JP3705425B2 - ギヤードモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ギヤードモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パワーウィンド装置等のモータは、図10に示すように、モータ本体82に減速部83が備えたギヤードモータ81が一般に採用されている。そのモータ本体82は、そのヨークハウジング84にアーマチャが回転可能に収容されている。又、減速部83はウォーム収容部85、ホイール収容部86及び空気孔形成部87を備えたギヤハウジング88を有し、そのウォーム収容部85には前記アーマチャの回転軸の一端から延びるウォーム軸が収容され、ホイール収容部86にはウォーム軸と噛合するウォームホイール89が収容されている。
【0003】
ウォームホイール89は同ウォームホイール89に形成した凹部に配設されるゴムダンパ90を介して出力板91と駆動連結されている。出力板91は、ウォームホイール89を回転可能に支持する前記ホイール収容部86に形成した軸受部86aを貫通するとともに回転可能支持される出力軸92と連結されている。従って、出力軸92はウォーム軸が回転すると、ウォームホイール89、ゴムダンパ90及び出力板91を介して回転することになる。この出力軸92の回転に基づいてウィンドガラスが開閉動作する。
【0004】
又、ギヤハウジング88に形成した空気孔形成部87は、ウォーム収容部85の基端部に形成されていて、その一側面から前記ヨークハウジング84内に連通する空気通路93が形成されている。
【0005】
このように構成されたモータ本体82と減速部83とを互いに連結することによってギヤードモータ81は組み立てられる。詳述すると、ギヤードモータ81は、ヨークハウジング84とギヤハウジング88を図示しないボルトとナット等で連結することによって組み立てられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータ本体82のヨークハウジング84は金属で成形されているのに対して、減速部83のギヤハウジング88は合成樹脂で成形されているのが主流である。従って、モータを駆動させてウィンドガラスを開閉させている時、開閉させるガラスの負荷が大きいと、ウォームホイール89に噛合しているウォーム軸にウォームホイール89から大きな力が作用する。この大きな力は、強度的に弱いギヤハウジング88を撓ませる。つまり、ギヤハウジング88には空気通路93を有した空気孔形成部87が形成されているものの、空気孔形成部87はギヤハウジング88の基端部に形成されているため、空気孔形成部87がウォーム収容部85及びホイール収容部86を補強するといった役目を果たさなかった。従って、ギヤハウジング88が撓むと、ウォームホイール89とウォーム軸との噛み合いが外れるという問題を含んでいた。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は簡単な構成でギヤハウジングの強度を高め、ウォームホイールとウォーム軸との間に大きな力が作用しても撓み難くできウォームホイールとウォーム軸との噛み合いが外れ難くすることのできるギヤードモータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、開口部を有しモータを収容するヨークハウジングと、樹脂により成形され、前記ヨークハウジングの開口部を覆うとともに、前記モータの回転力を出力軸に伝達するウォーム軸が収容されるウォーム収容部及びウォームホイールが収容されるホイール収容部有するギヤハウジングとを備えたギヤードモータにおいて、前記ギヤハウジングに、前記ウォーム収容部に沿って補強部を併設するとともに、該補強部には前記ヨークハウジング内と連通しており、断面積が前記ヨークハウジングの内部に向かうほど拡大する空気孔が形成されていることをその要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のギヤードモータにおいて、前記補強部は、前記ウォーム収容部を挟んで前記ホイール収容部と略反対側に形成されていることをその要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のギヤードモータにおいて、前記ヨークハウジングには、前記モータの回転軸と前記ウォーム軸とが駆動連結されるクラッチが内在する凹部が形成されていることをその要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項に記載のギヤードモータにおいて、前記クラッチは、前記回転軸からの駆動力を前記ウォーム軸に伝達し、前記ウォーム軸からの駆動力を前記回転軸に伝達しないことをその要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のギヤードモータにおいて、前記空気孔は、前記ウォーム収容部に沿って略直線状に形成されていることをその要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のギヤードモータにおいて、前記空気孔の開口部が位置する前記補強部の外側面は、前記空気孔の長手方向軸線に対して斜状に形成されていることをその要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、収容するウォーム収容部に沿って補強部を併設したことにより、同ウォーム収容部は補強部によって補強される。