JP3547701B2 - 方位測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、角速度センサー手段とGPS方位演算手段とを組み合わせた方位測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5により、従来の方位測定装置の一例を説明する。1は入力軸が航行体のヨー軸方向に固定された振動ジャイロのごとき角速度センサーである。この角速度センサーの出力角速度Riは、A/D変換器2でディジタル化され、加算器3を介して積分器4に入力される。
【0003】
角速度を積分する積分器4の出力Diは、角度を表す。角速度センサー1の入力軸が航行体のヨー軸方向に固定されているので、この角度出力は航行体の方位角である。この方位角出力Diは、航行体の最終方位信号として表示装置5に入力されると共に加算器6に入力される。
【0004】
7は、航行体に所定距離をおいて設置した衛星受信アンテナで受信した衛星電波を用いて前記航行体の位置出力Pを定周期で演算するGPS位置演算部、8は位置出力Pに基づいて方位出力Dgを演算し、加算器6に供給するGPS方位演算部である。加算器6は、角速度センサー1に基づく方位出力DiとGPS位置演算部による方位出力Dgとの残差角eを演算し、補償演算部9に入力する。
【0005】
補償演算部9は、例えば比例(ゲインK)+積分機能で構成され、その補償演算出力を加算器3に反対符号でフィードバックする。このフィードバックループにより、角速度センサー1に基づく方位出力Diのオフセットやドリフト誤差を、本質的にオフセットやドリフト誤差を持たないGPS方位演算部の方位出力Dgにより除去する補償が実行される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術では、衛星電波の受信異常等でGPS方位演算部の出力Dgに異常が発生した場合は、補償演算部9の出力はゼロとなってしまうので、最終方位出力Diのオフセットやドリフト誤差を除去できなくなってしまう問題がある。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、衛星電波の受信異常等においても、最終方位出力のオフセットやドリフト誤差を除去することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題点を解決した方位測定装置を提供するものであり、その請求項1記載発明の構成上の特徴は、
航行体に所定距離をおいて設置した衛星受信アンテナで受信 した衛星電波を用いて前記航行体の方位を演算するGPS方位演算手段と、
前記航行体に固定された角速度センサー手段と、
有限期間における前記GPS方位演算手段の方位出力と前記角速度センサー手段による方位出力との差を周期的に更新する補正値演算手段と、
この補正演算手段により前記角速度センサー手段出力を補正した信号に基づく最終方位信号演算手段と、
前記GPS方位演算手段が異常の場合に、異常期間中、前記補正値演算手段出力を異常発生の直前値に保持せしめる異常検出手段と、
を具備する点にある。
【0009】
請求項2記載発明の構成上の特徴は、
請求項1において、システムの初期化期間中前記GPS方位演算手段出力を一時的に最終方位信号とするタイミング手段を具備する点にある。
【0010】
請求項3記載発明の構成上の特徴は、
航行体に所定距離をおいて設置した衛星受信アンテナで受信 した衛星電波を用いて前記航行体の方位を演算するGPS方位演算手段と、
前記航行体に固定された角速度センサー手段と、
有限期間における前記GPS方位演算手段の方位出力と前記角速度センサー手段による方位出力との差を周期的に更新する補正値演算手段と、
この補正演算手段により前記角速度センサー手段出力を補正した信号に基づく方位信号演算手段と、
前記GPS方位演算手段が異常な場合、異常期間中、前記補正値演算手段出力を異常発生の直前値に保持せしめるの異常検出手段と、
この異常検出手段により制御され、前記GPS方位演算手段が正常な場合にはこの方位信号を最終方位信号とし、異常の場合には、前記角速度センサー手段出力を補正した信号に基づく方位信号を最終方位信号として出力する切替手段と、を具備する点にある。
【0011】
請求項4記載発明の構成上の特徴は、
前記異常検出手段は、GPS方位演算手段出力、前記角速度センサー手段出力、前記最終方位信号を入力信号として異常判定を実行する点にある。
