JP3706926B2 - 自動販売機の商品販売装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触媒体(非接触ICカード)を利用する自動販売機の商品販売装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近では、金融、交通、物流を始めとする幅広い分野で、非接触ICカードを使用する管理システムが普及し始めている。この理由は、利用者がリーダライタからの電磁波の有効範囲内に非接触ICカードをかざす(近接する)だけで、非接触ICカードの情報を読み書きできるという、利便性を有する点に起因する。
【0003】
また、飲食物等の商品を取り扱う自動販売機の分野でも、非接触ICカードを使用して商品を販売するものが同様に普及し始めている。以下、プリペイド型の非接触ICカードを使用して商品を販売するまでの一連の処理手順を説明する。先ず、利用者は、自動販売機の前扉に配設された複数の商品選択釦の何れかを押下し、その後、自動販売機の前扉に配設されたリーダライタの近傍で非接触ICカードをかざす。次に、リーダライタは、非接触ICカードから残額情報を読み取る。次に、自動販売機内の制御部は、非接触ICカードからの残額情報が商品を購入可能であるものと判別すると、商品の払い出しを指示する。これより、自動販売機内の販売機構は、先の指示に従って、利用者が希望する商品を取出口まで搬出する。尚、上記に関連する技術は、例えば特開2000−268239号に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した複数の商品選択釦は、商品を販売可能な待機状態において、常時点灯するものと、利用者が専用の釦(またはスイッチ)を操作した後に点灯するものの、2種類がある。
【0005】
しかし、前者の場合、点灯中の商品選択釦を簡単に押下できるので、利用者は、他人が点灯中の何れかの商品選択釦を押下したときに自動販売機に近づくと、利用者の意志に反して、利用者自身の非接触ICカードの残額情報から他人の選択商品の金額情報を減額されるという不都合を被る問題があった。また、後者の場合、自動販売機の部品点数が増加するので、前者の問題を解決できる反面、自動販売機の製造および販売に要する費用が上昇し、更に、利用者が商品を購入する際の操作も煩雑となる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題を解決し、利用者が非接触媒体を2度近接することによって選択商品を購入できる、自動販売機の商品販売装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題点を解決するために創作されたものである。
【0008】
請求項1は、非接触媒体が記憶する残額情報を読み取って商品を販売する自動販売機の商品販売装置であって、前記非接触媒体が近接したとき、前記非接触媒体から現在の残額情報を読み取り、現在の残額情報で販売可能な商品のみを選択可能とし、更に、前記非接触媒体が再度近接したとき、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売する制御手段を、備えたものである。よって、利用者の非接触媒体の残額情報から誤った金額情報を減額するのを防止し、自動販売機の製造および販売に要する費用の上昇を抑止し、更に、利用者が商品を購入する際の操作を簡単とする、等の作用効果を奏する。
【0009】
請求項2は、請求項1に係り、前記制御手段は、前記非接触媒体が2度近接したときの残額情報を読み取って一致を検出することにより、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売するものである。請求項3は、請求項1または2に係り、前記制御手段は、前記非接触媒体が2度近接したときの残額情報を読み取って不一致を検出することにより、選択商品の販売を無効とするものである。よって、残額が多い非接触媒体を近接した後、残額が少ない異なる非接触媒体を再度近接しても、残額情報の変更も商品の販売もしないので、後者の非接触媒体の残額が悪戯で増加するのを防止する作用効果を奏する。
【0010】
請求項4は、請求項1に係り、前記制御手段は、前記非接触媒体が近接したとき、同一の非接触媒体が2度近接したことを検出するための確認情報を前記非接触媒体に記憶し、前記非接触媒体が再度近接したとき、前記確認情報を読み取って正誤判別するものである。請求項5は、請求項4に係り、前記制御手段は、前記確認情報を正と判別することにより、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売するものである。請求項6は、請求項4または5に係り、前記制御手段は、前記確認情報を誤と判別することにより、前記選択商品の販売を無効とするものである。よって、利用者を確実に特定する作用効果を奏する。
【0011】
