JP3710222B2 - 基礎モルタル杭造成工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モルタル等を注入して構築する現場打ち杭の構築工法に関し、特に、掘削した土を杭孔の周囲に圧密して孔壁の補強を行うとともに、掘削部材を引き上げながら、その下部に注入材料による杭を構築する現場モルタル杭造成工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より建物を施工する場合には、その基礎の下部に杭を打設し、地盤の支持強度を向上させるようにすることが一般に行なわれており、地盤に掘削した土にセメントミルク等の固化剤を混入し、それによって杭を形成することが一般に行なわれている。上記したような工法としては、例えば、特公昭56−14808号公報等に示されるようなものがあり、前記従来例に示される工法は、アースオーガを用いて地盤に杭孔を掘削し、所定の深さの孔を形成した後でオーガを逆方向に回転させながら固化材料を混合し、掘削した土と固化材料との反応により硬化させるようにするとともに、地盤の圧密を行い、地盤の改良を行い得るようにするものである。また、上記した従来例の他に、掘削した土に液状の固化材料を混合すること等も行なわれているが、これらはいずれも掘削された土を主材料として用い、その土を固化させていわゆるソイル杭を形成するようにされていることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現場打ち杭を構成する場合に、その地盤の性質がセメントと良好に反応するようなものである場合には、硬化剤と掘削された土との反応が良好に行なわれるものの、現場の土質が酸性の強い場合、または、有機質が多く混じっている場合には、セメントのアルカリとの反応により硬化材が固化せず、杭が形成出来ない場合がある。また、従来より用いられている工法においては、掘削された杭孔内の土の全てを杭として形成することは出来ないために、掘削された土の一部が排出されることになる。その掘削された土は、多くの場合には硬化材と混合されたものであるから、普通の土と同様な取扱は出来ず、その周囲に散布する等の処理を行い得ないことになる。そして、工事現場の近くに土を捨てるスペースがない場合などには、遠くの土捨場に運んで処理することが求められており、その残土処理のために多くの手間を必要とし、それによって、工事費が上昇する等の別の欠点が発生することが多い。
【0004】
前述したような問題を解決するために掘削孔の土を排出せずに、杭を構築することが考えられているが、そのような装置を構成することは、能力の大きいクレーン車を用いることが必要であり、全体の装置を大型化することになり、小規模の工事には対応が困難である。また、例えば、特公平5−73853号公報等に示されるように、油圧装置を用いてスクリューを引上げる装置を用いて、掘削孔の土を孔壁に押し付けることにより、地上に排出される土をなくす工法を用いる場合でも、油圧ジャッキを駆動するための動力が多く必要とされるという問題がある。そこで、前記公報に示された装置に対して、掘削孔の下部に圧入する注入材料の圧力を大きい値に設定し、スクリューに押し上げ力を付与しながら上昇させることにより、ジャッキを小型化することも試みられた。しかしながら、注入材料の注入圧力を大きい値とする場合には、注入材料の注入圧力を大きくすると、地盤中の弱い部分で杭が横に膨れるという現象が発生し、注入材料の注入量が無駄に増大するという問題があって、有効な方法ではなかった。
【0005】
本発明は、前述したような従来の現場打ち杭の構築工法の問題を解消するもので、掘削部材の下部に注入する注入材料の圧力を適正に維持させながら掘削部材を上昇させる工法を用いることにより、掘削孔から余分な土を排出せずに、注入材料の注入量を適正に維持でき、一定の径の場所打ち杭の構築を可能にする基礎モルタル杭造成工法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基礎モルタル杭造成工法に関するもので、