【0012】
請求項5記載発明の構成上の特徴は、
前記角速度センサー手段出力を第1入力とし、その出力を遅延手段を介して第2入力として方位信号を出力する加算手段を具備する点にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明の実施態様を説明する。図1は本発明を適用した方位測定装置の一実施例を示すものであり、符号1の角速度センサー及びその出力Ri、GPS方位演算手段8及びその出力Dg、最終方位信号Diは図5と同一である。
【0014】
GPS方位演算手段8の絶対方位出力Dgは、時間微分回路10、異常検出回路11、セレクタ12に入力される。時間微分回路10では、絶対方位出力Dgの演算周期で方位の変化量を演算する。例えば1Hz周期で演算している場合、最も新しい演算結果から、1周期前の演算結果を減算することにより、単位時間の変化量が求まる。もちろん、演算周期が1Hzより早くても遅くても単位時間当たりの変化量の演算は可能である。
【0015】
時間微分回路10の演算出力は、積分器13に入力される。一方、角速度センサーの出力Riは、サンプリング周期単位での方位変化量である。この出力は、積分器14と異常検出回路11に入力される。
【0016】
異常検出回路11は、GPS方位演算手段8の絶対方位出力Dg及び角速度センサーの出力Riを入力する他、最終方位信号Diを出力する加算器15の出力が与えられて総合的な判断により異常検出が実行され、異常発生の場合には、信号Hを補正値演算部16に伝達する。
【0017】
積分器13及び14では、夫々入力された信号(方位変化量)を有限期間積分し、有限期間の方位変化量の総和を算出する。これら積分器13,14の構成は、例えば図2に示すような複数の直列接続された遅延回路DL1,DL2,…DLnとこれらの出力を加算する加算器Sで実現可能である。
【0018】
図3の特性図は、GPS方位演算手段8の絶対方位出力Dgの変化に対する時間微分回路10の出力並びにこの出力を有限期間積分する積分器13の出力を示している。この図では簡単のため、積分器の積分サンプル数を5とした場合を示している。
【0019】
一方、角速度センサー1の出力Riは、もともと単位時間当たりの方位変化量であるから、単位としては時間微分回路10の出力の単位に等しいので、積分器14の出力も、図4と同様に有限期間の方位変化量の総和となる。
【0020】
積分器13及び14の出力は、加算器17に入力され、両者の差分(有限期間における方位変化量の総和の差)eが補正値演算部16に入力される。
【0021】
さて、図5の従来例で記述したように、一般に振動ジャイロのような角速度センサーにはオフセットやドリフトが存在する。この補正演算部16では、加算器17の出力eからオフセット量やドリフト量を算出する。算出の方法としては、積分器13及び14で積分した期間のサンプル数で除算する方法がある。
【0022】
また、オフセットやドリフトは短時間に大きな変化を持つことは少ないので、FIRフィルタ、IIRフィルタ、または状態予測フィルタ等で処理し、ノイズなどに起因する成分を除去してもよい。
【0023】
この補正演算部16では、決められた一定の周期で補正量を演算し、出力Mを更新する。しかし、異常検出回路11がGPS方位演算部8の異常を検出した場合は、異常発生信号Hが補正演算部16に伝達され、異常発生直前の正常動作時の補正量Mが保持される。この保持は異常期間が終了(信号Hがゼロレベルに変化)するまで継続する。
【0024】
前述のように、オフセットやドリフトは短時間に大きな変化を持つことは少ないので、これにより、GPS方位演算結果が不良な期間でも、正しくオフセットやドリフトを補正することが可能である。
【0025】
補正演算部16の出力Mは、加算器18に入力される。加算器18では角速度センサー1の出力Riと補正値Mを演算することにより、補正した方位変化量を得、加算器15に伝達する。加算器15は、加算器18の出力と最終方位信号Diを遅延回路20及びセレクタ12を介した信号を加算し、出力端子19に最終方位信号Diを発生する。
【0026】
タイミング発生回路21は、セレクタ12を制御する信号Sを発生する。システムの初期化期間中は、セレクタ12のの出力がGPS方位演算部8の出力Dgを選択するように制御し、初期化終了後には、遅延回路20の出力を選択するように制御する。
【0027】
