JP3759235B2 - 中掘工法における施工管理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は中掘工法における施工管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から地中に基礎杭を造成する工法として、中空杭にオーガスクリューを挿入し、このオーガスクリューにより地盤を掘削しつつ中空杭を予定の深さまで建込み、その後中空杭の先端にセメントモルタルにより球根を造成するようにする中掘工法が広く実施されている。
【0003】
従来の上記中掘工法に用いられる装置(中掘用杭打機)は、図5にその一例を示すように、リーダマスト1にワイヤ2により吊持されて昇降自在に装着されたシーブブロック3に、駆動部昇降用油圧シリンダ4を介してオーガスクリュー駆動装置5が昇降自在に支持され、この駆動装置5の下部に杭キャップ6が装着された構造となっており、この杭キャップ6に保持された中空杭7内にオーガスクリュー8が挿通されるようになっている。
【0004】
上記オーガスクリュー8の先端のオーガヘッド9により地盤を掘削しつつ中空杭7を所定の深さまで建込んだのち、駆動部昇降用油圧シリンダ4によりオーガスクリュー8のみを低速でかつ一定速度で上下動させながらオーガヘッド9の先端に設けられた噴射口から側方にセメントミルクを高圧で噴射し、中空杭7の先端部分の地盤を拡大掘削するとともに掘削土砂とセメントミルクとを撹拌混合し、中空杭7の先端に球根を造成するようになされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記従来の装置では、前記駆動部昇降用油圧シリンダ4の伸縮速度を一定に設定したとしても、中空杭7の先端地盤の硬軟等、種々の条件によってばらつきが生じる。このように伸縮速度にばらつきが生じると、オーガスクリュー8の上下動が一定でなくなり、その結果、オーガヘッド9から噴射されるセメントミルクのジェット流による掘削や撹拌混合が不均一となって良好な球根を形成することが不可能になるという問題を生じる。
【0006】
そこで従来では、駆動部昇降用油圧シリンダ4への作動油供給回路10中に絞り弁11を設けるようにし、この絞り弁11を手動により操作して上記油圧シリンダ4への油量を調整し、速度を一定に保つようになされているが、このような調整作業はきわめて煩雑であるばかりでなく、作業員の勘に頼ることになるので精度的にも低いものとならざるを得なかった。またオーガスクリュー8の回転数を手動操作により一定に保つことについても同様なことがいえる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、中掘用杭打機を用いての中掘工法において、中空杭の先端に均質な球根を造成することができるようにすることを課題としてなされたもので、リーダマストに昇降自在に装着されたシーブブロックと、このシーブブロックに駆動部昇降用シリンダを介して昇降自在に垂設されたオーガスクリュー駆動装置と、この駆動装置の下部に装着された杭キャップとを具備し、前記オーガスクリューにより中空抗を掘削し、前記中空抗の下端に前記オーガスクリューの先端のオーガヘッドからセメントミルクを噴射して球根部を造成する中掘用杭打機において、前記駆動部昇降用油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出装置と、この検出装置により検出されたストロークに基づいて前記油圧シリンダの伸縮速度を算出する演算装置と、前記演算装置により算出された伸縮速度と予め設定された伸縮速度とを比較しながら、前記球根造成部の範囲を前記オーガヘッドが上下動する間、前記オーガスクリューが一定速度で上下動するように前記油圧シリンダへの作動油供給源である可変容量型ポンプの流量を制御する制御装置と、前記球根造成部の範囲での前記オーガヘッドの上下動と連動して前記オーガスクリューの回転を制御するオーガスクリュー回転制御装置と、を具有することを特徴とする。
【0008】
上記オーガスクリュー回転制御装置は、さらに球根の形成を良好にするための手段として、前記オーガスクリュー駆動装置を無段変速モータとし、前記オーガスクリューの回転数を検出する回転数検出装置を備え、この検出装置により検出されたオーガスクリューの回転数と予め設定された回転数とを比較して両者の値の差が予め設定された範囲内になるよう前記無段変速モータの回転数を制御する制御装置を備えしめることがより一層好ましい。
【0009】
