JP3705702B2 - 磁気デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気トンネリング効果あるいは巨大磁気抵抗効果を利用した磁気デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
巨大磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果型センサの例が、文献1「特開平6−111252」や文献2「特開平5−114761」に開示されている。文献1に開示の磁気抵抗効果型センサの構造では、反強磁性体層、第1強磁性体層、非磁性体層および第2強磁性体層が順次に積層する。反強磁性体層は、交換バイアス磁界を発生させて第1強磁性体層の磁化を固定するものである。文献2に開示の磁気抵抗効果型センサでは、第1強磁性体層、非磁性体層および第2強磁性体層が順次に積層する。第1強磁性体層の保磁力を、第2強磁性体層の保磁力に比べて大きくしてあるため、反強磁性体層が不要である。
【0003】
これら磁気抵抗効果型センサでは、第1強磁性体層の磁化の向きが固定されており、第2強磁性体層の磁化が外部の磁界に応じて自在に向きを変える。この場合、両者の磁化のなす角度に応じて、これら各層中の伝導電子のスピン散乱の割合が変化する。従って、磁気抵抗効果型センサの電気抵抗値は外部から加えられる磁界に応答して変化する。
【0004】
このように、磁気抵抗効果型センサを用いると、外部磁化の変化を電気抵抗値の変化として検出することができる。通常の磁気抵抗効果型センサの検出感度は、第2強磁性体層の磁気特性によって決定される。一般に、第2強磁性体層としては軟磁気特性の優れた材料が用いられる。
【0005】
また、磁界の印加に伴って抵抗が変化する現象としては、巨大磁気抵抗効果の他にも磁気トンネリング効果が知られており(文献3「日本応用磁気学会誌 19,p369,1995」参照)、磁気センサへの応用が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、巨大磁気抵抗効果および磁気トンネリング効果を利用した磁気デバイスとしては、受動的デバイスである磁気センサへの応用が一般的である。しかしながら、制御機能を有する能動的デバイスに関する応用については、これまでに例が無い。
【0007】
従って、この発明では、巨大磁気抵抗効果および磁気トンネリング効果を利用して、従来に無い新しい能動的デバイスを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明の磁気デバイスによれば、磁気トンネル効果素子を用いた磁気デバイスであって、この磁気トンネル効果素子は、絶縁体層によって分離された第1および第2強磁性体層を含み、この第1強磁性体層の磁化が1つの方向に固定され、第2強磁性体層の磁化の方向が印加される磁界に応じて変化可能であり、これら第1および第2強磁性体層の各磁化方向の相対的な角度に応じて、これら第1および第2強磁性体層間が異なる抵抗を示すものであり、絶縁体層中に非磁性金属層が挿入されており、この非磁性金属層を流れる電気信号により、第2強磁性体層中において第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向の磁界を発生させ、第1および第2強磁性体層間の電圧あるいは電流を制御することを特徴とする。
【0009】
このように、非磁性金属層に流れる電気信号が磁界を発生させ、その磁界により第2強磁性体層の磁化が制御される。第1強磁性体層の磁化は固定されているので、電気信号に応じて第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が変化する。従って、この磁気デバイスによれば、第1および第2強磁性体層間の電圧あるいは電流を制御することができる。
【0011】
また、第2強磁性体層の磁化容易軸に沿って磁界が印加されるので、第2強磁性体層の磁化が、第1強磁性体層の磁化と同じ向きの状態と、第1強磁性体層の磁化と逆向きの状態とで、切り替わるように構成できる。すなわち、電気信号の高低あるいは電流の向きに応じて、低抵抗状態と高抵抗状態とを示す磁気デバイスが得られる。
【0012】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、磁気トンネル効果素子は、交換バイアス磁界によって、第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むと良い。
【0013】
このように、反強磁性体層の交換バイアス磁界を利用して、第1強磁性体層の磁化を固定するのが好適である。
【0014】
あるいは、また、第1強磁性体層の保磁力が、第2強磁性体層の保磁力よりも大きくなるように構成すると良い。
【0015】
このように構成するので、印加する磁界の大きさが適当であれば、第1強磁性体層の磁化は固定した状態で、第2強磁性体層の磁化だけを変化させることができる。この構成によれば、反強磁性体層が不要であるから構造が簡略化される。
【0016】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、磁気トンネル効果素子にバイアス電流層を設けてあり、このバイアス電流層に交流電流を印加するための交流電源を具え、この交流電流により発生する、前記第1強磁性体層の磁化と同方向または反対方向のバイアス磁界が第2強磁性体層に印加されるように構成すると良い。
【0017】
このように、バイアス磁界が第2強磁性体層に印加されるので、非磁性体層に流れる電気信号が微弱な場合であっても、電圧制御が可能である。
【0018】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、バイアス磁界は、第2強磁性体層中において当該第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向となり、かつ、バイアス磁界の大きさが、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する印加磁界Hrよりも小さく、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する印加磁界−Hfよりも大きいことが良い。
【0019】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、磁気トンネル効果素子は、交換バイアス磁界によって、第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むと良い。
【0020】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、磁気トンネル効果素子は、交換バイアス磁界によって、第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する絶縁性の反強磁性体層を含むと良い。
【0021】
このように構成してあるので、絶縁性の反強磁性体層上にバイアス電流層を設けることができ、素子構成が簡略化される。
【0022】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、第1強磁性体層の保磁力が、第2強磁性体層の保磁力よりも大きいと良い。
【0023】
次に、この発明の磁気デバイスによれば、巨大磁気抵抗効果素子を用いた磁気デバイスであって、この巨大磁気抵抗効果素子は、非磁性金属層によって分離された第1および第2強磁性体層を含み、第1強磁性体層の磁化が1つの方向に固定され、第2強磁性体層の磁化の方向が印加される磁界に応じて変化可能であり、これら第1および第2強磁性体層の各磁化方向の相対的な角度に応じて異なる抵抗値を示すものであり、非磁性金属層が、巨大磁気抵抗効果素子を構成する他の層に比較して抵抗値が低い材料で構成されており、この非磁性金属層に入力される電気信号により、第2強磁性体層中において第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向の磁界を発生させ、第1および第2強磁性体層の間に、電気信号とは別に印加される、前記第2強磁性体層の前記磁化容易軸に沿った方向の電流あるいは電圧を制御することを特徴とする。
【0024】
このように、非磁性金属層に設けられた電極を介して入力される電気信号が磁界を発生させ、その磁界により第2強磁性体層の磁化が制御される。第1強磁性体層の磁化は固定されているので、電気信号に応じて巨大磁気抵抗効果素子の電気抵抗が変化する。従って、この磁気デバイスによれば、第1および第2強磁性体層の間に印加される、第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向の電圧あるいは電流を制御することができる。
【0026】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、巨大磁気抵抗効果素子は、交換バイアス磁界によって、第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むと良い。
【0027】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、第1強磁性体層の保磁力が、第2強磁性体層の保磁力よりも大きいと良い。
