JPH05196475A - 動揺角検出器 - Google Patents

動揺角検出器

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JPH05196475A
JPH05196475A JP782392A JP782392A JPH05196475A JP H05196475 A JPH05196475 A JP H05196475A JP 782392 A JP782392 A JP 782392A JP 782392 A JP782392 A JP 782392A JP H05196475 A JPH05196475 A JP H05196475A
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JP
Japan
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offset
complementary
angle detector
sensor
antenna
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Application number
JP782392A
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Inventor
Koichi Eguchi
光一 江口
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Japan Radio Co Ltd
Original Assignee
Japan Radio Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価なレートセンサを恒温槽なしで用いつつ
オフセット誤差を低減する。 【構成】 レートセンサである角速度センサ10のオフ
セット値を格納するオフセット補正レジスタ26を設け
る。ステップトラック制御手段24によりオフセット補
正レジスタ26の格納値を逐次漸減/漸増させ、加算器
28により角速度センサ10を補正する。指向性アンテ
ナ18による受信レベルが大となるよう、ステップトラ
ック制御を実行する。さらに、残留オフセットやドリフ
トは、相補フィルタAの帰還ループにより除去する。帰
還ループの帰還ループを切り換え制御することにより、
動揺誤差を低減してトータルの誤差を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レートセンサ及び傾斜
センサの出力を相補的に合成し、移動体の動揺角を検出
してアンテナ制御系に供給する動揺角検出器の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、船舶等の移動体に衛星受信システ
ムが搭載されることが多くなっている。例えば船舶にイ
ンマルサット受信機を搭載しインマルサット船舶地球局
を構成する場合、当該受信機は指向性アンテナにより衛
星からの電波を受信して増幅、検波その他の処理を施
し、必要な情報を表示し又は出力する。
【0003】インマルサットのように移動体に受信機を
搭載し、衛星からの電波を受信するシステムでは、移動
体の動揺を補償する手段が必要とされる。例えば船舶は
波浪等により動揺し、これに伴いアンテナも動揺する。
動揺補償手段としては、従来、移動体の動揺(船舶の場
合、ロール、ピッチ等)を検出し、アンテナの姿勢又は
ビーム方向をフィードバック制御する手段が用いられて
いた。
【0004】このようなフィードバック制御を行うため
には、船舶等の移動体の動揺を検出する動揺角検出器が
必要である。動揺角検出器としては、ピエゾ型等のレー
トセンサや、インクリノメータとよばれる傾斜センサ、
さらには両者を組み合わせて用いる構成が使用される。
【0005】図4には、レートセンサと傾斜センサを組
み合わせて構成した一従来例に係る動揺角検出器が、図
5には、その伝達関数が、それぞれ示されている。この
従来例は、レートセンサと傾斜センサの出力を相補的に
合成して所望周波数領域で平坦な周波数特性を実現する
ものである。
【0006】図4に示されるように、この従来例は、レ
ートセンサである角速度センサ10を有している。角速
度センサ10は、移動体の動揺角θi (s)に対して微
分の伝達関数を有しており、従ってその出力は移動体の
動揺角速度を表している。また、傾斜センサ12は、移
動体の動揺角θi (s)に対して比例の伝達関数を有し
ている。
【0007】一方、この従来例では、角速度センサ10
及び傾斜センサ12の後段にそれぞれ相補フィルタA0
