JP3749448B2 - パワーウインド装置用モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、給電部(コネクタ部)が一体となったブラシホルダを備えるパワーウインド装置用モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
給電部(コネクタ部)が一体となったブラシホルダを備えるモータとしては、例えば米国特許番号5485044号に記載されたものが知られている。
【0003】
このモータが備えるブラシホルダは、ヨークハウジング(アーマチャハウジング)とギヤハウジングとで挟持され、ヨークハウジング及びギヤハウジングとの各当接部に対応してシール部材が設けられている。そして、このシール部材によって、ヨークハウジング若しくはギヤハウジングの内部への浸水等が防止されている。
【0004】
このようなモータを車両用のパワーウインド装置の駆動源として用いた形態を図5に示す。モータ51は、従来より、ドアのインナパネル52におけるアウタパネル側(外側)の面に取り付けられる。尚、この取付場所は雨水等により被水し得る場所であるので、上記したようにブラシホルダ53の所定箇所にシール部材(図示略)を設け、ヨークハウジング54とギヤハウジング55との間からの浸水等を防止する構造としたモータ51は、車両用パワーウィンド装置に用いると好適である。
【0005】
ここで、このようなモータ51は、ブラシホルダ53に一体に設けられる給電部53aがインナパネル52の内側(被水しない場所)から延びる車両側コネクタ56と連結する必要がある。そのため、インナパネル52には、その車両側コネクタ56を挿入するための挿入孔52aが形成されている。そして、従来では、図5及び図6に示すように、ブラシホルダ53の給電部53aに略円筒状の防水グロメット57の一端が取着されるとともに、他端がインナパネル52の挿入孔52aに嵌合されて給電部53aの連結部分が被水しない場所であるパネル52内側に露出され、その連結部分が被水することが防止されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来のモータ51は、給電部53aに防水グロメット57を取り付ける構成のため、モータ51の部品点数が増加するとともに、その取付作業が煩雑である。又、取り付けた防水グロメット57と給電部53aとの密着性が悪い場合、該防水グロメット57の端部から浸水する虞があって、確実な防水構造とは言えない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、部品点数を増加させることなく、確実な防水構造とすることができるパワーウインド装置用モータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ドアのインナパネル外側に配置され、そのインナパネルに形成した挿入孔を介して該パネル内側から挿入される車両側コネクタと連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、開口部内にモータ本体を構成すべく各種構成部品を収容するヨークハウジングと、前記ヨークハウジングの開口部に対向し、内部に前記モータ本体の回転減速を行う減速機構を収容するギヤハウジングと、ブラシを保持するホルダ本体と、前記両ハウジングの開口部間で挟持される被挟持部と、前記車両側コネクタと連結するため前記インナパネルに向けて開口する連結凹部を有した給電部とを一体に設けたブラシホルダとを備え、前記ブラシホルダの被挟持部を被覆する被覆部と、前記インナパネルの挿入孔を介して前記給電部の連結凹部をインナパネル内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部とが切れ目なく連続して形成されるシール部材を、前記ブラシホルダの躯体に一体成形し、前記給電部は、その外側面に係合部を備えており、前記シール部材は、その係合部を埋設する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、車両ドアのインナパネル外側に配置され、そのインナパネルに形成した挿入孔を介して該パネル内側から挿入される車両側コネクタと連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、開口部内にモータ本体を構成すべく各種構成部品を収容するヨークハウジングと、前記ヨークハウジングの開口部に対向し、内部に前記モータ本体の回転減速を行う減速機構を収容するギヤハウジングと、ブラシを保持するホルダ本体と、前記両ハウジングの開口部間で保持される保持部と、前記車両側コネクタと連結するため前記インナパネルに向けて開口する連結凹部を有した給電部とを一体に設けたブラシホルダとを備え、前記インナパネルの挿入孔を介して前記給電部の連結凹部をインナパネル内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部を有するとともに該筒状部から連続して前記連結凹部の反開口部側まで覆うように延びるシール部材を、前記ブラシホルダの躯体に一体成形し、前記給電部は、その外側面に係合部を備えており、前記シール部材は、その係合部を埋設する。
