JP6531882B1 - 電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング - Google Patents

電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング Download PDF

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Abstract

【課題】ギヤハウジングを構成する前側ハウジングに関して、軽量化を図れるとともに、応力が集中しやすいウォームホイール収容部と支持部との連続部の強度を高めることができる構造を実現する。【解決手段】前側ハウジング15aを、合成樹脂製とし、ウォームホイール収容部17aを構成する収容前板部39と支持部19aとを一体に備えるものとする。そして、収容前板部39の前面と支持部19aの下面との隅角部51に、金属板製の補強部材52を設ける。これにより、合成樹脂製の隅角部51を金属製の補強部材52により補強して、上記課題を解決する。【選択図】図5

Description

本発明は、ウォーム減速機を収容するための電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングに関する。
図39は、電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を示している。運転者が車両の進行方向を変更するために操作するステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2の後端部に固定されている。ステアリングシャフト2は、円筒状のステアリングコラム3の内側に、回転自在に支持されている。操舵時に、ステアリングホイール1の動きは、ステアリングシャフト2、電動アシスト装置4、自在継手5a、中間シャフト6、別の自在継手5bを介して、ステアリングギヤユニット7のピニオン軸8に伝達される。ピニオン軸8が回転すると、ステアリングギヤユニット7の両側に配置された1対のタイロッド9が押し引きされて、左右1対の操舵輪に、ステアリングホイール1の操作量に応じた舵角が付与される。運転者がステアリングホイール1を操作するために要する力は、電動アシスト装置4から付与される補助動力により軽減される。なお、前後方向とは、電動式パワーステアリング装置が組み付けられる車体の前後方向をいう。
図40は、国際公開第2016/084659号に記載された、電動アシスト装置の具体的な構造を示している。電動アシスト装置4aは、ステアリングコラム3の前方に設けられており、ステアリングホイール1(図39参照)からステアリングシャフト2に入力された操舵トルクをトルクセンサ10により測定し、この測定信号に基づいて、電動モータ11の通電を制御する。電動モータ11が発生した補助動力は、ウォーム減速機12を介して出力軸13に付与される。トルクセンサ10と、ウォーム減速機12は、ステアリングコラム3の前端部に固定されたギヤハウジング14内に収容されている。
ギヤハウジング14は、前側ハウジング15と後側ハウジング16とを、複数本のボルトにより前後方向に結合して成る。このうちの前側ハウジング15は、ウォームホイール収容部17の前半部と、円筒状のウォーム収容部18とを備えている。また、ウォームホイール収容部17には、ギヤハウジング14を車体に対し揺動可能に支持するための支持部19が、前方に向けて突出するように設けられている。
ウォームホイール収容部17の内側には、出力軸13に外嵌固定されたウォームホイール20が収容されている。ウォーム収容部18の内側には、電動モータ11の出力軸に連結されたウォーム軸21が収容されている。そして、ウォーム軸21の中間部に設けられたウォーム22を、ウォームホイール20に噛合させている。
出力軸13は、ギヤハウジング14の内側に1対の転がり軸受23a、23bを介して回転自在に支持されており、互いに同軸に配置された入力軸24に対し、トーションバー25を介して連結されている。出力軸13の前端部は、前記図39に示したように、1対の自在継手5a、5b及び中間シャフト6を介してピニオン軸8に接続される。入力軸24の後端部は、ステアリングシャフト2の前端部に接続されている。ステアリングホイール1を操作すると、ステアリングシャフト2を介して入力軸24に加えられる操舵トルクと出力軸13が回転することに対する抵抗とにより、入力軸24と出力軸13とが、トーションバー25を捩り方向に弾性変形させつつ、回転方向に相対変位する。入力軸24と出力軸13との相対変位量は、トルクセンサ10により測定される。そして、図示しない制御器が、トルクセンサ10の測定信号を利用して、電動モータ11及びウォーム減速機12を介して、出力軸13に補助動力(補助トルク)を付与する。
国際公開第2016/084659号 特開2013−144497号公報 特開2015−94375号公報
近年、自動車の低燃費化に対する要求が高まっており、自動車の構成部品のさらなる軽量化が進められている。このような事情に鑑みて、電動式パワーステアリング装置に組み込まれるギヤハウジングを、金属に比べて密度の低い合成樹脂により造ることが考えられている。
ところが、車両の走行時には、車輪に加わる路面反力が、タイロッド、ステアリングギヤユニット、中間シャフトなどを通じて、ギヤハウジング内に配置された出力軸に伝達された後、転がり軸受を介してギヤハウジングに負荷される。また、ステアリングホイールの操作に要する力を軽減すべく、ウォーム軸を正転方向又は逆転方向に回転駆動した際にウォームホイールに作用する噛み合い反力は、出力軸及び転がり軸受を介して、やはりギヤハウジングに負荷される。一方、ギヤハウジングは、支持部により車体に対し片持ち支持されている。このため、ギヤハウジングには、路面反力や噛み合い反力などの外力に起因して、支持部を撓ませるような力や、支持部をねじるような力などが作用する。したがって、ウォームホイール収容部と支持部との連続部(支持部の根元近傍)に応力が集中しやすくなる。この結果、金属に比べて強度の低い合成樹脂製のギヤハウジングを使用した場合には特に、前記連続部の強度を向上することが望まれる。
なお、本発明に関連するその他の先行技術文献として、特開2013−144497号公報、及び、特開2015−94375号公報がある。これらの公報には、合成樹脂製のギヤハウジングの一部に金属製部品を組み込む技術が記載されている。ただし、いずれの公報にも、ウォームホイール収容部と支持部との連続部の強度を向上することは、一切記載されていない。
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、軽量化を図れるとともに、ウォームホイール収容部と支持部との連続部の強度を向上することができる、電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングの構造を実現することにある。
本発明の電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングは、電動式パワーステアリング装置を構成するもので、ウォームホイール収容部と、ウォーム収容部と、支持部とを備えている。
前記ウォームホイール収容部は、内側にウォームホイールを収容するためのもので、前記ウォームホイールの周囲に配置される収容筒部と、前記収容筒部の前端開口を塞ぐ円輪状の収容前板部と、前記収容筒部の後端開口を塞ぐ円輪状の収容後板部とを有している。
前記ウォーム収容部は、内側にウォーム軸を収容するためのもので、前記ウォームホイール収容部の外径側部分の周方向一部に設けられている。
前記支持部は、車体に対し支持するためのもので、前記収容前板部の前面から前方に向けて突出するように設けられている。なお、前記支持部は、電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングを前記車体に対し揺動可能に支持することもできるし、揺動しないように支持することもできる。電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングを前記車体に対し揺動可能に支持する場合には、前記支持部を特にピボット部と呼ぶこともできる。
特に本発明では、少なくとも前記収容前板部と前記支持部とを、合成樹脂により一体に成形したものとし、前記収容前板部と前記支持部との連続部に、金属製の補強部材を設けている。
本発明では、前記補強部材を、屈曲した形状を有し、前記収容前板部に配置された前板補強部と、前記支持部に配置された支持部補強部とを有するものとすることができる。
この場合には、前記補強部材を、略直角に屈曲した形状を有するものとすることができる。
また、前記補強部材を、前記前板補強部の上端部と前記支持部補強部の後端部とをつないだ、円弧状に湾曲した湾曲部をさらに備えたものとすることができる。
