JP2009229380A - 薄膜磁気センサ - Google Patents

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恵史 小山
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Abstract

【課題】GMR膜を用いた薄膜磁気センサにおいて、高磁界と低磁界の双方を適切な分解能で同時に測定することが可能な磁気センサを提供すること。
【解決手段】巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、前記GMR膜の一端に電気的に接続された第1軟磁性材料からなる第1薄膜ヨークと、前記GMR膜の他端に電気的に接続された第2軟磁性材料からなる第2薄膜ヨークとを備え、前記第1薄膜ヨークは、見かけの透磁率が前記第2薄膜ヨークとは異なる薄膜磁気センサ。
【選択図】図3

Description

本発明は、薄膜磁気センサに関し、さらに詳しくは、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位コンパスなどに好適な薄膜磁気センサに関する。
磁気センサは、電磁気力(例えば、電流、電圧、電力、磁界、磁束など。)、力学量(例えば、位置、速度、加速度、変位、距離、張力、圧力、トルク、温度、湿度など。)、生化学量等の被検出量を、磁界を介して電圧に変換する電子デバイスである。磁気センサは、磁界の検出方法に応じて、ホールセンサ、異方的磁気抵抗(AMR: Anisotropic Magneto-Resistiity)センサ、巨大磁気抵抗(GMR: Gaiant MR)センサ等に分類される。
これらの中でもGMRセンサは、
(1)AMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ(△ρ=ρ−ρ:ρは、外部磁界Hにおける電気比抵抗、ρは、外部磁界ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、
(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、
(3)巨大磁気抵抗効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、
等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されているものである。
GMR効果を示す材料としては、強磁性層(例えば、パーマロイ等)と非磁性層(例えば、Cu、Ag、Au等)の多層膜、あるいは、反強磁性層、強磁性層(固定層)、非磁性層及び強磁性層(自由層)の4層構造を備えた多層膜(いわゆる、「スピンバルブ」)からなる金属人工格子、強磁性金属(例えば、パーマロイ等)からなるnmサイズの微粒子と、非磁性金属(例えば、Cu、Ag、Au等)からなる粒界相とを備えた金属−金属系ナノグラニュラー材料、スピン依存トンネル効果によってMR(Magneto-Resistivity)効果が生ずるトンネル接合膜、nmサイズの強磁性金属合金微粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相とを備えた金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料等が知られている。
これらの内、スピンバルブに代表される多層膜は、一般に、低磁界における感度が高いという特徴がある。しかしながら、多層膜は、種々の材料からなる薄膜を高精度で積層する必要があるために、安定性や歩留まりが悪く、製作コストを抑えるには限界がある。そのため、この種の多層膜は、専ら付加価値の大きなデバイス(例えば、ハードディスク用の磁気ヘッド)にのみ用いられ、単価の安いAMRセンサやホールセンサとの価格競争を強いられる磁気センサに応用するのは困難であると考えられている。また、多層膜間の拡散が生じやすく、GMR効果が消失しやすいため、耐熱性が悪いという大きな欠点がある。
一方、ナノグラニュラー材料は、一般に、作製が容易で、再現性も良い。そのため、これを磁気センサに応用すれば、磁気センサを低コスト化することができる。特に、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、
