JP3710259B2 - 甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法 - Google Patents

甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3710259B2
JP3710259B2 JP17301997A JP17301997A JP3710259B2 JP 3710259 B2 JP3710259 B2 JP 3710259B2 JP 17301997 A JP17301997 A JP 17301997A JP 17301997 A JP17301997 A JP 17301997A JP 3710259 B2 JP3710259 B2 JP 3710259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
squeezed
pulp
sweet potato
juice
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17301997A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11144A (ja
Inventor
哲也 深谷
康子 入江
秀樹 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kagome Co Ltd
Original Assignee
Kagome Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kagome Co Ltd filed Critical Kagome Co Ltd
Priority to JP17301997A priority Critical patent/JP3710259B2/ja
Publication of JPH11144A publication Critical patent/JPH11144A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3710259B2 publication Critical patent/JP3710259B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法、更に詳しくは甘藷を圧搾搾汁したときに発生する搾汁残渣としての搾汁パルプ分を活用した飲料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
甘藷を搾汁すると、搾汁液分と同時に搾汁残渣としての搾汁パルプ分が発生する。例えば、甘藷を剥皮し、加熱処理した後、切断して、ジューサーで搾汁する方法が提案されているが(名古屋女子大学紀要41巻,93〜100頁,1995年)、この際、甘藷ジュースとして用いられる搾汁液分と同時に搾汁残渣としての搾汁パルプ分が発生する。かかる搾汁パルプ分はそれ自体は有用であるにもかかわらず搾汁残渣として廃棄されてしまうのが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、甘藷から甘藷ジュースを製造するとき、甘藷ジュースとして用いられる搾汁液分と同時に発生する搾汁パルプ分がそれ自体は有用であるにもかかわらず搾汁残渣として廃棄されてしまう点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、一方で甘藷から飲用に好適な甘藷ジュースを歩留まり良く製造することに配慮しつつ、同時に他方で搾汁残渣として発生する搾汁パルプ分を有効利用する方法について研究した結果、甘藷に特定の加熱処理及び圧搾搾汁を施し、この際に発生する搾汁残渣としての搾汁パルプ分を磨砕して、この磨砕の前及び/又は後に希釈処理すると、得られる希釈処理した磨砕物を用いて飲み易い飲料を製造できることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、下記の第1工程〜第4工程を経ることを特徴とする甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法に係る。
第1工程:甘藷を、これに含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%となるように加熱処理し、加熱処理した甘藷を得る工程。
第2工程:加熱処理した甘藷を圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る工程。
第3工程:搾汁パルプ分を磨砕すると共に、この磨砕の前及び/又は後に希釈処理して、希釈処理した磨砕物を得る工程。
第4工程:希釈処理した磨砕物を用いて飲料を製造する工程。
【0006】
本発明において、原料として用いる甘藷は、その品種に特に制限はなく、これには例えば、1)ベニアズマ、ベニサツマ、高系14号等の一般流通品である黄系甘藷、2)ベニハヤト、ヘルシーレッド、ひがしやま、九州120号等のβ−カロチンを多く含む橙系甘藷、3)山川紫、知覧紫、種子島紫、九州109号、九州113号、ナカムラサキ等のアントシアニンを多く含む紫系甘藷があるが、なかでも、いずれも上記したような、β−カロチンを1.0mg%以上含有する高カロチン含量の橙系甘藷或はその周皮を除いた部分にアントシアニンを色価で0.10以上含有する高アントシアニン含量の紫系甘藷が好ましい。高色素含量の鮮やかな色調を呈する搾汁液分及び搾汁パルプ分を得ることができるからである。本発明において色価とは、それが原料の甘藷である場合には、甘藷を剥皮及び摩砕し、その摩砕物を蒸留水で10重量倍希釈して、遠心分離した後、その上澄液の500〜600nmにおける最大吸収波長での吸光度を測定し、この吸光度を10倍した値である。またそれが搾汁液分である場合には、搾汁液分を蒸留水で10重量倍希釈して、遠心分離した後、以下上記と同様にして測定した吸光度を10倍した値である。
【0007】
