JP2011149825A - 薄膜磁気センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】GMR膜−薄膜ヨーク間の電気的及び磁気的コンタクトが良好であり、感度が良好で、製造中又は使用中に高温に曝されてもヒステリシスの増大が少ない薄膜磁気センサ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】以下の構成を備えた薄膜磁気センサ及びその製造方法。(1)前記薄膜磁気センサは、GMR膜12と、GMR膜12の両端に接続された薄膜ヨーク14a、14bとを備えている。(2)薄膜ヨーク14a、14bは、外側ヨーク16a、16bと、内側ヨーク18a、18bとを備えている。(3)外側ヨーク16a、16bは、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料からなり、成膜後かつGMR膜12成膜前に加熱することにより得られる。(4)内側ヨーク18a、18bの長さL2は、外側ヨーク16a、16bの厚さt1以上薄膜ヨーク14a、14bの全長の50%以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、薄膜磁気センサ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位コンパスなどに好適な薄膜磁気センサ及びその製造方法に関する。
磁気センサは、電磁気力(例えば、電流、電圧、電力、磁界、磁束など。)、力学量(例えば、位置、速度、加速度、変位、距離、張力、圧力、トルク、温度、湿度など。)、生化学量等の被検出量を、磁界を介して電圧に変換する電子デバイスである。磁気センサは、磁界の検出方法に応じて、ホールセンサ、異方的磁気抵抗(AMR: Anisotropic Magneto-Resistiity)センサ、巨大磁気抵抗(GMR: Giant MR)センサ等に分類される。
これらの中でもGMRセンサは、
(1)AMRセンサに比べて電気比抵抗の変化率の最大値(すなわち、MR比=△ρ/ρ(△ρ=ρ−ρ:ρは、外部磁界Hにおける電気比抵抗、ρは、外部磁界ゼロにおける電気比抵抗))が極めて大きい、
(2)ホールセンサに比べて抵抗値の温度変化が小さい、
(3)GMR効果を有する材料が薄膜材料であるために、マイクロ化に適している、
等の利点がある。そのため、GMRセンサは、コンピュータ、電力、自動車、家電、携帯機器等に用いられる高感度マイクロ磁気センサとしての応用が期待されている。
GMR効果を示す材料としては、強磁性層(例えば、パーマロイ等)と非磁性層(例えば、Cu、Ag、Au等)の多層膜、あるいは、反強磁性層、強磁性層(固定層)、非磁性層及び強磁性層(自由層)の4層構造を備えた多層膜(いわゆる、「スピンバルブ」)からなる金属人工格子、強磁性金属(例えば、パーマロイ等)からなるnmサイズの微粒子と、非磁性金属(例えば、Cu、Ag、Au等)からなる粒界相とを備えた金属−金属系ナノグラニュラー材料、スピン依存トンネル効果によってMR(Magneto-Resistivity)効果が生ずるトンネル接合膜、nmサイズの強磁性金属合金微粒子と、非磁性・絶縁性材料からなる粒界相とを備えた金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料等が知られている。
これらの内、スピンバルブに代表される多層膜は、一般に、低磁界における感度が高いという特徴がある。しかしながら、多層膜は、種々の材料からなる薄膜を高精度で積層する必要があるために、安定性や歩留まりが悪く、製作コストを抑えるには限界がある。そのため、この種の多層膜は、専ら付加価値の大きなデバイス(例えば、ハードディスク用の磁気ヘッド)にのみ用いられ、単価の安いAMRセンサやホールセンサとの価格競争を強いられる磁気センサに応用するのは困難であると考えられている。また、多層膜間の拡散が生じやすく、GMR効果が消失しやすいため、耐熱性が悪いという大きな欠点がある。
一方、ナノグラニュラー材料は、一般に、作製が容易で、再現性も良い。そのため、これを磁気センサに応用すれば、磁気センサを低コスト化することができる。特に、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、
(1)その組成を最適化すれば、室温において10%を越える高いMR比を示す、
(2)電気比抵抗ρが桁違いに高いので、磁気センサの超小型化と低消費電力化が同時に実現可能である、
(3)耐熱性の悪い反強磁性膜を含むスピンバルブ膜と異なり、高温環境下でも使用可能である、
等の利点がある。しかしながら、金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、低磁界における磁界感度が非常に小さいという問題がある。そのため、このような場合には、GMR膜の両端に軟磁性材料からなるヨークを配置し、GMR膜の磁界感度を上げることが行われる。
