JP4334914B2 - 薄膜磁気センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜磁気センサに関し、さらに詳しくは、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位検出センサなどに好適な薄膜磁気センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気センサは、電磁気力(例えば、電流、電圧、電力、磁界、磁束など。)、力学量(例えば、位置、速度、加速度、変位、距離、張力、圧力、トルク、温度、湿度など。)、生化学量等の被検出量を、磁界を介して電圧に変換する電子デバイスである。磁気センサは、磁界の検出方法に応じて、ホールセンサ、異方的磁気抵抗(AMR: Anisotropic Magneto-Resistivity)センサ、巨大磁気抵抗(GMR: Gaiant MR)センサ等に分類される。
【0003】
これらの中でもGMRセンサは、(1)ホールセンサやAMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ(△ρ=ρ−ρ:ρは、外部磁界Hにおける電気比抵抗、ρは、外部磁界ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、(3)巨大磁気抵抗効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されているものである。
【0004】
GMR効果を示す材料としては、(1)強磁性層(例えば、パーマロイ等)と非磁性層(例えば、Cu、Ag、Au等)の多層膜、あるいは、反強磁性層、強磁性層(固定層)、非磁性層及び強磁性層(自由層)の4層構造を備えた多層膜(いわゆる、「スピンバルブ」)からなる金属人工格子、(2)強磁性金属(例えば、パーマロイ等)からなるnmサイズの微粒子と、非磁性金属(例えば、Cu、Ag、Au等)からなる粒界相とを備えた金属−金属系ナノグラニュラー材料、(3)スピン依存トンネル効果によってMR効果が生ずるトンネル接合膜、(4)nmサイズの強磁性金属合金微粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相とを備えた金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料、等が知られている。
【0005】
これらの内、スピンバルブに代表される多層膜は、一般に、低磁界における感度が高いという特徴がある。しかしながら、多層膜は、種々の材料からなる薄膜を高精度で積層する必要があるために、安定性や歩留まりが悪く、製作コストを抑えるには限界がある。そのため、この種の多層膜は、専ら付加価値の大きなデバイス(例えば、ハードディスク用の磁気ヘッド)にのみ用いられ、単価の安いAMRセンサやホールセンサとの価格競争を強いられる磁気センサに応用するのは困難であると考えられている。また、多層膜間の拡散が生じやすく、GMR効果が消失しやすいため、耐熱性が悪いという大きな欠点がある。
【0006】
一方、ナノグラニュラー材料は、一般に、作製が容易で、再現性も良い。そのため、これを磁気センサに応用すれば、磁気センサを低コスト化することができる。特に、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、(2)電気比抵抗が桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と、低消費電力化が可能である、(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁界における磁界感度が非常に小さいという問題がある。
【0007】
そこでこの問題を解決するために、特許文献1には、巨大磁気抵抗薄膜の両端に軟磁性薄膜を配置し、巨大磁気抵抗薄膜の磁界感度を上げる点が記載されている。また、同文献には、基板上に膜厚2μmのパーマロイ薄膜(軟磁性膜)を形成し、パーマロイ薄膜にイオンビームエッチング装置を用いて幅約9μmの隙間を作製し、隙間の部分にCo38.641.047.4組成を有するナノグラニュラーGMR膜を積層する薄膜磁気センサの製造方法が記載されている。
【0008】
また、特許文献2には、巨大磁気抵抗薄膜の両端に軟磁性薄膜を配置した薄膜磁気抵抗素子において、磁界感度をさらに向上させるために、巨大磁気抵抗薄膜の膜厚を軟磁性薄膜の膜厚以下とする点が記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−087804号公報の請求項1及び段落番号「0019」
【特許文献2】