又はB0 が設けられている。相補フィルタA0 及びB0
の瀘波出力は加算器C0 により加算され、移動体の動揺
角を表す出力θo (s)として例えばアンテナ制御系に
出力される。相補フィルタA0 、B0 及び加算器C
0 は、角速度センサ10及び傾斜センサ12の出力を相
補的に合成し、平坦な周波数特性とする相補的合成フィ
ルタ14を構成している。
【0008】角速度センサ10及び傾斜センサ12の出
力を相補的に合成し、平坦な周波数特性を得ようとする
場合、 Grate (0) (s)+Gincl (0) (s)=1 但し、Grate (0) (s)=G1 (s)・F
rate (0) (s) Gincl (0) (s)=G2 (s)・Fincl (0) (s) G1 (s):角速度センサ10の伝達関数 G2 (s):傾斜センサ12の伝達関数 Frate (0) (s):相補フィルタA0 の伝達関数 Fincl (0) (s):相補フィルタB0 の伝達関数 となるよう、相補フィルタA0 及びB0 を設計すれば良
い。今、後述する寄生要素、オフセット及びそのドリフ
ト、加速度の影響項等を無視した場合の角速度センサ1
0の伝達関数G10(s)及び傾斜センサ12のG
20(s)がそれぞれ、 G10(s)=K1 ・s G20(s)=K2 となることから、Frate (0) (s)及びF
incl (0) (s)は、それぞれ次のように設定すれば良
い。
【0009】 Frate (0) (s)=(1/K1 )/(s+ωa ) Fincl (0) (s)=(ωa /K2 )/(s+ωa ) このように設定すると、 Grate (0) (s)=K1 ・s・(1/K1 )/(s+ωa ) =s/(s+ωa ) Gincl (0) (s)=K2 ・(ωa /K2 )/(s+ωa ) =ωa /(s+ωa ) となり、 Grate (0) (s)+Gincl (0) (s)=1 が成り立つ。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、レートセンサ
や傾斜センサは、実際には寄生要素、オフセット及びそ
のドリフト、加速度の影響項等を有している。従来例に
おいては、その内容が図5に示されている。
【0011】まず、角速度センサ10は、寄生要素を有
しており、さらにオフセット及びそのドリフトを有して
いる。図5では、角速度センサ10の寄生要素は2次L
PFの伝達関数G11(s)として表され、オフセット及
びそのドリフトは伝達関数d0 (s)として表されてい
る。伝達関数G11(s)及びd0 (s)は、次のような
関数である。
【0012】
【数1】 ただし、ω1 は角速度センサ10の遮断周波数を、ζ1
はダンピング係数を、それぞれ表している。また、d0
は角速度センサ10のオフセット電圧である。次に、傾
斜センサ12は、寄生要素を有しており、さらに加速度
の影響を受ける。図5では、傾斜センサ12の寄生要素
は2次LPFの伝達関数G21(s)として表され、固体
又は液体の振り子を使用することによる加速度の影響は
伝達関数G22(s)として表されている。伝達関数G21
(s)及びG22(s)は、次のような関数である。
【0013】
【数2】 ただし、ω2 は傾斜センサ12の遮断周波数を、ζ2
ダンピング係数を、それぞれ表している。また、Lは移
動体の動揺中心から傾斜センサ12までの距離(設置高
さ)を、gは重力加速度を、それぞれ表している。
【0014】従って、これらを考慮した場合の角速度セ
ンサ10の伝達関数G1 (s)及び傾斜センサ12の伝
達関数G2 (s)は、それぞれ次のように示される。
【0015】 G1 (s)=G10(s)・G11(s)+d0 (s) G2 (s)=G20(s)・G21(s)+G22(s) これら、G11(s)、d0 (s)、G21(s)及びG22
(s)の各要素のうちd0 (s)は、オフセット誤差を
発生させるものである。オフセット誤差DR0 (0) は、
角速度センサ10のオフセットd0 により出力θ
o (s)に現れる誤差であり、最終値定理を用いて、次
のように求められる。
【0016】
【数3】 このオフセット誤差DR0 (0) は、安価な振動ジャイロ
等のレートセンサを用いる場合、インマルサット船舶地
球局等に用い難いほど大きなものとなる。すなわち、現
在市販されている振動ジャイロでは、K1 =1.26
[V/rad/sec]=0.022[V/deg/s
ec]、d0 =−0.2〜+0.2[V](温度範囲に
よる)程度の特性であるから、温度制御のため恒温槽等
の手段が必要となる。
【0017】本発明は、このような問題点を解決するこ
とを課題としてなされたものであり、安価なレートセン
サを用いかつ恒温槽等を用いずに、インマルサット船舶
