JP3707282B2 - 袋織りエアバッグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二重織りにより形成された袋状部と、当該袋状部に隣接して一重織りにより形成された閉部とを含んで構成され、外表面にコーティング層が形成された袋織りエアバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、図6〜図8を用いて、従来の袋織りエアバッグの一例について説明する。図6には、従来の袋織りエアバッグ100の端部付近の断面構造が示されている。この図に示されるように、袋織りエアバッグ100は、ガスが流入されて膨張する袋状部102と、当該袋状部102の外周に形成されかつガスが流入されない閉部として構成された周縁部104を備えている。周縁部104にあっては、図7(A)に示される3/3斜子、図7(B)に示される2/2斜子、図7(C)に示される1/1平等による一重織り構造で織られている。一方、袋状部102にあっては、1/1平(周縁部104に対する糸密度比率は1/2)による二重織り構造で織られている。
【0003】
さらに、袋織りエアバッグ100が膨張した際のガス漏れを防止すべく、上述した袋織りエアバッグ100の外側の両面には、シリコン等の樹脂材料によってコーティングされている。以下、コーティングされた部分を「コーティング層106」と称す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の袋織りエアバッグ100による場合、織り構造に起因して袋織りエアバッグ100の内圧保持性能が低下する可能性があり、この点において改善の余地がある。
【0005】
すなわち、上述した織り構造によって袋織りエアバッグ100を構成した場合、図8に示されるように、袋織りエアバッグ100が膨張したときに、周縁部104と袋状部102との境界部108に瞬間的に高い内圧Pが作用し、応力が集中する。従来では当該境界部108においても袋状部102の一部として1/1平による二重織り構造とされていたため、境界部108の周縁部104に対する糸密度は低くなっている。このため、応力集中ポイントとなる境界部108に織り構造の崩れ(目開き)が生じる可能性がある。仮に境界部108に目開きが生じると、繊維の伸び若しくはガス圧によってその部分を被覆しているコーティング層106が剥がれてガス漏れが生じる可能性がある。このようなガス漏れを抑制するためには、コーティング量を増やして全体的にコーティング層106を厚くしたり、或るいは、境界部108付近に局部的に追加コーティングする等の対策を講じる必要が生じ、コスト的に不利になる。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、コストを増加させることなく、内圧保持性能を向上させることができる袋織りエアバッグを得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、二重織りにより形成された袋状部と、当該袋状部に隣接して一重織りにより形成された閉部とを含んで構成され、外表面にコーティング層が形成された袋織りエアバッグであって、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域に、袋状部の一般部に対して織り構造を変えることによりコーティング剤の裏抜けを許容する裏抜け部を設けた、ことを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項1に記載の発明において、前記裏抜け部は、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域を三重織り以上の多重織りすることにより構成されている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項1に記載の発明において、前記裏抜け部は、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域の織り組織を袋状部の一般部の織り組織よりも粗くすることにより構成されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項2に記載の発明において、前記多重織りは、閉部に近い側が三重織りとされ、閉部から遠い側が四重織りとされている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記閉部は、袋状部の周縁側の他に袋状部内にも形成されている、ことを特徴としている。
【0012】
請求項1記載の本発明の作用は、以下の通りである。
【0013】
袋織りエアバッグの袋状部は二重織りによって形成されているのに対し、当該袋状部に隣接して形成された閉部は一重織りによって形成されているため、袋状部と閉部との境界部において糸密度が変化する。すなわち、袋状部の糸密度は閉部の糸密度に対して1/2と低い。このため、袋織りエアバッグが膨張すると、糸密度が変化する境界部にガス圧による応力が集中し、当該境界部が応力集中ポイントとなる。
【0014】
