.0 + 10mMのEDTA pH8.0、5℃)に、マグネットスターラーにより室温で完全に再懸濁した。この溶液に、湿潤細菌重量当たり14mLの溶液II(0.2N NaOH/1% SDS)を添加し、粘性の溶液となるまで攪拌した。これをさらに攪拌することなく氷上で10分インキュベートした。溶解細胞溶液に対し、湿潤細菌重量当たり10.5mLの冷たい溶液III(3M酢酸カリウムpH5.0、5℃)を添加し、逆転させて激しく振盪し、氷上で10分インキュベートした。
濾過:溶解物を、2層の合成布、例えば平均孔サイズ22〜25μmの合成レーヨン不織布MiraCloth▲R▼(Calibiochem, カタログNo. 475855, LaJolla, California)、を通して注意深く濾過し、大きな粒子の破片を除いた。これをさらに3回、それぞれ16層のMiraCloth合成布を通して繰り返した。0.6容量の冷たいイソプロパノールを、攪拌しながら1度に約200mL添加し、粗DNA濾液を沈殿させて、室温で1時間インキュベートした。粗核酸沈殿物を12000rpm、5℃で30分遠心分離することにより回収した。上清を捨てた後、ペレットから15分排水し、直立させて5分間空気乾燥した。DNAペレットを、TEバッファー(0.01Mのトリス塩基 + 0.001MのEDTA、pH8.0)をもとの湿潤細菌重量当たり約1mL用いて、TE中に再懸濁した。濾過段階は細胞壁破片と染色体DNAを除去するのに役立つ。この段階を省略すると、最終生成物に染色体汚染がもたらされると考えられる。
RNA及びリポポリサッカライド除去:上述したようにペレットをTE中に再懸濁した後、もとの湿潤細菌重量当たり0.29グラムの酢酸アンモニウムを最終濃度が2.5Mとなるように、DNA/TE再懸濁液に溶解させた。必要な場合には、さらにTEを添加して容量を調整した。これを氷上で15分インキュベートし、さらに工程を続けるか、4℃に1晩置いた。
これを10,000rpmで20分遠心分離し、ペレットを捨てて、上清を0.8μ膜で濾過した。濾過した上清に、同量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を添加した。これをマグネットスターラーを使用して室温で30分攪拌した。水相と有機相との分離を容易にするために、これを5000rpmで短時間遠心分離した。上層の水相を回収し、これに-20℃エタノール2容量を添加することによってDNAを沈殿させ、混合し、氷上で最低1時間インキュベートした。
これを12,000rpmで30分遠心分離した。上清を捨て、残ったペレットから15分間排水させ、直立させて5分間空気乾燥した。TEバッファーをもとの湿潤細菌重量当たり約0.5mL用いて、ペレットをTE中に再懸濁させた。
pH5.2の酢酸ナトリウムを最終濃度が1.1Mとなるように再懸濁ペレットに添加した。これに1.6M NaCl中の30%のPEG-8000を、最終濃度が4% PEG8000(w/v)となるように添加した。これを4℃で最低8時間インキュベートした。
酢酸アンモニウムを添加する段階は、一部のRNAとリポポリサッカライドの殆どを除去するのに役立つ。4%のPEG-8000は、一部の高分子量DNA汚染物と一部のRNAを沈殿させる。
最終的DNA沈殿:4% PEG-8000処理に続いて、その物質を12,000rpmで30分遠心分離した。上清をデカントして、さらに1.6M NaCl中の30%のPEG-8000を最終濃度が10% PEG8000(w/v)となるように添加した。これを4℃で最低8時間インキュベートした。これを上述したように遠心分離した。ペレットから排水し、次いで少量(<10mL)のTEに再懸濁した。3Mの酢酸ナトリウムpH5.2の1/10容量を添加し、次いで2容量のエタノールを添加した。これを-20℃で最低1時間インキュベートした。これを4〜10℃、12,000rpmで30分遠心分離し、少量のカラムバッファー(TE + 150mN NaCl、pH8.0)に再懸濁した。
ゲル濾過クロマトグラフィー:Pharmacia S-1000 (Pharmacia, Piscataway, New Jersey)サイズ排除カラムを、最終床高さが80〜85cm(2.6×80cm)で2つのPhamacia XK26/100カラムに注ぎ、それぞれ全カラム容量を約900mLにした。カラムを個々に一方向に加圧充填し、平衡と操作に際しては、逆さにして直列に連結した。カラムをTE + 150mN NaCl, pH8.0で平衡化させ、流速0.75mL/minあるいは17cm/hrで流した。
部分的に精製されたプラスミドDNAを上記バッファー4〜9mLに溶解し、シリンジフィルターで濾過し、カラムに入れた。カラム操作と分画はPharmacia FPLC (Pharmacia, Piscataway, New Jersey)で自動的に行った。
フラクション(カラム容量の約0.5〜1%)を生成物溶出ゾーン全体から回収し、0.8%アガロースゲルで分析した。生成物溶出の正確な範囲はゲル分析から決定した。適当なフラクションをプールし、2容量の冷エタノールで沈殿させた。
エタノールで沈殿したバルクDNAを、4〜10℃、12,000rpmで30分遠心分離した。層流フード中で15〜45分間ペレットから排水させ、逆にして5〜15分間空気乾燥した。
ペレットを注射ビヒクル中に再懸濁させた。ペレットを再懸濁させた後、試料をQCに付し、濃度を決定した。この情報は、最終的に0.25mg・mL± 0.5mg/mLへの希釈を行うために必要である。次いでこの濃度のDNAを0.2μmのシリンジフィルターを通して濾過し、発熱物質非含有容器に入れた。無菌性試験とQC用に試料を取り、6.0mL(1.5mg)ユニットにアリコート化し、閉じた箱内で-70℃で冷凍貯蔵した。アリコートは、生成物の種類、ロットNo.、パートNo.、容量、濃度及び日付を記載したラベルを付した。この情報は、後の最終的配合、滅菌充填及び仕上げのために、在庫管理に入力した。
クロマトグラフィーの後、カラムとFPLCを少なくとも1カラム容量の0.1M NaOHで洗浄した。
工程中の品質管理試験
工程中の品質管理を、次の製造段階において行った。これらの工程中品質管理段階の詳細は以下に説明する。
細胞ペーストを、品質についてミニプレップ分析によって試験し、プラスミドの実体を確認するために制限酵素切断を行った。マスター細胞バンク、製造者ワーキング細胞バンク及び製造された細胞ペーストバッチからの培養細胞を定性的に分析し、IL-2プラスミドの存在を同定した。
培養物のアリコートを、Promega WizardTMキットプロトコル(Promega, Madison, Wisconsin)に基づき、ミニプレップ系を使用して精製した。1Kbの直鎖状DNA標準ラダーに対して泳動させた3セットの制限酵素切断物と、スーパーコイルDNAラダーに対して泳動させた未切断プラスミドとを使用し、ミニプレップで精製されたプラスミドをアガロースゲル電気泳動で分析した。
ミニプレップのために、無菌的に得られた細胞を遠心分離によってペレット化した。ペレット化細胞をキットに含まれる溶解用溶液で溶解し、細胞破片を遠心分離によって分離した。上清を取り、キットDNA精製樹脂と混合した。上清−樹脂混合物をキットのミニカラムに入れた。樹脂を遠心分離回転によりキットカラム洗浄溶液で洗浄し、洗浄溶液をカラムに通した。
次いでDNAをTEバッファーで樹脂から溶出し、アガロースゲル電気泳動により分析した。未切断プラスミドのサイズは約4900bpであった。制限酵素フラグメントのサイズは、制限酵素によるIL-2プラスミドの切断物について予想されたフラグメントとほぼ同じであった。
どのフラクションがスーパーコイルDNAを含むか及びどのフラクションが不純物染色体DNA及びRNAを含むかを決定するために、ゲル濾過クロマトグラフィーにより得られたフラクションについてアガロースゲル電気泳動を行った。スーパーコイルDNAを含むフラクションをプールし、エタノールで沈殿させ、標準バルクプラスミドDNAの調製に必要となるまで、-20℃で貯蔵した。
標準バルクプラスミドDNA品質管理