請求項3に記載の発明は、車両ドアのインナパネル外側に配置され、そのインナパネルに形成した挿入孔を介して該パネル内側から挿入される車両側コネクタと連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、開口部内にモータ本体を構成すべく各種構成部品を収容するヨークハウジングと、前記ヨークハウジングの開口部に対向し、内部に前記モータ本体の回転減速を行う減速機構を収容するギヤハウジングと、ブラシを保持するホルダ本体と、前記両ハウジングの開口部間で挟持される被挟持部と、前記車両側コネクタと連結するため前記インナパネルに向けて開口する連結凹部を有した給電部とを一体に設けたブラシホルダとを備え、前記ブラシホルダの被挟持部を被覆する被覆部と、前記インナパネルの挿入孔を介して前記給電部の連結凹部をインナパネル内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部とが切れ目なく連続して形成されるシール部材を、前記ブラシホルダの躯体に一体成形し、前記躯体にはターミナルがインサートされ、該ターミナルは前記給電部の連結凹部内及び該給電部の基端部で露出するものであって、前記シール部材は、前記給電部の基端部においてターミナルの露出する部位を埋設する。
請求項4に記載の発明は、車両ドアのインナパネル外側に配置され、そのインナパネルに形成した挿入孔を介して該パネル内側から挿入される車両側コネクタと連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、開口部内にモータ本体を構成すべく各種構成部品を収容するヨークハウジングと、前記ヨークハウジングの開口部に対向し、内部に前記モータ本体の回転減速を行う減速機構を収容するギヤハウジングと、ブラシを保持するホルダ本体と、前記両ハウジングの開口部間で保持される保持部と、前記車両側コネクタと連結するため前記インナパネルに向けて開口する連結凹部を有した給電部とを一体に設けたブラシホルダとを備え、前記インナパネルの挿入孔を介して前記給電部の連結凹部をインナパネル内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部を有するとともに該筒状部から連続して前記連結凹部の反開口部側まで覆うように延びるシール部材を、前記ブラシホルダの躯体に一体成形し、前記躯体にはターミナルがインサートされ、該ターミナルは前記給電部の連結凹部内及び該給電部の基端部で露出するものであって、前記シール部材は、前記給電部の基端部においてターミナルの露出する部位を埋設する。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、前記給電部は、その外側面に係合部を備えており、前記シール部材は、その係合部を埋設する。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1、2、5のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、前記係合部は、前記給電部の外側面に設けたフランジ部である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、前記フランジ部には、前記シール部材が径方向に係合するような係合孔又は係合突起が所定位置に形成されている。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項1、2、5〜7のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、前記係合部は、前記給電部の連結凹部の開口部側に設けられる。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、前記シール部材は、ゴム、エラストマ及び粘性樹脂のいずれか1つの材料にて成形されている。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、前記シール部材の筒状部は、前記インナパネルの挿入孔に嵌合する嵌合部を備えている。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項1又は3に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、前記ブラシホルダの被挟持部は、前記両ハウジングの開口部の全周にわたって設けられるものであり、前記シール部材の被覆部は、前記両ハウジングの開口部の全周にわたって当接する。