次に、図4により本発明の他の実施例を説明する。図1の実施例では、定常状態での最終方位信号は、角速度センサー出力に基づく方位であり、GPS方位演算部の出力は角速度センサーのオフセットやドリフトを補正するための信号として利用されている。これに対して図4の実施例では、定常状態ではGPS方位演算部の出力を最終方位信号とし、GPS異常時に角速度センサー出力に基づく方位をバックアップとして利用する。
【0028】
セレクタ12は、定常状態ではGPS方位演算部8の出力Dgを選択して出力端子19に最終方位信号として供給する。異常発生時の信号Hにより、異常発生期間中、加算器15の出力Diを選択して出力端子19に最終方位信号として供給する。
【0029】
以上説明した実施例では、角速度センサー1の出力Riをディジタル出力と規定してるが、アナログ出力形式であった場合は図5のようにA/D変換することにより同等の結果を得ることができる。また角速度ではなく、方位を直接出力するセンサーであった場合には、時間微分回路10と同等な回路を積分器14の前段に挿入することで同等の結果を得ることが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、GPS衛星からの信号受信不良等に起因して、GPS方位演算ができなくなった場合でも、角速度センサーのオフセットやドリフトの影響を受けることなく、移動体の方位を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した方位測定装置の一実施例を示すブロック線図である。
【図2】本発明における積分器の構成例を示す回路図である。
【図3】本発明におけるGPS方位演算手段8の絶対方位出力Dgの変化に対する時間微分回路10の出力並びにその出力を有限期間積分する積分器13の出力特性図である。
【図4】本発明を適用した方位測定装置の他の実施例を示すブロック線図である。
【図5】従来の方位測定装置の一例示すブロック線図である。
【符号の説明】
1 角速度センサー
8 GPS方位演算部
10 時間微分回路
11 異常検出回路
12 セレクタ
13,14 積分器
15,17,18 加算器
16 補正値演算部
19 出力端子
20 遅延回路
21 タイミング発生回路

Claims (5)

  1. 航行体に所定距離をおいて設置した衛星受信アンテナで受信した衛星電波を用いて前記航行体の方位を演算するGPS方位演算手段と、
    前記航行体に固定された角速度センサー手段と、
    有限期間における前記GPS方位演算手段の方位出力と前記角速度センサー手段による方位出力との差を周期的に更新する補正値演算手段と、
    この補正演算手段により前記角速度センサー手段出力を補正した信号に基づく最終方位信号演算手段と、
    前記GPS方位演算手段が異常の場合に、異常期間中、前記補正値演算手段出力を異常発生の直前値に保持せしめる異常検出手段と、
    を具備した方位測定装置。
  2. システムの初期化期間中、前記GPS方位演算手段出力を一時的に最終方位信号とするタイミング手段を具備した請求項1記載の方位測定装置。
  3. 航行体に所定距離をおいて設置した衛星受信アンテナで受信した衛星電波を用いて前記航行体の方位を演算するGPS方位演算手段と、
    前記航行体に固定された角速度センサー手段と、
    有限期間における前記GPS方位演算手段の方位出力と前記角速度センサー手段による方位出力との差を周期的に更新する補正値演算手段と、
    この補正演算手段により前記角速度センサー手段出力を補正した信号に基づく方位信号演算手段と、
    前記GPS方位演算手段が異常な場合、異常期間中、前記補正値演算手段出力を異常発生の直前値に保持せしめるの異常検出手段と、
    この異常検出手段により制御され、前記GPS方位演算手段が正常な場合にはこの方位信号を最終方位信号とし、異常の場合には、前記角速度センサー手段出力を補正した信号に基づく方位信号を最終方位信号として出力する切替手段と、
    を具備した方位測定装置。
  4. 前記異常検出手段は、GPS方位演算手段出力、前記角速度センサー手段出力、前記最終方位信号を入力信号として異常判定を実行することを特徴とする請求項1あるいは2記載の方位測定装置。
  5. 前記角速度センサー手段出力を第1入力とし、その出力を遅延手段を介して第2入力として方位信号を出力する加算手段を具備する請求項1〜4いずれかに記載の方位測定装置。
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