標準バルクプラスミドDNAを、記載された手順及び仕様に従って試験した。
分析方法
UV吸収(SOP番号QC-0027):二本鎖DNAは、波長260nmでUV光を最大量吸収する。二本鎖DNAの吸光係数を求めることにより、濃度と吸光度との関係は、1吸光度単位が50μg/mLのプラスミドに等しいことが見いだされた。これから希釈プラスミド試料の濃度を計算した。
アガロースゲル電気泳動(SOP番号QC-0004):アガロースゲル電気泳動は、核酸の分子量と立体構造に基づき核酸を分析的に分離するための手法である。大きな分子は、荷電された場では異なる挙動を示し、その電荷密度に基づき分離することができる。このような電場を移動する能力の変化即ち電気泳動の移動度は、クロマトグラフィー法と類似したバンド化効果を作りだし、これにより種の広い範囲の形態を分離し、検査した。これらには、染色体DNA、種々の形態のプラスミドDNA及びRNAが含まれていた。分子量標準カーブあるいはラダーを泳動することによって、サイズの決定も行った。
制限酵素消化(SOP番号QC-0004):大きなDNA分子は、その鎖の長さ方向に、特異的なヌクレアーゼが反応し鎖を切断するような多くの部位を有している。一般に、かなり特異的で、限られた個数しかないようないくつかの部位がある。細菌はこの事実を利用して特定の配列部位、即ち「制限部位」を酵素的に探し出し、非ゲノムDNAを破壊する。この機能を果たすヌクレアーゼの一つの型は、制限エンドヌクレアーゼである。制限エンドヌクレアーゼは、非常にまれにしかない高度に特異的な部位でDNA配列を切断する。標準に対し、酵素的に処理、即ち「消化」された試料をアガロースゲルで調べることにより、フラグメントのサイズを確認し、フラグメント化パターンに基づき積極的同定を行うことができる。制限酵素のいくつかの組み合わせを調査し、アガロースゲル電気泳動によるIL-2プラスミド同定には、XhoI、EcoRI、NcoIが適当であると決定した。
サザンスロットブロット分析(SOP番号QC-0032):サザンスロットブロット分析は、サザンブロット分析を修正したもので、公知の核酸配列をハイブリダイゼーションにより検出するための方法である。このアッセイは、精製プラスミドDNA試料中の宿主ゲノムDNAの存在を決定するために開発された。プラスミドDNA試料を変成し、スロットブロット装置内にサンドイッチされた正荷電膜上に固定した。試料をスロット内に濃縮した。ハイブリダイゼーションのために標識宿主DNAプローブを使用した。ジゴキシゲニン標識したデオキシウリジン三リン酸(DIG-dUTP)をランダムプライム導入することにより直鎖化した宿主DNAを標識した。ジゴキシゲニンに対する酵素結合抗体(アルカリフォスフェート結合抗ジゴキシゲニン)を用いて、DNAをターゲットとするプローブのハイブリダイゼーションの検出を行い、基質X-ホスファターゼ(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスファターゼ)及びNBT(ニトロブルーテトラゾリウム塩)を用いて視覚化した。ゲノムDNA標準カーブについて行うことにより、ターゲットであるゲノムDNA配列を、ゲノムDNAの存在について定量的に分析した。
タンパク質スロットブロットアッセイ(SOP番号QC-0003):タンパク質を含むプラスミド試料を疎水性の多孔質PVDF膜に固定し、10%酢酸で固定した。次いでこの膜を、タンパク質を選択的に染色するが核酸を染色しないクーマシーブリリアントブルーで染色した。
LALゲルクロットアッセイ(SOP番QC-0002):リムルスアメーボサイト溶解物(Limulus Amebocyte Lysate, LAL)分析法は、米国薬局方(USP)に記載された方法に基づいた。
無菌性(SOP番号QC-0058):無菌性は、米国薬局方(USP)の試験培地への直接移入法に従って得た。試料1mLを、最小15mLの滅菌液体チオグリコレート培地を含む容器に無菌的に移動し、過剰に空気にさらさないように注意して混合し、次いで30〜35℃で14日間インキュベートした。
配合
薬剤生成物は、注射用ビヒクル中のDMRIE/DOPE脂質混合物と混合されたIL-2プラスミドDNAからなる脂質/DNA複合体である。プラスミドDNA/脂質複合体は、注射用の個々のバイアルとしての最終投与形態で臨床現場に供給される。
4種のDNA臨床投与量(10μg、30μg、100μg及び300μg)に対応する4種の配合物を調製した。
配合物の詳細を次の表に記載する。成分は各投与量について注射ビヒクル1.2mLに配合した。
注射ビヒクル中に、0.01mg DNA/mL、0.03mg DNA/mL、0.10mg DNA/mL、または0.30mg DNA/mLでそれぞれ配合した1.2mLのIL-2プラスミドDNA/脂質複合体を、2mLタイプIの透明ガラスバイアルに無菌的に充填し、13mmのテフロンコートされた灰色のブチルゴム栓とアルミシールで包装した。4種の異なるDNA濃度についての配合の詳細は以下の通りである。
標準バルクプラスミドDNA
精製IL-2プラスミドDNAの濃度を滅菌注射用ビヒクルで0.20mg/mLあるいは0.60mg/mLに調整することによって標準バルクプラスミドDNAを調製した。次いで標準バルクを滅菌層フード内で0.2mm膜を通して滅菌濾過し、配合物に入れるまで凍結保存した。
DRMIE-Br
DRMIE-Br脂質を図3に示すように調製した。その段階的合成を次の表に示す。
DMRIE-Brバルク品質管理
DMRIE-Brバルクを、記載した手順及び仕様に従って試験した。
分析方法
外観(SOP番号QC-0040):原料物質の視覚検査を透明試験管で行い、色、透明性、グロス粘度、結晶性等を記録した。さらにロットのバルクを汚染物がないか肉眼によりスクリーニングした。
赤外分光分析(SOP番号QC-0041):具体的物質に応じて、薄膜、クロロホルム溶液、KBr「ペレット」、あるいはNujol混合物として試料を調製した。吸光度を波長の関数として記録することによって得られたスペクトルを記録し、特徴的な官能基パターンをもとに分析し及び/または同様に得られた標準物質スペクトルと比較した。
薄膜クロマトグラフィー(TLC)(SOP番号QC-0011):官能基特異性試薬の適用、短波長UV光下の可視化、及び「炭化」をともなう10%の硫酸スプレーを利用した。Rf(担体液体2:1エーテル/ヘキサンの上昇に対する化合物移動の相対速度)は系に特徴的であった。
元素分析(SOP番号QC-0069):物質中の元素の重量%は、分子式(水和の水を含む)及び元素重量の関数である。即ちこれらは標準的な化学的既定事項をもとに厳密に数学的に決定されるので、これらの%値は不変であり100%純粋物質に予想されるものに対する相対的比率を表す。個々の元素の量はいくつかの方法で決定した。炭素、水素及び窒素については、秤量された試料を酸素中で燃焼させ、CO2、H2O及びNO2の量を測定した。ハロゲン化合物とリン酸塩については他の化学的分析方法を用いた。酸素は明確には測定できないが、他の元素の合計と100との差から計算した。
カチオン性脂質薬剤生成物のトランスフェクション効率のin vitroアッセイ(SOP番号QC-0033):CV1またはCOS.7細胞を、96ウェル平底プレート中に、ウェル当たり20,000細胞で播種し、37℃において5%〜10%CO2で一晩インキュベートした。細胞はトランスフェクションまでに約80〜90%の集密状態とした。
試料ロットに平行して、DMRIE/DOPEの参照ロットをアッセイした。カチオン性脂質生成物を0.672mMまで水和あるいは希釈した。OPTI-MEMを使用し、新しい96ウェルの丸底プレート中で8つのプレートの列により水和脂質の連続2倍希釈を行った。
OPTI-MEMで0.08mg DNA/mLまで希釈することにより、pRSVlacZ DNAを調製した。新しい96ウェルプレートの8列までOPTI-MEMでの2倍希釈物を調製した。
DNA希釈プレートの各ウェルから60μlを対応する脂質プレートのウェルに移すことによりDNAを脂質と複合化させた。プレートを静かにたたくことにより溶液を混合し、複合化の後15〜60分の間にトランスフェクションに用いた。