(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、
(2)電気比抵抗ρが桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と低消費電力化が同時に実現可能である、
(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、
等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁界における磁界感度が非常に小さいという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、特許文献1には、巨大磁気抵抗薄膜の両端に軟磁性薄膜を配置し、巨大磁気抵抗薄膜の磁界感度を上げる点が記載されている。また、同文献には、基板上に膜厚2μmのパーマロイ薄膜(軟磁性膜)を形成し、パーマロイ薄膜にイオンビームエッチング装置を用いて幅約9μmの隙間を作製し、隙間の部分にCo38.641.047.4組成を有するナノグラニュラーGMR膜を積層する薄膜磁気センサの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、巨大磁気抵抗薄膜の両端に軟磁性薄膜を配置した薄膜磁気抵抗素子において、磁界感度をさらに向上させるために、巨大磁気抵抗薄膜の膜厚を軟磁性薄膜の膜厚以下とする点が記載されている。
特開平11−087804号公報 特開平11−274599号公報
大きな飽和磁化を有し、透磁率の高い軟磁性材料は、磁界感度が極めて高く、相対的に弱い外部磁界で極めて大きな磁化を示す。そのため、GMR膜の両端に軟磁性材料からなる薄膜ヨークを近づけると、外部磁界が薄膜ヨークによって増幅され、GMR膜には、外部磁界の100〜10000倍の強い磁界が作用する。その結果、GMR膜の磁界感度を著しく大きくすることができる。
また、GMR膜に発生する磁界の強さは、薄膜ヨークの形状にも依存し、薄膜ヨークの形状を細長くするほど、GMR膜には強い磁界が発生する。これは、薄膜ヨークの形状を細長くすることによって、感磁方向の反磁界が小さくなるためである。なお、「感磁方向」とは、GMR膜の磁界感度が最大となるときの外部磁界印加方向をいう。
ここで、磁気センサは、一般に、検出素子を直交配置したブリッジ又はハーフブリッジにより構成されている。また、磁気センサは、通常、使用磁場範囲内で直線的な出力特性が得られるものが選定される。GMR膜を用いた磁気センサの最大出力は、GMR膜の材料の物性で決まるので、磁場検出感度は、薄膜ヨークの形状磁気異方性(反磁界)で決定される。そのため、広い磁場範囲で使用する場合には、その分、磁場分解能が悪くなる。逆に、磁場分解能の良いセンサは、小さな磁場で飽和してしまうので、微少な磁場範囲内でしか使用することができない。
例えば、磁性体の磁気特性を測定するような場合、磁化が飽和するような強磁界領域はラフに測定し、磁化が急激に変動する保磁力付近は、精密に測定するのが望ましい。このような場合の磁場測定には、高磁界用と低磁界用の2種類の磁気センサを組み合わせて使用する必要がある。しかしながら、2種類のセンサを使用することは、設置スペースが2倍以上必要になるため、微少領域の磁場測定が困難になり、コスト面からも好ましくない。
本発明が解決しようとする課題は、GMR膜を用いた薄膜磁気センサにおいて、高磁界と低磁界の双方を適切な分解能で同時に測定することが可能な磁気センサを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る薄膜磁気センサは、
巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、
前記GMR膜の一端に電気的に接続された第1軟磁性材料からなる第1薄膜ヨークと、
前記GMR膜の他端に電気的に接続された第2軟磁性材料からなる第2薄膜ヨークとを備え、
前記第1薄膜ヨークは、見かけの透磁率が前記第2薄膜ヨークとは異なる
ことを要旨とする。