【0028】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、巨大磁気抵抗効果素子にバイアス電流層を設けてあり、このバイアス電流層に交流電流を印加するための交流電源を具え、交流電流により発生する、第1強磁性体層の磁化と同方向または反対方向バイアス磁界が第2強磁性体層に印加されると良い。
【0029】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、バイアス磁界は、第2強磁性体層中において当該第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向となり、かつ、バイアス磁界の大きさが、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する印加磁界Hrよりも小さく、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する印加磁界−Hfよりも大きいことが良い。
【0030】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、巨大磁気抵抗効果素子は、交換バイアス磁界によって、第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むと良い。
【0031】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、巨大磁気抵抗効果素子は、交換バイアス磁界によって、第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する絶縁性の反強磁性体層を含むと良い。
【0032】
また、この発明の磁気デバイスにおいて、好ましくは、第1強磁性体層の保磁力が、第2強磁性体層の保磁力よりも大きいと良い。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。尚、図は、この発明の構成および配置関係が理解できる程度に概略的に示されているに過ぎない。また、以下に記載される数値等の条件や材料は単なる一例に過ぎない。従って、この発明は、この実施の形態に何ら限定されることがない。
【0034】
第1から第5の実施の形態では、磁気トンネル効果素子を用いた電圧制御デバイスを例にして実施の形態の磁気デバイスの説明を行う。
【0035】
〔第1の実施の形態〕
図1は、電圧制御デバイスの第1構成を示す図である。図1(B)は、電圧制御デバイスの平面構成を示す図であり、図1(A)は、図1(B)のI−I線の位置で切った切り口の断面を示す図である。
【0036】
この実施の形態の電圧制御デバイスには、磁気トンネル効果素子(以下、TMR素子と略称する。)10が用いられている。このTMR素子10は、絶縁体層12によって分離された第1強磁性体層14および第2強磁性体層16を含む構造を有している。
【0037】
また、第1強磁性体層14と接触するように反強磁性体層20が設けられている。この反強磁性体層20で発生する交換バイアス磁界により交換結合が生じて、第1強磁性体層14の磁化が1つの方向に固定される。一方、第2強磁性体層16の磁化の方向は外部から印加される磁界に応じて変化可能である。磁気トンネリング効果により、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の電気抵抗は、これら第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の各磁化方向の相対的な角度に応じて異なる。従って、第2強磁性体層16の磁化により、上述の電気抵抗を制御することが可能である。
【0038】
この実施の形態例の特徴的構成の一つは、絶縁体層12中に非磁性金属層18が挿入されている点にある。非磁性金属層18は、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の双方に接触しないように、これらの間に設けられる。図1(A)に示す断面構成では、非磁性金属層18を挿入したために、絶縁体層12が2つの絶縁体層12aおよび12bに分離されている。図1(A)に示すように、TMR素子10は、反強磁性体層20、第1強磁性体層14、絶縁体層12a、非磁性金属層18、絶縁体層12bおよび第2強磁性体層16がこの順序で積層した構成を具えている。
【0039】
この例では、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16は共にNi35Fe20Co45層(以下、NiFeCo層と略称する。)である。また、絶縁体層12aおよび12bはAl2 O3 層である。非磁性金属層18はCu層であり、反強磁性体層20はNiO層である。これらNiFeCo層、Al2 O3 層、Cu層、NiO層はスパッタ法により形成する。各層の厚さは、例えば、NiFeCo層14が2.0nm、NiFeCo層16が10.0nm、Al2 O3 層12aおよび12bがそれぞれ0.5nm、Cu層18が10.0nm、NiO層20が27.0nmである。各層の堆積を行った後、フォトリソグラフィ法による微細加工を行い、各層の平面形状が1μm×0.5μmの長方形形状となるように整形する(図1(B))。このとき、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の磁化容易軸の方向が長辺方向(長さ1μmの辺が延在する方向であり、図中のa方向に相当する。)と一致するように、微細加工を行っている。
【0040】
図2は、TMR素子10の磁気トンネリング特性を示すグラフである。グラフの横軸は、TMR素子10に印加される磁界の強度である。磁界はエルステッド(Oe)単位で表し、−40Oeから40Oeの範囲を10Oeごとに目盛って示してある。尚、磁界の正負は、第1強磁性体層14の磁化の向きを基準にして定めてある。
【0041】
また、グラフの縦軸は、TMR素子10の電気抵抗値の増加率を示す。この増加率を%表示で示し、0.0%〜2.5%の範囲を0.5%ごとに目盛って示してある。この電気抵抗値は、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16との間の電気抵抗値に相当する。抵抗の増加率は、第1強磁性体層14の磁化の向きと第2強磁性体層16の磁化の向きとが同じときを基準すなわち0%としてある。このときのTMR素子10の抵抗値は、約50Ωであった。
【0042】
図2に示す測定結果は、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16との間に電圧を印加して得たものである。各測定データはグラフ中に白丸記号で示してある。測定の開始前に予め−500Oe以下の磁界を印加することにより、第1強磁性体層14の磁化の向きを固定する。そして、−40Oeから40Oeの範囲の低磁界を印加しながら、電気抵抗を測定する。
【0043】
図2に示すように、TMR素子10の磁気トンネリング特性はヒステリシス特性を示す。電気抵抗は、20Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、低抵抗状態(0.2%程度)から高抵抗状態(2.1%程度)へと変化する。また、−10Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する。
【0044】
以上説明したように、TMR素子10は、印加される磁界に応じて電気抵抗が変化する。そして、このTMR素子10を利用した電圧制御デバイスによれば、非磁性金属層18を具えており、この非磁性金属層18に電気信号を入力して磁界を発生させ、第2強磁性体層16の磁化を制御する。上述したように、第2強磁性体層16の磁化方向に応じて、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が変化するため、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の電圧を制御することができる。
【0045】
このため、非磁性金属層18に電気信号を入力するための電極として、入力端子22およびグランド端子24が設けられている(図1)。これらの電極は、非磁性金属層18に入力する電流が短辺方向(長さ0.5μmの辺が延在する方向であり、図中のb方向に相当する。)に流れるように設けられる。この結果、非磁性金属層18を流れる電流により発生する磁界の方向は、第2強磁性体層16中においてその磁化容易軸に沿った方向(a方向)となる。従って、非磁性金属層18中に流れる電流の向きを変えれば、それに応じて、第2強磁性体層16の磁化の向きが反転するように構成される。
【0046】
また、TMR素子10には、抵抗26を介して定電圧電源28が接続されている。すなわち、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16との間に、抵抗26および定電圧電源28が例えば導線により接続されている。また、TMR素子10および抵抗26間の導線中に電極を設けてあり、出力端子30としてある。
【0047】
次に、電圧制御デバイスの動作につき、図3および図4を参照して説明する。図3は、動作時の磁化の様子を示す斜視図である。図4は、入出力信号の様子を示すグラフである。