本発明では、上記のような甘藷を加熱処理する。加熱処理は、甘藷中に含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%、好ましくは3.0〜8.0重量%となるように行なう。ポリフェノールオキシダーゼはアミラーゼよりも失活温度が低く、その基質であるポリフェノールの殆どが甘藷の表層部に集中しているので、加熱処理の温度及び時間を選定することにより、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方で、アミラーゼを活性化することができる。ポリフェノールオキシダーゼを失活することにより良好な色調の搾汁液分及び搾汁パルプ分を得ることができ、またアミラーゼを活性化することにより澱粉の糖化を促して糖度が高い搾汁液分及び搾汁パルプ分を得ることができる。
【0008】
本発明では、上記のように、甘藷をこれに含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%、好ましくは3.0〜8.0重量%となるように加熱処理する。ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活し、その一方でアミラーゼを活性化する条件下であっても、アミラーゼの作用で澱粉の糖化により生成するマルトース含量が1.0重量%未満となるような加熱処理では、糖度が低い搾汁液分及び搾汁パルプ分しか得られない。逆にマルトース含量が10重量%超となるような加熱処理では、澱粉が糊化して膨潤するためと推察されるが、その圧搾搾汁が難しくなって、搾汁液分の歩留まりが悪くなり、その分だけ多量の搾汁パルプ分が発生する。加熱処理それ自体は、甘藷を熱水中に浸漬する方法、甘藷に水蒸気を噴霧する方法等、公知の方法を適用でき、エネルギー効率的には甘藷を70〜80℃の熱水中に10〜20分間浸漬する方法を適用できるが、合目的的には甘藷を80〜100℃未満の熱水中に5〜20分間浸漬する方法を適用するのが好ましい。
【0009】
本発明では、かくして加熱処理した甘藷を圧搾搾汁する。搾汁機には、パルパー、ギナー、デカンター等の遠心分離式のものと、フィルタープレス、スクリュープレス、搾汁用二軸回転型エクストルーダー等の圧搾式のものとがあるが、本発明では後者の圧搾式の搾汁機により圧搾搾汁する。なかでも、スクリューと該スクリューを包囲するスクリーンとを装着したスクリュープレス又は搾汁用二軸回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁するのが好ましい。搾汁液分の歩留まりを良くし、もともとの搾汁パルプ分の発生量を抑えることができるからである。
【0010】
加熱処理した甘藷を圧搾搾汁すると、搾汁液分と搾汁残渣としての搾汁パルプ分とが得られる。本発明では搾汁残渣としての搾汁パルプ分を用いて飲料を製造する。搾汁液分から甘藷ジュースを製造できることはいうまでもない。搾汁パルプ分はそのままでは飲料の製造に用いることができないので、磨砕する。磨砕には例えば円盤型或は円錐型のコロイドミルのような磨砕機を使用できる。磨砕に際しては、搾汁パルプ分を磨砕の前及び/又は後で希釈処理する。希釈には野菜汁、果実汁、発酵乳、牛乳、水及び前記した甘藷の搾汁液分から選ばれる一つ又は二つ以上を用いるのが好ましく、搾汁液分を用いる場合には予め粘度低下処理しておいた搾汁液分を用いるのが好ましい。かかる粘度低下処理としては、1)搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、アミラーゼで酵素処理する方法、2)搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、ホモジナイズ処理する方法、又は3)搾汁液分を遠心分離処理する方法が挙げられる。
【0011】
甘藷の搾汁液分中には、原料由来の澱粉粒が浮遊乃至懸濁しており、かかる搾汁液分をそのまま希釈処理に用いると、該澱粉粒が飲料を製品化するときの加熱殺菌で糊化し、製品化した飲料の粘度を高める要因となる。甘藷の搾汁液分を希釈処理に用いる場合、粘度が低く、したがって飲み易い飲料を製品化するためには、該搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒に起因する粘度が低下するように、予め上記のように粘度低下処理しておくのが好ましいのである。上記の1)では、搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、アミラーゼを加えて酵素処理し、糊化した澱粉を分解する。上記の2)では、搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、ホモジナイズ処理し、糊化した澱粉を破壊する。上記の3)では、搾汁液分を遠心分離処理し、これに含まれる澱粉粒を除去する。以上説明した1)〜3)の方法は適宜に組み合わせて行なうこともできる。
【0012】
希釈倍率は任意であるが、搾汁パルプ分を5〜30重量倍に希釈処理するのが好ましい。搾汁パルプ分の磨砕を円滑に行なうと共に、搾汁パルプ分の使用量を多くするためである。かくして搾汁パルプ分を磨砕し、この磨砕の前及び/又は後に希釈処理すると、希釈処理した磨砕物が得られる。本発明ではこの希釈処理した磨砕物を用いて飲料を製造する。希釈処理した磨砕物はそのまま飲料とすることもできるし、或は適宜に調合した後に飲料とすることもできる。
【0013】
希釈処理した磨砕物を用いて飲料を製品化する場合、予め該磨砕物を、搾汁液分について前述したことと同様、粘度低下処理しておくのが好ましい。甘藷の搾汁パルプ分中にも、原料由来の澱粉粒が含まれており、該澱粉粒が飲料を製品化するときの加熱殺菌で糊化して、製品化した飲料の粘度を高める要因となるからである。具体的には例えば、希釈処理した磨砕物を粘度低下処理した後、容器に充填して密封し、通常はその前後で加熱殺菌してから冷却することにより、飲料を製品化する。
【0014】
以上、本発明について説明したが、本発明でも、圧搾搾汁の前の段階で、具体的には加熱処理の前の段階又は加熱処理の後であって圧搾搾汁の前の段階で、甘藷を剥皮するのが好ましい。より色調の良好な苦味の少ない搾汁液分及び搾汁パルプ分を得ることができるからである。剥皮方法には、機械的剥皮方法、化学的剥皮方法、これらを組み合わせた剥皮方法等、公知の剥皮方法を適用できるが、合目的的には加熱を伴わない機械的剥皮方法、例えばピーラーで剥皮する方法が好ましい。また圧搾搾汁の前の段階で、加熱処理した甘藷を破砕又は切断するのが好ましい。圧搾搾汁を円滑に行なうためである。更に圧搾搾汁は品温(圧搾搾汁に供する加熱処理した甘藷の中心温度)が75℃以下で行なうのが好ましい。澱粉の糊化を防止して圧搾搾汁を円滑に行なうためである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態としては、下記の1)〜8)が好適例として挙げられる。