従って、ギヤハウジングの強度を高められ、ウォームホイールとウォーム軸との間に大きな力が作用しても撓み難くできウォームホイールとウォーム軸との噛み合いが外れ難くなる。しかも、補強部に形成した空気孔によってヨークハウジング内の空気と外気との交換を行うことができる。
また、空気孔はその断面積がヨークハウジングの内部に向かうほど拡大するように形成されるので、空気孔内に水が浸入し該空気孔内に膜を形成し、ハウジング内部が負圧になることによりその浸入した水がハウジング内部に移動しても、空気孔の断面積が拡大するにつれて水の膜が薄くなり、ハウジング内部に到達する前に消失するようになる。従って、この空気孔の形状を工夫するだけで、ハウジング内部の浸水をより確実に防止することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、補強部がウォーム収容部を挟んでホイール収容部と略反対側に形成されていることから、ウォーム収容部は、補強部とホイール収容部とを結ぶ面方向に大きな力が作用しても撓み難くできウォームホイールとウォーム軸との噛み合いが外れ難くなる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、モータの回転軸とウォーム軸とはクラッチにより駆動連結されている。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、クラッチは、回転軸からの駆動力をウォーム軸に伝達するが、ウォーム軸からの駆動力は回転軸に伝達しない。
請求項に記載の発明によれば、空気孔はウォーム収容部に沿って略直線状に形成されるので、空気孔を容易に形成することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、空気孔の開口部が位置する補強部の外側面は、空気孔の長手方向軸線に対して斜状に形成されるので、空気孔の開口部の面積は、該空気孔の断面積より大きくなる。従って、面積が大きくなった部分だけ空気孔の開口部は水滴によって塞がれ難くなるので、ハウジング内部への浸水をより確実に防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をパワーウィンド装置に使用されるギヤードモータに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1は、ギヤードモータ1の要部断面図を示し、ギヤードモータ1は、モータ本体2と減速部3とを備えている。モータ本体2は、一端が開放した略有底筒型形状に形成された金属製のヨークハウジング4、そのヨークハウジング4の内周面に固着された複数のマグネット5、ヨークハウジング4内に回転可能に収容されるアーマチャ6及び給電部材7を備えている。
【0021】
アーマチャ6は、その回転軸8の基端部がヨークハウジング4の底部に固設した軸受9に回転可能に支持され、先端部がヨークハウジング4の開口部に固設される給電部材7に設けた軸受11に回転可能に支持されている。又、整流子12は給電部材7側の回転軸8に固着され、その各整流子片13に対して前記給電部材7に設けたブラシ14が摺接する。
【0022】
減速部3は、ギヤハウジング15、減速ユニット16及びカバー17等を備えている。
ギヤハウジング15は、合成樹脂で一体成形され、モータ固定部21、ウォーム収容部22、ホイール収容部23及び補強部24を備えている。モータ固定部21は前記給電部材7を挟持固定するように前記ヨークハウジング4と連結固定されている。モータ固定部21は、ヨークハウジング4側の面に凹部21aが凹設され、その凹部21aに給電部材7の一部が内在するとともに、前記回転軸8に駆動連結されたクラッチ19が内在するようになっている。
【0023】
モータ固定部21の下部には、前記凹部21aと連通するウォーム収容部22が図1において下方に向かって延出形成されている。ウォーム収容部22は、前記クラッチ19を介して回転軸8に駆動連結されたたウォーム軸25を収容するともに、同ウォーム収容部22に設けた軸受26にてウォーム軸25の先端部分を回転可能に支持している。尚、クラッチ19は回転軸8からの駆動力をウォーム軸25に伝達し、反対にウォーム軸25からの駆動力を回転軸8に伝達させない働きをする。
【0024】