特開平11−274599号公報の請求項1
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
大きな飽和磁化を有し、透磁率の高い軟磁性材料は、磁界感度が極めて高く、相対的に弱い外部磁界で極めて大きな磁化を示す。そのため、軟磁性材料からなる薄膜ヨークで挟まれた狭いギャップ内に、薄膜ヨークと電気的に接続するように、大きな電気比抵抗を有し、かつ巨大磁気抵抗効果を有する薄膜(GMR膜)を配置した薄膜磁気センサに対して外部磁界を作用させると、弱い外部磁界によって薄膜ヨークが磁化し、GMR膜には、外部磁界の100〜10000倍の強い磁界が作用する。その結果、GMR膜の磁界感度を著しく大きくすることができる。なお、GMR膜としては、現在、金属−絶縁体系ナノグラニュラー薄膜が知られている。
【0011】
また、特許文献2に記載されているように、GMR膜の膜厚を薄膜ヨークの膜厚より薄くすると、薄膜ヨークから漏れる磁束が膜厚方向に分散するのが抑制されるので、GMR膜の磁界感度をさらに向上させることができる。
【0012】
しかしながら、GMR膜の膜厚を薄膜ヨークの膜厚より薄くするだけでは、磁束の分散の抑制が不十分となる場合があり、GMR膜の磁界感度をさらに向上させることが望まれている。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、高い電気比抵抗を有するGMR膜の両側に軟磁性材料からなる薄膜ヨークを電気的に接続配置した薄膜磁気センサ(以下、単に「薄膜磁気センサ」という。)において、GMR膜の磁界感度をさらに向上させることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、軟磁性材料からなり、かつギャップを介して対向させた一対の薄膜ヨークと、該一対の薄膜ヨークと電気的に接続されるように前記ギャップ間に形成された、前記軟磁性材料より高い電気比抵抗を有するGMR膜と、前記薄膜ヨーク及び前記GMR膜を支持する絶縁性・非磁性材料からなる絶縁基板とを備えた磁気センサであって、次の条件を備えていることを要旨とする。
(1)前記GMR膜と接する前記薄膜ヨークの先端側の膜厚(t )に対する前記ギャップのギャップ長(GL)の比(GL/t )が20以下である。
(2)前記薄膜ヨークの後端側の断面積(S )に対する前記薄膜ヨークの先端側の断面積(S )の比(S /S )が1未満である。
(3)前記薄膜ヨークのギャップ長方向の長さ(L)の2乗に対する、前記薄膜ヨークの横幅の平均値(W)及び前記薄膜ヨークの膜厚の平均値(t)の積の比(W×t/L)が0.01以下である(但し、W=(W+W)/2、t=(t+t)/2。W及びWは、それぞれ、前記薄膜ヨークの先端側及び後端側の横幅、tは、前記薄膜ヨークの後端側の膜厚。)。
(4)前記GMR膜と接する前記薄膜ヨークの先端に一定の横幅を有する平行部を備え、前記ギャップのギャップ長(GL)に対する前記平行部のギャップ長方向の長さ(FL)の比(FL/GL)が20以下である。
(5)前記薄膜ヨークは、その後端側から先端側に向かってその横幅が直線的に減少するテーパ状の外壁を備え、前記ギャップ長方向に対する前記外壁の角度(θ)が40°以上90°以下である。
(6)前記薄膜ヨークの先端側の横幅(W )に対する前記GMR膜の横幅(W )の比(W /W )が1以下である。
また、上記磁気センサは、さらに次の条件を備えていると良い。
(7)前記GMR膜と接する前記薄膜ヨークの先端部分が、後端側部分より飽和磁化の大きい軟磁性材料からなる
【0015】
上記磁気センサにおいて、薄膜ヨークの先端側の膜厚に対するギャップ長の比(GL/t )を20以下とすると、薄膜ヨーク先端から空間への磁束の分散が抑制される。また、薄膜ヨークの後端側断面積に対する先端側断面積の比(S /S )を1未満とすると、薄膜ヨーク先端の磁束密度を増大させることができる。また、薄膜ヨークのギャップ長方向の長さの2乗に対する、薄膜ヨークの横幅の平均値及び薄膜ヨークの膜厚の平均値の積の比(W×t/L)は、反磁界係数と相関があり、この値を0.01以下にすると、薄膜ヨークのギャップ長方向の反磁界を小さくすることができる。但し、あまりこの値が小さすぎると、つまり、Lが長すぎると、薄膜ヨークの磁気抵抗が大きくなりすぎ、ギャップ中を通る磁界が弱くなりすぎるので、この値は、好ましくは、1×10−6以上に留めるのがよい。また、薄膜ヨークの先端に平行部を設け、ギャップ長に対する平行部のギャップ長方向の長さの比(FL/GL)を20以下とすると、薄膜ヨークの先端から空間への磁束の分散が抑制される。また、薄膜ヨークにテーパ状の外壁を設け、外壁の角度(θ)を40°以上90°以下とすると、薄膜ヨーク先端の磁束密度増大させることができる。また、薄膜ヨークの先端側の横幅に対するGMR膜の横幅の比(W /W )を1以下とすると、薄膜ヨーク間の強い磁界のみがGMR膜に作用するため、磁界感度が向上する。
