JP3706537B2 - 粗面整正装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータグレーダ等の路面整地車両に装備され、ブレードの背部に支持部材を介して支持されたビットを車体の幅方向に複数個配設し、該ビットにより雪面等の粗面を掘削、整正するように構成された粗面整正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータグレーダを含む除雪車両のブレードによって除雪した後の路面等の,圧雪路面や凍結路面における滑りや転倒を防止するため、該除雪車両においては、ブレードの背部に粗面整正装置を装備して、該粗面整正装置の複数のビットにより前記圧雪路面や凍結路面に溝を形成するようにしている。
【0003】
図12は、かかる粗面整正装置を備えたモータグレーダの外観図であり、図において、5は車体フレーム、1は該車体フレーム5に回動可能に取り付けられて路面を整地するブレード、22はオペレータが搭乗しているキャビン、23はエンジンルーム、021は車輪である。100は本発明の対象である粗面整正装置で、前記ブレードの背部に装備され、車体幅方向に複数個列設されたビット4により地面13に溝を刻設している。
【0004】
図13は、かかる粗面整正装置の一例として、特開平7−166520号にて提供されている発明の概要を示し,図において100は粗面整正装置、1はブレード、5は車体フレームである。
2は該ブレード1の背部に固着されたブラケット、03は車体の幅方向に複数個配設され前記ブレード1にヒンジ02を介して回転自在に取り付けられたドローバであり、各ドローバ03の先端部には所定の重量を有するウェイト05が着脱自在に装着されている。4は前記各ドローバ03の端部に取り付けられたビットで,車体の幅方向に複数個列設されている。06は前記ブラケット2とドローバ03との間に架設された油圧シリンダで、該油圧シリンダ06を伸縮することにより前記ドローバ03がヒンジ02廻りに上下に揺動するようになっている。
【0005】
かかる粗面整正装置100において、前記モータグレーダの走行時に、該粗面整正装置100の前記ドローバ03の先端部に取り付けられているウェイト05の重量によりビット4が地面13に押し付けられ、該地面13に溝を形成する。前記地面13の粗度により前記ビット4の地面13への押付力(面圧)を変える場合には、車両の走行を停止して前記ウェイト05を適正重量のものに交換する。また、該粗面整正装置100を作動させない場合には、前記油圧シリンダ06を縮小して前記ドローバ03をヒンジ02廻りに上方に回動させて、前記ビット4を地面13から持ち上げる。
【0006】
また、前記粗面整正装置の他の例として、特開平7−317036号の発明が提供されている。かかる発明においては、モータグレーダ等の車体に上下揺動自在に取り付けられたブレードの背面に取付横材を揺動シリンダにより上下揺動自在に取り付け、該取付横材に弾性材からなる切削材取付部材を弾性部材に抗して上下揺動可能に取り付け、前記切削材取付部材に切削材を取り付けて、該切削材が、前記弾性材からなる切削材取付部材及び弾性部材の弾性変形量に見合うだけ上下変位するように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来技術においては、次のような問題点を有している。即ち、図13に示される特開平7−16652の発明においては、地面13の粗度により前記ビット4の地面13への押付力(面圧)を変える場合には、オペレータが車外に出てドローバ03へのウェイト05の着脱を行う必要がある。
このため、かかる従来技術においては、ビット4の地面13への押付力(面圧)を調整する毎に車両の運転を停止して前記ウェイト05の着脱を行う必要があり、粗面整正作業の作業能率が低下し、殊に高低変化の多い路面では頻繁に前記のようなウェイト05の調整を行うことを要し、作業能率の低下が著しくなる。また、ウェイト05の交換により押付力を変えるので、押付力の微調整は困難を伴う。
さらに、押付力付与用のウェイト05およびドローバ03を上下方向にのみ揺動し、車両の幅方向の逃げがないため、地面13の形状により車両幅方向や捩れ方向に無理な力が掛かった場合にはビット4を介して装置の破損を招く。
