JP4679465B2 - スパイラルロッド及びこれを用いた構造体の構築方法 - Google Patents

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本発明は、地盤強化のためのソイルセメントコラムやモルタル杭及びコンクリート杭や液状化防止のためのドレーン体といった柱状構造体を地盤中に埋設する際に用いるスパイラルロッドとこれを用いた構造体の構築方法に関する。
埋立地や海、河川周辺の地盤は、緩い砂地盤からなり、地震発生時には液状化して該地盤上の建物や道路などの構造物の損傷や破壊を招いてしまうため、予め液状化防止手段を講じる必要がある。
特許文献1には、上記したような液状化の恐れのある地盤に柱状のドレーン体を形成して、周面支持力を得ると同時に、地震発生時に地盤中の過剰間隙水圧を逸散させて液状化を抑止する方法が開示されている。この方法では、中空で先端が開放可能なケーシングを地盤中の所定の深さまで圧入し、次いでケーシング内にドレーン材を充填し、その後、ケーシングの先端を開放してケーシング内のドレーン材を削孔内に残しながらケーシングを引き上げ、ドレーン体を構築する。この方法で用いられるケーシングの外側には、ケーシングの圧入を促進するために連続した螺旋状の搬送スクリュが付設されており、ケーシングの圧入時には該ケーシングを軸周りに正転させることで、該搬送スクリュを介して削孔内より土砂を外部に搬送、排除している。
しかしながら、特許文献1の方法では、地盤中の土砂を外部に排除しながらケーシングを圧入するため、排除された残土の処理が必要となる。また、ケーシング圧入後にケーシング内にドレーン材を供給して充填するため、ドレーン材の充填密度が不均一になるという問題があった。
そこで本出願人は、連続した螺旋状の搬送スクリュを備えたスパイラルロッドを、搬送スクリュの搬送方向がスパイラルロッドの圧入方向と一致するように、即ち従来とは逆方向にスパイラルロッドを回転させて、スパイラルロッドを圧入すると同時に搬送スクリュによってドレーン材を削孔内に供給する工法を提案した。この工法では、搬送スクリュの搬送方向がスパイラルロッドの圧入方向であるため、スパイラルロッドの圧入で押しのけられた土砂が外部に排出されず、残土が発生しない上、削孔が形成されると同時にドレーン材が充填されるため、ドレーン材の充填密度が均一で且つ高密度であり、スパイラルロッドで押しのけた土砂によって密に形成された削孔内壁と相俟って強度に優れたドレーン体が構築される。
特開2000−160545号公報
上記したように、本出願人は残土が発生せず、均一で強度に富んだドレーン体の構築方法を提案したが、このような方法は軟らかい地盤であれば良好に実施することができるが、硬い地盤ではスパイラルロッドの圧入が困難になり、軟らかい地盤と硬い地盤とが交互に堆積したような互層地盤においては、スパイラルロッドの圧入速度が均一になりにくく、ドレーン体の充填密度にバラツキを生じ易いという問題があった。
本発明の課題は、上記問題を解決し、スパイラルロッドの圧入と同時にバラ荷を供給して構造体を構築する方法において、硬い地盤であっても良好にスパイラルロッドの圧入が可能で、軟らかい地盤と硬い地盤とが交互に堆積したような互層地盤においても一定の速度で圧入して均一な構造体を構築する方法及び該方法に用いられるスパイラルロッドを提供することにある。
本発明の第1は、後端から先端部近傍まで、搬送スクリュを備え、
先端部のみ、上記搬送スクリュとは巻き方向が逆向きの先端ビットを備えたことを特徴とするスパイラルロッドである。
本発明の第2は、スパイラルロッドを用いて地盤中に構造体を構築する方法であって、
上記本発明のスパイラルロッドを、搬送スクリュの搬送方向が該スパイラルロッドの圧入方向と一致するように回転させながら地盤中に圧入すると共に、バラ荷を搬送スクリュに供給して圧入方向に搬送する圧入工程と、
スパイラルロッドの先端が所定の深さにまで達した後、バラ荷を搬送スクリュに供給しながら該スパイラルロッドを圧入時と同じ方向に回転させながら引き上げる引き上げ工程とを有することを特徴とする。