GMR膜の両端に軟磁性材料からなるヨークを配置した薄膜磁気センサ及びその製造方法については、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
(1)基板表面に突起を形成し、
(2)突起の両側に薄膜ヨークを形成し、
(3)突起先端面及びこれに隣接する薄膜ヨークの表面にGMR膜を形成する
薄膜磁気センサの製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、
(a)ギャップ長間に、均一な膜厚を有するGMR膜を形成できる点、及び、
(b)薄膜磁気センサの電気的及び磁気的特性が安定化する点、
が記載されている。
また、特許文献2には、GMR膜と基板の間にバリア層が形成された薄膜磁気センサが開示されている。
同文献には、GMR膜と基板の間にバリア層を設けると、アニール処理後のGMR膜の電気抵抗Rの変化率及び磁気抵抗変化率のアニールによる変化が、GMR膜単独の場合とほぼ同等になる点が記載されている。
さらに、特許文献3には、GMR膜の両端に軟磁性薄膜が形成され、さらに軟磁性薄膜の下面に硬磁性薄膜が形成された薄膜磁気センサが開示されている。
同文献には、硬磁性薄膜を用いて軟磁性薄膜にバイアス磁界を印加すると、外部磁界の大きさ及び極性を同時に検出できる点が記載されている。
特開2004−363157号公報 特開2006−351563号公報 特開2003−78187号公報
GMR膜の両端を薄膜ヨークで挟んだ磁気センサにおいて、GMR膜と薄膜ヨークとの間の良好な電気的及び磁気的コンタクトを得るためには、先にGMR膜を形成し、後から薄膜ヨークを形成するのが好ましい。また、この種の磁気センサにおいて、センサの感度は、主に薄膜ヨークの形状と磁気特性により決定される。薄膜ヨークに用いられる軟磁性材料は、アモルファス系の材料と、結晶系又は微結晶系の材料に大別される。
これらの内、アモルファス系の材料は、室温で成膜するだけで必要な性能が得られ、軟磁気特性を向上させるための熱処理が不要であるという特徴がある。しかしながら、磁気センサを実装する際には、半田リフローなどで高温(通常、250℃程度)に曝されることが多い。また、磁気センサの用途によっては、100℃程度の温度で長時間使用されることもある。そのため、アモルファス系の材料を用いた磁気センサにおいては、製造中又は使用中の加熱によりアモルファスの結晶化が進行し、ヒステリシスが増大するという問題がある。
一方、薄膜ヨークの材料として結晶系又は微結晶系の材料を用いると、このような問題を解決することができる。しかしながら、結晶系又は微結晶系の軟磁性膜は、一般に、良好な軟磁気特性(高い透磁率や低い保磁力など)を得るためには高温での熱処理が必要である。そのため、GMR膜及び薄膜ヨークをこの順に成膜する場合において、薄膜ヨークの軟磁気特性を向上させるための熱処理を行うと、熱処理によってGMR膜が破壊され、正常なセンサが得られないという問題がある。例えば、GMR膜がナノグラニュラー材料からなる場合、高温での熱処理により電気比抵抗ρが著しく増大し、MR比が著しく低下する。
本発明が解決しようとする課題は、GMR膜−薄膜ヨーク間の電気的及び磁気的コンタクトが良好であり、しかも、感度が良好な薄膜磁気センサ及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、製造中又は使用中に高温に曝されてもヒステリシスの増大が少ない薄膜磁気センサ及びその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、GMR膜がナノグラニュラー材料からなる場合であっても、感度低下やヒステリシスの増大が少ない薄膜磁気センサ及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る薄膜磁気センサは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記薄膜磁気センサは、
巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、
前記GMR膜の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる薄膜ヨークと
を備えている。
(2)前記薄膜ヨークは、
前記GMR膜に対して外側に設けられた第1の軟磁性材料からなる外側ヨークと、
前記GMR膜と前記外側ヨークとの間に設けられた第2の軟磁性材料からなる内側ヨークと
を備えている。
(3)前記第1の軟磁性材料は、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料からなり、
前記薄膜磁気センサは、
(a)前記外側ヨーク、前記GMR膜、及び、前記内側ヨークの順に成膜し、
(b)前記GMR膜を成膜する前に、前記外側ヨークの軟磁気特性を向上させるための熱処理を行うことにより得られるものからなる。
(4)前記内側ヨークの長さL2は、それぞれ、次の(a)式及び(b)式を満たす。