本発明では、前記補強部材を、金属板製とし、前記連続部のうち前記収容前板部の前面(表面)と前記支持部の下面との隅角部に設けることができる。そして、前記前板補強部を、前記収容前板部の前面を覆うように設け、前記支持部補強部を、前記支持部の下面を覆うように設けることができる。
この場合には、前記補強部材を、前記隅角部に沿って折れ曲がった、前記前板補強部と前記支持部補強部とを備えた本体板部と、前記本体板部の幅方向両側から同方向に折れ曲がった1対の折れ曲がり部とを有するものとすることができる。
あるいは、前記補強部材を、前記連続部に沿って折れ曲がった金属線材とすることもできる。
金属板製の前記補強部材を前記隅角部に設ける場合には、前記前板補強部の前面を通る仮想線と前記支持部補強部の下面を通る仮想線との交点を基準点として、該基準点から前記支持部補強部の先端部(前端部)までの長さ寸法をLinsertとし、前記基準点から前記支持部のうちで、たとえば揺動中心となるチルト軸との当接部に相当する荷重作用点までの長さ寸法をLloadとした場合に、Linsert/Lloadを、0.29よりも大きくすることができる。
本発明では、前記補強部材を略L字形状を有するものとし、前記前板補強部と前記支持部補強部とのうち、いずれか一方の長さ寸法をいずれか他方の長さ寸法よりも大きくすることができる。
あるいは、前記前板補強部の長さ寸法と前記支持部補強部の長さ寸法とを同じにすることもできる。
本発明では、前記補強部材の表面に微小凹凸部を形成し、前記連続部を構成する合成樹脂の一部を前記微小凹凸部に入り込ませることによるアンカー効果で、前記補強部材を前記連続部に接合することができる。
あるいは、前記補強部材を、前記連続部に対し接着剤により接着固定することもできる。
本発明では、前記電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングを、前側ハウジングと後側ハウジングとを、直接又は中間プレートなどの他の部材を介して、前後方向に組み合わせて構成することができる。
この場合に、前記前側ハウジングを、合成樹脂製で、前記収容筒部と、前記収容前板部と、前記ウォーム収容部と、前記支持部とを有するものとし、前記後側ハウジングを、前記収容後板部を有するものとすることができる。
あるいは、前記前側ハウジングを、合成樹脂製で、前記収容前板部と、前記支持部とを有するものとし、前記後側ハウジングを、前記収容筒部と、前記収容後板部と、前記ウォーム収容部とを有するものとすることができる。
上述のように構成する本発明によれば、電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングに関して、軽量化を図れるとともに、応力が集中しやすいウォームホイール収容部と支持部との連続部の強度を高めることができる。
図1は、実施の形態の第1例にかかる電動式パワーステアリング装置の側面図である。 図2は、実施の形態の第1例にかかる電動式パワーステアリング装置を前方側から見た図である。 図3は、実施の形態の第1例にかかる電動式パワーステアリング装置の要部断面図である。 図4は、図3のA−A断面図である。 図5は、実施の形態の第1例に関して、ギヤハウジングを取り出して前方から見た斜視図である。 図6は、実施の形態の第1例に関して、電動モータ及びギヤハウジングを取り出して後方から見た斜視図である。 図7(A)は、実施の形態の第1例に関して、前側ハウジングを取り出して示す斜視図であり、図7(B)は、実施の形態の第1例に関して、後側ハウジングを取り出して示す斜視図である。 図8は、図3の部分拡大図である。 図9(A)及び図9(B)は、実施の形態の第1例に関して、補強部材を取り出して示す斜視図である。図9(A)は下方から見た図であり、図9(B)は上方から見た図である。 図10は、実施の形態の第1例に関して、アンカー効果によって補強部材を隅角部に接合した場合について説明するために示す、断面模式図である。 図11(A)及び図11(B)は、実施の形態の第2例に関して、シミュレーション解析に用いるモデル化した前側ハウジング及び補強部材を示す図である。(A)は側面図であり、(B)は斜視図である。 図12は、実施の形態の第2例に関して、シミュレーション解析の結果を示すグラフである。 図13は、実施の形態の第3例を示す、図5に相当する図である。 図14は、実施の形態の第3例に関して、補強部材を取り出し、前方かつ下方から見た斜視図である。 図15は、実施の形態の第3例に関して、補強部材を取り出し、幅方向片側かつ上方から見た斜視図である。 図16は、実施の形態の第4例を示す、図5に相当する図である。 図17は、実施の形態の第4例を示す、図14に相当する図である。 図18は、実施の形態の第4例に関して、補強部材を取り出し、後方かつ上方から見た斜視図である。 図19は、実施の形態の第4例を示す、図15に相当する図である。 図20は、実施の形態の第5例に関して、前側ハウジングを取り出して示す斜視図である。 図21は、実施の形態の第5例に関して、補強部材を取り出して示す斜視図である。 図22は、実施の形態の第6例を示す、図20に相当する図である。 図23は、実施の形態の第6例を示す、図21に相当する図である。 図24は、実施の形態の第7例を示す、図20に相当する図である。 図25は、実施の形態の第7例を示す、図21に相当する図である。 図26は、実施の形態の第8例を示す、図20に相当する図である。 図27は、実施の形態の第8例を示す、図21に相当する図である。 図28は、実施の形態の第9例を示す、図20に相当する図である。 図29は、実施の形態の第9例を示す、図21に相当する図である。 図30は、実施の形態の第10例を示す、図20に相当する図である。 図31は、実施の形態の第10例を示す、図21に相当する図である。 図32は、実施の形態の第11例を示す、図5に相当する図である。 図33は、実施の形態の第11例を示す、図14に相当する図である。 図34は、実施の形態の第12例を示す、図5に相当する図である。 図35は、実施の形態の第12例に関して、前側ハウジングを取り出して示す斜視図である。 図36(A)及び図36(B)は、実施の形態の第12例を示す、図9(A)及び図9(B)に相当する図である。 図37(A)及び図37(B)は、補強部材を設置可能な位置の2例を説明するために示す、図8に相当する断面図である。 図38は、本発明に適用可能な構造の1例として、インサート成形により前側ハウジングと金属製部品とを一体化した構造を説明するために示す、前側ハウジングを後方から見た斜視図である。 図39は、従来構造の電動式パワーステアリング装置の1例を示す、部分切断側面図である。 図40は、従来構造の電動アシスト装置に関する、図3に相当する要部断面図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1〜図10を用いて説明する。なお、各図面同士の間で、細部の形状が一部異なる部分があるが、同一符号を付した部分に関しては、内容及び機能について差異はない。
本例の電動式パワーステアリング装置は、運転者の体格や運転姿勢に合わせて、ステアリングホイール1(図39参照)の上下位置及び前後位置を調節可能とするチルト・テレスコピック機構を備えるとともに、ステアリングホイール1の操作に要する力を軽減可能な電動アシスト装置4bを備えている。
ステアリングシャフト2aは、ステアリングコラム3aの内側に、図示しない複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。ステアリングシャフト2aの後端部で、ステアリングコラム3aの後端開口よりも後方に突出した部分には、ステアリングホイール1が固定される。このようなステアリングシャフト2aは、インナシャフト26とアウタシャフト27とをスプライン係合などにより、回転力の伝達可能に、かつ、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わせて成る。インナシャフト26とアウタシャフト27とは、軸方向に相対変位することで、ステアリングホイール1の前後位置の調節を可能にする他、衝突事故の際にはステアリングシャフト2aの全長を縮める。
ステアリングコラム3aは、全体を中空筒状に構成されており、インナコラム28の後側部分に、アウタコラム29の前側部分を、軸方向に関する相対変位を可能に緩く嵌合して成る。このようなステアリングコラム3aは、ステアリングホイール1の前後位置の調節を可能にする他、衝突事故の際には、ステアリングシャフト2aとともに全長を縮める。インナコラム28の前端部(図1の左端部)には、電動アシスト装置4bを構成するギヤハウジング14aが固定されている。ギヤハウジング14aは、車体に固定されるロアブラケット30に対して、幅方向に配置されたチルト軸31を中心とする、揺動変位を可能に支持されている。なお、幅方向とは、電動式パワーステアリング装置が組み付けられる車体の幅方向をいい、左右方向に相当する。チルト軸31は、ボルト又はピンなどから構成されている。