請求項7は、請求項1乃至6の何れかに係り、前記制御手段は、販売の異常を検出することにより、前記非接触媒体の近接を要求するとともに、前記非接触媒体の残額情報に選択商品の金額情報を戻すものである。よって、商品を販売しないときは確実に返金する作用効果を奏する。
【0012】
請求項8は、請求項1乃至7の何れかに係り、前記制御手段は、前記非接触媒体の近接から次の近接までの所定の期間に要する時間が一定時間を超過したことを検出することにより、商品を販売するための処理を禁止するものである。請求項9は、請求項1乃至7の何れかに係り、前記制御手段は、人体センサが前記非接触媒体の近接から次の近接までの間に人体を検出しなくなったときの出力に基づいて、商品を販売するための処理を禁止するものである。よって、利用者が商品を購入する手続きを途中で中止しても、次の利用者が商品を購入するための待機状態となる作用効果を奏する。
【0013】
請求項10は、請求項1乃至9の何れかに係り、前記非接触媒体は、残額情報を記憶する記憶部と、前記記憶部における残額情報の読み出しまたは書き込みを行う情報処理部と、自動販売機との間で残額情報を送受信する送受信部と、から成る非接触ICカードである。よって、非接触ICカードは携行しやすいので、商品の販売を促進する作用効果を奏する。
【0014】
請求項11は、非接触媒体が記憶する個人識別情報および残額情報を読み取って商品を販売する自動販売機の商品販売装置であって、前記非接触媒体が近接したとき、前記非接触媒体から個人識別情報を読み取って、この個人識別情報が正当であることを検出すると商品を選択可能な状態とし、更に、商品選択後に前記非接触媒体が再度近接したとき、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、この選択商品を販売する制御手段を、備えたものである。例えば、煙草、アルコール飲料等の未成年者への販売を禁止されている商品を取り扱う自動販売機に適用する場合においては、個人識別情報を生年月日情報にして、自動販売機を管理する管理会社等、正当な管理をできるところが非接触媒体に登録申請のあった利用者の生年月日情報を記憶させて当該利用者に事前に配布すればよい。これより、自動販売機は、利用者が非接触媒体を自動販売機に2度近接することで、未成年者を確実に判別して商品の販売を禁止することと、成年者に対しては商品の販売とともに決済を確実にできる作用効果を奏する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に従って具体的に説明する。
【0016】
図1は、本発明を使用する自動販売機の正面図の一例である。尚、この自動販売機は、利用者が非接触ICカードをかざすことにより、例えば缶飲料を販売するものである。
【0017】
図1において、前扉1は、自動販売機の左側面端(または右側面端)を支軸として開閉するものであり、コラム設定、缶飲料補充等を行うときは解錠して開き、通常販売を行うときは施錠して閉じておくものである。パネル2は、透明な樹脂板であり、内部に陳列されている複数種類の缶飲料サンプル3を確認するためのものである。つまり、利用者は、パネル2を通して複数種類の缶飲料サンプル3を見渡すことにより、購入したい缶飲料を選択できる。商品選択釦4は、販売可ランプおよび売り切れランプを内蔵し、缶飲料サンプル3それぞれに対応してパネル2に設けられるものである。販売可ランプは、自動販売機内部のコラムに缶飲料が収容されている場合のみ、この缶飲料に対応するものが点灯する。売り切れランプは、自動販売機内部の所定コラムが空になると、この缶飲料に対応するものが常時点灯する。利用者が前扉1と対面して残額情報を記憶するプリペイド型の非接触ICカード5(非接触媒体)をかざすと、非接触ICカード5が缶飲料を購入可能な残額情報を有するときのみ該当する商品選択釦4が点灯する。その後、利用者が点灯中の商品選択釦4の何れかを押下すると、この缶飲料サンプル3に対応する缶飲料が商品取出口6まで搬出される。リーダライタ7は、非接触ICカード5の電源を立ち上げるための電磁波を常時発生し、非接触ICカード5における残額情報の読み出しまたは書き込みを制御するものである。つまり、非接触ICカード5は、リーダライタ7からの電磁波の有効範囲内(例えば数十cm)に近接すると、電磁誘導の作用を受けて電源が立ち上がり、残額情報の読み出しまたは書き込みを行う。表示部8は、非接触ICカード5からの読み出し情報(例えば購入前の残額内容)、この読み出し情報を用いた所定の論理演算情報(例えば購入後の残額内容)、更には、販売中、販売中止等の情報を表示するものである。
【0018】
図2は、本発明の自動販売機の商品販売装置を説明するためのブロック図である。
【0019】