薄膜磁気センサに外部磁界が作用すると、第1薄膜ヨーク及び第2薄膜ヨークの双方で外部磁界が増幅され、増幅された磁界が、それぞれ、GMR膜に作用する。すなわち、GMR膜に作用する磁界は、第1薄膜ヨークで増幅された磁界と第2薄膜ヨークで増幅された磁界の和となる。
第1薄膜ヨークと第2薄膜ヨークの見かけの透磁率を非同一にした場合において、薄膜磁気センサに低磁界が作用したときには、外部磁界Hに応じて、双方の薄膜ヨークの磁化が変化する。見かけの透磁率が大きい薄膜ヨークは、微少な外部磁界でも磁化が大きく変化する。その作用として、ギャップ内に大きな磁化が生ずる。そのため、低磁界領域の磁気特性を高精度に測定することができる。
一方、見かけの透磁率が小さい薄膜ヨークは、微少な外部磁界に対する磁化の変化量は少ないものの、広い外部磁界の範囲で磁化が変化する。従って、薄膜磁気センサに高磁界が作用すると、やがて見かけの透磁率が大きい薄膜ヨークの磁化が先に飽和し、それ以降は、見かけの透磁率が小さい薄膜ヨークの磁化のみが外部磁界に応じて変化する。そのため、高磁界領域の磁気特性を広範囲に渡って測定することができる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 薄膜磁気センサ]
本発明に係る薄膜磁気センサは、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、GMR膜の一端に電気的に接続された第1軟磁性材料からなる第1薄膜ヨークと、GMR膜の他端に電気的に接続された第2軟磁性材料からなる第2薄膜ヨークとを備えている。
[1.1 GMR膜]
GMR膜は、外部磁界の変化を電気抵抗Rの変化として感じ、結果的に電圧の変化として検出するためのものであり、巨大磁気抵抗(GMR)効果を有する材料からなる。外部磁界の変化を高い感度で検出するためには、GMR膜のMR比の絶対値は、大きいほど良い。GMR膜のMR比の絶対値は、具体的には、5%以上が好ましく、さらに好ましくは、10%以上である。
また、GMR膜は、薄膜ヨークと直接、電気的に接続されるので、GMR膜には、薄膜ヨークより高い電気比抵抗ρを有するものが用いられる。一般に、GMR膜の電気比抵抗ρが小さすぎると、薄膜ヨーク間が電気的に短絡するので好ましくない。一方、GMR膜の電気比抵抗ρが高すぎる場合には、ノイズが増加し、外部磁界の変化を電圧変化として検出するのが困難となる。GMR膜の電気比抵抗ρは、具体的には、103μΩcm以上1012μΩcm以下が好ましく、さらに好ましくは、104μΩcm以上1011μΩcm以下である。
このような条件を満たす材料には、種々の材料があるが、中でも上述した金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料が特に好適である。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比と高い電気比抵抗ρを有するだけでなく、僅かな組成変動によってMR比が大きく変動することがないので、安定した磁気特性を有する薄膜を、再現性良く、かつ低コストで作製することができるという利点がある。
GMR膜として用いられる金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料としては、具体的には、
(1)Co−Y23系ナノグラニュラー合金、Co−Al23系ナノグラニュラー合金、Co−Sm23系ナノグラニュラー合金、Co−Dy23系ナノグラニュラー合金、FeCo−Y23系ナノグラニュラー合金等の酸化物系ナノグラニュラー合金、
(2)Fe−MgF2、FeCo−MgF2、Fe−CaF2、FeCo−AlF3等のフッ化物系ナノグラニュラー合金、
などがある。
GMR膜の形状及び寸法は、特に限定されるものではなく、目的とする磁界感度が得られるように定める。一般に、抵抗値は抵抗体の長さに比例し、断面積に反比例するので、GMR膜の膜厚を薄くしたり、長さを短く、あるいは横幅を狭くするほど、電気抵抗Rを大きくすることができる。この電気抵抗Rを大きくすることにより、デバイスの消費電力を下げることができる。しかし、GMR膜の電気抵抗Rが高くなりすぎると、増幅器との間でインピーダンス不良を起こす場合がある。
[1.2 薄膜ヨーク]
薄膜ヨークは、ギャップを介して対向しており、GMR膜は、ギャップ内又はその近傍において、薄膜ヨークと電気的に接続される。