ウェル当たり100μlの脂質/DNA複合体を、播種された細胞プレート全体に加えた(細胞プレートから前の培地を除去した後)。細胞を、37.5℃、5%CO2で4時間インキュベートした。トランスフェクション後4時間で、OPTI-MEM中の30%FCSまたはBCSをウェル当たり100μl添加した。トランスフェクション後24時間で、OPTI-MEM中の10% FCSまたはBCSをウェル当たり100μl添加した。トランスフェクション後、合計48時間インキュベーションを続けた。
細胞を回収し、溶解バッファー(250mM トリス、pH8.0中トライトン-X100)で溶解し、CPRG発色基質反応及びβガラクトシダーゼ標準曲線を使用して、βガラクトシダーゼ発現についてアッセイした。発色した赤色を、マイクロタイタープレートリーダーにより580nmで測定した。試料の結果を標準曲線で評価し、参照ロットの結果と比較した。
DOPE
DOPE脂質はAvanti Polar Lipids, Inc., Alabaster, Alabamaにより合成されたものとした。
DMRIE/DOPE脂質混合物の調製
DMRIE-Br及びDOPEを、滅菌ガラス容器内のクロロホルム中で混合した。有機溶媒を減圧下で蒸発により除去し、脂質膜を真空中に一晩保持した。脂質混合物を注射用滅菌水で水和した。バルク水性脂質混合物を滅菌し、IL-2プラスミドDNAと混合するまで冷蔵保存した。
DMRIE/DOPE混合物の調製を次の表に示す。
配合/充填
上述のように調製した滅菌水和DMRIE/DOPE脂質混合物を配合から得た。標準バルクプラスミドDNAを注射ビヒクル中での生成から冷凍状態で得、室温で解凍し、0.2mm滅菌膜を通して滅菌濾過した。プラスミドDNA溶液は、DMRIE/DOPE溶液と混合するまで室温で貯蔵した。DMRIE/DOPE溶液及びプラスミドDNA溶液を混合した。DNA/脂質複合体混合物を直ちに2mLタイプ1の滅菌ガラスバイアルに無菌的に充填し、滅菌した13mmテフロン表面灰色ブチルゴム栓でシールした。シールを確実にするためにアルミニウムクリップを用いた。バイアルにラベルを付し、QCリリースまでの間、-20℃で隔離して置いた。配合/充填工程の概略を次の表に示す。
充填物リリース
プラスミドDNA、DMRIE/DOPE脂質複合体の最終的に充填されたバイアルを記載した手順及び仕様により試験した。
分析方法
分光光度測定(SOP番号QC-0027):分光光度測定を医薬物質について行った。
アガロースゲル電気泳動(SOP番号QC-0004):アガロースゲル電気泳動を医薬物質について行った。
残留エタノール(SOP番号QC-0059):残留エタノールをガスクロマトグラフィー法で分析した。
ウサギ発熱物質(SOP番号QC-0060):ウサギ発熱物質は、試験溶液をウサギに静脈注射することにより、米国薬局方(USP)発熱物質試験により評価した。プラスミドDNAを発熱物質非含有を滅菌ビヒクルで5μg/10mlに無菌的に希釈し、3羽のタンパク質ナイーブウサギにそれぞれ10ml/kg体重を注射した。ウサギの体温を注射前30分以内(「対照体温」)、及び注射の1、1.5、2、2.5及び3時間後に記録した。体温がそれぞれの対照体温より0.6℃以上上昇したウサギがいなかった場合及び3羽の個体の最大体温上昇の合計が1.4℃を超えなかった場合に、生成物が発熱物質不存在の要件を満たすものとした。
IL-2発現のコード能力のためのin vitroトランスフェクション(SOP番号QC-0061): IL-2プラスミドDNAの能力を、トランスフェクトされたB16細胞におけるIL-2発現によって判定した。IL-2プラスミドDNAの機能性参照(working reference)を正の対照として用い、試験試料の相対的能力を測定した。試験試料及び参照のIL-2発現の絶対値(μg/ウェル)も報告した。
トランスフェクションの1日前に、6ウェルプレートにウェル当たり200,000〜400,000のB16細胞を播種した。トランスフェクション前に細胞は>75%集密単層とした。IL-2プラスミドDNA/DMRIE/DOPE脂質複合体試料を滅菌ビヒクルで5μg DNA/mlに希釈した。細胞を、ウェル当たり1mLの複合体溶液によりデュプリケートでトランスフェクトした。手順の前を通じて細胞は37℃、5%CO2でインキュベートした。トランスフェクションの3.5〜4.5時間後及び23〜24時間後に、子ウシ胎児血清を補充したOpti-MEMのような低血清培地を細胞に添加した。トランスフェクションの46〜48時間後に、細胞上清を回収した。細胞上清におけるIL-2発現を、酵素増感免疫アッセイで測定した(Medgenix ELISA, Medgenix Dignostics, Fleurus, Belgium)。
無菌性(SOP番号QC-0058):無菌性は、米国薬局方(USP)の試験培地への直接移入法(Procedure for Direct Transfer to Test Media)に従って得た。試料1mLを、滅菌液体チオグリコレート培地を最低15mL入れた容器に無菌的に移し、過剰に通気しないように注意して混合し、その後30〜35℃で14日間インキュベートした。
総合安全性試験(SOP番号QC-0062): 総合安全性試験は米国薬局方(USP)の方法に従って行った。
リリースプロトコル
最終バイアル製品の各ロットのリリースのためにリリースプロトコルを設計した。
安定性データ
安定性データについては、最終バイアル製品の長期間及び短期間安全性を示すものを収集している最中である。
ラベル管理
ラベル管理及び製品ラベル付与手順はしかるべく行った。
薬理学
一連の前臨床試験を行い、IL-2プラミスドDNAの効能と安全性を調べた。
IL-2プラスミドDNAは、ネズミ皮下B16黒色腫及びRencaモデルにおいて抗腫瘍作用があることが見いだされた。
これらの結果は、他の研修者が、IL-2をコードするDNAのB16黒色腫への直接の注射による処置で腫瘍増殖に変化を得ることができなかったことと著しい対照をなしている(Vile及びHart, Annals of Oncology5(Suppl 4):S59(1994))。
本発明の予備的な動物実験では、ヒトIL-2遺伝子を含むプラスミドDNA発現ベクターの直接の腫瘍内注射により腫瘍形成の発生が減少し、腫瘍の増殖が遅延されることが示された。腫瘍部位におけるサイトカインの局所的発現により、効能に必要なサイトカインは全身投与に比べ低レベルとなり、このようなレベルは十分低く患者に毒性が生じるのが防止されるが、免疫系を刺激して抗腫瘍反応を発生させるのには適当なレベルとなる。
ネズミ皮下B16黒色腫及びRencaモデルにおけるIL-2プラスミドDNAの抗腫瘍有効性
目的: この節に記載した実験の目的は、ネズミ腫瘍モデルにおけるヒトIL-2をコードするプラスミドDNA発現ベクターの直接の腫瘍内注射の効果を評価することであった。効能の終点は腫瘍体積の減少で測定した。この節では、次のパラメータを評価した。
i)配合物スクリーニング
ii)投与量反応実験
iii)投与量処方
iv)DNA対IL-2タンパク質治療
v)皮下Rencaモデル(腎細胞癌)における効能
結果の概要:マウスの皮下B16黒色腫腫瘍への、ヒトIL-2遺伝子をコードするプラスミドDNA発現ベクターの直接の腫瘍内注射により有意に腫瘍増殖が遅延し、触知可能な腫瘍の発生が減少した。カチオン性脂質DMRIE/DOPEと配合した本発明のIL-2プラスミドDNAにより最大の抗腫瘍効能が得られた。抗腫瘍反応は投与量に依存することが判り、DNA/脂質質量比5:1でDMRIE-DOPEを配合したプラスミド50μgを1週間毎に腫瘍内注射することが最適な処方であることが判った。DNAとDMRIE/DOPEとの配合物は、50μg未満のDNA投与量で抗腫瘍効果を増強した。
i.配合物スクリーニング
目的:この実験の目的は、最適DNA/脂質比率を決定し、カチオン性脂質DMRIE/DOPとβAE-DMRIEのネズミB16モデルでの効能を比較することであった。カチオン性脂質DMRIE/DOPE及びβ AE-DMRIEを種々のDNA/脂質質量比で比較した。効能端点(end point)は、腫瘍サイズの減少と生存期間の延長で計測した。