【0017】
(作用)
請求項1及び3に記載の発明によれば、ヨークハウジング及びギヤハウジングの両開口部間で挟持されるブラシホルダの被挟持部を被覆する被覆部と、車両ドアのインナパネルの挿入孔を介して給電部の連結凹部をインナパネル内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部とが切れ目なく連続して形成されるシール部材が、ブラシホルダの躯体に一体成形される。従って、部品点数を増加させることなく、しかも、シール部材によりブラシホルダの躯体が露出しないので、確実な防水構造となる。
請求項2及び4に記載の発明によれば、車両ドアのインナパネルの挿入孔を介して給電部の連結凹部をインナパネル内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部を有するとともに該筒状部から連続して連結凹部の反開口部側まで覆うように延びるシール部材が、ブラシホルダの躯体に一体成形される。従って、部品点数を増加させることなく、しかも、筒状部を有するシール部材は連結凹部の反開口部側まで覆うように躯体に一体成形されることにより該躯体との密着性が向上するので、確実な防水構造となる。
【0018】
請求項3、4に記載の発明によれば、シール部材は、給電部の基端部においてターミナルの露出する部位を埋設する。従って、ターミナルへの被水を防止するとともに、該ターミナルの絶縁性を確保できる。
請求項1、2、5に記載の発明によれば、シール部材は給電部の外側面に設けた係合部を埋設する。従って、シール部材は係合部と係合するので、給電部から外れ難くなる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、シール部材は、給電部の外側面に設けたフランジ部を埋設する。従って、シール部材はフランジ部と係合するので、全周に亘り給電部から外れ難くなる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、フランジ部の所定位置に設けた係合孔又は係合突起により、シール部材がフランジ部(給電部)に対して径方向に係合し、相互間の結合力が増す。従って、シール部材が給電部から確実に外れないようになる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、係合部は、給電部の連結凹部の開口部側、即ち給電部の端部側に設けられるので、シール部材は給電部の端部で確実に固定され、そこから延びる筒状部がインナパネルの挿入孔に対して大きく傾くことが防止される。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、シール部材は、ゴム、エラストマ及び粘性樹脂のいずれか1つの材料にて成形されるので、該シール部材の密着性が高くなり、より確実な防水構造となる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、シール部材の筒状部に設けた嵌合部はインナパネルの挿入孔に嵌合するので、該インナパネルの挿入孔から内側への浸水が確実に防止される。
【0025】
請求項11に記載の発明によれば、シール部材の被覆部は両ハウジングの開口部の全周にわたって当接するので、両ハウジングの開口部内への浸水が確実に防止される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両ドアに搭載されるパワーウインド装置用モータ(以下、単にモータとする)1は、モータ本体2と減速部3とからなる。
【0028】
モータ本体2は、ヨークハウジング4、一対のマグネット5、電機子6、ブラシホルダ7及び一対のブラシ8を備えている。
ヨークハウジング4は略有底扁平円筒状に形成され、その内側面にマグネット5が固着される。ヨークハウジング4の底部中央には軸受凹部4aが形成され、該凹部4aには軸受9が固着される。軸受9は、電機子6の回転軸10の基端を回転可能に支持する。又、該軸受凹部4a内には、回転軸10のスラスト荷重を受けるボール11及びスラスト受けプレート12が備えられる。
【0029】
ヨークハウジング4の開口部4bはフランジ状に形成され、後述するギヤハウジング21の開口部21aにネジ13にて固定される。尚、この固定の際に、ヨークハウジング4の開口部4bとギヤハウジング21の開口部21aとでブラシホルダ7が挟持されて固定される。
【0030】
ブラシホルダ7は、図3及び図4にその詳細を示すように、ホルダ本体7aと、延出部7bと、給電部7cとが一体形成されている。
ホルダ本体7aは、前記ヨークハウジング4の開口部4b内に略収容される。ホルダ本体7aの中央部には軸受14が固着され、該軸受14は電機子6の回転軸10の先端を回転可能に支持する。又、ホルダ本体7aにはブラシ8が保持され、該ブラシ8は前記回転軸10に固着された整流子15に摺接するようになっている。
【0031】