【0048】
図3(A)には、TMR素子10が低抵抗状態の場合の磁化の様子が示されている。このとき、第1強磁性体層14の磁化32の向きと第2強磁性体層16の磁化34の向きとが一致している(この状態を平行状態と称する。)。非磁性金属層18に入力した電気信号36は、図中の左側から右側に向かって流れる。電流の流れる向きに対して時計回りの方向に磁界38が発生し、第2強磁性体層16の磁化34を第1強磁性体層14の磁化32と同じ向きに揃える。
【0049】
図3(B)には、TMR素子10が高抵抗状態の場合の磁化の様子が示されている。このとき、第1強磁性体層14の磁化32の向きと第2強磁性体層16の磁化34の向きとが逆転した関係になっている(この状態を反平行状態と称する。)。非磁性金属層18に入力した電気信号36は、図中の右側から左側に向かって流れる。電流の流れる向きに対して時計回りの方向に磁界38が発生し、第2強磁性体層16の磁化34を第1強磁性体層14の磁化32に対して逆の向きにする。
【0050】
図4の上側には、入力端子22に印加される入力電圧の様子(実線aで示す波形)が示されている。入力電圧は、第2強磁性体層16の磁化を制御可能な大きさのパルス波形を示す。この入力電圧の印加に対応した電流が、上述の電気信号として非磁性金属層18に入力される。入力電圧のパルス波形の正負は、TMR素子10が低抵抗状態となる場合(図3(A)の場合)を正とし、TMR素子10が高抵抗状態となる場合(図3(B)の場合)を負としてある。すなわち、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と同じ向きになる場合を正とし、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と逆の向きになる場合を負とする。
【0051】
図4の下側には、出力端子30から検出される出力電圧の様子(実線bで示す波形)が示されている。出力電圧は入力電圧の正負に応じて変化する。入力端子22に正の入力電圧が印加されると、TMR素子10は低抵抗状態となる。従って、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が低下して、出力電圧は低電圧状態(ロー状態)となる。一方、入力端子22に負の入力電圧が印加されると、TMR素子10は高抵抗状態となる。従って、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が増加して、出力電圧は高電圧状態(ハイ状態)となる。
【0052】
尚、定電圧電源28により第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間に流れる電流は、非磁性金属層18を流れる電流と直交する方向に流れる。従って、これらの電流により発生する磁界の方向も互いに直交した関係となり、この定電圧電源28により駆動される電流が電圧制御デバイスの動作に影響を与えることはない。
【0053】
以上説明したように、この実施の形態の電圧制御デバイスによれば、入力電気信号により電圧制御を行うことが可能である。上述した構成例では、±10mVの入力電圧に対して100mVの電圧制御を行うことができる。このように、比較的簡単な素子構成であるが、微小電気信号に応じて比較的大きな電圧の制御が可能である。
【0054】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態と重複する構成については説明を省略する場合がある。
【0055】
図5は、電圧制御デバイスの第2構成を示す図である。図5(B)は、電圧制御デバイスの平面構成を示す図であり、図5(A)は、図5(B)のI−I線の位置で切った切り口の断面を示す図である。
【0056】
この実施の形態の電圧制御デバイスには、磁気トンネル効果素子(以下、TMR素子と略称する。)10aが用いられる。TMR素子10aは、絶縁体層12によって分離された第1強磁性体層14および第2強磁性体層16を含む構造を有している。
【0057】
また、絶縁体層12中に非磁性金属層18が挿入されている。非磁性金属層18は、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の双方に接触しないように、これらの間に設けられる。図5(A)に示す断面構成では、非磁性金属層18を挿入したために、絶縁体層12が2つの絶縁体層12aおよび12bに分離されている。図5(A)に示すように、TMR素子10aは、第1強磁性体層14、絶縁体層12a、非磁性金属層18、絶縁体層12bおよび第2強磁性体層16がこの順序で積層した構成を具えている。
【0058】
また、第1強磁性体層14の保磁力を、第2強磁性体層16の保磁力よりも大きくしてある。この例では、第1強磁性体層14は、6.0nmの膜厚のCo層である。また、第2強磁性体層16は、10.0nmの膜厚のNi35Fe20Co45層である。このように、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16とを異なる材料で構成し、各々の保磁力が互いに異なるように設計してある。よって、第1強磁性体層14の磁化の向きは一方向に固定され、外部磁界に応じて第2強磁性体層16の磁化だけが自在に向きを変えるように構成することができる。
【0059】
また、絶縁体層12aおよび12bは、それぞれ0.5nmの膜厚のAl2 O3 層である。非磁性金属層18は、10.0nmの膜厚のCu層である。これらNiFeCo層、Co層、Al2 O3 層、Cu層はスパッタ法により形成する。第1の実施の形態と同様に、各層の堆積を行った後に、フォトリソグラフィ法による微細加工を行い、各層の平面形状が1μm×0.5μmの長方形形状となるように整形する(図5(B))。このとき、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の磁化容易軸の方向が長辺方向(長さ1μmの辺が延在する方向であり、図中のa方向に相当する。)と一致するように、微細加工を行っている。
【0060】
そして、非磁性金属層18に電気信号を入力するための電極として、入力端子22およびグランド端子24が設けられている(図5)。これらの電極は、非磁性金属層18に入力する電流が短辺方向(長さ0.5μmの辺が延在する方向であり、図中のb方向に相当する。)に流れるように設けられる。この結果、非磁性金属層18を流れる電流により発生する磁界の方向は、第2強磁性体層16中においてその磁化容易軸に沿った方向(a方向)となる。
【0061】
また、TMR素子10aには、抵抗26を介して定電圧電源28が接続されている。すなわち、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16との間に、抵抗26および定電圧電源28が例えば導線により接続されている。また、TMR素子10aおよび抵抗26間の導線中に電極を設けてあり、出力端子30としてある。
【0062】
図6は、TMR素子10aの磁気トンネリング特性を示すグラフである。グラフの横軸は、TMR素子10aに印加される磁界の強度である。磁界はエルステッド(Oe)単位で表し、−40Oeから40Oeの範囲を10Oeごとに目盛って示してある。尚、磁界の正負は、第1強磁性体層14の磁化の向きを基準にして定めてある。
【0063】
また、グラフの縦軸は、TMR素子10aの電気抵抗値の増加率を示す。この増加率を%表示で示し、0.0%〜3.5%の範囲を0.5%ごとに目盛って示してある。この電気抵抗値は、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16との間の電気抵抗値に相当する。抵抗の増加率は、第1強磁性体層14の磁化の向きと第2強磁性体層16の磁化の向きとが同じときを基準すなわち0%としてある。
【0064】
図6に示す測定結果は、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16との間に電圧を印加して得たものである。各測定データはグラフ中に白丸記号で示してある。測定の開始前に予め−500Oe以下の磁界を印加することにより、第1強磁性体層14の磁化の向きを固定する。そして、−40Oeから40Oeの範囲の低磁界を印加しながら、電気抵抗を測定する。
【0065】
図6に示すように、TMR素子10aの磁気トンネリング特性はヒステリシス特性を示す。電気抵抗は、20Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、低抵抗状態(0.2%程度)から高抵抗状態(3.2%程度)へと変化する。また、−10Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する。
【0066】
以上説明したように、TMR素子10aは、印加される磁界に応じて電気抵抗が変化する。そして、このTMR素子10aを利用した電圧制御デバイスによれば、非磁性金属層18を具えており、この非磁性金属層18に電気信号を入力して磁界を発生させ、第2強磁性体層16の磁化を制御する。上述したように、第2強磁性体層16の磁化方向に応じて、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が変化するため、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の電圧を制御することができる。