ここで、「ギャップ近傍」とは、薄膜ヨーク先端に発生する増幅された大きな磁界の影響を受ける領域をいう。薄膜ヨーク間に発生する磁界は、ギャップ内が最も大きくなるので、GMR膜は、ギャップ内に形成するのが最も好ましいが、GMR膜に作用する磁界が実用上十分な大きさであるときは、その全部又は一部がギャップ外(例えば、薄膜ヨークの上面側又は下面側)にあっても良いことを意味する。
薄膜ヨークは、GMR膜の磁界感度を高めるためのものであり、軟磁性材料からなる。弱磁界に対する高い磁界感度を得るためには、薄膜ヨークには、透磁率(真の透磁率)μ及び/又は飽和磁化Msの高い材料を用いるのが好ましい。具体的には、その透磁率μは、100以上が好ましく、さらに好ましくは、1000以上である。また、その飽和磁化Msは、5(kGauss)以上が好ましく、さらに好ましくは、10(kGauss)以上である。
薄膜ヨークの材質としては、具体的には、パーマロイ(40〜90%Ni−Fe合金)、センダスト(Fe74Si9Al17)、ハードパーム(Fe12Ni82Nb6)、Co88Nb6Zr6アモルファス合金、(Co94Fe6)70Si1515アモルファス合金、ファインメット(Fe75.6Si13.28.5Nb1.9Cu0.8)、ナノマックス(Fe83HF611)、Fe85Zr105合金、Fe93Si34合金、Fe711118合金、Fe71.3Nd9.619.1ナノグラニュラー合金、Co70Al1020ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al1020合金等が好適である。
薄膜ヨークは、外部磁界を増幅させ、GMR膜の磁界感度を高める作用がある。この増幅作用は、薄膜ヨークの材質だけでなく、形状を最適化することによっても高めることができる。
さらに、左右の薄膜ヨーク(第1薄膜ヨーク、第2薄膜ヨーク)の形状及び材質(第1軟磁性材料、第2軟磁性材料)を最適化し、左右の薄膜ヨークの見かけの透磁率を非同一にすると、低磁界領域は高精度に、かつ、高磁界領域はラフであるが広範囲に渡って計測可能な磁気センサが得られる。
ここで、「見かけの透磁率」とは、反磁界を含んだ磁化曲線の傾きをいい、反磁界のない材料物性である「真の透磁率」とは異なる。薄膜ヨークの材料や形状を変化させると、薄膜ヨークの真の透磁率及び/又は反磁界係数が変化し、見かけの透磁率を制御することができる。
左右の薄膜ヨークの見かけの透磁率を非同一にした場合、見かけの透磁率が相対的に大きい薄膜ヨークは、主として低感度領域を高精度に計測するために機能する。一方、見かけの透磁率が相対的に小さい薄膜ヨークは、主として高磁界領域をラフではあるが広範囲に計測するために機能する。
左右の薄膜ヨーク(第1薄膜ヨーク、第2薄膜ヨーク)の見かけの透磁率を変化させる方法としては、以下のような方法がある。
(1)第1薄膜ヨークを構成する第1軟磁性材料及び第2薄膜ヨークを構成する第2軟磁性材料として同一材料を用い、第1薄膜ヨークの感磁方向の長さと第2薄膜ヨークの感磁方向の長さを非同一にする第1の方法。
(2)第1薄膜ヨークを構成する第1軟磁性材料及び第2薄膜ヨークを構成する第2軟磁性材料として同一材料を用い、第1薄膜ヨークに、感磁方向に対して垂直方向の長さ(幅)が第2薄膜ヨークの幅とは異なる部分を持たせる第2の方法。例えば、一方のヨークにのみ切り欠きを設ける場合がこれに該当する。「切り欠き」とは、薄膜ヨークの一部分を切除した部分をいい、例えば、
(a)一定の幅で薄膜ヨークを切除する切り欠き(スリット)、
(b)くさび形に薄膜ヨークを切除する切り欠き、
(c)薄膜ヨークに段差をつけるための切り欠き、
(d)凹面状に薄膜ヨークを切除する切り欠き、
などがある。
(3)第1の方法と第2の方法とを組み合わせる第3の方法。
(4)第1薄膜ヨークと第2薄膜ヨークを同一形状とし、第1軟磁性材料として第2軟磁性材料とは真の透磁率が異なる材料を用いる第4の方法。
(5)第1薄膜ヨークと第2薄膜ヨークの形状を非同一とし、かつ、第1軟磁性材料として第2軟磁性材料とは真の透磁率が異なる材料を用いる第5の方法。
なお、本発明に係る薄膜磁気センサは、単独で使用することもできるが、複数個の薄膜磁気センサを電気的に接続して使用しても良い。