延出部7bは、前記ホルダ本体7aにフランジ状に延出されてヨークハウジング4及びギヤハウジング21に挟持されるとともに、その一部が両ハウジング4,21の外部に突出する。
【0032】
給電部7cは、前記延出部7bの先端に設けられ、後述する車両側コネクタ32と連結するための連結凹部7dを有している。連結凹部7d内には、複数本のターミナル16が露出している。これらターミナル16はブラシホルダ7にインサートされており、前記ブラシ8及びモータ1内に備えられる回転センサ等の各種センサ(図示略)と電気的に接続されている。尚、給電部7cの連結凹部7dの反開口側である基端部7eは、ターミナル16が露出している。この基端部7eにおけるターミナル16の露出する部位は、後述するシール部材18に埋設される。
【0033】
又、給電部7cの外側面には、連結凹部7dの開口方向と直交する方向の外側に向かって延出されるフランジ部7fが形成されている。フランジ部7fは、外形が円形状をなし、連結凹部7dの開口部側に位置している。又、フランジ部7fの外縁部には、該フランジ部7fを貫通する複数の係合孔7gが周方向に等間隔に形成されている。そして、このようなフランジ部7fは、後述するシール部材18に埋設される。
【0034】
ここで、前記ブラシホルダ7は、図3及び図4に示すように、ホルダ本体7a、延出部7b及び給電部7cの外部形状の基体を形成する、例えば樹脂製の躯体17と、延出部7b及び給電部7cの躯体17外側面等を覆う、例えばゴム、エラストマ又は粘性樹脂にて成形されたシール部材18とを備えている。これら躯体17及びシール部材18は2色成形にて一体形成されている。
【0035】
シール部材18は、延出部側被覆部18aと、給電部側被覆部18bと、筒状部18cとから構成される。
延出部側被覆部18aは、前記延出部7bの躯体17の外側面全体を被覆する。従って、延出部側被覆部18aは、前記ブラシホルダ7が前記ヨークハウジング4及びギヤハウジング21に挟持されると両ハウジング4,21の開口部4b,21aの全周にわたって当接し、両ハウジング4,21の開口部4b,21aを密閉する。つまり、延出部側被覆部18aは、両ハウジング4,21の開口部4b,21a内への浸水を防止している。
【0036】
給電部側被覆部18bは、前記延出部側被覆部18aから連続して給電部7cの躯体17の外側面全体を被覆、即ち延出部側被覆部18aと筒状部18cとを切れ目なく連続して被覆する。つまり、給電部側被覆部18bは、この間における浸水を防止している。又、この場合、給電部7cの基端部7eにおけるターミナル16の露出する部位が給電部側被覆部18b内に埋設される。従って、ターミナル16への被水を防止するとともに、該ターミナル16の絶縁性を確保している。
【0037】
筒状部18cは、前記給電部側被覆部18bから連続して筒状に延出され、その先端部に設けた嵌合部18dが図2に示すインナパネル31の車両側コネクタ32を挿入するための挿入孔31aに嵌合して給電部7cの連結凹部7dを被水しない場所であるインナパネル31内側に開口させる。つまり、筒状部18cは、給電部7cの連結凹部7dを被水しない場所に開口させて、該給電部7cと車両側コネクタ32との連結部分が被水することを防止する。又、筒状部18c先端の嵌合部18dはインナパネル31の挿入孔31aに嵌合するので、インナパネル31の挿入孔31aから内側への浸水を確実に防止できる。
【0038】
又、この場合、筒状部18cは、その基端部において、給電部7cの外側面に設けたフランジ部7fを埋設する。従って、シール部材18はフランジ部7fと係合し、全周に亘り給電部7cから外れ難くなる。しかも、このフランジ部7fに設けたシール部材18がフランジ部7fと径方向に係合し、給電部7cから確実に外れないようになる。更に、フランジ部7fは給電部7cの連結凹部7dの開口部側、即ち給電部7cの端部側に設けたので、シール部材18は給電部7cの端部で確実に固定され、そこから延びる筒状部18cがインナパネル31の挿入孔31aに対して大きく傾くことが防止されている。そのため、筒状部18cの嵌合部18dがインナパネル31の挿入孔31aに常に安定して嵌合するので、筒状部18cとインナパネル31との連結状態が常に良好となる。
【0039】
減速部3は、ギヤハウジング21、ウォーム軸22、ウォームホイール23及びクラッチ24を備えている。
ギヤハウジング21は樹脂製であって、内部にはウォーム軸22、ウォームホイール23及びクラッチ24を収容すべく所定形状に形成される。又、ギヤハウジング21は、前記ヨークハウジング4の開口部4bと対向する開口部21aを備え、両開口部4b,21a間に前記ブラシホルダ7が介装される。
【0040】
ウォーム軸22は、ギヤハウジング21内の所定位置に設けた軸受25,26により回転可能に支持され、前記モータ本体2から延びる回転軸10とクラッチ24を介して駆動連結されている。クラッチ24は、回転軸10からの駆動力をウォーム軸22に伝達し、逆にウォーム軸22からの駆動力が回転軸10に伝達しないようウォーム軸22の回転をロックするように作動する。つまり、このクラッチ24は、負荷側からのモータ1の回転を防止するために設けられている。
