JP3706287B2 - 電動工具におけるフックの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動工具におけるフックの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動工具には作業者のベルト等に電動工具を掛止するためのフックが取り付けられる場合がある。特開平10−15852号公報は電動工具におけるフックの取付構造について開示する。このフックの取付構造は、電動工具本体に係入孔を形成し、この係入孔にフックを弾性変形させてフックの係入部を挿入し、フックの先端に形成した折曲部を係入孔に係止するようになっている。フックの折曲部が係入孔に引っ掛かることから電動工具本体からのフックの抜け止めがなされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−15852号公報のフックは弾性変形させることによりフック係入部を電動工具本体に取り付けているので、他の物体がフックに当たったりした場合にフック係入部が変形し電動工具本体から外れるおそれがある。また、押圧部のかかりが少ないこと、押圧部が変形しやすいこと等から、フックが電動工具本体から外れやすく、フックと電動工具との間にガタツキが発生しやすい。
【0004】
したがって、本発明は電動工具本体に簡易に着脱することができ、且つ電動工具本体から容易に外れることがないフックの取付構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電動工具本体に形成された一対の係入孔(8,9)に対してフック(5)に形成された線材で出来た一対の係入部(6,7)をそれぞれ係入し、且つフック固定具(13)を係入部(6,7)に係合させてフック(5)を固定する電動工具におけるフックの取付構造において、一対の係入部(6,7)の先端に折曲部(6a,7a)が形成され、一方の係入孔(8)が一方の係入部(6)の挿入方向に間隔を置いて配置される第一と第二の孔(8a,8b)からなり、第一の孔(8a)が一方の折曲部(6a)を挿入しうる長孔として形成され、第二の孔(8b)がこの折曲部(6a)の係合しうる切欠として形成され、他方の係入孔(9)が他方の係入部(7)の嵌り込む溝として形成され、フック固定具(13)が他方の係入部(7)の折曲部(7a)に係合可能に設けられており、一方の折曲部(6a)を第一の孔(8a)から電動工具本体内に挿入した後に一方の係入部(6)を軸にしてフック(5)を捻ると、一方の係入部(6)の折曲部(6a)が第二の孔(8b)に係合すると共に、他方の係入部(7)が他方の係入孔(9)に嵌り込み、フック固定具(13)がこの他方の係入部(7)の折曲部(7a)に係合することによりフック(5)が電動工具本体に固定されるようにした電動工具におけるフックの取付構造を採用する。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、上記フック固定具(13)を複数箇所に設けた請求項1に記載の電動工具におけるフックの取付構造を採用する。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、係入部(7)を固定するフック固定具(13)に係入穴(17)を形成し、この係入穴(17)にフック(5)の係入部(7)に形成した折曲部(7a)を係入し、フック(5)を固定する請求項1又は請求項2に記載の電動工具におけるフックの取付構造を採用する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<実施の形態1>
電動工具本体は図1に示すようなハウジングを有する。このハウジングは図1の紙面と平行に延びる面で二つ割りされた二つ割片が重ね合わされることにより形成されている。図1に示すように、組み立てられたハウジングは刃物等を取り付けるための駆動部1、手で持つためのハンドル部2等を有する。ハンドル部2を手で握りハンドル部2上のトリガー3を引くことにより駆動部1内のモータ(図示せず)を起動し刃物等を回転させることができる。ハウジングの下端であるハンドル部2の下端にはモータに電力を供給するための箱型のバッテリ4が着脱自在に取り付けられている。なお、図示例の電動工具はインパクトドライバであるが、他の種類の電動工具、或いはバッテリ4を使用しない電動工具にも本発明は適用可能である。
【0009】
ハンドル部2の下端にはこの電動工具本体を作業者のベルト等に掛けるためのフック5が着脱自在に取り付けられている。もちろんフック5の取付個所はハンドル部2に限るものではなく、駆動部1のハウジング壁等の他の個所であってもよい。フック5は例えば円形断面の金属製の線材を略W型に屈曲成形してなるもので、両端部が電動工具本体に連結され、舌状の中央部5aが作業者のベルト等へ差し込まれるようになっている。
【0010】
フック5は図2乃至図6に示すような取付構造により電動工具本体に取り付けられている。ただし、図2はフック5を電動工具本体の右側に配置した状態で示し、図3は左側に配置した状態で示している。
【0011】