アウタコラム29は、アッパブラケット32により車体に支持されている。アッパブラケット32は、前方に向いた強い衝撃が加わった際に、車体から前方に離脱可能に支持されている。また、ステアリングホイール1の前後位置及び上下位置を調節可能とすべく、アウタコラム29を、アッパブラケット32に対して、前後方向及び上下方向に移動可能に支持している。このために、アウタコラム29に設けた1対の被挟持部33には、前後方向に長いテレスコ調節用長孔34を形成している。また、1対の被挟持部33の幅方向両側に配置される、アッパブラケット32を構成する1対の支持板部35には、上下方向に長いチルト調節用長孔36を形成している。そして、テレスコ調節用長孔34とチルト調節用長孔36とに、調節ロッド37を幅方向に挿通している。調節ロッド37の端部に固定した図示しないレバーを操作し、調節ロッド37の周囲に配置した図示しない拡縮装置を幅方向に拡縮させることで、1対の支持板部35によって1対の被挟持部33を幅方向両側から挟持する力を調節可能としている。これにより、アウタコラム29をアッパブラケット32に対して固定したり、固定を解除したりできるようにしている。
固定を解除した状態では、調節ロッド37がテレスコ調節用長孔34の内側で変位できる範囲で、アウタコラム29を前後移動させて、ステアリングホイール1の前後位置の調節を行える。また、調節ロッド37がチルト調節用長孔36の内側で変位できる範囲で、ステアリングコラム3aを上下移動させて、ステアリングホイール1の上下位置の調節を行える。この際、ステアリングコラム3aは、チルト軸31を中心に上下方向に揺動変位する。
ステアリングホイール1の操作力を軽減するための電動アシスト装置4bは、ステアリングコラム3aの前方に配置されており、トルクセンサ10aと、電動モータ11aと、ウォーム減速機12aと、出力軸13aと、ギヤハウジング14aとを備えている。
ギヤハウジング14aは、前側ハウジング15aと後側ハウジング16aとを、複数本(図示の例では2本)のボルト55により前後方向に結合して構成されている。このようなギヤハウジング14aは、中空ドーナツ状のウォームホイール収容部17aと、カップ状のウォーム収容部18aと、片持ち梁状の支持部19aと、円筒状のトルクセンサ収容部41とを有している。
前側ハウジング15aは、合成樹脂製で、ウォームホイール収容部17aを構成する収容筒部38及び収容前板部39と、ウォーム収容部18aと、支持部19aとを有している。すなわち、収容筒部38と、収容前板部39と、ウォーム収容部18aと、支持部19aとは、合成樹脂により一体に成形されている。
後側ハウジング16aは、前側ハウジング15aの後端開口を塞ぐカバーとして機能するもので、合成樹脂製で、ウォームホイール収容部17aを構成する収容後板部40と、その内側にトルクセンサ10aを収容するためのトルクセンサ収容部41とを有している。すなわち、収容後板部40と、トルクセンサ収容部41とは、合成樹脂により一体に成形されている。
なお、本例では、後側ハウジング16aについても、合成樹脂製としているが、ギヤハウジング14a全体として十分な軽量化が図れる場合には、後側ハウジング16aについては、鉄系合金やアルミニウム合金などの金属製としても良い。
ウォームホイール収容部17aは、ウォーム減速機12aを構成するウォームホイール20aを収容するためのものである。ウォームホイール収容部17aは、ウォームホイール20aの周囲に配置される円筒状の収容筒部38と、ウォームホイール20aの前方に配置され、かつ、収容筒部38の前端開口を塞ぐ円輪状の収容前板部39と、ウォームホイール20aの後方に配置され、かつ、収容筒部38の後端開口を塞ぐ円輪状の収容後板部40とを有している。本例では、収容筒部38及び収容前板部39は、前側ハウジング15aに設けられており、収容後板部40は、後側ハウジング16aに設けられている。
収容前板部39の内周縁部には、略円筒状の内径側筒部42が設けられている。そして、収容前板部39の径方向中央部に位置する、内径側筒部42の径方向内側部分を、軸受保持孔43としている。また、収容前板部39の前面のうち軸受保持孔43の開口縁部には、径方向外側に隣接する部分に比べて前方に張り出した張出部44が設けられている。張出部44の前面(先端面)は、ウォームホイール収容部17aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面になっている。また、張出部44の前方から見た輪郭形状は、四辺のうちの一辺(下辺)が円弧状になった略矩形状(逆アーチ形)である。
ウォーム収容部18aは、ウォーム減速機12aを構成するウォーム軸21aを収容するためのもので、その内部空間は、ウォームホイール収容部17aの内部空間に連通している。ウォーム収容部18aは、ウォームホイール収容部17aの外径側部分の周方向一部で、電動式パワーステアリング装置の組付状態で、車体の幅方向に関して出力軸13aの側方に位置する部分に設けられている。このようなウォーム収容部18aの中心軸は、上下方向に向いており、ウォームホイール収容部17aの中心軸に対して、捩れの位置にある。また、ウォーム収容部18aの開口部は、電動式パワーステアリング装置の組付状態で上方に向いている。ウォーム収容部18aの開口側端部には、径方向外方に張り出したモータ取付フランジ45が設けられている。モータ取付フランジ45には、電動モータ11aとともに、基板を内蔵した制御装置46を支持している。
支持部19aは、チルト機構を構成するもので、ギヤハウジング14aを車体に対し揺動変位を可能に片持ち支持する。このような支持部19aは、収容前板部39の前面の上部から前方に向けて、収容前板部39の前面に対して略直角方向に突出するように設けられている。また、支持部19aは、突出板部47と、1対の側板部48と、支持筒部49とを備えている。
突出板部47は、軸受保持孔43の開口部の上方に略水平に配置され、かつ、収容前板部39の前面から前方に向けて伸長している。また、突出板部47の下面の基端部(根元部)は、収容前板部39に設けられた張出部44の前面の上端部に対し、略直交するようにつながっている。1対の側板部48は、突出板部47の幅方向両側に設けられており、該突出板部47に対し略直角に配置されている。支持筒部49は、略円筒状に構成されており、その中心軸を略水平に配置した状態で、1対の側板部48同士の間部分でかつ突出板部47の前端部に設けられている。支持筒部49の中央部には、チルト軸31を挿通するための貫通孔である支持孔62が設けられている。このような支持部19aの幅寸法は、張出部44の幅寸法と同じになっている。このため、支持部19aを構成する1対の側板部48と張出部44の幅方向両側面は、上下方向につながっている。
特に本例では、収容前板部39と支持部19aとの連続部50のうち、収容前板部39に設けられた張出部44の前面と支持部19aを構成する突出板部47の下面との間に存在する隅角部51に、金属板製の補強部材52を設けている。張出部44の前面と突出板部47の下面とをつないだ隅角部51は、凹円弧状に湾曲している。
補強部材52は、たとえば、金属板にプレス加工などの曲げ加工を施して造られており、略直角に屈曲した形状を有している。補強部材52は、本体板部53と、1対の折れ曲がり部54とを有している。本体板部53は、隅角部51に沿って略直角に折れ曲がっており、張出部44の前面の上端部分を全幅にわたり覆った前板補強部64と、突出板部47の下面の基半部(後半部)を全幅にわたり覆った支持部補強部65と、前板補強部64の上端部と支持部補強部65の後端部とを滑らかにつないだ、円弧状に湾曲した湾曲部66とを有している。本例の補強部材52は、略L字形状を有しており、支持部補強部65の長さ寸法(前後寸法)が、前板補強部64の長さ寸法(上下寸法)よりも大きくなっている。1対の折れ曲がり部54は、本体板部53の幅方向両側から互いに同方向にかつ略直角に折れ曲がるように設けられている。このような折れ曲がり部54は、支持部19aの基半部(後半部)の下端部及び張出部44の上端部を幅方向両側から覆っている。図示の例では、支持部補強部65として、突出板部47の下面の基半部を覆える程度の長さ寸法を有するものを使用しているが、長さ寸法をより短くして、突出板部47の下面の基端部のみを覆うようにしても良いし、長さ寸法をより長くして、突出板部47の下面全体を覆うようにしても良い。また、前板補強部64の長さ寸法をより長くして、張出部44の前面の上半部を覆うようにしたり、張出部44の前面全体を覆うようにしても良い。