【0008】
次に、特開平7−317036号の発明においては、ブレードの背面に取り付けられた取付横材に皿ばね状の弾性部材を取り付け、該弾性部材に板ばね状の弾性材からなる切削材取付部材の根元部を支持し、さらに該切削材取付部材の自由端部に切削材を固定するように構成されているため、構造が複雑で部品点数が多くなり、組立、分解にも多くの工数を要する。
また、かかる発明においては、皿ばね状の弾性部材と板ばね状の切削材取付部材との2つのばねを組み合わせて押付力を得ているため、切削材(ビット)の上下方向変位量に対する押付力の関係が比例関係になく、押付力の制御が煩雑で、地面状態の変化に迅速に追従した押付力が得られ難い。
【0009】
さらに、前記従来技術においては、ビット側部材はドローバあるいは切削材取付部材のみを介して支持部側に連結されているため、粗面整正作業中に過大な衝撃がビット(切削材)側に作用し、先端部にある前記ビット側部材が破断された場合には、該ビット側部材が路上に放置され、後続車の安全走行の障害になったり、後続粗面整正車両の整正装置を破損させるような事故の発生をみる。
等の問題点を有している。
【0010】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、構造が簡単で部品点数が少なく、地面状態の変化に迅速に追従して押付力を制御でき、上下方向に加えて車体の幅方向及び捩れ方向の力に対して逃げを形成できて破損の発生を防止でき、さらには車両の走行中に地面状態の変化に応じて容易に押付力を制御できる粗面整正装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、本発明第一の要旨として、ブレードを含む車体に支持部材を介して支持されたビットを該車体の幅方向に複数個配設し、該ビットにより粗面を掘削、整正するように構成された粗面整正装置において、前記支持部材を前記車体に回動可能に支持し、上下方向に弾性変形可能な複数の弾性体をその根元部を固定端として、前記支持部材に片持ばり状に支持するとともに、該弾性体の自由端部に前記複数のビットを夫々着脱自在に取り付け、前記車体に取り付けられて前記支持部材を介して前記弾性体及びビットを上下方向に移動させる整正部材駆動装置を設けてなることを特徴とする粗面整正装置を提案する。
【0012】
そして前記本発明の第一の要旨において、好ましくは前記弾性体を、ポリウレタン材にて構成してもよく、又前記弾性体を、布入り積層ゴム材にて構成する。
【0013】
請求項記載の発明は、前記本発明の第一の要旨に加えて、前記支持部材の一端側を前記車体の支持部廻りに回動可能に支持するとともに該支持部材の他端側に前記複数の弾性体の根元部を取り付け、前記整正部材駆動装置を流体圧シリンダで構成してこれの出力端に前記支持部材あるいは弾性体の根元部を連結して、前記流体圧シリンダを伸縮することにより前記弾性体及びビットの上下方向位置を変化させるように構成されてなることを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、前記本発明の第一の要旨に加えて、前記支持部材あるいはブレードに一端側を固定されたワイヤ等の線材の他端側を前記複数の弾性体の端部及びビットに連結したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記本発明の第一の要旨に加えて、前記支持部材をブレードに回動可能に支持させることを特徴とする。
【0015】
かかる発明によれば、ブレードに回動可能に支持した支持部材に、上下方向に弾性変形可能な弾性体を片持ばり状に支持して該弾性体の自由端部にビットを着脱自在に取り付けるように構成されているので、特開平7−317036号のような、ビットを支持し作動させるばね部分が2段になっているもの等に比べて構造が簡単化され,部品点数も低減され、低コストの粗面整正装置が得られる。
【0016】