【0067】
この第2の実施の形態の電圧制御デバイスの動作は、第1の実施の形態の電圧制御デバイスの動作と同様であるから説明を省略する。上述したように、この構成例の場合には反強磁性体層が不要であるから、比較的作製が容易であるという利点がある。
【0068】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。この構成例の特徴は、第1の実施の形態で説明したTMR素子にバイアス電流層を設けた点にある。第1の実施の形態と重複する構成については説明を省略する場合がある。
【0069】
図7は、電圧制御デバイスの第3構成を示す図である。図7(A)は、電圧制御デバイスの構成を示す斜視図であり、図7(B)は、電圧制御デバイスの平面構成を示す平面図である。
【0070】
上述したように、この構成例では、バイアス電流層40をTMR素子10に設けてある。このバイアス電流層40は、交流電流(バイアス電流)を流すことにより、第2強磁性体層16の磁化の方向に沿って印加される交流磁界(バイアス磁界)を発生させるための膜体である。このバイアス電流層40は、絶縁体層42を介して第2強磁性体層16の上に堆積している。このバイアス電流層40には交流電源44が接続されており、これにより動作時にバイアス電流が流される。この実施の形態では、バイアス電流層40は、1.0μmの膜厚のCu層である。また、絶縁体層42は、1.0μmの膜厚のAl2 O3 層である。
【0071】
尚、TMR素子10の構成は、第1の実施の形態で説明した通りである。また、TMR素子10の磁気トンネリング特性は図2に示した通りである。その他の構成も図1に示すものと同様である。
【0072】
次に、電圧制御デバイスの動作につき、図8および図9を参照して説明する。図8は、磁気トンネリング特性とバイアス磁界との関係を示すグラフである。図9は、入出力信号およびバイアス電流の様子を示すグラフである。
【0073】
図8に示す磁気トンネリング特性aは、図2に示したものを概略化したものに相当する。グラフの横軸は、TMR素子10に印加される磁界の強度を表す。グラフの縦軸は、TMR素子10の電気抵抗値を表す。TMR素子10は、印加磁界がHrになると低抵抗Rlowの状態から高抵抗Rhighの状態へと変化し、印加磁界が−Hfになると高抵抗Rhighの状態から低抵抗Rlowの状態へと変化する。バイアス電流層40に流すバイアス電流の大きさは、これにより発生するバイアス磁界が−Hfよりも大きく、かつHrよりも小さい範囲の磁界となるように、設定される。従って、バイアス磁界だけで第2強磁性体層16の磁化が変化することはない。しかし、バイアス磁界の最大値がHrに近い値となるようにし、バイアス磁界の最小値が−Hfに近い値となるように、バイアス電流の値を定めるのが好適である。
【0074】
尚、高抵抗状態および低抵抗状態のそれぞれにおけるTMR素子10の磁化の様子は、図3に示した通りである。
【0075】
図9の上側には、入力端子22に印加される入力電圧の様子(実線aで示す波形)が示されている。入力電圧はパルス波形を示す。この入力電圧の印加に対応した電流が非磁性金属層18に入力される。入力電圧のパルス波形の正負は、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と同じ向きになる場合を正とし、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と逆の向きになる場合を負とする。
【0076】
図9の中間には、バイアス電流層40に流れるバイアス電流の様子(実線bで示す波形)が示されている。図示のように、バイアス電流は、一定の繰り返し周期で変動する交流電流である。尚、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが逆の向きのときのバイアス電流の符号を正とし、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが同じ向きのときのバイアス電流の符号を負と定める。
【0077】
図9の下側には、出力端子30から検出される出力電圧の様子(実線cで示す波形)が示されている。出力電圧は入力電圧およびバイアス電流の正負に応じて変化する。入力端子22に正の入力電圧が印加し、かつ、バイアス電流層40に正のバイアス電流が流れるとき、TMR素子10は低抵抗状態となる。従って、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が低下して、出力電圧が低電圧状態(ロー状態)となる。一方、入力端子22に負の入力電圧が印加し、かつ、バイアス電流層40に負のバイアス電流が流れるとき、TMR素子10は高抵抗状態となる。従って、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が増加して、出力電圧が高電圧状態(ハイ状態)となる。
【0078】
このように、バイアス磁界を印加することにより、微小な入力電気信号により比較的大きな電圧の制御を行うことが可能である。上述した構成例では、±1mVの入力電圧に対して100mVの電圧制御を行うことができる。
【0079】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。この構成例の特徴は、第2の実施の形態で説明したTMR素子にバイアス電流層を設けた点にある。第2の実施の形態と重複する構成については説明を省略する場合がある。
【0080】
図10は、電圧制御デバイスの第4構成を示す図である。図10(A)は、電圧制御デバイスの構成を示す斜視図であり、図10(B)は、電圧制御デバイスの平面構成を示す平面図である。
【0081】
上述したように、この構成例では、バイアス電流層40をTMR素子10aに設けてある。このバイアス電流層40は、交流電流(バイアス電流)を流すことにより、第2強磁性体層16の磁化の方向に沿って印加される交流磁界(バイアス磁界)を発生させるための膜体である。このバイアス電流層40は、絶縁体層42を介して第2強磁性体層16の上に堆積している。このバイアス電流層40には交流電源44が接続されており、これにより動作時にバイアス電流が流される。この実施の形態では、バイアス電流層40は、1.0μmの膜厚のCu層である。また、絶縁体層42は、1.0μmの膜厚のAl2 O3 層である。
【0082】
尚、TMR素子10aの構成は、第2の実施の形態で説明した通りである。また、TMR素子10aの磁気トンネリング特性は図6に示した通りである。その他の構成も図5に示すものと同様である。
【0083】
この第4の実施の形態の電圧制御デバイスの動作は、第3の実施の形態の電圧制御デバイスの動作と同様であるから説明を省略する。上述したように、この構成例の場合には反強磁性体層が不要であるから、比較的作製が容易であるという利点がある。しかも、バイアス磁界を印加することにより、微小な入力電気信号により比較的大きな電圧の制御を行うことが可能である。
【0084】
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態の構成は、第1の実施の形態で説明したTMR素子にバイアス電流層を設けたものである。図11は、電圧制御デバイスの第5構成を示す図である。図11(A)は、電圧制御デバイスの構成を示す斜視図であり、図11(B)は、電圧制御デバイスの平面構成を示す平面図である。
【0085】
第1の実施の形態で説明したように、TMR素子10は、絶縁体層12によって分離された第1強磁性体層14および第2強磁性体層16を含む構造を有している。また、第1強磁性体層14と接触するように反強磁性体層20が設けられている。そして、絶縁体層12中に非磁性金属層18が挿入されており、絶縁体層12が2つの絶縁体層12aおよび12bに分離されている。バイアス電流層40は、直接反強磁性体層20の上に堆積している。このバイアス電流層40には交流電源44が接続されており、バイアス電流の印加が可能である。図11(A)に示すように、第2強磁性体層16、絶縁体層12b、非磁性金属層18、絶縁体層12a、第1強磁性体層14、反強磁性体層20およびバイアス電流層40がこの順序で積層した構成が得られている。
【0086】
このように、この実施の形態では、反強磁性体層20が絶縁性の層(NiO層)であるため、この層によりバイアス電流層40とTMR素子10との絶縁分離が達成される。よって、新たに絶縁層を設ける必要がないので、素子構成が簡略化される。
【0087】
尚、第3の実施の形態の構成(図7)の場合は、第2強磁性体層16がバイアス電流層40と非磁性金属層18との間に位置しているのに対して、第5の実施の形態の構成(図11)の場合は、第2強磁性体層16、非磁性金属層18およびバイアス電流層40がこの順序で積層した構造となっている。従って、入出力信号の対応関係が反転したものとなる。
【0088】
図12は、入出力信号およびバイアス電流の様子を示すグラフである。図12の上側には、入力端子22に印加される入力電圧の様子(実線aで示す波形)が示されている。入力電圧はパルス波形を示す。この入力電圧の印加に対応した電流が非磁性金属層18に入力される。入力電圧のパルス波形の正負は、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と同じ向きになる場合を正とし、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と逆の向きになる場合を負とする。