ここで、本発明では、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域に、袋状部の一般部に対する織り構造を変えることにより構成された裏抜け部を設けたので、当該裏抜け部の外表面にコーティングを施すと、コーティング剤の一部が裏抜け部の裏面側へ抜けていく。つまり、裏抜け部については、その外表面にコーティングを施すだけで、裏抜け部の表裏面にコーティング層が形成される。また、裏抜け部の裏面側にもコーティング層が形成されることから、コーティング剤の付着量は、袋状部の一般部よりも応力集中ポイント付近の方が相対的には多くなる。これらのことから、本発明によれば、応力集中による目開きが生じにくくなり、又仮に目開きが生じたとしてもガス漏れは生じにくくなる。
【0015】
さらに、コーティング剤の付着量が袋状部の一般部よりも応力集中ポイント付近の方が相対的には多くなるといっても、コーティング剤の総使用量としては従来と殆ど変わらない程度である。また、本発明における裏抜け部は袋状部の一般部に対して織り構造を変えることにより構成されているため、部品点数が増加することもない。よって、コスト的にも有利となる。
【0016】
請求項2記載の本発明によれば、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域を三重織り以上の多重織りすることにより、前述した裏抜け部が構成されているため、多重織りされた部分の糸密度は一般部の糸密度よりも低くなる。そして、糸密度が低下されたことにより形成された隙間からコーティング剤が裏抜けされる。すなわち、本発明では、請求項1に記載された織り構造の変化を何重織り構造とするかという点に求めて、コーティング剤を裏抜けさせるものである。
【0017】
請求項3記載の本発明によれば、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域の織り組織を袋状部の一般部の織り組織よりも粗くすることにより、前述した裏抜け部が構成されているため、織り組織が粗い部分では繊維がずれやすくなる。そして、繊維がずれることにより形成された隙間からコーティング剤が裏抜けされる。すなわち、本発明では、請求項1に記載された織り構造の変化を織り組織の粗さに求めて、コーティング剤を裏抜けさせるものである。
【0018】
請求項4記載の本発明によれば、閉部に近い側を三重織りとし、閉部から遠い側を四重織りとして請求項2に記載の多重織りを構成したので、袋織りエアバッグが膨張した際の応力集中ポイントが、閉部と袋状部との境界部から袋状部における三重織りされた部分と四重織りされた部分との境界部へずれる。すなわち、応力集中ポイントが袋状部の内方側へシフトされる。その上で、三重織りされた部分及び四重織りされた部分は糸密度が低いため、コーティング剤が裏抜けされる。よって、袋状部の内方側へシフトされた応力集中ポイントを包囲する形で裏面側のコーティング層が形成されるため、応力集中ポイントが強化される。
【0019】
請求項5記載の本発明によれば、閉部が袋状部の周縁側の他に袋状部内にも形成されているため、袋織りエアバッグを裏返す(表裏反転させる)ことができない構造となる。このような構造の袋織りエアバッグの場合、一般には袋状部の裏面側にコーティング層を形成するのは困難であるため、袋状部の外表面のみにコーティング層を形成することになり、コート剥がれが生じやすくなる。
【0020】
しかし、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された発明を当該構造の袋織りエアバッグに適用することにより、少なくともコート剥がれが生じやすい部分の裏面側にコーティング層を形成することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図3を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0022】
先ず図1及び図2を用いて、本実施形態に係る袋織りエアバッグ10の全体構成について簡単に説明する。これらの図に示されるように、袋織りエアバッグ10は全体としては略矩形状に形成されており、前端部に形成された開口部12からガスが流入されることにより膨張する袋状部14と、ガス漏れが生じないように閉部とされた周縁部16と、袋状部14の中央部に形成されて周縁部16と同じく閉部とされた湾曲形状の接合部18とを含んで構成されている。さらに、袋織りエアバッグ10の外表面にはシリコン等の樹脂材料からなるコーティングが施されており、即ちコーティング層20が形成されている。
【0023】
開口部12には、図示しないインフレータがブラケット等を介して直接的に又はチューブ等を介して間接的に接続されるようになっている。また、接合部18は、袋織りエアバッグ10を膨張させる際のガス流入経路を上縁側と下縁側とに二分させて展開速度(膨出速度)を早める機能並びに膨張した当該袋織りエアバッグ10の厚さを規制する機能等を有している。なお、接合部18の設定個数は、袋織りエアバッグ10の仕様に応じて適宜変更される。
【0024】
上述した袋織りエアバッグ10は、バッグ高さ方向に蛇腹状等に折り畳まれて車両の所定部位に格納されるようになっている。具体的には、本実施形態に係る袋織りエアバッグ10は乗員の頭部保護用のエアバッグ装置に使用されるものであるため、車両のフロントピラー部からルーフサイドレール部にわたってボディーと内装材との間(即ち、フロントピラーインナパネルとフロントピラーガーニッシュとの間並びにルーフサイドレールとルーフヘッドライニングの端末部との間)に長尺状に格納されている。