また、かかる発明によれば、車内からの操作によって流体圧シリンダ等よりなる整正部材駆動装置を制御することにより、支持部材を介して弾性体及びビットを上下に揺動させることができ、これにより、従来技術のように押付力を調整する毎に車両の運転を停止してウェイトの着脱を行う必要がなくなり、粗面整正作業中にビットの地面への押付力を地面の状態に適合した大きさに容易に調整でき、押付力の微調整も容易にできる。
また、単一の片持ばり状に取り付けられた弾性体は、これの撓みと地面13への押付力とは比例関係にあるため,前記整正部材駆動装置を制御することにより、容易にビットの地面への押付力を地面の状態に適合した大きさに調整することができる。
これにより、従来技術に比べて押付力の制御が簡単化され、地面状態の変化に迅速に追従した押付力を常時与えることができるとともに、粗面整正作業の作業能率が向上する。
また、粗面整正装置がブレードの背部に取り付けられ、キャビン内のオペレータの視界内に入っているため、オペレータは作業結果を確認しつつ粗面整正作業を行うことができる。
【0017】
また、地面上の障害物等にビットが乗り上げて弾性体に捩じり力や曲げ力が作用した場合においては、本発明に係る弾性体は弾性変形域を広く取れるため、車両の幅方向への逃げが十分に形成でき、車両幅方向や捩れ方向に無理な力が掛かることがあっても、塑性変形を起こすことがなく、かかる力による破損の発生を防止できる。
【0018】
また、請求項2のように構成すれば、弾性体を弾性変形域が広く塑性変形し難いポリウレタン材にて構成しているため、凹凸量の大きい地面であっても、該弾性体は、地面の上下変化に塑性変形を起こすことなく追従できて破損の発生をみることはない。さらに、前記のように、該弾性体は塑性変形し難いため、ブレード及び支持部材の移動量を大きく採れ、凹凸の大きい地面の整正も容易にできる。
【0019】
さらに、請求項5のように構成すれば、粗面整正作業中に過大な衝撃がビット側に作用し弾性体が破断された場合には、先端部にあるビット側部材がワイヤ等の線材により支持部材側に繋がれているため、該ビット側部材が路上に放置され、後続車の安全走行の障害になったり、後続粗面整正車両の整正装置を破損させるような事故の発生を防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図1は本発明の第1実施例に係るモータグレーダのブレード及び粗面整正装置の要部側面図で粗面整正作業時を示し、図2は粗面整正作業休止時を示す。図3は図1のA矢視図、図4は粗面整正作業状態を示す要部側面図、図5は粗面整正作業状態を示す要部正面図である。図6は弾性体とビットとの組立態様を示す外観略図(その1)、図7は弾性体とビットとの組立態様を示す外観略図(その2)、図8は粗面整正作業の平面説明図、図9は弾性体の特性線図である。図10は第2実施例を示す図1対応図、図11は要部平面図である。図12は本発明が適用されるモータグレーダの後方斜視図である。図13は従来技術を示す図1対応図である。
【0022】
本発明が適用されるモータグレーダを示す図12において、5は車体フレーム、1は該車体フレーム5に回動可能に取り付けられて地面を整地するブレード、22はオペレータが搭乗しているキャビン、23はエンジンルーム、021は車輪である。100は本発明の対象である粗面整正装置で、前記ブレードの背部に装備され、車体幅方向に複数個列設されたビット4により地面13に溝を刻設している。
【0023】
本発明は前記粗面整正装置100の改良に係り、その第1実施例を示す図1において、100は粗面整正装置、5は車体フレーム、1は該車体フレームに取り付けられたブレード回転軸7廻りに回転可能なブレードである。2は該ブレード1の背部上側に固着されたブラケット、3は前記ブレード1の背部下側に固着されたブラケット、9は前記ブラケット3にヒンジ8を介して回転自在に取り付けられた支持部材である。
10は弾性体であり、この実施例においてはポリウレタン材にて構成されている。該弾性体10は、前記支持部材9に固定された支持具010にその根元部をボルト11により締着されて片持ばり状に、かつ図3に示されるように、車体幅方向に等間隔に(不等間隔でも良い)配設されている。夫々の弾性体10の自由端部にはビット4がボルト11により着脱自在に装着されている。
【0024】