【0041】
前記ギヤハウジング21におけるウォーム軸22の先端部が対向する部位には軸受凹部21bが形成され、該凹部21b内にはウォーム軸22のスラスト荷重を受けるボール27及びスラスト受けプレート28が備えられる。そして、ウォーム軸22はウォームホイール23と噛合され、ウォームホイール23はウォーム軸22と直交するように配置された出力軸(図示略)と駆動連結される。出力軸は、ウインドガラス(図示略)を開閉させる周知のXアーム式レギュレータ(図示略)と駆動連結されるものである。
【0042】
このように構成されたパワーウインド装置用モータ1は、図2に示すように、車両ドアのアウタパネル(図示略)とインナパネル31との間の被水し得る場所に配置され、そのインナパネル31にボルト等の締結手段により固着される。このインナパネル31には、該パネル31内側(被水しない場所)から延びる車両側コネクタ32を挿入するための挿入孔31aが形成されている。ここで、モータ1をインナパネル31に固定する際、シール部材18の筒状部18cはインナパネル31の挿入孔31aに嵌合され、ブラシホルダ7の給電部7cに車両側コネクタ32が連結されて、該コネクタ32から電源供給を受ける等、相互が電気的に接続される。
【0043】
こうして、インナパネル31に取り付けられた本実施形態のパワーウインド装置用モータ1は、ブラシホルダ7に一体成形されたシール部材18により、部品点数を増加させることなく、両ハウジング4,21内への浸水が防止され、しかも、車両側コネクタ32と給電部7cとの連結部分が被水することが防止されている。
【0044】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態では、ヨークハウジング4及びギヤハウジング21の両開口部4b,21a間で挟持されるブラシホルダ7の延出部7b及び給電部7cを切れ目なく連続して被覆する被覆部18a,18bと、該被覆部18a,18bから切れ目なく連続して設けられ車両ドアのインナパネル31の挿入孔31aを介して給電部7cの連結凹部7dをインナパネル31内側に開口させる筒状部18cとを有するシール部材18を、ブラシホルダ7の躯体17に一体成形した。従って、部品点数を増加させることなく、しかも、ブラシホルダ7の躯体17が露出しないので、確実な防水構造とすることができる。
【0045】
(2)本実施形態の給電部7cにはフランジ部7fが設けられ、シール部材18はそのフランジ部7fを埋設する。従って、シール部材18はフランジ部7fと係合するので、全周に亘り給電部7cから外れ難くすることができる。
【0046】
(3)本実施形態では、フランジ部7fの所定位置に設けた係合孔7gにより該係合孔7g内にシール部材18の一部が充填されるので、シール部材18がフランジ部7f(給電部7c)に対して径方向に係合し、相互間の結合力が増す。従って、シール部材18が給電部7cから確実に外れないようにすることができる。
【0047】
(4)本実施形態では、フランジ部7fは、給電部7cの連結凹部7dの開口部側、即ち給電部7cの端部側に設けられるので、シール部材18は給電部7cの端部で確実に固定され、そこから延びる筒状部18cがインナパネル31の挿入孔31aに対して大きく傾くことを防止できる。従って、筒状部18cとインナパネル31との連結状態を常に良好とすることができ、インナパネル31の挿入孔31aから内側への浸水を確実に防止できる。
【0048】
(5)本実施形態のシール部材18は、給電部7cの基端部7eにおいてターミナル16の露出する部位を埋設する。従って、ターミナル16への被水を防止するとともに、該ターミナルの絶縁性を確保することができる。
【0049】
(6)本実施形態のシール部材18は、ゴム、エラストマ及び粘性樹脂のいずれか1つの材料にて成形されるので、該シール部材18の密着性が高くなり、より確実な防水構造とすることができる。
【0050】
(7)本実施形態のシール部材18は、その筒状部18c先端の嵌合部18dがインナパネル31の挿入孔31aに嵌合するので、該インナパネル31の挿入孔31aから内側への浸水を確実に防止することができる。
【0051】
(8)本実施形態のシール部材18は、その延出部側被覆部18aは両ハウジング4,21の開口部4b,21aの全周にわたって当接するので、両ハウジング4,21の開口部4b,21a内への浸水を確実に防止することができる。
される。
【0052】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態におけるブラシホルダ7(躯体17、シール部材18)の構成や形状を適宜変更してもよい。
【0053】