【0016】
さらに、上記磁気センサにおいて、薄膜ヨークの先端部分が、後端側部分より飽和磁化の大きい軟磁性材料からなる場合には、ギャップ長方向の反磁界を増大させることなく、ギャップ部に発生する磁界を増大させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)及び図1(b)に、それぞれ、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気センサ20の平面図及び正面図を示す。
【0018】
図1において、薄膜磁気センサ20は、絶縁基板(図示せず)と、ギャップ24aを介して対向する一対の薄膜ヨーク24、24と、この一対の薄膜ヨーク24、24と電気的に接続されるようにギャップ24a間に形成されたGMR膜26とを備えている。また、各薄膜ヨーク24、24の後端(ギャップ24aに面していない端部)には、出力を取り出すための電極(図示せず)が接合される。さらに、薄膜ヨーク24、24及びGMR膜26の上には、通常、これらを大気環境から遮断し、保護するための絶縁性・非磁性材料からなる保護膜(図示せず)が形成される。
【0019】
初めに、絶縁基板について説明する。絶縁基板は、薄膜ヨーク24、24及びGMR膜26を支持するためのものであり、絶縁性・非磁性材料からなる。絶縁基板の材質としては、具体的には、ガラス、あるいは、スパッタ膜によって表面を平坦化したアルミナ、熱酸化膜付Si、アルミナ・チタンカーバイドなどのセラミックス等の高剛性材等が好適な一例として挙げられる。
【0020】
絶縁基板の形状については、特に限定されるものではなく、薄膜磁気センサ20の用途、要求特性等に応じて最適な形状を選択すれば良い。
【0021】
薄膜磁気センサは、温度による基準電位の変動を防ぐため、通常、2個の素子を直列に接続し、中点電位を計測することによって外部磁界の検出を行うようになっている。また、薄膜磁気センサは、2つの素子の感磁軸が互いに直交するように配列させた直交形と、2個の素子の感磁軸が互いに平行になるように配列させた平行形に分類される。さらに、出力を倍にするために、4個の素子を用いてブリッジ回路を構成する場合もある。この場合、絶縁基板上に1個の素子のみを形成し、これを複数個組み合わせて用いても良く、あるいは、同一の絶縁基板上に複数個の素子を形成し、これらを接続して用いても良い。
【0022】
次に、薄膜ヨーク24、24について説明する。薄膜ヨーク24、24は、GMR膜26の磁界感度を高めるためのものであり、軟磁性材料からなる。弱磁界に対する高い磁界感度を得るためには、薄膜ヨーク24、24には、透磁率μの高い材料を用いるのが好ましい。具体的には、その透磁率μは、100以上が好ましく、さらに好ましくは、1000以上である。
【0023】
薄膜ヨーク24、24の材質としては、具体的には、パーマロイ(40〜90%Ni−Fe合金)、センダスト(Fe74SiAl17)、ハードパーム(Fe12Ni82Nb)、Co88NbZrアモルファス合金、(Co94Fe)70Si1515アモルファス合金、ファインメット(Fe75.6Si13.28.5Nb1.9Cu0.8)、ナノマックス(Fe83HF11)、Fe85Zr10合金、Fe93Si合金、Fe711118合金、Fe71.3Nd9.619.1ナノグラニュラー合金、Co70Al1020ナノグラニュラー合金、Co65FeAl1020合金等が好適な一例として挙げられる。
【0024】
次に、GMR膜26について説明する。GMR膜26は、外部磁界の変化を電圧の変化として検出するためのものであり、巨大磁気抵抗効果を有する材料からなる。外部磁界の変化を高い感度で検出するためには、GMR膜26のMR比の絶対値は、外部磁界Hが数百(Oe)以下で、5%以上が好ましく、さらに好ましくは、10%以上である。
【0025】
また、本発明において、GMR膜26は、薄膜ヨーク24、24と直接、電気的に接続されるので、薄膜ヨーク24、24より高い電気比抵抗を有するものが用いられる。一般に、電気比抵抗が小さすぎる材料の場合には、薄膜ヨーク24、24間が電気的に短絡するので好ましくない。一方、電気比抵抗が高すぎる材料の場合には、ノイズが増加し、外部磁界の変化を電圧変化として検出するのが困難となる。GMR膜26の電気比抵抗は、10Ωcm以上1012Ωcm以下が好ましく、さらに好ましくは、10Ωcm以上1011Ωcm以下である。
【0026】
