JPH10270775A - 磁気抵抗効果素子及びそれを用いた回転センサ - Google Patents

磁気抵抗効果素子及びそれを用いた回転センサ

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JPH10270775A
JPH10270775A JP9071963A JP7196397A JPH10270775A JP H10270775 A JPH10270775 A JP H10270775A JP 9071963 A JP9071963 A JP 9071963A JP 7196397 A JP7196397 A JP 7196397A JP H10270775 A JPH10270775 A JP H10270775A
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gmr
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元久 田口
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裕司 川野
Kazuhiko Tsutsumi
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    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁界感度の向上したGMR素子およびこれを
用いた構成度な回転センサを提供することを目的とす
る。 【解決手段】 基板3上に、Co、FeまたはNiを主
成分とする金属あるいはCo、FeおよびNiの少なく
とも2つを主成分とする合金からなる強磁性金属層5お
よびCuを主成分とした非磁性金属層6とを繰り返し積
層したGMR積層膜2を備えた磁気抵抗効果素子におい
て、強磁性金属層5の厚さが、MR比が最大となる厚さ
より3〜10オングストローム厚いものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁界の変化を検
出する磁気抵抗効果素子およびそれを応用した磁性体の
回転を検出する回転センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気抵抗素子(以下、MR素子と
いう)は、強磁性体薄膜の磁化方向と電流方向のなす角
度によって抵抗値が変化する素子である。MR素子は、
電流方向と磁化方向が直角に交わるときに抵抗値が最小
になり、0度すなわち電流方向と磁化方向が同一あるい
は全く逆方向になるとき抵抗値が最大になる。この抵抗
値の変化をMR変化率と呼び、一般にNi−Feで2〜
3%である。
【0003】一方、MR変化率の大きな磁気検出素子と
して巨大磁気抵抗素子(以下、GMR素子と呼ぶ)とい
うものが、近時提案されている。GMR素子は、例えば
日本応用磁気学会誌Vol.19,No.1(199
5),p4〜12の「最近の磁気抵抗効果(GMR)の
研究」と題する論文に記載されている数オングストロー
ムから数十オングストロームの厚さの強磁性金属層(以
下、磁性層と呼ぶ)と非磁性金属層(以下、非磁性層と
呼ぶ)とを交互に積層させた積層体、いわゆる人工格子
膜であり、Fe/Cr、Co/Cu等が知られている。
上述のMR素子と比較して、GMR素子は格段に大きな
MR効果(MR変化率)を有し、高感度の磁界検知素子
として期待されている。
【0004】図1にGMR素子の構成を示す。図1
(a)はGMR素子の平面図、図1(b)はGMR素子
を構成するGMR膜の断面図である。図において、1は
接続用端子、2は適当な形状にパターニングされたGM
R膜である。GMR膜2は、基板3と基板3上に積層さ
れた磁性層5および非磁性層6からなる。磁性層5と非
磁性層6は交互に数十層積層され、いわゆる人工格子膜
になっている。基板3上に直接、磁性層5と非磁性層6
からなる人工格子膜を作成する場合もあるが、図1
(b)に示したように、バッファ層4を先に作製してお
くこともある。バッファ層4は、人工格子膜の結晶構造
を制御するため等に用いられる。
【0005】次に動作について説明する。磁性層5と非
磁性層6を適当な厚さにすると、非磁性層6を介して隣
り合う磁性層5間に反強磁性結合が働く。反強磁性結合
とは、隣り合う磁性層5の磁化方向を互いに反平行にす
るように働く相互作用のことである。磁界が印加されて
いない時には、反強磁性結合により、非磁性層6を介し
て隣り合う磁性層5の磁化は互いに反平行を向いてい
る。この時、GMR膜2の抵抗値は最大になる。GMR
膜2面内に磁界を徐々に印加していくと、磁性層5の磁