図2において、主制御部101は、自動販売機の制御を統括するものであり、ROM、CPU、RAM、周辺回路(タイマ、レジスタ等)を内蔵するものである。詳細すると、ROMは、後述する複数の従制御部を統括制御するためのプログラムデータと、コラム設定、価格設定等のテーブルデータとが予め格納されたものである。CPUは、ROMから読み出されたプログラムデータの解読結果に従って複数の従制御部を統括制御するものである。RAMは、CPUによる演算結果、複数の従制御部からの各種データ等の書き込みまたは読み出しを行うものである。ハードウエア面では、ROMは、データを製造工程で焼き付け固定するマスクROM、データを紫外線消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできるEPROM、またはデータを電気消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできるEEPROM(フラッシュメモリを含む)等の不揮発性メモリである。CPUは、ROMの実行アドレスを指定するプログラムカウンタ、ROMからの読み出し内容を解読するインストラクションデコーダ、論理演算を行う演算論理ユニット、演算データを一時格納するアキュムレータ等を内蔵する。RAMは、SRAM等の揮発性メモリであり、記憶内容を保持するためのバックアップ電源(電池)を有する。カード処理制御部102、接客制御部103、販売制御部104、入力制御部105は、複数の従制御部に相当し、ハードウエア面において、主制御部101と同様のROM、CPU、RAMを内蔵する。リーダライタ7は、送受信部106を介して電磁波を常時発生し、非接触ICカード5との間で通信を行う。カード処理制御部102は、リーダライタ7を制御し、非接触ICカード5からの読み出し情報の種類、正当性を判別したり、非接触ICカード5からの読み出し情報を主制御部101に送信したり、非接触ICカード5への書き込み情報をリーダライタ7に送信したりするものである。接客部107は、複数種類の缶飲料サンプル3に対応して設けられた複数の商品選択釦4と、表示部8とを備えたものである。接客制御部103は、接客部107を制御する。つまり、接客制御部103は、主制御部101からの缶飲料販売に関する接客指示に従って、表示部8に販売中または販売中止を表示させたり、複数の商品選択釦4毎の販売可ランプまたは売り切れランプを点灯させたり、更には、複数の商品選択釦4の何れが押下されたのかを検出し、このときの検出信号を主制御部101に送信したりする。販売機構108は、利用者が押下した商品選択釦4と対応する缶飲料を商品取出口6まで搬出させるものである。販売制御部104は、販売機構108を制御する。つまり、主制御部101が、カード処理制御部102から非接触ICカード5の読み出し情報を受け取り、利用者が缶飲料を購入できるものと判別すると、販売制御部104は、接客制御部103からの前記検出信号に応答した主制御部101からの販売指示に従って、利用者が押下した商品選択釦4と対応する缶飲料を商品取出口6まで搬出させる。キー入力部109は、前扉1の背面に着脱自在に配設され、コラム設定、価格設定等のデータを入力するためのものである。入力制御部105は、キー入力部109からの設定データを主制御部101に送信するためのインターフェイスを行うものである。
【0020】
非接触ICカード5は、主制御部101と同様のROM、CPU、RAMと、リーダライタ7からの電磁波を受け取るコイルアンテナ110と、リーダライタ7との間で通信を行う送受信部111と、を内蔵する。ROMは、データを書き換えできるEEPROM等の不揮発性メモリであり、リーダライタ7との間の通信を制御するためのプログラムデータを記憶したものである。RAMは、銀行の電子マネー取扱装置と双方向通信することにより、所定金額範囲内の電子マネーを記憶したものである。
【0021】
図3および図4は、本発明の自動販売機の商品販売装置の動作を説明するためのフローチャートである。尚、缶飲料の価格は、X円、Y(>X)円の2種類とする。
【0022】
先ず、利用者が、非接触ICカード5をリーダライタ7の近傍でかざすと、リーダライタ7は、非接触ICカード5のRAMが記憶する残額情報を読み取り、カード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、リーダライタ7からの残額情報を主制御部101に送信する。これより、主制御部101は、カード処理制御部102からの残額情報を割り込み要求として受信するとともにRAMまたはレジスタに保持し、缶飲料を販売するための処理を開始する(A1)。
【0023】
主制御部101は、カード処理制御部102がリーダライタ7からの読み取り情報を後述するステップA16まで受信しないための禁止信号を、カード処理制御部102に送信する。これより、カード処理制御部102は、利用者の残額情報を一度受信すると、その後、他の利用者の残額情報を受信しなくなるので、残額情報を用いる誤演算を防止できる(A2)。
【0024】
主制御部101は、RAMまたはレジスタに保持している残額情報から残額Z円を求める(A3).
