JP3710032B2 - グロメットシール部の保護部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のドア用ワイヤハーネスの取付けに用いられるグロメットと一体的に用いる構造物であり、詳しくは、ワイヤハーネスの集束端部を、取付具及びグロメツトを通して車両側からドア側板側に配索するための凹部を閉塞するグロメットシール部の保護部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等のドア用ワイヤハーネスの取付け構造は、自動車のドアフレーム内に配装された種々の電装品へ接続されるワイヤハーネスの集束端部を取付具及びグロメツトを介して車両側から引き出してドア側板側に配索するために様々な取付け構造が提案されている。
【0003】
以下、図5を参照して、自動車等のドア用ワイヤハーネスの取付け構造の一例について説明する。
図5に示すワイヤハーネスWの取付け構造51は、ドアフレームAのドア内板部Alとドア側板部A2とにわたって略L状に形成されている凹部52と、この凹部52内に嵌装される取付具60とで構成されている。
取付具60は、内部にワイヤハーネスWを収容するプロテクタ30と、該プロテクタ30を覆い且つワイヤハーネスWを保護しドアフレーム側と車体側とを連結するグロメットシール部61(グロメットG一体的に取り付けられている)とで構成されている。
【0004】
上述のドアフレームA、前掲のごとくドア側板部A2と内板部Alとの両部にわたって略L状の凹部52が形成されている。この凹部52は、例えば、中央に底部54の最も深い深溝部53が形成され、この深溝部53の周辺に底部56が浅く周辺に斜面部57を有する浅溝部55が形成され、この浅溝部55には、複数の固定用ボルトが嵌挿される一対の貫通穴58,58が設けられている。
【0005】
グロメットシール部61は、ゴム等の弾性材料より形成され、内部には必要に応じて金属板または合成樹脂板などのインナー41が一体的にインサート成形されている。このグロメットシール部61の形状は、上述のドアフレームAに形成された凹部52の浅溝部55の形状と略一致するような形状であり、凹部52に嵌装された際、ドアフレームA表面と同一高さになるような厚みに形成されている。
また、グロメットシール部61は、ドアフレームA貫通孔58に相当する位置に固定用ボルト59用の貫通孔63が設けられており、固定用ボルト59によってしっかりとドアフレームAに固定される。
【0006】
なお、浅溝部65周辺の斜面部67に当接するグロメットシール部61の周辺部67の周端面には、必要に応じて例えばリップ状の突起部68が一体的に周設されており、グロメットシール部61を、前述のごとく凹部52に嵌装し固定したときに、この突起部68が斜面部67上に当接することでシール機能を発揮できるように構成されている。
【0007】
しかしながら、上述のグロメットシール部61は、その取り扱い形態に起因して、変形や損傷が発生し易かった。これは、グロメットシール部61を具備した取付具60が、ワイヤーハーネスW装着した半製品の形態で取り扱われることから(例えばケース等に多数重ね合わせられた状態で搬送されるなどして取り扱われることから)、発生するものであった。
【0008】
すなわち、図6に示すように、つば状に大きく張り出したグロメットシール部61には、保管時や取り扱い途中において、ワイヤハーネスWの重量F(重ねられた場合には更に多くの荷重がかかるだけでなく、取付具同士が当接して不測の荷重F)がかかったり、その他、不測の外力が掛かり易いことから、例えば保管部80(収納ケースの底面など)とグロメットシール部61とが当接して、変形状態70が生じる。この変形状態70が長時間ある長期にわたると、グロメットシール部61が例え弾性部材であっても変形や損傷が発生していた。
この変形や損傷が発生すると、グロメットシール部61と凹部52との密着性が低下してしまい、グロメットシール部61のシール機能が低下するという極めて重大な問題が発生する。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、その目的とするところは、グロメットシール部の変形や損傷の発生を防止して、グロメットシール部と凹部との確実な密着性を維持することのできるグロメットシール部の保護部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るグロメットシール部の保護部材は、グロメットが装着される被装着体に形成された凹部を閉塞するグロメットシール部を保護する保護部材であって、前記グロメットシール部の表面を覆う略平坦な平面部と、該グロメットシール部の外周端面を覆うように延びる立壁部と、前記グロメットシール部に形成された孔に着脱自在に嵌合する突起とを備えて成ることを特徴とし(請求項1)、これによって前記目的を達成することができる。
【0011】
また、本発明に係る上記グロメットシール部の保護部材において、
・前記突起が、該突起の径方向への弾性変形を容易にするスリットにて分割された複数片にて構成されたこと(請求項2)、
・前記突起が形成された側とは反対側の面に、把持部が設けられたこと(請求項3)、
を特徴とする。
【0012】
(作用)
本発明に係るグロメットシール部の保護部材は、グロメットシール部の表面を覆う略平坦な平面部により、グロメットシール部の片面のほぼ全面を覆うように保護することができ、さらに、グロメットシール部の外周端面を覆うように延びる立壁部によって、外周端面を保護することができる。また、グロメットシール部に形成された孔に着脱自在に嵌合する突起を備えていることにより、保護部材のグロメットシール部への固定を確実にすることができる(請求項1)。
【0013】
また、本発明に係る上記グロメットシール部の保護部材において、前記突起が、該突起の径方向への弾性変形を容易にするスリットにて分割された複数片にて構成されたことにより、保護部材のグロメットシール部への着脱が容易にできる(請求項2)。
【0014】