方法:B16黒色腫細胞(ATCC No. CRL 6322)を、非必須アミノ酸、グルタミン酸塩、ピルビン酸ナトリウム及び10%の熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)を補充したDMEM中に37℃、5% CO2で維持した。細胞をトリプシン/EDTAで脱離し、洗浄し、10% FBSを含まないDMEM中に濃度1×105細胞/mLで再懸濁することにより、注射用の単一細胞懸濁液を調製した。
プラスミドDNAを通常の生理食塩水で濃度1.0mg/mLに希釈した。バルクDMRIE/DOPE脂質を通常の生理食塩水で濃度0.96mg/mL DMRIE及び1.12mg/mL DOPEに再構成し、通常の生理食塩水で最終濃度0.192mg/mL DMRIE及び0.224 mg/mL DOPEに希釈した。同容量の1.0 mg/mLのプラスミドDNAとDMRIE/DOPEを静かに攪拌混合し、DNA/脂質複合体を生成した。この結果、0.5mg/mLプラスミドDNA、0.096mg/L DMRIE及び0.112mg/mL DOPEを得た。1.0mg/mLのβ AE-DMRIEを同量の1.0mg/mLのプラスミドDNAと混合してβ AE-DMRIE複合体を調製し、最終的なDNA/脂質比を5:1とした。1投与量当たり100μlの投与容量により、DNA投与量50μg及び脂質投与量約10μgを得た。混合後、DNA/脂質複合体を氷上で貯蔵し、但し注射前に室温まで暖め、直ちに使用した。DNA/脂質比2:1、1:5及び1:6についても担癌マウスで試験した。雌C57Bl/6マウス(10匹/群)の胸部に、1.0×105細胞/mLのB16黒色腫細胞を0.2mL、合計2×104細胞を皮下注射した。腫瘍注射の24時間後、マウスに1)DMRIE/DOPEあるいはβ AE-DMRIEを配合したIL-2プラスミドDNA、DNA50μg及び脂質10μg、2)通常の生理食塩水(注射ビヒクル対照)のいずれかの100μlを腫瘍内に注射することにより処置した。その後三週間続けて、1週間につき3回マウスを処置した。腫瘍の大きさを一週間に3回カリパスで測定した。
結果:すべての群において腫瘍接種後11日までに触知可能な腫瘍が現れた。DNA + 脂質処置群では、腫瘍の大きさが対照に比べ有意に減少した(図4)。DNA/脂質比2:1、1:5、1:6では注射部位に脂質沈着が生じ、そのため腫瘍の大きさを正確に測定できなかった。
DMRIE/DOPEあるいはβ AE-DMRIEを5:1のDNA/脂質比でプラスミドに配合した場合、IL-2プラスミド処置マウスにおいて94%の腫瘍体積の減少があった(図5、P<0.01)。腫瘍の減少に加え、対照に比較して処置群では生存が促進され、生理食塩水対照では0%生存であったのに対し、治療終了後2週間で50〜60%生存した(下表)。
結論:DNA/脂質比5:1が、B16モデルにおけるIL-2プラスミドDNAの抗腫瘍効能についての最適比であると決定された。
ii)投与量反応
目的:この実験の目的は、B16黒色腫腫瘍モデルにおける腫瘍減少に対する最適プラスミドDNA投与量及び最適脂質即ちDMRIE/DOPE対β AE-DMRIEを決定することであった。効能端点は3週間の研究の間の腫瘍体積の減少で測定した。
方法:注射用B16細胞の調製及びIL-2プラスミドDNAとカチオン性脂質配合物の調製については、上記iを参照。
雌C57BL/6マウス(10匹/群)の胸部に、1.0×105細胞/mLのB16黒色腫細胞の0.2mL、合計2×104細胞を皮下注射した。腫瘍注射24時間後、マウスに次のいずれかを100μl直接腫瘍内に注射し、処置した。
1.IL-2プラスミド: 注射当たり50μg、10μg、2μg及び0.4μg、
2.IL-2プラスミド: DMRIE/DOPEあるいはβ AE-DMRIEと、DNA/脂質比5:1で配合し、注射当たり50μg、10μg、2μg及び0.4μgのDNAのDNA濃度のもの、または
3.通常の生理食塩水(注射ビヒクル対照)。
三週間続けて1週間につき3回マウスを処置した。
結果:プラスミドDNA単独あるいはカチオン性脂質との配合物について、DNA投与量50μg、10μg、2μg及び0.4μgでの統計的に有意な投与量依存抗腫瘍反応が観察された(図6、下表)。DNA投与量50μgでは、DNA単独とDMRIE/DOPEあるいはβ AE-DMRIEと配合したDNAとで観察された腫瘍の減少に有意差はなかった(図7、下表)。投与量10及び2μgでは、DMRIE/DOPEをDNAに配合したとき、DNA単独あるいはβ AE-DMRIEと配合したDNAに比べ腫瘍減少が有意に増強された(図8、図9、下表)。DNA単独あるいはDMRIE/DOPEと配合したものの最小の投与量0.4μgでも有意な抗腫瘍反応が観察された(図10)。この低投与量では、DMRIE/DOPEとの配合物はプラスミドDNAの抗腫瘍活性を有意には増加させなかった(下表)。β AE-DMRIEは、試験されたどの投与量のプラスミドDNAの抗腫瘍活性も有意には増加させなかった(下表)。
結論:脂質配合あるいは非配合のIL-プラスミドDNAの50、10、2及び0.4μgで処置したマウスでは、通常の生理食塩水と比較して、投与量依存性の統計的に有意な腫瘍の減少が得られた。DNAの最大投与量50μgでは、DNAを脂質とともにあるいはなしに投与したときに腫瘍減少に有意な差異はなかった。DNAの低投与量(10μg及び2μg)では、カチオン性脂質DMRIE/DOPEとともにの場合のみであるが、抗腫瘍反応の脂質依存増強が見られた。β AEは、試験したどのDNA投与量レベルでもプラスミドDNAの抗腫瘍反応を増強しなかった。
iii.投与量処方
目的:この実験の目的は、B16モデルにおいてIL-2プラスミドDNAの最適注射処方を決定することであった。3週間、週3回、2回及び1回の注射頻度を比較した。効能端点は腫瘍体積の減少で測定した。
方法:注射用B16細胞の調製及びIL-2プラスミドDNAの調製については、上記iを参照。
雌C57BL/6マウス(10匹/群)の胸部に、1.0×105細胞/mLのB16黒色腫細胞の0.2mL、合計2×104細胞を皮下注射した。腫瘍注射24時間後、連続して3週間、マウスに次の処方で100μlを直接腫瘍内に注射して処置した。
1.IL-2プラスミド(50μg)±DMRIE/DOPE週3回
2.IL-2プラスミド(50μg)±DMRIE/DOPE週2回
3.IL-2プラスミド(50μg)±DMRIE/DOPE週1回
4.IL-2プラスミド(10μg)±DMRIE/DOPE週3回
5.IL-2プラスミド(10μg)±DMRIE/DOPE週2回
6.IL-2プラスミド(10μg)±DMRIE/DOPE週1回、あるいは
7.生理食塩水 週3回
結果:DNA投与量50μgの腫瘍内注射では、投与頻度に関わりなく、統計的に有意な抗腫瘍反応が見られた(図11)。DNA50μgの週1回の注射でも、週2回及び3回の注射と同じ効果を示した(図12)。DNA投与量10μgでは、週2回または3回の注射は、腫瘍進行を遅らせるのに同等な効果があることがわかった(図13)。DNA10μgの1回の注射は、腫瘍進行の防止に効果がないことがわかった(図14)。DNA50μgの週1回の注射は、DNA10μgの週3回の注射に匹敵した(図15)。
結論: DMRIE/DOPEを配合したIL-2プラスミドDNAの50μgの1回の注射が、B16モデルに最適な投与処方であると決定した。
iv.DNA対タンパク質治療
目的:実験の目的は、B16黒色腫モデルにおけるIL-2プラスミドDNAの抗腫瘍活性を組換体IL-2タンパク質治療と比較することであった。組換体タンパク質に使用した治療処方は、以前文献に最適な抗腫瘍活性を生じるものと示されたプロトコルである。
方法:注射用B16細胞の調製及びIL-2プラスミドDNAの調製については、上記iを参照。