主制御部101は、残額Z円が缶飲料の価格X円以上であるかどうかを判別する(A4)。主制御部101は、残額Z円が缶飲料の価格X円未満であるものと判別すると(A4:NO)、利用者が缶飲料を購入する資格を持たないので、ステップA5以降の処理を実行せずに終了する。一方、主制御部101は、残額Z円が缶飲料の価格X円以上であるものと判別すると(A4:YES)、利用者が缶飲料を購入する資格を持つことになるので、この利用者が使用する非接触ICカード5を特定するための確認情報をカード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、この確認情報をリーダライタ7を介して非接触ICカード5に送信する。非接触ICカード5は、この確認情報をRAMの特定アドレスに書き込む。尚、主制御部101は、この確認情報をRAMまたはレジスタに一時保持する(A5)。
【0025】
つまり、主制御部101は、利用者が非接触ICカード5をかざす1〜2秒の間に、上記のステップA1〜A5を実行する。
【0026】
主制御部101は、更に、残額Z円が缶飲料の価格Y円以上であるかどうかを判別する(A6)。主制御部101は、残額Z円が缶飲料の価格Y円以上であるものと判別すると(A6:YES)、価格X円およびY円の缶飲料と対応する商品選択釦4の販売可ランプを点灯するための信号を接客制御部103に送信する。これより、売り切れを除く価格X円およびY円の缶飲料と対応する商品選択釦4の販売可ランプが点灯する(A7)。一方、主制御部101は、残額Z円が缶飲料の価格Y円未満であるものと判別すると(A6:NO)、価格X円の缶飲料と対応する商品選択釦4の販売可ランプを点灯するための信号を接客制御部103に送信する。これより、売り切れを除く価格X円の缶飲料と対応する商品選択釦4の販売可ランプが点灯する(A8)。
【0027】
主制御部101は、上記のステップA7、A8の商品選択釦4の販売可ランプを点灯するための信号を出力すると、タイマをリセットするとともに自走または他走の発振クロックを所定分周した1秒信号を供給して計数開始する(A9)。
【0028】
主制御部101は、タイマが計数開始すると、接客制御部103からの商品選択釦4の押下信号を受信したかどうかを判別する(A10)。主制御部101は、接客制御部103からの商品選択釦4の押下信号を受信していないものと判別すると(A10:NO)、更に、タイマがT1(例えば30秒)を計数したかどうかを判別する(A11)。主制御部101は、タイマがT1を計数していないものと判別すると(A11:NO)、上記のステップA10を再度実行し、タイマがT1を計数したものと判別すると(A11:YES)、利用者が缶飲料を購入する意志を持たないものと見なし、タイマの計数を停止するとともにRAMまたはレジスタの残額情報を消去し、点灯中の商品選択釦4の販売可ランプを消灯するための信号を接客制御部103に送信する。これより、点灯中の商品選択釦4の販売可ランプが消灯して、ステップA10以降の処理を実行せずに終了する(S12)。一方、主制御部101は、接客制御部103からの商品選択釦4の押下信号を受信したものと判別すると(A10:YES)、更に、接客制御部103からの商品選択釦4の押下信号が価格X円またはY円の何れに対応するのかを判別する(A13)。主制御部101は、接客制御部103からの商品選択釦4の押下信号が価格X円に対応するものと判別すると(A13:YES)、残額Z円から価格X円を減算して、(Z−X)円の残額情報をカード処理制御部102に送信する(A14)。一方、主制御部101は、接客制御部103からの商品選択釦4の押下信号が価格X円に対応しないものと判別すると(A13:NO)、残額Z円から価格Y円を減算して、(Z−Y)円の残額情報をカード処理制御部102に送信する(A15)。
【0029】
主制御部101は、上記のステップA14、A15の減算後の残額情報をカード処理制御部102に送信すると、更に、カード処理制御部102がリーダライタ7からの読み取り情報を受信再開するための許可信号を送信する(A16)。
【0030】
主制御部101は、利用者が非接触ICカード5をかざすことを促すための表示信号を接客制御部103に送信する。接客制御部103は、この表示信号に応答して、「カードヲ カザシテクダサイ」等の案内文を表示部8に表示する。これより、利用者は、非接触ICカード5を再度かざすことを確認する。つまり、利用者が、非接触ICカード5をリーダライタ7の近傍でかざすと、リーダライタ7は、非接触ICカード5が記憶する確認情報を読み取り、カード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、リーダライタ7からの確認情報を主制御部101に送信する(A17)。
【0031】
主制御部101は、上記のステップA17の表示信号を出力すると、タイマを再度リセットするとともに1秒信号を供給して計数開始する(A18)。
【0032】