また、本発明に係る上記グロメットシール部の保護部材において、前記突起が形成された側とは反対側の面に、把持部が設けられたことにより、保護部材のグロメットシール部からの取り外しに際して、この把持部を持って引っ張るように操作できる(請求項3)。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るグロメットシール部の保護部材の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るグロメットシール部の保護部材の斜視図である。図2は、図1に示すグロメットシール部の保護部材の装着状態を示す斜視図である。図3は、本発明に係るグロメットシール部の保護部材の固定状態を示す図であって、図2におけるA−A断面に沿った断面図である。図4は、本発明に係るグロメットシール部の保護部材の着脱操作を示す図であって、突起の動作説明をするための概略断面図である。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態における図1及び図2に示すグロメットシール部の保護部材1は、グロメットGと一体化されて被装着体(ドアフレームA)に形成された凹部52を閉塞するグロメットシール部61を保護する部材である。
この保護部材1の基本的な構成は、グロメットシール部61の表面を覆う略平坦な平面部2と、グロメットシール部61の外周端面67を覆うように、平面部2に対して略直角に延びる立壁部3と、グロメットシール部61に形成された孔63(図5参照)に着脱自在に嵌合する突起4とを備えた構成である。
【0017】
このように構成された保護部材1は、図2に示すように、グロメットシール部61の表面を覆う平面部2により、グロメットシール部61の片面を覆うように保護することができる。また、グロメットシール部61の外周端面67を覆うように延びた立壁部3が形成されていることによって、外周端面67を保護できる。
【0018】
また、本実施形態におけるグロメットシール部の保護部材にあっては、突起4が形成された側とは反対側の面に、半円環状に突出した把持部5が設けられている。この把持部5は、保護部材1をグロメットシール部からの取り外すときに、持って引っ張るように操作でき、保護部材1の取り外し操作性を良くすることができる。
【0019】
本実施形態においては、図3に示すように、グロメットシール部61に対する保護部材1の確実な係止は、グロメットシール部61の取付ボルト用(図5参照)の孔63と突起4との係合により行われている。すなわち、突起4の先端は、孔63よりも大径の先太部9が形成されており、この先太部9がグロメットシール部61の裏面側に引っかかるようにして、保護部材1の係止を確実にしている。
【0020】
また、突起4は、孔63への着脱が容易な構造を有している。この着脱容易な構造とは、突起4が円筒形に形成されるとともに、突起4がその長さ方向に形成された複数のスリット7にて分割された複数片(4a,4b,4c,4d…)から成る構造である。なお、図3においては、複数片のうち4cは図示されていない。したがって、保護部材1の着脱(図4における矢印B方向)において、突起4は、先太部9が孔63内に入り込むように(図4に示す状態)、該突起4の内径方向へ弾性変形する。このように弾性変形することによって、保護部材1の着脱は極めて容易である。
【0021】
上記実施形態においては、把持部5は、半円環状の構成としたが、このような形態に限らず種々変更可能であり、また、突起4については、2つ設ける構成としたが、該突起4は1つでもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明に係るグロメットシール部の保護部材は、グロメットシール部の表面を覆う略平坦な平面部により、グロメットシール部の片面のほぼ全面を覆うように保護することができ、グロメットシール部の外周端面を覆うように延びる立壁部によって、外周端面を保護することができる。したがって、グロメットシール部の変形や損傷を効果的に防止でき、該グロメットシール部と該シール部を装着する部分(凹部)とのシール機能の低下を回避することができる。また、本発明によれば、グロメットシール部に形成された孔に着脱自在に嵌合する突起を備えているので、保護部材のグロメットシール部への固定を確実にすることができる(請求項1)。
【0023】
また、本発明に係るグロメットシール部の保護部材において、突起が、該突起の径方向への弾性変形を容易にするスリットにて分割された複数片からなる構成によれば、孔に対する突起径が自在に変化できるので、保護部材のグロメットシール部への着脱が容易にできる(請求項2)。
【0024】
また、本発明に係るグロメットシール部の保護部材において、突起が形成された側とは反対側の面に、把持部が設けられた構成によれば、保護部材のグロメットシール部からの取り外しに際して、この把持部を持って引っ張るように操作できるので、特に保護部材の取り外し操作が円滑にでき、取り扱い性の良い保護部材を提供することができる(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るグロメットシール部の保護部材の斜視図である。
【図2】図1に示すグロメットシール部の保護部材の装着状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るグロメットシール部の保護部材の固定状態を示す図であって、図2におけるA−A断面に沿った断面図である。
【図4】本発明に係るグロメットシール部の保護部材の着脱操作を示す図であって、突起の動作説明をするための概略断面図である。
【図5】自動車のドア用ワイヤハーネスの取付け構造を示す概略斜視図である。
【図6】図5に示した取付構造に用いるグロメットシール部の変形を示すための概略図である。
【符号の説明】
1 保護部材
2 平面部
3 立壁部
4 突起
5 把持部
7 スリット
9 先太部
Claims (3)
- グロメットが装着される被装着体に形成された凹部を閉塞するグロメットシール部を保護する保護部材1であって、
前記グロメットシール部の表面を覆う略平坦な平面部と、該グロメットシール部の外周端面を覆うように延びる立壁部と、前記グロメットシール部に形成された孔に着脱自在に嵌合する突起とを備えて成ることを特徴とするグロメットシール部の保護部材。 - 前記突起が、該突起の径方向への弾性変形を容易にするスリットにて分割された複数片にて構成されたことを特徴とする請求項1に記載のグロメットシール部の保護部材。
- 前記突起が形成された側とは反対側の面に、把持部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のグロメットシール部の保護部材。
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