JP3708382B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナ装置に関し、一層詳細には、フィルタ部においてサージ電流等のノイズ電流を外部へ除去することが可能なアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、携帯電話等の高周波無線機には、信号を受信するアンテナを有するアンテナ装置と、該アンテナ装置により受信された信号から不要な信号を除去するフィルタ部を有するフィルタ装置とが搭載されている。
【0003】
ところで、近年では、高周波無線機の軽量小型化が要望されており、これを達成するために、アンテナ装置やフィルタ装置等を小型化することが要望されている。このような観点から、アンテナとフィルタ部とを具備するアンテナ装置が提案されている(例えば、特開平9−93015号公報参照)。このようなアンテナ装置は、信号の受信および不要な信号の除去を行うことが可能であり、したがって、高周波無線機にフィルタ装置を搭載することが不要となるからである。しかも、アンテナ装置とフィルタ装置との間のマッチング調整が不要であるので、高周波無線機の生産効率を向上することができるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したようなアンテナ装置は、サージ電流等のノイズ電流を外部へと除去する回路を有していない。このため、例えば、静電気がアンテナ付近で発生することにより該アンテナ装置内をサージ電流が流れると、このサージ電流は外部へ除去されることがないので、該アンテナ装置に接続された集積回路(IC)等の電子回路へと流れる。このような場合、該電子回路の損傷を招くことがある。
【0005】
サージ電流が電子回路に流れることを回避するためには、アンテナ装置と電子回路との間に保護回路を介装すればよい。しかしながら、この場合、高周波無線機の実装基板に保護回路を搭載するためのスペースが必要となるので、高周波無線機を小型化することができなくなる。また、保護回路の搭載は、必然的に高周波無線機の重量増加を招き、結局、高周波無線機を軽量化することができない。
【0006】
このような不具合が存在するにも関わらず、アンテナとフィルタ部とを有するアンテナ装置におけるノイズ電流対策、すなわち、ノイズ電流の除去回路を構築するという提案はこれまでのところなされていない。
【0007】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、ノイズ電流をフィルタ部から外部へと除去することが可能であり、このため、電子回路の損傷を招くことがなく、かつ保護回路の搭載を必要としないアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明に係るアンテナ装置は、誘電体基板と、前記誘電体基板の表面の一部に形成されたアース電極と、前記誘電体基板の表面の一部に形成された外部回路接続端子と、前記誘電体基板に形成されたアンテナと、前記誘電体基板の内部に形成されたフィルタ部とを有し、前記フィルタ部は、前記アース電極に接続され、かつ、前記アンテナと重ならない位置に形成された内層アース電極と、前記外部回路接続端子に接続される出力用電極と、前記内層アース電極と重なる位置に形成され、かつ、一端が前記アース電極に接続され、他端が開放端とされた入力端側共振電極、前記内層アース電極と重なる位置に形成され、かつ、一端が前記アース電極に接続され、他端が開放端とされた出力端側共振電極と、前記入力端側共振電極から延びる入力用電極とを有し、前記アンテナと前記入力用電極とがスルーホールを介して電気的に接続されて前記アンテナと前記入力端側共振電極が短絡され、さらに、前記出力端側共振電極と前記出力用電極とが容量を介して互いに結合されることで、ノイズ電流の除去機能が構成されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成とすることにより、サージ電流等のノイズ電流は、入力端側共振電極に短絡されたアース電極を介して外部へと除去される。
【0010】
この場合、前記出力端側共振電極と前記出力用電極とを容量を介して互いに結合させることが好ましい。前記アース電極および該アース電極に一端部が短絡された前記出力端側共振電極を介してノイズ電流がフィルタ部へ戻った場合であっても、このノイズ電流は、出力端側共振電極と出力用電極との間に形成された容量により抑圧されるからである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアンテナ装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