本発明のスパイラルロッドは、互いに巻き方向が逆の搬送スクリュと先端ビットとを備えているため、該スパイラルロッドを回転させながら地盤に圧入する際に、該先端ビットによって硬い地盤であっても容易に掘削することができ、該掘削で排除された土砂は搬送スクリュによって供給されたバラ荷と共にスパイラルロッドから離れる方向に押しやられるため、強固な削孔内壁を形成することができる。よって、本発明によれば、硬い地盤、さらには軟らかい地盤と硬い地盤とが交互に堆積したような互層地盤であっても一定速度でスパイラルロッドの圧入を行うことができ、バラ荷を均一に且つ密に充填して、均一で強固な構造体を構築することができる。
本発明により構築する構造体とは、所定の間隙を介してバラ荷が充填された透水性を有するドレーン体、セメント等の水硬性のバラ荷を充填した後に硬化させてなる地盤強化用の杭などであり、柱状或いは壁状のいずれも構築することができる。
本発明の構造体の構築方法を図1を参照して説明する。図中、1はスパイラルロッド、2は搬送スクリュ、3はホッパー、4はバラ荷、5は地盤、6は削孔、7は構造体である。また、図2に本発明で用いられるスパイラルロッドの拡大図を示す。図2(a)は図1の工程で用いたスパイラルロッドであり、図2(b)は他の構成例である。図2中、12は最大径スクリュ、13は先端ビットである。
本発明のスパイラルロッド1は、図2に示すように、後端から先端部近傍まで搬送スクリュ2を備え、また、先端部には、該搬送スクリュ2と巻き方向が逆の先端ビット13を備えている。先端ビット13の具体的な構造としては、図2(a)の如く螺旋状のスクリュや、図2(b)に示すように、傾斜方向が搬送スクリュ2の巻き方向とは逆方向となるように付設した羽根などが挙げられる。また、図2の構成例では、搬送スクリュ2の先端側の端部の外径が他の部分よりも大きくなっており、当該スパイラルロッド1の最大径スクリュとなっている。
先ず、本発明のスパイラルロッド1を地盤5に圧入する〔図1(a)〕。この時、スパイラルロッド1を囲むようにホッパー3を配設し、ホッパー3内にバラ荷4を収納しておく。この状態で、スパイラルロッド1を、搬送スクリュ2の搬送方向が圧入方向(矢印B方向)と一致するように回転(矢印A方向)させながら圧入する。即ち、図1において、スパイラルロッド1の後端から見た場合、搬送スクリュ2はスパイラルロッド1後端から先端に向かって時計回りに形成されており、該スパイラルロッド1を図1(a)に示すようにスパイラルロッド1の後端から見て反時計回りに回転させた場合、搬送スクリュ2の搬送方向はスパイラルロッド1の後端から先端に向かう方向となり、スパイラルロッド1の圧入方向と一致する。即ち、通常、地盤を掘削する際に回転させて圧入を容易にするために搬送スクリュ2を利用する場合とは逆方向に回転させることになり、これにより、ホッパー3内に収納されたバラ荷4が搬送スクリュ2に供給され、圧入方向、即ちスパイラルロッド1の先端に向かって搬送される。
一方、本発明のスパイラルロッド1の先端部には、搬送スクリュ2と巻き方向が逆の先端ビット13が付設されているため、硬い地盤であっても該先端ビット13によって容易に掘削され、土砂がスパイラルロッド1の後端に向かって排除される。先端ビット13によって後方に搬送された土砂は、搬送スクリュ2によって供給されたバラ荷4と最大径スクリュ12付近でぶつかり合い、共にスパイラルロッド1から離れる方向に押しやられ、結果として強固な削孔内壁を形成する。
本発明において、スパイラルロッド1の先端部に付設した先端ビット13は、地盤を掘削し、土砂を排除するための部材であるため、地盤に食い入りやすいように外径が小さい方が好ましく、図2に示すように、スパイラルロッド1の先端の円錐形に沿って搬送スクリュ2よりも外径が小さくなるように形成される。
スパイラルロッド1の先端が所定の深さまで達した時点〔図1(b)〕で、スパイラルロッド1の圧入で形成された削孔6内壁とスパイラルロッド1との間隙にはバラ荷4が充填されている。この状態でスパイラルロッド1を引き上げるが、その際、スパイラルロッド1の圧入時と同じ方向にスパイラルロッド1を回転させる(矢印A方向)。即ち、搬送スクリュ2の搬送方向はスパイラルロッド1の引き上げ方向(矢印B’)とは逆方向となる〔図1(c)〕。よって、スパイラルロッド1を引き上げながらも搬送スクリュ2には引き続きバラ荷4が供給され、スパイラルロッド1の先端部においては、該先端が引き上げられると同時にバラ荷4が供給されるため、バラ荷4が密に且つ均一に連続充填された構造体7が完成する〔図1(d)〕。