地球局等に好適に用いうる動揺角検出器を提供すること
を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の請求項1に係る動揺角検出器は、レ
ートセンサのオフセット値を格納するオフセット補正レ
ジスタと、オフセット補正レジスタの格納値をレートセ
ンサの出力に加算又は減算して第1の相補フィルタに供
給する手段と、受信レベルに応じてオフセット補正レジ
スタの格納値を逐次漸減/漸増させるステップトラック
制御手段と、を備え、アンテナの受信レベルが大となる
ようレートセンサから相補的合成フィルタへの入力を補
正することを特徴とする。
【0019】さらに、請求項2に係る動揺角検出器は、
第1の相補フィルタが、入力から残留オフセットを除去
する作用を有すると共に、当該作用を調整可能な帰還ル
ープを含むことを特徴とする。
【0020】そして、請求項3に係る衛星受信システム
は、所定の指向性を有し衛星からの電波を受信するアン
テナと、衛星からの電波の受信レベルを表す信号を出力
する受信機と、請求項1又は2記載の動揺角検出器と、
動揺角検出器の加算器から出力される動揺角に応じてア
ンテナの姿勢又はビーム方向を制御する手段と、を備
え、移動体に搭載されることを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明の請求項1においては、レートセンサの
オフセット値がオフセット補正レジスタに格納される。
オフセット補正レジスタの格納値は、ステップトラック
制御手段により逐次漸減/漸増(ステップトラック制
御)され、レートセンサの出力に加算又は減算される。
このとき、ステップトラック制御手段は、受信レベルに
応じてステップトラック制御を実行する。これにより、
アンテナの受信レベルが大となるようレートセンサから
相補的合成フィルタへの入力が補正される。従って、請
求項1においては、オフセットが大きなレートセンサを
用いて精度良いアンテナ制御(姿勢制御、ビーム制御
等)を行うことが可能となるとともに、その際、恒温槽
を用いる必要がなくなる。
【0022】さらに、請求項2においては、第1の相補
フィルタが帰還ループを含んでいる。この帰還ループ
は、前述のステップトラック制御を行った場合でも除去
しきれないオフセット(残留オフセット)を除去する作
用を有する。このような作用を奏する帰還ループは、例
えば一次フィルタとして構成できる。この結果、オフセ
ット誤差が低減する。
【0023】さらに、この作用は調整可能である。帰還
ループを一次フィルタとして構成した場合、その帰還係
数Kb の値を少なくとも2段階に切り替えることでこの
ような調整が可能となる。上述のオフセット誤差低減の
作用は、帰還をより強くする(帰還係数Kb の値を大き
くする)ことでより顕著となるが、反面、動揺に対する
応答誤差(動揺誤差)が比較的低周波において大きくな
る。この場合、例えばオフセット補正レジスタの格納値
が未収束の状態で帰還係数Kb の値を大きくし、ほぼ収
束した状態で小さくするというように2段階切り換えす
れば、動揺誤差を含めトータルに誤差低減できる。
【0024】そして、請求項3においては、安価かつア
ンテナ制御の精度の良い衛星受信システムが、請求項1
又は2記載の動揺角検出器を用いて実現される。すなわ
ち、所定の指向性を有するアンテナにより衛星からの電
波が受信されると、受信機は、アンテナの受信レベルを
表す信号(受信レベル信号)を出力する。動揺角検出器
は、この信号に基づきレートセンサ出力を補正する。ア
ンテナの姿勢又はビーム方向は、動揺角検出器の加算器
から出力される動揺角に応じて制御される。
【0025】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について図面に
基づき説明する。なお、図4及び図5に示される従来例
と対応する構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0026】(1)衛星受信システムの構成及び動作 図1には、本発明の一実施例に係る動揺角検出器16を
用いた衛星受信システムの構成が示されている。このシ
ステムは、指向性アンテナ18のビーム100が常に衛
星の方向を向くよう制御しつつ、衛星からの電波を受信
するシステムであり、例えばインマルサット船舶地球局
に採用されるシステム構成である。
【0027】図1に示される衛星受信システムにおいて
制御対象とされている指向性アンテナ18は、例えばイ
ンマルサット衛星からの電波を受信するアンテナであ
り、衛星を捕捉するため所定の指向性を有している。衛
星を捕捉するためには、指向性アンテナ18を衛星の方