【0025】
図1に示されるように、上述した袋織りエアバッグ10における周縁部16(図1のA部の範囲)は、3/3斜子等による一重織りによって構成されている。これに対し、袋織りエアバッグ10の袋状部14の一般部22(図1のD部の範囲)は、1/1平による二重織りによって構成されている。また、本実施形態では、袋状部14における周縁部16との境界部24を含む近傍域で当該周縁部16に近い側(図1のB部の範囲)が、1/1平による三重織りによって構成されている。さらに、袋状部14における周縁部16との境界部24を含む近傍域で当該周縁部16から遠い側(図1のC部の範囲)が、1/1平による四重織りによって構成されている。すなわち、本実施形態では、袋状部14における周縁部16との境界部24を含む近傍域については、三重織り以上の多重織り構造とされている。
【0026】
なお、上記構成において、図1のB部の範囲に設定された三重織り部26及び図1のC部の範囲に設定された四重織り部28が、本発明における「裏抜け部」に相当する。
【0027】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0028】
一重織り構造とされた周縁部(閉部)16の糸密度を1とすると、二重織り構造とされた袋状部14の一般部22の糸密度の比率は1/2である。従って、仮に三重織り部26及び四重織り部28が存在しないとすれば、糸密度が変化する袋状部14と周縁部16との境界部24がガス圧による応力集中ポイントとなり、目開きによるガス漏れが発生しやすい部分となる。
【0029】
ここで、本実施形態では、袋状部14における周縁部16との境界部24を含む近傍域であって周縁部16に近い側となるB部については三重織り部26としたので、周縁部16に対する糸密度比率は図1に付記されたように、外表面側が1/4となり、内方側が1/2となる。また、袋状部14における周縁部16との境界部24を含む近傍域であって周縁部16から遠い側となるC部については四重織り部28としたので、周縁部16に対する糸密度比率は図1に付記されたように、外表面側及び内方側のいずれも1/4となる。
【0030】
よって、上記織り構造の袋織りエアバッグ10の外表面にコーティングを施すと、一重織り構造とされた周縁部16並びに二重織り構造とされた袋状部14の一般部22については、コーティング剤が裏抜けせず、外表面にのみコーティング層20が形成される。しかし、周縁部16に対する糸密度比率が1/4と低密度化された三重織り部26及び四重織り部28については、糸密度が低下されたことにより形成された隙間からコーティング剤の一部が裏抜けしていく。つまり、糸密度比率が1/2程度の場合にはコーティング剤が裏抜けすることはないが、糸密度比率が1/4程度まで落とされた三重織り部26及び四重織り部28についてはコーティング剤が裏抜けし、外表面にコーティング層20が形成されるだけでなく裏面側にまでコーティング層30が形成される。また、三重織り部26及び四重織り部28の裏面側にもコーティング層30が形成されることから、コーティング剤の付着量は、袋状部14の一般部22よりも本来的な応力集中ポイントとなる境界部24付近の方が相対的には多くなる。これらのことから、本実施形態によれば、応力集中による目開きが生じにくくなり、又仮に目開きが生じたとしてもガス漏れは生じにくくなる。その結果、本実施形態によれば、袋織りエアバッグ10の内圧保持性能を向上させることができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、コーティング剤の付着量が袋状部14の一般部22よりも本来的な応力集中ポイント付近の方が相対的には多くなるといっても、コーティング剤の総使用量としては従来と殆ど変わらない程度である。また、裏抜け部を構成する三重織り部26及び四重織り部28は袋状部14の一般部22に対して織り構造を変えることにより構成されているため、部品点数が増加することもない。よって、本実施形態によれば、コスト的にも有利であると共に、軽量・コンパクトという観点でも不利になることはない。
【0032】
また、本実施形態によれば、袋状部14における周縁部(閉部)16との境界部24を含む近傍域を三重織り以上の多重織りすることによりコーティング剤を裏抜けさせる構成であるため、何重織り構造とするかを適宜選択することによりコーティング剤の裏抜け量を調整することができる。その結果、本実施形態によれば、袋織りエアバッグ10の所望の内圧保持性能が得られる。
【0033】