【発明の実施の態様】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態の全体構成を示し、図2はその要部を拡大して示しており、中掘用杭打機の基本構成は図5の従来のものと同様に、ベースマシン12に立設されるリーダマスト1の外側面のガイドレール1aにそってオーガスクリュー駆動装置5が昇降自在に装着され、ワイヤ2により吊持されたシーブブロック3に駆動部昇降用油圧シリンダ4により支持されている。またこのオーガスクリュー駆動装置5の下部には打撃力を発生させるモンケン装置13および中空杭7の上端に被さる杭キャップ6が図示しないワイヤ等を介してオーガスクリュー駆動装置5に吊持され、前記ガイドレール1aにそって昇降自在に装着されており、中空杭7の建込み時には中空杭7上に乗るようになっている。そして前記モンケン装置13および杭キャップ6、中空杭7にはオーガスクリュー8が挿通自在とされている。
【0011】
前記オーガスクリュー駆動装置5には、図2に示すように、前記駆動部昇降用油圧シリンダ4のストロークを検出するストローク検出装置14が設けられている。このストローク検出装置14は、図示の実施形態ではシーブブロック3の下部に結着された検出用ワイヤ15がポテンショメータ16の回転輪を経由してワイヤドラム17に巻取られ、オーガスクリュー駆動装置5の上下方向の移動量を検出用ワイヤ15の巻出し量としてとらえ、ポテンショメータ16によりその長さを検出するようになされている。なおこのストローク検出装置14は、ワイヤを使用したものに限らず、オーガスクリュー駆動装置5の移動量を回転体の回転数として取出し、その回転をパルス信号によりカウントして検出するものなど、適宜な手段を採用することができる。
【0012】
またオーガスクリュー駆動装置5には、オーガスクリュー8の回転数を検出する回転数検出装置18が設けられている。この回転数検出装置18としては、例えば当該駆動装置5内のモータ(無段変速モータ、インバータモータ)の出力軸にロータリエンコーダを取付け、これにより出力軸の回転数を検出するものなどが用いられる。
【0013】
前記ストローク検出装置14には、周波数変換器19、インバータ20を介して制御装置21(CPU)が接続され、この制御装置21には、前記ストローク検出装置14からの検出信号14a、前記回転数検出装置18からの検出信号18aがそれぞれ入力される。
【0014】
前記制御装置21は、前記ストローク検出装置14からの検出信号14aに基づき前記駆動部昇降用油圧シリンダ5の伸縮速度を算出する演算装置を備え、この演算装置により算出された伸縮速度と予め設定された伸縮速度とを比較して前記駆動部昇降用油圧シリンダ4への作動油供給源である可変容量型ポンプ22のモータ23を制御して流量を調整する機能を有している。なおこのモータ23に代えて油圧シリンダ等のアクチュエータであってもよい。
【0015】
また前記回転数検出装置18からの検出信号18aに基づきオーガスクリュー8の回転数と予め設定された回転数とを比較して両者の値の差が予め設定された範囲内になるようモータ(無段変速モータ)の回転数を制御する機能を有している。
【0016】
前記モンケン装置13を含む杭キャップ6は、図示しないが通常のようにワイヤにより下方へ引き下げる力が与えられるようになっている。
【0017】
したがって中空杭7の建込み時には、シーブブロック3を上昇させてオーガスクリュー駆動装置5およびこれにワイヤにより吊持されたモンケン装置13、杭キャップ6を上昇させ、杭キャップ6の下にオーガスクリュー8を挿通した中空杭7を設置してシーブブロック3を下げ、オーガスクリュー8にモンケン装置13および杭キャップ6を通したのちオーガスクリュー8の上端をオーガスクリュー駆動装置5の出力軸に連結するとともに中空軸7の上端に杭キャップ6を被せ、オーガスクリュー8を回転駆動してその下端のオーガヘッド9により地盤を掘削しつつ中空杭7を自重あるいはモンケン装置13により叩打して圧入して行き、所定の深さまで建込む(図3(A))。
【0018】
中空杭7が所定の深度に到達したら中空杭7の圧入を停め、オーガスクリュー8を所定の回転数で回転させながら低速かつ一定速度で上下動させ、オーガヘッド9の下端の噴射口から側方へ向け高圧水を噴射し、中空杭7の下端より下位の周囲の地盤を掘削する(図3(B)→(C))。
【0019】
オーガスクリュー8の上下動を繰返して高圧水による掘削径を徐々に拡大し、その後高圧水をセメントミルクに代えてセメントミルクと掘削土砂との撹拌混合を行う(図3(D))。これにより中空杭7の下端に大径の球根が形成される(図3(E))。
【0020】
上記のようにして球根を造成する際に良好な球根が形成されるよう下記のような制御が行われる。その球根造成作業(根固め)を図4に示すフローチャートを参照して説明する。
(1) 先ず中空杭7の杭径、施工地盤等の諸条件に基づいて、オーガスクリュー8の上下動速度、回転数、上下動繰返し回数、球根長さ等を初期設定する(ステップS1 )。
(2) 駆動部昇降用油圧シリンダ4の伸長速度とオーガスクリュー8の回転数の制御を開始する(ステップS2 )。
(3) 駆動部昇降用油圧シリンダ4に伸長または短縮の指令が出され、オーガスクリュー8の回転数を低速(例えば10rpm)にする(ステップS3 )。
(4) 駆動部昇降用油圧シリンダ4の伸長速度の制御を行う(ステップS4 )。