1)黄系甘藷のベニアズマを90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁パルプ分に4重量倍のニンジン汁を加えてコロイドミルで磨砕し、その磨砕物に更に等重量のニンジン汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した磨砕物を得る。かくして粘度低下処理した磨砕物を製品化する。
【0016】
2)黄系甘藷のベニアズマを95℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを6重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、クラッシャーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁パルプ分に4重量倍のリンゴ汁を加えてコロイドミルで磨砕し、その磨砕物に更に5重量倍のリンゴ汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を製品化する。
【0017】
3)橙系甘藷のヘルシーレッドを90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁液分を90℃達温で加熱して冷却した後、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解し、粘度低下処理した搾汁液分を得る。搾汁パルプ分に2重量倍の粘度低下処理した搾汁液分を加えてコロイドミルで磨砕し、その磨砕物に更に等重量の粘度低下処理した搾汁液分を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した磨砕物を得る。かくして粘度低下処理した磨砕物を製品化する。
【0018】
4)橙系甘藷の九州120号を95℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを6重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、クラッシャーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁パルプ分に4重量倍の搾汁液分を加えてコロイドミルで磨砕し、その磨砕物に更に4重量倍のニンジン汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を90℃達温で加熱して冷却した後、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、酵素処理して糊化澱粉を分解し、粘度低下処理した磨砕物を得る。かくして粘度低下処理した磨砕物を製品化する。
【0019】
5)橙系甘藷のベニハヤトを80℃の熱水中に20分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを7重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁液分を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊し、粘度低下処理した搾汁液分を得る。搾汁パルプ分に2重量倍の粘度低下処理した搾汁液分を加えて磨砕し、その磨砕物に更に7重量倍のリンゴ汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した磨砕物を得る。かくして粘度低下処理した磨砕物を製品化する。
【0020】
6)紫系甘藷の山川紫を90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁液分を90℃達温で加熱して冷却した後、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解し、粘度低下処理した搾汁液分を得る。搾汁パルプ分に2重量倍の粘度低下処理した搾汁液分を加えてコロイドミルで磨砕し、その磨砕物に更に等重量の粘度低下処理した搾汁液分を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した磨砕物を得る。かくして粘度低下処理した磨砕物を製品化する。
【0021】
7)紫系甘藷の知覧紫を95℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを6重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、クラッシャーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁パルプ分に4重量倍の搾汁液分を加えてコロイドミルで磨砕し、その磨砕物に更に4重量倍のニンジン汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を90℃達温で加熱して冷却した後、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、酵素処理して糊化澱粉を分解し、粘度低下処理した磨砕物を得る。かくして粘度低下処理した磨砕物を製品化する。
【0022】
8)紫系甘藷の九州113号を80℃の熱水中に20分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを7重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る。搾汁液分を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊し、粘度低下処理した搾汁液分を得る。搾汁パルプ分に2重量倍の粘度低下処理した搾汁液分を加えて磨砕し、その磨砕物に更に7重量倍のリンゴ汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得る。この希釈処理した磨砕物を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した磨砕物を得る。かくして粘度低下処理した磨砕物を製品化する。
【0023】
【実施例】