ウォーム収容部22の中間部の一側(図1において右側)には、同ウォーム収容部22と連通する略有底円筒形状のホイール収容部23が形成されている。図2に示すように、このホイール収容部23の底部内側面23a中央には軸受部27が突出形成され、その軸受部27には軸線方向に軸孔28が貫通形成されている。そして、このウォーム収容部22には減速ユニット16が配設される。
【0025】
ウォーム収容部22の他側(図1において左側)には、補強部24が併設されている。詳述すると、補強部24は、前記モータ固定部21の下部からウォーム軸25を支持している軸受26が設けられている位置、即ちウォーム軸25と後述するウォームホイール31とが噛み合う位置よりも先端側の位置までウォーム収容部22とともに延出形成されている。
【0026】
補強部24の斜状に形成された下面24aには、空気孔29が形成されている。空気孔29は、下面24aから上方に向かってウォーム収容部22(ウォーム軸25)に沿って直線状に形成され前記モータ固定部21に形成した凹部21aに連通する。従って、モータ固定部21の凹部21a、即ち、ヨークハウジング4内は、空気孔29を介して外気と連通することになる。又、補強部24に形成した空気孔29の開口部の面積は下面24aが斜状に形成されているため、楕円形状となって空気孔29の平断面積(図2参照)より大きくなっている。
【0027】
次に、前記ギヤハウジング15のウォーム収容部22に配設される減速ユニット16について図4に従って簡単に説明する。減速ユニット16は、ウォームホイール31、ゴムダンパ32、出力板33及び出力軸34等を備えている。
【0028】
ウォームホイール31は、合成樹脂で略有底筒状に成形されていて、その外周面に前記ウォーム軸25と噛合するギヤ部31aが形成される。ウォームホイール31の中央部には軸部31bが形成され、その軸部31bに形成された軸孔31cが前記軸受部27に回転可能に支持される。従って、アーマチャ6の回転軸8の回転に基づいてウォーム軸25が回転すると、ウォームホイール31は軸部31bを回転中心として回転することになる。ウォームホイール31のギヤ部31aと軸部31bとの間に形成される環状の空間には、3個の係合支持部35が等角度間隔に形成されている。この3個の係合支持部35により環状の空間は3個に区画され、その3個に区画された扇状の空間をそれぞれダンパ収容部36としている。扇状のダンパ収容部36には、ゴムダンパ32が収容される。
【0029】
ゴムダンパ32は、円環状に一体成形され、円環板材をその径方向に分割した形状、即ち、略扇状に形成された6個のゴム体としてのダンパ部37を備えている。各ダンパ部37は、その内側部で連結部38にて連結されていて、そのダンパ部37を2つ一組にして前記ダンパ収容部36に収容されるようになっている。従って、隣合うダンパ収容部36に収容された2つ一組のダンパ部37の間には係合支持部35が介在することになる。その結果、前記ウォームホイール31が軸部31bを回転中心として回転すると、ゴムダンパ32も係合支持部35との係合により回転することになる。
【0030】
各ダンパ収容部36に収容された2つダンパ部37の間には、出力板33が係合する。出力板33は金属板で略円板状に形成され、その中央部に前記出力軸34が固定される軸嵌合部33aが形成されている。又、出力板33の一側面には、3個の係合凸部33bが等角度間隔に突出形成されている。そして、出力板33をゴムダンパ32に重ね合わせるように配設することにより、各係合凸部33bが各ダンパ収容部36に収容された2つダンパ部37の間にそれぞれ介在するようになっている。従って、前記ウォームホイール31が軸部31bを回転中心として回転すると、出力板33はゴムダンパ32を介して回転されることになる。
【0031】
出力板33の軸嵌合部33aに固定される出力軸34は、前記ホイール収容部23の軸受部27に形成した軸孔28を貫通し、同軸孔28にて回転可能に支持されている。そして、出力軸34のホイール収容部23から突出した部分にはギヤ39が形成され、このギヤ39は図示しないウィンドガラス昇降機構に駆動連結されている。従って、出力板33の回転とともに出力軸34も回転してウィンドガラス昇降機構を作動させる。
【0032】
前記減速ユニット16を収容したホイール収容部23の開口部側は、カバー17にて密閉されている。カバー17は金属板で略円板状に形成されている。カバー17は、その外周部がホイール収容部23側に屈曲させて嵌着部17aを形成し、その嵌着部17aにて同ホイール収容部23の開口部外周部と嵌着する。前記嵌着部17aの相対向する2箇所に保持アーム17bがホイール収容部23の外周面に沿って軸線方向に延出形成されている。各保持アーム17bの先端部にはそれぞれ係合片17cが屈曲形成されて、これら係合片17cは図5に示すようにホイール収容部23の開口部とは反対側の面(背面)23bと係合する。従って、各保持アーム17bの係合片17cがホイール収容部23の背面23bと係合することにより、カバー17はホイール収容部23に対して完全に連結固定される。