主制御部101は、タイマが計数開始すると、カード処理制御部102からの確認情報を受信したかどうかを判別する(A19)。主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報を受信していないものと判別すると(A19:NO)、更に、タイマがT2(例えば30秒)を計数したかどうかを判別する(A20)。主制御部101は、タイマがT2を計数していないものと判別すると(A20:NO)、上記のステップA19を再度実行し、タイマがT2を計数したものと判別すると(A20:YES)、利用者が缶飲料を購入する意志を持たないものと見なし、タイマの計数を停止し、RAMまたはレジスタの残額情報を消去し、カード処理制御部102が有する減算後の残額情報を無効とする。これより、ステップA19以降の処理を実行せずに終了する(A21)。一方、主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報を受信したものと判別すると(A19:YES)、更に、カード処理制御部102からの確認情報が本来の確認情報と一致するかどうかを判別する(A22)。主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報が本来の確認情報と一致しないものと判別すると(A22:NO)、利用者が異なる非接触ICカード5をかざしたものと見なし、上記のステップA21を再度実行し、ステップA22以降の処理を実行せずに終了する。一方、主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報が本来の確認情報と一致するものと判別すると(A22:YES)、非接触ICカード5のRAMが記憶する残額情報を減算後の残額情報に書き換えるための書換信号をカード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、書換信号に応答して、減算後の残額情報をリーダライタ7を介して非接触ICカード5に送信する。非接触ICカード5は、RAMの残額情報を減算後の残額情報に書き換え、書換終了信号をリーダライタ7を介してカード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、書換終了信号を主制御部101に送信する(A23)。
【0033】
つまり、主制御部101は、利用者が非接触ICカード5を再度かざす1〜2秒の間に、上記のステップA19、A21、A22、A23を実行する。
【0034】
主制御部101は、カード処理制御部102からの書換終了信号を受信したものと判別すると(A24:YES)、商品選択釦4の押下信号と対応する販売信号を販売制御部104に送信する。販売制御部104は、販売信号に応答して、利用者が希望する缶飲料を販売機構108から払い出し、販売終了信号を主制御部101に送信する(A25)。
【0035】
主制御部101は、販売制御部104からの販売終了信号を受信したかどうかを判別する(A26)。主制御部101は、販売制御部104からの販売終了信号を受信したものと判別すると(A26:YES)、利用者が希望する缶飲料を正常に販売したものとして、処理を終了する。一方、主制御部101は、販売制御部104からの販売終了信号を受信していないものと判別すると(A26:NO)、更に、販売制御部104からの販売異常信号を受信したかどうかを判別する(A27)。主制御部101は、販売制御部104からの販売異常信号を受信していないものと判別すると(A27:NO)、上記のステップA26を再度実行し、販売制御部104からの販売異常信号を受信したものと判別すると(A27:YES)、更に、販売対象の缶飲料の価格がX円であるかどうかを判別する(A28)。主制御部101は、販売対象の缶飲料の価格がX円であるものと判別すると(A28:YES)、残額(Z―X)円に価格X円を加算して、Z円の残額情報をカード処理制御部102に送信する(A29)。一方、主制御部101は、販売対象の缶飲料の価格がX円でないものと判別すると(A28:NO)、残額(Z―Y)円に価格Y円を加算して、Z円の残額情報をカード処理制御部102に送信する(A30)。
【0036】
主制御部101は、利用者が非接触ICカード5をかざすことを促すための表示信号を接客制御部103に送信する。接客制御部103は、この表示信号に応答して、「カードヲ カザシテクダサイ ヘンキンシマス」等の案内文を表示部8に表示する。これより、利用者は、非接触ICカード5を再度かざすことを確認する。つまり、利用者が、非接触ICカード5をリーダライタ7の近傍でかざすと、リーダライタ7は、非接触ICカード5が記憶する確認情報を読み取り、カード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、リーダライタ7からの確認情報を主制御部101に送信する。(A31)。
【0037】