このような条件を満たす材料には、種々の材料があるが、中でも上述した金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料が特に好適である。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比と高い電気比抵抗を有するだけでなく、僅かな組成変動によってMR比が大きく変動することがないので、安定した磁気特性を有する薄膜を、再現性良く、かつ低コストで作製することができるという利点がある。
【0027】
GMR膜26として用いられる巨大磁気抵抗効果を有する金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料としては、具体的には、Co−Y系ナノグラニュラー合金、Co−Al系ナノグラニュラー合金、Co−Sm系ナノグラニュラー合金、Co−Dy系ナノグラニュラー合金、FeCo−Y系ナノグラニュラー合金、Fe−MgF、FeCo−(MgF、CaF、BaF、SrF)、Fe−CaF等のフッ化物系ナノグラニュラー合金等が好適な一例として挙げられる。
【0028】
次に、薄膜磁気センサ20の形状及び材質、並びにGMR膜26の形状について説明する。薄膜磁気センサ20の磁界感度を向上させるためには、薄膜ヨーク24、24の形状及び材質は、ある一定の条件を満たしていることが望ましい。同様に、GMR膜26の形状は、薄膜ヨーク24、24との関係において、ある一定の条件を満たしていることが望ましい。具体的には、以下のような条件を満たしていることが好ましい。
【0029】
(1) 第1に、GMR膜26と接する薄膜ヨーク24、24の先端側の膜厚(t)に対するギャップ24aのギャップ長(GL)の比(GL/t)は、20以下が望ましい。GL/t比が20を越える場合、すなわち、薄膜ヨーク24、24の先端側の膜厚(t)に比べて、ギャップ長(GL)が相対的に長い場合には、薄膜ヨーク24、24から空間に向かって磁束が分散し、GMR膜26に作用する磁界が弱くなるので好ましくない。
【0030】
GL/t比は、ギャップ24a間に形成されるGMR膜26の物理的性質が変化しない限り、及びGMR膜26の形成に支障がない限りにおいて、小さい程良い。高い磁界感度を得るためには、GL/t比は、好ましくは、5以下であり、さらに好ましくは、2以下である。
【0031】
(2) 第2に、薄膜ヨーク24、24の後端側の断面積(S)に対する薄膜ヨークの24、24先端側の断面積(S)の比(S/S)は、1未満が好ましい。S/S比を1未満とすると、薄膜ヨーク24、24先端の磁束密度が増大し、GMR膜26に作用する磁界を強くすることができる。
【0032】
/S比は、GMR膜26と薄膜ヨーク24、24との間の電気的接続が不安定にならない限りにおいて、小さい程良い。高い磁界感度を得るためには、S/S比は、好ましくは、0.5以下であり、さらに好ましくは、0.1以下である。
【0033】
(3) 第3に、薄膜ヨーク24、24のギャップ長方向の長さ(L)の2乗に対する、薄膜ヨーク24、24の横幅の平均値(W)及び薄膜ヨーク24、24の膜厚の平均値(t)の積の比(W×t/L)は、0.01以下が好ましい。但し、W=(W+W)/2、t=(t+t)/2である。また、W及びWは、それぞれ、前記薄膜ヨークの先端側及び後端側の横幅であり、tは、前記薄膜ヨークの後端側の膜厚である。
【0034】
磁界中に棒状の磁性体を置くと、磁性体の両端に磁極が生じ、外部磁界とは逆方向の磁界(すなわち、「反磁界」)が生じる。反磁界の強さは、磁性体の形状に依存し、この形状に依存する因子を反磁界係数という。また、反磁界係数は、1/k(但し、kは、磁性体の寸法比(=長さ/直径))に比例することが知られている。すなわち、W×t/L比は、反磁界係数に相関のある数値であり、この値が大きくなるほど反磁界は大きくなる。
【0035】
本発明において、高い磁界感度を得るためには、W×t/L比は、0.01以下が好ましい。W×t/L比が0.01を越えると、薄膜ヨーク24、24のギャップ長方向の反磁界が相対的に大きくなり、薄膜ヨーク24、24の後端から流入・流出する磁界が減少するので好ましくない。W×t/L比は、薄膜磁気センサ20の形状が許す限りにおいて、小さい方が好ましい。ギャップ長方向の反磁界を小さくし、高い磁界感度を得るためには、W×t/L比は、好ましくは、0.003以下であり、さらに好ましくは、0.002以下である。但し、W×t/L比が小さくなりすぎると、すなわち、Lが相対的に長くなりすぎると、薄膜ヨーク24、24の磁気抵抗が大きくなりすぎ、ギャップ中を通る磁界が弱くなる。従って、W×t/L比は、1×10−6以上に留めるのがよい。
【0036】