例えば、シール部材18において、筒状部18cのみを一体成形してもよい。このようにしても、シール部材18を躯体17に一体成形することにより該シール部材18と躯体17との密着性が向上し、防水性が向上する。尚、この場合、シール部材18を連結凹部7dの反開口部側まで覆うようにすることが望ましい。このようにすれば、シール部材18と躯体17との密着する面積を十分確保することができ、確実な防水構造とすることができる。又、この場合、ブラシホルダ7の延出部7bを被覆する被覆部18aを装着する構成としてもよい。
【0054】
又、ブラシホルダ7において、両ハウジング4,21の開口部4b,21a間で挟持すべく延出部7bを設けたが、ブラシホルダ7を両ハウジング4,21間で保持するための保持部を該ブラシホルダ7に設けるようにしてもよい。
【0055】
○上記実施形態では、給電部7cにシール部材18を係合させる係合部としてフランジ部7fを設けたが、係合部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、フランジ部7fのように全周に亘って設けなくてもよい。フランジ部7fを複数個設けてもよい。又、フランジ部7fを給電部7cの端部に設けたが、この位置に限定されるものではない。
【0056】
○上記実施形態では、フランジ部7fに複数の係合孔7gを周方向に等間隔に設けたが、係合孔7gの数や位置、形状はこれに限定されるものではない。又、係合孔7gに替えて係合突起としてもよく、このようにしても、シール部材18とフランジ部7fとの間の結合力が増し、シール部材18が給電部7cから確実に外れないようにすることができる。
【0057】
○上記実施形態では、給電部7cの基端部7eにおいてターミナル16が露出していたが、特に露出していなくてもよい。
○上記実施形態におけるブラシホルダ7のシール部材18は、シール性を有するのであればその他の材料にて成形してもよい。
【0058】
○上記実施形態におけるモータ本体2及び減速部3の構成を適宜変更してもよい。例えば、回転軸10とウォーム軸22との間にクラッチ24を設けたが、これら回転軸10及びウォーム軸22を直結してもよい。尚、この場合、これら回転軸10及びウォーム軸22を一体形成してもよい。
【0059】
上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ) 車両ドアのインナパネル(31)外側に配置され、そのインナパネル(31)に形成した挿入孔(31a)を介して該パネル(31)内側から挿入される車両側コネクタ(32)と連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、
開口部(4b)内にモータ本体(2)を構成すべく各種構成部品(5,6等)を収容するヨークハウジング(4)と、
前記ヨークハウジング(4)の開口部(4b)に対向する開口部(21a)内に前記モータ本体(2)の回転減速を行う減速機構(22,23等)を収容するギヤハウジング(21)と、
ブラシ(8)を保持するホルダ本体(7a)と、前記両ハウジング(4,21)の開口部(4b,21a)間で挟持される被挟持部(7b)と、前記車両側コネクタ(32)と連結する連結凹部(7d)を有した給電部(7c)とを一体に設けたブラシホルダ(7)とを備え、
前記ブラシホルダ(7)の被挟持部(7b)及び給電部(7c)を切れ目なく連続して被覆する被覆部(18a,18b)と、該被覆部(18a,18b)から切れ目なく連続して設けられ前記インナパネル(31)の挿入孔(31a)を介して前記給電部(7c)の連結凹部(7d)をインナパネル(31)内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部(18c)とからなるシール部材(18)を、該ホルダ(7)の躯体(17)に一体に装着されることを特徴とするパワーウインド装置用モータ。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、部品点数を増加させることなく、確実な防水構造とすることができるパワーウインド装置用モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態のパワーウインド装置用モータを示す断面図である。
【図2】 パワーウインド装置用モータの取付状態を示す図である。
【図3】 (a)はブラシホルダの平断面、(b)はブラシホルダの側面図である。
【図4】 (a)はシール部材の成形前のブラシホルダの平断面、(b)はシール部材の成形前のブラシホルダの側面図である。
【図5】 従来のパワーウインド装置用モータの取付状態を示す図である。
【図6】 パワーウインド装置用モータの一部分解図である。
【符号の説明】