請求項1の発明は、ウインチ装置により支持されて、ガイドポストに沿って上下動可能に設けられる頂部支持部材と、
前記頂部支持部材に支持されて駆動装置により回転される中空ロッドと、前記中空ロッドの下部に設ける掘削部材と、
前記頂部支持部材を介して供給される注入材料を、前記中空ロッドを介して掘削部材の下部に設けた孔から噴出させる手段と、を設け、さらに、
前記注入材料の供給量を制御する制御部と、前記ウインチ装置の駆動を制御するための制御部とを設けた制御装置を組み合わせて設け、
前記制御装置においては、掘削孔に注入する注入材料の量の情報にしたがって掘削部材の引上げ速度を設定するとともに、
前記中空ロッドの下端部に設ける掘削部材は、
前記中空ロッドとの取付部から大径部との間に設けるフライト部材を、下部に向けて径が次第に大きくなるようにテーパ状に形成した上テーパ部と、
前記大径部の下端部に設ける掘削刃と、
前記掘削刃の下部に中空ロッドの延長部分として設ける下突出部と、
前記下突出部に設ける注入材料噴出用の噴出孔と、を設けて構成し、
前記掘削部材の下部から注入材料を噴出させながら、掘削部材を回転させずに上昇させる動作により、前記掘削部材の上テーパ部により、前記掘削孔の土を孔壁に圧密させる作用を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記掘削部材の下部の掘削孔に注入材料を供給しながら、掘削部材を回転させずに上昇させる動作を行うに際して、
前記制御装置においては、掘削孔の下部に対して注入材料の圧力を高くして供給する制御を行い、球根状の膨大部を形成させるとともに、前記膨大部の上部に対しては、掘削孔に注入する注入材料の量の情報に応じて、掘削部材の引上げ速度を設定し、注入材料を一定の圧力で注入する制御を行うことを特徴とする、
請求項3の発明は、前記制御装置には、掘削部材により作成される掘削孔の径の情報を、入力部を介して入力する手段を設け、
注入材料の供給量の情報に対応させて掘削部材を上昇させる速度を制御するとともに、充填部内部での注入材料の圧力を一定に維持させる制御を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明は前述したように構成したものであり、中空ロッドの先端部に略コーン状の掘削部材を装備して、前記掘削部材により掘削孔を掘削し、その掘削孔の掘削にに際して土を排出させることがない。そして、所定の深さまで掘削孔を作成した後で、ウインチ装置を用いて掘削部材を引き上げながら、掘削孔の孔壁に掘削した土を圧密させて孔の壁の強化の作用を行う。そして、前記掘削部材の引上げの動作に際しては、掘削部材の下部に一定の圧力の注入材料を注入しながら、その注入材料の注入量の情報にしたがって、ウインチ装置の駆動の制御を行い、注入材料が地盤の弱い箇所で孔を広げるような作用を行うことを防止し、充填部に形成される杭の形状を一定の径に維持できるようにする。
【0009】
したがって、本発明の基礎モルタル杭造成工法においては、掘削孔の径に対応する注入材料の注入量を設定する入力部を、各作動装置の動作を制御する制御装置に配置し、前記制御装置により注入材料の注入量とウインチ装置の駆動をそれぞれ制御する制御部を制御することにより、現場打ち杭の構築の作業を容易に行うことができる。また、本発明の掘削部材は、中空ロッドの先端部に設ける掘削部材を、上部にテーパ状の部分を有するスクリュー状の部材により構成するために、掘削部材を引き上げる動作を行うことにより、上側のテーパ状の部分が掘削孔の内部の土を孔壁に押圧する作用を行い、軟弱な地質の部分に対しては特に孔壁を強化することができる。そして、掘削部材の下部に注入する注入材料の圧力により掘削部材に対して上昇させる方向に背圧を付与するが、その注入材料の圧力が大きくないために、掘削孔の孔径を広げたりすることなしに、一体の径の現場打ち杭を構築することができる。
