JP3710244B2 - 甘藷ジュースの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は甘藷ジュースの製造方法、更に詳しくは飲み易い甘藷ジュースを歩留まり良く製造できる甘藷ジュースの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、甘藷ジュースの製造方法として、甘藷を剥皮し、加熱処理した後、切断して、ジューサーで搾汁することが提案されている(名古屋女子大学紀要41巻,93〜100頁,1995年)。最近、高色素含量の甘藷が種々提供されており、上記の従来法でも、これら高色素含量の甘藷が検討されている。この従来法で甘藷ジュースを製品化する場合、ジューサーで搾汁した搾汁液分を何らかの容器に充填して密封し、通常はその前後で加熱殺菌してから冷却する。ところが、かかる従来法で甘藷ジュースを製品化すると、実際のところ、粘度が高く、糖度が低い、したがって飲み難い甘藷ジュースになってしまい、とりわけ歩留まりが悪いという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来法で甘藷ジュースを製品化すると、粘度が高く、糖度が低い、したがって飲み難い甘藷ジュースになってしまい、とりわけ歩留まりが悪い点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、上記の課題を解決するべく研究した結果、甘藷に特定の加熱処理、圧搾搾汁及び圧搾搾汁した搾汁液中の澱粉粒に基因する粘度の低下処理を組み合わせて施すと、粘度が低く、糖度が高い、したがって飲み易い甘藷ジュースを歩留まり良く製品化できることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とする甘藷ジュースの製造方法に係る。
第1工程:甘藷を、これに含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%となるように加熱処理する工程。
第2工程:加熱処理した甘藷を圧搾搾汁する工程。
第3工程:圧搾搾汁した搾汁液分を該搾汁液分中の澱粉粒に基因する粘度が低下するように処理する工程。
【0006】
本発明において、原料として用いる甘藷は、その品種に特に制限はなく、これには例えば、1)ベニアズマ、ベニサツマ、高系14号等の一般流通品である黄系甘藷、2)ベニハヤト、ヘルシーレッド、ひがしやま、九州120号等のβ−カロチンを多く含む橙系甘藷、3)山川紫、知覧紫、種子島紫、九州109号、九州113号、ナカムラサキ等のアントシアニンを多く含む紫系甘藷があるが、なかでも、いずれも上記したような、β−カロチンを1.0mg%以上含有する高カロチン含量の橙系甘藷或はその周皮を除いた部分にアントシアニンを色価で0.10以上含有する高アントシアニン含量の紫系甘藷が好ましい。高色素含量の鮮やかな色調を呈する甘藷ジュースを製造できるからである。本発明において色価とは、それが原料の甘藷である場合には、甘藷を剥皮及び摩砕し、その摩砕物を蒸留水で10重量倍希釈して、遠心分離した後、その上澄液の500〜600nmにおける最大吸収波長での吸光度を測定し、この吸光度を10倍した値である。またそれが製造した甘藷ジュースである場合には、甘藷ジュースを蒸留水で10重量倍希釈して、遠心分離した後、以下上記と同様にして測定した吸光度を10倍した値である。
【0007】
本発明では、上記のような甘藷を加熱処理する。加熱処理は、甘藷中に含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%、好ましくは3.0〜8.0重量%となるように行なう。ポリフェノールオキシダーゼはアミラーゼよりも失活温度が低く、その基質であるポリフェノールの殆どが甘藷の表層部に集中しているので、加熱処理の温度及び時間を選定することにより、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方で、アミラーゼを活性化することができる。ポリフェノールオキシダーゼを失活することにより良好な色調の甘藷ジュースを製造でき、またアミラーゼを活性化することにより澱粉の糖化を促して糖度が高い甘藷ジュースを製造できる。
【0008】
本発明では、上記のように、甘藷をこれに含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%、好ましくは3.0〜8.0重量%となるように加熱処理する。ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活し、その一方でアミラーゼを活性化する条件下であっても、アミラーゼの作用で澱粉の糖化により生成するマルトース含量が1.0重量%未満となるような加熱処理では、糖度が低い甘藷ジュースしか製造できない。逆にマルトース含量が10重量%超となるような加熱処理では、澱粉が糊化して膨潤するためと推察されるが、その圧搾搾汁が難しくなって、歩留まりが悪くなる。加熱処理それ自体は、甘藷を熱水中に浸漬する方法、甘藷に水蒸気を噴霧する方法等、公知の方法を適用でき、エネルギー効率的には甘藷を70〜80℃の熱水中に10〜20分間浸漬する方法を適用できるが、合目的的には甘藷を80〜100℃未満の熱水中に5〜20分間浸漬する方法を適用するのが好ましい。