向に向け(姿勢制御)、あるいはそのビーム100の方
向を衛星の方向に向け(ビーム制御)る必要がある。こ
の姿勢制御及び/又はビーム制御を行うため、図1の衛
星受信システムは、アンテナ姿勢制御手段又はビーム制
御手段20を用いている。
【0028】このアンテナ姿勢制御手段又はビーム制御
手段20は、図示しない装置からの指令に応じ、指向性
アンテナ18の姿勢制御及び/又はビーム制御を実行す
る。この指令は衛星の方位、仰角等を表しており、これ
により、指向性アンテナ18が衛星を捕捉する。指向性
アンテナ18は、衛星からの電波を受信して受信信号を
出力し、受信機22はこの受信信号について検波、増幅
等の所定の処理を施す。受信機22は、図示しない回路
に処理結果たる信号、データを出力する。このようにし
て、本実施例の衛星受信システムは衛星からの電波を受
信する。
【0029】また、本実施例のシステムは、移動体の動
揺を補償する機能を有している。動揺角検出器16は、
指向性アンテナ18が搭載される移動体、例えば船舶の
動揺(ロール、ピッチ等)の角度を検出し、検出結果を
出力θo としてアンテナ姿勢制御手段又はビーム制御手
段20に入力する。なお、出力θo は、動揺角データと
して外部(表示器等)にも出力される。アンテナ姿勢制
御手段又はビーム制御手段20は、検出された動揺角θ
o に基づき移動体の動揺を補償する。具体的には、指向
性アンテナ18の姿勢及び/又はビーム方向を動揺角θ
o に応じて修正する。これにより、アンテナビーム10
0は、動揺の影響を排除して衛星の方向を向くこととな
る。
【0030】一方で、本実施例における受信機22は、
受信レベル信号を出力する機能を有している。受信レベ
ル信号は、受信信号のC/N0 に対して単調増加な値を
有する信号であり、衛星からの受信レベルを表してい
る。本実施例の動揺角検出器16は、受信レベル信号を
入力し、受信レベルに応じて次のような動作を実行す
る。 (2)動揺角検出器の構成及び動作 本実施例の動揺角検出器16は、従来例と同様の角速度
センサ10及び傾斜センサ12を備えると共に、従来例
と異なる構成として、相補的合成フィルタ14、ステッ
プトラック制御手段24、オフセット補正レジスタ26
及び加算器28を備えている。
【0031】先に述べたように、角速度センサ10とし
て振動ジャイロ等のような安価なレートセンサを用いた
場合、オフセットd0 の影響を無視できない。オフセッ
トd0 による誤差、すなわちオフセット誤差を除去する
ためには、角速度センサ10の出力を補正して相補的合
成フィルタ14に入力すれば良く、この補正は、図5か
らも理解されるように、角速度センサ10の出力に係る
加減算で実行できる。オフセット補正レジスタ26は、
角速度センサ10のオフセットd0 を表す値を格納する
値であり、この値は加算器28により角速度センサ10
の出力に加算又は減算される。この加減算により、オフ
セット誤差を低減できる。
【0032】ステップトラック制御手段24は、受信レ
ベル信号の値に応じ、オフセット補正レジスタ26の格
納値を逐次漸減/漸増させる。具体的には、ステップト
ラック制御手段24は、所定の微少量に+又は−の符号
を付し、これによりオフセット補正レジスタ26の格納
値を補正する。指向性アンテナ18の姿勢制御及び/又
はビーム制御ループが前述のように形成されているの
で、このような動作(ステップトラック制御)を実行す
ることにより、受信レベルが増大するよう、角速度セン
サ10の出力を補正することができる。
【0033】さらに、相補的合成フィルタ14は、角速
度センサ10の後段に接続される帰還ループ付相補フィ
ルタA、傾斜センサ12の後段に接続される相補フィル
タB、並びに帰還ループ付相補フィルタAの出力と相補
フィルタBの出力を加算しθo (s)として出力する加
算器Cから構成されている。帰還ループ付相補フィルタ
Aは、帰還係数Kb (>0)を有する帰還ループを含ん
でいる。すなわち、図2に示されるように、伝達関数F
rate (0) (s)=(1/K1 )/(s+ωa )を有する
ブロックに、伝達関数Hb (s)を有するループによる
帰還を加えた構成である。伝達関数Hb (s)は、 Hb (s)=Kb ωb /(s+ωb ) のように一次フィルタの伝達関数である。但し、ωb
この帰還ループの遮断周波数である。伝達関数Frate
(0) (s)及びHb (s)を用い、変形することによ
り、帰還ループ付相補フィルタAの伝達関数Frate (1)
(s)は次のように表現できる。
【0034】
【数4】 本実施例では、このような伝達関数Frate (1) (s)を
有する帰還ループ付相補フィルタAを用い、角速度セン