主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報を受信しかたどうかを確認する(A32)。主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報を受信したものと判別すると(A32:YES)、更に、カード処理制御部102からの確認情報が本来の確認情報と一致するかどうかを判別する(A33)。主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報が本来の確認情報と一致しないものと判別すると(A33:NO)、上記のステップA31を再度実行する。一方、主制御部101は、カード処理制御部102からの確認情報が本来の確認情報と一致したものと判別すると(A33:YES)、非接触ICカード5のRAMが記憶する残額情報を加算後の残額情報に書き換えるための書換信号をカード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、書換信号に応答して、加算後の残額情報(元の残額情報)をリーダライタ7を介して非接触ICカード5に送信する。非接触ICカード5は、RAMの残額情報を加算後の残額情報に書き換え、書換終了信号をリーダライタ7を介してカード処理制御部102に送信する。カード処理制御部102は、書換終了信号を主制御部101に送信する(A34)。主制御部101は、カード処理制御部102からの書換終了信号を受信したものと判別すると(A35:NO)、処理を終了する。
【0038】
尚、上記の確認情報の代わりに、非接触ICカード5が2度近接したときの残額情報を読み取って一致または不一致を検出するようにしてもよい。また、上記のタイマの代わりに、人体センサが非接触ICカード5の近接から次の近接までの間に人体を検出しなくなったときの出力に基づいて、缶飲料を販売するための処理を禁止するようにしてもよい。
【0039】
本発明における他の実施の形態を以下に説明する。自動販売機が取り扱う商品の中には、煙草、アルコール飲料のように未成年者への販売を禁止しなければならない商品もあり、このような自動販売機では商品を購入しようとしている利用者が未成年者であるかどうかを確実に判別しなければならず、例えば運転免許証を取り込んでその中の生年月日情報を光学的に読み取って未成年者であるかどうかを判別したりしている。しかし、自動販売機に光学的な読み取り手段を設けても、偽造された運転免許証を確実に判別できるものでもなく、また正式な運転免許証であっても汚れていたりすると生年月日情報を確実に読み取ることができなくなったりして、生年月日情報から利用者の年齢を判別する点で信頼性に問題があるのが事実である。また利用者の生年月日情報を磁気データまたは電子データ(バイナリデータ)の形で予め記憶したカードを当該利用者に予め配布しておき、自動販売機がこのカードを取り込んで当該利用者の年齢を判別する技術も考えられている。しかし、この場合でもカードを自動販売機内部に一旦取り込まなければならず、利用者が商品を購入した際にカードを取り忘れて結局のところカードを紛失してしまう恐れがある。この問題を解決するためにカード取り忘れ防止策として表示器にメッセージを表示したりブザーで警告したりすることも考えられるが、結局のところこれはコストアップにつながり好ましいことではない。更に、自動販売機にカードを差し込んだりその後カードを抜き取ったりする操作は、カードが利用者の手から一旦離れてしまうのでスムーズな購入動作を行うことができない問題もある。
【0040】
こういった点から、利用者の購入操作をスムーズにするとともに利用者が未成年者であるかどうかを確実に判別するために、非接触ICカードを媒体として自動販売機で利用者の年齢を判別させる好ましい実施形態を考えた。詳述すると、自動販売機を正当に管理できる管理会社等が、利用者の年齢を判別する機能を有する自動販売機を用意して必要とされる各ロケーションに設置し、更に各利用者からの登録申請に応じて各利用者の生年月日情報(個人識別情報)を内部メモリに記憶した非接触ICカードを各利用者毎に作成して事前に郵送等で配布しておく。尚、この非接触ICカードの内部メモリは、生年月日情報の他に電子価値情報(残額情報)を記憶するエリアを有しており、利用者自らが利用する銀行等に設置された専用機を使用することによって、非接触ICカードの内部メモリに預金残額を限度として電子価値情報を必要とするその都度記憶できるものとする。
【0041】
先ず利用者は、自動販売機と対面し、生年月日情報および電子価値情報が記憶されている非接触ICカードを自動販売機に近接する。これによって、自動販売機の主制御部101では、リーダライタ7から取り込まれた生年月日情報と現在の日時情報との差から当該利用者の年齢を算出し、未成年者であるかどうかを判別する。このとき、主制御部101では利用者が未成年者であるものと判別すると、その後の販売処理を実行せずに、このときリーダライタが取り込んだ全情報を消去して一連の処理を終了する。一方、主制御部101が利用者を未成年者ではなく20歳以上であるものと判別すると、同時に取り込んだ金銭価値情報に応じて販売可能な金額の煙草、アルコール飲料等の商品に対応する商品選択釦4を点灯するための信号を接客制御部103に送信し、これによって該当する商品選択釦4が点灯する。その後、利用者が希望する商品選択釦4を押下して非接触ICカードを自動販売機に再度近接させると、主制御部101が演算処理した上記の金銭価値情報から販売した商品の金額を減額した新たな金銭価値情報を、カード処理制御部102およびリーダライタ7を経由して非接触ICカードに送信し、内部メモリの金銭価値情報を減額後の新たな金銭価値情報に更新する。尚、主制御部101が利用者を未成年者ではないものと判別したあとの制御シーケンスは、図3および図4と同様であるため、この点における詳細説明は省略するものとする。