雌C57BL/6マウス(10匹/群)の胸部に、1×105細胞/mLのB16黒色腫細胞の0.2mL、合計2×104細胞を皮下注射した。組換体ヒトIL-2タンパク質はGenzyme, Cambridge, Massachusettsから購入した。腫瘍注射の24時間後、連続して3週間、次の処方で100μlを直接腫瘍内に注射してマウスを処置した。
1.IL-2プラスミドDNA(50μg)±DMRIE/DOPE週3回
2.IL-2プラスミドDNA(50μg)±DMRIE/DOPE週1回
3.rh-IL-2タンパク質20,000ユニット週3回、あるいは
4.生理食塩水 週3回
結果: 週3回または1回のIL-2プラスミドDNA+ DMRIE/DOPEでの処置マウスにおいては、3週間の期間にわたって組換体IL-2タンパク質での処置と比較して腫瘍の進行がより有効に遅延化された(図16)。腫瘍接種後22日の実験経過後において、DNA処置は生理食塩水と比較して統計学的に有意な腫瘍量の減少を示した(p<0.01)。タンパク質処置動物における腫瘍量は、DNA処置あるいは生理食塩水処置動物のいずれとも統計的に有意な差を示さなかった。腫瘍接種後3週間において、1週間あたり3回IL-2プラスミドDNAを投与された動物の60%及び1週間あたり1回のIL-2プラスミドDNAの注射を受けた動物の40%は腫瘍を有しないままであったのに対し、IL-2タンパク質処置及び生理食塩水処置群では腫瘍を有しないマウスはいなかった。
結論: B16モデルにおいては、3週間連続して1週間に3回のIL-2プラスミドDNAの投与は、週に3回の20,000単位の組換体ヒトIL-2タンパク質による処置よりも有効であった。腫瘍の増殖はDNA処置マウスにおいてより緩慢であり、腫瘍接種後3週間においてDNA処置動物の60%は腫瘍を有しないままであったのに対し、タンパク質処置マウスでは腫瘍を有しないマウスはいなかった。
v.Rencaにおける効能
目的: この研究の目的は、別のネズミ腫瘍モデルにおけるIL-2プラスミドDNAの抗腫瘍活性を評価することであった。この研究においては、Balb/cマウスにおいてネズミ腎細胞腺癌(Renca)皮下腫瘍モデルを評価した。
方法: Renca細胞(Dr. Drew Pardoll, Johns Hopkins University)を、B16細胞について使用したものと同じ手順により調製し、IL-2プラスミドDNAを上記iに記載したように調製した。
雌性Balb/cマウス(10匹/群)に全部で2×104細胞の0.2mlのRenca細胞を皮下注射した。腫瘍注射の24時間後、下記の処方に従って100μlを直接腫瘍内に4週間連続して注射してマウスを処置した。
1. IL-2プラスミドDNA(50μg) + DMRIE/DOPE週3回
2. IL-2プラスミドDNA(50μg) + DMRIE/DOPE週1回
3. 生理食塩水週3回
結果: 全ての群において腫瘍接種後15日に触知可能な腫瘍が出現した(図17)。腫瘍体積は、DNAのみ、あるいはDNA+脂質で処置したマウスにおいて注射の回数に係わりなく対照と比較して有意な減少を示した。週3回のDNAのみの注射は、DNA+脂質を週1回または3回投与するのと同様に有効であった。脂質により得られる抗腫瘍反応の増強は、DNAを週1回投与したときに見られた(DNA+脂質とDNAのみとの間でp<0.05)。
結論: Rencaモデルにおいて、IL-2プラスミドDNAの直接の腫瘍内注射の後に腫瘍体積の減少により測定される効能が達成された。脂質によりもたらされる抗腫瘍反応の増強は、IL-2プラスミドDNAを週1回の注射として投与したときに見られた。
マウスにおけるIL-2プラスミドDNAの直接の腫瘍内注射の後の腫瘍により生成されるIL-2タンパク質の検出
目的: IL-2プラスミドDNAの腫瘍内注射を受けた担癌動物の血清にはIL-2タンパク質は検出されなかった。全身レベルのIL-2が検出されなかったことは、該タンパク質のin vivoにおける短い半減期によるものか、腫瘍部位に限定された腫瘍による発現及び腫瘍により分泌されたレベルによるものである可能性がある。そこで、IL-2プラスミドDNAの腫瘍内注射がIL-2タンパク質の発現をもたらし得るかどうかを判定するために、処置した動物から取り出し、in vitroで培養した腫瘍によるIL-2分泌の量を測定する実験を行った。
方法: これらの実験においては、皮下B16黒色腫腫瘍を有するマウスに、IL-2プラスミドDNA、IL-2プラスミドDNA+DMRIE/DOPEまたはDMRIE/DOPEを3日連続して毎日腫瘍内注射した(全部で3回の注射)。最後の注射の24時間後、腫瘍を取り出し、72時間in vitroで培養した。培養上清を回収し、ELISA(Medgenix Diagnostics, Fleurus, Belgium)によりヒトIL-2についてスクリーニングした。
結果: IL-2プラスミドDNAを注射された腫瘍は約20pg/mlのIL-2を分泌した(図18)。IL-2プラスミドDNA+DMRIE/DOPEを注射された腫瘍は平均で100pg/mlのIL-2を分泌した。DMRIE/DOPEを注射された腫瘍は無視できる程度のIL-2しか分泌しなかった。
結論: これらのデータは、IL-2プラスミドDNAの直接の腫瘍内注射はIL-2の分泌を起こすことを示している。
IL-2プラスミドDNAによる細胞のin vitroトランスフェクション
背景: 培養における細胞の増殖により分泌された免疫反応性タンパク質の相対的生産に基づいて、ヒトIL-2タンパク質の高度なレベルの発現を得るようにIL-2プラスミドを設計した。IL-2プラスミドのDNA成分を開発するための研究においていくつかの構築物を製造した。最終的な生成物は、5'非翻訳(UT)領域の短いセグメント及びラットインシュリンII遺伝子のリーダーペプチドの最初の6個のアミノ酸をコードする部分をヒトIL-2コード配列の最初の2つのアミノ酸(Met-Tyr)を除いたものの5'にクローニングすることにより発現されるIL-2融合タンパク質である。この5'配列の変化が発現のレベルに重大な影響を及ぼすことが見いだされた。IL-2の最も良好な生合成は、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーターにより転写制御され、IL-2融合タンパク質コード領域に加えて800+bpイントロンを含むCMV即時型1遺伝子UT領域の大部分、及びウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子から得られた3'UT領域を含む複合体mRNAによるものであることが判った。この真核生物細胞特異的mRNA転写物の終結及びポリアデニル化はウシ成長ホルモン遺伝子から得た制御シグナルによるものであった。
IL-2プラスミドの開発の中間物として述べてきた種々の発現プラスミド構築物を、トランスフェクションアッセイに基づいてin vitro細胞培養を使用して比較試験した。ネズミ腫瘍細胞のin vitroトランスフェクションの後の発現の効率に基づいて、最終的な薬剤の候補としてIL-2プラスミドDNAを選択した。培養で増殖させたB16及びRenca細胞はin vivoで黒色腫腫瘍を発生させるのに使用したものと同じ細胞であり、これらの試験結果は特に関連が強いものとなっている。
目的: IL-2タンパク質をコードするプラスミドDNAの種々の構築物を使用したトランスフェクションの後の培養中の細胞においてヒトIL-2発現の効能を比較する。全てのトランスフェクションは、規定の比率でサイトフェクチンDMRIE/DOPEと複合化したプラスミドDNAを使用して行った。
結果の概要: IL-2プラスミドを使用した培養中のマウスB16細胞の一時的な転写により、前駆体プラスミド構築物に対して、分泌された免疫反応性ヒトIL-2の10〜60倍の増加が見られた。