【0033】
次に、上記のように構成したギヤードモータ1の特徴を以下に記載する。
(1)ギヤハウジング15のウォーム収容部22に対して、同ウォーム収容部22と併設するように補強部24を形成した。しかも、補強部24はモータ固定部21の下部からウォーム収容部22の下部(軸受26が配置されている位置)までウォーム収容部22とともに延出形成した。
【0034】
従って、ウォーム収容部22は、併設された補強部24によって強度が上がることから、ウォーム軸25にウォームホイール31から大きな力が作用しても、ウォーム収容部22は撓み難くなる。その結果、ウォーム軸25にウォームホイール31から大きな力が作用しても、ウォームホイール31とウォーム軸25との噛み合いが外れ難くなる。
【0035】
さらに、補強部24はウォーム収容部22を挟んでホイール収容部23と略反対側に形成されていることから、ウォーム収容部22は補強部24とホイール収容部23とを結ぶ面方向に大きな力が作用してもより撓み難くいものとなっている。
【0036】
(2)しかも、補強部24には、その下面24aからウォーム収容部22(ウォーム軸25)に沿って直線状に上方に向かってモータ固定部21に形成した凹部21aに連通する空気孔29を形成した。従って、補強部24は、ギヤハウジング15、即ち、ウォーム収容部22の強度を上げるだけでなく、モータ本体2内の空気と外気との交換を可能にすることができる。又、空気孔29はウォーム収容部22に沿って直線状に形成されるので、空気孔29を容易に形成することができる。
【0037】
(3)さらに、補強部24の下面24aは斜状に形成したので、空気孔29の開口部の面積は、真円より大きい楕円形となる。従って、面積が大きくなった部分だけ空気孔29の開口部は、雨水によって塞がれ難くなる。
【0038】
つまり、該ギヤードモータ1は、図1に示すように、モータ本体2を上側にして、自動車のドア内に配設される。そして、ウィンドガラスに伝わって雨水がドア内に入り込むと、該雨水は上側のモータ本体2を伝わって下側の減速部3へと流れる。この時、雨水は補強部24の下面24aに伝わって下方へ流れるが、空気孔29の開口部は面積が大きくなっていることから雨水によって塞がれ難い。従って、空気孔29の開口部が雨水によって塞がれ難いため、ギヤードモータ1が呼吸してモータ本体2内が負圧となっても雨水は吸い込まれ難く、モータ本体2内への浸水をより確実に防止することができる。
【0039】
(4)又、本実施形態では、ホイール収容部23の開口部を密閉するカバー17の嵌着部17aに同ホイール収容部23の外周面に沿って軸線方向に延出する保持アーム17bを形成するとともに、その保持アーム17bの先端部に係合片17cを屈曲形成した。従って、カバー17の嵌着部17aをホイール収容部23の開口部に嵌着させるとともに、各保持アーム17bの係合片17cをホイール収容部23の背面23bと係合することにより、カバー17はホイール収容部23に対して完全に連結固定される。
【0040】
しかも、各保持アーム17bの係合片17cをホイール収容部23の背面23bと係合させるといった簡単な構造であるため、折り曲げ加工も簡単となりコストダウンを図ることができるとともに強固な連結構造となる。
【0041】
詳述すると、図11は従来のカバーとホイール収容部との連結構造を示す要部断面を示し、ホイール収容部95の外周面95aには係合凸部96が形成されている。一方、カバー97の嵌着部97aから延びた係合片97bを前記係合凸部96に沿って折り曲げ形成する。そして、その係合片97bを係合凸部96に係合させることにより、カバー97はホイール収容部95に対して連結固定されている。
【0042】
従って、従来のホイール収容部95には外周面95aに係合凸部96が形成されるのに対して本実施形態のホイール収容部23にはそのようなものは形成されない。その結果、その分だけホイール収容部23の外形を小さくしかも成形も容易にとなる。
【0043】
又、従来のカバー97の係合片97bは係合凸部96に沿って折り曲げ形成されているため、その折り曲げ加工は複雑である。つまり、図11においては3回折り曲げ加工を必要とする。従って、本実施形態のカバー17は1回の折り曲げ加工を行うだけでよいため、その分だけ折り曲げ加工は簡単になる。
【0044】
しかも、従来の係合片97bは、カバー97にホイール収容部95から離間する方向に力が加わると、係合凸部96に沿って最初に屈曲形成されている部分は他の部材に係止されていないため変形し易い。これに対し、本実施形態では、このような係止されない屈曲部は存在しないため、カバー17にホイール収容部23から離間する方向に力が加わっても、変形することはない。
【0045】
尚、発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