【0042】
これより、自動販売機としては、自動販売機を正当に管理する管理会社等が非接触ICカードを配布するので、利用者の生年月日情報から当該利用者が未成年者であるかどうかを確実に判別でき、未成年者への成人向け商品の販売を確実に防止できる。更に、利用者としては、未成年者判別機能を非接触ICカードで実現するので、カードを手に持ったまま未成年者識別から商品販売までの一連の処理をスムーズに行うことができ、カードを紛失したり問題を解決することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の利点を有する。
【0044】
請求項1は、非接触媒体が記憶する残額情報を読み取って商品を販売する自動販売機の商品販売装置であって、前記非接触媒体が近接したとき、前記非接触媒体から現在の残額情報を読み取り、現在の残額情報で販売可能な商品のみを選択可能とし、更に、前記非接触媒体が再度近接したとき、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売する制御手段を、備えたものである。よって、利用者の非接触媒体の残額情報から誤った金額情報を減額するのを防止し、自動販売機の製造および販売に要する費用の上昇を抑止し、更に、利用者が商品を購入する際の操作を簡単とすることができる。
【0045】
請求項2は、請求項1に係り、前記制御手段は、前記非接触媒体が2度近接したときの残額情報を読み取って一致を検出することにより、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売するものである。請求項3は、請求項1または2に係り、前記制御手段は、前記非接触媒体が2度近接したときの残額情報を読み取って不一致を検出することにより、選択商品の販売を無効とするものである。よって、残額が多い非接触媒体を近接した後、残額が少ない異なる非接触媒体を再度近接しても、残額情報の変更も商品の販売もしないので、後者の非接触媒体の残額が悪戯で増加するのを防止することができる。
【0046】
請求項4は、請求項1に係り、前記制御手段は、前記非接触媒体が近接したとき、同一の非接触媒体が2度近接したことを検出するための確認情報を前記非接触媒体に記憶し、前記非接触媒体が再度近接したとき、前記確認情報を読み取って正誤判別するものである。請求項5は、請求項4に係り、前記制御手段は、前記確認情報を正と判別することにより、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売するものである。請求項6は、請求項4または5に係り、前記制御手段は、前記確認情報を誤と判別することにより、前記選択商品の販売を無効とするものである。よって、利用者を確実に特定することができる。
【0047】
請求項7は、請求項1乃至6の何れかに係り、前記制御手段は、販売の異常を検出することにより、前記非接触媒体の近接を要求するとともに、前記非接触媒体の残額情報に選択商品の金額情報を戻すものである。よって、商品を販売しないときは確実に返金することができる。
【0048】
請求項8は、請求項1乃至7の何れかに係り、前記制御手段は、前記非接触媒体の近接から次の近接までの所定の期間に要する時間が一定時間を超過したことを検出することにより、商品を販売するための処理を禁止するものである。請求項9は、請求項1乃至7の何れかに係り、前記制御手段は、人体センサが前記非接触媒体の近接から次の近接までの間に人体を検出しなくなったときの出力に基づいて、商品を販売するための処理を禁止するものである。よって、利用者が商品を購入する手続きを途中で中止しても、次の利用者が商品を購入するための待機状態とすることができる。
【0049】
請求項10は、請求項1乃至9の何れかに係り、前記非接触媒体は、残額情報を記憶する記憶部と、前記記憶部における残額情報の読み出しまたは書き込みを行う情報処理部と、自動販売機との間で残額情報を送受信する送受信部と、から成る非接触ICカードである。よって、非接触ICカードは携行しやすいので、商品の販売を促進することができる。
【0050】
請求項11は、非接触媒体が記憶する個人識別情報および残額情報を読み取って商品を販売する自動販売機の商品販売装置であって、前記非接触媒体が近接したとき、前記非接触媒体から個人識別情報を読み取って、この個人識別情報が正当であることを検出すると商品を選択可能な状態とし、更に、商品選択後に前記非接触媒体が再度近接したとき、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、この選択商品を販売する制御手段を、備えたものである。例えば、煙草、アルコール飲料等の未成年者への販売を禁止されている商品を取り扱う自動販売機に適用する場合においては、個人識別情報を生年月日情報にして、自動販売機を管理する管理会社等、正当な管理をできるところが非接触媒体に登録申請のあった利用者の生年月日情報を記憶させて当該利用者に事前に配布すればよい。これより、自動販売機は、利用者が非接触媒体を自動販売機に2度近接することで、未成年者を確実に判別して商品の販売を禁止することと、成年者に対しては商品の販売とともに決済を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を使用する自動販売機の正面図の一例である。