2/t1≧1 ・・・(a)
2×100/(L1+L2)≦50 ・・・(b)
但し、t1は前記外側ヨークの厚さ、L1は前記外側ヨークの長さ。
また、本発明に係る薄膜磁気センサの製造方法は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、前記GMR膜の両端に電気的に接続された薄膜ヨークとを備えた薄膜磁気センサの製造方法であって、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(1)基板表面に、前記薄膜ヨークの一部を構成する内側ヨークの長さL2がそれぞれ(a)式及び(b)式の関係を満たすように、第1の軟磁性材料からなる一対の外側ヨークを形成する外側ヨーク形成工程。
2/t1≧1 ・・・(a)
2×100/(L1+L2)≦50 ・・・(b)
但し、t1は前記外側ヨークの厚さ、L1は前記外側ヨークの長さ。
「前記第1の軟磁性材料」とは、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料をいう。
(2)前記外側ヨークを加熱し、前記外側ヨークの軟磁気特性を向上させる熱処理工程。
(3)一対の前記外側ヨークの間に前記GMR膜を形成するGMR膜形成工程。
(4)一対の前記外側ヨークと前記GMR膜との間に、それぞれ、第2の軟磁性材料からなる前記内側ヨークを形成する内側ヨーク形成工程。
薄膜ヨークを感磁方向に沿って外側ヨークと内側ヨークに2分割し、外側ヨーク、GMR膜及び内側ヨークの順に成膜すると、GMR膜−薄膜ヨーク間に良好な電気的及び磁気的コンタクトが得られる。
さらに、外側ヨークの材料として、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料(第1の軟磁性材料)を用い、外側ヨークの成膜後かつGMR膜の成膜前に熱処理すると、GMR膜を破壊することなく、薄膜ヨークの軟磁気特性を高めることができる。また、製造中又は使用中に磁気センサが高温に曝されても、ヒステリシスが増大することもない。
本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気センサの平面図である。 本発明に係る薄膜磁気センサの製造方法の工程図である。 従来の薄膜磁気センサの製造方法の工程図である。 アモルファス系の材料からなる薄膜ヨークを備えた従来の薄膜磁気センサを高温に加熱する前(図4(a))及び加熱した後(図4(b))のMR特性の一例である。 ヒステリシス量ΔHmaxの定義を説明するための概念図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 薄膜磁気センサ]
図1に、本発明に係る薄膜磁気センサの平面図を示す。図1において、薄膜磁気センサ10は、巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜12と、GMR膜12の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる薄膜ヨーク14a、14bとを備えている。
[1.1. GMR膜]
[1.1.1. 材料]
GMR膜12は、外部磁界の変化を電気抵抗Rの変化として感じ、結果的に電圧の変化として検出するためのものであり、巨大磁気抵抗(GMR)効果を有する材料からなる。外部磁界の変化を高い感度で検出するためには、GMR膜12のMR比の絶対値は、大きいほど良い。GMR膜12のMR比の絶対値は、具体的には、5%以上が好ましく、さらに好ましくは、10%以上である。
また、GMR膜12は、薄膜ヨーク14a、14bと直接、電気的に接続されるので、GMR膜12には、薄膜ヨーク14a、14bより高い電気比抵抗ρを有するものが用いられる。一般に、GMR膜12の電気比抵抗ρが小さすぎると、薄膜ヨーク14a、14b間が電気的に短絡するので好ましくない。一方、GMR膜12の電気比抵抗ρが高すぎる場合には、ノイズが増加し、外部磁界の変化を電圧変化として検出するのが困難となる。GMR膜12の電気比抵抗ρは、具体的には、103μΩcm以上1012μΩcm以下が好ましく、さらに好ましくは、104μΩcm以上1011μΩcm以下である。
このような条件を満たす材料には、種々の材料があるが、中でも上述した金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料が特に好適である。金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料は、高いMR比と高い電気比抵抗ρを有するだけでなく、僅かな組成変動によってMR比が大きく変動することがないので、安定した磁気特性を有する薄膜を、再現性良く、かつ低コストで作製することができるという利点がある。
GMR膜12として用いられる金属−絶縁体系ナノグラニュラー材料としては、具体的には、