【0010】
さらに、掘削部材をウインチ装置により引き上げる際には、注入材料の注入量に対応する速度でウインチ装置を駆動するので、ウインチ装置の駆動のために必要とされる動力を少なくすることが可能であり、掘削部材の引上げの速度を特に高速に設定する必要もない。そして、本発明の基礎モルタル杭造成工法は、その装置を小型に構成出来るために、小規模の工事に対して容易に対応が可能であり、機動性を向上させ得るものとなる他に、騒音等が発生することを防止出来るので、住宅密集地での工事を容易に行うことができる。前記工法に加えて、杭を施工する地盤が軟弱地盤であったりして、杭の支持力を良好に発揮し得ない場合には、掘削孔の下部に対して圧力を高くした注入材料を注入して、球根状の膨大部を形成する作用を行わせるようにする。その後に、前記膨大部の上部には一定の圧力で注入材料を供給しながら、掘削部材の引上げ速度を設定して、一定の径の杭を造成するような施工を行うことができ、杭の支持強度を良好に発揮させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図示された実施例にしたがって、本発明の基礎モルタル杭造成工法に用いる装置の構成を説明する。図1に示す作業装置1は、クローラクレーンまたはショベル装置等のような自走式作業車両2と、前記車両2に上下の支持アーム部材3、4を介して支持され、下端部に脚部材11を設けたガイドポスト10と、前記ガイドポスト10に沿って上下動する駆動ヘッド部材20とから構成される。前記ガイドポスト10に支持される駆動ヘッド部材20は、一般のスクリュー掘削装置の場合と同様に、中空ロッド21を駆動する駆動部材を有するもので、前記中空ロッド21を中空なロッドとして構成し、駆動ヘッド部材に設けたスイベルを介して供給ホース35から供給される注入材料を、掘削部材23の下部に設けた噴出孔より排出させるように構成している。また、前記駆動ヘッド部材20は、図示を省略した案内手段により、ガイドポスト10に沿って上下動方向する動作を、車両に設けたウインチ装置5によりワイヤ6を用いて行うように構成している。
【0012】
前記ワイヤ6は、ウインチ装置5からガイドポスト10の頂部に配置する頂部支持部材12を介して、駆動ヘッド部材20に接続されるが、前記頂部支持部材12の案内シーブと駆動ヘッド部材20の接続部との間には、2つのシーブ14、14aに掛け回した増力部13を設けて、ウインチ装置の弱い力を増大させる手段を構成している。また、前記車両2に設けるウインチ装置5と、駆動ヘッド部材20に配置するロッド駆動用の駆動源は、車両に設けた油圧ポンプからの出力を用いることができるもので、前記駆動ヘッド部材20の油圧モータを駆動して掘削部材が孔を掘削する。また、ウインチ装置を使用して駆動ヘッド部材を引き上げる際には、駆動ヘッド部材のモータを回転することはない。
【0013】
前述したように構成される装置において、駆動ヘッド部材20を下降させる動作を行う場合には、掘削部材のスクリューを掘削方向に回転させることにより容易に推進させることができるので、ウインチ装置からはワイヤを繰り出すのみで、駆動ヘッド部材20や掘削部材23および中空ロッド21の重量により容易に下降する。これに対して、掘削部材23を掘削孔50の内部で引き上げる際には、ウインチ装置5を駆動してワイヤ6を巻くようにするが、前記駆動ヘッド部材20の上部には増力部13が形成されており、ウインチ装置の弱い駆動力に対して強力な張力を作用させる装置として構成している。さらに、ウインチ装置を作動させて駆動ヘッド部材を上昇させる際には、後述するように、掘削部材23の下部に注入材料を圧送することにより、掘削部材を上に向けて押し上げるような作用を少しだけ付与するようにしている。
【0014】