図2及び図3に示すように、W字形のフック本体はハンドル部2及びバッテリ4の外壁に沿うように上下方向に配置され、フック本体の両端からは係入部6,7がフック本体に対して直角に折れ曲がりハンドル部2の方へ突出している。係入部6,7は望ましくはフック本体を構成する線材の延長部で形成される。係入部6,7はハンドル部2内に入り込んでおり、その先端には下方へと直角に折れ曲がる折曲部6a,7aが形成されている。一方、ハンドル部2のハウジング外壁には各係入部6,7が挿入される係入孔8,9が左右方向すなわちハウジングの二つ割り片間を横切る方向に開口している。一方の係入孔8はハウジング外壁に穿設された第一の孔8aとハウジング内部に形成された第二の孔8bとで構成される。第一の孔8aは折曲部6aを挿入することができるように横長の長孔に形成される。この長孔は前後方向に伸びている。第二の孔8bは、ハウジング内に前後方向及び左右方向に延びるように形成されたリブ10にU字形の切欠として形成される。フック5を図2中二点鎖線に示すように傾けて一方の係入部6の折曲部6aを第一の孔8aからハウジング内に挿入し、折曲部6aが第二の孔8bに到達したときにフック5を図2中二点鎖線の位置から実線の位置に回転させるようにすると、折曲部6aが第二の孔8bに係合する。これにより、フック5はハウジングから抜け出なくなる。他方の係入孔9はハウジングを構成する二つ割り片を連結ネジ11で連結するためのボス12に形成される。この他方の係入孔9はハウジングの下方すなわちバッテリ4側に向かって開いたU字溝として形成される。上述したように一方の係入部6を支点にしてフック5を図2中二点鎖線の位置から実線の位置に回転させると、他方の係入部7が自動的にこの他方の係入孔9に嵌り込む。
【0012】
この係入孔8,9と係合したフック5は、係入孔8,9に係入された係入部6,7に図3乃至図6に示すフック固定具13を係合させることで電動工具本体に固定される。
【0013】
フック固定具13は、上記ボス12の二つ割り面間に形成される空隙内に挿入され、二つ割り面を跨ぐように設けられた軸部14に回動可能に支持されている。フック固定具13は軸部14を支点にして図5中実線位置と二点鎖線位置との間を回動することでフック5の係入部7に係脱可能であり、係入部7に嵌り込む凹溝13aと、係脱操作の際指を掛けるための摘み片13bとを具備している。摘み片13bに指を掛けてフック固定具13を係入部7の方に倒すようにすると係入部7と凹溝13aとが図6に示すように係合し、係入部7の折曲部7aがフック固定具13に引っ掛かるので、フック5はハウジング外に抜け出なくなる。逆にフック固定具13を係入部7から引き離すように回転させると係入部7から凹溝13aが離反し、係入部7がフック固定具13から解放されるので、フック5はハウジング外に抜け出し可能になる。
【0014】
また、図4及び図5に示すようにフック固定具13と係入部7との係合状態はロック手段により保持される。このロック手段はフック固定具13の側面に形成された凹部15と、この凹部15に嵌り込むハウジング側に形成された凸部16とで構成される。フック固定具13が係入部7と係合すると同時に凹部15内に凸部16が嵌り込むので、フック固定具13は係入部7との係合位置に保持される。この凹凸部15,16はフック固定具13とハウジングとの間で入れ換えてもよい。フック固定具13と係入部7との係合状態は上記バッテリ4によっても保持される。すなわち、バッテリ4はハンドル部2の下端に図示しない連結手段により連結され、フック固定具13はこのバッテリ4により図5中二点鎖線の方への回動を阻止される。
【0015】
上記係入孔8,9、フック固定具13等は、図3に示すようにハウジングの二つ割面を中心に左右対称に配置され、且つ形成されている。このためフック5の係入部6,7を差し込む向きを変えることによりハウジングの左右いずれの側面にも装着することができる。もちろん係入孔8,9をハウジングの前後面に形成することでフック5を電動工具の前部又は後部に取り付けることもできる。
【0016】
次に、上記構成のフックの取付構造の作用について説明する。
【0017】
フック5を電動工具本体に装着するには、フック本体を図2中二点鎖線で示すように傾けた状態でハウジングの左右いずれかの側面に向け、一方の係入部6の折曲部6aを係入孔8の第一の孔8aからハウジング内に挿入する。
【0018】
折曲部6aが係入孔8の第二の孔8bに到達した時点でフック5を図2中二点鎖線の位置から実線の位置へと回転させると、係入部6の折曲部6aが第二の孔8bの縁に引っ掛かる。これによりフック5は係入孔8からの抜け出しを阻止される。なお、このフック5の回転に先立ちフック固定具13を図5中二点鎖線で示す位置へと回しておく。
【0019】
上記のようにフック5が回転させられると他方の係入部7がハウジング側の他方の係入孔9に入り込む。そこでフック固定具13を図5中二点鎖線の位置から実線の位置へと回転させて係入部7を係入孔9内に固定する。フック固定具13を係入部7の方に回転させると、フック固定具13の凹溝13a内に係入部7が嵌り込み、係入部7の折曲部7aがフック固定具13に引っ掛かる。これによりフック5は係入孔9からの抜け出しを阻止される。
【0020】
また、フック固定具13は逆向きに回転しないよう凹凸部15,16の嵌合を介してハウジングに固定される。また、ハウジング下端に装着されたバッテリ4によりハウジング側に押し付けられる。これによりフック固定具13は係入部7との係合状態を維持する。
【0021】
このようにして電動工具本体に取り付けられたフック5の中央部5aを作業者のベルト等へ差し込むことにより、電動工具を作業者の腰や保管棚等に吊るすことができる。また、フック5を作業者の腰等に引っ掛けた場合等において外力がフック5に作用しても、フック5の係入部6,7はそれらの折曲部6a,7aと係入孔8,9又はフック固定具13との係合によりハウジング外への抜け出しを阻止される。