化は、徐々に磁界方向を向いていく。十分に大きな磁界
を印加すると、すべての磁性層5の磁化は、磁界方向を
向く。すなわち、外部からの磁界により、すべての磁性
層5の磁化は平行になる。この時、GMR膜2の抵抗値
は最小になる。GMR膜2の抵抗変化は、接続用端子1
により測定できる。この抵抗変化から、GMR素子に印
加される外部磁界の大きさを知ることができる。
【0006】一般に、GMR素子は、磁性層5や非磁性
層6の厚さにより特性が変化する。例えば、Co/Cu
人工格子の場合、Co厚が15オングストローム、Cu
厚が10オングストローム近傍でMR変化率が最大とな
ることが知られている。この時のMR変化率は、約50
%と非常に大きな値を示す。ただし、この抵抗変化率を
得るためには、数kOeから10kOeもの大きな印加
磁界が必要になる。従って、単位磁界あたりの抵抗変化
率(以下、磁界感度と呼ぶ)としては、決して大きな値
とはいえない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】多くの磁界検知装置
や、それを応用した磁気デバイスは、数十から数百(O
e)程度の小さな磁界を用いるため、上記のような従来
のGMR素子では実際の用途には不向きであるという問
題があり、より感度の高いGMR素子が必要とされてい
る。本発明は、このような問題を解決するために、より
感度の向上したGMR素子を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
基板、この基板上に、Co、FeまたはNiを主成分と
する金属あるいはCo、FeおよびNiの少なくとも2
つを主成分とする合金からなる強磁性金属層およびCu
を主成分とした非磁性金属層とを繰り返し積層したGM
R積層膜を備え、上記強磁性金属層の厚さが、MR比が
最大となる厚さより3〜10オングストローム厚い磁気
抵抗効果素子である。
【0009】請求項2に係る発明は、請求項1記載の磁
気抵抗効果素子において、非磁性金属層の厚さは、非磁
性金属層の厚さ変化に対して現れるMR比の第2ピーク
の近傍の厚さであるものである。
【0010】請求項3に係る発明は、請求項1記載の磁
気抵抗効果素子において、強磁性金属層と非磁性金属層
を15周期以上繰り返し積層したものである。
【0011】請求項4に係る発明は、請求項1記載の磁
気抵抗効果素子において、基板上に、バッファ層を設け
たものである。
【0012】請求項5に係る発明は、請求項4記載の磁
気抵抗効果素子において、バッファ層は、10オングス
トローム以上100オングストローム以下の厚さの金属
層であるものである。
【0013】請求項6に係る発明は、請求項1ないし5
のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子を用いた回転セン
サである。
【0014】
【発明の実施の形態】図を用いて本発明の実施の形態を
説明する。 実施の形態1.本実施の形態は、図1に示したように、
基板3上に、Co、FeまたはNiを主成分とする金属
あるいはCo、FeおよびNiの少なくとも2つを主成
分とする合金からなる強磁性金属層5と、Cuを主成分
とした非磁性金属層6とを繰り返し積層したGMR積層
膜2を備えた磁気抵抗効果素子(GMR素子)におい
て、強磁性金属層5の厚さを、メジャーMRカーブによ
る抵抗変化率(MR比と称し、以下に説明する)が最大
となる厚さより3〜10オングストローム厚くしたもの
である。GMR膜2は適当な形状にパターニングされて
おり、GMR積層膜2の両端に接続用端子1を備える。
【0015】強磁性金属層5と非磁性金属層6は交互に
数十層積層され、いわゆる人工格子膜になっている。基
板3上に直接、強磁性金属層5と非磁性金属層6からな
る人工格子膜を作製する場合もあるが、その前にバッフ
ァ層4を先に作製しておくこともある。バッファ層4
は、人工格子膜の結晶構造を制御するため等に用いられ
る。
【0016】次に、動作について説明する。強磁性金属
層5と非磁性金属層6を適当な厚さにすると、非磁性金
属層6を介して隣り合う強磁性金属層5間に反強磁性結
合が働く。反強磁性結合とは、隣り合う強磁性金属層5
の磁化方向を互いに反平行にするように働く相互作用の
ことである。磁界が印加されていない時には、反強磁性
結合により、非磁性金属層6を介して隣り合う強磁性金
属層5の磁化は互いに反平行を向いている。この時、G
MR積層膜2の抵抗値は最大になる。GMR積層膜2の
面内に磁界を徐々に印加していくと、強磁性金属層5の
磁化は、徐々に磁界方向を向いていく。十分に大きな磁