【0009】
本発明では、かくして加熱処理した甘藷を圧搾搾汁する。搾汁機には、パルパー、ギナー、デカンター等の遠心分離式のものと、フィルタープレス、スクリュープレス、搾汁用二軸回転型エクストルーダー等の圧搾式のものとがあるが、本発明では後者の圧搾式の搾汁機により圧搾搾汁する。なかでも、スクリューと該スクリューを包囲するスクリーンとを装着したスクリュープレス又は搾汁用二軸回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁するのが好ましい。甘藷ジュースを歩留まり良く製造できるからである。
【0010】
加熱処理した甘藷を圧搾搾汁すると、搾汁液分と搾汁残渣としての搾汁パルプ分とが得られる。圧搾搾汁した搾汁液分中には、原料由来の澱粉粒が浮遊乃至懸濁しており、かかる澱粉粒が搾汁液分を製品化するときの加熱殺菌で糊化し、製品化した甘藷ジュースの粘度を高める要因となる。そこで本発明では、粘度が低く、したがって飲み易い甘藷ジュースを製品化するため、圧搾搾汁した搾汁液分を該搾汁液分中の澱粉粒に基因する粘度が低下するように処理する。かかる処理としては、その方法に特に制限はないが、1)澱粉粒を形成する澱粉を分解する酵素処理、2)澱粉粒を形成する澱粉を破壊するホモジナイズ処理、3)澱粉粒を除去する遠心分離処理、4)澱粉粒を相対的に濃度低下させる希釈処理が好ましい。
【0011】
上記の1)では、搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、アミラーゼを加えて酵素処理し、糊化した澱粉を分解する。上記の2)では、搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、ホモジナイズ処理し、糊化した澱粉を破壊する。上記の3)では、搾汁液分を遠心分離処理し、これに含まれる澱粉粒を除去する。上記の4)では、搾汁液分に水、野菜汁、果実汁及び/又は発酵乳を加えて希釈処理し、これに含まれる澱粉粒の濃度を相対的に低下させる。以上説明した1)〜4)の方法は適宜に組み合わせて行なうこともできる。
【0012】
かくして甘藷を加熱処理し、加熱処理した甘藷を圧搾搾汁して、圧搾搾汁した搾汁液分を該搾汁液分中の澱粉粒に基因する粘度が低下するように処理した後、容器に充填して密封し、通常はその前後で加熱殺菌してから冷却することにより、甘藷ジュースを製品化する。
【0013】
以上、本発明について説明したが、本発明でも、圧搾搾汁の前の段階で、具体的には加熱処理の前の段階又は加熱処理の後であって圧搾搾汁の前の段階で、甘藷を剥皮するのが好ましい。より色調の良好な苦味の少ない甘藷ジュースを製造できるからである。剥皮方法には、機械的剥皮方法、化学的剥皮方法、これらを組み合わせた剥皮方法等、公知の剥皮方法を適用できるが、合目的的には加熱を伴わない機械的剥皮方法、例えばピーラーで剥皮する方法が好ましい。また圧搾搾汁の前の段階で、加熱処理した甘藷を破砕又は切断するのが好ましい。圧搾搾汁を円滑に行なって歩留まりをより良くするためである。更に圧搾搾汁は品温(圧搾搾汁に供する加熱処理した甘藷の中心温度)が75℃以下で行なうのが好ましい。澱粉の糊化を防止して歩留まりをより良くするためである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態としては、下記の1)〜8)が好適例として挙げられる。
1)黄系甘藷のベニアズマを90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去する。かくして澱粉粒を除去したものを製品化する。
【0015】
2)黄系甘藷のベニアズマを95℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを6重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、クラッシャーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を等量の発酵乳で希釈処理して澱粉粒濃度を低下する。かくして澱粉粒濃度を低下したものを製品化する。
【0016】
3)橙系甘藷のヘルシーレッドを90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、冷却し、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解する。かくして糊化澱粉を分解したものを製品化する。
【0017】
4)橙系甘藷の九州120号を95℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを6重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、クラッシャーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊する。かくして糊化澱粉を破壊したものを製品化する。
【0018】