・リード線保持用クリップを補強部24に一体成形してもよい。詳述すると、図7に示すように、ギヤハウジング15の補強部24には、リード線保持用クリップ41を一体成形している。該クリップ41は、前記給電部材7に形成したコネクタ部7aに対して駆動電源供給用のリード線を結線する際に該リード線を巻回等して固定させるものである。つまり、リード線をクリップ41にて固定することにより、何らかの理由で外部からリード線に力が加わったとき、リード線とコネクタ部7aとの結合部に応力が加わることがない。
【0046】
該クリップ41は、図7において補強部24から左側に突出形成されている。又、該クリップ41は、図6に示すように補強部24に形成した空気孔29の中心軸線L0と直交する線L1を中心に左右対称に形成されている。従って、ギヤハウジング15を樹脂成形する際、クリップ41は、図6に示すように空気孔29の中心軸線L0と直交する線L1を中心に左右対称に形成されているため、クリップ41を成形する樹脂の流れを左右均一に流することができる。その結果、ギヤハウジング15の寸法精度を向上させることができる。
【0047】
尚、リード線保持用クリップ41は、補強部24が無い従来タイプのギヤハウジングにも応用してもよい。この場合、ウォーム収容部に収容されるウォーム軸の中心軸線と直交する線を中心に左右対称となるようにリード線保持用クリップをウォーム収容部の外側に成形されることになる。この場合にも、ギヤハウジングの寸法精度を向上させることができる。
【0048】
・上記実施形態では、空気孔29はウォーム軸25(ウォーム収容部22)の軸線方向においてその軸線方向と直交する方向の断面積が略同一であったが、図8に示すように、空気孔29aを、軸線方向においてその軸線方向と直交する方向の断面積が凹部21a(モータ本体2内)に向かうほど拡大するように形成してもよい。ここで、例えば、空気孔29aの開口部から水が浸入して該孔29aを塞ぐ膜が形成された状態で、モータ1が呼吸してモータ本体2内が負圧になると、その水の膜はモータ本体2内に向かって上昇する。しかしながら、図8の空気孔29aはモータ本体2内に向かうほど断面積が拡大するように形成されているので、上昇してきた水の膜は空気孔29aの断面積が拡大するにつれて薄くなり、モータ本体2内に到達する前に消失する。従って、この空気孔29aの形状を工夫するだけで、モータ本体2内への浸水をより確実に防止することができる。
【0049】
・上記実施形態では、補強部24をウォーム収容部22を挟んでホイール収容部23と略反対側に形成したが、これに限定されるものではなくウォーム収容部22に併設されれば反対側でなくてもよい。例えば、図9に示すように構成してもよい。尚、図9に示すモータ1aは、上記実施形態のモータ1と同様な部分(同様に機能する部分)については同じ符号を付して、該モータ1aの説明を省略する。又、このモータ1aの出力軸34は、上記実施形態のモータ1と反対方向に突出している。
【0050】
このモータ1aは、補強部24が出力軸34の軸線方向に略平行となるようにウォーム収容部22に沿って併設され、ホイール収容部23と補強部24とがウォーム収容部22に対し略直角の位置に形成されている。このような位置に補強部24を設けても、ウォーム収容部22は撓み難くなり、ウォーム軸25にウォームホイール31から大きな力が作用しても、ウォームホイール31とウォーム軸25との噛み合いを外れ難くすることができる。
【0051】
又、補強部24には、上記したように、軸線方向においてその軸線方向と直交する方向の断面積がモータ1a内部に向かうほど拡大するように形成された空気孔29aを有しているので、このモータ1aにおいても内部への浸水をより確実に防止することができる。
【0052】
次に、上記実施形態から把握することができる、特許請求の範囲に記載された技術的思想以外の技術的思想を以下に記載する。
・開口部を有しモータを収容するヨークハウジング(4)と、樹脂により成形され、前記ヨークハウジング(4)の開口部を覆うとともに、前記モータの回転力を出力軸に伝達するウォーム軸(25)とウォームホイール(31)をそれぞれ収容するウォーム収容部(22)とホイール収容部(23)とを有するギヤハウジング(15)とを備えたギヤードモータにおいて、前記ギヤハウジング(15)に前記ウォーム軸(25)を収容するウォーム収容部(22)に沿って補強部(24)を併設し、その補強部(24)に前記ウォーム軸(25)と平行に前記ヨークハウジング(4)内と連通する空気孔(29)を形成するとともに、空気孔(29)の中心軸線(L0)と直交する線(L1)を中心に左右対称となるリード線保持用クリップ(41)を形成したことを特徴とするギヤードモータ。この場合、ギヤハウジングの寸法精度の向上を図ることができる。
【0053】
・開口部を有しモータを収容するヨークハウジングと、樹脂により成形され、前記ヨークハウジングの開口部を覆うとともに、前記モータの回転力を出力軸に伝達するウォーム軸とウォームホイールをそれぞれ収容するウォーム収容部とホイール収容部とを有するギヤハウジングとを備えたギヤードモータにおいて、前記ギヤハウジングに前記ウォーム収容部に収容されるウォーム軸の中心軸線と直交する線を中心に左右対称となるリード線保持用クリップを形成したことを特徴とするギヤードモータ。この場合、ギヤハウジングの寸法精度の向上を図ることができる。