例えば、2個の薄膜磁気センサを直列に接続し、かつ、2個の薄膜センサの感磁軸が互いに直交するように配置しても良い(ハーフブリッジ)。このような構成を取ると、中点電位を計測することによって、温度による基準電位の変動の影響を受けることなく、外部磁界を検出することができる。
また、例えば、4個の薄膜磁気センサを用いて、ブリッジ回路を構成しても良い(フルブリッジ)。ブリッジ回路を構成すると、中点電位の差分を取ることによって、その出力を、2個の薄膜磁気センサを用いた場合の2倍にすることができる。
[2. 具体例]
[2.1 具体例1]
図1に、本発明に係る薄膜磁気センサの第1の具体例を示す。図1において、薄膜磁気センサ10は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜12と、GMR膜12の一端に電気的に接続された第1軟磁性材料からなる第1薄膜ヨーク14aと、GMR膜12の他端に電気的に接続された第2軟磁性材料からなる第2薄膜ヨーク14bとを備えている。
図1に示す例において、第1薄膜ヨーク14a及び第2薄薄膜ヨーク14bは、同一の材料からなり、感磁方向に対して垂直方向の長さ(幅W)は同一になっている。一方、第1薄膜ヨーク14aの感磁方向の長さL1は、第2薄膜ヨーク14bの感磁方向の長さL2より長くなっている。そのため、第1薄膜ヨーク14aの見かけの透磁率は、第2薄膜ヨーク14bより大きくなっている。
[2.2 具体例2]
図2に、本発明に係る薄膜磁気センサの第2の具体例を示す。図2において、薄膜磁気センサ20は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜22と、GMR膜22の一端に電気的に接続された第1軟磁性材料からなる第1薄膜ヨーク24a、GMR膜22の他端に電気的に接続された第2軟磁性材料からなる第2薄膜ヨーク24bとを備えている。
図2に示す例において、第1薄膜ヨーク24b及び第2薄膜ヨーク24bは、同一の材料からなる。
一方、第1薄膜ヨーク24aはT字型を呈しているのに対し、第2薄膜ヨーク24bは四角形になっている。T字型を呈する第1薄膜ヨーク24aの縦棒部分の長さL1及び横棒部分の長さL2、並びに、第2薄膜ヨーク24bの長さL3は、L1>L2>L3になっている。さらに、第1薄膜ヨーク24aの縦棒部分の幅W1及び横棒部分の幅W2、並びに、第2薄膜ヨーク24bの幅W3は、W1<W2=W3になっている。
そのため、見かけの透磁率は、第1薄膜ヨーク24aの縦棒部分>第1薄膜ヨーク24aの横棒部分>第2薄膜ヨーク24bの順になっている。
[3. 薄膜磁気センサの製造方法]
本発明に係る薄膜磁気センサは、フォトリソグラフィ技術を用いて、各薄膜を所定の順序で積層することにより得られる。
この場合、各薄膜の形成方法として、スパッタリング、真空蒸着といった各種PVD、めっき、CVD等の公知の方法を用いることができる。
また、所定の形状を有する薄膜は、
(1)基板表面全面に、所定の組成を有する薄膜を形成し、所定の形状パターンに従って、薄膜の不要部分をエッチング(例えば、Arイオンビームエッチング、薬品によるウエットエッチング、あるいは反応性エッチングなど)により除去する方法、あるいは、
(2)基板表面にフォトレジスト等を用いて、所定の形状パターンを有するマスクを形成し、マスクの表面全体に所定の組成を有する薄膜を形成し、マスクを除去する方法、
により作製することができる。
[4. 薄膜磁気センサの作用]
磁性体の内部は、小さな磁区に分かれており、外部磁界Hがゼロの状態では、各磁区の磁化はバラバラの方向を向いている。そのため、磁性体全体では、磁化Mはゼロとなる。この磁性体に外部磁界Hが作用すると、外部磁界Hが大きくなるに従い、磁性体の磁化Mが磁界方向に揃ってくる。外部磁界が臨界値(Hk)に達したときには、磁性体の磁化方向と磁界方向が完全に平行になり、それ以上外部磁界Hを大きくしても、磁性体の磁化Mは増えなくなる(飽和する)。
GMR膜の両端に軟磁性材料からなる薄膜ヨークを配置した場合において、外部磁界Hによって薄膜ヨークが磁化すると、薄膜ヨークは、磁化Mの強さに比例した磁界を発生させる。すなわち、薄膜ヨークで外部磁界が増幅され、増幅された磁界がギャップ内のGMR膜に作用する。薄膜磁気センサにおいては、GMR膜の両端に一対の薄膜ヨーク(第1薄膜ヨーク及び第2薄膜ヨーク)が配置されるので、GMR膜に作用する磁界Hgapは、第1薄膜ヨークで増幅された磁界と第2薄膜ヨークで増幅された磁界の和となる。