(4) 第4に、GMR膜26と接する薄膜ヨーク24、24の先端に、一定の横幅を有する平行部24b、24bを備え、かつ、ギャップ24aのギャップ長(GL)に対する平行部24bのギャップ長方向の長さ(FL)の比(FL/GL)は、20以下であることが望ましい。
【0037】
薄膜ヨーク24、24の先端に平行部24b、24bを設けると、薄膜ヨーク24、24の先端部分から空間への磁束の分散が抑制され、磁界感度を向上させることができる。磁束の分散を効果的に抑制するためには、FL/GL比は、好ましくは、1以上であり、さらに好ましくは、3以上である。
【0038】
但し、FL/GL比が大きくなりすぎると、平行部24b、24bから空間に漏れる磁束が増大し、磁界感度が低下する。高い磁界感度を得るためには、FL/GL比は、好ましくは、20以下であり、さらに好ましくは、15以下である。
【0039】
(5) 第5に、薄膜ヨーク24、24は、その後端側から先端側に向かってその横幅が直線的に減少するテーパ状の外壁24cを備え、かつ、ギャップ長方向に対する外壁24cの角度(θ)(以下、これを「外壁角度(θ)」という。)は、40°以上90°以下が望ましい。
【0040】
薄膜ヨーク24、24にテーパ状の外壁24cを設けると、後端から流入した磁束が先端側に向かうに従って絞られるために、先端側に行くほど磁束密度が高くなる。そのため、GMR膜26により強い磁界を作用させることができる。但し、外壁角度(θ)が40°未満であると、磁界を高める作用が小さくなる。また、薄膜ヨーク24、24の先端に平行部24bを有する場合において、FL/GL比が最適化されているときには、外壁角度(θ)が90°に近づくほど、外壁24cから空間への磁束の分散が抑制され、高い磁界感度が得られる。
【0041】
(6) 第6に、薄膜ヨーク24、24の先端側の横幅(W)に対するGMR膜26の横幅(W)の比(W/W)は、1以下が好ましい。薄膜ヨーク24、24の先端側の横幅に比べてGMR膜26の横幅の方が広くなると、薄膜ヨーク24、24から漏れる磁束が横幅方向に分散するので好ましくない。W/W比は、GMR膜26の物理的性質が変化しない限りにおいて、小さい程良い。高い磁界感度を得るためには、W/W比は、好ましくは、0.9以下であり、さらに好ましくは、0.8以下である。
【0042】
(7) 第7に、GMR膜26と接する薄膜ヨーク24、24の先端部分が、後端側部分より飽和磁化の大きい軟磁性材料からなることが好ましい。
【0043】
薄膜ヨーク24、24全体が単一の軟磁性材料からなる場合、薄膜ヨーク24、24として飽和磁化Msの大きな材料を用いるほど、薄膜ヨーク24、24内に強い磁化が発生するので、GMR膜26に強い磁界を作用させることができる。薄膜ヨーク24、24全体が単一の軟磁性材料からなる場合、薄膜ヨーク24、24の飽和磁化Msは、具体的には、5(kGauss)以上が好ましく、さらに好ましくは、10(kGauss)以上である。
【0044】
しかしながら、薄膜ヨーク24、24全体が単一の軟磁性材料からなる場合において、その飽和磁化Msが15(kGauss)を越えると、磁界感度を高める効果に限界がある。
【0045】
これに対し、薄膜ヨーク24、24の先端部分のみを、それ以外の部分より飽和磁化Msの大きい軟磁性材料で構成すると、薄膜ヨーク24、24のギャップ長方向に発生する反磁界を増大させることなく、薄膜ヨーク24、24の先端側部分の磁束を増大でき、かつ、飽和しにくくなるので、磁気抵抗も小さくできる。そのため、結果的に、磁界感度を向上させることができる。この方法は、後端側の断面積(S)よりも先端側の断面積(S)を小さくする場合に、特に有効な方法である。
【0046】
この場合、薄膜ヨーク24、24の後端側を構成する軟磁性材料の飽和磁化(Ms)に対する先端側を構成する軟磁性材料の飽和磁化(Ms)の比(Ms/Ms)は、大きい程良い。
【0047】
また、薄膜ヨーク24、24の先端側を構成する高飽和磁化材料からなる部分(図1中のハッチング領域)のギャップ長方向の長さ(L)は、FLと同程度で良い。
【0048】
なお、図1には、薄膜ヨーク24、24の先端に形成された平行部24bの一部が高飽和磁化材料で構成されている図が示されているが、これは単なる例示であり、平行部24b全体が高飽和磁化材料で構成されていても良い。あるいは、平行部24bを越える領域が高飽和磁化材料で構成されていても良い。さらに、平行部24bを備えていない薄膜ヨーク24、24の先端部分が高飽和磁化材料で構成されていても良い。
【0049】
また、この第7条件は、上述した第1〜第6条件のすべて組み合わせて用いても良い。
【0050】