まず、第1の実施の形態に係るアンテナ装置の正面斜視図を図1に示し、背面斜視図を図2に示し、分解斜視図を図3に示す。図1〜図3に示されるように、このアンテナ装置10は、9枚の誘電体層12a〜12i(図3参照)が焼成により一体的に接合されて構成された誘電体基板14と、該誘電体基板14の上端面14aに形成されたアンテナ16と、誘電体基板14の内部に形成されたフィルタ部18とを有し、また、誘電体基板14の側面の一部には、第1アース電極20、第2アース電極22および外部回路接続端子24が形成されている。
【0013】
誘電体層12aの上面、すなわち、誘電体基板14の上端面14aにミアンダライン形状に形成されたアンテナ16は、信号を受信するためのものである。このアンテナ16は、図3に示すように、スルーホール26を介してフィルタ部18の後述する入力用電極28と電気的に接続されている。
【0014】
フィルタ部18は、アンテナ16により受信された信号の中から不要な信号を除去するためのものであり、図3に示されるように、誘電体層12eの上面に形成された結合調整電極30と、誘電体層12fの上面に形成された入力用電極28、入力端側共振電極32および出力端側共振電極34と、誘電体層12gの上面に形成された出力用電極36とからなる。
【0015】
このうち、入力用電極28は、一端部が入力端側共振電極32に接合されている。すなわち、両電極28、32は短絡されている。ここで、上記したようにアンテナ16は入力用電極28と電気的に接続されている。したがって、アンテナ16は、結局、スルーホール26および入力用電極28を介して入力端側共振電極32に短絡されている状態にある。
【0016】
入力端側共振電極32と出力端側共振電極34は、互いに平行に形成されており、両者は互いに誘導結合されている。そして、各々の一端部は開放端とされ、他端部は第1アース電極20に短絡されている(図1参照)。
【0017】
結合調整電極30は、入力端側共振電極32に対向する第1対向部30aと出力端側共振電極34に対向する第2対向部30bとが、両者の間に形成されたリード部30cにより電気的に接続されて構成されている。そして、入力端側共振電極32と第1対向部30a、出力端側共振電極34と第2対向部30bは、それぞれ、容量を介して互いに結合される。
【0018】
出力用電極36は、容量を介して出力端側共振電極34と結合される。また、この出力用電極36は、外部回路接続端子24に電気的に接続されている(図1参照)。
【0019】
アンテナ装置10は、さらに、誘電体層12bに形成された第1内層アース電極38a、誘電体層12dに形成された第2、第3内層アース電極38b、38c、誘電体層12hに形成された第4、第5内層アース電極38d、38e、および、誘電体層12iに形成された第6内層アース電極38fを有する(図3参照)。
【0020】
これら第1〜第6内層アース電極38a〜38fについて具体的に説明する。
まず、第1内層アース電極38aは、誘電体層12b〜12eを介して入力端側共振電極32および出力端側共振電極34に重なっており、かつ第1アース電極20および第2アース電極22の両方に短絡されている(図1および図2参照)。なお、図3に示すように、第1内層アース電極38aはアンテナ16と重なる位置には形成されていない。このため、アンテナ16と入力用電極28とが確実に電気的に接続される。
【0021】
また、第2、第3内層アース電極38b、38cは、図3に示すように、誘電体層12d、12eを介して入力端側共振電極32および出力端側共振電極34の各開放端部にそれぞれ重なっている。同様に、第3、第4内層アース電極38c、38dは、誘電体層12g、12fを介して入力端側共振電極32および出力端側共振電極34の各開放端部にそれぞれ重なっている。そして、これら第2〜第5内層アース電極38b〜38eは、第2アース電極22に短絡されている(図2参照)。
【0022】
そして、第6内層アース電極38fは、誘電体層12g、12hを介して入力端側共振電極32および出力端側共振電極34に重なっており(図3参照)、かつ第1アース電極20および第2アース電極22の両方に短絡されている(図1および図2参照)。
【0023】
ここで、アンテナ装置10の等価回路図を図4に示す。
【0024】
上記したように、入力端側共振電極32と出力端側共振電極34とは互いに誘導結合されている。また、入力端側共振電極32は結合調整電極30の第1対向部30aと容量結合されており、かつ出力端側共振電極34は結合調整電極30の第2対向部30bと容量結合されている。このため、電気的には、入力端側共振電極32による共振器40aと出力端側共振電極34による共振器40bとの間にインダクタンスLが挿入され、かつ合成容量Cが形成された状態と等価である。すなわち、共振器40a、40b間には、インダクタンスLと容量CによるLC並列共振回路が接続されているとみなせる。
【0025】
また、入力端側共振電極32と該入力端側共振電極32の開放端部に重なる第2、第4内層アース電極38b、38dとの間にはそれぞれ容量が形成される。図4中のC1は、これらの合成容量を表す。同様に、図4中のC2は、出力端側共振電極34と該出力端側共振電極34の開放端部に重なる第3、第5内層アース電極38c、38eとの間にそれぞれ形成された容量の合成容量を表す。これら容量C1、C2は、等価回路図上、一端が接地されているものとみなせる。