サ10出力と傾斜センサ12出力の相補的合成を行う。
従って、相補フィルタBの伝達関数Fincl (1) (s)
は、次の条件を満たす必要がある。
【0035】 G10(s)・Frate (1) (s)+G20(s)・Fincl (1) (s)=1 但し、ここでは、寄生要素等を無視し、角速度センサ1
0及び傾斜センサ12の伝達関数をそれぞれG10(s)
又はG20(s)としている。
【0036】従って、相補フィルタBの伝達関数Fincl
(1) (s)は、次の関数とすればよい。
【0037】
【数5】 (3)オフセット誤差の低減 以上のような構成におけるオフセット誤差DR
0 (1) は、従来例の場合と同様に最終値定理を用いて次
のように求められる。
【0038】
【数6】 この式を従来例におけるオフセット誤差DR0 (0) と比
較した場合、その相違は、分母に帰還係数Kb が加算さ
れている点にあることがわかる。これは、DR0 (1)
DR0 (0) となり従来例に比べオフセット誤差が小さい
ことを表している。さらに、この効果は、帰還係数Kb
を大きくするとより顕著となる。
【0039】例えば、K1 =1.26[V/rad/s
ec]、d0 =0.1[V]、ωa =2π×0.1[r
ad]とした場合の従来例のオフセット誤差DR0 (0)
は、 DR0 (0) =0.126[rad]=7.24[deg] となる。これに対し、K1 =1.26[V/rad/s
ec]、d0 =0.1[V]、ωa =2π×0.002
[rad]、Kb =10.0とした場合の実施例のオフ
セット誤差DR0 (1) は、 DR0 (1) =0.010[rad]=0.57[deg] となり、帰還係数Kb 導入によるオフセット誤差低減の
効果が顕著であることがわかる。
【0040】従って、本実施例では、オフセットの大き
なレートセンサを用いつつ、オフセット誤差を効果的に
低減することが可能である。また、以上の構成において
は、角速度センサ10の温度制御のための恒温槽等は不
要である。従って、安価な振動ジャイロ等を用いてイン
マルサット船舶地球局等にも使用し得る精度の高いアン
テナ制御を実現できる。
【0041】(4)ドリフト誤差の評価 角速度センサ10のドリフトd0 (s)による誤差、す
なわちドリフト誤差を評価するには、帰還ループ付相補
フィルタAの積分ループの伝達関数Gintg (1) (s)の
ランプ応答等を調べれば良い。この伝達関数Gintg (1)
(s)は、先に述べた帰還ループ付相補フィルタAの伝
達関数Frate (1) (s)と同じ形の関数である。
【0042】(5)動揺誤差の評価 動揺角検出器16の動揺誤差、すなわち動揺に対する応
答誤差を評価するためには、角速度センサ10及び傾斜
センサ12の伝達関数を単にG10(s)又はG20(s)
とはせず、寄生要素や加速度の影響等を考慮し、周波数
特性や時間応答を解析する必要がある。
【0043】まず、角速度センサ10の寄生要素G
11(s)を考慮にいれて、レートセンサ系(角速度セン
サ10及び帰還ループ付相補フィルタAから構成される
系)の伝達関数Grate (1) (s)を考える。これは、次
のように表される。
【0044】
【数7】 次に、傾斜センサ12の寄生要素G21(s)及び加速度
の影響項G22(s)を考慮にいれて、傾斜センサ系(傾
斜センサ12及び相補フィルタBから構成される系)の
伝達関数Gincl (1) (s)を考える。これは、次のよう
に表される。
【0045】
【数8】 そして、動揺角検出器16全体の伝達関数Gtotal (1)
(s)は、これらGra te (1) (s)及びG
incl (1) (s)から、次のように表すことができる。
【0046】
【数9】 以上のように求められたGtotal (1) (s)を用いるこ
とにより、周波数特性や時間応答を解析することによ
り、動揺誤差の低減の効果を検証できる。
【0047】(6)実験結果 このような式に基づき帰還係数Kb をパラメタとして周
期正弦波テストを行った結果が、図3に示されている。
実験の条件は、次のような条件である。
【0048】a 動揺振幅:20[deg] b 動揺周期:1〜33[sec](正弦波) c 遮断周波数fa (=ωa /2π):0.002[H
z] d 遮断周波数fb (=ωb /2π):0.0002
[Hz] e 帰還係数Kb :5.0/10.0/15.0の3段
階 f 設置高さL:20[m] g 遮断周波数f1 (=ω1 /2π):10.0[H
z] h ダンピング係数ζ1 :1.0 i 遮断周波数f2 (=ω2 /2π):1.0[Hz] j ダンピング係数ζ2 :1.0 なお、これらの条件中、f1 、ζ1 、f2 及びζ2 は市