さらに、上述した第1条件から第6条件まで、あるいは、第1条件から第7条件までに加えて、薄膜ヨーク24、24の先端側の膜厚tに対するGMR膜26の膜厚(t)の比(t/t)が1以下という条件をさらに組み合わせても良い。t/t比を1以下とすると、薄膜ヨーク24、24からの漏れ磁束の最も強い磁界のみがGMR膜へ作用させることができ、結果的に高感度となる。高い磁界感度を得るためには、t/t比は、好ましくは、0.9以下であり、さらに好ましくは、0.8以下である。
【0051】
本実施の形態に係る薄膜磁気センサ20は、通常の薄膜積層技術を用いて製造することができる。すなわち、まず、絶縁基板の表面に、軟磁性材料からなる薄膜を堆積させ、エッチングにより上述した条件を満たす形状を備えた薄膜ヨーク24、24を形成する。次いで、ギャップ24a近傍を除いてマスクし、GMR膜26を堆積させ、さらに電極及び保護膜を形成すると、本実施の形態に係る薄膜磁気センサ20が得られる。
【0052】
あるいは、絶縁基板の表面に巨大磁気抵抗効果を有する材料からなる薄膜を堆積させ、エッチングにより所定の幅を有するGMR膜26を形成する。次いで、GMR膜26の両側に軟磁性材料からなる薄膜を堆積させ、エッチングにより上述した条件を満たす形状を備えた薄膜ヨーク24、24を形成し、さらに電極及び保護膜を形成すると、本実施の形態に係る薄膜センサ20が得られる。また、薄膜ヨーク24、24の先端に高飽和磁化材料を配置する場合には、軟磁性材料からなる薄膜の積層及びエッチングを所定回数繰り返せばよい。
【0053】
本実施の形態に係る薄膜磁気センサ20は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜の両端に軟磁性材料からなる薄膜ヨーク24、24が電気的に接続されているので、高い磁界感度を示す。しかも、薄膜ヨーク24、24及び/又はGMR膜26の形状が最適化されているので、従来の薄膜磁気センサに比べて高い磁界感度を示す。
【0054】
【実施例】
(実験1)
無アルカリガラスからなる絶縁基板表面に、パーマロイ(81%Ni−Fe、透磁率μ=4000、飽和磁化Ms=10(kGauss))からなる軟磁性薄膜、及びFeCo−MgFからなるGMR膜を所定の順序で積層させることにより、図1に示す形状を有する薄膜磁気センサを作製した。
【0055】
なお、本実験においては、薄膜ヨーク24、24の先端側の膜厚(t)及び後端側の膜厚(t)は、いずれも0.5μmとした。また、薄膜ヨーク24、24の後端部の横幅Wに対するギャップ長方向の長さ(L)の比(L/W)は、1とした。また、S/S比は、0.1とし、(W×t/L)比は、0.0055とし、FL/GL比は、10とし、外壁角度θは、70°とし、W/W比は、0.9とし、t/t比は、0.5とした。さらに、本実験においては、GL/t比は、0.1から100まで変化させた。
【0056】
得られた薄膜磁気センサ20に対し、ギャップ長方向に2(Oe)の外部磁界を作用させ、電気抵抗変化率△R/R(%)(但し、△R=R(1Oe)−R(0Oe)、R=R(0Oe))を測定した。図2に、その結果を示す。図2より、GL/t比が小さくなるほど、電気抵抗変化率が大きくなることがわかる。これは、GL/t比が小さくなるほど、薄膜ヨーク24、24先端から空間への磁束の分散が抑制され、外部磁界により薄膜ヨーク内に発生した磁束がギャップ中のGMR膜に集中的に作用し、その電気抵抗が変化するためである。
【0057】
本実験の場合、GL/t比を20以下とすると、電気抵抗変化率は、0.1(%)を越えた。また、GL/t比を8以下とすると、電気抵抗変化率は、0.4%を越えた。さらに、GL/t比を3以下とすると、電気抵抗変化率は、1%を越えた。
【0058】
(実験2)
及びtを、それぞれ0.5μmとし、L/W比を1とし、GL/t比を5とし、(W×t/L)比を0.005とし、FL/GL比を10とし、外壁角度θを75°とし、W/W比を0.9とし、t/t比を0.5とし、S/S(=(W×t)/(W×t))比を0.01から5まで変化させた以外は、実験1と同一の手順に従い、薄膜磁気センサ20を作製した。
【0059】
得られた薄膜磁気センサ20に対し、ギャップ長方向に2(Oe)の外部磁界を作用させ、電気抵抗変化率を測定した。図3に、その結果を示す。図3より、S/S比が小さくなるほど、電気抵抗変化率が大きくなることがわかる。これは、S/S比が小さくなるほど、薄膜ヨーク24、24先端の磁束密度が高くなるためである。
【0060】
本実験の場合、S/S比を10以下とすると、電気抵抗変化率は、0.3(%)を越えた。また、S/S比を0.3以下とすると、電気抵抗変化率は、0.4(%)を越えた。さらに、S/S比を0.07以下とすると、電気抵抗変化率は、0.7(%)を越えた。
【0061】
(実験3)