5)橙系甘藷のベニハヤトを80℃の熱水中に20分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを7重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去する。かくして澱粉粒を除去したものを製品化する。
【0019】
6)紫系甘藷の山川紫を90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、冷却し、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解する。かくして糊化澱粉を分解したものを製品化する。
【0020】
7)紫系甘藷の知覧紫を95℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを6重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、クラッシャーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊する。かくして糊化澱粉を破壊したものを製品化する。
【0021】
8)紫系甘藷の九州113号を80℃の熱水中に20分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを7重量%含有する加熱処理物を得る。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得る。この搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去する。かくして澱粉粒を除去したものを製品化する。
【0022】
【実施例】
実施例1
黄系甘藷のベニアズマを80℃の熱水中に8分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを3.0重量%含有する加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でスクリュープレスにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得た。この搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。尚、実施例1も含め、以下の各例では、容器に充填して密封する工程を省略した。
【0023】
比較例1
実施例1と同じ黄系甘藷のベニアズマを80℃の熱水中に20秒間浸漬して、加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でジューサーにより搾汁し、搾汁液分を得た。この搾汁液分を121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0024】
実施例2,3及び比較例2,3
手順は実施例1の場合と同様にして、加熱処理条件を表1記載のように変えて行なった。実施例1及び比較例1の場合も含め、各例の製造条件、並びに各例で製造した甘藷ジュースの結果を表1にまとめて示した。
【0025】
【表1】
Figure 0003710244
【0026】
表1において、
マルトース:液体クロマトグラフィーで測定した。
糖度:糖度計で測定した。
粘度:B型回転粘度計で測定した。
歩留まり:原料に対する歩留まり。
官能評価:男性25名及び女性25名の合計50名により、各実施例の甘藷ジュースと比較例1の甘藷ジュースとを2点比較し、どちらが好ましいかを選択させ、各例の甘藷ジュースを好ましいとした人数を表記した(尚、表中の**印は1%以下の危険率で有意であることを示す)。
【0027】
実施例4
β−カロチンを10.2mg%含有する橙系甘藷の九州120号を90℃の熱水中に10分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを5.0重量%含有する加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得た。この搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0028】
実施例5
実施例4と同じ橙系甘藷の九州120号を用い、実施例4と同様にして搾汁液分を得た。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、冷却し、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0029】
実施例6
実施例4と同じ橙系甘藷の九州120号を用い、実施例4と同様にして搾汁液分を得た。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0030】
比較例4
実施例4と同じ橙系甘藷の九州120号を80℃の熱水中に20秒間浸漬して、加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でジューサーにより搾汁し、搾汁液分を得た。この搾汁液分を121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0031】
比較例5