従来の薄膜磁気センサにおいて、左右の薄膜ヨークは、材質及び形状が同一であり、見かけの透磁率が同一になっている。そのため、左右の薄膜ヨークの磁化Mは、同一の外部磁界Hkで飽和する。その結果、ギャップ内の磁界Hgapは、外部磁界がHkに達するまで、ほぼ直線的に変化する。
これに対し、左右の薄膜ヨークの材質及び/又は形状を非同一とし、見かけの透磁率を非同一にすると、左右の薄膜ヨークの磁化Mは、互いに異なる外部磁界Hkで飽和する。その結果、外部磁界Hの強さに対するギャップ内の磁界Hgapの傾きが、外部磁界Hの強さに応じて変化する。
図3(a)に、第1薄膜ヨークの見かけの透磁率が第2薄膜ヨークより大きい場合における、各薄膜ヨークの磁化曲線(M−Hカーブ)の模式図を示す。なお、図3(a)中、H1kは、第1薄膜ヨークの磁化M1が飽和する時の外部磁界を表し、H2kは、第2薄膜ヨークの磁化M2が飽和する時の外部磁界を表す。
また、図3(b)に、このような場合における、外部磁界に応じて薄膜ヨークが磁化する過程の模式図を示す。さらに、図3(c)に、このような場合における、外部磁界Hと、第1薄膜ヨーク−第2薄膜ヨーク間のギャップ内に発生する磁界Hgapとの関係を示す。
外部磁界HがゼロからH1kまでの間(低磁界領域)にある場合、第1薄膜ヨークの磁化M1の強さ及び第2薄膜ヨークの磁化M2の強さは、それぞれ、外部磁界Hの強さに応じて変化する。一方、外部磁界がH1kからH2kまでの間(高磁界領域)にある場合、第1薄膜ヨークの磁化M1は既に飽和しており、見かけの透磁率が小さい第2薄膜ヨークの磁化M2の強さのみが、外部磁界Hの強さに応じて変化する。
その結果、ギャップ内の磁界Hgapは、2つの磁化曲線の合成曲線に比例し、図3(c)に示すように、H1kの前後で合成曲線の傾きが変化する。
従って、第1薄膜ヨークの見かけの透磁率を第2薄膜ヨークより大きくした場合において、薄膜磁気センサに低磁界が作用したときには、外部磁界に応じて双方の薄膜ヨークの磁化が変化する。見かけの透磁率が大きい薄膜ヨークは、微少な外部磁界でも磁化が大きく変化する。その作用として、ギャップ内に大きな磁化が生ずる。そのため、低磁界領域の磁気特性を高精度に測定することができる。
一方、見かけの透磁率が小さい薄膜ヨークは、微少な外部磁界に対する磁化の変化量は少ないものの、広い外部磁界の範囲で磁化が変化する。従って、薄膜磁気センサに高磁界が作用すると、やがて見かけの透磁率が大きい第1薄膜ヨークの磁化M1が先に飽和し、それ以降は、見かけの透磁率が小さい第2薄膜ヨークの磁化M2のみが外部磁界に応じて変化する。そのため、高磁界領域の磁気特性を広範囲に渡って測定することができる。
さらに、薄膜ヨークに段差や切り欠きを設けると、薄膜ヨークは、反磁界係数が小さく、感度の大きい領域(高感度部)と、反磁界係数が大きく、感度の小さい領域(低感度部)が電気的に直列に接続された状態となる。その結果、見かけの透磁率が異なる2つのヨークが電気的に直列に接続された状態となり、ヨークの磁化曲線が2段階に変化する。
このような薄膜ヨークをGMR膜の片側又は両側に配置すると、各部の見かけの透磁率の大きさに応じて、外部磁界Hに対するギャップ内の磁界Hgapの傾きを多段階に変化させることができる。そのため、外部磁界の強さに応じて、薄膜磁気センサの感度を多段階に変化させることができる。
同様に、左右の薄膜ヨークの材質を変えると、その形状が同一であっても、左右の薄膜ヨークの見かけの透磁率を変化させることができる。また、左右の薄膜ヨークの材質を変えると同時に、形状も変えると、その材質及び形状に応じて、見かけの透磁率を多段階に変化させることができる。そのため、外部磁界の強さに応じて、薄膜磁気センサの感度を多段階に変化させることができる。
(実施例1)
図1に示す薄膜磁気センサ10を作製し、MR特性を評価した。なお、GMR膜12には、FeCo−MgF2ナノグラニュラー合金を用い、第1、第2薄膜ヨーク14a、14bには、(Co94Fe6)70Si1515アモルファス合金を用いた。