界を印加すると、すべての強磁性金属層5の磁化は、磁
界方向を向く。すなわち、外部からの磁界により、すべ
ての強磁性金属層5の磁化は平行になる。この時、GM
R積層膜2の抵抗値Rは最小になる。非常に大きな磁界
が加わった時のGMR積層膜2の抵抗値RをRminと
する。GMR積層膜2の抵抗変化は、接続用端子1によ
り測定できる。この抵抗変化から、GMR素子に印加さ
れる外部磁界の大きさを知ることができる。
【0017】図2は、GMR素子の抵抗変化率の印加磁
界依存性(以下MRカーブと呼ぶ)を示す図で、縦軸は
抵抗変化率であり、抵抗変化率=((R−Rmin)/
Rmin)×100(%)で定義されている。ここで用
いたGMR積層膜2は、ガラス基板3上に、厚さ30オ
ングストロームのCoからなるバッファ3と、バッファ
層4の上に、厚さ20オングストロームのCoからなる
強磁性金属層5および厚さ21オングストロームのCu
からなる非磁性金属層6を交互に25層とを備えてい
る。ここで、ガラス基板の代わりにSi基板やSi基板
上に熱酸化膜あるいはプラズマ酸化膜等を有するものを
用いても効果はかわらない。バッファ層4は、その上に
構成される多層膜の結晶状態を制御する層である。バッ
ファ層としては、Co以外に、FeやNi−Fe、C
r、Cu等を用いても同様の効果が得られる。
【0018】印加磁界方向は、いわゆる膜面内方向であ
り。図1(a)の紙面内の方向であり、紙面内であれ
ば、どの方向でもよい。ただし、GMR積層膜2に面内
異方性が付与されている時は、方向によりMRカーブが
変化するが、この例では異方性は付与されていない。
【0019】図2に示すように、大きな印加磁界(正負
は関係なく、磁界の絶対値が問題)が加わると、GMR
積層膜2の抵抗変化率は小さくなる。これは、大きな磁
界により、すべての強磁性金属層5の磁化が印加磁界方
向に揃うためである。印加磁界が小さい時には、反強磁
性結合により、非磁性金属層6を介して隣り合う強磁性
金属層5は反平行になり、印加磁界=0近傍で抵抗値は
最大値Rmaxになる。
【0020】ところで、図2のMRカーブは、正から負
に印加磁界が変化するときと、負から正へ変化するとき
で、わずかに異なるカーブを描いているが、これは強磁
性金属層5(Co層)が保磁力(磁界に対するヒステリ
シス)を有するためであるが、この点は本発明の本質と
は無関係である。
【0021】図2では、抵抗値が飽和するのに十分な大
きな磁界をGMR素子に印加した時のMRカーブを示し
たが、図3は、0〜100(Oe)という小さな磁界範
囲を印加しMRカーブを測定した時の結果を示す図であ
る。この磁界範囲は、多くの磁気デバイスで用いる磁界
範囲に相当する。この磁界範囲で約10%の抵抗変化率
が得られた。図2における測定のように、抵抗値が飽和
するまでの十分に大きな磁界を印加して測定したMRカ
ーブをメジャーMRカーブと呼び、図3における測定の
ように抵抗値が飽和しない範囲での測定から得られるM
RカーブをマイナーMRカーブと呼ぶ。実際に多くの磁
気デバイスに応用するにあたっては、後者のマイナーM
Rカーブでの抵抗変化率が重要な性能指標になる。した
がって、図3の測定で得られた抵抗変化率を測定磁界範
囲(すなわち100(Oe))で割った値を磁界感度と
呼び、以下ではこの値により、GMR素子の優劣を判断
する。
【0022】図4は、強磁性金属層5の厚さを変化させ
たときの、磁界感度およびメジャーMRカーブでの抵抗
変化率(以下、MR比という)を示す図である。図4
は、強磁性金属層5としてCoを用いた場合であり、G
MR積層膜2の構成は次に示す通りである。
【0023】ガラス基板3上に、Cr(30オングスト
ローム)からなるバッファ層4と、Co(Xオングスト
ローム)からなる強磁性金属層5およびCu(21オン
グストローム)からなる非磁性金属層6を交互に25層
積層している。強磁性金属層5の厚さXは10〜30オ
ングストロームまで変化させた。MR比は、強磁性金属
層5の厚さが、15オングストロームで最大になった。
一方、磁界感度は、強磁性金属層5の厚さが、MR比が
最大となるときの厚さより3〜11オングストローム厚
い、18〜26オングストロームの範囲内で最大になっ
た。
【0024】図5は、強磁性金属層5として80Ni−
20Fe合金を用いた場合であり、GMR膜積層2の構
成は次の通りである。
【0025】ガラス基板3上に、Cr(30オングスト
ローム)からなるバッファ層4と、FeNi(Xオング
ストローム)からなる強磁性金属層5およびCu(21
オングストローム)からなる非磁性金属層6を交互に2
5層積層している。強磁性金属層5の厚さXは10〜3
0オングストロームまで変化させた。MR比は、強磁性