実施例4と同じ橙系甘藷の九州120号を用い、実施例4と同様にして搾汁液分を得た。この搾汁液分を121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。実施例4〜6及び比較例4の場合も含め、各例の製造条件、並びに各例で製造した甘藷ジュースの結果を表2にまとめて示した。
【0032】
【表2】
Figure 0003710244
【0033】
表2において、
マルトース,糖度,粘度,歩留まり:表1の場合と同じ。
β−カロチン:液体クロマトグラフィーで測定した。
官能評価:各例の甘藷ジュースと比較例4の甘藷ジュースとを2点比較した以外は表1の場合と同様にして表記した。
【0034】
実施例7
アントシアニンを色価で3.2含有する紫系甘藷の山川紫を80℃の熱水中に8分間浸漬し、ポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活する一方でアミラーゼを活性化して、マルトースを3.0重量%含有する加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃で搾汁用二軸異方向回転型エクストルーダーにより圧搾搾汁し、搾汁液分を得た。この搾汁液分を、3000G×10分、遠心分離処理して澱粉粒を除去した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃冷却した。
【0035】
実施例8
実施例7と同じ紫系甘藷の山川紫を用い、実施例7と同様にして搾汁液分を得た。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、冷却し、これに0.05重量%のアミラーゼを加え、60℃×30分、酵素処理して糊化澱粉を分解した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0036】
実施例9
実施例7と同じ紫系甘藷の山川紫を用い、実施例7と同様にして搾汁液分を得た。この搾汁液分を90℃達温で加熱した後、150kg/cm2でホモジナイズ処理して糊化澱粉を破壊した後、121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0037】
比較例6
実施例7と同じ紫系甘藷の山川紫を80℃の熱水中に20秒間浸漬して、加熱処理物を得た。この加熱処理物をピーラーで剥皮し、ミクログレーダーで破砕した後、品温70℃でジューサーにより搾汁し、搾汁液分を得た。この搾汁液分を121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。
【0038】
比較例7
実施例7と同じ紫系甘藷の山川紫を用い、実施例7と同様にして搾汁液分を得た。この搾汁液分を121℃×4分、レトルトで加熱殺菌し、20℃に冷却した。実施例7〜9及び比較例6の場合も含め、各例の製造条件、並びに各例で製造した甘藷ジュースの結果を表3にまとめて示した。
【0039】
【表3】
Figure 0003710244
【0040】
表3において、
マルトース,糖度,粘度,歩留まり:表1の場合と同じ。
アントシアニンの色価:前述した方法で測定した。
官能評価:各例の甘藷ジュースと比較例6の甘藷ジュースとを2点比較した以外は表1の場合と同様にして表記した。
【0041】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、粘度が低く、糖度が高い、したがって飲み易い甘藷ジュースを歩留まり良く製造できるという効果がある。

Claims (7)

  1. 下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とする甘藷ジュースの製造方法。
    第1工程:甘藷を、これに含まれるポリフェノールオキシダーゼを実質的に失活するが、アミラーゼを活性化する条件下で、そのマルトース含量が1.0〜10重量%となるように加熱処理する工程。
    第2工程:加熱処理した甘藷を圧搾搾汁する工程。
    第3工程:圧搾搾汁した搾汁液分を該搾汁液分中の澱粉粒に基因する粘度が低下するように処理する工程。
  2. 第1工程において、甘藷をそのマルトース含量が3.0〜8.0重量%となるように加熱処理する請求項1記載の甘藷ジュースの製造方法。
  3. 第2工程において、加熱処理した甘藷をスクリュープレス又は搾汁用二軸回転型エクストルーダーで圧搾搾汁する請求項1又は2記載の甘藷ジュースの製造方法。
  4. 第3工程において、圧搾搾汁した搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、アミラーゼで酵素処理する請求項1、2又は3記載の甘藷ジュースの製造方法。
  5. 第3工程において、圧搾搾汁した搾汁液分をこれに含まれる澱粉粒が糊化するように加熱処理した後、ホモジナイズ処理する請求項1、2又は3記載の甘藷ジュースの製造方法。
  6. 第3工程において、圧搾搾汁した搾汁液分を遠心分離処理する請求項1、2又は3記載の甘藷ジュースの製造方法。
  7. 第3工程において、圧搾搾汁した搾汁液分をこれに水、野菜汁、果実汁及び/又は発酵乳を加えて希釈処理する請求項1、2又は3記載の甘藷ジュースの製造方法。
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