本発明において用いられるバラ荷4としては、ドレーン体を構築する場合であれば砂や礫、多孔質の粒状体、廃プラ等が好ましく用いられる。また、地盤強化のために硬質の構造体を構築する場合には、水硬性のバラ荷を用いることが好ましく、具体的にはセメント、石灰等の水硬性成分と砂や石などの骨材とを組み合わせて用いる。また、このような水硬性のバラ荷は乾燥状態で充填された後、周囲の地下水の浸出によって硬化させるか、或いは、スパイラルロッド1の内部に水の供給路を設けておき、スパイラルロッド1の引き上げ時に削孔6内に水を供給して硬化させても良い。さらに、バラ荷に鉄粉を含ませておくことにより、周囲の土壌から浸出する地下水に含まれるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロエタンなどの有機塩素系化合物を、鉄粉による還元分解或いは鉄粉が触媒として作用する脱塩化水素反応によって、無害化することができる。
尚、上記工程によって構築される構造体はスパイラルロッドの形状に対応して柱状であるが、図1の工程をスパイラルロッドの圧入位置をずらしながら行うことにより、柱状の構造体が平行に複数本並んだ壁状の構造体を構築することができる。また、このような壁状の構造体を構築する場合には、本発明のスパイラルロッドを複数本同時に用いることで効率よく壁状に構築することができる。用いるスパイラルロッドの本数は2本以上、好ましくは3本である。
図3に、本発明のスパイラルロッドを3本同時に用いる場合の圧入工程を示す。図3に示すように、複数本のスパイラルロッド1a〜1cを同時に用いる場合には、隣接するスパイラルロッド1aと1b、及び1bと1cの回転方向が互いに逆方向になるように回転させながら行う。そのため、スパイラルロッド1aと1c、及び、1bの搬送スクリュ2の巻き方向は逆に構成されている。このように、回転方向を互い違いに設定することによって、隣接するスパイラルロッド1aと1b、1bと1c間の土砂がスパイラルロッド間より効率よく排除される。
また、図3の工程によって、3本の柱状の構造体が並んだ壁状の構造体が得られるが、係る壁状の構造体に壁の厚さが極端に薄い箇所が生じる、或いは、隣接する柱の間に間隙が生じるのを防止するために、図4に示すように、各スパイラルロッドの形成する削孔6a〜6cが互いに重複するように、スパイラルロッド1a〜1cを配置することが好ましい。また、その際には、スパイラルロッド1a〜1cの外側に取り付けた搬送スクリュ2が互いに接触しないように上下にずらせて配置することが望ましい。例えば、図2に示した搬送スクリュ2の先端の外径が最大径スクリュ12となっている場合には、該最大径スクリュ12が互いに接触しないように、図3に示したように複数本のスパイラルロッド1a〜1cを上下方向にずらせて配置することにより、図4に示したように各スパイラルロッドの形成する削孔6a〜6cを互いに重複させ、壁の厚さが均一な壁状構造体を構築することができる。
本発明の構造体の構築工程を示す模式図である。 本発明のスパイラルロッドの構成例を示す図である。 本発明において複数本のスパイラルロッドを同時に用いる場合の圧入工程を示す模式図である。 図3の工程で形成される削孔の横断面模式図である。
符号の説明
1,1a〜1c スパイラルロッド
2 搬送スクリュ
3 ホッパー
4 バラ荷
5 地盤
6,6a〜6c 削孔
7 構造体
12 最大径スクリュ
13 先端ビット

Claims (3)

  1. 後端から先端部近傍まで、搬送スクリュを備え、
    該搬送スクリュは、当該搬送スクリュの先端部のみに、当該スパイラルロッドの最大径である1条分の拡大羽根が形成された螺旋羽根であり、
    上記搬送スクリュよりも掘削先端側に、上記搬送スクリュとは巻き方向が逆向きの先端ビットを備えたことを特徴とするスパイラルロッド。
  2. 先端ビットの外径が搬送スクリュの外径よりも小さい請求項1に記載のスパイラルロッド。
  3. スパイラルロッドを用いて地盤中に構造体を構築する方法であって、
    請求項1乃至のいずれかに記載のスパイラルロッドを、搬送スクリュの搬送方向が該スパイラルロッドの圧入方向と一致するように回転させながら地盤中に圧入すると共に、バラ荷を搬送スクリュに供給して圧入方向に搬送する圧入工程と、
    スパイラルロッドの先端が所定の深さにまで達した後、バラ荷を搬送スクリュに供給しながら該スパイラルロッドを圧入時と同じ方向に回転させながら引き上げる引き上げ工程とを有することを特徴とする構造体の構築方法。
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