さらに、本実施形態によれば、周縁部(閉部)16に近い側を三重織り部26とし、周縁部16から遠い側を四重織り部28としたので、図3に示されるように、袋織りエアバッグ10が膨張した際の応力集中ポイントが、周縁部16と袋状部14との境界部24から袋状部14における三重織り部26と四重織り部28との境界部32へずれる。すなわち、応力集中ポイントが袋状部14の内方側へシフトされる。その上で、前述した如く三重織り部26及び四重織り部28の糸密度比率が低くなるため、コーティング剤が裏抜けされる。よって、袋状部14の内方側へシフトされた応力集中ポイント(即ち、境界部32)を包囲する形で裏面側のコーティング層30が形成されるため、応力集中ポイントが強化される。その結果、本実施形態によれば、袋織りエアバッグ10の内圧保持性能をより一層向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、閉部が袋状部14の周縁部16の他にも袋状部14内にも形成されているため、袋織りエアバッグ10を裏返す(表裏反転させる)ことができない構造となる。このような構造の袋織りエアバッグ10の場合、一般には袋状部14の内側面にコーティング層20を形成するのが困難であるため、袋状部14の外表面のみにコーティング層20を形成することになり、コート剥がれが生じやすくなる。しかし、本実施形態によれば、少なくともコート剥がれが生じやすい部分である袋状部14における周縁部16との境界部24を含む近傍域の裏面側にコーティング層30を形成することが可能となる。従って、本実施形態によれば、このような構造の袋織りエアバッグ10においても、確実に内圧保持性能を向上させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、上述した如く袋織りエアバッグ10の内圧保持性能を向上させることができるため、後加工により、種々の内圧保持性能を有する袋織りエアバッグを製作することも可能になる。
〔第2実施形態〕
次に、図4及び図5を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前述した実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0036】
図4に示されるように、この実施形態では、袋織りエアバッグ40の袋状部42における周縁部16(図4のA部の範囲)との境界部24を含む近傍域(図4のB部の範囲)に、当該袋状部42の一般部22(図4のC部の範囲)よりも織り組織が粗くされた「裏抜け部」としての粗組織部44が形成されている点に特徴がある。なお、本図においては、粗組織部44の組織が粗いことを破線で表現している。具体的には、袋状部42の一般部22が1/1平による一重織り構造として構成されているのに対し、粗組織部44は2/2斜子、3/3斜子等による二重織り構造として構成されている。なお、閉部となる周縁部16は、前述した第1実施形態と同様に、3/3斜子等による一重織り構造とされている。
【0037】
上記構成によれば、袋状部42における周縁部16との境界部24を含む近傍域を粗組織部44としたので、当該粗組織部44では繊維がずれやすくなる。そして、繊維がずれることにより形成された隙間からコーティング剤が裏抜けされて、粗組織部44の裏面側にもコーティング層30が形成される。従って、図5に示される如く、袋織りエアバッグ40が膨張した際に、応力集中による目開きが生じにくくなり、又仮に目開きが生じたとしてもガス漏れは生じにくくなる。その結果、本実施形態によれば、コストを増加させることなく、袋織りエアバッグ40の内圧保持性能を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、粗組織部44の織り組織の粗さの程度を適宜選択することによりコーティング剤の裏抜け量を調整することができる。その結果、本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、袋織りエアバッグ40の所望の内圧保持性能が得られる。
【0039】
なお、上述した各実施形態では、乗員の頭部保護用のエアバッグ装置に適用される袋織りエアバッグ10、40を例にして説明したが、本発明の適用対象はこれに限らず、種々の袋織りエアバッグに対して適用可能である。例えば、車両側部への所定の高荷重作用時に、車両用シートのシートバックのサイド部分から車両前方側へ膨出されて、サイドドアと乗員の胴部との間に介在される所謂サイドエアバッグ装置の袋織りエアバッグに対して本発明を適用してもよく、この場合においても同様の作用効果が得られる。
【0040】
また、上述した各実施形態では、袋状部14、42の中央部に一重織り構造の接合部18が形成された袋織りエアバッグ10、40に対して本発明を適用したが(第2実施形態では図示省略)、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された発明との関係では、接合部18が形成されていない袋織りエアバッグも適用対象として含まれる。
【0041】
さらに、上述した第1実施形態では、裏抜け部として三重織り部26、四重織り部28を並設する構成を採ったが、これに限らず、三重織り以上の多重織り部になっていればよい。従って、袋状部14における周縁部16との境界部24を含む近傍域に単一の三重織り以上の多重織り部を形成する構成を採ってもよいし、或るいは、三重織り部26及び四重織り部28に隣接して五重織り部を加える構成を採ってもよい。
【0042】