6は前記ブラケット2の端部に嵌入された支軸12と前記支持部材9との間に架設された油圧シリンダ(空気圧シリンダでもよい)からなる粗面作動シリンダで、前記キャビン22から操作されるブレード1の作動シリンダ(図示省略)とともに作動せしめられる。前記キャビン22からの操作によって該粗面作動シリンダ6を伸縮することにより、前記支持部材9、並びにこれに取り付けられた前記弾性体10及びビット4が、ヒンジ8廻りに上下に揺動するようになっている。
【0025】
かかる構成からなる粗面整正装置100を装備したモータグレーダの稼動時において、前記キャビン22からの操作によって該粗面作動シリンダ6を伸縮させて、前記支持部材9を介して前記弾性体10及びビット4を地面13の状態に適合する位置に係止せしめ、該モータグレーダを走行させると、図4に示されるように、地面13の凹凸に応じてビット4が上下し、これに従い片持ばり状の弾性体10が支持部材9を支点として撓みながら、該地面13上に溝を刻設して行く。
【0026】
かかる実施例によれば、前記のように、片持ばり状の弾性体10が地面13の凹凸に応じて上下に撓みながら溝を刻設して行く際において、該弾性体10は弾性変形域が広く塑性変形し難いポリウレタン材にて構成されているため、図4に示されるように凹凸量の大きい地面13であっても、該弾性体10は、地面13の上下変化に塑性変形を起こすことなく追従できて破損の発生をみることはない。
また、前記のように、該弾性体10は塑性変形し難いため、ブレード1及び支持部材9の移動量を大きく採れ、凹凸の大きい地面13の整正も容易にできる。
【0027】
また、図5(A)に示されるように地面13に形成された大きな凸部13Aに前記ビット4が乗り上げて前記弾性体10に捩じり力が作用した場合や、図5(B)に示されるように地面13に形成された大きな凸部13bの側部に前記ビット4が車両の幅方向に曲げられた場合においても、該弾性体10は弾性変形域が広いため、車両の幅方向への逃げが十分に形成でき、車両幅方向や捩れ方向に無理な力が掛かることがあっても、塑性変形を起こすことがなく、破損の発生をみることはない。
また、図9に示されるように、ポリウレタン材にて構成された前記弾性体10は、これの撓み即ち曲げ量と雪面(地面13)を捕らえる力即ちビット4の地面13への押付力とは比例関係にあるため,前記粗面作動シリンダ6の伸縮量を制御することにより、容易にビット4の地面13への押付力を地面の状態に適合した大きさに調整することができる。
【0028】
また、かかる実施例によれば、車内(前記キャビン22)からの操作によって粗面作動シリンダ6の伸縮量を制御することにより、前記支持部材9を介して前記弾性体10及びビット4を上下に揺動させることができる。
これにより、粗面整正作業中にビット4の地面13への押付力(面圧)を地面の状態に適合した大きさに容易に調整でき、押付力の微調整も容易にできる。
また、図8に示されるように、前記粗面整正装置100がブレード1の背部に取り付けられ、前記キャビン22内のオペレータの視界Z内に入っているため、オペレータは作業結果を確認しつつ粗面整正作業を行うことができる。
従って,図10に示される従来技術のように、前記押付力を調整する毎に車両の運転を停止して前記ウェイトの着脱を行う必要がなくなり、粗面整正作業の作業能率が向上する。
【0029】
さらにかかる実施例によれば、ブレード1に回動可能に支持した支持部材9に、上下方向に弾性変形可能な弾性体10を片持ばり状に支持して該弾性体の自由端部にビットを着脱自在に取り付けるように構成されているので、特開平7−317036号のように、ビットを支持し作動させるばね部分が2段になっているものに比べて構造が簡単化され,部品点数も低減される
尚、かかる実施例において、前記弾性体10は、ポリウレタン材に限らず,布入り積層ゴム材、あるいは板ばね状金属板にて構成してもよい。
【0030】
図10,11に示される第2実施例においては、一端を前記支持部材9に固定されたワイヤ21を、車両の幅方向に複数個設けられている前記ビット4と前記弾性体10とを固定するための支持具022の夫々にこれらを束ねる形で繋ぎ、さらに該ワイヤ21の他端を前記支持部材9に固定している。