及びtを、それぞれ0.5μmとし、L/W比を1とし、GL/t比を5とし、S/S比を0.1とし、FL/GL比を10とし、外壁角度θを75°とし、W/W比を0.9とし、t/t比を0.5とし、(W×t/L)比を5×10−6から2×10−1まで変化させた以外は、実験1と同一の手順に従い、薄膜磁気センサ20を作製した。
【0062】
得られた薄膜磁気20センサに対し、ギャップ長方向に2(Oe)の外部磁界を作用させ、電気抵抗変化率を測定した。図4に、その結果を示す。図4より、(W×t/L)比が約7×10−4以上の領域では、(W×t/L)比小さくなるほど、電気抵抗変化率が大きくなることがわかる。これは、(W×t/L)比が小さくなるほど、ギャップ長方向の反磁界が小さくなるためである。一方、(W×t/L)比が7×10−4以下の領域では、(W×t/L)比が小さくなるほど、電気抵抗変化率は若干低下した。これは、薄膜ヨーク24、24の長さ(L)が相対的に長くなりすぎると、薄膜ヨーク24、24から空間に分散する磁束が若干増大し、ギャップ磁界が相対的に低下するためである。
【0063】
本実験の場合、(W×t/L)比を0.01以下とすると、電気抵抗変化率は、0.2(%)を越えた。また、(W×t/L)比を0.002以下とすると、電気抵抗変化率は、0.3(%)を越えた。
【0064】
(実験4)
及びtを、それぞれ0.5μmとし、L/W比を2.0とし、GL/t比を5とし、S/S比を0.2とし、(W×t/L)比を0.0003とし、外壁角度θを79°とし、W/W比を0.9とし、t/t比を0.5とし、FL/GL比を0、10又は40とした以外は、実験1と同一の手順に従い、薄膜磁気センサ20を作製した。
【0065】
得られた薄膜磁気センサ20に対し、ギャップ長方向に2(Oe)の外部磁界を作用させ、電気抵抗変化率を測定した。図5に、その結果を示す。図5より、FL/GL比が10前後において、電気抵抗変化率が極大を示すことが分かる。これは、FL/GL比が大きくなるほど、薄膜ヨーク24、24の先端から漏れる磁束が少なくなるが、FL/GL比が相対的に大きくなりすぎると、平行部24b、24bから空間に分散する磁束が増大するためである。
【0066】
(実験5)
及びtを、それぞれ0.5μmとし、L/W比を2.0とし、GL/t比を5とし、S/S比を0.2とし、(W×t/L)比を0.0003とし、FL/GL比を20とし、W/W比を0.9とし、t/t比を0.5とし、外壁角度θを12°、50°又は87°とした以外は、実験1と同一の手順に従い、薄膜磁気センサ20を作製した。
【0067】
得られた薄膜磁気センサ20に対し、ギャップ長方向に2(Oe)の外部磁界を作用させ、電気抵抗変化率を測定した。図6に、その結果を示す。図6より、外壁角度θが40°を越えると、電気抵抗変化率が急激に増加することが分かる。これは、薄膜ヨーク24、24の先端に所定のFL/GLを有する平行部24b、24bを備えている場合において、外壁角度θが40°を越えると、薄膜ヨーク24、24先端から空間への磁束の分散が抑制されると同時に、薄膜ヨーク24、24先端の磁束密度が増大するためである。
【0068】
(実験6)
及びtを、それぞれ、0.5μmとし、L/W比を2とし、GL/t比を5とし、S/S比を0.2とし、t/t比を0.6とし、(W×t/L)比を0.0005とし、FL/GL比を10とし、W/W比を0.2〜1.6まで変化させた以外は、実験1と同一の手順に従い、薄膜磁気センサ20を作製した。
【0069】
得られた薄膜磁気センサ20に対し、ギャップ長方向に2(Oe)の外部磁界を作用させ、電気抵抗変化率を測定した。図7に、その結果を示す。図7より、W/W比が1より大きくなると、急激に電気抵抗変化率が低下することがわかる。これは、ギャップの外にはみ出たGMR膜には、ギャップ中より弱い磁界しか印加されないためである。
【0070】
(実験7)
及びtを、それぞれ、0.5μmとし、L/W比を2とし、GL/t比を5とし、S/S比を0.2とし、t/t比を0.7とし、(W×t/L)比を0.0005とし、FL/GL比を10とし、W/W比を0.9とし、薄膜ヨークのFL部分を、パーマロイ(飽和磁化Ms=10(kGauss))より飽和磁化の大きなCoFeSiB系アモルファススパッタ膜により形成した以外は、実験1と同一の手順に従い、薄膜磁気センサ20を作製した。
【0071】
なお、このCoFeSiB系アモルファススパッタ膜の組成を変え、飽和磁化Msが、それぞれ、12(kGauss)(試料No.2)及び15(kGauss)(試料No.3)の2種類を作製した。また、比較のため、FL部分が薄膜ヨーク本体と同一組成のパーマロイからなるもの(試料No.1)も作製した。
【0072】