金属層5の厚さが14オングストロームで最大になっ
た。一方、磁界感度は、強磁性金属層5の厚さが、MR
比が最大となるときの厚さより3〜10オングストロー
ム厚い、17〜24オングストロームの範囲内で最大に
なった。
【0026】以上のように、強磁性金属層5の厚さが、
MR比が最大になる厚さよりも3〜10オングストロー
ム厚い膜厚の時に、高い磁界感度が得られることを見い
だした。これは、強磁性金属層5の厚さを、MR比が最
大になる時の厚さより厚くした場合、MR比はわずかに
減少するものの、飽和磁界も同時に減少するため、磁界
感度としては向上すると考えられる。
【0027】上記図4および5では、強磁性金属層5と
してCoとNi−Feを用いた場合を示したが、Ni、
Fe、Co−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Feでほ
ぼ同様の特性が得られた。
【0028】また、バッファ層としてCrを用いたが、
Co、Ni、Feおよびこれらの合金やCuでも同様の
効果がある。
【0029】実施の形態2.上記実施の形態1では、磁
界感度の磁性層膜厚依存性を調べたが、磁界感度は、非
磁性金属層の厚さにも依存する。
【0030】本実施の形態は、非磁性金属層6の厚さ
を、非磁性金属層の厚さ変化に対して現れるMR比の第
2ピークの近傍の厚さとすることによって、磁界感度を
向上させるものである。
【0031】第6図は、図1に示した強磁性金属層5が
Coの時、図7は、強磁性金属層5が82Ni−18F
eの時の非磁性金属層6の厚さと磁界感度および抵抗変
化率(MR比)との関係を示す図である。GMR積層膜
2の構成はそれぞれ次の通りである。
【0032】図6は、ガラス基板3上に、Cr(30オ
ングストローム)からなるバッファ層4と、Co(19
オングストローム)からなる強磁性金属層5およびCu
(Xオングストローム)からなる非磁性金属層6を交互
に25層積層したものにおいて、非磁性金属層6の厚さ
Xを4〜33オングストロームまで変化させた時の測定
結果である。
【0033】MR比は、X=10と20近傍で極大値を
持つが、X=10近傍を第1ピーク、X=20近傍を第
2ピークと呼ぶ。MR比は、第1ピークで最大値を持
つ。一方、磁界感度は、第2ピークで最大になる。
【0034】図7は、ガラス基板3上に、Cr(30オ
ングストローム)からなるバッファ層4と、82Ni−
18Fe(19オングストローム)からなる強磁性金属
層5およびCu(Xオングストローム)からなる非磁性
金属層6を交互に25層積層したものにおいて、非磁性
金属層6の厚さXを6〜33オングストロームまで変化
させた時の測定結果である。磁界感度は、強磁性金属層
がCoの場合と同様に、第2ピークで最大になる。
【0035】上記図6および7の結果に示されるよう
に、非磁性金属層6の厚さを、非磁性金属層の厚さ変化
に対して現れるMR比の第2ピークの近傍の厚さとする
ことによって、磁界感度を最大とすることができる。
【0036】図6および7では、強磁性金属層5として
CoおよびNi−Feを用いた例を示したが、Ni、F
e、Co−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Feでもほ
ぼ同様の特性が得られた。
【0037】また、バッファ層4としてCrを用いた例
を示したが、Co、NiおよびFe、これらの合金やC
uでも同様の効果がある。
【0038】実施の形態3.本実施の形態は、強磁性金
属層5と非磁性金属層6を15周期以上繰り返し積層し
たGMR素子である。
【0039】図8および9は、強磁性金属層5と非磁性
金属層6の積層周期と、磁界感度およびMR比との関係
を調べた結果を示す図である。
【0040】図8は、強磁性金属層5としてCoを用い
た場合であり、ガラス基板3上に、Cr(30オングス
トローム)からなるバッファ層4と、Co(21オング
ストローム)からなる強磁性金属層5およびCu(21
オングストローム)からなる非磁性金属層6を交互に積
層したものにおいて、積層周期数を10〜30まで変化
させたときの結果を示している。
【0041】図8に示されているように、磁界感度およ
びMR比は、積層周期数が15で急激に立ち上がり、そ
れ以上の積層周期数でフラットな特性を示した。
【0042】図9は、強磁性金属層5として80Ni−
20Feを用いた場合であり、ガラス基板3上に、Cr
(30オングストローム)からなるバッファ層4と、8
0Ni−20Fe(20オングストローム)からなる強
磁性金属層5およびCu(21オングストローム)から
なる非磁性金属層6を交互に積層したものにおいて、積