(1)Co−Y23系ナノグラニュラー合金、Co−Al23系ナノグラニュラー合金、Co−Sm23系ナノグラニュラー合金、Co−Dy23系ナノグラニュラー合金、FeCo−Y23系ナノグラニュラー合金等の酸化物系ナノグラニュラー合金、
(2)Fe−MgF2、FeCo−MgF2、Fe−CaF2、FeCo−AlF3等のフッ化物系ナノグラニュラー合金、
などがある。
[1.1.2. 形状及び寸法]
GMR膜12の形状及び寸法は、特に限定されるものではなく、目的とする磁界感度が得られるように定める。一般に、抵抗値は抵抗体の長さに比例し、断面積に反比例する。そのため、GMR膜12の長さLGを長くし、その膜厚(図1の紙面に対して垂直方向の長さ)を薄くし、あるいはその横幅Wを狭くするほど、電気抵抗Rを大きくすることができる。この電気抵抗Rを大きくすることにより、デバイスの消費電力を下げることができる。しかし、GMR膜12の電気抵抗Rが高くなりすぎると、増幅器との間でインピーダンス不良を起こす場合がある。
[1.2. 薄膜ヨーク]
[1.2.1. 構成]
薄膜ヨーク14a、14bは、ギャップを介して対向しており、GMR膜12は、ギャップ内又はその近傍において、薄膜ヨークと電気的に接続される。
ここで、「ギャップ近傍」とは、薄膜ヨーク14a、14b先端に発生する増幅された大きな磁界の影響を受ける領域をいう。薄膜ヨーク14a、14b間に発生する磁界は、ギャップ内が最も大きくなるので、GMR膜12は、ギャップ内に形成するのが最も好ましいが、GMR膜12に作用する磁界が実用上十分な大きさであるときは、その全部又は一部がギャップ外(例えば、薄膜ヨーク14a、14bの上面側又は下面側)にあっても良いことを意味する。
図1に示す例において、薄膜ヨーク14a、14bは、それぞれ、GMR膜12に対して外側に設けられた第1の軟磁性材料からなる外側ヨーク16a、16bと、GMR膜12と外側ヨーク16a、16bとの間に設けられた第2の軟磁性材料からなる内側ヨーク18a、18bとを備えている。すなわち、薄膜ヨーク14a、14bは、感磁方向に沿って2分割されている。この点が、従来の薄膜磁気センサとは異なる。
なお、「感磁方向」とは、GMR膜12の磁界感度が最大となるときの外部磁界印加方向をいう。
[1.2.2. 材料]
薄膜ヨーク14a、14bは、GMR膜12の磁界感度を高めるためのものであり、軟磁性材料からなる。弱磁界に対する高い磁界感度を得るためには、薄膜ヨーク14a、14bには、透磁率μ及び/又は飽和磁化Msの高い材料を用いるのが好ましい。具体的には、その透磁率μは、100以上が好ましく、さらに好ましくは、1000以上である。また、その飽和磁化Msは、5(kGauss)以上が好ましく、さらに好ましくは、10(kGauss)以上である。
本発明において、薄膜ヨーク14a、14bは、感磁方向に沿って2分割されているので、それらの材料には、上記の条件に加えて、以下の条件を備えている必要がある。
[1.2.2.1. 外側ヨークの材料]
外側ヨーク16a、16bを構成する第1の軟磁性材料は、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料からなる。結晶系又は微結晶系の軟磁性材料は、一般に、成膜直後には良好な軟磁気特性が得られない(透磁率が低い、保磁力が大きいなど)。軟磁気特性を向上させるためには、成膜後に熱処理を行う必要がある。一方、GMR膜12をある臨界温度以上に加熱すると、GMR膜12のMR特性が低下する。結晶系又は微結晶系の軟磁性材料の磁気特性を向上させるための熱処理温度は、一般に、GMR膜12の特性が劣化し始める臨界温度より高い。
そのため、本発明に係る薄膜磁気センサ10は、後述するように、
(a)外側ヨーク16a、16b、GMR膜12、及び、内側ヨーク18a、18bの順に成膜し、
(b)GMR膜12を成膜する前に、外側ヨーク16a、16bの軟磁気特性を向上させるための熱処理を行う、
ことにより得られる。
第1の軟磁性材料としては、具体的には、
(a)40〜90%Ni−Fe合金、Fe74Si9Al17、Fe12Ni82Nb6、Fe75.6Si13.28.5Nb1.9Cu0.8、Fe83Hf611、Fe85Zr105合金、Fe93Si34合金、Fe711118合金、
(b)40〜90%Ni−Fe合金/SiO2多層膜、
(c)Fe71.3Nd9.619.1ナノグラニュラー合金、Co70Al1020ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al1020ナノグラニュラー合金、
(d)Co35Fe35Mg1020ナノグラニュラー合金
などが好適である。
外側ヨーク16a、16bは、これらのいずれか1種の材料からなっていても良く、あるいは、2種以上の材料からなっていても良い。
[1.2.2.2. 内側ヨークの材料]
内側ヨーク18a、18bを構成する第2の軟磁性材料は、特に限定されるものではなく、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料、あるいは、アモルファス系の軟磁性材料のいずれであっても良い。