In vitro系の説明: 一時的なin vitroトランスフェクションアッセイにより、プラスミドDNA構築物及び/またはサイトフェクチン化合物の相対活性を比較する手段が得られる。これは新規なプラスミドの有効性及び/またはプラスミド−サイトフェクチンの組み合わせの効能についての予備的な情報を得るための迅速で安価な方法である。これらのアッセイにおいては、培養中の活発に分裂する細胞を3〜6時間の間DNA−サイトフェクチン複合体にさらす。その後DNAを洗浄除去し、細胞に新しい培地を加え、48時間の間培養により増殖を継続させる。IL-2のような分泌された遺伝子産物について、これらの48時間培養物から使用した培地を回収し、ELISAを使用して免疫反応性IL-2の存在について直接アッセイする。
材料: 図19に示したいくつかのプラスミドを構築することにより、いくつかの真核生物制御エレメントの成分を試験した。最初に、シミアンウィルス40(SV-40)転写ターミネーター/ポリアデニル化シグナル配列を有するラウス肉腫ウィルス3'LTR(RSV)プロモーターを使用してラットインシュリンII/IL-2融合タンパク質配列(RSVIL2SV40)を発現した。CMVIL2SV40と指称する構築物中ではRSVプロモーターをCMVプロモーターに変えてこの転写単位に変更を加えた。さらにCMVIL2BGH(本発明のIL-2プラスミド)においては、SV-40転写ターミネーター/ポリアデニル化シグナル配列をウシ成長ホルモン遺伝子転写ターミネーター/ポリアデニル化シグナル配列に変え、CMVプロモーターと組み合わせ、また、RSVIL2BGHにおいてはRSVプロモーターと組み合わせた。そしてCMVLIL2BGHと指称するプラスミド構築物においては、ラットインシュリンII遺伝子をヒトIL-2 5'UT及びシグナルペプチド配列に置き換えることにより(即ち野性型ヒトIL-2コード配列)、ラットインシュリンII遺伝子の成分がIL-2発現の高いレベルを得るために有効であるかどうかを判定するための構築物を製造した。これらの実験において使用した対照のプラスミドはCMVBGHであり、これはヒトIL-2コード配列を除いてCMVIL2BGHにおいて見られる真核生物制御エレメントを含むものである。これらのプラスミドは細菌細胞から回収し、精製してDMRIE/DOPEと配合した(等モル比)。マウスB16細胞(ATCC No. CRL 6322)を入手し、10%ウシ胎児血清(FCS)を含む市販の(GIBCO)DMEM培地中で増殖させた。IL-2ELISAは、Medgenix Diagnostics, Fleurus, Belgiumから入手した市販の試薬及び手順を使用して行った。
方法: 脂質対DNAモル比を2としてDMRIE/DOPEと配合したスーパーコイルプラスミドDNAの5μgを、マルチウェル培養プレート中で24時間増殖させた約5×105細胞に加えた。DNA試料は3つずつ試験した。37℃で4時間後、細胞を洗浄してDNAを含まないものとし、新しい培地で48時間インキュベートした。48時間使用した培地を回収し、連続希釈した後に、Medgenixから購入したヒトIL-2特異的ELISAを使用して免疫活性について試験した。結果を正規化することにより48時間の期間における106細胞において発現されたIL-2のngを得た。
結果: 本発明のIL-2プラスミドであるCMVIL2BGHの分泌ヒトIL-2タンパク質を発現する能力を、初期発生プラスミドRSVIL2SV40、及びCMVIL2BGHプラスミドの5'及び3'真核生物制御領域改変物と比較した。結果は、CMVIL2BGHに見られるこれらの制御因子の組み合わせにより約10倍、及びRSVIL2SV40に対して約60倍のヒトIL-2発現の増加がもたらされることを示している。発現の最高のレベルは、CMV IEプロモーター及びCMV IE遺伝子の5'UT領域の一部分、ラットインシュリンII遺伝子5'UT及びシグナルペプチドコード配列の一部分、及びウシ成長ホルモン遺伝子転写ターミネーター/ポリアデニル化シグナル配列を組み合わせたものであった。全ての比較は一時的トランスフェクションアッセイにおいてDMRIE/DOPEと配合したDNAを使用して行った。DMRIE/DOPEのみあるいはDMRIE/DOPEと配合したCMVBGHを使用した対照を、このアッセイで使用した活性の基準レベルとした。
Renca細胞のin vitroトランスフェクションを使用して同様な関連するIL-2免疫活性のパターンが見られた(図20)。一般に、Renca細胞はトランスフェクションに基づいた遺伝子活性がより低いレベルであった。この観察は、レポーター遺伝子、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)及びホタルルシフェラーゼ等を対象の治療剤の異種遺伝子とともに使用したいくつかの発現ベクターにより確認された。従って、培養中のトランスフェクトされたRenca細胞により48時間培養物に分泌されたIL-2の絶対レベルがB16細胞で見られたものの約10分の1であったという知見は予測されないものであった。さらに重要なことは、本発明のIL-2プラスミド、CMVIL2BGHの発現の相対レベルは、B16細胞において見られたものと同様のRSVIL2SV40よりも10〜20倍高いものであった。
結論: 上記に示した結果は、CMVプロモーター及びBGH遺伝子ターミネーター/ポリアデニル化シグナル配列により制御されたヒトIL-2 cDNA配列を含む免疫治療剤である上記のIL-2プラスミドは、培養物中で増殖する腫瘍形成性細胞に導入されると、比較的高いレベルの分泌免疫反応性ヒトIL-2タンパク質を発現することを示している。この発現の高いレベルは、Renca及びB16細胞が同様な結果を示したことにおいて細胞特異的なものではなかった。
IL-2プラスミドDNAをin vitroでトランスフェクトしたB16細胞の上清におけるIL-2の生物学的活性
背景: 上記のIL-2プラスミドDNAはヒトIL-2をコードする。標準的CTLL-2細胞系増殖アッセイを使用して、IL-2プラスミドの、細胞をトランスフェクトし生物学的に活性なIL-2を生成する能力を確かめた。
目的: IL-2プラスミドDNAによりin vitroでトランスフェクトされたB16黒色腫細胞の上清が生物学的に活性なIL-2を含むことを示し、市販品の組換体IL-2標準物を使用してIL-2のレベルを定量する。
結果の概要: IL-2プラスミドDNAによりin vitroでトランスフェクトされたB16細胞の上清は高いレベルの生物学的に活性なIL-2を含んでいた。
系の説明: IL-2プラスミドDNAによるB16黒色腫細胞の一時的なin vitroトランスフェクションからの上清をトランスフェクションの24時間後に回収し凍結した。IL-2の生物学的活性をIL-2依存性ネズミ細胞系のCTLL-2細胞を使用して定量した。
材料: IL-2プラスミド(ヒトIL-2配列)及びCMVBGH(ブランクプラスミド対照)を調製した。DMRIE/DOPE及びβ AEサイトフェクチンを調製した。CTLL-2ネズミT細胞系を得た(ATCC No. TIB 214)。組換体ヒトIL-2はR&D Systems(カタログNo. 202-IL-2)から得た。抗ヒトIL-2中和抗体はR&D Systems(カタログNo. AB-202-NA)から得た。
方法: IL-2プラスミドDNAによるB16細胞のin vitroトランスフェクションは上記に述べた。
CTLL-2細胞はRPMI1640 + 10%FCS + 1Uのヒト組換体IL-2中で維持した。細胞には週2回培地補給した。DMRIE/DOPEまたはβ AE/DMRIEと複合化したIL-2プラスミドDNAをin vitroトランスフェクトしたB16黒色腫細胞の上清から得た試験試料、あるいは中和抗IL-2抗体を含むか含まない組換体IL-2標準物の希釈物を96ウェルプレート上に調製した。ウェルあたりRPMI 1640の100μl中の5×104 CTLL-2細胞を加えた。プレートを37℃で24時間インキュベートした。ウェルあたり[3H]TdRの0.5μ Ciを含むRPMI 1640の25μlを加え、4時間後に取り込まれた放射能について細胞を分析した。