【0054】
・開口部を有しモータを収容するヨークハウジング(4)と、樹脂により成形され、前記ヨークハウジング(4)の開口部を覆うとともに、前記モータの回転力を出力軸に伝達するウォーム軸(25)とウォームホイール(31)をそれぞれ収容するウォーム収容部(22)とホイール収容部(23)とを有するギヤハウジング(15)と、前記ギヤハウジング(15)に形成したホイール収容部(23)の開口部を密閉するカバー(17)とを備えたギヤードモータにおいて、前記カバー(17)にホイール収容部(23)の外周面に沿って延びる保持アーム(17b)を形成するとともに、その保持アーム(17b)の先端部に前記ホイール収容部(23)の背面(23b)に係合する係合片(17c)を屈曲形成したことを特徴とするギヤードモータ。この場合、強固に連結固定することができるともに成形が容易でかつギヤハウジングの外形を小さくすることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ギヤハウジングの強度を高め、ウォームホイールとウォーム軸との間に大きな力が作用しても撓み難くできウォームホイールとウォーム軸との噛み合いが外れ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のギヤードモータの要部断面図。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】ギヤードモータの要部背面図。
【図4】減速ユニットを説明するための分解斜視図。
【図5】カバーとホイール収容部との連結構造を示す要部断面図。
【図6】図7のB−B線に沿った断面図。
【図7】別例のギヤードモータの要部断面図。
【図8】別例のギヤードモータの要部断面図。
【図9】別例のギヤードモータの背面図。
【図10】従来のギヤードモータを説明するための分解斜視図。
【図11】従来のカバーとホイール収容部との連結構造を示す要部断面図。
【符号の説明】
1,1a…ギヤードモータ、4…ヨークハウジング、15…ギヤハウジング、22…ウォーム収容部、23…ホイール収容部、24…補強部、24a…外側面としての下面、25…ウォーム軸、29,29a…空気孔、31…ウォームホイール、34…出力軸。

Claims (6)

  1. 開口部を有しモータを収容するヨークハウジング(4)と、
    樹脂により成形され、前記ヨークハウジング(4)の開口部を覆うとともに、前記モータの回転力を出力軸(34)に伝達するウォーム軸(25)が収容されるウォーム収容部(22)及びウォームホイール(31が収容されるホイール収容部(23)有するギヤハウジング(15)と
    を備えたギヤードモータにおいて、
    前記ギヤハウジング(15)に、前記ウォーム収容部(22)に沿って補強部(24)を併設するとともに、該補強部(24)には前記ヨークハウジング(4)内と連通しており、断面積が前記ヨークハウジング(4)の内部に向かうほど拡大する空気孔(29a)が形成されていることを特徴とするギヤードモータ。
  2. 請求項1に記載のギヤードモータにおいて、
    前記補強部(24)は、前記ウォーム収容部(22)を挟んで前記ホイール収容部(23)と略反対側に形成されていることを特徴とするギヤードモータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のギヤードモータにおいて、
    前記ヨークハウジング(4)には、前記モータの回転軸(8)と前記ウォーム軸(25)とが駆動連結されるクラッチ(19)が内在する凹部(21a)が形成されていることを特徴とするギヤードモータ。
  4. 請求項に記載のギヤードモータにおいて、
    前記クラッチ(19)は、前記回転軸(8)からの駆動力を前記ウォーム軸(25)に伝達し、前記ウォーム軸(25)からの駆動力を前記回転軸(8)に伝達しないことを特徴とするギヤードモータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のギヤードモータにおいて、
    前記空気孔(29a)は、前記ウォーム収容部(22)に沿って略直線状に形成されていることを特徴とするギヤードモータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のギヤードモータにおいて、
    前記空気孔(29a)の開口部が位置する前記補強部(24)の外側面(24a)は、前記空気孔(29a)の長手方向軸線に対して斜状に形成されていることを特徴とするギヤードモータ。
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