前記ガイドポスト10に沿って案内される駆動ヘッド部材20と、その下端部に配置される中空ロッド23、ウインチ装置5、および、注入材料の供給装置に対する駆動装置と、各作動装置に対する制御装置の関係は、図2に示されるように構成されている。図2に示す例において、注入材料を供給する装置は、材料を混合するミキシング部30と、駆動装置32に接続されるポンプ31、供給ホース35に向けて注入材料を供給する送出部34を設けた送出し装置33とから構成されるもので、前記送出し装置33とミキシング部30の間には戻しパイプ36を配置している。そして、前記ミキシング部30においては、セメントや水、その他の混合材料をホッパから定量供給し、ポンプ31を用いて送出し装置33に向けて送り出すが、供給ホース35を介して掘削孔に向けて送り出す圧力は、例えば、3kg/cm2 程度の圧力に設定する。
【0015】
前記本発明の装置に対しては、車両本体等に制御装置40を設けており、前記制御装置40においては、掘削する掘削部材23により設定される掘削孔50の孔の径と、ポンプの能力等の情報を入力する入力部41を配置し、その入力された情報により、注入材料の送り出し量の制御情報が設定される。また、前記制御装置に設けたプログラムにしたがって、ポンプを用いて送り出す注入材料の量と、ウインチ装置5を用いてワイヤを巻き上げることにより、掘削部材23を上昇させる速度との2つの制御情報を、各部材に配置する制御部42、43に伝達する装置を構成している。そして、前記制御装置においては、単位時間あたりの注入材料の送り出し量Qと、掘削孔の単位長さ当りの内部容積Aと、掘削部材23の上昇速度Hとの関係を計算して、H=A/Qの関係となるような制御を行いながら、掘削部材の下部に注入材料を供給するとともに、掘削部材を上昇させる動作を行わせるようにする。
【0016】
前述したようにして、一定の径の杭を構築する場合の他に、軟弱地盤に対しては、図4に示すように、球根状の膨大部54を形成した後で、その膨大部の上部の杭を一定の径のものとして構成することも可能である。その場合には、掘削孔の先端部に注入材料を供給する際に、孔の下端部に対して注入材料の圧力を見ながら、手動制御により高圧で注入する手法を用いるもので、地盤の強度等の情報にもとづいて、膨大部が形成できるような圧力を手動で調整し、前記膨大部54の太さと長さとを任意に設定する。その後に、前記膨大部の上部に対しては、注入材料の量と掘削部材の引上げ速度とを制御装置により自動的に調整しながら、掘削部材の下部に注入材料を供給するとともに、掘削部材を上昇させる動作を行わせ、杭を構築する作業を行う。
【0017】
【実施例】
前記掘削部材23は、図3に示すような装置として構成することができるもので、中空ロッド21の下端部に直接固定配置されるか、または任意の接続手段を用いて掘削部材23を取り付けている。前記掘削部材23には、中空ロッドと同一の径に構成される中空なロッド部材の回りに、スクリュー状のフライト24を所定のピッチで取り付けているが、掘削部材の上端部から長さL1の区間は、前記フライトの突出量が次第に増大するようにして、小径部から大径部に移行させる上テーパ部25を構成している。また、前記上テーパ部25の下部には、フライト部材24を一定の長さに突出させた大径部26を長さL2の区間に配置し、前記大径部26の下部には掘削刃27を設けている。さらに、前記掘削刃の下部にはロッドの先端部を突出させる状態の下突出部28を長さL3だけ配置し、前記下突出部28には、注入材料を噴出させるための噴出孔29を設けている。
【0018】
前記掘削部材23の試作機において、中空ロッド21の径を10cm、掘削孔の径を30cmとして形成する場合に、L1=45cm、L2=60cm、L3=10cmとして構成した。また、大径部26の径Dは、中空ロッド21の径D1に対して2.5〜3倍に構成し、上テーパ部25の表面の接線と中空ロッドとのなす角度を10〜15°に設定した。そして、そのように構成したことにより、以下に説明するように、掘削部材をウインチ装置により引き上げる際に、孔壁に対して掘削土を押圧して、孔壁を強化する作用を良好に行い得ることが判明した。
【0019】