結果: IL-2プラスミドDNAでin vitroトランスフェクトされたB16細胞からの上清はCTLL-2細胞の増殖を誘導した(図21)。この活性は抗IL-2抗体により除去された。DMRIE/DOPE及びβ AEサイトフェクチンはいずれもトランスフェクション促進剤として有効であった。脂質の存在下に対照プラスミドでトランスフェクトされた細胞からの上清はCTLL-2細胞の増殖を誘導しなかった。IL-2を含む上清と標準の組換体IL-2の比較により、重量基準単位あたりの両方のIL-2の非常に近い生物活性が示された。
結論: IL-2プラスミドDNAはB16細胞をトランスフェクトし、生物学的に活性なIL-2の分泌を誘導した。
薬剤動態: IL-2プラスミドDNAの血中半減期及び組織分布
マウスにおける静脈内投与の後、DNAの血中半減期及び組織分布を決定するための実験を行う。これらの実験には静脈内投与経路を使用した。この経路が全身毒性を発生させる最も高い可能性を有しているからである。従って、血中での分解の動力学(半減期)及び経時的なDNAの組織分布を測定する。
IL-2プラスミドDNAの直接の肝臓内への注射の効果
正常組織のトランスフェクションの結果を調べるための実験を行う。この実験はIL-2プラスミドDNAの直接の肝臓内注射の効果を評価するように設計する。IL-2プラスミドDNAの肝臓内投与の後の種々の時点でマウスを解剖し、臨床的生化学及び肝臓組織病理について分析する。
方法: IL-2プラスミドDNA+DMRIE/DOPE(5:1のDNA/脂質質量比)の単一バイアル配合物を上記したように調製する。
10匹の雄及び10匹の雌の各群に、3mmの深度制限カラーを付した28ゲージ針を使用してIL-2プラスミドDNAの20μl(1または10μgのプラスミドDNA)を肝臓の左外側葉内に直接肝臓内注射する。非麻酔マウスの注射は最初に中葉のフラップに穿刺することにより左外側葉を標的とする。各時点で10匹の雄及び10匹の雌に注射ビヒクルの20μlを同様に注射し、ビヒクル対照として使用する。別の群の各群の各性10匹に2週毎にIL-2プラスミドDNAの20μl(10μgのプラスミドDNA)あるいは4週毎にIL-2プラスミドDNAの20μl(1または10μgのプラスミドDNA)を連続して肝臓内注射する。
麻酔した動物を心臓穿刺により放血させ、血清及び血液試料を下記表に概略を記載したように得る。血清及び血液試料を分析する。血清は血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、クレアチニン(CREA)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、血液尿素窒素(BUN)、及びアルカリホスファターゼ(ALP)及び総ビリルビンについて分析する。血液はRBC、WBC、血小板、ヘモグロビン、ヘマトクリット及び赤血球指数について分析する。
解剖時に、注射した肝臓をその場で調べ、取り出して病理検査のためにホルマリンに入れる。各動物からの1つの非注射葉も取り出し、病理検査のためにホルマリンに入れる。
安全性
IL-2プラスミドDNAを安全性について、マウスにおける急性実験、及びマウス及びカニクイザルにおける反復投与実験により評価した。薬剤安全性実験はDNAの静脈内投与によりマウスとカニクイザルにおいて行った。この投与経路は全身毒性が生じる可能性が最も高いことから選択した。マウスにおける急性安全性実験においては、IL-2プラスミドDNAはプラスミドDNAの0.1、1.0、10あるいは50μgの単回静脈内投与として投与し、マウスを14日間観察した。マウスにおける反復投与実験においては、動物に4週間連続して週に3回、0.1、1.0または10μgのプラスミドを静脈内注射により投与した(計12回の注射)。各群からのマウスの半分を最終投与から24時間後に解剖し(終末解剖)、残りのマウスを実験に残し、処置をせずさらに28日間、毒性効果の可逆性、残存あるいは遅延発生を調べた。カニクイザルには6週間連続して週1回、IL-2プラスミドDNA(注射あたり300μgのプラスミド)を静脈注射により投与する(全部で6回の注射)。最終の投与の24時間後に動物を解剖し、別の回復群を実験に残し、処置をせずさらに28日間、毒性効果の可逆性、残存あるいは遅延発生を調べる。
下記の表に、前臨床安全性実験で使用する投与量と提案されるヒトの投与量を対比して示す。
薬剤安全性実験において投与する蓄積投与量は提案されるヒト投与量の0.2〜230倍の範囲である。
マウスにおけるIL-2プラスミドDNAの急性静脈内安全性実験
マウスにおけるIL-2プラスミドDNAの静脈内投与の安全性を評価する実験を行った。試験材料のプラスミドDNA/脂質複合体は、注射ビヒクル中に配合したヒトIL-2遺伝子をコードするプラスミドDNAであるIL-2プラスミドDNAを注射ビヒクル中で再構成したDMRIE/DOPEと混合することにより調製した。試験材料は、0.1mL/マウスの一定投与容量で0.1、1.0、10及び50μgのプラスミドDNAのDNA投与量レベルで4群のマウス(5匹/性/群)に単回の静脈内注射として投与した。20匹の別の群のマウス(10匹の雄及び10匹の雌)に0.1mLの注射ビヒクルを投与し、ビヒクル対照とした。IL-2プラスミドDNAの単回の静脈内投与(0.1、1.0、10及び50μgのプラスミドDNA)は14日間の観察期間においてマウスに急性毒性の徴候及び残留毒性の徴候のいずれも示さなかった。
マウスにおけるIL-2プラスミドDNAの14日反復投与実験
4週間連続して週3回マウスにIL-2プラスミドDNAを反復静脈投与した場合の安全性を判定するための実験を行った。さらに、各投与量レベルについて回復群を残し、さらに28日処置をしないで何らかの効果の可逆性、持続あるいは遅延発生を判定した。
試験材料のプラスミドDNA/脂質複合体は、注射ビヒクル中に配合したヒトIL-2遺伝子をコードするプラスミドDNAであるIL-2プラスミドDNAを注射ビヒクル中で再構成したDMRIE/DOPEと混合することにより調製した。試験材料は、0.1mL/マウスの一定投与容量において0.1、1.0、10μgのプラスミドDNAの投与量レベルで4群のマウス(10匹の雄及び10匹の雌/群)に静脈内注射として週3回、4週間投与した。20匹の別の群のマウス(10匹の雄及び10匹の雌)に0.1mLの注射ビヒクルを投与し、ビヒクル対照とする。各群の5匹の雄及び5匹の雌を最後のIL-2プラスミドDNA注射の72時間後に屠殺し(終末解剖)、残りのマウスは回復群として残した(回復解剖)。
この実験からの現在利用可能なデータは、31日及び56日における血液学的分析からのものである。31日(最後の注射後72時間)に分析したマウスからの血液学的結果は下記の表にまとめる。雄10μg投与量群(p < 0.05)及び全ての雌投与群(p < 0.01)においてWBC数の統計的に有意な増加が認められた。このWBC数の増加は主としてこれらの動物のリンパ球群における有意な増加によるものであった。雄0.1μg投与量群(p < 0.05)及び雌10μg投与群(p < 0.01)において単球数の統計学的に有意な増加が認められた。雌0.1及び10μg投与群(p < 0.01)において好塩基球数の統計的に有意な増加も認められた。好中球あるいは好酸球数については影響は見られなかった。28日の投与後回復期間の後、56日においては血液学的所見に対する影響は見られなかった。
IL-2プラスミドDNAの反復投与により、雄及び雌の両方の群についてWBC数の有意な増加が見られ、雌動物において効果は最も顕著であった。WBC数の増加は主としてリンパ球の増加によるものであった。雌動物の場合、リンパ球の数はビヒクル対照群と比較して殆ど2倍となった。その他のWBCの要素、例えば単球及び好塩基球の効果はそれほど大きなものではなく、偶発的なものであり得る。これらの効果は一時的なものであり、28日の投与後回復期間の後にはもはや見られなかった。高くなったリンパ球数はDNA注射の後のIL-2分泌によるものであり得る。通常IL-2に応答性を有する細胞であるリンパ球に対する効果が最も明確であったことが指摘されるのは興味深い。
カニクイザル(Maccaca fascicularis)におけるIL-2プラスミドDNAの28日反復投与実験