2…モータ本体、4…ヨークハウジング、4b…開口部、5…構成部品としてのマグネット、6…構成部品としての電機子、7…ブラシホルダ、7a…ホルダ本体、7b…被挟持部としての延出部、7c…給電部、7d…連結凹部、7e…基端部、7f…係合部としてのフランジ部、7g…係合孔、8…ブラシ、16…ターミナル、17…躯体、18…シール部材、18a…被覆部としての延出部側被覆部、18c…筒状部、18d…嵌合部、21…ギヤハウジング、21a…開口部、22…減速機構を構成するウォーム軸、23…減速機構を構成するウォームホイール、31…インナパネル、31a…挿入孔、32…車両側コネクタ。
Claims (11)
- 車両ドアのインナパネル(31)外側に配置され、そのインナパネル(31)に形成した挿入孔(31a)を介して該パネル(31)内側から挿入される車両側コネクタ(32)と連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、
開口部(4b)内にモータ本体(2)を構成すべく各種構成部品(5,6等)を収容するヨークハウジング(4)と、
前記ヨークハウジング(4)の開口部(4b)に対向し、内部に前記モータ本体(2)の回転減速を行う減速機構(22,23等)を収容するギヤハウジング(21)と、
ブラシ(8)を保持するホルダ本体(7a)と、前記両ハウジング(4,21)の開口部(4b,21a)間で挟持される被挟持部(7b)と、前記車両側コネクタ(32)と連結するため前記インナパネル(31)に向けて開口する連結凹部(7d)を有した給電部(7c)とを一体に設けたブラシホルダ(7)とを備え、
前記ブラシホルダ(7)の被挟持部(7b)を被覆する被覆部(18a)と、前記インナパネル(31)の挿入孔(31a)を介して前記給電部(7c)の連結凹部(7d)をインナパネル(31)内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部(18c)とが切れ目なく連続して形成されるシール部材(18)を、前記ブラシホルダ(7)の躯体(17)に一体成形し、
前記給電部(7c)は、その外側面に係合部(7f)を備えており、
前記シール部材(18)は、その係合部(7f)を埋設することを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 車両ドアのインナパネル(31)外側に配置され、そのインナパネル(31)に形成した挿入孔(31a)を介して該パネル(31)内側から挿入される車両側コネクタ(32)と連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、
開口部(4b)内にモータ本体(2)を構成すべく各種構成部品(5,6等)を収容するヨークハウジング(4)と、
前記ヨークハウジング(4)の開口部(4b)に対向し、内部に前記モータ本体(2)の回転減速を行う減速機構(22,23等)を収容するギヤハウジング(21)と、
ブラシ(8)を保持するホルダ本体(7a)と、前記両ハウジング(4,21)の開口部(4b,21a)間で保持される保持部(7b)と、前記車両側コネクタ(32)と連結するため前記インナパネル(31)に向けて開口する連結凹部(7d)を有した給電部(7c)とを一体に設けたブラシホルダ(7)とを備え、
前記インナパネル(31)の挿入孔(31a)を介して前記給電部(7c)の連結凹部(7d)をインナパネル(31)内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部(18c)を有するとともに該筒状部(18c)から連続して前記連結凹部(7d)の反開口部側まで覆うように延びるシール部材(18)を、前記ブラシホルダ(7)の躯体(17)に一体成形し、
前記給電部(7c)は、その外側面に係合部(7f)を備えており、
前記シール部材(18)は、その係合部(7f)を埋設することを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 車両ドアのインナパネル(31)外側に配置され、そのインナパネル(31)に形成した挿入孔(31a)を介して該パネル(31)内側から挿入される車両側コネクタ(32)と連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、
開口部(4b)内にモータ本体(2)を構成すべく各種構成部品(5,6等)を収容するヨークハウジング(4)と、
前記ヨークハウジング(4)の開口部(4b)に対向し、内部に前記モータ本体(2)の回転減速を行う減速機構(22,23等)を収容するギヤハウジング(21)と、
ブラシ(8)を保持するホルダ本体(7a)と、前記両ハウジング(4,21)の開口部(4b,21a)間で挟持される被挟持部(7b)と、前記車両側コネクタ(32)と連結するため前記インナパネル(31)に向けて開口する連結凹部(7d)を有した給電部(7c)とを一体に設けたブラシホルダ(7)とを備え、