かかる実施例によれば、粗面整正作業中に過大な衝撃がビット4側に作用した場合等において、前記弾性体10が破断された場合には、先端部にある前記ビット4側部材がワイヤ21により支持部材9側に繋がれているため、該ビット4側部材が地上に放置され、後続車の安全走行の障害になったり、後続粗面整正車両の整正装置を破損させるような事故の発生を防止できる。
尚、前記ワイヤ21に代えて、ロープ、鎖、紐等を用いてもよい。
その他の構成は前記第1実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0031】
図6,7は、前記ビットを弾性体10に取り付ける際の取付態様を示す。
図6(A)においては、弾性体10先端の穴内にビット4を挿入し、ボルト04で固定している。
図6(B)においては、ビットを3部材とし、そのうちの1つ4Aを弾性体10の下面にボルト4fにより固定し、他の2個4b,4cをその側面にボルトで固定している。
図6(C)においては、ビット4を途中で折り曲げ、根元部をボルト4gにより弾性体10の下面に固定している。前記ビット4dは幅が均一のもの、ビット4eは幅が先細のものを示す。
図6(D)においては、ビット4をその途中で捻った形状とし、ボルト10Aで弾性体10に固定している。
【0032】
図7(A)においては、先細状のビット4を弾性体10の長手方向と直角方向に曲げ、該弾性体10の下面にボルト10aで固定している。
図7(B)においては、ビットを4個のピースで構成し、上部のピース4iを弾性体10の下面にボルト4tで締め付け、下部のピース4kを2つのピース4mで挟むとともに上部のピース4i内に挿入し、ボルト4nで一体に締め付けている。
図7(C)においては、弾性体10の端部に溝10bを刻設し、該溝10b内に板状のビット4を挿入してボルト10aで締め付けている。
図7(D)においては、ビット4を丸棒を曲げて形成し、ピース4pを下側から当ててボルト10aで固定している。
【0033】
【発明の効果】
以上記載の如く本発明によれば、ブレードに回動可能に支持した支持部材に、上下方向に弾性変形可能な弾性体を片持ばり状に支持して該弾性体の自由端部にビットを着脱自在に取り付けるように構成されているので、ビットを支持し作動させるばね部分が2段になっているもの等の従来技術に比べて構造が簡単化され,部品点数も低減され、低コストの粗面整正装置が得られる。
【0034】
また、車内からの操作によって整正部材駆動装置を制御することにより、弾性体及びビットを上下に揺動させることができ、これにより、従来技術のように押付力を調整する毎に車両の運転を停止してウェイトの着脱を行う必要がなくなり、粗面整正作業中にビットの地面への押付力を地面の状態に適合した大きさに容易に調整でき、押付力の微調整も容易にできる。
また、単一の片持ばり状に取り付けられた弾性体は、これの撓みと地面への押付力とは比例関係にあるため,前記整正部材駆動装置を制御することにより、容易にビットの地面への押付力を地面の状態に適合した大きさに調整することができる。
これにより、従来技術に比べて押付力の制御が簡単化され、地面状態の変化に迅速に追従した押付力を常時与えることができるとともに、粗面整正作業の作業能率が向上する。
【0035】
また、地面上の障害物等にビットが乗り上げて弾性体に捩じり力や曲げ力が作用した場合においては、本発明に係る弾性体は弾性変形域を広く取れるため、車両の幅方向への逃げが十分に形成でき、車両幅方向や捩れ方向に無理な力が掛かることがあっても、塑性変形を起こすことがなく、かかる力による破損の発生を防止できる。
【0036】
また、請求項2のように構成すれば、弾性体を弾性変形域が広く塑性変形し難いポリウレタン材にて構成しているため、凹凸量の大きい地面であっても、該弾性体は、地面の上下変化に塑性変形を起こすことなく追従できて破損の発生をみることはない。さらに、前記のように、該弾性体は塑性変形し難いため、ブレード及び支持部材の移動量を大きく採れ、凹凸の大きい地面の整正も容易にできる。
【0037】
