JP3704698B2 - 生産システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品と一対一に設けられ、製品の製造手順を記述したレシピを持つ製品エージェントを用いた生産システムに関し、特に、分離と結合とが可能な製品エージェントを用いた生産システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の生産システムでは、工程を変更したり、製品毎に異なる処理を行おうとすると、全ての制御プログラムを変更しなくてはならない。従って、工程変更、加工処理の変更に柔軟に対応することが困難であった。また、新たな工作機械の追加や、工作企画の削除を容易に行えないという問題点があった。さらに、ある工作機械が故障したときに、同じ機能を持つ工作機械に加工処理を代行してもらうことができなかった。
【0003】
このような問題点を解決する生産システムとして、例えば、特開平9−225788号公報等がある。
【0004】
このような装置を図8に示し説明する。
図において、情報用ネットワーク10上には、生産管理用コンピュータ11と制御コンピュータ12A〜12Cが接続されている。生産管理用コンピュータ11は、生産ラインで製造する製品の種類、各種類の製品の製造個数等を管理していて、これらの情報を制御コンピュータ12A〜12Cに伝達する。
【0005】
制御コンピュータ12A〜12Cは、同一の構成で、制御コンピュータ12Bを例にとって構成を説明する。
【0006】
制御コンピュータ12Bは、記憶手段121と制御部122とを有する。記憶手段121は、製品エージェント40及び装置エージェント60の存在領域である。制御部122は、制御コンピュータ12Bの制御を司る。
【0007】
製品エージェント40は、プログラムで、製品と一対一に対応して設けられ、どのような手順で製品を製作・工作するかを示したレシピ51を持っている。製品エージェント40は、レシピ51に書かれた手順に従って、自律的に制御コンピュータ12A〜12Cを渡り歩く。図の例では、製品エージェント40は、制御コンピュータ12Bに存在する。
【0008】
レシピ51の一行が一つの工作機械に対する工作の指示に対応していて、{機能名,工作指示}の組で構成されている。機能名は、どのような機能を持った工作機械が、工作指示を解釈して加工できるかを示す。機能名としては、例えば、プレス機械、旋盤等がある。工作指示は工作機械への工作の指示内容を示す。レシピ51では、機能名と工作指示の組を順に並べている。
【0009】
制御用ネットワーク13には、制御コンピュータ12A〜12Cと制御機器14A〜14Cとが接続されている。制御コンピュータ12A〜12Cは制御機器14A〜14Cを制御する。制御機器14A〜14Cは、例えば、プログラマブル・コントローラで、担当する工作機械15A〜15Cに対してラダープログラム等に従って具体的な動作司令を出す。工作機械15A〜15Cは、例えば、プレス機械、旋盤、研削盤等である。制御機器14A〜14Cで、制御部141は制御機器14A〜14Cの制御機能を司る。
【0010】
装置エージェント60A〜60Cは、工作機械15A〜15Cと一対一に設けられ、対応する工作機械15A〜15Cが担当できる機能を示した機能リスト70A〜70Cを持っている。そして、装置エージェント60A〜60Cは、対応する制御機器の制御部141に働きかけて制御機能を実行させる。機能リスト70A〜70Cは、装置エージェント60A〜60Cに対応する工作機械が担当できる作業を示したリストである。製品16は、工作機械15A〜15Cにより加工が施される。
【0011】
このような装置の動作を図9に示し説明する。
製品エージェント40は、レシピ51から1行を読み出して、その行に書かれた機能名を見つける(S1)。レシピ51に読み出し行がなければ、作業を終了する(S2)。レシピ51に読み出し行があれば、次の処理に進む。
【0012】
製品エージェント40は、機能名を持つ工作機械を探すために、情報用ネットワーク10に対して、機能名をブロードキャストする(S3)。装置エージェント60A〜60Cは、ブロードキャストされてきた機能名が自身の機能リストにない場合は、応答しない(S4,S5)。そして、装置エージェント60A〜60Cは、ブロードキャストされてきた機能名が自身の機能リストにある場合は、その旨を製品エージェント40にリプライにより知らせる(S4,S6)。
【0013】
製品エージェント40は、所定時間だけ装置エージェント60A〜60Cからのリプライを待つ。所定時間が経過したところで、製品エージェント40は、リプライをもらった装置エージェント60A〜60Cの中から実際に作業を依頼する装置エージェント60A〜60Cを選択する(S7)。
【0014】
そして、製品エージェント40は、該当する装置エージェント60A〜60Cの制御コンピュータ12A〜12Cへ移動する(S8)。製品エージェント40は、移動先の装置エージェント60A〜60Cに対して、機能名と対になって記述されている工作指示を依頼する(S9)。
【0015】
装置エージェント60A〜60Cは、工作指示を受けると、工作指示に応じた作業を実行する(S10)。作業が終了すると、完了を製品エージェント40に通知する(S11)。
【0016】