【図2】本発明の自動販売機の商品販売装置を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の自動販売機の商品販売装置の動作前半を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の自動販売機の商品販売装置の動作後半を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
5 非接触ICカード
7 リーダライタ
101 主制御部
102 カード処理制御部
103 接客制御部
104 販売制御部
107 接客部
108 販売機構

Claims (11)

  1. 非接触媒体が記憶する残額情報を読み取って商品を販売する自動販売機の商品販売装置であって、
    前記非接触媒体が近接したとき、前記非接触媒体から現在の残額情報を読み取り、現在の残額情報で販売可能な商品のみを選択可能とし、更に、前記非接触媒体が再度近接したとき、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売する制御手段を、
    備えたことを特徴とする自動販売機の商品販売装置。
  2. 前記制御手段は、前記非接触媒体が2度近接したときの残額情報を読み取って一致を検出することにより、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売することを特徴とする請求項1記載の自動販売機の商品販売装置。
  3. 前記制御手段は、前記非接触媒体が2度近接したときの残額情報を読み取って不一致を検出することにより、選択商品の販売を無効とすることを特徴とする請求項1または2記載の自動販売機の商品販売装置。
  4. 前記制御手段は、前記非接触媒体が近接したとき、同一の非接触媒体が2度近接したことを検出するための確認情報を前記非接触媒体に記憶し、前記非接触媒体が再度近接したとき、前記確認情報を読み取って正誤判別することを特徴とする請求項1記載の自動販売機の商品販売装置。
  5. 前記制御手段は、前記確認情報を正と判別することにより、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、選択商品を販売することを特徴とする請求項4記載の自動販売機の商品販売装置。
  6. 前記制御手段は、前記確認情報を誤と判別することにより、前記選択商品の販売を無効とすることを特徴とする請求項4または5記載の自動販売機の商品販売装置。
  7. 前記制御手段は、販売の異常を検出することにより、前記非接触媒体の近接を要求するとともに、前記非接触媒体の残額情報に選択商品の金額情報を戻すことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の自動販売機の商品販売装置。
  8. 前記制御手段は、前記非接触媒体の近接から次の近接までの所定の期間に要する時間が一定時間を超過したことを検出することにより、商品を販売するための処理を禁止することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の自動販売機の商品販売装置。
  9. 前記制御手段は、人体センサが前記非接触媒体の近接から次の近接までの間に人体を検出しなくなったときの出力に基づいて、商品を販売するための処理を禁止することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の自動販売機の商品販売装置。
  10. 前記非接触媒体は、残額情報を記憶する記憶部と、前記記憶部における残額情報の読み出しまたは書き込みを行う情報処理部と、自動販売機との間で残額情報を送受信する送受信部と、から成る非接触ICカードであることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の自動販売機の商品販売装置。
  11. 非接触媒体が記憶する個人識別情報および残額情報を読み取って商品を販売する自動販売機の商品販売装置であって、
    前記非接触媒体が近接したとき、前記非接触媒体から個人識別情報を読み取って、この個人識別情報が正当であることを検出すると商品を選択可能な状態とし、更に、商品選択後に前記非接触媒体が再度近接したとき、前記非接触媒体の現在の残額情報から選択商品の金額情報を減算し、この選択商品を販売する制御手段を、備えたことを特徴とする自動販売機の商品販売装置。
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