また、上述した第1実施形態(前記近傍域に多重織り部を設ける構成)と第2実施形態(前記近傍域に粗組織部を設ける構成)とを組み合わせた構成を採ってもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域に、袋状部の一般部に対して織り構造を変えることによりコーティング剤の裏抜けを許容する裏抜け部を設けたので、裏抜け部の外表面にコーティング剤を塗布するだけで裏抜け部の表裏面にコーティング層を形成することができ、その結果、コストを増加させることなく、内圧保持性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0044】
請求項2記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項1に記載の発明において、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域を三重織り以上の多重織りすることにより前述した裏抜け部を構成したので、何重織り構造とするかを適宜選択することによりコーティング剤の裏抜け量を調整することができ、その結果、所望の内圧保持性能が得られるという優れた効果を有する。
【0045】
請求項3記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項1に記載の発明において、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域の織り組織を袋状部の一般部の織り組織よりも粗くすることにより、前述した裏抜け部を構成したので、織り組織の粗さの程度を適宜選択することによりコーティング剤の裏抜け量を調整することができ、その結果、所望の内圧保持性能が得られるという優れた効果を有する。
【0046】
請求項4記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項2に記載の発明において、閉部に近い側を三重織りとし、閉部から遠い側を四重織りとしたので、応力集中ポイントを袋状部の内方側へシフトさせた上で、当該応力集中ポイントを強化することができ、その結果、内圧保持性能をより一層向上させることができるという優れた効果を有する。
【0047】
請求項5記載の本発明に係る袋織りエアバッグは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、閉部が袋状部の周縁側の他に袋状部内にも形成されているため、袋織りエアバッグを裏返す(表裏反転させる)ことができない構造となるが、このような構造の袋織りエアバッグにおいても、確実に内圧保持性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る袋織りエアバッグの要部を示す図2の1−1線断面図である。
【図2】第1実施形態に係る袋織りエアバッグの正面図である。
【図3】図1に示される袋織りエアバッグが膨張した状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】第2実施形態に係る袋織りエアバッグの要部を示す図1に対応する要部拡大断面図である。
【図5】図4に示される袋織りエアバッグが膨張した状態を示す図3に対応する要部拡大断面図である。
【図6】従来例に係る袋織りエアバッグの織り構造を示す図1に対応する要部拡大断面図である。
【図7】袋織りエアバッグの織り組織を説明するための模式図である。
【図8】従来例に係る袋織りエアバッグの問題点を説明するための図3に対応する要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 袋織りエアバッグ
14 袋状部
16 周縁部(閉部)
18 接合部(閉部)
20 コーティング層
22 一般部
24 境界部
26 三重織り部(裏抜け部)
28 四重織り部(裏抜け部)
30 コーティング層
40 袋織りエアバッグ
42 袋状部
44 粗組織部(裏抜け部)
Claims (5)
- 二重織りにより形成された袋状部と、当該袋状部に隣接して一重織りにより形成された閉部とを含んで構成され、外表面にコーティング層が形成された袋織りエアバッグであって、
袋状部における閉部との境界部を含む近傍域に、袋状部の一般部に対して織り構造を変えることによりコーティング剤の裏抜けを許容する裏抜け部を設けた、
ことを特徴とする袋織りエアバッグ。 - 前記裏抜け部は、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域を三重織り以上の多重織りすることにより構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の袋織りエアバッグ。 - 前記裏抜け部は、袋状部における閉部との境界部を含む近傍域の織り組織を袋状部の一般部の織り組織よりも粗くすることにより構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の袋織りエアバッグ。 - 前記多重織りは、閉部に近い側が三重織りとされ、閉部から遠い側が四重織りとされている、
ことを特徴とする請求項2に記載の袋織りエアバッグ。 - 前記閉部は、袋状部の周縁側の他に袋状部内にも形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の袋織りエアバッグ。
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