実施例1
黄系甘藷のベニアズマを80℃の熱水中に8分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを3.0重量%含有する加熱処理物を得た(但し、マルトースは液体クロマトグラフィーで測定した値、以下同じ)。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得た。搾汁液分の歩留まりは61重量%、糖度は12重量%であった(但し、歩留まりは原料に対する歩留まり、糖度は糖度計で測定した値、以下同じ)。搾汁パルプ分に4重量倍のニンジン汁を加えてマスコロイダー(商品名、増幸産業社製の磨砕機)で磨砕し、その磨砕物に更に等重量のニンジン汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得た。この希釈処理した磨砕物を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊し、粘度低下処理した磨砕物を得た。かくして粘度低下処理した磨砕物を容器に充填して密封した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却して、飲料を製品化した。飲料の糖度は8重量%、粘度は110cpsであった(粘度はB型回転粘度計で測定した値、以下同じ)。
【0024】
実施例2
β−カロチンを10.2mg%含有する橙系甘藷の九州120号を90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5.0重量%含有する加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得た。搾汁液分の歩留まりは52重量%、糖度は17重量%、β−カロチンは5.5mg%であった(但し、β−カロチンは液体クロマトグラフィーで測定した値、以下同じ)。搾汁液分を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊し、粘度低下処理した搾汁液分を得た。搾汁パルプ分に2重量倍の粘度低下処理した搾汁液分を加えてマスコロイダーで磨砕し、その磨砕物に更に7重量倍のリンゴ汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得た。この希釈処理した磨砕物を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した磨砕物を得た。かくして粘度低下処理した磨砕物を用いて、以下実施例1と同様に行ない、飲料を製品化した。飲料の糖度は12重量%、粘度は78cpsであった。
【0025】
実施例3
β−カロチンを12mg%含有する橙系甘藷のベニハヤトを80℃の熱水中に20分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを7重量%含有する加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得た。搾汁液分の歩留まりは54重量%、糖度は16重量%、β−カロチンは6.5mg%であった。搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した搾汁液分を得た。搾汁パルプ分の一部に3重量倍の粘度低下処理した搾汁液分を加えてマスコロイダーで磨砕し、その磨砕物に更に等重量の水を加えて、希釈処理した磨砕物を得た。この希釈処理した磨砕物を90℃達温で加熱して冷却した後、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解し、粘度低下処理した磨砕物を得た。かくして粘度低下処理した磨砕物を用いて、以下実施例1と同様に行ない、飲料を製品化した。飲料の糖度は10重量%、粘度は130cpsであった。
【0026】
実施例4
アントシアニンを色価で3.2含有する紫系甘藷の山川紫(但し、アントシアニンの色価は前述した方法で測定した、以下同じ)を80℃の熱水中に8分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを3.0重量%含有する加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得た。搾汁液分の歩留まりは59重量%、糖度は15重量%、アントシアニンの色価は3.7であった。搾汁パルプ分に2重量倍のニンジン汁を加えてマスコロイダーで磨砕し、その磨砕物に更に2重量倍のニンジン汁を加えて、希釈処理した磨砕物を得た。この希釈処理した磨砕物を90℃達温で加熱して冷却した後、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解し、粘度低下処理した磨砕物を得た。かくして粘度低下処理した磨砕物を用いて、以下実施例1と同様に行ない、飲料を製品化した。飲料の糖度は11重量%、粘度は125cpsであった。
【0027】
実施例5
アントシアニンを色価で1.5含有する紫系甘藷の知覧紫を95℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを6.0重量%含有する加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得た。搾汁液分の歩留まりは51重量%、糖度は17重量%、アントシアニンの色価は1.6であった。搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去し、粘度低下処理した搾汁液分を得た。搾汁パルプ分の一部に3重量倍の粘度低下処理した搾汁液分を加えてマスコロイダーで磨砕し、その磨砕物に更に等重量の水を加えて、希釈処理した磨砕物を得た。この希釈処理した磨砕物を90℃達温で加熱して冷却した後、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解し、粘度低下処理した磨砕物を得た。かくして粘度低下処理した磨砕物を用いて、以下実施例1と同様に行ない、飲料を製品化した。飲料の糖度は11重量%、粘度は141cpsであった。
【0028】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、従来搾汁残渣として廃棄されていた搾汁パルプ分から、粘度が低く、したがって飲み易い飲料を製造できるという効果がある。