【0026】
また、上記したように、出力端側共振電極34と出力用電極36とは容量を介して互いに結合されている。したがって、この容量をC3とすれば、該容量C3は出力端側共振電極34と出力用電極36との間に介在する。
【0027】
そして、入力端側共振電極32および出力端側共振電極34の一端部は、第1アース電極20に短絡されているので、等価回路図上では、共振器40a、40bの一端は接地されているとみなせる。
【0028】
このように構成されたアンテナ装置10が高周波無線機の実装基板上に設置された際、ノイズ電流は以下のようにして該アンテナ装置10の外部へと除去される。
【0029】
まず、アンテナ16により受信されたノイズ電流は、スルーホール26を介して入力用電極28に到達する。この入力用電極28の一端部は入力端側共振電極32に接合されているので、ノイズ電流は、さらに該入力端側共振電極32に流れる。
【0030】
ここで、入力端側共振電極32の一端部は、上記したように第1アース電極20に短絡されている。このため、ノイズ電流は第1アース電極20へと流れる。
【0031】
高周波無線機の実装基板にもまたアース電極が設置されており、第1アース電極20はこのアース電極に短絡されている。したがって、ノイズ電流は、実装基板に設置されたアース電極に流れる。すなわち、ノイズ電流はアンテナ装置10の外部へと除去されるに至り、入力端側共振電極32から出力端側共振電極34にノイズ電流が流れることが回避される。
【0032】
ここで、第1アース電極20には出力端側共振電極34の一端部も短絡されていることから、第1アース電極20まで流れたノイズ電流の一部は、該第1アース電極20を介して出力端側共振電極34へ流れる可能性も否定できない。
【0033】
しかしながら、アンテナ装置10においては、出力端側共振電極34と出力用電極36との間には容量C3が介在している。ノイズ電流は、通常、直流または低周波交流であり、したがって、容量C3により除去(捕捉)される。すなわち、ノイズ電流が出力用電極36に流れることがない。
【0034】
このように、容量を介して出力端側共振電極34と出力用電極36とを互いに結合することにより、アンテナ装置10に接続される電子回路へのノイズ電流の流入をより効果的に回避することができる。
【0035】
本発明に係るアンテナ装置の好適な実施の形態としては、上記したアンテナ装置10の他、入力端側共振電極32と出力端側共振電極34との間に1個以上の共振電極が介在されたアンテナ装置を例示することもできる。図5に分解斜視図を示すアンテナ装置50をその具体例として挙げ、第2の実施の形態として説明する。なお、図1〜図4に示される構成要素に対応する構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0036】
このアンテナ装置50においては、10枚の誘電体層12a〜12jが焼成により一体的に接合されて誘電体基板52が構成され、誘電体層12fの上面には、入力端側共振電極32、出力端側共振電極34および両者の間に介在された1個の共振電極54が形成されている。そして、その一端部が入力端側共振電極32に接合された入力用電極28は、スルーホール26を介してアンテナ16に電気的に接続されている。
【0037】
この場合、第1内層アース電極38aは誘電体層12bに形成されており、誘電体層12b〜12eを介して入力端側共振電極32、出力端側共振電極34および共振電極54に重なっている。また、誘電体層12cに形成された第2〜第4内層アース電極38b〜38dは、誘電体層12c〜12eを介して入力端側共振電極32、共振電極54および出力端側共振電極34の各開放端部にそれぞれ重なっている。同様に、誘電体層12iに形成された第5〜第7内層アース電極38e〜38gは、誘電体層12f〜12hを介して上記電極32、54および34の各開放端部にそれぞれ重なっている。さらに、誘電体層12jに形成された第8内層アース電極38hは、誘電体層12g〜12iを介して入力端側共振電極32、出力端側共振電極34および共振電極54に重なっている。
【0038】
そして、誘電体層12eには、共振電極54および出力端側共振電極34のそれぞれと互いに容量を介して結合された結合調整電極56aが形成されている。
一方、誘電体層12gには、共振電極54および入力端側共振電極32のそれぞれと互いに容量を介して結合された結合調整電極56bが形成されている。この誘電体層12gには、出力端側共振電極34と容量を介して結合される出力用電極36が結合調整電極56bから所定間隔離間して形成されている。すなわち、このアンテナ装置50においては、フィルタ部58は、入力用電極28、入力端側共振電極32、共振電極54、出力端側共振電極34、出力用電極36および2つの結合調整電極56a、56bからなる。