得られた薄膜磁気センサ20に対し、ギャップ長方向に2(Oe)の外部磁界を作用させ、電気抵抗変化率を測定した。表1に、その結果を示す。表1より、FL部の飽和磁化が大きくなるほど、電気抵抗変化率が大きくなることがわかる。これは、FL部の飽和磁化を大きくすることによって、薄膜ヨーク先端部分の磁束を増大でき、かつ磁気抵抗も小さくなるためである。
【0073】
【表1】
Figure 0004334914
【0074】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0075】
例えば、GMR膜とその両端に配置された薄膜ヨークとを備えた本発明に係る素子は、磁気センサとして特に好適であるが、本発明に係る素子の用途は、これに限定されるものではなく、磁気メモリ、磁気ヘッド等としても用いることができる。
【0076】
また、上記実施の形態では、薄膜ヨーク24、24の後端側を相対的に飽和磁化の小さい軟磁性材料で構成し、先端側を相対的に飽和磁化の大きい材料で構成した例について説明したが、薄膜ヨーク24、24を3種類以上の軟磁性材料からなる連続体で構成し、薄膜ヨーク24、24の後端側から先端側に向かって、飽和磁化Msを多段階に増大させても良い。
【0077】
【発明の効果】
本発明に係る薄膜磁気センサは、GMR膜の両端に軟磁性材料からなる薄膜ヨークが配置されていることに加えて、薄膜ヨークの形状及び材質、並びにGMR膜の形状が最適化されているので、従来の薄膜磁気センサに比べて、高い磁界感度を示すという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)及び図1(b)は、本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図、及び正面図である。
【図2】 GL/t比と、外部磁界2(Oe)を作用させたときの電気抵抗変化率との関係を示す図である。
【図3】 W×t/W×t比と、外部磁界2(Oe)を作用させたときの電気抵抗変化率との関係を示す図である。
【図4】 (W×t/L)比と、外部磁界2(Oe)を作用させたときの電気抵抗変化率との関係を示す図である。
【図5】 FL/GL比と、外部磁界2(Oe)を作用させたときの電気抵抗変化率との関係を示す図である。
【図6】 外壁角度θと、外部磁界2(Oe)を作用させたときの電気抵抗変化率との関係を示す図である。
【図7】 W/W比と、外部磁界2(Oe)を作用させたときの電気抵抗変化率との関係を示す図である。
【符号の説明】
20 薄膜磁気センサ
24 薄膜ヨーク
24a ギャップ
26 GMR膜

Claims (2)

  1. 軟磁性材料からなり、かつギャップを介して対向させた一対の薄膜ヨークと、
    該一対の薄膜ヨークと電気的に接続されるように前記ギャップ間に形成された、前記軟磁性材料より高い電気比抵抗を有するGMR膜と、
    前記薄膜ヨーク及び前記GMR膜を支持する絶縁性・非磁性材料からなる絶縁基板とを備えた磁気センサであって、
    の条件を備えていることを特徴とする薄膜磁気センサ。
    (1)前記GMR膜と接する前記薄膜ヨークの先端側の膜厚(t )に対する前記ギャップのギャップ長(GL)の比(GL/t )が20以下である。
    (2)前記薄膜ヨークの後端側の断面積(S )に対する前記薄膜ヨークの先端側の断面積(S )の比(S /S )が1未満である。
    (3)前記薄膜ヨークのギャップ長方向の長さ(L)の2乗に対する、前記薄膜ヨークの横幅の平均値(W)及び前記薄膜ヨークの膜厚の平均値(t)の積の比(W×t/L)が0.01以下である(但し、W=(W+W)/2、t=(t+t)/2。W及びWは、それぞれ、前記薄膜ヨークの先端側及び後端側の横幅、tは、前記薄膜ヨークの後端側の膜厚。)。
    (4)前記GMR膜と接する前記薄膜ヨークの先端に一定の横幅を有する平行部を備え、前記ギャップのギャップ長(GL)に対する前記平行部のギャップ長方向の長さ(FL)の比(FL/GL)が20以下である。
    (5)前記薄膜ヨークは、その後端側から先端側に向かってその横幅が直線的に減少するテーパ状の外壁を備え、前記ギャップ長方向に対する前記外壁の角度(θ)が40°以上90°以下である。
    (6)前記薄膜ヨークの先端側の横幅(W )に対する前記GMR膜の横幅(W )の比(W /W )が1以下である。
  2. さらに、次の条件を備えていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気センサ。
    (7)前記GMR膜と接する前記薄膜ヨークの先端部分が、後端側部分より飽和磁化の大きい軟磁性材料からなる。
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