前記ブラシホルダ(7)の被挟持部(7b)を被覆する被覆部(18a)と、前記インナパネル(31)の挿入孔(31a)を介して前記給電部(7c)の連結凹部(7d)をインナパネル(31)内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部(18c)とが切れ目なく連続して形成されるシール部材(18)を、前記ブラシホルダ(7)の躯体(17)に一体成形し、
前記躯体(17)にはターミナル(16)がインサートされ、該ターミナル(16)は前記給電部(7c)の連結凹部(7d)内及び該給電部(7c)の基端部(7e)で露出するものであって、
前記シール部材(18)は、前記給電部(7c)の基端部(7e)においてターミナル(16)の露出する部位を埋設することを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 車両ドアのインナパネル(31)外側に配置され、そのインナパネル(31)に形成した挿入孔(31a)を介して該パネル(31)内側から挿入される車両側コネクタ(32)と連結し電気的に接続されるパワーウインド装置用モータであって、
開口部(4b)内にモータ本体(2)を構成すべく各種構成部品(5,6等)を収容するヨークハウジング(4)と、
前記ヨークハウジング(4)の開口部(4b)に対向し、内部に前記モータ本体(2)の回転減速を行う減速機構(22,23等)を収容するギヤハウジング(21)と、
ブラシ(8)を保持するホルダ本体(7a)と、前記両ハウジング(4,21)の開口部(4b,21a)間で保持される保持部(7b)と、前記車両側コネクタ(32)と連結するため前記インナパネル(31)に向けて開口する連結凹部(7d)を有した給電部(7c)とを一体に設けたブラシホルダ(7)とを備え、
前記インナパネル(31)の挿入孔(31a)を介して前記給電部(7c)の連結凹部(7d)をインナパネル(31)内側に開口させるべく筒状に形成された筒状部(18c)を有するとともに該筒状部(18c)から連続して前記連結凹部(7d)の反開口部側まで覆うように延びるシール部材(18)を、前記ブラシホルダ(7)の躯体(17)に一体成形し、
前記躯体(17)にはターミナル(16)がインサートされ、該ターミナル(16)は前記給電部(7c)の連結凹部(7d)内及び該給電部(7c)の基端部(7e)で露出するものであって、
前記シール部材(18)は、前記給電部(7c)の基端部(7e)においてターミナル(16)の露出する部位を埋設することを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 請求項3又は4に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、
前記給電部(7c)は、その外側面に係合部(7f)を備えており、
前記シール部材(18)は、その係合部(7f)を埋設することを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 請求項1、2、5のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、
前記係合部(7f)は、前記給電部(7c)の外側面に設けたフランジ部(7f)であることを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 請求項6に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、
前記フランジ部(7f)には、前記シール部材(18)が径方向に係合するような係合孔(7g)又は係合突起が所定位置に形成されていることを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 請求項1、2、5〜7のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、
前記係合部(7f)は、前記給電部(7c)の連結凹部(7d)の開口部側に設けられることを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、
前記シール部材(18)は、ゴム、エラストマ及び粘性樹脂のいずれか1つの材料にて 成形されていることを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、
前記シール部材(18)の筒状部(18c)は、前記インナパネル(31)の挿入孔(31a)に嵌合する嵌合部(18d)を備えていることを特徴とするパワーウインド装置用モータ。 - 請求項1又は3に記載のパワーウインド装置用モータにおいて、
前記ブラシホルダ(7)の被挟持部(7b)は、前記両ハウジング(4,21)の開口部(4b,21a)の全周にわたって設けられるものであり、
前記シール部材(18)の被覆部(18a)は、前記両ハウジング(4,21)の開口部(4b,21a)の全周にわたって当接することを特徴とするパワーウインド装置用モータ。
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