第2の軟磁性材料としては、具体的には、
(a)40〜90%Ni−Fe合金、Fe74Si9Al17、Fe12Ni82Nb6、Fe75.6Si13.28.5Nb1.9Cu0.8、Fe83Hf611、Fe85Zr105合金、Fe93Si34合金、Fe711118合金、
(b)40〜90%Ni−Fe合金/SiO2多層膜、
(c)Fe71.3Nd9.619.1ナノグラニュラー合金、Co70Al1020ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al1020ナノグラニュラー合金、
(d)Co35Fe35Mg1020ナノグラニュラー合金、
(e)(Co94Fe6)70Si1515アモルファス合金、Co88Nb6Zr6アモルファス合金、
などが好適である。
内側ヨーク18a、18bは、これらのいずれか1種の材料からなっていても良く、あるいは、2種以上の材料からなっていても良い。
これらの中でも、(Co94Fe6)70Si1515、Co88Nb6Zr6などのアモルファス系の軟磁性材料は、室温で成膜するだけで高い特性が得られるので、内側ヨーク18a、18bを構成する材料として好適である。
[1.2.3. 形状及び寸法]
内側ヨーク18a、18bの長さL2は、それぞれ、次の(a)式及び(b)式を満たしている必要がある。
2/t1≧1 ・・・(a)
2×100/(L1+L2)≦50 ・・・(b)
但し、t1は外側ヨーク16a、16bの厚さ、
1は外側ヨーク16a、16bの長さ。
2が短くなりすぎると、外側ヨーク16b、16bとGMR膜12の間に、健全な内側ヨーク18a、18bを形成するのが困難となる。従って、L2/t1は、1以上である必要がある。L2/t1は、さらに好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上である。
一方、L2が長くなりすぎると、薄膜ヨーク14a、14b全体の特性が内側ヨーク18a、18bの特性に支配される傾向が強くなる。そのため、薄膜ヨーク14a、14b全体の軟磁気特性が低下し、あるいは、製造中又は使用中にヒステリシスが増大するおそれがある。従って、薄膜ヨーク14a、14aの全長に対する内側ヨーク18a、18bの長さの割合(=L2×100/(L1+L2))は、50%以下である必要がある。内側ヨーク18a、18bの長さの割合は、さらに好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。
特に、内側ヨーク18a、18bの長さL2は、それぞれ、次の(b')式を満たしているのが好ましい。
2×100/(L1+L2)≦20 ・・・(b')
(b')式を満たしている場合、薄膜ヨーク14a、14b全体の特性は、ほぼ外側ヨーク16a、16bの特性に支配される。そのため、第1の軟磁性材料として上述した材料を用い、かつ外側ヨーク16a、16bに対して適切な熱処理を施すと、内側ヨーク18a、18bの材質によらず、薄膜ヨーク14a、14b全体の軟磁気特性が向上し、しかも製造中又は使用中にヒステリシスが増大するおそれも少ない。
薄膜ヨーク14a、14bの幅Wは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。また、図1に示す例において、薄膜ヨーク14a、14bは、一定の幅Wを有する矩形状に描かれているが、これは単なる例示であり、その形状はこれに限定されるものではない。
例えば、薄膜ヨーク14a、14bは、両端からGMR膜12に向かって、幅Wが連続的又は段階的に減少していても良い。薄膜ヨーク14a、14bの幅を連続的又は段階的に減少させると、より多くの磁束をGMR膜12に集めることができるので、磁界感度が向上するという利点がある。
薄膜ヨーク14a、14bの厚さ(すなわち、外側ヨーク16a、16bの厚さt1及び内側ヨーク18a、18bの厚さt2)も特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。
さらに、薄膜ヨーク14a、14bの形状は、左右対称であることが望ましいが、上述の条件を満たす限りにおいて左右非対称であっても良い。
[2. 薄膜磁気センサの製造方法]
図2に、本発明に係る薄膜磁気センサの製造方法の工程図を示す。図2において、薄膜磁気センサの製造方法は、外側ヨーク形成工程と、熱処理工程と、GMR膜形成工程と、内側ヨーク形成工程とを備えている。
[2.1. 外側ヨーク形成工程]
外側ヨーク形成工程は、基板20表面に、内側ヨーク18a、18bの長さL2がそれぞれ(a)式及び(b)式の関係を満たすように、第1の軟磁性材料からなる一対の外側ヨーク16a、16bを形成する工程である(図2(a))。
2/t1≧1 ・・・(a)
2×100/(L1+L2)≦50 ・・・(b)
但し、t1は外側ヨーク16a、16bの厚さ、L1は外側ヨーク16a、16bの長さ。