上述のような補強部材52を、前側ハウジング15aを構成する隅角部51に設けるための具体的な方法は、特に限定されない。たとえば、前側ハウジング15aを造るための射出成形型内に補強部材52をインサートした状態で、合成樹脂材料を充填することで、インサート成形により前側ハウジング15aと補強部材52とを一体化し、補強部材52を隅角部51に設けることができる。また、このようなインサート成形を行う場合には、予め補強部材52の表面に粗面化処理を施しておき、図10に模式的に示すように、補強部材52の表面に微小凹凸部56を形成しておくことができる。これにより、微小凹凸部56の凹部に合成樹脂の一部を入り込ませることができるため、アンカー効果により、補強部材52を隅角部51に強固に接合することができる。なお、図10中に梨子地模様で示しているのは、合成樹脂中に含有した繊維補強材である。或いは、前側ハウジング15aを射出成形により製造した後に、エポキシ樹脂などの接着剤を用いて、補強部材52を隅角部51に対して接着固定しても良い。さらに、補強部材52に接着剤を塗布した状態で、インサート成形(接合)しても良い。また、本例では、図8に示したように、補強部材52を、前側ハウジング15aのうちで補強部材52により覆わない部分と面一になるように設けているが、例えば、補強部材52は、前側ハウジング15aのうちで補強部材52により覆わない部分よりも厚さ寸法(板厚)分だけ出っ張るように設けても良い。
本例では、上述のような前側ハウジング15aと後側ハウジング16aとを、複数本(図示の例では2本)のボルト55によって互いに連結している。具体的には、前側ハウジング15aを構成する収容筒部38の外周面に形成された複数(図示の例では2つ)の前側結合フランジ57と、後側ハウジング16aを構成する収容後板部40の外周縁に形成された複数(図示の例では2つ)の後側結合フランジ58とを、それぞれボルト55により互いに結合している。
本例では、上述のような構成を有するギヤハウジング14aの内側に、出力軸13aを、1対の転がり軸受23c、23dにより回転自在に支持している。1対の転がり軸受23c、23dのうち、前側の転がり軸受23cは、前側ハウジング15aを構成する軸受保持孔43に内嵌保持されており、後側の転がり軸受23dは、後側ハウジング16aを構成する収容後板部40に内嵌保持されている。また、前側の転がり軸受23cを構成する外輪は、軸受保持孔43の内周面の軸方向中間部に内嵌固定されている。さらに、前側の転がり軸受23cを構成する外輪は、軸受保持孔43の前端寄り部分に設けられた後方を向いた段差面と、軸受保持孔43の内周面の後端寄り部分に形成された係止溝に係止された止め輪とにより両側から挟持されている。出力軸13aは、ステアリングシャフト2aを構成するインナシャフト26の前端部に対し、トーションバー25aを介して連結されている。また、出力軸13aの前端部で、ギヤハウジング14aの外部に突出した部分には、自在継手5aが結合される。
出力軸13aの中間部で、1対の転がり軸受23c、23d同士の間には、ウォーム減速機12aを構成するウォームホイール20aが外嵌固定されている。この状態で、ウォームホイール20aは、前側ハウジング15aを構成するウォームホイール収容部17aの内側に配置されている。ウォームホイール20aとともにウォーム減速機12aを構成するウォーム軸21aは、ウォーム収容部18aの内側に、1対の転がり軸受58a、58bを介して回転自在に支持されている。この状態で、ウォーム軸21aの中間部に設けられたウォーム22aを、ウォームホイール20aに噛合させている。また、ウォーム軸21aの基端部には、電動モータ11aの出力軸を連結している。これにより、電動モータ11aの補助動力を、ウォームホイール20aに伝達可能としている。このような電動モータ11aは、前側ハウジング15aを構成するモータ取付フランジ45を利用して、ギヤハウジング14aに支持固定される。
後側ハウジング16aを構成するトルクセンサ収容部41の内側で、インナシャフト26の前端部の周囲に、トルクセンサ10aを配置している。電動モータ11aは、トルクセンサ10aが検出する、ステアリングホイール1からステアリングシャフト2aに加えられる操舵トルクの方向及び大きさに応じて、ウォーム軸21aを回転駆動し、出力軸13aに補助動力(補助トルク)を付与する。この結果、左右1対の操舵輪に舵角を付与する際に必要になる、ステアリングホイール1の操作力が軽減される。
以上のような構成を有する本例の電動式パワーステアリング装置によれば、ギヤハウジング14aの軽量化を図れるとともに、ウォームホイール収容部17aを構成する収容前板部39と支持部19aとの連続部50の強度を高めることができる。
すなわち、本例では、ギヤハウジング14aを構成する前側ハウジング15a及び後側ハウジング16aをそれぞれ、金属に比べて密度の低い合成樹脂から造っているため、ギヤハウジング14aの軽量化を十分に図れる。
また、ギヤハウジング14aに負荷される路面反力や噛み合い反力などの外力に基づいて応力が集中しやすい、収容前板部39と支持部19aとの隅角部51に、金属板製の補強部材52を設けている。このため、合成樹脂により構成された隅角部51を、金属製の補強部材52によって補強することができる。したがって、路面反力や噛み合い反力などの外力がギヤハウジング14aに負荷された場合にも、支持部19aの変形量を抑えることができる。この結果、連続部50の強度を高めることができるとともに、隅角部51に亀裂などの損傷が早期に発生することを有効に防止できる。
また、補強部材52の幅方向両側部に1対の折れ曲がり部54を設けているため、補強部材52のねじり剛性を高めることができる。このため、ウォーム軸21aを正転方向又は逆転方向に回転駆動した際にウォームホイール20aに作用する噛み合い反力に起因して、ギヤハウジング14aに、支持部19aをねじるような力が作用した場合にも、支持部19aのねじれ変形量を有効に抑えることができる。したがって、連続部50の強度を向上する面、及び、隅角部51の損傷を防止する面からより有利になる。
さらに、支持部19aの剛性を高めることができるため、ステアリングシャフト2a及びステアリングコラム3aの収縮動作の挙動を安定させることができる。また、振動や異音の発生を抑制することもできる。
次に、前側ハウジング15a及び後側ハウジング16aに使用できる材料、及び、補強部材52に使用できる材料について、具体例を挙げて説明する。
[前側ハウジング15a及び後側ハウジング16aに使用できる材料]
前側ハウジング15a及び後側ハウジング16aに用いる樹脂材料としては、熱可塑性樹脂と繊維強化材とを含有する樹脂組成物を使用することが望ましい。使用する樹脂の種類は特に限定されないが、耐熱性の観点から、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)などを好ましく使用できる。また、これらの中でも、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)は、吸水による強度低下や寸法変化が少ない点でより好ましい。また、ポリアミド系樹脂の具体例としては、ナイロン(登録商標)6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46などが挙げられる。また、これら脂肪族ポリアミドと比較して吸水性や吸湿性が低い半芳香族ナイロンとしては、アジピン酸ユニットにテレフタル酸を一部共重合させた半芳香族ナイロンである、ナイロン6T/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/M−5T、ナイロン6T、ナイロン9Tなどが挙げられる。
繊維強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維(金属の種類はステンレス、鉄、アルミニウム)などの無機繊維や、アラミド繊維、芳香族ポリイミド繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維が挙げられる。これらの繊維強化材の中では、良好な補強性が得られることから、ガラス繊維及び炭素繊維が好ましい。また、これらの繊維強化材を、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、繊維補強材以外にも、チタン酸カリウムウィスカーなどのウィスカー状の補強材を用いても良い。
樹脂材料に対する繊維補強材の含有量は、10質量%以上60質量%以下が好ましい。含有量が10質量%未満であると、樹脂材料の機械的強度及び寸法安定性が不十分になる可能性がある。また、繊維補強材の含有量が少ないと、樹脂材料と補強部材52などの金属製のインサート部品との線膨張係数の差が大きく、温度変化により発生する熱応力が高くなり、部品の離脱や樹脂材料の破損が生じる可能性がある。これに対し、繊維補強材の含有量が60質量%を超えると、樹脂材料の靱性が低下するだけでなく、樹脂材料の流動性が低下する。流動性が低下すると接合面の微小凹凸部に樹脂材料が入り込みにくくなり、接合力が低下する可能性がある。このような不都合を生じにくくするためには、繊維補強材の含有量を30質量%以上50質量%以下にすることが好ましい。