【0089】
図12の中間には、バイアス電流層40に流れるバイアス電流の様子(実線bで示す波形)が示されている。図示のように、バイアス電流は、一定の繰り返し周期で変動する交流電流である。尚、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが逆の向きのときのバイアス電流の符号を正とし、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが同じ向きのときのバイアス電流の符号を負と定める。
【0090】
図12の下側には、出力端子30から検出される出力電圧の様子(実線cで示す波形)が示されている。出力電圧は入力電圧およびバイアス電流の正負に応じて変化する。入力端子22に正の入力電圧が印加し、かつ、バイアス電流層40に正のバイアス電流が流れるとき、TMR素子10は高抵抗状態となる。従って、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が増加して、出力電圧が高電圧状態(ハイ状態)となる。一方、入力端子22に負の入力電圧が印加し、かつ、バイアス電流層40に負のバイアス電流が流れるとき、TMR素子10は低抵抗状態となる。従って、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16間の抵抗が減少して、出力電圧が低電圧状態(ロー状態)となる。
【0091】
以上の第1から第5の実施の形態では、電圧制御デバイスを例にして磁気デバイスの説明を行ったが、これらの実施の形態の磁気デバイスは電流制御デバイスとしても応用できる。例えば、TMR素子に抵抗を介して定電圧電源を接続するのではなく、定電流電源を直接接続すればよい。
【0092】
さらに、TMR素子の構成材料は上記の例に限られるものではない。例えば、強磁性体層の材料としては、Fe、Ni、Co、またはこれらの合金等を用いることができる。反強磁性体層の材料としては、NiMn、IrMn、FeMn、CoO、α−Fe2 O3 等を用いることができる。非磁性金属層の材料としては、Ag、Al等を用いることができる。絶縁体層の材料としては、MgO、SiO2 等を用いることができる。絶縁性の反強磁性体層の材料としては、CoO、α−Fe2 O3 等を用いることができる。
【0093】
以下の第6から第10の実施の形態では、巨大磁気抵抗効果素子を用いた電流制御デバイスを例にして実施の形態の磁気デバイスの説明を行う。
【0094】
〔第6の実施の形態〕
図13は、電流制御デバイスの第1構成を示す図である。図13(B)は、電流制御デバイスの平面構成を示す図であり、図13(A)は、図1(B)のI−I線の位置で切った切り口の断面を示す図である。
【0095】
この実施の形態の電流制御デバイスには、巨大磁気抵抗効果素子(以下、GMR素子と略称する。)46が用いられている。このGMR素子46は、非磁性金属層18によって分離された第1強磁性体層14および第2強磁性体層16を含む構造を有している。
【0096】
また、第1強磁性体層14と接触するように反強磁性体層20が設けられている。この反強磁性体層20で発生する交換バイアス磁界により交換結合が生じて、第1強磁性体層14の磁化が1つの方向に固定される。一方、第2強磁性体層16の磁化の方向は外部から印加される磁界に応じて変化可能である。巨大磁気抵抗効果により、GMR素子46の電気抵抗は、これら第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の各磁化方向の相対的な角度に応じて異なる。従って、第2強磁性体層16の磁化により、上述の電気抵抗を制御することが可能である。
【0097】
以上説明したように、GMR素子46は、反強磁性体層20、第1強磁性体層14、非磁性金属層18および第2強磁性体層16がこの順序で積層した構成を具えている。
【0098】
また、この実施の形態例の特徴的構成の一つは、非磁性金属層18が、GMR素子46を構成する他の層に比較して抵抗値が低い材料で構成されている点にある。このため、非磁性金属層18に入力される電気信号は、第1強磁性体層14や第2強磁性体層16に向かって伝播されにくくなり、選択的に非磁性金属層18を通過するようになる。
【0099】
この例では、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16は共にNi35Fe20Co45層(以下、NiFeCo層と略称する。)である。また、非磁性金属層18はCu層であり、反強磁性体層20はNiO層である。これらNiFeCo層、Cu層、NiO層はスパッタ法により形成する。各層の厚さは、例えば、NiFeCo層14が2.0nm、NiFeCo層16が10.0nm、Cu層18が10.0nm、NiO層20が27.0nmである。各層の堆積を行った後、フォトリソグラフィ法による微細加工を行い、各層の平面形状が1μm×0.5μmの長方形形状となるように整形する(図1(B))。このとき、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の磁化容易軸の方向が長辺方向(長さ1μmの辺が延在する方向であり、図中のa方向に相当する。)と一致するように、微細加工を行っている。
【0100】
図14は、GMR素子46の巨大磁気抵抗効果特性を示すグラフである。グラフの横軸は、GMR素子46に印加される磁界の強度である。磁界はエルステッド(Oe)単位で表し、−40Oeから40Oeの範囲を10Oeごとに目盛って示してある。尚、磁界の正負は、第1強磁性体層14の磁化の向きを基準にして定めてある。
【0101】
また、グラフの縦軸は、GMR素子46の電気抵抗値の増加率を示す。この増加率を%表示で示し、0.0%〜2.5%の範囲を0.5%ごとに目盛って示してある。抵抗の増加率は、第1強磁性体層14の磁化の向きと第2強磁性体層16の磁化の向きとが同じときを基準すなわち0%としてある。
【0102】
図14に示す測定結果は、直流4端子法により得たものである。ここでは、第2強磁性体層16上の2点間に電圧を印加して測定を行っている。各測定データはグラフ中に白丸記号で示してある。測定の開始前に予め−500Oe以下の磁界を印加することにより、第1強磁性体層14の磁化の向きを固定する。そして、−40Oeから40Oeの範囲の低磁界を印加しながら、電気抵抗を測定する。
【0103】
図14に示すように、GMR素子46の巨大磁気抵抗効果特性はヒステリシス特性を示す。電気抵抗は、20Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、低抵抗状態(0.1%程度)から高抵抗状態(2.2%程度)へと変化する。また、−20Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する。
【0104】
以上説明したように、GMR素子46は、印加される磁界に応じて電気抵抗が変化する。そして、このGMR素子46を利用した電流制御デバイスによれば、非磁性金属層18を具えており、この非磁性金属層18に電気信号を入力して磁界を発生させ、第2強磁性体層16の磁化を制御する。上述したように、第2強磁性体層16の磁化方向に応じて、GMR素子46の抵抗が変化するため、GMR素子46中に流れる電流を制御することができる。
【0105】
このため、非磁性金属層18に電気信号を入力するための電極として、入力端子22およびグランド端子24が設けられている(図13)。これらの電極は、非磁性金属層18に入力する電流が短辺方向(長さ0.5μmの辺が延在する方向であり、図中のb方向に相当する。)に流れるように設けられる。この結果、非磁性金属層18を流れる電流により発生する磁界の方向は、第2強磁性体層16中においてその磁化容易軸に沿った方向(a方向)となる。従って、非磁性金属層18中に流れる電流の向きを変えれば、それに応じて、第2強磁性体層16の磁化の向きが反転するように構成される。
【0106】
また、GMR素子46には定電圧電源28が接続されている。すなわち、第2強磁性体層16の第1の端部と定電圧電源28との間、および第2強磁性体層16の第2の端部と定電圧電源28との間が、それぞれ例えば導線により接続されている。第1の端部と第2の端部とは長辺方向(a方向)に亘り離間した位置である。従って、定電圧電源28により印加される電流は、第2強磁性体層16の磁化容易軸に沿った方向に流れるように構成される。また、GMR素子46および定電圧電源28間の導線中に電極を設けてあり、出力端子30としてある。
【0107】
次に、電流制御デバイスの動作につき、図15および図16を参照して説明する。図15は、動作時の磁化の様子を示す斜視図である。図16は、入出力信号の様子を示すグラフである。
【0108】
図15(A)には、GMR素子46が低抵抗状態の場合の磁化の様子が示されている。このとき、第1強磁性体層14の磁化32の向きと第2強磁性体層16の磁化34の向きとが一致している(この状態を平行状態と称する。)。非磁性金属層18に入力した電気信号36は、図中の左側から右側に向かって流れる。電流の流れる向きに対して時計回りの方向に磁界38が発生し、第2強磁性体層16の磁化34を第1強磁性体層14の磁化32と同じ向きに揃える。