また、第1、第2薄膜ヨーク14a、14bの各部の寸法は、以下の通りである。薄膜ヨークの厚さは、1μmとした。
第1薄膜ヨーク14aの長さL1×幅W:100μm×30μm
第2薄膜ヨーク14bの長さL2×幅W: 20μm×30μm
図4に、得られた薄膜磁気センサのMR特性を示す。図4より、|H|≦100(Oe)の低磁界領域の傾きが大きく、|H|>100(Oe)の高磁界領域の傾きが小さくなっていることがわかる。これは、低磁界領域は高精度に、高磁界領域はラフではあるが広範囲に渡って、磁界を測定できることを示している。
(実施例2)
図2に示す薄膜磁気センサ20を作製し、MR特性を評価した。なお、GMR膜22には、FeCo−MgF2ナノグラニュラー合金を用い、薄膜ヨーク24、24には、(Co94Fe6)70Si1515アモルファス合金を用いた。
また、第1、第2薄膜ヨーク24a、24bの各部の寸法は、以下の通りである。薄膜ヨークの厚さは、1μmとした。
第1薄膜ヨーク24aの縦棒部の長さL1×縦棒部の幅W1:100μm×10μm
第1薄膜ヨーク24aの横棒部の長さL2×横棒部の幅W2:40μm×30μm
第2薄膜ヨーク24bの長さL3×幅W3: 20μm×30μm
図5に、得られた薄膜磁気センサのMR特性を示す。図5より、|H|≦50(Oe)の低磁界領域、50<|H|≦200(Oe)の中磁界領域、|H|>200(Oe)の高磁界領域の順に、傾きが小さくなっていることがわかる。これは、低磁界領域は高精度に、中磁界領域は中程度の精度に、高磁界領域はラフではあるが広範囲に渡って、磁場を測定できることを示している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る薄膜磁気センサは、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位コンパスなどに用いることができる。
また、GMR膜とその両端に配置された薄膜ヨークを備えた磁気抵抗素子は、磁気センサとして特に好適であるが、磁気抵抗素子の用途は、これに限定されるものではなく、磁気メモリ、磁気ヘッド等としても用いることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図である。 図3(a)は、第1薄膜ヨークの見かけの透磁率が第2薄膜ヨークより大きい場合における、各薄膜ヨークの磁化曲線(M−Hカーブ)の模式図である。図3(b)は、このような場合における、外部磁界に応じて薄膜ヨークが磁化する過程の模式図である。図3(c)は、このような場合における、外部磁界Hと、第1薄膜ヨーク−第2薄膜ヨーク間のギャップ内に発生する磁界Hgapとの関係を示す図である。 図1に示す薄膜磁気センサのMR特性を示す図である。 図2に示す薄膜磁気センサのMR特性を示す図である。
符号の説明
10、20 薄膜磁気センサ
12、22 GMR膜
14a、24a 第1薄膜ヨーク
14b、24b 第2薄膜ヨーク

Claims (4)

  1. 巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、
    前記GMR膜の一端に電気的に接続された第1軟磁性材料からなる第1薄膜ヨークと、
    前記GMR膜の他端に電気的に接続された第2軟磁性材料からなる第2薄膜ヨークとを備え、
    前記第1薄膜ヨークは、見かけの透磁率が前記第2薄膜ヨークとは異なる
    薄膜磁気センサ。
  2. 前記第1軟磁性材料は、前記第2軟磁性材料と同一材料からなり、
    前記第1薄膜ヨークは、感磁方向の長さが前記第2薄膜ヨークとは異なる
    請求項1に記載の薄膜磁気センサ。
  3. 前記第1軟磁性材料は、前記第2軟磁性材料と同一材料からなり、
    前記第1薄膜ヨークは、感磁方向に対して垂直方向の長さ(幅)が前記第2薄膜ヨークとは異なる部分を持つ
    請求項1又は2に記載の薄膜磁気センサ。
  4. 前記第1薄膜ヨークは、前記第2薄膜ヨークと同一又は異なる形状を有し、
    前記第1軟磁性材料は、真の透磁率が前記第2軟磁性材料とは異なる材料からなる
    請求項1に記載の薄膜磁気センサ。
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