このような樹脂組成物には、その物性を向上させるために、目的に応じて種々の添加剤を添加しても良い。ギヤハウジング14aは、たとえば−40℃〜100℃程度の冷熱衝撃が繰り返し加わるような状況下で使用される場合がある。このため、そのような状況下での信頼性を高めるために、熱可塑性樹脂に衝撃強さ改良剤として、軟質成分を配合してポリマーアロイとしても良い。軟質成分としては、アクリルゴム、無水マレイン酸変性エチレンプロピレン非共役ジエンゴム、カルボキシル変性水素添加ニトリルゴムなどのゴム状物性を配合しても良い。軟質成分の配合量は、樹脂組成物全体の5質量%以上50質量%以下が好ましい。軟質成分の含有量が5質量%未満であると、耐冷熱衝撃性が不十分になる可能性があり、軟質成分の含有量が50質量%超過であると、強度、剛性、及び耐熱性などの諸物性に悪影響が生じる可能性がある。
また、熱可塑性樹脂の酸化劣化を抑制する目的で、樹脂組成物に酸化防止剤を配合しても良い。酸化防止剤の種類は特に限定されないが、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤などが挙げられる。さらに、樹脂組成物には、上記のアミン系、フェノール系、及び、ハイドロキノン系の酸化防止剤とともに、過酸化物分解型酸化防止剤(二次酸化防止剤)を併用しても良い。
なお、上記のような、酸化防止剤の配合量は、樹脂組成物に対して0.1〜3.0質量%程度が好ましいが、酸化防止剤の種類によっては、ブルームしない範囲あるいは樹脂の物性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、それ以上の量を配合しても良い。
さらに、樹脂組成物には、下記のような添加物を配合しても良い。たとえば、固体潤滑剤(黒鉛、六方晶窒化ホウ素、フッ素雲母、四フッ化エチレン樹脂粉末、二硫化タングステン、二硫化モリブデンなど)、無機粉末、有機粉末、潤滑油、可塑剤、ゴム、熱安定剤、紫外線吸収剤、光保護材、無機又は有機難燃剤、帯電防止剤、離型剤、流動性改良剤、熱伝導性改良剤、非粘着性付与剤、結晶化促進剤、増核剤、顔料、染料剤、光安定剤、その他の補強材などを適宜添加しても良い。
また、ギヤハウジング14aには、電動機の制御装置(ECU)を収容する場合がある。この場合には、制御装置の誤作動を防ぐために、ギヤハウジング14aに電磁波シールド性が求められることがある。ただし、殆どの樹脂材料には導電性がないため、シールド性が不足する可能性がある。そこで、シールド性を確保するために、ギヤハウジング14aの表面に金属の被膜を形成しても良い。金属の種類や被膜方法は、特に限定されないが、金属の種類としては、銅(Cu)やニッケル(Ni)が挙げられ、被膜方法としては、電解めっきや無電解めっき、蒸着などが挙げられる。
[補強部材52に使用できる材料]
補強部材52を構成する金属材料としては、S53Cなどの機械構造用炭素鋼、SUJ2などの軸受鋼、SPCCなどの冷間圧延鋼板、SUS430などのステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金などが挙げられる。これらの中では、プレス加工性に優れ、コストの面から有利になる冷間圧延鋼板(SPCC)を好ましく使用できる。また、補強部材52には、合成樹脂製の隅角部51との接合に悪影響を及ぼさない範囲で、四三酸化鉄被膜、亜鉛めっき、ニッケルクロムめっき、無電解ニッケルめっき、防錆塗料などの、防錆用の表面処理を施しても良い。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図11(A)、図11(B)及び図12を用いて説明する。
実施の形態の第1例で説明したように、合成樹脂製の前側ハウジング15aのうちで応力が集中しやすい連続部50を金属製の補強部材52で補強した場合には、連続部50の強度を高めることができる。ただし、前側ハウジング15aのうちで補強部材52と接合した境界部(以下、接合境界部という)では、補強部材52のサイズが小さすぎると、集中した応力(引張応力)を支承しきれずに、応力が上昇してしまう可能性があると考えられる。そこで、本例では、補強部材52の長さ寸法(支持部補強部65の長さ寸法)を変えることで、前側ハウジング15aの接合境界部に作用する応力を低下させることができるかについて、シミュレーション解析(FEM解析)により検討した。さらに本例では、補強部材52の湾曲部66の曲率半径と、前側ハウジング15aの接合境界部に作用する応力との関係についても併せて求めた。シミュレーションの条件は、以下の通りである。
[前側ハウジング15aの寸法及び材質(ヤング率)]
本例では、前側ハウジング15aを、図11(A)及び図11(B)に示したように略L字板状にモデル化した。具体的には、前側ハウジング15aを、上下方向に伸長した縦板状の収容前板部39と、該収容前板部39の上端部から前後方向(図11(A)及び図11(B)の左右方向)に伸長した横板状の支持部19aとから構成されるものとした。前側ハウジング15aの寸法は、上下寸法を75mmとし、前後寸法を100mmとし、幅寸法を20mmとした。さらに、収容前板部39の前後方向の厚さ寸法を30mmとし、支持部19aの上下方向の厚さ寸法を30mmとした。また、前側ハウジング15aの材質は、ヤング率が15500MPaであり、ポアソン比が0.36である、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)にガラス繊維を40質量%含有したものとした。
[補強部材52の寸法及び材質(ヤング率)]
補強部材52についても、インサートされる前側ハウジング15aの形状にあわせて、図11(A)及び図11(B)に示したように略L字板状にモデル化した。本例では、補強部材52の長さ寸法が、前側ハウジング15aの接合境界部に作用する応力に与える影響を調べるために、補強部材52の前後寸法Lを異ならせた。具体的には、補強部材52の前後寸法Lを、20mm、30mm、50mm、70mmに設定した。また、補強部材52の上下寸法については、前後寸法Lを20mmに設定した場合には20mmとし、その他の場合には30mmとした。補強部材52の幅寸法及び厚さ寸法については、補強部材52の前後寸法Lにかかわらず一定とし、幅寸法を20mmとし、厚さ寸法を10mmとした。また、補強部材52の材質は、ヤング率が208000MPaであり、ポアソン比が0.29である炭素鋼とした。
[湾曲部66の曲率半径]
湾曲部66の曲率半径が、前側ハウジング15aの接合境界部に作用する応力に与える影響を調べるために、湾曲部66の曲率半径Rを、5mm、10mm、20mmに設定した。
[荷重の作用点と応力計測位置]
本例のシミュレーションでは、収容前板部39の後端面(図11(A)及び図11(B)の左端面)を固定面とし、支持部19aの前端面の下部を、上向きの荷重(10000N)が加わる作用点Pに設定した。そして、このような作用点Pに荷重を加えた場合に、樹脂製部品である前側ハウジング15aの接合境界部に作用する応力の値を求めることとした。具体的には、前側ハウジング15aのうちで支持部補強部65の前端部と接合した接合境界部Xの応力を求めることとした。なお、作用点Pは、支持部19aに設けられた支持孔62(図3参照)のうちで、揺動中心となるチルト軸31(図3参照)との当接部に相当する位置である。
[その他の条件]
補強部材52の前後寸法Lには、前後寸法Lを変化させた場合にも変化しない、補強部材52の厚さ寸法(10mm)分が含まれている。このため、補強部材52の前後寸法Lの変化を正しく評価するために、補強部材52を構成する前板補強部64の前面の延長線Z1と支持部補強部65の下面の延長線Z2との交点を基準点Sとして、該基準点Sから支持部補強部65の前端部までの長さ寸法をLinsertとした。また、基準点Sから荷重の作用点Pまでの長さ寸法をLload(70mm)とした。
以下に、シミュレーション解析を行った試料ごとに、Linsertの長さ寸法と曲率半径Rの大きさとの関係を示す。
第1試料(A1):Linsert:10mm、R:10mm
第2試料(A2):Linsert:20mm、R:10mm
第3試料(A3):Linsert:40mm、R:10mm
第4試料(A4):Linsert:60mm、R:10mm
第5試料(A5):Linsert:20mm、R:5mm
第6試料(A6):Linsert:40mm、R:5mm
第7試料(A7):Linsert:20mm、R:20mm