薄膜ヨーク14a、14bが左右対称である場合、外側ヨーク16a、16bのヨーク間距離LYが(c)式の関係を満たすように、第1の軟磁性材料からなる一対の外側ヨーク16a、16bを形成する。
2t1+LG≦LY≦2L1+LG ・・・(c)
但し、t1は外側ヨーク16a、16bの厚さ、
1は外側ヨーク16a、16bの長さ、
Gは一対の外側ヨーク16a、16bの間に形成されるGMR膜12の長さ。
薄膜ヨーク14a、14bが左右対称である場合、LY、L2及びLGの間には、次の(d)式の関係が成り立つ。(c)式は、(a)式、(b)式、及び、(d)式から求められる。
Y=2L2+LG ・・・(d)
また、内側ヨーク18a、18bの長さL2は、それぞれ、さらに次の(b')式を満たしているのが好ましい。
2×100/(L1+L2)≦20 ・・・(b')
薄膜ヨーク14a、14bが左右対称である場合、外側ヨーク16a、16bのヨーク間距離LYは、(c')式を満たしているのが好ましい。(c')式は、(a)式、(b’)式、及び、(d)式から求められる。
2t1+LG≦LY≦2(L1/4)+LG ・・・(c')
基板20は、少なくともその表面が非磁性絶縁材料であれば良い。
基板20の材料としては、具体的には、
(a)ガラス、アルミナ、MgO、石英、サファイア、
(b)表面にSiO2膜が形成されたシリコン、表面にアルミナ膜が形成されたアルミナ・チタンカーバイド、
(c)表面に非磁性絶縁材料からなる薄膜が形成された非磁性金属材料、
などがある。
外側ヨーク16a、16bの形成方法は特に限定されるものではなく、種々の薄膜形成方法を用いることができる。第1の軟磁性材料の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[2.2. 熱処理工程]
熱処理工程は、外側ヨーク16a、16bを加熱し、外側ヨーク16a、16bの軟磁気特性を向上させる工程である(図2(b))。
外側ヨーク16a、16bの熱処理温度は、第1の軟磁性材料の種類に応じて最適な温度を選択する。熱処理温度は、通常、300〜1200℃である。
例えば、GMR膜12がナノグラニュラー材料からなる場合、GMR膜12をこの温度域で加熱すると、電気比抵抗ρが増大し、MR比が低下する。これは、ナノグラニュラー粒子が粗大化し、粒子界面の絶縁膜の厚さが厚くなるためと考えられる。ナノグラニュラー材料以外のGMR膜(例えば、多層膜)においても層間の原子拡散により、ある臨界温度以上に加熱すると、GMR膜の特性が劣化する。
[2.3. GMR膜形成工程]
GMR膜形成工程は、一対の外側ヨーク16a、16bの間にGMR膜12を形成する工程である(図2(c))。
GMR膜12の形成方法は、特に限定されるものではなく、種々の薄膜形成方法を用いることができる。GMR膜12の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[2.4. 内側ヨーク形成工程]
内側ヨーク形成工程は、一対の外側ヨーク16a、16aとGMR膜12との間に、それぞれ、第2の軟磁性材料からなる内側ヨーク18a、18bを形成する工程である。
内側ヨーク18a、18bの形成方法は、特に限定されるものではなく、種々の薄膜形成方法を用いることができる。
図2に示す例において、内側ヨーク18a、18bは、
(a)基板20の表面全面に、第2の軟磁性材料からなる薄膜18'を形成し(図2(d))、
(b)薄膜18'の不要部分をエッチングにより除去する(図2(e))、
ことにより形成される。
第2の軟磁性材料の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[3. 薄膜磁気センサ及びその製造方法の作用]
GMR膜の両端を薄膜ヨークで挟んだ磁気センサにおいて、その感度は、主に薄膜ヨークの形状と磁気特性により決定される。薄膜ヨークには、従来、アモルファス系の軟磁性材料が用いられている。これは、アモルファス軟磁性材料は室温で成膜するだけで所望の性能が得られ、軟磁気特性を向上させるための熱処理を施す必要がないためである。
アモルファス軟磁性材料を薄膜ヨークに用いた従来の薄膜磁気センサは、図3に示すように、
(a)基板表面にGMR膜を形成し(図3(a))、
(b)基板表面全面に、アモルファス軟磁性膜を形成し(図3(b))、
(c)アモルファス軟磁性膜の不要部分をエッチングにより除去し、薄膜ヨークを形成する(図3(c))
ことにより製造されている。この方法により、GMR膜と薄膜ヨークとの間の良好な電気的及び磁気的コンタクトを容易に得ることができるので、薄膜磁気センサをバラツキなく良好に製造することができる。
薄膜磁気センサのヨーク材料としては、飽和磁化及び透磁率が大きいこと、並びに、保磁力が小さいことが求められる。特に、保磁力については、センサ特性のヒステリシスを左右する重要な因子である。ヒステリシスが検出感度に対して無視できない程度に大きいと、外部の磁場の方向が変わったときに磁場の強さを正しく検知できなくなってしまうという機能上の問題が生じる。