(5) 駆動部昇降用油圧シリンダ4の伸長速度が予め設定された速度の範囲内か否かの比較を行う(ステップS5 )。
(6) 駆動部昇降用油圧シリンダ4の伸長速度が地盤の硬軟等の理由により上記設定範囲から外れている場合は、該油圧シリンダ4への圧油を供給している可変容量型ポンプ22の吐出流量を油圧シリンダ4の伸縮速度が前記設定速度の範囲内に戻るよう増減する(ステップS6 )。
(7) オーガスクリュー8の回転数が予め設定された回転数の範囲内か否かの比較を行う(ステップS7 )。
(8) オーガスクリュー8の回転数が設定範囲から外れている場合は、インバータ20の周波数を増減させてモータの回転数を変え、設定範囲内に戻るよう制御する(ステップS8 )。
(9) 伸縮速度および回転数の上記判定後、オーガヘッド9の下端が球根の上下方向長さに達しているかを判断し(ステップS9 )、オーガヘッド9が球根造成部の上下端に至るまで上記ループを繰返す。
(10) オーガヘッド9が球根造成部の上下端に達した場合は、上下動を所定回数(例えば3回)行ったかを判断し(ステップS10)、これが満たされるまで上記制御を繰返す。
(11) 上下動が所定回数に達したとき制御が終了となる(ステップS11)。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、中空杭の下端に球根を造成するときオーガスクリューを低速かつ一定速度で上下動させることが自動的になされるので、径大の球根部の掘削はもちろん、掘削土砂とセメントミルクとの撹拌混合を十分にしかも精度良く行うことができる。
【0022】
また請求項2に記載の発明によれば、上記球根造成時にオーガスクリューを常に一定回転数で回転させることができるので、請求項1に記載の発明よりさらに球根部の掘削および掘削土砂とセメントミルクとの撹拌混合効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成例を示す側面図。
【図2】同、要部の拡大図。
【図3】(A)〜(E)は球根造成過程を示す説明図。
【図4】動作のフローチャート。
【図5】従来の技術を示す側面図。
【符号の説明】
1 リーダマスト
2 ワイヤ
3 シーブブロック
4 駆動部昇降用油圧シリンダ
5 オーガスクリュー駆動装置
6 杭キャップ
7 中空杭
8 オーガスクリュー
9 オーガヘッド
13 モンケン装置
14 ストローク検出装置
16 ポテンショメータ
18 回転数検出装置
22 可変容量型ポンプ
Claims (2)
- リーダマストに昇降自在に装着されたシーブブロックと、このシーブブロックに駆動部昇降用シリンダを介して昇降自在に垂設されたオーガスクリュー駆動装置と、この駆動装置の下部に装着された杭キャップとを具備し、前記オーガスクリューにより中空抗を掘削し、前記中空抗の下端に前記オーガスクリューの先端のオーガヘッドからセメントミルクを噴射して球根部を造成する中掘用杭打機において、
前記駆動部昇降用油圧シリンダのストロークを検出するストローク検出装置と、
この検出装置により検出されたストロークに基づいて前記油圧シリンダの伸縮速度を算出する演算装置と、
前記演算装置により算出された伸縮速度と予め設定された伸縮速度とを比較しながら、前記球根造成部の範囲を前記オーガヘッドが上下動する間、前記オーガスクリューが一定速度で上下動するように前記油圧シリンダへの作動油供給源である可変容量型ポンプの流量を制御する制御装置と、
前記球根造成部の範囲での前記オーガヘッドの上下動と連動して前記オーガスクリューの回転を制御するオーガスクリュー回転制御装置と、
を具有することを特徴とする中掘工法における施工管理装置。 - 前記オーガスクリュー回転制御装置は、オーガスクリュー駆動装置を無段変速モータとし、前記オーガスクリューの回転数を検出する回転数検出装置を備え、この検出装置により検出されたオーガスクリューの回転数と予め設定された回転数とを比較して両者の値の差が予め設定された範囲内になるよう前記無段変速モータの回転数を制御する制御装置を備えている請求項1記載の中掘工法における施工管理装置。
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JP11610496A JP3759235B2 (ja) | 1996-05-10 | 1996-05-10 | 中掘工法における施工管理装置 |
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JPH09302656A JPH09302656A (ja) | 1997-11-25 |
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- 1996-05-10 JP JP11610496A patent/JP3759235B2/ja not_active Expired - Fee Related
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