製品エージェント40は、完了通知を装置エージェント60A〜60Cから受け取ると、レシピ51の次の行を読み出す(S1)。このような動作を繰り返す。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
このような装置の場合、違った経路を通ってきた部品や半製品を組み立てて一つの製品や部品にまとめる場合、例えば、自動車を作る場合、エンジンとボディとシャーシーとを組み合わせて1台の車を作っていく場合には、以下のような問題点があった。
【0018】
それぞれの部品情報を一つにまとめて新しい部品情報を作るためには、電子的に情報を結合できないので、紙の情報を人手で結合しなければいけない、場合によっては、情報を結合できない場合がある。
【0019】
また、一つの経路で作ってきた部品や製品をいくつかの部品に分けて加工した後で再び組み合わせて一つの部品や製品とする場合には、電子的に情報を分離することができないので、紙の情報を人手で分離しなければいけなかった。また、部品や半製品の個々の情報を電子的な情報として扱うことができなかった。そして、電子情報として扱うことができても、それらを柔軟に結合、分離する仕組みがなかった。
【0020】
そこで、本発明の目的は、分離または結合ができる製品エージェントを用いた生産システムを実現することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
複数の製品を加工する複数の工作機械と、
これらの工作機械に動作司令を出す制御機器と、
情報ネットワークに接続し、プログラムで、前記製品と一対一に設けられ、製品の製造手順を記述したレシピを持つ製品エージェントにより、前記制御機器を制御し、製品エージェントのレシピの結合命令により、他の製品エージェントと結合し、レシピに書かれた手順に従って、情報用ネットワークを介して、製品エージェントの授受を行う複数の制御コンピュータと
を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、
複数の製品を加工する複数の工作機械と、
これらの工作機械に動作司令を出す制御機器と、
情報ネットワークに接続し、プログラムで、前記製品と一対一に設けられ、製品の製造手順を記述したレシピを持つ製品エージェントにより、前記制御機器を制御し、製品エージェントのレシピの分離命令により、製品エージェントを分離し、レシピに書かれた手順に従って、情報用ネットワークを介して、製品エージェントの授受を行う複数の制御コンピュータと
を有することを特徴とするものである。
【0023】
このような本発明では、結合手段が、レシピの結合命令により、他の製品エージェントと結合する。
また、分離手段が、レシピの分離命令により、製品エージェントを分離する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を説明する。
図1は本発明の一実施例を示した構成図である。
図において、製品エージェント40は、プログラム実行部41とデータ部50とからなる。プログラム実行部41は、製品エージェント40の制御を司ると共に、結合手段42と分離手段43とを有する。データ部50は、レシピ51と加工データ52と製造データ53とを有する。加工データ52は、加工のために必要なデータで、例えば、数値ファイル等である。製造データ53は、今まで作業されてきた製造実績などで、例えば、製造日時、製造時温度等である。
【0025】
結合手段42は、レシピ51の結合命令により、他の製品エージェント40から加工データ52と製造データ53とを受け取る。または、結合手段42は、レシピ51の結合命令により、他の製品エージェント40へ加工データ52と製造データ53とを送付し、自身の製品エージェント40を停止させる。
【0026】
分離手段43は、レシピ51の分離命令により、新たに製品エージェント40を生成し、レシピ51と加工データ52と製造データ53とを新たな製品エージェント40に複写する。
【0027】
このような装置の動作を以下で説明する。
まず、始めに結合動作について説明する。
図2は図1の装置の結合動作を示したフローチャートである。
図3は図1の動作を説明する図である。図において、40a〜40cは、製品エージェント40である。製品エージェント40a〜40cは、実行プログラム部41a〜41cとデータ部50a〜50cとを有する。データ部50a〜50cは、それぞれレシピ51a〜51c、加工データ52a〜52c、製造データ53a〜53cを有する。
【0028】
実行プログラム部41aは通常の動作を行っている(S11)。そして、実行プログラム部41aは、データ部41aのレシピ51aから結合命令を読み出して、製品エージェント40bと、親として結合することを認識する(S12)。実行プログラム部41aの結合手段42は、結合相手からのメッセージを待つ(S13)。
【0029】
実行プログラム部41bは、通常の動作を行っている(S21)。そして、実行プログラム部41bは、データ部41bのレシピ51bから結合命令を読み出して、製品エージェント40aに子供として結合することを認識する(S22)。実行プログラム部41bの結合手段42は、結合リクエストを製品エージェント40aに対して出力する(S23)。
【0030】