Claims (7)

  1. 下記の第1工程〜第4工程を経ることを特徴とする甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法。
    第1工程:甘藷を、これに含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%となるように加熱処理し、加熱処理した甘藷を得る工程。
    第2工程:加熱処理した甘藷を圧搾搾汁し、搾汁液分と搾汁パルプ分とを得る工程。
    第3工程:搾汁パルプ分を磨砕すると共に、この磨砕の前及び/又は後に希釈処理して、希釈処理した磨砕物を得る工程。
    第4工程:希釈処理した磨砕物を用いて飲料を製造する工程。
  2. 第1工程において、甘藷をそのマルトース含量が3.0〜8.0重量%となるように加熱処理する請求項1記載の甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法。
  3. 第2工程において、加熱処理した甘藷をスクリュープレス又は搾汁用二軸回転型エクストルーダーで圧搾搾汁する請求項1又は2記載の甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法。
  4. 第3工程において、搾汁パルプ分を磨砕すると共に、この磨砕の前及び/又は後に野菜汁、果実汁、発酵乳、牛乳、水及び第2工程で得た搾汁液分から選ばれる一つ又は二つ以上で希釈処理する請求項1、2又は3記載の甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法。
  5. 第2工程において、更に搾汁液分を下記の粘度低下処理方法で粘度低下処理し、且つ第3工程において、搾汁パルプ分を磨砕すると共に、この磨砕の前及び/又は後に第2工程で得た粘度低下処理した搾汁液分で希釈処理する請求項1、2又は3記載の甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法。
    粘度低下処理方法:1)搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、アミラーゼで酵素処理する方法、2)搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、ホモジナイズ処理する方法、又は3)搾汁液分を遠心分離処理する方法。
  6. 第3工程において、搾汁パルプ分を磨砕すると共に、この磨砕の前及び/又は後に希釈処理して、5〜30重量倍に希釈処理した磨砕物を得る請求項4又は5記載の甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法。
  7. 第4工程において、更に希釈処理した磨砕物を下記の粘度低下処理方法で粘度低下処理した後、希釈処理し且つ粘度低下処理した磨砕物を用いて飲料を製造する請求項6記載の甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法。
    粘度低下処理方法:1)希釈処理した磨砕物をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、アミラーゼで酵素処理する方法、2)希釈処理した磨砕物をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、ホモジナイズ処理する方法、又は3)希釈処理した磨砕物を遠心分離処理する方法。
JP17301997A 1997-06-12 1997-06-12 甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法 Expired - Fee Related JP3710259B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17301997A JP3710259B2 (ja) 1997-06-12 1997-06-12 甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17301997A JP3710259B2 (ja) 1997-06-12 1997-06-12 甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11144A JPH11144A (ja) 1999-01-06
JP3710259B2 true JP3710259B2 (ja) 2005-10-26