層周期数を10〜30まで変化させたときの結果を示し
ている。
【0043】図9に示されているように、磁界感度およ
びMR比は、積層周期数が15で急激に立ち上がり、そ
れ以上の積層周期数でフラットな特性を示した。
【0044】上記図8および9の結果から明らかなよう
に、強磁性金属層5および非磁性金属層6を交互に15
周期以上積層することによって、磁界感度及びMR比を
大きくすることができる。
【0045】図8および9では、磁性層としてCoおよ
びNi−Feを用いた例を示したが、Ni、Fe、Co
−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Feでもほぼ同様の
特性が得られた。
【0046】また、バッファ層としてCrを用いた例を
示したが、Co、NiおよびFe、これらの合金やCu
でも同様の効果がある。
【0047】実施の形態4.本実施の形態は、バッファ
層4を、10〜100オングストロームの厚さの金属層
としたGMR素子である。
【0048】図10および11は、バッファ層4の厚さ
と、磁界感度およびMR比との関係を調べた結果を示す
図である。
【0049】図10は、強磁性金属層5としてCoを用
いた場合であり、ガラス基板3上に、Co(Xオングス
トローム)からなるバッファ層4と、Co(21オング
ストローム)からなる強磁性金属層5およびCu(21
オングストローム)からなる非磁性金属層6を交互に2
5層積層したものにおいて、バッファ層の厚さXを0〜
150まで変化させたときの結果を示している。
【0050】図10に示されているように、磁界感度お
よびMR比は、バッファ層厚が10オングストロームで
急激に立ち上がり、100オングストロームまでフラッ
トな特性を示した。
【0051】図11は、強磁性金属層5として80Ni
−20Feを用いた場合であり、ガラス基板3上に、C
o(Xオングストローム)からなるバッファ層4と、8
0Ni−20Fe(20オングストローム)からなる強
磁性金属層5およびCu(21オングストローム)から
なる非磁性金属層6を交互に積層したものにおいて、バ
ッファ層の厚さXを5〜150まで変化させたときの結
果を示している。
【0052】図11に示されているように、磁界感度お
よびMR比は、バッファ層厚が10オングストロームで
急激に立ち上がり、100オングストロームまでフラッ
トな特性を示した。
【0053】図10および11では、強磁性金属層5と
してCoおよびNi−Feを用いた例を示したが、N
i、Fe、Co−Ni、Co−Fe、Co−Ni−Fe
でもほぼ同様の特性が得られた。
【0054】また、バッファ層としてCoを用いた例を
示したが、Cr、NiおよびFe、これらの合金やCu
でも同様の効果が得られる。
【0055】実施の形態5.図13は、実施の形態1〜
4のGMR素子を用いた回転センサを示す構成図であ
り、(a)は側面図、(b)は斜視図である。図におい
て、8は磁界変化付与手段としての磁性回転体で、回転
軸7と同期して回転可能に構成され、凹部12によって
形成された少なくとも1つ以上の凸部13を具備する。
9は磁性回転体8と所定の間隙をもって配置されたGM
R素子、10はGMR素子9に磁界を与える磁界発生手
段としての永久磁石10、11はGMR素子9の出力を
処理する集積回路であり、GMR素子9には、集積回路
11に対して適当な抵抗値になるようにパターニングさ
れたGMR膜2と、集積回路11に接続するための接続
端子1を有する。集積回路11と接続端子1は、図に示
していない導線で電気的に接続されている。
【0056】次に、動作について説明する。磁性回転体
8には凹部12、凸部13があるので、磁性回転体8の
回転に伴い、永久磁石10から出た磁束の分布は変化す
る。この磁束分布の変化により、GMR膜2の抵抗値は
変化し、その変化は集積回路11で適当に処理され、磁
性回転体8の凹凸に応じた2値化出力になる。
【0057】以上のように、高感度化したGMR素子を
回転センサに用いることで、高精度な回転検出が可能に
なる。
【0058】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、基板上
に、Co、FeまたはNiを主成分とする金属あるいは
Co、FeおよびNiの少なくとも2つを主成分とする
合金からなる強磁性金属層およびCuを主成分とした非
磁性金属層とを繰り返し積層したGMR積層膜を備えた
磁気抵抗効果素子において、上記強磁性金属層の厚さ
が、MR比が最大となる厚さより3〜10オングストロ
ーム厚くなるようにすることによって、小さな磁界で大
きな抵抗変化率が得られるようになり、単位磁界当たり