第8試料(A8):Linsert:40mm、R:20mm
また、本例では、補強部材52をインサートした上記8つの試料の他に、補強部材52をインサートしていない、樹脂製部品である前側ハウジング15aのみからなる比較試料(B)についても、シミュレーション解析を行った。なお、比較試料(B)については、隅角部51の曲率半径の大きさを10mmに設定した。
[シミュレーション解析の結果]
以上のような条件によりシミュレーション解析を実施した結果、前側ハウジング15aの接合境界部Xでの最大主応力は、補強部材52の前後寸法L(Linsert)が大きくなるほど小さくなることが確認された。
図12には、シミュレーション解析により求められた、基準点Sから支持部補強部65の前端部までの長さ寸法Linsertを、基準点Sから荷重の作用点Pまでの長さ寸法Lloadで除した値(Linsert/Lload)と、最大主応力の値との関係を示している。なお、図12中の各プロット点の近傍に付した記号は、第1試料(A1)から第8試料(A8)及び比較試料(B)を表す記号である。図12のグラフから明らかな通り、曲率半径Rの大きさが同じ試料間{第1試料(A1)〜第4試料(A4)の間、第5試料(A5)と第6試料(A6)との間、第7試料(A7)と第8試料(A8)との間}においては、補強部材52の前後寸法L(Linsert)が大きくなるほど、前側ハウジング15aの接合境界部Xに作用する最大主応力の値が小さくなることが確認された。
なお、本例では、補強部材52の前後寸法(支持部補強部65の長さ寸法)を大きくするほど、前側ハウジング15aの接合境界部Xに作用する最大主応力の値が小さくなることを確認できたが、同様に、補強部材52の上下寸法(前板補強部64の長さ寸法)を大きくするほど、前側ハウジング15aのうちで、前板補強部64の下端部と接合する接合境界部に作用する最大主応力の値は小さくなると推測される。
これに対し、補強部材52の前後寸法L(Linsert)が同じである試料間{第2試料(A2)と第5試料(A5)と第7試料(A7)との間、第3試料(A3)と第6試料(A6)と第8試料(A8)との間}においては、曲率半径Rの大きさが変化しても、前側ハウジング15aの接合境界部Xに作用する最大主応力の値はほとんど変わらないことが確認された。つまり、曲率半径Rの大きさは、接合境界部Xでの最大主応力にほとんど影響を与えないことが確認された。
さらに、補強部材52をインサートしていない比較試料(B)との比較においては、補強部材52をインサートしていても、補強部材52の前後寸法L(Linsert)をある程度大きくしないと、前側ハウジング15aの接合境界部Xに作用する最大主応力の値(例えば第1試料(A1)における最大主応力の値)が、補強部材52をインサートしていない比較試料(B)よりも高くなることが確認された。具体的には、補強部材52の前後寸法Lを、Linsert/Lloadの値が0.29よりも大きくなるように設定することで、前側ハウジング15aの接合境界部Xに作用する最大主応力の値を、補強部材52をインサートしていない比較試料(B)よりも低くできることが確認された。
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図13〜図15を用いて説明する。
本例では、補強部材52aの構造を、実施の形態の第1例の場合とは異ならせている。すなわち、本例の補強部材52aは、実施の形態の第1例の構造よりも、前板補強部64aを下方に伸長した構成を有している。前板補強部64aは、幅方向中間部が上側に向けて凹んだ略C字形状を有しており、張出部44の前面の上端部分を覆うだけでなく、張出部44の前面のうちで、軸受保持孔43の上半部の幅方向両側に存在する部分も覆っている。また、補強部材52aを構成する1対の折れ曲がり部54aは、支持部19aの基半部(後半部)の下端部、及び、張出部44の上半部を幅方向両側から覆っている。
以上のような構成を有する本例では、本体板部53aを構成する前板補強部64aの長さ寸法(上下寸法)を、実施の形態の第1例の構造に比べて長くしているため、前側ハウジング15aを構成する張出部44のうちで、前板補強部64aの先端部(下端部)と接合した部分である接合境界部に作用する応力を低く抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第4例]
実施の形態の第4例について、図16〜図19を用いて説明する。
本例では、補強部材52bの構造を、実施の形態の第1例及び第3例の場合とは異ならせている。すなわち、本例の補強部材52bは、実施の形態の第3例の構造よりも、前板補強部64bを下方に伸長した構成としている。前板補強部64bは、中央部に円孔67を有する略O字形状を有しており、張出部44の前面全体を覆っている。すなわち、張出部44の前面のうち、軸受保持孔43の周囲を全周にわたり覆っている。また、補強部材52bを構成する1対の折れ曲がり部54bは、前板補強部64bの下端部で互いにつながっており、支持部19aの基半部(後半部)の下端部を幅方向両側から覆うとともに、張出部44の周囲(上辺を除く)を覆っている。
以上のような構成を有する本例では、本体板部53bを構成する前板補強部64bの長さ寸法(上下寸法)を、実施の形態の第3例の構造に比べてさらに長くしているため、前側ハウジング15aを構成する張出部44のうちで、前板補強部64bの先端部(下端部)と接合した部分である接合境界部に作用する応力をさらに低く抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第3例と同じである。
[実施の形態の第5例]
実施の形態の第5例について、図20及び図21を用いて説明する。
本例の前側ハウジング15bは、収容前板部39の前面の上端部に、幅方向に離隔した状態で、1対の支持部19bを設けている。このため、1対の支持部19bは、前述した実施の形態の第1例の支持部19aを幅方向に2分割した如き構成を有している。1対の支持部19bはそれぞれ、突出板部47aと、1つの側板部48aと、支持孔62を有する支持筒部49aとを備えている。
そして本例の場合には、収容前板部39に設けられた張出部44の前面と支持部19bを構成する突出板部47aの下面との間に存在する1対の隅角部51aに、金属板製の補強部材52cをそれぞれ設けている。それぞれの補強部材52cは、隅角部51aに沿って略直角に折れ曲がっており、張出部44の前面の上端部分を覆った前板補強部64cと、突出板部47aの下面の基端部を全幅にわたり覆った支持部補強部65aと、前板補強部64cの上端部と支持部補強部65aの後端部とを滑らかにつないだ、円弧状に湾曲した湾曲部66aとを有している。
以上のような構成を有する本例では、1対の支持部19b同士の間に隙間を設けているため、実施の形態の第1例に比べてより軽量化を図れる。また、収容前板部39と1対の支持部19bとのそれぞれの連続部50の強度を高めることができるとともに、隅角部51aに損傷が発生することを防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
[実施の形態の第6例]
実施の形態の第6例について、図22及び図23を用いて説明する。
本例では、1対の補強部材52dの構造を、実施の形態の第5例の場合とは異ならせている。すなわち、本例の補強部材52dは、実施の形態の第5例の構造よりも、前板補強部64dを下方に伸長した構成としている。前板補強部64dは、張出部44の前面の上端部分を覆うだけでなく、張出部44の前面のうちで、軸受保持孔43の上半部の幅方向側方に存在する部分も覆っている。
以上のような構成を有する本例では、前板補強部64dの長さ寸法(上下寸法)を、実施の形態の第5例の構造に比べて長くしているため、前側ハウジング15bを構成する張出部44のうちで、前板補強部64dの先端部(下端部)と接合した部分である接合境界部に作用する応力を低く抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第5例と同じである。
[実施の形態の第7例]
実施の形態の第7例について、図24及び図25を用いて説明する。
本例で使用する補強部材52eは、実施の形態の第5例で使用した1対の補強部材52dを幅方向に連結した如き構成を有している。すなわち、本例の補強部材52eは、実施の形態の第6例の構造よりも、前板補強部64eをそれぞれ下方へと伸長し、前板補強部64eの先端部(下端部)同士を互いに連結している。これにより、1対の前板補強部64eは、全体で略C字形状を有しており、張出部44の前面の大部分(上端部の幅方向中間部を除く部分)を覆っている。