アモルファス系の軟磁性材料は、優れた軟磁気特性を示し、保磁力も小さい。そのため、成膜直後(加熱前)は、図4(a)に示すように、ヒステリシスも小さい。
しかしながら、アモルファスは準安定構造であり、結晶のような安定構造ではないので、熱に対しては不安定ある。そのため、ある程度の高温に曝されると結晶化が進行し、所定の特性が得られなくなるという問題がある。特に、保磁力については、高温に曝されることによって極端に高くなる。
磁気センサを実際に使用する場合、実装時に半田リフローなどで高温(通常、250℃程度)に曝されたり、100℃程度の温度で長時間使用することがある。このような状況では、図4(b)に示すように、アモルファスの結晶化が進行し、ヒステリシスが増大する。
この現象は、特にアモルファス材料で顕在化する現象である。そのため、軟磁性材料として結晶系や微結晶系の材料を用いることで上述の問題を解決できると期待される。
しかしながら、結晶系や微結晶系の軟磁性膜をスパッタなどのドライ成膜法で作製した場合、成膜直後の軟磁性膜は、軟磁気特性が低い(透磁率が低く、保磁力が大きい)。良好な軟磁気特性を得るためには、成膜後に高温の熱処理が必要となる。この時の熱処理温度は、一般にGMR膜の特性が劣化し始める臨界温度より高い。そのため、GMR膜及び薄膜ヨークをこの順で形成する場合において、薄膜ヨークの軟磁気特性を上げるためにセンサの熱処理を行うと、GMR膜が壊れ、正常なセンサを作ることができない。
これに対し、薄膜ヨークを感磁方向に沿って2分割し、製造プロセスの最初に結晶系又は微結晶系の軟磁性材料からなる外側ヨークを形成し、所定の温度で熱処理を行うと、良好な軟磁気特性を持つ外側ヨークが得られる。次いで、GMR膜及び内側ヨークをこの順で形成すると、GMR膜を壊すことなく、GMR膜と薄膜ヨークの間に良好な電気的・磁気的コンタクトが得られる。しかも、内側ヨークの長さL2を最適化すると、薄膜ヨーク全体の磁気特性が外側ヨークにより支配される。そのため、製造中又は使用中に内側ヨークが高温に曝され、この部分の磁気特性が悪化してもヨーク全体の性能への影響を無視することができる。また、これによって、高温に曝された後であっても、センサとして正常に動作させることができる。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
図2に示す手順に従い、図1に示す薄膜磁気センサ10を作製した。基板20には熱酸化膜(SiO2)を形成したシリコンを用い、外側ヨーク16a、16bには、Ni80Fe20を用いた。また、GMR膜12にはFeCo−MgF2ナノグラニュラー合金、内側ヨーク18a、18bには、アモルファス合金(Co94Fe6)70Si1515を用いた。
1及びL2は、それぞれ、0〜270μm及び10〜300μmの範囲で変化させた。Wは、20μm又は100μmとした。さらに、外側ヨーク16a、16aの厚さt1、及び、内側ヨーク18a、18bの厚さt2は、いずれも1μmとした。
[2. 試験方法]
得られた薄膜磁気センサを200℃×60分で加熱する前及び加熱した後において、それぞれ、MR特性を評価した。測定されたMR波形から、ヒステリシス量を求めた。図5に示すように、同一MR比におけるFowardとBackwardの磁界Hの差ΔHを逐次求め、その最大値ΔHmaxをヒステリシス量と定義した。
[3. 結果]
表1に、その結果を示す。なお、表1には、各センサの履歴も併せて示した。表1より、以下のことがわかる。
(1)L1=0である場合、すなわち、薄膜ヨーク全体がアモルファス系材料からなる場合、加熱前のヒステリシス量ΔHmaxは小さいが、加熱によりヒステリシス量ΔHmaxが著しく増大する。
(2)内側ヨークの長さの割合(=L2×100/(L1+L2))が50%以下になると、加熱前後におけるヒステリシス量ΔHmaxの差が小さくなる。
(3)内側ヨークの長さの割合が20%以下になると、加熱前後におけるヒステリシス量ΔHmaxの差がほぼゼロになる。
(4)ヨークの幅W及びヨークの全長(L1+L2)によらず、上記(1)〜(3)の傾向が認められる。
Figure 2011149825
(実施例2)
[1. 試料の作製]
図2に示す手順に従い、図1に示す薄膜磁気センサ10を作製した。外側ヨーク16a、16bには、後述する種々の材料を用いた。また、内側ヨーク18a、18bには、アモルファス合金(Co94Fe6)70Si1515を用いた。基板20とGMR膜12は、実施例1と同様の材料を使用した。
各部の寸法は、L1=80μm、L2=20μm、W=20μm、t1=t2=1μmとした。
[2. 試験方法]
実施例1と同様の手順に従い、200℃×60分加熱前後におけるヒステリシス量ΔHmaxを求めた。
[3. 結果]
表2に、その結果を示す。なお、表2には使用した外側ヨークの材料も併せて示した。表2より、以下のことがわかる。
(1)外側ヨークの材料としてアモルファス系の軟磁性材料を用いた場合(試料No.21)、加熱前のヒステリシス量ΔHmaxは小さいが、加熱によってヒステリシス量ΔHmaxが著しく増大する。