つまり、本発明の掘削部材23を上昇させる際には、駆動ヘッド部材に設けた駆動部材を停止させた状態で、ウインチ装置を駆動してワイヤにより上昇させるようにするもので、その際には、図4に示すように、掘削孔50の孔壁51に対して、掘削部材23を上昇させる動作により、掘削した土52を上テーパ部25の斜面部が孔壁51に向けて押圧する動作を行い、壁の土を圧密させて強化する。なお、前述したようにして、掘削部材を上昇させる際には、掘削部材の上昇速度が非常に低速であることと、上部の土の孔壁に対する摺動抵抗が非常に大きい値となることから、掘削した土52が掘削部材とともに上昇して掘削孔の外に排出されることはない。そして、前記掘削部材23の上テーパ部25が次第に上昇されることにより孔壁51を強化する作用を行い、掘削孔50を作成した地盤に軟弱な部分があっても、その軟弱な部分を掘削した土により集中的に強化する作用を行うことが可能である。したがって、前述したようにして孔壁を強化することにより、掘削部材の下部に注入する注入材料が、孔の壁の弱い部分で、孔径を増大させるような不都合が生じることを防止しながら、ほぼ均一な径の現場打ち杭を作成することができる。
【0020】
前述したような構成の掘削部材を用いる場合に、掘削部材を上昇させるためのウインチ装置5においては、増力部13に配置する2つのシーブの間に掛け渡すワイヤの数により、掘削部材の引上げに必要とされる力を減少さることができるので、ウインチ装置の出力を大きい値として設定する必要はない。また、掘削部材の引上げ抵抗が何等かの理由により、非常に大きい値となる場合には、掘削部材を非常に低速で掘削時と反対方向に駆動する動作を併用することもできる。そして、掘削部材を低速で駆動する動作を合わせて行う場合には、引っ掛かっている礫や異物等を孔壁の弱い位置まで移動させて、孔壁に向けて押圧して固定させる動作を行わせることが可能であり、そのような不都合が解消したと判断された後では、掘削部材の駆動を停止して上テーパ部により土を孔壁に向けて押圧しながら、上昇させる動作を繰り返すようにする。
【0021】
なお、前記本発明の実施例において、掘削部材の各部分の構成は、前記数値に限定されるものではなく、掘削孔を作成する地盤の状態に応じて、上テーパ部に形成するテーパ角度を設定することが可能である。また、注入材料を供給する際の圧力等の条件も、掘削部材を引き上げる際の土の抵抗の大きさと、地盤を構成する土の性質等の条件(これらの条件は、ボーリングのサンプルによりあらかじめ判明している条件である)により、任意に設定することが可能であり、複数の施工のデータを基にして、制御装置に設定するプログラムを適宜変更して実施することが可能である。
【0022】
【発明の効果】
本発明の基礎モルタル杭造成工法は、前述したような装置を使用し、制御装置に設定した条件にしたがって装置の動作を制御するものであるから、掘削孔の径に対応する注入材料の注入量を設定する入力部を、各作動装置の動作を制御する制御装置に配置し、前記制御装置により注入材料の注入量とウインチ装置の駆動をそれぞれ制御する制御部を制御することにより、現場打ち杭の構築の作業を容易に行うことができる。また、本発明の掘削部材は、中空ロッドの先端部に設ける掘削部材を、上部にテーパ状の部分を有するスクリュー状の部材により構成するために、掘削部材を引き上げる動作を行うことにより、上側のテーパ状の部分が掘削孔の内部の土を孔壁に押圧する作用を行い、軟弱な地質の部分に対しては特に孔壁を強化することができる。そして、掘削部材の下部に注入する注入材料の圧力により掘削部材に対して上昇させる方向に背圧を付与するが、その注入材料の圧力が大きくないために、掘削孔の孔径を広げたりすることなしに、一体の径の現場打ち杭を構築することができる。
【0023】