カニクイザルに6週間続けて毎週静脈注射した場合のIL-2プラスミドDNAの安全性についての情報を得るために実験を行い、選択した動物において28日の投与後観察/回復期間を設ける。全身毒性を生じる可能性が最も高い静脈内経路を選択する。この旧世界のサルは、ヒトにおいて予測され得るものと量的に同等な毒性反応を起こす可能性が最も大きいことから選択する。
1、8、15、22、29及び36日(投与の最初の日を1日とする)に5匹の雄と5匹の雌に1.0mLのIL-2プラスミドDNAを単回静脈注射する。これによりプラスミドDNAの300μgの単回投与量及びプラスミドDNAの1.8mgの蓄積投与量が得られる。1、8、15、22、29及び36日に別の5匹の雄と5匹の雌に1.0mLの注射ビヒクルを投与し、ビヒクル対照とする。7、14、21、28、35、42、49、56日に臨床化学及び血液学的予備実験のために血液試料を回収する。各性の群あたり3匹のサルを37日に解剖し(最後の注射の24時間後)、残りの各性の群あたり2匹のサルをさらに28日の実験に残す。
特定の態様について本発明を詳細に説明したが、これらの態様は限定的なものではなく例示的なものであり、本発明の実際の範囲は添付の請求の範囲に記載されたものであることは当業者に明らかであろう。
配列表
(1)一般的情報
(i)出願人: バイカル インコーポレイテッド
(ii)発明の名称: IL-2発現に適したプラスミド
(iii)配列数: 1
(iv)連絡先
(A)名称: クノビ,マーテンス,オルソン アンド ベア
(B)街区: 620 ニューポート センター ドライブ 16階
(C)市: ニューポート ビーチ
(D)州: CA
(E)国: USA
(F)ZIP: 92660
(v)コンピューター読み取り形式
(A)媒体種類: フロッピーティスク
(B)コンピューター: IBM互換機
(C)オペレーティングシステム: DOS
(D)ソフトウェア: FastSEQ バージョン1.5
(vi)本出願データ
(A)出願番号:
(B)出願日:
(C)分類:
(vii)先の出願データ
(A)出願番号: 08/345,913
(B)出願日: 1994年11月28日
(viii)代理人情報
(A)氏名: ウェイズ ヴェンスコ,ナンシー
(B)登録番号: 36,298
(C)参照/ファイル番号: VICAL.043VPC
(ix)電話番号
(A)電話: 619-235-8550
(B)ファクシミリ: 619-235-0176
(C)テレックス:
(2)配列番号1の情報
(i)配列の特徴:
(A)配列の長さ: 4928塩基対
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直線
(ii)配列の種類: cDNA
(iii)ハイポセティカル: NO
(iv)アンチセンス: NO
(v)フラグメント型:
(vi)起源:
(ix)配列の特徴
(A)特徴を表す記号: Coding Sequence
(B)存在位置: 1689...2159
(D)その他の情報:
(xi)配列の記載: 配列番号1
Claims (18)
- サイトメガロウイルス即時型(CMVIE)プロモーター、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列、及び、前記サイトメガロウイルス即時型(CMVIE)プロモーター及び前記ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列に機能可能なように結合した、IL-2をコードするDNA配列を含み、前記のIL-2をコードするDNA配列は、ペプチドMet-Ala-Leu-Trp-Ile-Aspをコードする配列を含むDNA配列とその5’末端で結合している、IL-2をコードするDNA配列を含むプラスミド。
- 前記サイトメガロウイルス即時型(CMVIE)プロモーターが配列番号1のヌクレオチド1〜1619から成り、前記ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列が配列番号1のヌクレオチド2250〜2797から成り、前記サイトメガロウイルス即時型(CMVIE)プロモーター及び前記ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列に機能可能なように結合し、ペプチドMet-Ala-Leu-Trp-Ile-Aspをコードする配列を含むDNA配列とその5’末端で結合した、前記のIL-2をコードするDNA配列が配列番号1のヌクレオチド1645〜2195から成る請求項1記載のプラスミド。
- 配列番号1のヌクレオチド配列から成る請求項1記載のプラスミド。
- 請求項1、2又は3記載のプラスミドにより形質転換された宿主細胞。
- 請求項1、2又は3記載のプラスミドの製造方法であって、
該プラスミドを含む細菌細胞を増殖させ、
細菌細胞からプラスミドを回収するステップを含む該方法。 - IL-2をコードするDNA配列を含む転写単位であって、サイトメガロウイルス即時型(CMVIE)プロモーター、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列、及び、前記サイトメガロウイルス即時型(CMVIE)プロモーター及び前記ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子の転写終結/ポリアデニル化シグナル配列に機能可能なように結合した、IL-2をコードするDNA配列を含み、前記のIL-2をコードするDNA配列は、ペプチドMet-Ala-Leu-Trp-Ile-Aspをコードする配列を含むDNA配列とその5’末端で結合している、該転写単位。
- 請求項1、2又は3記載のプラスミドを医薬的に許容可能なビヒクルとともに含む医薬組成物。
- 請求項1、2又は3記載のプラスミドをカチオン性脂質とともに含む医薬組成物。
- 前記カチオン性脂質が1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチル・アンモニウム・ブロミド/ジオレイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DMRIE-DOPE)である請求項8記載の医薬組成物。
- 前記1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチル・アンモニウム・ブロミド/ジオレイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DMRIE-DOPE)が約1:1のモル比を有する請求項9記載の医薬組成物。
- プラスミドと脂質の比が約5:1である請求項10記載の医薬組成物。
- 請求項1、2又は3記載のプラスミドを有効成分とする腫瘍内直接注入用腫瘍成長阻害剤。
- さらにカチオン性脂質を含む請求項12記載の腫瘍成長阻害剤。
- 前記カチオン性脂質が1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチル・アンモニウム・ブロミド/ジオレイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DMRIE-DOPE)である請求項13記載の腫瘍成長阻害剤。
- 前記1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチル・アンモニウム・ブロミド/ジオレイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DMRIE-DOPE)が約1:1のモル比を有する請求項14記載の腫瘍成長阻害剤。
- プラスミドと脂質の比が約5:1である請求項15記載の腫瘍成長阻害剤。
- 前記腫瘍が腎細胞癌である請求項12〜16のいずれか1項記載の腫瘍成長阻害剤。
- 前記腫瘍が黒色種である請求項12〜16のいずれか1項記載の腫瘍成長阻害剤。
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