以上のような構成を有する本例では、前板補強部64eの長さ寸法(上下寸法)を、実施の形態の第6例の構造に比べてさらに長くしているため、前側ハウジング15bを構成する張出部44のうちで、前板補強部64eの先端部(下端部)と接合した部分である接合境界部に作用する応力をさらに低く抑えることができる。また、実施の形態の第5例の場合に比べて、部品点数の低減を図れるため、ギヤハウジング14aの製造コストの低減を図れる。また、1つの補強部材52eで2つの支持部19bを補強しているため、支持部19bのねじれを有効に防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第5例と同じである。
[実施の形態の第8例]
実施の形態の第8例について、図26及び図27を用いて説明する。
本例では、上述した実施の形態の第5例〜第7例と同じ構成を有する前側ハウジング15bに、実施の形態の第5例〜第7例とは異なる補強部材52fを組み合わせている。すなわち、本例の補強部材52fは、実施の形態の第5例で使用した1対の補強部材52cを幅方向に連結した如き構成を有しており、1対の本体板部53cと、連結板部59とを有している。それぞれの本体板部53cは、隅角部51aに沿って略直角に折れ曲がっており、張出部44の前面の上端部分の幅方向両側部分をそれぞれ覆った前板補強部64fと、突出板部47aの下面の基端部を全幅にわたり覆った支持部補強部65bと、前板補強部64fの上端部と支持部補強部65bの後端部とをつないだ湾曲部66bとを有している。連結板部59は、1対の本体板部53cの間部分に設けられ、これら1対の本体板部53aを幅方向につないでいる。
以上のような構成を有する本例では、実施の形態の第5例の場合に比べて、部品点数の低減を図れるため、ギヤハウジング14aの製造コストの低減を図れる。また、1つの補強部材52fで2つの支持部19bを補強しているため、支持部19bのねじれを有効に防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第5例と同じである。
[実施の形態の第9例]
実施の形態の第9例について、図28及び図29を用いて説明する。
本例では、補強部材52gの構造を、実施の形態の第8例の場合とは異ならせている。すなわち、本例の補強部材52gは、実施の形態の第8例の構造よりも、前板補強部64gを下方に伸長した構成としている。前板補強部64gは、張出部44の前面の上端部分の幅方向両側部を覆うだけでなく、張出部44の前面のうちで、軸受保持孔43の上半部の幅方向両側に存在する部分も覆っている。
以上のような構成を有する本例では、本体板部53dを構成する前板補強部64gの長さ寸法(上下寸法)を、実施の形態の第8例の構造に比べて長くしているため、前側ハウジング15bを構成する張出部44のうちで、前板補強部64gの先端部(下端部)と接合した部分である接合境界部に作用する応力を低く抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第8例と同じである。
[実施の形態の第10例]
実施の形態の第10例について、図30及び図31を用いて説明する。
本例で使用する補強部材52hは、実施の形態の第9例の構造よりも、前板補強部64hを下方へと伸長し、前板補強部64hの先端部(下端部)同士を互いに連結している。これにより、1対の前板補強部64hは、全体で略C字形状となっており、中央部に円孔67を有している。また、1対の前板補強部64hは、張出部44の前面の大部分(上端部の幅方向中間部を除く部分)を覆っている。なお、本例では、張出部44の前面のうちの上端部の幅方向中間部は、連結板部59により覆われている。
以上のような構成を有する本例では、本体板部53eを構成する前板補強部64hの長さ寸法(上下寸法)を、実施の形態の第9例の構造に比べてさらに長くしているため、前側ハウジング15bを構成する張出部44のうちで、前板補強部64hの先端部(下端部)と接合した部分である接合境界部に作用する応力をさらに低く抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第8例と同じである。
[実施の形態の第11例]
実施の形態の第11例について、図32〜図33を用いて説明する。
本例で使用する補強部材52jは、実施の形態の第4例の構造よりも、支持部補強部65dを前方に伸長させた構成を有している。また、支持部補強部65dの前側部の幅方向両側には、それぞれ上側に向けて伸長した1対の耳状の側部補強部68を設けている。側部補強部68は、支持部18aを構成する側板部48の前側部分を幅方向両側から覆っている。それぞれの側部補強部68には、支持孔62と整合する部分に、支持孔62と同じ内径を有する貫通孔69が形成されている。
以上のような構成を有する本例では、本体板部53fを構成する支持部補強部65dの長さ寸法(前後寸法)を、実施の形態の第4例の構造に比べて長くしているため、前側ハウジング15aを構成する支持部19aのうちで、支持部補強部65dの先端部(前端部)と接合した部分である接合境界部に作用する応力を低く抑えることができる。さらに、本例では、側部補強部68により支持部18aを構成する側板部48の前側部分を幅方向両側から覆っているため、支持孔62の周囲を効果的に補強することができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例及び第4例と同じである。
[実施の形態の第12例]
実施の形態の第12例について、図34〜図36を用いて説明する。
本例のギヤハウジング14bは、前側ハウジング15cと後側ハウジング16bの構成が、実施の形態の第1例〜第11例の構造とは異なっている。すなわち本例では、前側ハウジング15cを、後側ハウジング16bの前端開口を塞ぐカバーとして機能させ、収容前板部39aと、支持部19cのみを設けている。これに対し、後側ハウジング16bには、収容筒部38と、収容後板部40と、ウォーム収容部18aとを設けている。
そして、収容前板部39aの前面の上部と支持部19cの下面との間に存在する隅角部51bに、金属板製の補強部材52iを設けている。補強部材52iは、隅角部51bに沿って略直角に折れ曲がり、収容前板部39aの前面の上端部分及び支持部19cの下面全体を覆った本体板部53eと、本体板部53eの幅方向両側から互いに同方向にかつ略直角に折れ曲がり、支持部19cの下端部を全長にわたり幅方向両側から覆った1対の折れ曲がり部54cとを備えている。本体板部53eは、収容前板部39aの前面の上端部分を覆った前板補強部64iと、支持部19cの下面全体を覆った支持部補強部65cと、前板補強部64iの上端部と支持部補強部65cの後端部とをつないだ湾曲部66cとを有している。
以上のような構成を有する本例の場合にも、ギヤハウジング14bの軽量化を図れるとともに、収容前板部39aと支持部19cとの連続部50の強度を高めることができる。また、隅角部51bに損傷が発生することを防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
本発明を実施する場合に、補強部材を設ける位置は、収容前板部と支持部との連続部のうち、収容前板部の前面と支持部の下面との間の隅角部に限定されない。たとえば図37の(A)に示すように、補強部材52を、収容前板部39の後面(又は前面)と支持部19aの上面との角部63に設けても良いし、図37の(B)に示すように、補強部材52を、連続部50の内部に包埋しても良い。
本発明を実施する際に、アンカー効果によって補強部材を連続部に接合する場合には、補強部材の表面を粗面化する必要があるが、粗面化のための手法は特に問わない。粗面化の手法としては、たとえば、レーザ加工、薬品によるエッチング、陽極酸化処理などが挙げられるが、これらの中から、金属材料と合成樹脂材料の組み合わせにより適宜選択することができる。レーザ加工は、処理可能な金属の種類が多いだけでなく、サブミリオーダの凹凸構造が加工可能であるため、他の方法に比べて、樹脂材料が微小凹凸部に入り込みやすく、接合強度を高くできる。なお、本発明を実施する場合に、補強部材以外の金属部品に関しても、アンカー効果によって樹脂製部品に接合しても良い。この場合、金属部品が環状部品であれば、周面をローレット加工(平目、アヤメなど)により粗面化しても良い。
また、本発明を実施する場合に、インサート成形により、前側ハウジングと補強部材とを一体化するだけでなく、他の金属部品を前側ハウジング又はその他の樹脂製部品と一体化することもできる。たとえば図38に示すように、前側ハウジング15aと、転がり軸受を構成する外輪や外輪を圧入するための金属製スリーブなどの金属製環状部品60とを、インサート成形により一体化することができる。このような構成によれば、金属製環状部品60を前側ハウジング15aに圧入固定した場合に生じるような、前側ハウジング15aの変形や劣化の発生を防止できる。また、インサート成形により、前側結合フランジ57及びモータ取付フランジ45に、金属製のナット又はカラー(スリーブ)などの金属製のボルト締結部品61を一体化することもできる。たとえば、前側結合フランジ57及びモータ取付フランジ45に直接雌ねじ孔を形成した場合には、ボルト締結時の軸力によって雌ねじ孔が変形し破損する可能性がある。また、前側結合フランジ57及びモータ取付フランジ45に貫通孔を形成し、該貫通孔を挿通したボルトの先端部にナットを螺合する場合には、軸力により前側結合フランジ57及びモータ取付フランジ45に変形が生じ、締結力が低下する可能性がある。これに対し、ボルト締結部品61をインサート成形により一体化した場合には、このような不都合が生じることを防止できる。