の抵抗変化率が向上する。
【0059】請求項2に係る発明によれば、非磁性金属
層の厚さを、非磁性金属層の厚さ変化に対して現れるM
R比の第2ピークの近傍の厚さとすることによって、さ
らに単位磁界当たりの抵抗変化率が向上する。
【0060】請求項3に係る発明によれば、強磁性金属
層と非磁性金属層を15周期以上繰り返し積層すること
によって、より一層、単位磁界当たりの抵抗変化率が向
上する。
【0061】請求項4に係る発明によれば、基板上に、
バッファ層を設けることによって、さらに単位磁界当た
りの抵抗変化率が向上する。
【0062】請求項5に係る発明によれば、バッファ層
を、10オングストローム以上100オングストローム
以下の厚さの金属層とすることによって、さらに単位磁
界当たりの抵抗変化率が向上する。
【0063】請求項6に係る発明によれば、請求項1な
いし5のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子を用いるこ
とによって、出力信号のSN比が向上し、精度の高い回
転角検出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 磁気抵抗効果素子の平面図及びGMR積層膜
の断面図である。
【図2】 GMR積層膜のMRカーブである。
【図3】 GMR積層膜のマイナーMRカーブである。
【図4】 強磁性金属層にCoを用いたGMR積層膜の
磁界感度の、強磁性金属層厚さ依存性を示す図である。
【図5】 強磁性金属層にFe−Niを用いたGMR積
層膜の磁界感度の、強磁性金属層厚さ依存性を示す図で
ある。
【図6】 強磁性金属層にCoを用いたGMR積層膜の
磁界感度の、非磁性金属層厚さ依存性を示す図である。
【図7】 強磁性金属層にFe−Niを用いたGMR積
層膜の磁界感度の、非磁性金属層厚さ依存性を示す図で
ある。
【図8】 強磁性金属層にCoを用いたGMR積層膜の
磁界感度の、積層周期数依存性を示す図である。
【図9】 強磁性金属層にFe−Niを用いたGMR積
層膜の磁界感度の、積層周期数依存性を示す図である。
【図10】 強磁性金属層にCoを用いたGMR積層膜
の磁界感度の、バッファ層厚さ依存性を示す図である。
【図11】 強磁性金属層にFe−Niを用いたGMR
積層膜の磁界感度の、バッファ層厚さ依存性を示す図で
ある。
【図12】 GMR素子を用いた回転センサの一実施の
形態を示す構成図である。
【符号の説明】
1 接続用端子、2 GMR積層膜、3 基板、4バッ
ファ層、5 強磁性金属層、6 非磁性金属層、7 回
転軸、8磁性回転体、9 GMR素子、10 永久磁
石、11 集積回路、12 凹部、13 凸部
フロントページの続き (72)発明者 川野 裕司 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 堤 和彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板、この基板上に、Co、Feまたは
    Niを主成分とする金属あるいはCo、FeおよびNi
    の少なくとも2つを主成分とする合金からなる強磁性金
    属層およびCuを主成分とした非磁性金属層とを繰り返
    し積層したGMR積層膜を備え、上記強磁性金属層の厚
    さが、MR比が最大となる厚さより3〜10オングスト
    ローム厚いことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 非磁性金属層の厚さは、非磁性金属層の
    厚さ変化に対して現れるMR比の第2ピークの近傍の厚
    さであることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果
    素子。
  3. 【請求項3】 強磁性金属層と非磁性金属層を15周期
    以上繰り返し積層したことを特徴とする請求項1記載の
    磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 基板上に、バッファ層を設けたことを特
    徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 バッファ層は、10オングストローム以
    上100オングストローム以下の厚さの金属層であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果素子を用いたことを特徴とする回転センサ。
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