(2)外側ヨークの材料として、熱処理が施された結晶系又は微結晶系の軟磁性材料を用いた場合(試料No.22〜29)、外側ヨークの材料によらず、加熱前後におけるヒステリシス量の差ΔHmaxがほぼゼロになる。
Figure 2011149825
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る薄膜磁気センサは、自動車の車軸、ロータリーエンコーダ、産業用歯車等の回転情報の検出、油圧式シリンダ/空気式シリンダのストロークポジション、工作機械のスライド等の位置・速度情報の検出、工業用溶接ロボットのアーク電流等の電流情報の検出、地磁気方位コンパスなどに用いることができる。
また、GMR膜とその両端に配置された薄膜ヨークを備えた磁気抵抗素子は、磁気センサとして特に好適であるが、磁気抵抗素子の用途は、これに限定されるものではなく、磁気メモリ、磁気ヘッド等としても用いることができる。
10 薄膜磁気センサ
12GMR膜
14a、14b 薄膜ヨーク
16a、16b 外側ヨーク
18a、18b 内側ヨーク

Claims (6)

  1. 以下の構成を備えた薄膜磁気センサ。
    (1)前記薄膜磁気センサは、
    巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、
    前記GMR膜の両端に電気的に接続された軟磁性材料からなる薄膜ヨークと
    を備えている。
    (2)前記薄膜ヨークは、
    前記GMR膜に対して外側に設けられた第1の軟磁性材料からなる外側ヨークと、
    前記GMR膜と前記外側ヨークとの間に設けられた第2の軟磁性材料からなる内側ヨークと
    を備えている。
    (3)前記第1の軟磁性材料は、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料からなり、
    前記薄膜磁気センサは、
    (a)前記外側ヨーク、前記GMR膜、及び、前記内側ヨークの順に成膜し、
    (b)前記GMR膜を成膜する前に、前記外側ヨークの軟磁気特性を向上させるための熱処理を行うことにより得られるものからなる。
    (4)前記内側ヨークの長さL2は、それぞれ、次の(a)式及び(b)式を満たす。
    2/t1≧1 ・・・(a)
    2×100/(L1+L2)≦50 ・・・(b)
    但し、t1は前記外側ヨークの厚さ、L1は前記外側ヨークの長さ。
  2. 前記内側ヨークの長さL2は、それぞれ、さらに次の(b')式を満たす請求項1に記載の薄膜磁気センサ。
    2×100/(L1+L2)≦20 ・・・(b')
  3. 前記第1の軟磁性材料は、
    (a)40〜90%Ni−Fe合金、Fe74Si9Al17、Fe12Ni82Nb6、Fe75.6Si13.28.5Nb1.9Cu0.8、Fe83Hf611、Fe85Zr105合金、Fe93Si34合金、Fe711118合金、
    (b)40〜90%Ni−Fe合金/SiO2多層膜、
    (c)Fe71.3Nd9.619.1ナノグラニュラー合金、Co70Al1020ナノグラニュラー合金、Co65Fe5Al1020ナノグラニュラー合金、及び、
    (d)Co35Fe35Mg1020ナノグラニュラー合金
    から選ばれるいずれか1以上である請求項1又は2に記載の薄膜磁気センサ。
  4. 前記第2の軟磁性材料は、アモルファス系の軟磁性材料からなる請求項1から3までのいずれかに記載の薄膜磁気センサ。
  5. 巨大磁気抵抗効果を有するGMR膜と、前記GMR膜の両端に電気的に接続された薄膜ヨークとを備えた薄膜磁気センサの製造方法であって、以下の工程を備えた薄膜磁気センサの製造方法。
    (1)基板表面に、前記薄膜ヨークの一部を構成する内側ヨークの長さL2がそれぞれ(a)式及び(b)式の関係を満たすように、第1の軟磁性材料からなる一対の外側ヨークを形成する外側ヨーク形成工程。
    2/t1≧1 ・・・(a)
    2×100/(L1+L2)≦50 ・・・(b)
    但し、t1は前記外側ヨークの厚さ、L1は前記外側ヨークの長さ。
    「前記第1の軟磁性材料」とは、結晶系又は微結晶系の軟磁性材料をいう。
    (2)前記外側ヨークを加熱し、前記外側ヨークの軟磁気特性を向上させる熱処理工程。
    (3)一対の前記外側ヨークの間に前記GMR膜を形成するGMR膜形成工程。
    (4)一対の前記外側ヨークと前記GMR膜との間に、それぞれ、第2の軟磁性材料からなる前記内側ヨークを形成する内側ヨーク形成工程。
  6. 前記内側ヨークの長さL2は、それぞれ、さらに次の(b')式を満たす請求項5に記載の薄膜磁気センサの製造方法。
    2×100/(L1+L2)≦20 ・・・(b')
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