さらに、本発明を実施する場合に、金属製の補強部材としては、例えば1mm〜2mm程度の薄板を使用することが好ましい。このような薄板状の補強部材を使用すれば、前側ハウジングの樹脂部分の厚さ寸法をある程度確保できるため、前側ハウジングを射出成形により造る際に樹脂の流動性を良好にできる。また、ギヤハウジング全体としての軽量化を図ることもできる。さらに、本発明を実施する場合に、前側ハウジングを構成するウォーム収容部は、電動式パワーステアリング装置の組付状態で、車体の幅方向に関して出力軸の側方や下端部に設ける構造に限定されない。ウォーム収容部は、電動式パワーステアリング装置の組付状態で、ウォームホイール収容部の上端部など、任意の位置に設けることができる。また、本発明を実施する場合には、前述した実施の形態の各例の構造を、矛盾が生じない範囲で、適宜組み合わせて実施することができる。
1 ステアリングホイール
2、2a ステアリングシャフト
3、3a ステアリングコラム
4、4a、4b 電動アシスト装置
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 ピニオン軸
9 タイロッド
10、10a トルクセンサ
11、11a 電動モータ
12、12a ウォーム減速機
13、13a 出力軸
14、14a、14b ギヤハウジング
15、15a、15b、15c 前側ハウジング
16、16a、16b 後側ハウジング
17、17a ウォームホイール収容部
18、18a ウォーム収容部
19、19a、19b、19c 支持部
20、20a ウォームホイール
21、21a ウォーム軸
22、22a ウォーム
23a〜23d 転がり軸受
24 入力軸
25、25a トーションバー
26 インナシャフト
27 アウタシャフト
28 インナコラム
29 アウタコラム
30 ロアブラケット
31 チルト軸
32 アッパブラケット
33 被挟持部
34 テレスコ調節用長孔
35 支持板部
36 チルト調節用長孔
37 調節ロッド
38 収容筒部
39、39a 収容前板部
40 収容後板部
41 トルクセンサ収容部
42 内径側筒部
43 軸受保持孔
44 張出部
45 モータ取付フランジ
46 制御装置
47、47a 突出板部
48、48a 側板部
49、49a 支持筒部
50 連続部
51、51a、51b 隅角部
52、52a〜52j 補強部材
53、53a〜53f 本体板部
54、54a、54b、54c 折れ曲がり部
55 ボルト
56 微小凹凸部
57 前側結合フランジ
58 後側結合フランジ
59 連結板部
60 金属製環状部品
61 ボルト締結部品
62 支持孔
63 角部
64、64a〜64i 前板補強部
65、65a〜65d 支持部補強部
66、66a、66b、66c 湾曲部
67 円孔
68 側部補強部
69 貫通孔

Claims (12)

  1. ウォームホイール収容部と、ウォーム収容部と、支持部とを備えた電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングであって、
    前記ウォームホイール収容部は、ウォームホイールを収容するためのもので、前記ウォームホイールの周囲に配置される収容筒部と、前記収容筒部の前端開口を塞ぐ円輪状の収容前板部と、前記収容筒部の後端開口を塞ぐ円輪状の収容後板部とを有しており、
    前記ウォーム収容部は、ウォーム軸を収容するためのもので、前記ウォームホイール収容部の外径側部分の周方向一部に設けられており、
    前記支持部は、車体に対し支持するためのもので、前記収容前板部の前面から前方に向けて突出するように設けられており、
    少なくとも前記収容前板部と前記支持部とが、合成樹脂により一体に成形されたものであり、前記収容前板部と前記支持部との連続部に、金属製の補強部材が設けられている、
    電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  2. 前記補強部材が、屈曲した形状を有しており、前記収容前板部に配置された前板補強部と、前記支持部に配置された支持部補強部とを有している、請求項1に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  3. 前記補強部材が、略直角に屈曲した形状を有している、請求項2に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  4. 前記補強部材が、前記前板補強部の上端部と前記支持部補強部の後端部とをつないだ、円弧状に湾曲した湾曲部をさらに有している、請求項2〜3のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  5. 前記補強部材が、金属板製で、前記連続部のうち前記収容前板部の前面と前記支持部の下面との隅角部に設けられており、前記前板補強部が前記収容前板部の前面を覆うように設けられており、前記支持部補強部が前記支持部の下面を覆うように設けられている、請求項2〜4のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  6. 前記補強部材が、前記隅角部に沿って折れ曲がった、前記前板補強部と前記支持部補強部とを備えた本体板部と、前記本体板部の幅方向両側から同方向に折れ曲がった1対の折れ曲がり部とを有している、請求項5に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  7. 前記前板補強部の前面を通る仮想線と前記支持部補強部の下面を通る仮想線との交点を基準点として、前記基準点から前記支持部補強部の先端部までの長さ寸法をLinsertとし、前記基準点から前記支持部のうちの荷重作用点までの長さ寸法をLloadとした場合に、Linsert/Lloadが0.29よりも大きい、請求項5〜6のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  8. 前記補強部材が略L字形状を有しており、前記前板補強部と前記支持部補強部とのうち、いずれか一方の長さ寸法がいずれか他方の長さ寸法よりも大きい、請求項2〜7のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  9. 前記補強部材の表面に微小凹凸部が形成されており、前記連続部を構成する合成樹脂の一部が前記微小凹凸部に入り込むことによるアンカー効果で、前記補強部材が前記連続部に接合されている、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  10. 前記補強部材が、前記連続部に対し接着剤により接着固定されている、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  11. 前記電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングが、前側ハウジングと後側ハウジングとを前後方向に組み合わせて成るものであり、
    前記前側ハウジングが、合成樹脂製で、前記収容筒部と、前記収容前板部と、前記ウォーム収容部と、前記支持部とを有しており、
    前記後側ハウジングが、前記収容後板部を有している、
    請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
  12. 前記電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジングが、前側ハウジングと後側ハウジングとを前後方向に組み合わせて成るものであり、
    前記前側ハウジングが、合成樹脂製で、前記収容前板部と、前記支持部とを有しており、
    前記後側ハウジングが、前記収容筒部と、前記収容後板部と、前記ウォーム収容部とを有している、
    請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載した電動式パワーステアリング装置用ギヤハウジング。
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