販のセンサの値である。
【0049】図3に示される実験結果は、特に動揺周期
が長い領域において、帰還係数Kb が小さいほど動揺誤
差が小さいことを表している。
【0050】(7)トータル誤差の抑制 この実験結果から理解されるように、帰還係数Kb を大
きくすると動揺誤差が特に低周波で大きくなってしま
う。反面、先に述べたように、帰還係数Kb が大きい程
オフセット誤差DR0 (1) は小さい。このような点に着
目し、本実施例では、状況に応じて帰還係数Kb を変化
させることを可能にし、これによりトータルの誤差の低
減を図っている。
【0051】例えば、電源投入直後のように、オフセッ
ト補正レジスタ26の格納値が未収束の状況下では、オ
フセットd0 及びそのドリフトd0 (s)の影響が大き
くなりやすい。すなわち、オフセット誤差DR0 (1)
大きくなりやすい。このため、電源投入直後などには帰
還係数Kb を大きくする。この後、オフセット補正レジ
スタ26の格納値がほぼ収束すると、オフセット誤差D
0 (1) は十分小さくなる。
【0052】オフセット補正レジスタ26の格納値がほ
ぼ収束した状況では、今度は、動揺誤差が問題となる。
そこで、帰還係数Kb を小さくし、動揺誤差を抑制する
ようにする。このような帰還係数Kb の切り換えを行う
と、オフセット補正レジスタ26の収束過程で発生する
誤差をトータルで抑制できる。
【0053】(8)まとめ 以上述べたように、本実施例によれば、受信レベル信号
の値に基づきオフセット補正レジスタ26をステップト
ラック制御するようにしたため、オフセット誤差を低減
でき、角速度センサ10として振動ジャイロ等の安価な
レートセンサを用いつつ、インマルサット船舶地球局等
の衛星受信システムに適する動揺角検出器16を構成で
きる。
【0054】さらに、このステップトラック制御におい
て残留オフセットが発生している場合でも、相補フィル
タAの帰還ループによりオフセット誤差を抑制でき、ま
た、ドリフト誤差も低減できる。
【0055】そして、動揺誤差を考慮した帰還係数Kb
の制御により、トータルの誤差を抑制できる。
【0056】(9)その他 なお、以上の説明において、相補的合成という語を用い
ていたが、これは、厳密な相補性を意味するものではな
い。すなわち、本実施例における相補的合成は、低周波
における相補性が成り立つようにするものであり、例え
ば比較的高周波の領域(1[Hz]前後又はそれ以上)
においては相補性は崩れる。これは、角速度センサ10
の位相遅れが顕著となる等の原因による。さらに、モデ
ルの不完全さもある。
【0057】さらに、以上説明した相補的合成フィルタ
14は、アナログフィルタとしてもディジタルフィルタ
としても構成できる。例えば本願出願人が先に提案した
特願平3−315020号にも開示されているように、
双一次変換(Bilinear Transformation )によりディジ
タルフィルタとして構成できる。ディジタルフィルタと
して実現(implement )した場合、帰還係数Kb の制御
が容易であるという利点がある(ディジタルフィルタに
関しては、例えば、“Digital Signal Processing ”,
A.V.Oppenheim,R.N.Schafer,Prentice Hall(1975) 等を
参照)。
【0058】また、帰還係数Kb は、連続的に変化させ
ても複数段階切り換えを行っても構わない。先に説明し
た例は、複数段階切り換えの例、特に2段階切り換えの
例である。さらに、帰還係数Kb を変化させ又は切り換
える手段は、相補的合成フィルタ14の設計に応じて適
宜選択すれば良い。フィルタ中のパラメタ、例えば帰還
係数を可変とする構成については公知であるため、ここ
では詳述しない。
【0059】さらに、上述の例では、オフセット補正レ
ジスタ26の収束状況に応じて帰還係数Kb を切り換え
ていた。オフセット補正レジスタ26の収束状況判断
は、オフセット補正レジスタ26の格納値の変化を逐次
観測して行っても良いが、電源投入からの時間を計時し
て行うのが簡便である。また、本発明は、帰還係数Kb
を変化させ又は切り換えることを可能にするものであ
り、オフセット補正レジスタ26の収束状況に連動させ
る構成に限定されるものではない。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
オフセット補正レジスタのステップトラック制御を行
い、受信レベルがより大となるようレートセンサ出力を
補正するようにしたため、レートセンサとして振動ジャ
イロ等のオフセットの大きなものを用いることができ、
装置構成を安価にすることができる。さらに、恒温槽等
も不要となる。