【0109】
図15(B)には、GMR素子46が高抵抗状態の場合の磁化の様子が示されている。このとき、第1強磁性体層14の磁化32の向きと第2強磁性体層16の磁化34の向きとが逆転した関係になっている(この状態を反平行状態と称する。)。非磁性金属層18に入力した電気信号36は、図中の右側から左側に向かって流れる。電流の流れる向きに対して時計回りの方向に磁界38が発生し、第2強磁性体層16の磁化34を第1強磁性体層14の磁化32に対して逆の向きにする。
【0110】
図16の上側には、入力端子22に印加される入力電流の様子(実線aで示す波形)が示されている。入力電流は、第2強磁性体層16の磁化を制御可能な大きさのパルス波形を示す。この入力電流が、上述の電気信号として非磁性金属層18に入力される。入力電流のパルス波形の正負は、GMR素子46が低抵抗状態となる場合(図15(A)の場合)を正とし、GMR素子46が高抵抗状態となる場合(図15(B)の場合)を負としてある。すなわち、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と同じ向きになる場合を正とし、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と逆の向きになる場合を負とする。
【0111】
図16の下側には、出力端子30から検出される出力電流の様子(実線bで示す波形)が示されている。出力電流は入力電流の正負に応じて変化する。入力端子22に正の入力電流が印加されると、GMR素子46は低抵抗状態となる。従って、GMR素子46の抵抗が低下して、出力電流は高電流状態(ハイ状態)となる。一方、入力端子22に負の入力電流が印加されると、GMR素子46は高抵抗状態となる。従って、GMR素子46の抵抗が増加して、出力電流は低電流状態(ロー状態)となる。
【0112】
尚、定電圧電源28によりGMR素子46に流れる電流は、非磁性金属層18を流れる電流と直交する方向に流れる。従って、これらの電流により発生する磁界の方向も互いに直交した関係となり、この定電圧電源28により駆動される電流が電流制御デバイスの動作に影響を与えることはない。
【0113】
以上説明したように、この実施の形態の電流制御デバイスによれば、入力電気信号により電流制御を行うことが可能である。上述した構成例では、±1mAの入力電流に対して10mAの電流制御を行うことができる。このように、比較的簡単な素子構成であるが、微小電気信号に応じて比較的大きな電流の制御が可能である。
【0114】
〔第7の実施の形態〕
次に、第7の実施の形態について説明する。第6の実施の形態と重複する構成については説明を省略する場合がある。
【0115】
図17は、電流制御デバイスの第2構成を示す図である。図17(B)は、電流制御デバイスの平面構成を示す図であり、図17(A)は、図17(B)のI−I線の位置で切った切り口の断面を示す図である。
【0116】
この実施の形態の電流制御デバイスには、GMR素子46aが用いられる。GMR素子46aは、非磁性金属層18によって分離された第1強磁性体層14および第2強磁性体層16を含む構造を有している。図17(A)に示すように、GMR素子46aは、第1強磁性体層14、非磁性金属層18および第2強磁性体層16がこの順序で積層した構造を具えている。
【0117】
また、第1強磁性体層14の保磁力を、第2強磁性体層16の保磁力よりも大きくしてある。この例では、第1強磁性体層14は、6.0nmの膜厚のCo層である。また、第2強磁性体層16は、10.0nmの膜厚のNi35Fe20Co45層である。このように、第1強磁性体層14と第2強磁性体層16とを異なる材料で構成し、各々の保磁力が互いに異なるように設計してある。よって、第1強磁性体層14の磁化の向きは一方向に固定され、外部磁界に応じて第2強磁性体層16の磁化だけが自在に向きを変えるように構成することができる。
【0118】
また、非磁性金属層18は、10.0nmの膜厚のCu層である。これらNiFeCo層、Co層、Cu層はスパッタ法により形成する。第6の実施の形態と同様に、各層の堆積を行った後に、フォトリソグラフィ法による微細加工を行い、各層の平面形状が1μm×0.5μmの長方形形状となるように整形する(図17(B))。このとき、第1強磁性体層14および第2強磁性体層16の磁化容易軸の方向が長辺方向(長さ1μmの辺が延在する方向であり、図中のa方向に相当する。)と一致するように、微細加工を行っている。
【0119】
そして、非磁性金属層18に電気信号を入力するための電極として、入力端子22およびグランド端子24が設けられている(図17)。これらの電極は、非磁性金属層18に入力する電流が短辺方向(長さ0.5μmの辺が延在する方向であり、図中のb方向に相当する。)に流れるように設けられる。この結果、非磁性金属層18を流れる電流により発生する磁界の方向は、第2強磁性体層16中においてその磁化容易軸に沿った方向(a方向)となる。
【0120】
また、GMR素子46aには定電圧電源28が例えば導線により接続されている。さらに、GMR素子46aおよび定電圧電源28間の導線中に電極を設けてあり、出力端子30としてある。
【0121】
図18は、GMR素子46の巨大磁気抵抗効果特性を示すグラフである。グラフの横軸は、GMR素子46aに印加される磁界の強度である。磁界はエルステッド(Oe)単位で表し、−40Oeから40Oeの範囲を10Oeごとに目盛って示してある。尚、磁界の正負は、第1強磁性体層14の磁化の向きを基準にして定めてある。
【0122】
また、グラフの縦軸は、GMR素子46aの電気抵抗値の増加率を示す。この増加率を%表示で示し、0.0%〜4.0%の範囲を0.5%ごとに目盛って示してある。抵抗の増加率は、第1強磁性体層14の磁化の向きと第2強磁性体層16の磁化の向きとが同じときを基準すなわち0%としてある。
【0123】
図18に示す測定結果は、直流4端子法により得たものである。各測定データはグラフ中に白丸記号で示してある。測定の開始前に予め−500Oe以下の磁界を印加することにより、第1強磁性体層14の磁化の向きを固定する。そして、−40Oeから40Oeの範囲の低磁界を印加しながら、電気抵抗を測定する。
【0124】
図18に示すように、GMR素子46aの巨大磁気抵抗効果特性はヒステリシス特性を示す。電気抵抗は、20Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、低抵抗状態(0.1%程度)から高抵抗状態(3.6%程度)へと変化する。また、−10Oe程度の大きさの磁界が印加されるときに、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する。
【0125】
以上説明したように、GMR素子46aは、印加される磁界に応じて電気抵抗が変化する。そして、このGMR素子46aを利用した電流制御デバイスによれば、非磁性金属層18を具えており、この非磁性金属層18に電気信号を入力して磁界を発生させ、第2強磁性体層16の磁化を制御する。上述したように、第2強磁性体層16の磁化方向に応じて、GMR素子46aの抵抗が変化するため、GMR素子46aを流れる電流を制御することができる。
【0126】
この第7の実施の形態の電流制御デバイスの動作は、第6の実施の形態の電流制御デバイスの動作と同様であるから説明を省略する。上述したように、この構成例の場合には反強磁性体層が不要であるから、比較的作製が容易であるという利点がある。
【0127】
〔第8の実施の形態〕
次に、第8の実施の形態について説明する。この構成例の特徴は、第6の実施の形態で説明したGMR素子にバイアス電流層を設けた点にある。第6の実施の形態と重複する構成については説明を省略する場合がある。
【0128】
図19は、電流制御デバイスの第3構成を示す図である。図19(A)は、電流制御デバイスの構成を示す斜視図であり、図19(B)は、電流制御デバイスの平面構成を示す平面図である(バイアス電流層40、絶縁体層42を除く。)。
【0129】
上述したように、この構成例では、バイアス電流層40をGMR素子46に設けてある。このバイアス電流層40は、交流電流(バイアス電流)を流すことにより、第2強磁性体層16の磁化の方向に沿って印加される交流磁界(バイアス磁界)を発生させるための膜体である。このバイアス電流層40は、絶縁体層42を介して第2強磁性体層16の上に堆積している。このバイアス電流層40には交流電源44が接続されており、これにより動作時にバイアス電流が流される。この実施の形態では、バイアス電流層40は、1.0μmの膜厚のCu層である。また、絶縁体層42は、1.0μmの膜厚のSiO2 層である。
【0130】
尚、GMR素子46の構成は、第6の実施の形態で説明した通りである。また、GMR素子46の巨大磁気抵抗効果特性は図14に示した通りである。その他の構成も図13に示すものと同様である。
【0131】
次に、電流制御デバイスの動作につき、図20および図21を参照して説明する。図20は、巨大磁気抵抗効果特性とバイアス磁界との関係を示すグラフである。図21は、入出力信号およびバイアス電流の様子を示すグラフである。
【0132】