【0022】
フック5を電動工具本体から取り外す場合は、バッテリ4をハウジングから除去し、フック固定具13を係入部7から離脱させた上で、フック5を図2中実線位置から二点鎖線位置へと回し、ハウジング外に引き抜くようにすればよい。
<実施の形態2>
この実施の形態2に係るフックの取付構造は、図7乃至図10に示すように実施の形態1におけるフックの取付構造と略同様な構造を有するが、図8及び図9に示すようにフック固定具13が複数箇所に設けられている。すなわち、他方の係入部7に加え一方の係入部6に対してもフック固定具13が設けられている。この他方のフック固定具13はリブ10の下面に軸部14を介して回転可能に支持されている。軸部14はリブ10と一体成形することができる。
【0023】
このフックの取付構造においてはフック5の双方の係入部6,7がフック固定具13で固定されるで、フック5を図7中実線で示される姿勢のまま回転させることなくハウジングに取り付けることもできる。
<実施の形態3>
この実施の形態3に係るフックの取付構造は、図11乃至図14に示すように実施の形態1における取付構造と略同様な構造を有するが、図12乃至図14に示すようにフック固定具13に係入穴17を形成し、この係入穴17にフック5の係入部7に形成した折曲部7aを係入するようになっている。このようにハウジングのU字溝状の係入孔9に嵌めた係入部7の折曲部7aをフック固定具13の係入穴17に差し込むようにするので、ハウジングの左右方向におけるフック5のガタツキを解消することができる。
【0024】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、電動工具本体に対するフックの着脱を簡易に行うことができるのはもちろんのこと、フックの係入部をフック固定具で固定するため外部から衝撃が加わってもフックが電動工具本体から外れなくなる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、係入部を固定するフック固定具が複数箇所に設けられるので、フックを電動工具本体により確実に固定することができる。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、フックの折曲部をフック固定具の係入穴で固定するのでフックのガタツキを防止しフックを電動工具本体に確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るフックの取付構造を備えた電動工具の立面図である。
【図2】図1に示したフックの取付構造の拡大立面図である。
【図3】図2に示した個所の部分切欠底面図である。
【図4】図3中左部分の拡大図である。
【図5】図3中V−V線矢視図である。
【図6】図3中VI−VI線矢視図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るフックの取付構造を示す立面図である。
【図8】図7に示した個所の部分切欠底面図である。
【図9】図8中IX−IX線矢視図である。
【図10】図8中X−X線矢視図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係るフックの取付構造を示す立面図である。
【図12】図11に示した個所の部分切欠底面図である。
【図13】図11中XIII−XIII線矢視図である。
【図14】図11中XIV−XIV線矢視図である。
【符号の説明】
5…フック
6,7…係入部
7a…折曲部
8,9…係入孔
13…フック固定具
17…係入穴

Claims (3)

  1. 電動工具本体に形成された一対の係入孔に対してフックに形成された線材で出来た一対の係入部をそれぞれ係入し、且つフック固定具を係入部に係合させてフックを固定する電動工具におけるフックの取付構造において、一対の係入部の先端に折曲部が形成され、一方の係入孔が一方の係入部の挿入方向に間隔を置いて配置される第一と第二の孔からなり、第一の孔が一方の折曲部を挿入しうる長孔として形成され、第二の孔がこの折曲部の係合しうる切欠として形成され、他方の係入孔が他方の係入部の嵌り込む溝として形成され、フック固定具が他方の係入部の折曲部に係合可能に設けられており、一方の折曲部を第一の孔から電動工具本体内に挿入した後に一方の係入部を軸にしてフックを捻ると、一方の係入部の折曲部が第二の孔に係合すると共に、他方の係入部が他方の係入孔に嵌り込み、フック固定具がこの他方の係入部の折曲部に係合することによりフックが電動工具本体に固定されるようにしたことを特徴とする電動工具におけるフックの取付構造。
  2. 上記フック固定具を複数箇所に設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具におけるフックの取付構造。
  3. 係入部を固定するフック固定具に係入穴を形成し、この係入穴にフックの係入部に形成した折曲部を係入し、フックを固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動工具におけるフックの取付構造。
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