【0061】また、本発明によれば、レートセンサの出
力を瀘波する第1の相補フィルタに帰還ループを設ける
ようにしたため、残留オフセットを除去できる。また、
例えばオフセット補正レジスタの収束状況に応じ、この
帰還を係数制御等によって調整可能にしたため、電源投
入直後におけるオフセット誤差を効果的に低減し、収束
後の動揺誤差を効果的に低減してトータルの誤差を低減
する等の動作を実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る衛星受信システムの構
成を示すブロック図である。
【図2】この実施例における動揺角検出器の構成を伝達
関数で示すブロック図である。
【図3】この実施例における動揺周期と動揺誤差の関係
を帰還係数Kb をパラメタとして示す図である。
【図4】一従来例に係る動揺角検出器の構成を示すブロ
ック図である。
【図5】この従来例の構成を伝達関数で示すブロック図
である。
【符号の説明】
10 角速度センサ 12 傾斜センサ 14 相補的合成フィルタ 16 動揺角検出器 18 指向性アンテナ 20 アンテナ姿勢制御手段又はビーム制御手段 22 受信機 24 ステップトラック制御手段 26 オフセット補正レジスタ 28,C 加算器 100 アンテナビーム A 帰還ループ付相補フィルタ B 相補フィルタ θi ,θi (s) 動揺(ロール、ピッチ等) θo ,θo (s) 動揺角検出器の出力 G1 (s) 角速度センサの伝達関数(寄生要素を含
む) G10(s) 角速度センサの伝達関数(寄生要素を除
く) G11(s) 角速度センサの寄生要素(2次LPFモデ
ル) ω1 角速度センサの遮断周波数 ζ1 角速度センサのダンピング係数 d0 角速度センサのオフセット d0 (s) 角速度センサのドリフト G2 (s) 傾斜センサの伝達関数(寄生要素、加速度
の影響を含む) G20(s) 傾斜センサの伝達関数(寄生要素、加速度
の影響を除く) G21(s) 傾斜センサの寄生要素(2次LPFモデ
ル) ω2 傾斜センサの遮断周波数 ζ2 傾斜センサのダンピング係数 G22(s) 傾斜センサにおける加速度の影響 L 傾斜センサの設置高さ Frate (1) (s) 帰還ループ付相補フィルタAの伝達
関数 ωa 帰還ループ付相補フィルタAの遮断周波数 Hb (s) 帰還ループの伝達関数 ωb 帰還ループの遮断周波数 Kb 帰還ループの帰還係数 Fincl (1) (s) 相補フィルタBの伝達関数

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 搭載される移動体の動揺角速度を検知す
    るレートセンサと、当該移動体の動揺角を検知する傾斜
    センサと、レートセンサの検知出力を瀘波する第1の相
    補フィルタ、傾斜センサの検知出力を瀘波する第2の相
    補フィルタ、及び第1の相補フィルタの出力と第2の相
    補フィルタの出力を合成する加算器を含み、レートセン
    サの検知出力と傾斜センサの検知出力とを相補的に合成
    し所定周波数領域で平坦な周波数特性としつつアンテナ
    制御系に供給する相補的合成フィルタと、を備え、アン
    テナの姿勢又はビーム制御の基礎となる動揺角を検出す
    る動揺角検出器において、 レートセンサのオフセット値を格納するオフセット補正
    レジスタと、 オフセット補正レジスタの格納値をレートセンサの出力
    に加算又は減算して第1の相補フィルタに供給する手段
    と、 受信レベルに応じてオフセット補正レジスタの格納値を
    逐次漸減/漸増させるステップトラック制御手段と、 を備え、 アンテナの受信レベルが大となるようレートセンサから
    相補的合成フィルタへの入力を補正することを特徴とす
    る動揺角検出器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動揺角検出器において、 第1の相補フィルタが、 入力から残留オフセットを除去する作用を有すると共
    に、当該作用を調整可能な帰還ループを含むことを特徴
    とする動揺角検出器。
  3. 【請求項3】 所定の指向性を有し衛星からの電波を受
    信するアンテナと、 衛星からの電波の受信レベルを表す信号を出力する受信
    機と、 請求項1又は2記載の動揺角検出器と、 動揺角検出器の加算器から出力される動揺角に応じてア
    ンテナの姿勢又はビーム方向を制御する手段と、 を備え、 移動体に搭載されることを特徴とする衛星受信システ
    ム。
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