図20に示す巨大磁気抵抗効果特性aは、図14に示したものを概略化したものに相当する。グラフの横軸は、GMR素子46に印加される磁界の強度を表す。グラフの縦軸は、GMR素子46の電気抵抗値を表す。GMR素子46は、印加磁界がHrになると低抵抗Rlowの状態から高抵抗Rhighの状態へと変化し、印加磁界が−Hfになると高抵抗Rhighの状態から低抵抗Rlowの状態へと変化する。バイアス電流層40に流すバイアス電流の大きさは、これにより発生するバイアス磁界が−Hfよりも大きく、かつHrよりも小さい範囲の磁界となるように、設定される。従って、バイアス磁界だけで第2強磁性体層16の磁化が変化することはない。しかし、バイアス磁界の最大値がHrに近い値となるようにし、バイアス磁界の最小値が−Hfに近い値となるように、バイアス電流の値を定めるのが好適である。
【0133】
尚、高抵抗状態および低抵抗状態のそれぞれにおけるGMR素子46の磁化の様子は、図15に示した通りである。
【0134】
図21の上側には、入力端子22に印加される入力電流の様子(実線aで示す波形)が示されている。入力電流はパルス波形を示す。この入力電流が非磁性金属層18に入力される。入力電流のパルス波形の正負は、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と同じ向きになる場合を正とし、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と逆の向きになる場合を負とする。
【0135】
図21の中間には、バイアス電流層40に流れるバイアス電流の様子(実線bで示す波形)が示されている。図示のように、バイアス電流は、一定の繰り返し周期で変動する交流電流である。尚、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが逆の向きのときのバイアス電流の符号を正とし、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが同じ向きのときのバイアス電流の符号を負と定める。
【0136】
図21の下側には、出力端子30から検出される出力電流の様子(実線cで示す波形)が示されている。出力電流は入力電流およびバイアス電流の正負に応じて変化する。入力端子22に正の入力電流が印加し、かつ、バイアス電流層40に正のバイアス電流が流れるとき、GMR素子46は低抵抗状態となる。従って、GMR素子46の抵抗が低下して、出力電流が高電流状態(ハイ状態)となる。一方、入力端子22に負の入力電流が印加し、かつ、バイアス電流層40に負のバイアス電流が流れるとき、GMR素子46は高抵抗状態となる。従って、GMR素子46の抵抗が増加して、出力電流が低電流状態(ロー状態)となる。
【0137】
このように、バイアス磁界を印加することにより、微小な入力電気信号により比較的大きな電流の制御を行うことが可能である。上述した構成例では、±0.1mAの入力電流に対して10mAの電流制御を行うことができる。
【0138】
〔第9の実施の形態〕
次に、第9の実施の形態について説明する。この構成例の特徴は、第7の実施の形態で説明したGMR素子にバイアス電流層を設けた点にある。第7の実施の形態と重複する構成については説明を省略する場合がある。
【0139】
図22は、電流制御デバイスの第4構成を示す図である。図22(A)は、電流制御デバイスの構成を示す斜視図であり、図22(B)は、電流制御デバイスの平面構成を示す平面図である(バイアス電流層40、絶縁体層42を除く。)。
【0140】
上述したように、この構成例では、バイアス電流層40をGMR素子46aに設けてある。このバイアス電流層40は、交流電流(バイアス電流)を流すことにより、第2強磁性体層16の磁化の方向に沿って印加される交流磁界(バイアス磁界)を発生させるための膜体である。このバイアス電流層40は、絶縁体層42を介して第2強磁性体層16の上に堆積している。このバイアス電流層40には交流電源44が接続されており、これにより動作時にバイアス電流が流される。この実施の形態では、バイアス電流層40は、1.0μmの膜厚のCu層である。また、絶縁体層42は、1.0μmの膜厚のSiO2 層である。
【0141】
尚、GMR素子46aの構成は、第7の実施の形態で説明した通りである。また、GMR素子46aの巨大磁気抵抗効果特性は図18に示した通りである。その他の構成も図17に示すものと同様である。
【0142】
この第9の実施の形態の電流制御デバイスの動作は、第8の実施の形態の電流制御デバイスの動作と同様であるから説明を省略する。上述したように、この構成例の場合には反強磁性体層が不要であるから、比較的作製が容易であるという利点がある。しかも、バイアス磁界を印加することにより、微小な入力電気信号により比較的大きな電流の制御を行うことが可能である。
【0143】
〔第10の実施の形態〕
第10の実施の形態の構成は、第6の実施の形態で説明したGMR素子にバイアス電流層を設けたものである。図23は、電流制御デバイスの第5構成を示す図である。図23(A)は、電流制御デバイスの構成を示す斜視図であり、図23(B)は、電流制御デバイスの平面構成を示す平面図である(バイアス電流層40、反強磁性体層20を除く。)。
【0144】
第6の実施の形態で説明したように、GMR素子46は、非磁性金属層18によって分離された第1強磁性体層14および第2強磁性体層16を含む構造を有している。また、第1強磁性体層14と接触するように反強磁性体層20が設けられている。そして、バイアス電流層40は、直接反強磁性体層20の上に堆積している。このバイアス電流層40には交流電源44が接続されており、バイアス電流の印加が可能である。図23(A)に示すように、第2強磁性体層16、非磁性金属層18、第1強磁性体層14、反強磁性体層20およびバイアス電流層40がこの順序で積層した構成が得られている。
【0145】
このように、この実施の形態では、反強磁性体層20が絶縁性の層(NiO層)であるため、この層によりバイアス電流層40とGMR素子46との絶縁分離が達成される。よって、新たに絶縁層を設ける必要がないので、素子構成が簡略化される。
【0146】
尚、第8の実施の形態の構成(図19)の場合は、第2強磁性体層16がバイアス電流層40と非磁性金属層18との間に位置しているのに対して、第10の実施の形態の構成(図23)の場合は、第2強磁性体層16、非磁性金属層18およびバイアス電流層40がこの順序で積層した構造となっている。従って、入出力信号の対応関係が反転したものとなる。
【0147】
図24は、入出力信号およびバイアス電流の様子を示すグラフである。図24の上側には、入力端子22に印加される入力電流の様子(実線aで示す波形)が示されている。入力電流はパルス波形を示す。この入力電流が非磁性金属層18に入力される。入力電流のパルス波形の正負は、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と同じ向きになる場合を正とし、非磁性金属層18に流れる電流により発生する磁界が第2強磁性体層16中において第1強磁性体層14の磁化と逆の向きになる場合を負とする。
【0148】
図24の中間には、バイアス電流層40に流れるバイアス電流の様子(実線bで示す波形)が示されている。図示のように、バイアス電流は、一定の繰り返し周期で変動する交流電流である。尚、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが逆の向きのときのバイアス電流の符号を正とし、バイアス磁界と第1強磁性体層14の磁化とが同じ向きのときのバイアス電流の符号を負と定める。
【0149】
図24の下側には、出力端子30から検出される出力電流の様子(実線cで示す波形)が示されている。出力電流は入力電流およびバイアス電流の正負に応じて変化する。入力端子22に正の入力電流が印加し、かつ、バイアス電流層40に正のバイアス電流が流れるとき、GMR素子46は高抵抗状態となる。従って、GMR素子46の抵抗が増加して、出力電流が低電流状態(ロー状態)となる。一方、入力端子22に負の入力電流が印加し、かつ、バイアス電流層40に負のバイアス電流が流れるとき、GMR素子46は低抵抗状態となる。従って、GMR素子46の抵抗が減少して、出力電流が高電流状態(ハイ状態)となる。
【0150】
以上の第6から第10の実施の形態では、電流制御デバイスを例にして磁気デバイスの説明を行ったが、これらの実施の形態の磁気デバイスは電圧制御デバイスとしても応用できる。例えば、GMR素子に接続された定電圧電源を定電流電源に変えることにより、電圧制御デバイスを構成することも可能である。
【0151】
さらに、GMR素子の構成材料は上記の例に限られるものではない。例えば、強磁性体層の材料としては、Fe、Ni、Co、またはこれらの合金等を用いることができる。反強磁性体層の材料としては、NiMn、IrMn、FeMn、CoO、α−Fe2 O3 等を用いることができる。非磁性金属層の材料としては、Ag、Al等を用いることができる(但し、他の層に比べて低抵抗のものを用いる。)。絶縁体層の材料としては、MgO、SiO2 等を用いることができる。絶縁性の反強磁性体層の材料としては、CoO、α−Fe2 O3 等を用いることができる。
【0152】
【発明の効果】