【0039】
アンテナ装置50の構成は、上記の点を除いて第1の実施の形態に係るアンテナ装置10の構成と同様である。したがって、このアンテナ装置50においても、ノイズ電流はアンテナ装置10に準拠して外部へと除去され、または捕捉される。
【0040】
すなわち、アンテナ16により受信され、スルーホール26および入力用電極28を介して入力端側共振電極32に到達したノイズ電流は、該入力端側共振電極32の一端部が誘電体基板52の外表面に形成された第1アース電極20に短絡されているため、該第1アース電極20へと流れる。さらに、このノイズ電流は、高周波無線機の実装基板に設置されたアース電極へと流れ、その結果、アンテナ装置50の外部へと除去されるに至る。
【0041】
また、ノイズ電流の一部が第1アース電極20に短絡された出力端側共振電極34へと流れた場合には、このノイズ電流は、出力端側共振電極34と出力用電極36との間に介在された容量C3によって除去(捕捉)される。このため、ノイズ電流が出力用電極36に流れることがない。
【0042】
総括すれば、アンテナ16を入力端側共振電極32に短絡することによって、ノイズ電流をアンテナ装置50の外部へと除去することができる。また、ノイズ電流が出力端側共振電極34を介してフィルタ部18へ戻った場合であっても、出力端側共振電極34と出力用電極36との間に形成された容量C3により、このノイズ電流を抑圧することができる。
【0043】
このように、ノイズ電流は入力端側共振電極32および第1アース電極20を介して外部へと除去され、また、容量C3により捕捉される。したがって、外部回路接続端子24以降にノイズ電流が流れることが回避されるので、別体の保護回路を介装することなく、IC等の電子回路が損傷することを回避することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るアンテナ装置によれば、誘電体基板の外表面に形成されたアンテナと、前記誘電体基板の内部に形成されたフィルタ部の入力端側共振電極とが短絡されている。このため、サージ電流等のノイズ電流は、入力端側共振電極に短絡されたアース電極を介して外部へと除去される。
【0045】
この場合、前記フィルタ部の出力端側共振電極と出力用電極とを、容量を介して互いに結合させることが好ましい。前記アース電極および該アース電極に一端部が短絡された前記出力端側共振電極を介してノイズ電流がフィルタ部に戻った場合であっても、このノイズ電流は、出力端側共振電極と出力用電極との間に形成された容量により抑圧されるからである。
【0046】
このような構成とすることにより、アンテナ装置に接続された電子回路にノイズ電流が流れることを回避することができるので、別体の保護回路を介装することなく、該電子回路が損傷することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るアンテナ装置の正面斜視図である。
【図2】図1に示すアンテナ装置の背面斜視図である。
【図3】図1に示すアンテナ装置の分解斜視図である。
【図4】図1に示すアンテナ装置の等価回路図である。
【図5】第2の実施の形態に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
10、50…アンテナ装置 14、52…誘電体基板
16…アンテナ 18、58…フィルタ部
20、22…アース電極 26…スルーホール
28…入力用電極 32…入力端側共振電極
34…出力端側共振電極 36…出力用電極
40a、40b…共振器 54…共振電極
C、C1、C2、C3…容量 L…インダクタンス

Claims (1)

  1. 誘電体基板と、
    前記誘電体基板の表面の一部に形成されたアース電極と、
    前記誘電体基板の表面の一部に形成された外部回路接続端子と、
    前記誘電体基板に形成されたアンテナと
    記誘電体基板の内部に形成されたフィルタ部とを有し、
    前記フィルタ部は、前記アース電極に接続され、かつ、前記アンテナと重ならない位置に形成された内層アース電極と、前記外部回路接続端子に接続される出力用電極と、前記内層アース電極と重なる位置に形成され、かつ、一端が前記アース電極に接続され、他端が開放端とされた入力端側共振電極と、前記内層アース電極と重なる位置に形成され、かつ、一端が前記アース電極に接続され、他端が開放端とされた出力端側共振電極と、前記入力端側共振電極から延びる入力用電極とを有し、
    前記アンテナと前記入力用電極とがスルーホールを介して電気的に接続されて前記アンテナと前記入力端側共振電極が短絡され、さらに、前記出力端側共振電極と前記出力用電極とが容量を介して互いに結合されることで、ノイズ電流の除去機能が構成されていることを特徴とするアンテナ装置。
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