さらに、請求項5のように構成すれば、粗面整正作業中に過大な衝撃がビット側に作用し弾性体が破断された場合には、先端部にあるビット側部材がワイヤ等の線材により支持部材側に繋がれているため、該ビット側部材が路上に放置され、後続車の安全走行の障害になったり、後続粗面整正車両の整正装置を破損させるような事故の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るモータグレーダのブレード及び粗面整正装置の要部側面図で粗面整正作業時を示す。
【図2】 前記第1実施例における粗面整正装置の要部側面図で粗面整正作業休止時を示す。
【図3】 図1のA矢視図図1のBーB矢視図である。
【図4】 粗面整正作業状態を示す要部側面図である。
【図5】 粗面整正作業状態を示す要部正面図である。
【図6】 弾性体とビットとの組立態様を示す外観略図(その1)である。
【図7】 弾性体とビットとの組立態様を示す外観略図(その2)である。
【図8】 粗面整正作業の平面説明図である。
【図9】 弾性体の特性線図である。
【図10】 第2実施例を示す図1対応図である。
【図11】 第2実施例を示す要部平面図である。
【図12】 本発明が適用されるモータグレーダの後方斜視図である。
【図13】 従来技術を示す図1対応図である。
【符号の説明】
1 ブレード
2、3 ブラケット
4 ビット
5 車体フレーム
6 粗面作動シリンダ
7 ブレード回転軸
8 ヒンジ
9 支持部材
10 弾性体
010 支持具
11 ボルト
21 ワイヤ
021 車輪
22 キャビン
100 粗面整正装置

Claims (5)

  1. ブレードを含む車体に支持部材を介して支持されたビットを該車体の幅方向に複数個配設し、該ビットにより粗面を掘削、整正するように構成された粗面整正装置において、前記支持部材を前記車体に回動可能に支持し、上下方向に弾性変形可能な複数の弾性体をその根元部を固定端として、前記支持部材に片持ばり状に支持するとともに、該弾性体の自由端部に前記複数のビットを夫々着脱自在に取り付け、前記車体に取り付けられて前記支持部材を介して前記弾性体及びビットを上下方向に移動させる整正部材駆動装置を設け、
    前記支持部材の一端側を前記車体の支持部廻りに回動可能に支持するとともに該支持部材の他端側に前記複数の弾性体の根元部を取り付け、前記整正部材駆動装置を流体圧シリンダで構成してこれの出力端に前記支持部材あるいは弾性体の根元部を連結して、前記流体圧シリンダを伸縮することにより前記弾性体及びビットの上下方向位置を変化させるように構成されてなることを特徴とする粗面整正装置。
  2. ブレードを含む車体に支持部材を介して支持されたビットを該車体の幅方向に複数個配設し、該ビットにより粗面を掘削、整正するように構成された粗面整正装置において、前記支持部材を前記車体に回動可能に支持し、上下方向に弾性変形可能な複数の弾性体をその根元部を固定端として、前記支持部材に片持ばり状に支持するとともに、該弾性体の自由端部に前記複数のビットを夫々着脱自在に取り付け、前記車体に取り付けられて前記支持部材を介して前記弾性体及びビットを上下方向に移動させる整正部材駆動装置を設け、
    前記支持部材あるいはブレードに一端側を固定されたワイヤ等の線材の他端側を前記複数の弾性体の端部及びビットに連結したことを特徴とする粗面整正装置。
  3. ブレードを含む車体に支持部材を介して支持されたビットを該車体の幅方向に複数個配設し、該ビットにより粗面を掘削、整正するように構成された粗面整正装置において、前記支持部材を前記車体に回動可能に支持し、上下方向に弾性変形可能な複数の弾性体をその根元部を固定端として、前記支持部材に片持ばり状に支持するとともに、該弾性体の自由端部に前記複数のビットを夫々着脱自在に取り付け、前記車体に取り付けられて前記支持部材を介して前記弾性体及びビットを上下方向に移動させる整正部材駆動装置を設け、
    前記支持部材が前記ブレードに回動可能に支持されてなる粗面整正装置。
  4. 前記弾性体は、ポリウレタン材にて構成されてなることを特徴とする請求項1、2若しくは3記載の粗面整正装置。
  5. 前記弾性体は、布入り積層ゴム材にて構成されてなることを特徴とする請求項1、2若しくは3記載の粗面整正装置。
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