さらに、掘削部材をウインチ装置により引き上げる際には、注入材料の注入量に対応する速度でウインチ装置を駆動するので、ウインチ装置の駆動のために必要とされる動力を少なくすることが可能であり、掘削部材の引上げの速度を特に高速に設定する必要もない。そして、本発明の基礎モルタル杭造成工法は、その装置を小型に構成出来るために、小規模の工事に対して容易に対応が可能であり、機動性を向上させ得るものとなる他に、騒音等が発生することを防止出来るので、住宅密集地での工事を容易に行うことができる。前記工法に加えて、杭を施工する地盤が軟弱地盤であったりして、杭の支持力を良好に発揮し得ない場合には、掘削孔の下部に対して圧力を高くした注入材料を注入して、球根状の膨大部を形成する作用を行わせるようにする。その後に、前記膨大部の上部には一定の圧力で注入材料を供給しながら、掘削部材の引上げ速度を設定して、一定の径の杭を造成するような施工を行うことができ、杭の支持強度を良好に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の作業装置の構成を示す説明図である。
【図2】 本発明の構成部材と制御装置との関係を示す説明図である。
【図3】 本発明の掘削部材の構成の説明図である。
【図4】 掘削部材を上昇させる際の土の圧密の作用の説明図である。
【符号の説明】
1……作業装置、 2 作業車両、 5 ウインチ装置、
10 ガイドポスト、 13 増力部、 20 駆動ヘッド部材、
21 中空ロッド、 23 掘削部材、 25 上テーパ部、
26 大径部、 27 掘削刃、 30 ミキサー、
31 ポンプ、 33 送出し装置、 40 制御装置、
42・43 制御部、 50 掘削孔、 51 孔壁、
53 充填部。
Claims (3)
- ウインチ装置により支持されて、ガイドポストに沿って上下動可能に設けられる頂部支持部材と、
前記頂部支持部材に支持されて駆動装置により回転される中空ロッドと、前記中空ロッドの下部に設ける掘削部材と、
前記頂部支持部材を介して供給される注入材料を、前記中空ロッドを介して掘削部材の下部に設けた孔から噴出させる手段と、を設け、さらに、
前記注入材料の供給量を制御する制御部と、前記ウインチ装置の駆動を制御するための制御部とを設けた制御装置を組み合わせて設け、
前記制御装置においては、掘削孔に注入する注入材料の量の情報にしたがって掘削部材の引上げ速度を設定するとともに、
前記中空ロッドの下端部に設ける掘削部材は、
前記中空ロッドとの取付部から大径部との間に設けるフライト部材を、下部に向けて径が次第に大きくなるようにテーパ状に形成した上テーパ部と、
前記大径部の下端部に設ける掘削刃と、
前記掘削刃の下部に中空ロッドの延長部分として設ける下突出部と、
前記下突出部に設ける注入材料噴出用の噴出孔と、を設けて構成し、
前記掘削部材の下部から注入材料を噴出させながら、掘削部材を回転させずに上昇させる動作により、前記掘削部材の上テーパ部により、前記掘削孔の土を孔壁に圧密させる作用を行うことを特徴とする基礎モルタル杭造成工法。 - 前記掘削部材の下部の掘削孔に注入材料を供給しながら、掘削部材を回転させずに上昇させる動作を行うに際して、
前記制御装置においては、掘削孔の下部に対して注入材料の圧力を高くして供給する制御を行い、球根状の膨大部を形成させるとともに、
前記膨大部の上部に対しては、掘削孔に注入する注入材料の量の情報に応じて、掘削部材の引上げ速度を設定し、注入材料を一定の圧力で注入する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の基礎モルタル杭造成工法。 - 前記制御装置には、掘削部材により作成される掘削孔の径の情報を、入力部を介して入力する手段を設け、
注入材料の供給量の情報に対応させて掘削部材を上昇させる速度を制御するとともに、充填部内部での注入材料の圧力を一定に維持させる制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の基礎モルタル杭造成工法。
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