この発明の磁気デバイスによれば、磁気トンネル効果素子を用いた磁気デバイスであって、この磁気トンネル効果素子は、絶縁体層によって分離された第1および第2強磁性体層を含み、絶縁体層中に非磁性金属層が挿入されており、この非磁性金属層を流れる電気信号により磁界を発生させ、その磁界により第2強磁性体層の磁化を制御する。第1強磁性体層の磁化は固定されているので、電気信号に応じて第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が変化する。従って、この磁気デバイスによれば、第1および第2強磁性体層間の電圧あるいは電流を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電圧制御デバイスの第1構成を示す図である。
【図2】TMR素子の磁気トンネリング特性を示す図である。
【図3】動作時の磁化の様子を示す図である。
【図4】入出力信号の様子を示す図である。
【図5】電圧制御デバイスの第2構成を示す図である。
【図6】TMR素子の磁気トンネリング特性を示す図である。
【図7】電圧制御デバイスの第3構成を示す図である。
【図8】磁気トンネリング特性とバイアス磁界との関係を示す図である。
【図9】入出力信号およびバイアス電流の様子を示す図である。
【図10】電圧制御デバイスの第4構成を示す図である。
【図11】電圧制御デバイスの第5構成を示す図である。
【図12】入出力信号およびバイアス電流の様子を示す図である。
【図13】電流制御デバイスの第1構成を示す図である。
【図14】GMR素子の巨大磁気抵抗効果特性を示す図である。
【図15】動作時の磁化の様子を示す図である。
【図16】入出力信号の様子を示す図である。
【図17】電流制御デバイスの第2構成を示す図である。
【図18】GMR素子の巨大磁気抵抗効果特性を示す図である。
【図19】電流制御デバイスの第3構成を示す図である。
【図20】巨大磁気抵抗効果特性とバイアス磁界との関係を示す図である。
【図21】入出力信号およびバイアス電流の様子を示す図である。
【図22】電流制御デバイスの第4構成を示す図である。
【図23】電流制御デバイスの第5構成を示す図である。
【図24】入出力信号およびバイアス電流の様子を示す図である。
【符号の説明】
10,10a:TMR素子
12,12a,12b:絶縁体層
14:第1強磁性体層 16:第2強磁性体層
18:非磁性金属層 20:反強磁性体層
22:入力端子 24:グランド端子
26:抵抗 28:定電圧電源
30:出力端子 32,34:磁化
36:電気信号 38:磁界
40:バイアス電流層 42:絶縁体層
44:交流電源 46,46a:GMR素子
Claims (16)
- 磁気トンネル効果素子を用いた磁気デバイスであって、
該磁気トンネル効果素子は、絶縁体層によって分離された第1および第2強磁性体層を含み、該第1強磁性体層の磁化が1つの方向に固定され、前記第2強磁性体層の磁化の方向が印加される磁界に応じて変化可能であり、これら第1および第2強磁性体層の各磁化方向の相対的な角度に応じて、これら第1および第2強磁性体層間が異なる抵抗を示すものであり、
前記絶縁体層中に非磁性金属層が挿入されており、
該非磁性金属層を流れる電気信号により、前記第2強磁性体層中において当該第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向の前記磁界を発生させ、前記第1および第2強磁性体層間の電圧あるいは電流を制御すること
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項1に記載の磁気デバイスにおいて、
前記磁気トンネル効果素子は、交換バイアス磁界によって、前記第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項1に記載の磁気デバイスにおいて、
前記第1強磁性体層の保磁力が、前記第2強磁性体層の保磁力よりも大きいこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項1に記載の磁気デバイスにおいて、
前記磁気トンネル効果素子にバイアス電流層を設けてあり、
該バイアス電流層に交流電流を印加するための交流電源を具え、
該交流電流により発生する、前記第1強磁性体層の磁化と同方向または反対方向のバイアス磁界が前記第2強磁性体層に印加されること
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項4に記載の磁気デバイスにおいて、
前記バイアス磁界は、前記第2強磁性体層中において当該第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向となり、かつ、前記バイアス磁界の大きさが、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する印加磁界Hrよりも小さく、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する印加磁界−Hfよりも大きいこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項4に記載の磁気デバイスにおいて、
前記磁気トンネル効果素子は、交換バイアス磁界によって、前記第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項4に記載の磁気デバイスにおいて、
前記磁気トンネル効果素子は、交換バイアス磁界によって、前記第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する絶縁性の反強磁性体層を含むこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項4に記載の磁気デバイスにおいて、
前記第1強磁性体層の保磁力が、前記第2強磁性体層の保磁力よりも大きいこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 巨大磁気抵抗効果素子を用いた磁気デバイスであって、
該巨大磁気抵抗効果素子は、非磁性金属層によって分離された第1および第2強磁性体層を含み、前記第1強磁性体層の磁化が1つの方向に固定され、前記第2強磁性体層の磁化の方向が印加される磁界に応じて変化可能であり、これら第1および第2強磁性体層の各磁化方向の相対的な角度に応じて異なる抵抗値を示すものであり、
前記非磁性金属層が、前記巨大磁気抵抗効果素子を構成する他の層に比較して抵抗値が低い材料で構成されており、
該非磁性金属層に入力される電気信号により、前記第2強磁性体層中において当該第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向の前記磁界を発生させ、前記第1および第2強磁性体層の間に、前記電気信号とは別に印加される、前記第2強磁性体層の前記磁化容易軸に沿った方向の電流あるいは電圧を制御すること
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項9に記載の磁気デバイスにおいて、
前記巨大磁気抵抗効果素子は、交換バイアス磁界によって、前記第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項9に記載の磁気デバイスにおいて、
前記第1強磁性体層の保磁力が、前記第2強磁性体層の保磁力よりも大きいこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項9に記載の磁気デバイスにおいて、
前記巨大磁気抵抗効果素子にバイアス電流層を設けてあり、
該バイアス電流層に交流電流を印加するための交流電源を具え、
該交流電流により発生する、前記第1強磁性体層の磁化と同方向または反対方向のバイアス磁界が前記第2強磁性体層に印加されることを特徴とする磁気デバイス。 - 請求項12に記載の磁気デバイスにおいて、
前記バイアス磁界は、前記第2強磁性体層中において当該第2強磁性体層の磁化容易軸に沿った方向となり、かつ、前記バイアス磁界の大きさが、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する印加磁界Hrよりも小さく、第1および第2強磁性体層間の電気抵抗が、高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する印加磁界−Hfよりも大きいこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項12に記載の磁気デバイスにおいて、
前記巨大磁気抵抗効果素子は、交換バイアス磁界によって、前記第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する反強磁性体層を含むこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項12に記載の磁気デバイスにおいて、
前記巨大磁気抵抗効果素子は、交換バイアス磁界によって、前記第1強磁性体層の磁化を一方向に固定する絶縁性の反強磁性体層を含むこと
を特徴とする磁気デバイス。 - 請求項12に記載の磁気デバイスにおいて、
前記第1強磁性体層の保磁力が、前記第2強磁性体層の保磁力よりも大きいこと
を特徴とする磁気デバイス。
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JP2000091664A (ja) | 2000-03-31 |
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