Family

ID=15952708

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17301997A Expired - Fee Related JP3710259B2 (ja) 1997-06-12 1997-06-12 甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3710259B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3583410B2 (ja) 2001-11-29 2004-11-04 明治乳業株式会社 可食飲食物の抽出および/または搾汁方法
JP4284437B2 (ja) 2003-01-30 2009-06-24 明治乳業株式会社 コーヒー豆の抽出液の製造方法
US7751587B2 (en) 2006-02-09 2010-07-06 Hitachi, Ltd. Data production method and apparatus

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS54119066A (en) * 1978-03-07 1979-09-14 Saito Taiichi Production of sugar juice
JPH0475569A (ja) * 1990-05-01 1992-03-10 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ヤーコン及びそれを用いた飲食品
JP2953981B2 (ja) * 1995-02-09 1999-09-27 カゴメ株式会社 人参ジュースの製造方法
JPH08308543A (ja) * 1995-03-15 1996-11-26 Mitsui Herupu Kk ドリンク剤およびその製造方法
JPH0923859A (ja) * 1995-07-14 1997-01-28 Toyo Seikan Kaisha Ltd 食物繊維入り飲料およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11144A (ja) 1999-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101904524A (zh) 一种纯天然香蕉全果原汁及其生产方法
CN101057690B (zh) 茎叶类蔬果汁的制备方法
JP3710259B2 (ja) 甘藷の搾汁パルプ分を用いた飲料の製造方法
JP3710244B2 (ja) 甘藷ジュースの製造方法
JP2881565B2 (ja) 甘藷飲料の製造方法
JP7426651B2 (ja) 甘藷搾汁液の製造方法及び甘藷ジュースの製造方法
EP2462817B1 (en) Method for preparing mash and carrot mash
EP1610626A1 (en) Method of producing vegetable puree
JP2000228962A (ja) 野菜搾汁液の製造方法
JP3413332B2 (ja) 甘藷ジュースの製造方法
JP7483229B2 (ja) 甘藷搾汁液及び甘藷ジュース
JP3413325B2 (ja) 甘藷ジュースの製造方法
JP4073790B2 (ja) サツマイモ汁液の製造方法、飲料の製造方法及び飲料
JP3710285B2 (ja) 甘藷ジュース含有飲料の製造方法
US3118770A (en) Fruit juice and method of preparing same
CN1274245C (zh) 枸杞子营养糊生产方法和枸杞子营养糊及在食品中的应用
RU2321314C2 (ru) Способ извлечения сока из пищевых продуктов
JPH06217744A (ja) ニンジンジュースの製造方法
US4581241A (en) Process for producing an enhanced citrus flavor
RU2637780C1 (ru) Способ производства концентрированного продукта на основе топинамбура
US2184246A (en) Method of preparing vegetables
JPH01199567A (ja) 果汁の製造法
CA1237329A (en) Process for producing an enhanced citrus flavor
CN116711825A (zh) 一种柑橘吃干榨尽全自动智能化果汁饮品生产线工艺流程
US1182517A (en) Food process and product.

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050808

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050809

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080819

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100819

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110819

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120819

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130819

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees