JP3709610B2 - 車載用衛星信号受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車載用衛星信号受信装置、特に衛星追尾用ジャイロの出力信号に現れるオフセット誤差を補正し、かつ、このオフセット誤差のドリフトに対し、前記補正に用いられる補正値の修正を行う機能を有する車載用衛星信号受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の車両に搭載し、常に放送衛星(以下BSという)の方角へアンテナを向けるべくBSを追尾して電波を受信するための装置が開発されている。すなわち、受信開始時において、受信アンテナを回動してBSからの電波の受信レベルが最大となる位置をサーチし、この受信レベルを維持すべく受信アンテナを微小角度変化させて受信レベルをサンプリングし、その時のレベル変化から最適位置を検出するのである(ステップトラック方式)。
【0003】
しかしながら、このような方式はBSからの電波が受信不能となる走行状況では使用することができない。そこで、ジャイロ等の車両の方位を検出する方位センサを設け、この方位センサにて検出した車両の方位に基づいてBSを追尾する装置が提案されている。
【0004】
また、特開平4−336821号公報には、弱電界時にはジャイロによりアンテナが衛星の方向を向くように追尾駆動し、強電界時には受信電波の波高値を利用してアンテナが衛星方向を向くように追尾駆動する車載用衛星放送(BS)受信装置が記載されている。
【0005】
また、特開昭63−262904号公報にも、車載用衛星放送(BS)受信装置が記載されている。
【0006】
また、特開平5−142321号公報には、角度センサーの校正を可能とし、安価な角度センサーで電波遮断時にもアンテナが衛星の方向を向くように制御しうる車載用衛星放送受信装置が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなジャイロ等のセンサを用いてBSを追尾する際、車両走行時の温度や経時変化によってジャイロの出力信号のオフセット誤差に温度ドリフト等が発生した場合には正確にBSを追尾することができず、衛星放送を受信できないという問題があった。すなわち、ジャイロの出力信号のオフセット誤差に温度ドリフト等(時間ドリフト)が生じることによりヨーレートが0deg/secである時の出力信号の値(零点)が変化してしまうのである。ジャイロセンサの出力信号のオフセット誤差のドリフトの様子の例が図10と図11に示されている。
【0008】
図10には、実際のジャイロセンサの温度ドリフトの測定結果のグラフが示されている。このグラフにおいて横軸は時間であり、縦軸はジャイロセンサの出力電圧または温度を表す。このグラフに示されているように、温度を+25℃から、+80℃まで上昇させ、その後、−30℃まで下げた場合の3個のジャイロセンサの出力電圧の変化が表されている。
【0009】
図11には、図10と同様に実際のジャイロセンサの時間ドリフトの測定結果のグラフが示されている。このグラフにおいて横軸は時間であり、縦軸はジャイロセンサの出力電圧を表す。このグラフに示されているように、時間の経過と共にジャイロセンサの出力電圧はジャイロを静止状態に保持しても変化していく、すなわちオフセット誤差に変動が生じてしまうのである。このグラフにおいても、図10のグラフと同様に、3個のジャイロセンサの時間ドリフトについて表示している。
【0010】
このように、ジャイロセンサのオフセット誤差は時間や温度で変化するため、たとえ最初にオフセット誤差を完全に補正しても、時間と共にオフセット誤差の値が変動し、オフセット誤差の補正値の値が不正確となり、車両が静止している場合においても、右または左に旋回していると判断されてしまうのである。特に、旋回時には追尾はずれを生じてしまう恐れがある。また、振動ジャイロセンサは、一般に製品のばらつき(すなわち個体差)が大きく、また、温度や時間によって、出力電圧が変化してしまうという欠点が存在する。
【0011】
ジャイロにオフセット誤差が生じた場合に追尾が失敗してしまう様子を図13に基づいて説明する。例えば、図13(A)において地点Cで受信アンテナがBSの方角に向き、衛星放送を受信しているとする。この状態から車両が地点Dに移動した場合、車両に搭載されたジャイロは車両のヨーレートを検出するが、このジャイロに図13(B)に示すようなオフセットΔxが生じている場合、このオフセットΔxにより車両のヨー角度には図13(C)のように誤差が生じ、結局図13(A)に示すようにD地点ではBSの方角に受信アンテナを向けることができなくなってしまう。
【0012】
もちろん、このような温度ドリフトやオフセット誤差が無視できるほど小さい高精度ジャイロも開発されているが、一般に非常に高価であり車載用としては不適である。
【0013】
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的はジャイロセンサに生じるオフセット誤差の温度ドリフトや時間ドリフトを迅速に、かつ、簡便に補正して確実にBSを追尾することが可能な車載用衛星信号受信装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下に述べるように、本発明の車載用衛星信号受信装置は、受信レベルが強い場合にはジャイロ追尾を行い、受信レベルが弱い場合にはステップトラック追尾を行う追尾方式を採用する車載用衛星信号受信装置である。尚、後述する実施の形態においては、ステップトラック追尾の代わりに、ステップトラック追尾とジャイロ追尾とを併用するハイブリッドトラック追尾の例が示されている。
【0015】
第1の本発明は、上記課題を解決するために、車載されたアンテナと、車両の方位角回転角速度を検出するジャイロセンサと、前記ジャイロセンサを静止状態に保持しても時間の経過によって生じる前記ジャイロセンサの出力電圧変化量であるオフセット誤差を補正するために該ジャイロセンサの測定から得られる補正値を前記ジャイロセンサの出力信号に加え、前記オフセット誤差を補正した補正済みジャイロセンサ信号を出力するオフセット誤差補正手段と、衛星信号の受信レベルが所定値以上の時には前記補正済みジャイロセンサ信号に基づき前記アンテナの指向方向を制御するジャイロ追尾手段と、衛星信号の受信レベルが所定値以下の時には信号レベルが高まるように前記アンテナの指向方向を制御するステップトラック追尾手段と、を備える車載用衛星信号受信装置において、以下の手段を有する装置である。
【0016】
すなわち、本発明の車載用衛星信号受信装置は、前記受信レベルが前記所定値以下に移行し、前記ステップトラック追尾手段による制御が開始された場合に、前記ステップトラック追尾手段による制御方向と同一の方向の修正量を、前記オフセット誤差補正手段の補正値に加算することによって、前記補正値を修正する修正手段を有し前記オフセット誤差補正手段は、前記修正手段により補正値が修正されたとき、その修正された補正値を、前記ジャイロセンサの出力信号に加えることを特徴とする。
【0017】
ジャイロ追尾中に受信レベルが低下してステップトラック追尾に移行する原因の一つとしては、ジャイロセンサのオフセット誤差のドリフトが考えられる。オフセット誤差の時間ドリフトや温度ドリフトによって、アンテナの回転速度を正しく検出できず、誤制御を行ってしまい、アンテナの指向方向が衛星方向と徐々にずれていき、受信レベルが所定値以下となるのである。従って、受信レベルが低下した後のステップトラック追尾はジャイロの方向ずれを修正する方向に働くので、ステップトラック追尾による制御方向はジャイロ信号のオフセット誤差に生じるドリフトを修正する方向に合致する。そこで、本発明は、このステップトラック追尾の制御方向と同じ方向の修正量をジャイロセンサのオフセット誤差の補正値に加算し、オフセット誤差の正確な補正を可能としたのである。
【0018】
尚、本発明において特徴的な事項であるこの修正手段は、ステップトラック追尾手段が起動された際にすぐに修正をする必要はなく、再びジャイロ追尾に移行する際に修正を施すことも好適である。本発明の修正手段は、ジャイロ追尾から、ステップトラック追尾に移行し、またジャイロ追尾に移行するという一連の工程の中の何れかのタイミングで補正値を修正すれば足りる。但し、このタイミングは、ステップトラック追尾からジャイロ追尾に移行するタイミングが好適である。
【0019】
このように、ジャイロ追尾とステップトラック追尾とが適宜切り替えられるような追尾方法を採用する衛星信号受信装置において、ジャイロ追尾に用いられるジャイロセンサのオフセット誤差の補正値が、ステップトラック追尾の制御方向によって修正されるため、オフセット誤差に時間ドリフトや温度ドリフトが生じても、そのドリフトを取り除くことができ、常に正確なオフセット誤差の補正を行うことができる。
【0020】
また、発明としては「ステップトラック追尾」として表現したが、ステップトラック追尾を含む追尾方式が採用されていれば、本発明を適用可能であることはいうまでもない。例えば、後述する実施の形態においては、ステップトラック追尾の代わりに、ステップトラック追尾とジャイロ追尾とを組み合わせたハイブリッドトラック追尾の例が示されている。
【0021】
上記課題を解決するために、第2の本発明は、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記受信レベルが第2の所定値以上となっている時間が所定時間以上である場合にのみ、前記修正量を、前記補正値に加算することを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0022】
車両における衛星信号受信装置においては、例えば樹木等により、受信レベルが一時的に所定値以下となる場合がある。この場合は、オフセット誤差が生じたことによって受信レベルが所定値以下になった場合ではないので、オフセット誤差の補正値を修正することは不適切である。従って、この第2の本発明では、樹木の陰になることなどの理由により受信レベルが極めて短時間だけ第2の所定値以下になった場合には、第1の本発明によるオフセット誤差の補正値の修正を行わないように構成したのである。ここで第2の所定値は、第1の本発明の所定値より小さい値である。
【0023】
従って、第2の本発明では、不適切な修正を行わないため、オフセット補正の修正が正確に行える。
【0024】
第3の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、車両のローリングまたはピッチングを検出するローリング・ピッチング検出手段、を含み、前記修正手段は、前記ローリング・ピッチング検出手段がローリングまたはピッチングを検出していない場合にのみ、前記修正量を、前記補正値に加算することを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0025】
上述したように、第1の本発明において、受信レベルが所定値以下となり、ステップトラック追尾に移行した場合に、オフセット誤差の補正値の修正を行っているのは、受信レベルが所定値以下になったことの原因はオフセット誤差が生じていると考えられるからである。すなわち、オフセット誤差が生じている、または、オフセット誤差の補正が完全ではないために、アンテナの向きが衛星の方向とずれていき、その結果、受信レベルが所定値以下となった場合には、ステップトラックの制御量に基づき、オフセット誤差の補正値を修正することは意味のあることである。
【0026】
しかし、受信レベルが低下し、所定値以下となる原因は、オフセット誤差が生じている、またはオフセット誤差が完全に補正されていないことだけではない。例えば、上記第2の本発明では、車両の移動に伴い、車両が樹木の陰になった場合の受信レベルの低下の際には、オフセット誤差の補正値の修正を行わないようにするために、補正値の修正を行うタイミングから過去所定期間中に、一度でも、受信レベルが所定値以下となった場合には、オフセット誤差の補正値の修正を行わないようにした発明であった。
【0027】
また、一般に車両は旋回走行をするので、車体の左右方向の傾斜によってアンテナの向きと衛星の方向とがずれてしまい、受信レベルが低下してしまう場合がある。
【0028】
そこで、車体が傾斜したことによる受信レベルの低下の際にはオフセット誤差の補正用の修正は行わないようにするのが好適である。第3の本発明においては、ローリング・ピッチング検出手段を含んでおり、車両のヨーレートが一定値以上である場合には、たとえ受信レベルが所定値以下となってもオフセット誤差の補正値の修正は行わないように構成した。
【0029】
このような構成により、車体が傾斜する際にも、オフセット誤差の補正値の正確な修正が可能である。
【0030】
第4の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1または第2の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記受信レベルが前記所定値以下に移行する際のレベル低下速度が所定速度以下である場合にのみ、前記修正量を、前記補正値に加算することを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0031】
上記第2や第3の本発明において述べたように、オフセット誤差の補正が不完全であることに起因する受信レベルの低下の場合にはオフセット誤差の補正値の修正をすべきであるが、それ以外の原因で受信レベルが低下した場合には修正をすべきではない。
【0032】
誤差の補正が不完全である場合以外の場合を識別するために、第2の本発明や第3の本発明においては時間やヨーレートを検出した。しかし、これらの手法によれば受信レベル低下の特定の原因を識別することはできるが、オフセット誤差の補正が不完全である場合以外を総括的に識別することはできない。
【0033】
一方、オフセット誤差の補正値が不完全なことを原因とする受信レベルの低下は、一般になだらかな受信レベルの低下として観察される。そこで、第4の本発明では、この受信レベルの低下の傾きを検出し、その傾き(すなわち、この傾きは受信レベルの低下速度を表す)が所定値以下である場合にはオフセット誤差の補正が不完全であることを原因とする受信レベルの低下であると判断し、受信レベルの低下の傾きが所定値以上の場合には誤差の補正が不完全であること以外の原因による受信レベルの低下であると判断し、オフセット誤差の補正値の修正を行わないことにした。
【0034】
このような構成により、より正確なジャイロセンサのオフセット誤差の補正値の修正が行える。
【0035】
第5の本発明は、上記課題を解決するために、上記第2、第3または第4の本発明の車載用衛星信号受信装置において、電源投入後のオフセット誤差の補正が未完了な状態を検出する初期オフセット誤差補正未完了状態検出手段、を含み、前記修正手段は、前記初期オフセット誤差補正未完了状態検出手段が初期のオフセット誤差の補正が未完了な状態を検出している場合には、前記受信レベルが前記第2の所定値以上となっている時間が所定時間以上である場合または前記ローリングまたはピッチングが検出された場合または前記所定値以下に移行する際のレベル低下速度が所定速度以下でない場合のいずれかの場合であっても、前記修正量を、前記補正値に加算する動作を行うことを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0036】
上述した第2、3、4の本発明においては、それぞれ所定の条件が成立する場合にはオフセット誤差の補正値の修正を行わないように構成した。しかし、電源投入直後、初期のオフセット誤差の補正が未完了の間は誤差が一般に著しく大きい。従って、一般的にはオフセット誤差の補正値の修正を行った方が補正値が早く収束することが期待される。そのため、第5の本発明においては、第2、3、4の本発明において、初期のオフセット誤差の補正が未完了の間は、オフセット誤差の補正が不完全である場合であっても、オフセット誤差の補正値の修正を行うことにしたのである。
【0037】
このような構成により、オフセット誤差の補正値を迅速に収束させることが可能である。
【0038】
第6の本発明は、上記課題を解決するために、上記第5の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記初期オフセット誤差補正未完了状態検出手段は、衛星信号の受信レベルの大きさの変化率に基づき、この変化率が所定値以上である場合には、前記初期のオフセット誤差の補正が未完了な状態であると判断し、この変化率が所定値未満である場合には、前記初期のオフセット誤差の補正が完了した状態であると判断することを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0039】
上記第5の本発明においては、初期のオフセット誤差の補正が完了する期間中であるか否かを判断することが、オフセット誤差の補正値の迅速な収束のためには重要である。そこで、第6の本発明の初期オフセット誤差補正未完了状態検出手段は、衛星信号の受信レベルの変化に基づき、この変化率が所定値以上である場合には初期のオフセット誤差の補正が未完了(オフセット誤差の補正が不完全な状態)であると判断したので、かかる初期オフセット誤差の未完了状態中であることを正確に検出可能である。
【0040】
第7の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記オフセット誤差補正手段が用いる補正値の所定値への収束の度合いが低い場合には、高い場合に比べて大きな値となるよう、前記修正量の値を決定する決定手段を有することを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0041】
第1の本発明においては、ステップトラックの制御方向をオフセット誤差の補正値の修正方向としたが、具体的な修正の量については言及していない。修正の量を算出するには種々の手法が考えられるが、第7の本発明においては、オフセット誤差の補正値の収束の度合いに応じて、修正量の値を決定している。すなわち、収束が進めば進むほど、小さな修正量を施すようにしたのである。逆に言えば、収束が不完全であればあるほど大きな修正量を採用したのである。この結果、収束が未だ不完全で誤差が大きい間は、修正量が大きくなり、補正値の値の迅速な収束が実現可能である。
【0042】
尚、収束の度合いを定量的に表現する方法には種々の方法が考えられる。例えば、修正が行われるタイミングの周期の長さによって、収束の度合いを決定することが好適である。このような発明については、第14の本発明に記述されている。
【0043】
第8の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記オフセット誤差補正手段の補正値が所定値に収束したか否かを検出する収束検出手段と、前記収束検出手段が収束を検出する前と、検出した後において、この修正手段が前記補正値に修正量を加算し前記補正値を修正する頻度を変更する修正頻度変更手段と、を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0044】
オフセット誤差の補正値が所定の値に収束した後は、僅かの受信レベル低下でも、補正値の修正が行われ、却って、誤差が増大する。そのため、補正値の収束する前と後とでは、異なる収束補正方法を導入したほうが好適である。そこで、第8の本発明においては、修正を行う頻度を収束の前後で変更し、収束した後において誤差が却って増大してしまうことを未然に防止している。
【0045】
第9の本発明は、上記課題を解決するために、上記第7、8の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記受信レベルが前記所定値以下に移行し、前記ステップトラック追尾手段による制御が開始された場合に、前記ステップトラック追尾手段による制御方向と同一の方向の修正量を累積加算し、累積値を保持する積算手段と、前記積算手段が累積する修正量を、所定期間ごとに、前記ドリフト補正手段の補正値に加算するとともに前記積算手段の累積値をクリアする加算手段と、を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0046】
オフセット誤差の補正値が収束した後は、補正値の修正量は小さなものである。その結果、例えば、交互に逆向きの修正が繰り返されるような実質的な定常状態が生じてしまうこともあり得る。このような定常状態においては、互いに逆向きの修正はほとんど意味を有していないため、減少させることが望ましい。そこで、第9の本発明では、修正量を累積加算し、修正量の総和をまとめて補正値に加算することにした。この結果、互いに逆向きの修正が繰り返されるような場合の修正を実質的になくすことができ、安定したオフセット誤差の補正値の修正が行える。
【0047】
第10の本発明は、上記課題を解決するために、上記第7、8の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記受信レベルが前記所定値以下に移行し、前記ステップトラック追尾手段による制御が開始された場合に、前記ステップトラック追尾手段による制御方向と同一の方向の修正量を累積加算し、累積値を保持する積算手段と、前記積算手段が累積する修正量を、所定期間ごとに検査し、所定のしきい値を超えている場合にのみ、前記累積された修正量を前記ドリフト補正手段の補正値に加算するとともに前記積算手段の累積値をクリアする加算手段と、を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0048】
上記第9の本発明においては修正量の総和をまとめて補正値に加えたので、より安定したオフセット誤差の補正値の修正が行える。しかし、上述したように、交互に逆向きの「微少な」修正が繰り返されるような実質的な定常状態においては、いくら総和を採ってもその値がやはり「微少な」値である場合も多い。その結果、この場合の補正値の修正もほとんど意味がなく、係る修正も減少させることが望ましい。そこで、第10の本発明においては、修正量の総和が所定のしきい値以上の場合にのみ修正量を補正値に加算した。この結果、無意味な修正量の加算を防止することができ、より安定したオフセット誤差の補正値の修正が可能である。
【0049】
例えば、補正値の修正すべき量が−1〜+1である場合には、修正せず、修正すべき量が−2〜−4である場合には、+1だけ修正し、修正すべき量が+2〜+4である場合には、−1だけ修正することが好適である。また、修正すべき量が−5以下である場合には、一律に+2だけ修正し、修正すべき量+5以上である場合には−2だけ修正することなどが好適である。
【0050】
第11の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記ドリフト補正手段の補正値が所定値に収束したか否かを検出する収束検出手段、を含み、前記ステップトラック追尾手段は、衛星信号をサンプリングする間隔である制御間隔を、前記収束検出手段が、前記補正値の収束を検出する前と後とで、異なる値に設定する制御間隔設定手段、を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0051】
オフセット誤差の補正値が収束する前は、サンプリング間隔が余り長すぎると、単位時間当たりのアンテナの回転角度が大きくなり、オーバーランを生じて、追尾ができなくなる。その一方、補正値の収束後はサンプリング間隔が短すぎると、受信レベルの増減と雑音とを区別できなくなってしまう。
【0052】
そこで、第11の本発明では、オフセット誤差の補正値が収束する前と後とで、制御間隔を異ならせることにより、追尾性能の向上を図ったのである。
【0053】
第12の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記ドリフト補正手段の補正値が所定値に収束したか否かを検出する収束検出手段、を含み、前記ステップトラック追尾手段は、前記アンテナを回転させる角速度を、前記収束検出手段が、前記補正値の収束を検出する前と後とで、異なる値に設定する角速度設定手段、を含むことを特徴とする車載用衛星信号追尾装置である。
【0054】
ジャイロセンサのオフセット誤差の大きさより、前記角速度の大きさの方が大きくなければ、ステップトラック追尾からジャイロトラック追尾に復帰することはできない。一方、オフセット誤差の補正値の収束後は、角速度が大きければオーバーランしてしまうので、角速度を小さく保つ必要がある。
【0055】
そこで、第12の本発明においては、補正値の収束の前後でステップトラック追尾の角速度、すなわちいわゆるステップレートを変更した。このような構成により、追尾性能を向上させることができる。
【0056】
第13の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、前記ジャイロセンサが検出する車両の方位角回転角速度の大きさが所定値未満の場合にのみ、前記オフセット誤差の補正値を修正することを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0057】
ジャイロセンサの誤差は、一般にオフセット誤差と感度誤差に分けられる。オフセット誤差はジャイロセンサの出力信号の値に拘わらず一定の大きさの値がジャイロセンサの出力信号に加えられる誤差であり、感度誤差はジャイロセンサの出力信号の値が一定の割合で大きく、または小さくなってしまう誤差である。
【0058】
ジャイロセンサの出力信号の絶対値が小さい場合にはオフセット誤差が感度誤差よりはるかに大きいため、感度誤差を無視することができるが、ジャイロセンサの検出する車両の旋回の回転速度が大きいと、感度誤差とオフセット誤差を切り分けることが困難である。そのため、車両の回転速度の大きさが所定値以上の場合は、オフセット誤差だけでなく感度誤差の影響も含まれているため、オフセットの誤差の補正値の修正を行わないのが好適である。そこで、第13の本発明においては、車両の回転速度が所定値未満の時にのみオフセット誤差の補正値の修正を行った。
【0059】
第14の本発明は、上記課題を解決するために、上記第7の本発明における前記決定手段が、前記修正手段による修正動作が行われる周期に基づき、前記修正量の値を決定する手段、を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0060】
上記第7の本発明は、修正の度合いに応じて、修正量が決定手段によって決定されている。この修正の度合いとして、オフセット誤差の補正値に修正量が加算される修正動作が行われる周期を基準とすることが好適である。すなわち、修正動作が短い周期で頻繁に行われる場合には、収束の度合いが低いと判断し、修正量の値として比較的大きな値を用いるのが迅速な補正値の収束のためには好ましい。
【0061】
一方修正動作が長い周期で行われる場合には、補正値が所定値にほぼ収束しており収束の度合いが高いと判断するのが妥当である。そのため、この場合は、修正量の値として比較的小さな値を用いるのが正確な値への収束のためには好ましい。
【0062】
このような観点から、第14の本発明においては、補正値の修正動作が行われる周期に基づき、この周期から誤差の度合いを推定するので、迅速な補正値の収束が実現できるとともに、正確な補正値の値を実現可能である。
【0063】
第15の本発明は、上記課題を解決するために、上記第1の本発明の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段が前記補正値を修正する時間間隔である修正周期を計測する修正周期計測手段と、前記修正周期計測手段によって計測された修正周期に基づき、ジャイロセンサのオフセット誤差の値を算出するオフセット誤差算出手段と、前記オフセット誤差算出手段によって算出されたオフセット誤差の値を前記オフセット誤差の補正値に加算することによって、前記補正値を前記ジャイロセンサの真の補正値に修正する第2修正手段と、を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置である。
【0064】
上記第1から第14までの本発明においては、オフセット誤差の値そのものを求めることはせず、オフセット誤差の補正値を徐々に修正していく方法を採用している。しかし、ジャイロトラック追尾において、BSアンテナの向きが衛星の方向からずれていくのは、オフセット誤差の補正値が、真のオフセット誤差とは異なるものだからであり、上記BSアンテナの方向がずれていく角速度は、このオフセット誤差の補正値と真のオフセット誤差の差の角速度に等しいと考えられる。換言すれば、ジャイロトラック追尾は車両の回転の角速度を検出し、BSアンテナをこの車両の角速度と同じ角速度で回転させれば常に一定方向(衛星の方向)を向くであろうことをその原理とする。そのため、オフセット誤差がX(rad/sec)ある場合には、車両が回転しない場合でも、車両がX(rad/sec)の角速度で回転していると誤って判断してしまうため、BSアンテナはX(rad/sec)の角速度で回転してしまう。
【0065】
従って、ジャイロトラック追尾の際にBSアンテナが徐々に衛星の方向からずれてゆく場合にはそのずれていく角速度が、すなわちオフセット誤差の補正値と真のオフセット誤差の差の角速度となるのである。この差が0となれば、当然のことながら、BSアンテナは常に衛星の方向を向くようになる。
【0066】
以上のことから、BSアンテナの指向性を予め調べておき、受信レベルが所定値から所定値まで変化するのに何度回転するか確認しておく方法が考えられる。そして、例えば受信レベルLC から受信レベルLB まで受信レベルが変化する場合の経過時間を計測し、これらの角度および時間に基づき、受信レベルLC から受信レベルLB まで変化する場合におけるBSアンテナの角速度を計算により求めることも考えられる。しかし、実際には受信レベルの変動は感度誤差だけでなく種々の電波の伝播状態によって変化するため、この方法は一般には採用が困難である。
【0067】
さて、上述した第1から第14までの本発明においては、ジャイロトラック追尾からステップトラック追尾に切り替わった場合にオフセット誤差の補正値の修正がおこなわれる。そのため、時間計測のタイミングとしてはこの切り替わった瞬間を基準とすることが好適である。このタイミングはステップトラック追尾が開始され、受信レベルが上昇し、ジャイロトラック追尾に切り替わり、受信レベルが低下し、再びステップトラック追尾に切り替わるタイミングである。そのため、この切り替わりのタイミングの間隔は、ジャイロトラック追尾とステップトラック追尾とが切り替わる周期を表している。
【0068】
本発明の好適な一形態においては、ジャイロトラック追尾の状態におけるBSアンテナの角速度を計測するのが困難な場合でも、この周期Tから、真のオフセット誤差と、オフセット誤差の補正値と、の差の角速度を算出することが以下のようにして可能である。
【0069】
まず、真のオフセット誤差とオフセット誤差の補正値との差をω0 (rad/sec)と表し、ある受信レベルLC と受信レベルLB (LC >LB )とに相当するBSアンテナの向きの角度差を、Δφ(rad)と表す。そして、ジャイロトラック追尾がおこなわれている場合に、オフセット誤差の補正値が真のオフセット誤差と合致していないため(ω0 ≠0)に、BSアンテナが回転していく場合の受信レベルLC から受信レベルLB までに受信レベルが低下する場合の経過時間をt1 (後述するように、t1 自体は直接計測はしない)、ステップトラック追尾がおこなわれている場合に、BSアンテナが正しい衛星方向に回転していく場合の受信レベルLB から受信レベルLC までに受信レベルが復元する場合の経過時間をt2 (後述するように、t2 自体も直接計測はしない)と表す。さらに、ステップトラック追尾の際のステップレートをωSとする。すると、受信レベルLC からLB 、受信レベルLB からLC までのそれぞれの経過時間t1 、t2 は以下のように表される。
【0070】
【数1】
1 =Δφ/ω0 , t2 =Δφ/(ω0 +ωS)
ここで、受信レベルLC をステップトラック追尾からジャイロトラック追尾への切り替わりの受信レベルとし、受信レベルLB をジャイロトラック追尾からステップトラック追尾への切り替わりの受信レベルとすれば、明らかに、上述したジャイロトラック追尾と、ステップトラック追尾の繰り返しの周期Tは、T=t1 +t2 であるから、以下の式が導き出せる。
【0071】
【数2】
Figure 0003709610
そして、周期T、ステップレートωS、をそれぞれ決定し、受信レベルLC とLB に相当するBSアンテナの回転角度Δφを予め計測しておけば、上記式の変形をすることによって、ω0 が算出される。
【0072】
このようにして、t1 そのものが不明な場合であっても、t2 との和である周期Tを計測することにより、オフセット誤差の補正値と、真のオフセット誤差との差の角速度ω0 を算出することが可能である。
【0073】
尚、以下に述べる実施の形態においては、ω0 よりステップレートであるωSの方が十分大きいと仮定しており、1/ω0 +1/(ω0 +ωS)は、ほぼ1/ω0 に等しいとみなしている。そして、上記式は以下のように変形して用いている。
【0074】
【数3】
T=Δφ/ω0
この式によれば、真のオフセット誤差と、オフセット誤差の補正値との差ω0 は、ω0 =Δφ/Tと表すことが可能である。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0076】
A.実施の基本形態
A−1 基本形態
本実施の形態に係る衛星追尾装置を備えた車載用衛星信号受信装置の構成ブロック図が図1に示されている。図1に示されているように、(BS)アンテナ10は、コンバータ12を介して車室内のBSチューナ14に接続されている。このアンテナ10と、コンバータ12とは車室外ユニットとして外部に設けられている。このアンテナ10には、図1に示されているようにステッピングモータ16が取り付けられており、このアンテナ10の向きを変更し得るように構成されている。このステッピングモータ16は、車室内ユニットに含まれるステッピングモータドライバ18によって駆動される。このステッピングモータドライバ18は、接続ユニット20内部のモータ制御ボード22によって制御されている。この接続ユニット20は、モータ制御ボード22の他に、A/Dボード24を含んでおり、このA/Dボード24は、車両に取り付けられている振動ジャイロ26の出力信号と上記BSチューナ14のC/N信号を受信する。そして、このA/Dボード24は、これらの受信したアナログ信号をデジタル信号に変換する働きを有している。この接続ユニット20には制御装置28が接続されており、この制御装置28からの信号によりモータ制御ボード22はステッピングモータドライバ18を介してステッピングモータ16を制御する。一方、制御装置28はA/Dボード24が出力するデジタル信号を検査することにより、後述するようにジャイロ制御やステップトラック制御などの所定の制御を行う。
【0077】
このような構成において、まず電源が投入された直後は、制御装置28は現在の受信レベルを調べる。この受信レベルはBSチューナ14が出力するC/N信号を、A/Dボード24を介して検査することにより行われる。受信レベルを調べた結果、この受信レベルが所定のしきい値を下回っている場合には、アンテナ10の向き(方位角)が衛星方向と異なっているものと判断し、初期サーチ動作を行う。一方、受信レベルが所定のしきい値を上回っている場合には、アンテナ10のビームの方位角がほぼ衛星方向を向いているものと判断し、追尾動作に移る。
【0078】
ここで、初期サーチ動作においては、受信レベルを監視しながら、アンテナ10を高速に回転させ、受信レベルが所定のしきい値を上回った時点でアンテナ10の回転を停止し、次に述べる追尾動作に移る動作を行うのである。
【0079】
そして、追尾動作においては、受信レベル及び振動ジャイロ26の出力信号を読み取って、アンテナ10の方位角制御を行う。上述したように、この受信レベルと振動ジャイロ26の出力信号とは、A/Dボード24を介してデジタル信号に変換された後制御装置28に供給されるのである。制御装置28はこれらのデジタル化された信号に基づきジャイロ制御とステップトラック制御とを適宜行うことになる。
【0080】
尚、初期サーチ動作は、高速サーチ状態と低速サーチ状態との2つの状態から構成することも好適である。まず、電源投入後はアンテナを大きく回動させ、受信レベルが大きくなるまでアンテナの回動を続ける。そして、一旦上昇した受信レベルが低下した場合に低速サーチ状態に移行し、アンテナをゆっくりと回動させて、受信レベルの大きさが最大となる点を正確に把握するのである。
【0081】
上述したように、追尾動作は、ジャイロ制御やステップトラック制御によって行われる。ここで、ジャイロ制御とは、アンテナ10をジャイロにより検出した車両の旋回角速度(ωG)と大きさが等しく符号が反対の角速度(−ωG)で回転させることにより、アンテナビームを衛星方向に向ける制御方法をいう。
【0082】
このようなジャイロ制御によれば、車両の旋回による方位角の変化に対してアンテナの回転角速度を滑らかに制御することができ、ステッピングモータ16にかかる負荷が急激に変化することがないため、車両が比較的高速に旋回しても良好な衛星追尾を行うことが可能である。しかしながら、上記「従来の技術」や、「発明が解決しようとする課題」で説明したように、ジャイロ出力にはオフセット誤差や、又このオフセット誤差の温度ドリフトの影響が含まれていたり、またアンテナ10を回転するステッピングモータ16の制御量と実際のアンテナ10の回転角速度がずれてしまう場合がある。そのため、通常は何らかの手法を用いてアンテナ10のビーム方向を衛星方向に合わせ直す必要が生じる。また、ジャイロ制御の場合には、制御間隔、すなわち車両の旋回角速度の検出時間間隔ΔTは小さいほうが、旋回角速度が激しく変化した場合にもアンテナ10の方位角誤差を小さく押さえることが可能となるため、一般にこの制御間隔ΔTは小さく設定するのが好適である。
【0083】
一方、ステップトラック制御は、アンテナビームを方位角方向に向けたまま、わずかに振らせることにより受信レベルの上限を調べ、受信レベルが増大する方向にアンテナ10を回転させることによりアンテナビームの方位角を衛星方向に向ける方法である。ステップトラック制御の原理を表す説明図が図2に示されている。具体的には、一定の時間間隔ΔT毎に受信レベルを制御装置28がA/Dボード24を介して読取り、現在の受信レベルがΔT時間前の受信レベルよりも増大している場合には、アンテナ10をΔT時間前と同じ方向に一定の角速度ωSで回転させ続け、逆に現在の受信レベルがΔT時間前の受信レベルよりも減少している場合には、アンテナ10をΔT時間前とは反対の方向に一定の角速度ωSで回転させる方法である。このステップトラック制御におけるωSをステップレートと呼ぶ。このような、ステップトラック制御では、車両の高速な旋回に追従させるためには角速度ωSをその車両の旋回角速度程度の値に設定しておく必要がある。車両の最大の旋回角速度よりも小さな角速度ωSで回転させる場合にはアンテナ10の回転が車両の旋回に追い付かない場合があるからである。しかしながら、実際の装置においては、回転部分は慣性モーメントを有しており、高速かつステップ状に回転を行わせることは困難であるため、車両の高速旋回に追従できない場合がしばしば生じる。
【0084】
ステップトラック制御の場合には、この制御間隔ΔTが小さい場合には受信レベルの変化量(検出される変化量)は小さくなり、制御方向が付加的な熱雑音に左右され正確な制御方向を検出できない場合が生じる。この結果、最悪の場合には、アンテナ10のビーム方向が衛星方向から完全にずれてしまうこともあり得る。そのため、このステップトラック制御における受信レベルを検出する時間間隔である制御間隔ΔTはある程度広く設定しなければならない。
【0085】
本実施の形態においては、アンテナとしては一定の指向性を有するものであればどのようなものでも構わないが、例えば図3に示されているように平面ビームチルトアンテナが好適である。平面ビームチルトアンテナは平面アンテナであって、アンテナの各エレメントの位相を調整することにより、アンテナのビームを垂直方向から一定角度チルトさせたものである。このアンテナの指向性は、図3で示された方向に固定であるが、BS(放送衛星)の高度は一定であるため、車両が水平方向でのみ移動している限りにおいては、図3に示された平面アンテナを水平方向で回転させるだけで、アンテナのビームをBSの方向に向けることが理論上は可能である。このような平面アンテナは、薄型に形成することができるため、図4に示されているように例えば、車両(乗用車)のルーフに設けることが可能である。勿論、サンルーフに平面アンテナを内蔵させることも好適である。
【0086】
さて、上述したジャイロ制御やステップトラック制御には以上述べたような長所及び短所が存在する。そのため、ステップトラック制御とジャイロ制御とを併用する制御、すなわち、車両の旋回による方位角の変化をジャイロ出力を用いて打ち消し、ジャイロで打ち消し切れなかった方位角誤差をステップトラック制御により打ち消す制御方法が広く提案されている。本実施の形態における衛星追尾装置もこのステップトラック制御とジャイロ制御とを組み合わせた追尾方式を採用している。本文においてはこの併用する方法をハイブリッド制御と呼ぶ。
【0087】
ハイブリッド制御は、具体的には振動ジャイロ26で検出した車両の旋回角速度(ωG)の符号を反転させた値(−ωG)と、一定の角速度|ωS|にΔT時間前の受信レベル(C/N信号)と現在の受信レベルとの大小関係で決まる符号(正または負)を乗算することにより得られる値(ωS)との和(−ωG+ωS)を用いて、アンテナ10を回転させるのである。ここで、ステップレートωSは、絶対値が所定の値で、符号は+と−とを採りうる値である。
【0088】
ハイブリッド制御(ステップトラック制御とジャイロ制御とを併用する制御)の場合には、Δt時間毎に振動ジャイロ26の出力信号をA/Dボード24を介して制御装置28が読み取る。そして、ステップトラックのための制御量ωS(+|ωS|または−|ωS|)を、このジャイロ出力信号(車両の回転角速度を表す)の符号を反転した値に、重畳させることにより、アンテナ10の回転角速度を決定するのである。
【0089】
ステップトラック制御のための制御量+|ωS|または−|ωS|は、ΔT時間毎に更新されることは上述した通りである。ここで、ステップトラックのための制御間隔(時間)ΔTは、ΔT=M×Δt(Mは整数)となるように選択される。すなわち、ステップトラックのための制御間隔(時間)ΔTは、ジャイロ制御のための制御間隔(時間)Δtの整数倍に設定される。例えば、本実施の形態においてはMが6に設定されている。すなわち、ΔTはΔtの6倍の期間である。上述したようにジャイロ制御の場合の制御間隔Δtは短い方が好ましいが、ステップトラック制御の制御間隔であるΔTはある程度長くなければ安定した制御は行えないため、ΔTはΔtよりも長く設定されている。
【0090】
このように、ハイブリッド制御(ステップトラック制御とジャイロ制御とを併用する制御)においては、両者の長所が生かされ、高速に旋回する車両においても良好に衛星追尾することが期待される。
【0091】
このように、両者の長所が生かされるような衛星追尾方式においても、ジャイロのオフセット誤差の温度ドリフトや時間ドリフトは依然として存在する。そのため、これらを併用する制御においても振動ジャイロ26のオフセット誤差を逐次補正する手法が望まれている。
【0092】
A−2 実施の基本形態の解決原理
本実施の基本形態においては、このようにハイブリッド制御により衛星追尾が行われている場合に、オフセット誤差のドリフトに対応し、補正値を自動的に修正することにより正確な衛星追尾を可能とすることを目的としている。この目的を達成するための本発明の基本原理は、ハイブリッド制御におけるステップトラック制御とハイブリッド制御との間の遷移が生じた場合に、その原因がオフセット誤差があったからであるとみなし、オフセット誤差の補正値を修正することである。
【0093】
まず、本実施の形態におけるハイブリッド制御(追尾)の動作を説明する。
【0094】
図5に示されているように、本実施の形態においては、しきい値LC より受信レベルが大きい場合はジャイロ出力のみによる追尾を行い、しきい値LB より受信レベルが小さい場合は、C/N出力によるハイブリッド追尾を行う追尾方式における、ジャイロドリフト誤差の補正値の修正方法を提案する。尚、本実施の形態においては、厳密にはステップトラック追尾ではなく、ジャイロ追尾とステップトラック追尾とを同時に併用するハイブリッド追尾の形態を説明する。本実施の形態においては追尾にハイブリッド追尾の例を示すが、ステップトラック追尾の成分が含まれていれば、他の追尾方法または純粋なステップトラック追尾を行っても本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0095】
本実施の形態においては、受信レベルが高くてジャイロ追尾を行っている場合から、受信レベルが低下し、ハイブリッド追尾に移行するしきい値は上述したようにLB であり、ハイブリッド追尾から受信レベルが上昇しジャイロ追尾へ移行するしきい値はLC と呼んでいる。
【0096】
例えば、現在ジャイロ追尾を行っている場合の受信レベルが図5における黒点で示されている点であるとすると、振動ジャイロ26のオフセット誤差にドリフトが発生すれば、数秒後には、受信レベルを表す点が右(または左)に移動し、受信レベルがしきい値LB 以下となり、ハイブリッド追尾(ステップトラック追尾でも構わない)となる。ハイブリッド追尾は復元力があるのでC/Nの高い方にアンテナ10を回転する。このため、受信レベルは、しきい値LC 以上となり、ふたたび、ジャイロ追尾に移行する。この時にジャイロ出力のオフセット誤差の補正値に、少量の修正量ΔWをCW方向(またはCCW方向)に加える。例えば、ジャイロ追尾で黒点が右に移ると、アンテナ10は左(CCW)に移動したので、CW方向に補正を行うのである。このような修正によってもオフセット誤差が残存していれば、以上の操作が繰り返され、オフセット誤差の補正値が最適な値に収束するまで修正が繰り返される。
【0097】
本実施の形態において特徴的なことは、ハイブリッド追尾からジャイロ追尾に移行する場合のステップトラックの回転方向(ωSの符号)に基づき、ジャイロのオフセット誤差がCW方向であるのか、またはCCW方向であるのかを判断したことである。例えば、ジャイロ追尾に移行する際のステップトラックの回転方向がCW方向である場合には、ジャイロの出力信号が真の値よりCW方向にずれており、ジャイロ追尾がCCW方向へ余分にアンテナを回転させてしまうからであると判断できる。従って、ジャイロ追尾に移行する際のステップトラックの回転方向がCW方向である場合には、ジャイロの出力信号に加えるオフセット補正値はCCW方向に修正される。
【0098】
このように、本実施の形態によれば、オフセット誤差にドリフトが生じても誤差の補正値を自動的に修正していくことができるので、常に正確なオフセット誤差の補正を行うことが可能である。
【0099】
B.実施の応用形態
B−1 最初に述べた実施の基本形態において木や建物による遮断により一時的に、受信レベルがしきい値LB を下回り、その後再びしきい値LC を上まわった時にも、オフセット誤差の補正値が修正されてしまう。例えば、樹木などにより、瞬間的に受信レベルが低下した場合にはオフセット誤差の補正値の修正は行うべきではない。そこで、このような瞬間的な受信レベルの低下によって、ハイブリッド追尾に移行した場合はオフセット誤差の補正値を修正されるのを防ぐ為、過去T秒間にしきい値LD (しきい値LB −ΔCNR)を一度でも下回った時は、樹木等による一時的な受信電波の遮断と判断して補正値を更新しないことが好適である。
【0100】
本実施の形態B−1における衛星信号受信装置の追尾の動作を表すフローチャートが図6に示されている。
【0101】
このフローチャートにおいては、説明の便宜のため、まず電波が樹木などにより遮断されていない状態(見通し追尾状態)からスタートする(ステップS6−1)。ステップS6−2においては、5msecのタイマがスタートされる。このタイマは上記Δtに相当し、ジャイロ制御のための制御間隔である。
【0102】
ステップS6−3においては、受信レベルLR の読み込みを行い、ステップS6−4においては、前回の(5msec前の)制御においてジャイロ追尾が行われたか否かが検査され、ジャイロ追尾であった場合にはステップS6−5に移行する。ジャイロ追尾でなかった場合にはステップS6−6に移行する。
【0103】
ステップS6−5においては受信レベルがしきい値LB より大きいか否かが検査され、大きければジャイロ追尾を行うためステップS6−7に移行する。そして大きくない場合には、ステップS6−8に移行する。ステップS6−7の詳細なフローチャートは図7に示されている。
【0104】
ステップS6−8においては受信レベルLR がしきい値LD (しきい値LB −ΔCNR)より小さいか否かが検査され、小さくない場合にはハイブリッド追尾を行うためステップS6−9に移行する。ステップS6−9の詳細なフローチャートが図8に示されている。そして小さい場合には遮蔽追尾状態であると判断してステップS6−10に移行する。
【0105】
ステップS6−10においては、遮蔽追尾状態に移行する。遮蔽追尾状態においては、オフセット誤差の補正値の修正は何等行われない。遮蔽追尾状態においては、受信レベルが所定時間以内に(例えば10sec以内に)上記しきい値LD以上に回復した場合には、再び見通し追尾状態に移行する(ステップS6−1)。しかし、所定時間以内に受信レベルが回復しない場合には電源投入時からの動作をもう一度繰り返す。いわばリセットをかけた状態となるのである。
【0106】
一方、上記ステップS6−6においては受信レベルLR がしきい値LC より大きいか否かが検査され、大きい場合には、オフセット補正値の修正を行うためにステップS6−12に移行し、小さい場合には上述したS6−8に移行する。
【0107】
最後に、ステップS6−7や、ステップS6−9等における追尾処理が完了した場合にはステップS6−13に移行し、5msec経過したか否かが検査される。この5msecは上述したように、ジャイロ追尾の制御間隔であるΔtに相当する。
【0108】
図7には、ジャイロ追尾のフローチャートが示されている。ステップS7−1においてはジャイロ出力の読み込みが行われる。ステップS7−2においては、上記出力が角速度ωGに変換され、ステップS7−3においては、アンテナ角速度の計算が行われる。具体的にはω=−ωG+ΔωGの計算が行われる。ここで、ΔωGはジャイロ出力のオフセット誤差の補正値である。正しい角速度はωG−ΔωGで計算される。そのため、アンテナ角速度ωとしては、ω=−(ωG−ΔωG)=−ωG+ΔωGの計算によって求められるのである。
【0109】
ステップS7−4においては、求められたωに基づき、モータのパルス速度fが計算される。そして、ステップS7−5において、モータの回転方向と、パルス速度の設定が行われる。以上のような動作により、ジャイロ追尾が行われる。
【0110】
図8には、ハイブリッド追尾のフローチャートが示されている。ステップS8−1においては、受信レベルLR と、ジャイロ出力との読み込みが行われる。ステップS8−2においては、上記ジャイロ出力が角速度ωGに変換される。ステップS8−3においては、前回検出された受信レベルLR (LAST)と、今回検出された受信レベルLR との大きさの比較が行われ、今回の受信レベルLR の方が小さければ、ステップトラックの回転方向を変更すべくステップS8−4に移行する。ステップS8−4においては、ωSの符号が反転される。
【0111】
ステップS8−5においては、今回受信した受信レベルLR を、次回の制御の際に用いるため、LR (LAST)として保存する。すなわち、LR (LAST)の更新を行うのである。ステップS8−6においては、アンテナ角速度の計算が行われる。具体的にはω=−ωG+ωS+ΔωGの計算を行う。上述したように、ωGはジャイロ出力の角速度であり、ωSはステップレートであり、ΔωGはオフセット誤差の補正値である。そして、ステップS8−7においては、求められたωに基づき、モータのパルス速度fが計算される。そして、ステップS8−8において、モータの回転方向と、パルス速度の設定が行われる。以上のような動作により、ハイブリッド追尾が行われる。
【0112】
B−2 最初に述べた実施の基本形態において、車両のロールによって一時的に受信レベルC/Nが低下した場合でもオフセット補正値が修正されてしまうのを防止するために、ロールレートを検出するジャイロを設けて、ロール角があるしきい値以上ならば受信レベルC/Nが低下しても補正値の修正を行わないことも好適である。
【0113】
このような構成により、車両にロールが生じても安定した衛星信号の受信が可能である。
【0114】
B−3 最初に述べた実施の基本形態において、ジャイロオフセット誤差がある場合のオフセット補正値の修正時の受信レベルC/Nの時間波形はゆるやかな傾きを有している。これに対し、木等による受信電波の遮断の際には、受信電波の変化の傾きは一般に非常に大きい。そこで過去T秒の間に傾きが所定のαより大きい場合は、補正値の修正を行わないのが好適である。
【0115】
このような構成により、車両樹木等の陰になり瞬間的にC/Nが減少した場合でも安定した衛星信号の受信が可能である。
【0116】
B−4 最初に述べた実施の基本形態において、不必要な修正を避ける方法として、B−1、B−2、B−3について種々の応用形態を提案したが、(電源投入後の)初期の補正では一般に誤差が大きく、B−1、B−2、B−3を採用しない方が一般に補正値の値の収束は早い。そのため、電源投入後、補正値がまだ収束していない状態においては最初の実施の形態における動作を行い、収束後は上記B−1、B−2、B−3に示されている動作を行わせるのが好適である。
【0117】
一方、最初に述べた実施の基本形態において、補正値の修正の周期は、オフセット誤差が大きい程短く、オフセット誤差が小さくなると長くなるという性質を有している。従って、修正の周期がある値より長い時にのみ上記B−1、B−2、B−3に示された方法を実施し、短い時には上記最初に述べた実施の基本形態を実施することも好適である。
【0118】
B−5 上記B−4で述べた方法またはこの方法を採用する衛星信号受信装置は、修正の周期の長さに基づき、上記B−1、B−2、B−3を実施する/しない(最初の実施の基本形態のみを実施する)を決定している。しかし、次のような基準で上記B−1、B−2、B−3を実施する/しない(最初の実施の基本形態のみを実施する)を決定することも好適である。
【0119】
アンテナの制御間隔を例えばΔtmsecであるとする。時刻t1 からΔtmsec前までのNpoint における受信レベルC/Nの平均値をCNR t1 と表す。目的の傾きをβとする。以上のような表記のもと、以下の値を算出する。
【0120】
【数4】
Figure 0003709610
この式のΣΔβがある値以下になった時に、現在の傾きがβであると判断することができる。そして、受信レベルC/Nの傾きがβであれば、オフセット誤差は小さいので、傾きがβ未満である場合にのみ、上記B−1、B−2、B−3を実施せずに、傾きがβ以上である場合には最初に述べた実施の基本形態をそのまま実施することが好適である。
【0121】
B−6 上記最初に述べた実施の基本形態は、受信レベルC/Nの低下が生じる毎に補正値の修正が行われている。このように、低下が生じる毎に補正値の修正を行えば、初期(オフセット誤差が大きい)の補正において収束を迅速にすることができるので、好ましい結果をもたらす。しかし、補正値が、一旦収束した後では、ちょっとした受信レベルC/Nの低下が生じても補正値の修正が行われ、却って、補正値の変動を招いてしまう。そこで、収束が完了してからは、受信レベルC/Nの低下ごとのオフセット誤差の修正量を、一定の期間累積加算し、その総和を記憶しておくのにとどめ、実際に用いられるオフセット補正値の修正は一定の期間の最後にまとめて行うのが好適である。つまり、例えばT1(上記最初に述べた実施の基本形態における修正タイミングの周期Tの整数倍の時間期間)秒ごとに、オフセット誤差の修正量の総和をまとめて、オフセット補正値に加えるのである。
【0122】
このように、収束後は修正量の総和をまとめて補正値に加えれば補正値の細かな変動を防止でき、安定したオフセット誤差の補正が行える。
【0123】
B−7 上記B−6で示した方法は、言い換えれば、T1秒間の修正量の総和をT1秒毎にまとめて補正値に加えていくので、1度の加算で通常の修正量の数倍の大きさの値が加えられることもある。最初に述べた実施の基本形態における通常の修正量Δωとすると、例えば3倍の時間でまとめてオフセット誤差の修正を行う上記(7)の方法では一度に3Δωの値がオフセット誤差の補正値に加えられてしまうことも可能性として存在する。
【0124】
そこで、オフセット誤差の補正値の収束後は、T2秒ごとのオフセット誤差の修正値(受信レベルC/Nの低下がN回あり、オフセット誤差の補正値の修正は、最初に述べた実施の基本形態に換算すればN回)の総和Σが以下の要件を満たす場合にのみ、Δωだけ修正をするのも好適である。
【0125】
【数5】
Σ/N > β
(βは0≦β≦1、但し、実験的には、
βはおよそ0.2程度が好ましい。)
言うなれば、このB−7で示す方法は、上記B−6で示す方法と異なり、修正量を変化させるのではなく、修正量を制限したものである。例えば、上記T=20秒である場合に、この20秒間にオフセット誤差の修正を行うべきタイミングが5回生じた場合に、2回分のオフセット誤差の修正を行う等の制限を設けたのである。
【0126】
例えば、見かけ上のオフセット誤差が−1〜+1の範囲である場合には、本発明の原理からすれば、オフセット誤差の補正値を+1〜−1だけ修正すべきであるが、オフセット量の細かい変動を防止するため、この場合には修正を行わない。そして、見かけ上のオフセット誤差が−2〜−4の範囲である場合には、+2〜+4だけ修正すべきであるが、この場合にはオフセット誤差の補正値を−1だけ修正する。同様にして、−2〜−4だけ修正すべきである場合には+1だけ修正を行い、−5以下の修正を本来行う場合には−2だけ修正を行い、+5以下の修正を本来行う場合には+2だけ修正を行うようにすることが考えられる。勿論、これらの値は例にすぎず、各衛星追尾システムによって、それぞれ最適な値は異なるであろう。
【0127】
B−8 最初に述べた実施の基本形態において、電源投入後の初期(オフセット誤差の補正がまだ不十分である場合)の補正値は、補正すべき誤差量の全体からすると小さいので、補正値が収束するまでの時間が大きい。そこで収束の度合いに応じて補正値の修正量Δωを変化させることが好適である。
【0128】
さて、収束の度合いは、種々の基準で定義することができるし、又、その収束の度合いを検出する方法も種々の手法がある。例えば、収束の度合いを判断する基準として、オフセット誤差の補正値の修正を行う周期を基準にするのが好適である。このような周期を基準にするためには、オフセット誤差の補正値の修正のタイミングごとにリスタートされるタイマを用いるのが好適である。このようなタイマは、オフセット誤差の補正値の修正毎に、タイマの値を読みとられるのと同時にそのリセットとリスタートがおこなわれる。これによって、その読みとったタイマの値が修正の周期になるのである。
【0129】
そして、その読みとった周期があるしきい値より大きい場合にはオフセット誤差の補正値は収束に近づいていると判断し、オフセット誤差の補正値の一回の修正の単位である修正の基準値の大きさが小さく設定されるのである。
【0130】
換言すれば、その読みとった周期があるしきい値より大きくない場合にはオフセット誤差の補正値は収束からまだ遠いと判断し、オフセット誤差の補正値の一回の修正の単位である修正の基準の量(上記Δω)は大きく設定されるのである。
【0131】
これによって、収束から遠い場合には、迅速な修正を行うことが可能であるとともに、収束に近づいた場合には慎重な修正を行うことにより精密なオフセット誤差の補正値の修正が可能である。
【0132】
B−9 最初に述べた実施の基本形態において、電源投入後の初期(オフセット誤差の補正がまだ不十分である場合)の収束可能な誤差は、ハイブリッド追尾の角速度と、受信レベルの大小の判断間隔によって決定される。一方、収束完了後には、初期に必要とした受信レベルの大小の判断間隔と同一の判断間隔を用いていたのでは、追尾性能を向上させることはできない。そこで収束の前後でハイブリッド追尾の角速度と受信レベルの大小の判断間隔を変更することが好適である。
【0133】
B−10 最初に述べた実施の基本形態において、大きなヨーレートが検出されている場合には、オフセット誤差と感度誤差を切り分けることは一般に困難である。そのため、小さなヨーレートが検出されている場合のみ、本実施の形態におけるように、オフセット誤差の補正値の修正を行うのが好適である。すなわちヨーレートが±αdeg /sec 以内の時は感度誤差はオフセット誤差より小さく無視できると考えられるため、オフセット補正値の修正を行う本実施の形態を採用することができる。具体的なしきい値±αdeg /sec の値は各ケースごとによって実験等に基づき定められよう。
【0134】
B−11 上記B−6、B−7において述べた実施の形態においては、収束前後でオフセット補正の方法を変えるのも好適である。具体的には、オフセット補正値の収束の前と後とで、オフセット補正値の修正の頻度(修正周期)を変更するのが好適である。
【0135】
尚、本実施の形態B−11においてはジャイロの感度誤差をαパーセントとすると、ヨーレートがY(deg /sec )の時の感度による誤差はY×α/100(deg /sec )である。この値は感度誤差αが大きいほど大きくなる。一方、オフセット誤差V0(deg /sec )は上述したようにヨーレートとは直接関係しない。感度誤差とオフセット誤差が、
【数6】
Y×α/100 << V0
という関係にあれば、本実施形態B−11は良好な動作を行う。しかし、上式が満足されるかどうか不明な場合は、その誤差がオフセットによる誤差であるのか、感度誤差であるのかは一般にはわからない。
【0136】
しかし、感度誤差は感度係数補正の収束の割合で判断できるので、感度誤差の収束の度合いに応じてYの値を変化させることが可能である。その結果、ジャイロ出力の誤差を、オフセットによるものと、感度によるものとに切り分けることが可能となる。
【0137】
本実施の形態に係るオフセット補正値の修正の様子が図9に示されている。横軸は時間であり、1目盛りは5秒を表す。また、縦軸はヨーレート、及びオフセット誤差の補正値、C/N(受信レベルの大きさ)の各信号をそれぞれ表す。図9のグラフから理解されるように、電源投入後40〜50秒間は補正値の修正が行われ、およそ1分程度で補正値が一定値に収束する。そして、一定値に収束するに伴い、受信レベルの大きさC/Nの値も安定したものとなることが理解されよう。
【0138】
尚、特開平5−142321号公報には、ステップトラック追尾制御方向からジャイロセンサ補正方向を決める思想が開示されている。しかし、ここに記載されている方法は、受信レベルの変化を検出してH/Lを切り替えるように構成されており、係るレベル変化の検出のためにはある周期でサンプリングを行う必要がある。ところが、そのサンプリングを行う時点によって、H/Lの切替位置(ビームのピークからの位置)が異なってしまう。
【0139】
また、受信レベルというのは常に変動しているものである。レベルの増加方向にアンテナを回転させている場合であってもレベルの減少はあり得る。
【0140】
さらに、車両のロール等によって、受信レベルが減少してしまう。
【0141】
これらの理由により、例えば同号公報の図4に示されているように「H」の期間と「L」の期間にはばらつきが生じ、必ずしも収束するとは限らないという問題点がある。
【0142】
また、同号公報に記載されている方法では、三角波発生回路27の出力αと、角速度センサーの出力信号とを加算しているが、このαは三角波状に増減を繰り返す信号であるため、真値にはならず、真値付近を増減するのみであり、本発明のように安定した衛星信号の受信を行うことはできないものと考えられる。
【0143】
B−12 さて、オフセット誤差の補正値の修正が行われる周期(T)は、オフセット誤差の補正値と真の誤差の値との差が小さくなるとともに、長くなる。これは誤差が少なければジャイロ追尾からハイブリッド追尾へ移行しにくくなるからである。このようにオフセット誤差の補正値の修正が行われる周期(T)は、オフセット誤差の補正値と真の誤差の値との差が大きい場合には短くなり、逆にオフセット誤差の補正値と真の誤差の値との差が小さい場合には長くなる。この期間は、図5におけるレベルLB と、レベルLC との間を移動する時間である。従って、レベルLB とレベルLC との差に相当する角度差(この角度差をΔφと呼ぶ)が一定の値であるならば、BSアンテナの相対的な角速度によって、上記期間が決定される。BSアンテナの相対角速度とは、すなわちオフセット誤差に相当する。そのため、上記周期Tはオフセット誤差と対応する値(一定の関係にある値)である。
【0144】
そこで、この周期Tから、オフセット誤差を推定することにより、オフセット誤差の補正値を一回の修正で完全に修正してしまうことが考えられる。このように周期Tから、オフセット誤差を推定し、この誤差を打ち消すように現在のオフセット誤差の補正値を修正することによって、極めて迅速にオフセット誤差の補正値の修正が可能である。これによって、オフセット誤差の補正値が収束するまでに10回〜30回必要(100×T秒程度必要)であった修正回数が1回の補正値の修正ですませることが可能となる。
【0145】
次に、オフセット誤差を求める方法について詳述する。
【0146】
上述したように、受信レベルがレベルLB からレベルLC まで降下する際のBSアンテナの相対角速度は真のオフセット誤差とオフセット誤差の補正値との差の角速度ω0 に等しい。一方、ハイブリッド追尾(ステップトラック追尾でも良い)により、レベルLC からレベルLB まで復元する際のBSアンテナの相対角速度は真のオフセット誤差とオフセット誤差の補正値との差の角速度であるω0 にステップレートωSを加算したω0 +ωSである。
【0147】
さて、上記レベルLB とレベルLC との差に相当する角度差Δφを用いると、以下の式が成立する。
【0148】
【数7】
1 =Δφ/ω0 , t2 =Δφ/(ω0 +ωS)
ここで、t1 は、ジャイロ追尾において、受信レベルがLB からLC まで下降する時間をいい、t2 は、ハイブリッド追尾(ステップトラック追尾でも良い)において、受信レベルがLC からLB まで復元するのに要する時間をいう。
【0149】
さて、上記周期Tは、明らかに上記時間t1 とt2 との和に等しいので、
【数8】
Figure 0003709610
ここで、ω0 よりステップレートであるωSの方が十分大きいと仮定すると、1/ω0 +1/(ω0 +ωS)は、ほぼ1/ω0 に等しい。従って、上記式は以下のように変形できる。
【0150】
【数9】
T=Δφ/ω0
従って、真のオフセット誤差とオフセット誤差補正値との差の角度であるω0 は、ω0 =Δφ/Tと表すことが可能である。このように、オフセット誤差の補正値の修正の時間間隔Tと、受信レベルLB とレベルLC との差に相当する角度差Δφと、に基づき、真のオフセット誤差とオフセット誤差補正値との差の角度であるω0 を算出することが可能である。そして、オフセット誤差の補正値であるΔωGの値を、上記算出したω0 だけ修正すれば一回の修正で、オフセット誤差の補正値の修正を行うことが可能である。
【0151】
次に、本実施の形態B−12における具体的な動作をフローチャートに基づき説明する。図12には本実施の形態B−12における具体的な動作を表すフローチャートが示されている。
【0152】
まず、ステップS12−1においては、受信レベルLR と、ジャイロ出力信号ωGの読み込みが行われる。
【0153】
そして、ステップS12−2においては、オフセット誤差の補正値の修正を行うタイミングであるか否かが判断される。オフセット誤差の補正値の修正を行うタイミングであれば次のステップS12−3に処理が移行するが、オフセット誤差の補正値の修正を行うタイミングでなければ、再び、上記ステップS12−1に移行し、受信レベルLR と、ジャイロ出力信号ωGの読み込みが行われる。
【0154】
ステップS12−3においては、タイマから時間Tの読み出しが行われる。このタイマは、前回のオフセット補正値の修正の際にリスタートされていたものであり、この時間Tは、前回のオフセット補正値の修正のタイミングからの経過時間を表す。
【0155】
ステップS12−4においては、タイマのリセット及びリスタートがおこなわれる。これは次回のオフセット誤差の補正値の修正の際に、このタイマの値を利用するためである。
【0156】
ステップS12−5においては、上記ステップS12−3において読み込まれた時間Tに基づき、真のオフセット誤差ω0 が算出される。上述したように、真のオフセット誤差ω0 は受信レベルLB と受信レベルLC との差に相当する角度差Δφを、時間Tで除算することにより算出される。
【0157】
次にステップS12−6においては、オフセット誤差の補正に用いられる補正値ΔωGの値に、上記ω0 を加算する。
【0158】
このような動作により、B−12に示されている例によれば、一回の修正でオフセット誤差の補正値の正確な修正を行うことができ、迅速に良好な受信状態を保持可能な衛星信号受信装置が得られる。
【0159】
【発明の効果】
以上述べたように、第1の本発明によれば、ジャイロセンサのオフセット誤差のドリフトに対して、オフセット誤差の補正値を効率的に修正しうる車載用衛星信号受信装置が得られ、常に良好な受信状態を維持することが可能となる。
【0160】
第2の本発明によれば、車両が一時的に樹木等の陰になった場合においても安定した受信を続行することができる車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0161】
第3の本発明によれば、ロールや、ピッチングが生じてもオフセット誤差のドリフトに対するオフセット誤差の補正値を誤修正してしまうことがない車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0162】
第4の本発明によれば、受信レベル信号の変化に基づき、オフセット誤差による受信レベルの低下のみを効率的に検出し、正確なオフセットの補正が行える車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0163】
第5の本発明によれば、収束が早く、かつ、安定したオフセット誤差の補正が可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0164】
第6の本発明によれば、初期オフセット誤差の補正が完了する期間を効率的に判断しうるので、収束が早く、かつ安定した誤差の補正が可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0165】
第7の本発明によれば、さらに収束が早い車載用衛星信号受信装置が得られ、電源投入から短時間に良好な受信状態を実現できる車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0166】
第8の本発明によれば、一旦補正値が収束した後は、オフセット誤差の補正値の修正手法を収束前と変更したので、安定した受信が可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0167】
第9の本発明によれば、修正量の総和を用いて修正を行ったので、より滑らかな受信状態を維持でき、かつ安定した受信が可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0168】
第10の本発明によれば、さらに、補正値の総和にしきい値を適用し、一定値以上の場合にのみ、修正を行ったので、より安定したオフセット誤差の補正が可能となり、良好な受信状態を実現可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0169】
第11の本発明によれば、追尾量を変更したので、安定した追尾が可能となり、良好な受信状態を実現可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0170】
第12の本発明によれば、判断間隔を変更したので、安定した追尾が可能となり、良好な受信状態を実現可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0171】
第13の本発明によれば、感度誤差の影響を受けることなく安定したオフセット誤差の補正が行え、良好な受信状態を実現可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0172】
第14の本発明によれば、補正値の修正動作の周期に基づき、誤差の補正値の収束の度合いを推定したので、補正値を迅速に正規の値(真値)まで修正することが可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【0173】
第15の本発明によれば、オフセット誤差の補正値を一回の修正で正しい補正値に修正できるため、極めて迅速にオフセット誤差の正確な補正をすることが可能な車載用衛星信号受信装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 衛星追尾装置を備えた車載用衛星信号受信装置の構成ブロック図である。
【図2】 ステップトラック制御の原理を表す説明図である。
【図3】 平面ビームチルトアンテナの説明図である。
【図4】 平面ビームチルトアンテナが車両のルーフに取り付けられている様子を表す説明図である。
【図5】 アンテナのビームの衛星方向空のずれ角度と、受信レベルとの関係を表すグラフである。
【図6】 本実施の形態の車載用衛星信号受信装置の追尾動作を表すフローチャートである。
【図7】 図6に示されているフローチャートのジャイロ追尾の具体的な動作を表すフローチャートである。
【図8】 図6に示されているフローチャートのハイブリッド追尾の具体的な動作を表すフローチャートである。
【図9】 本実施の形態による車載用衛星信号受信装置の補正値の変化を表すグラフである。
【図10】 ジャイロセンサの温度ドリフトを表すグラフである。
【図11】 ジャイロセンサの時間ドリフトを表すグラフである。
【図12】 真のオフセット誤差とオフセット誤差の補正値との差を算出し、オフセット誤差の補正値にその差を加算し補正値を修正する場合の動作を表すフローチャートである。
【図13】 従来の車載用衛星信号受信装置の追尾動作を表す説明図である。
【符号の説明】
10 アンテナ、12 コンバータ、14 BSチューナ、16 ステッピングモータ、18 ステッピングモータドライバ、20 接続ユニット、22 モータ制御ボード、24 A/Dボード、26 振動ジャイロ、28 制御装置。

Claims (15)

  1. 車載されたアンテナと、
    車両の方位角回転角速度を検出するジャイロセンサと、
    前記ジャイロセンサを静止状態に保持しても時間の経過によって生じる前記ジャイロセンサの出力電圧変化量であるオフセット誤差を補正するために該ジャイロセンサの測定から得られる補正値を前記ジャイロセンサの出力信号に加え、前記オフセット誤差を補正した補正済みジャイロセンサ信号を出力するオフセット誤差補正手段と、
    衛星信号の受信レベルが所定値以上の時には前記補正済みジャイロセンサ信号に基づき前記アンテナの指向方向を制御するジャイロ追尾手段と、
    衛星信号の受信レベルが所定値以下の時には信号レベルが高まるように前記アンテナの指向方向を制御するステップトラック追尾手段と、
    を備える車載用衛星信号受信装置において、
    前記受信レベルが前記所定値以下に移行し、前記ステップトラック追尾手段による制御が開始された場合に、前記ステップトラック追尾手段による制御方向と同一の方向の修正量を、前記オフセット誤差補正手段の補正値に加算することによって、前記補正値を修正する修正手段を有し
    前記オフセット誤差補正手段は、前記修正手段により補正値が修正されたとき、その修正された補正値を、前記ジャイロセンサの出力信号に加えることを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  2. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段は、前記受信レベルが第2の所定値以上となっている時間が所定時間以上である場合にのみ、前記修正量を、前記補正値に加算することを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  3. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    車両のローリングまたはピッチングを検出するローリング・ピッチング検出手段、
    を含み、
    前記修正手段は、前記検出手段がローリングまたはピッチングを検出していない場合にのみ、前記修正量を、前記補正値に加算することを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  4. 請求項1または2記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段は、前記受信レベルが前記所定値以下に移行する際のレベル低下速度が所定速度以下である場合にのみ、前記修正量を、前記補正値に加算することを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  5. 請求項2、3または4記載の車載用衛星信号受信装置において、
    電源投入後のドリフトの補正が未完了な状態を検出する初期オフセット誤差補正未完了状態検出手段、
    を含み、
    前記修正手段は、前記初期オフセット誤差補正未完了状態検出手段が初期のオフセット誤差の補正が未完了な状態を検出している場合には、前記受信レベルが前記第2の所定値以上となっている時間が所定時間以上である場合または前記ローリングまたはピッチングが検出された場合または前記所定値以下に移行する際のレベル低下速度が所定速度以下でない場合のいずれかの場合であっても、前記修正量を、前記補正値に加算する動作を行うことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  6. 上記請求項5記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記初期オフセット誤差補正未完了状態検出手段は、衛星信号の受信レベルの大きさの変化率に基づき、この変化率が所定値以上である場合には、前記初期のオフセット誤差の補正が未完了な状態であると判断し、この変化率が所定値未満である場合には、前記初期オフセット誤差の補正が完了した状態であると判断することを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  7. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段は、前記オフセット誤差補正手段が用いる補正値の所定値への収束の度合いが低い場合には、高い場合に比べて大きな値となるよう、前記修正量の値を決定する決定手段を有することを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  8. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段は、
    前記オフセット誤差補正手段の補正値が所定値に収束したか否かを検出する収束検出手段と、
    前記収束検出手段が収束を検出する前と、検出した後において、この修正手段が前記補正値に修正量を加算し前記補正値を修正する頻度を変更する修正頻度変更手段と、
    を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  9. 請求項7、8記載の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、
    前記受信レベルが前記所定値以下に移行し、前記ステップトラック追尾手段による制御が開始された場合に、前記ステップトラック追尾手段による制御方向と同一の方向の修正量を累積加算し、累積値を保持する積算手段と、
    前記積算手段が累積する修正量を、所定期間ごとに、前記ドリフト補正手段の補正値に加算するとともに前記積算手段の累積値をクリアする加算手段と、
    を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  10. 請求項7、8記載の車載用衛星信号受信装置において、前記修正手段は、
    前記受信レベルが前記所定値以下に移行し、前記ステップトラック追尾手段による制御が開始された場合に、前記ステップトラック追尾手段による制御方向と同一の方向の修正量を累積加算し、累積値を保持する積算手段と、
    前記積算手段が累積する修正量を、所定期間ごとに検査し、所定のしきい値を超えている場合にのみ、前記累積された修正量を前記ドリフト補正手段の補正値に加算するとともに前記積算手段の累積値をクリアする加算手段と、
    を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  11. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段は、
    前記ドリフト補正手段の補正値が所定値に収束したか否かを検出する収束検出手段、
    を含み、
    前記ステップトラック追尾手段は、
    衛星信号をサンプリングする間隔である制御間隔を、前記収束検出手段が、前記補正値の収束を検出する前と後とで、異なる値に設定する制御間隔設定手段、を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  12. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段は、
    前記ドリフト補正手段の補正値が所定値に収束したか否かを検出する収束検出手段、
    を含み、
    前記ステップトラック追尾手段は、
    前記アンテナを回転させる角速度を、前記収束検出手段が、前記補正値の収束を検出する前と後とで、異なる値に設定する角速度設定手段、
    を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  13. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段は、
    前記ジャイロセンサが検出する車両の方位角回転角速度の大きさが所定値未満の場合にのみ、前記オフセット誤差の補正値を修正することを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  14. 請求項7記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記決定手段は、
    前記修正手段による修正動作が行われる周期に基づき、前記修正量の値を決定する手段、
    を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
  15. 請求項1記載の車載用衛星信号受信装置において、
    前記修正手段が前記補正値を修正する時間間隔である修正周期を計測する修正周期計測手段と、
    前記修正周期計測手段によって計測された修正周期に基づき、ジャイロセンサのオフセット誤差の値を算出するオフセット誤差算出手段と、
    前記オフセット誤差算出手段によって算出されたオフセット誤差の値を前記オフセット誤差の補正値に加算することによって、前記補正値を前記ジャイロセンサの真の補正値に修正する第2修正手段と、
    を含むことを特徴とする車載用衛星信号受信装置。
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