実行プログラム部41aの結合手段42は、結合リクエストを受けて、製品エージェント40bに対して、加工データと製造データとを要求する(S14)。これを受けて、実行プログラム部41bの結合手段42は、加工データ52bと製造データ53bとを製品エージェント40aに送付する(S24)。
【0031】
実行プログラム部41aの結合手段42は、加工データ52bと製造データ53bとを受け取り、加工データ52a,52bと製造データ53a,53bとを作り替える(S15)。つまり、図4(a),(b)に示されるように、加工データ52a,52bと製造データ53a,53bをそれぞれ葉としたツリー構造の形にして、加工データ52cと製造データ53cとを作成する。
【0032】
実行プログラム部41aの結合手段42は、製品エージェント40bに対し停止を要求する(S16)。これを受けて、実行プログラム部41bの結合手段42は、動作を停止する(S25)。つまり、製品エージェント40bを消滅させる。そして、製品エージェント40aは、製品エージェント40cとして動作を開始する。製品エージェント40cは、実行プログラム部41a、レシピ51aを、それぞれ実行プログラム部41c、データ部50c、レシピ51cとする(S17)。
【0033】
次に分離動作について説明する。
図5は図1の装置の分離動作を示したフローチャートである。
図6は図1の装置の分離動作を説明する図である。符号は、図3と同一符号を用いたので説明を省略する。
【0034】
実行プログラム部41aは、レシピ51aを読み出し、製品エージェント40b,40cに分離することを認識する(S11)。実行プログラム部41aの分離手段43は、製品エージェント40cを生成する(S12)。製品エージェント40cは、動作を開始する(S21)。
【0035】
実行プログラム部41aの分離手段43は、レシピ51aから製品エージェント40cのレシピ51cを取り出して、製品エージェント40cに送付する(S13)。実行プログラム部41cの分離手段43は、レシピ51cをデータ部50cに格納する(S22)。
【0036】
そして、実行プログラム部41aの分離手段43は、加工データ52aと製造データ53aとを、製品エージェント40cに送付する(S14)。次に、実行プログラム部41aの分離手段43は、加工データ52bと製造データ53bのエントリを生成する(S15)。つまり、図7(a),(b)に示されるように、加工データ52aと製造データ53aとを葉としたツリー構造の形にして、加工データ52bと製造データ53bとを生成する。
【0037】
同様に、実行プログラム部41cの分離手段43は、加工データ52cと製造データ53cのエントリを生成する(S23)。つまり、加工データ52aと製造データ53aを葉としたツリー構造の形にして、加工データ52cと製造データ53cとを生成する。
【0038】
製品エージェント40aは、製品エージェント40bとして動作を開始する。製品エージェント40bは、実行プログラム部41a、データ部50a、レシピ51aを、それぞれ実行プログラム部41b、データ部50b、レシピ51bとする(S16)。そして、製品エージェント40cは、レシピ51cにより動作を開始する(S24)。
【0039】
このように、結合手段42により、製品エージェント40の結合を行うので、製造情報をうまく引き渡して、複数の製品を組み合わせて、一つの製品に組み立てることができる。
【0040】
例えば、自動車を作る場合、エンジンを担当する製品エージェント、ボディを担当する製品エージェント、シャーシを担当する製品エージェントを作り、それぞれが担当する部分を製造した後で、全部を組み立てて一つの製品にすることができる。
【0041】
つまり、一つの製品を、それを構成する部品に相当する製品エージェントに分割して、それぞれの製品エージェントが必要な製造、調達を行って、製品エージェント自体を結合して、製造物を組み立てることにより、一つの製品を作り上げることができる。
【0042】
また、共通で使う部品は見込み生産で多く作っておき、個々の製品は、後から実際の注文に応じて作る場合には、先に作っておいた部品の製品エージェントと、いまから完成させようとしている製品に対応する製品エージェントを結合させることで、情報をうまく結合できるようになる。
【0043】
さらに、いくつかの工場で作られてきた部品をまとめて一つの部品にする場合、それぞれの部品や製品データなどを、うまく引き渡すことができる。
【0044】
分離手段43により、製品エージェント40の分離を行うので、一つの製品を情報を情報を柔軟に分解して、いくつかの部品を並列に製造することができる。
【0045】
つまり、一つの製品の部品を別々の工場で分配して作る場合に、製品データを、うまく引き渡すことができる。
【0046】
そして、加工データ52や製造データ53をツリー構造としたので、過去の情報をたどることができる。
【0047】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、加工データ52は、製品エージェント40が保持するものではなく、他の場所、例えば、生産管理用コンピュータ11に保持するものでもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果がある。
請求項1,2によれば、結合手段により、製品エージェントの結合を行うので、製造情報をうまく引き渡して、複数の製品を組み合わせて、一つの製品に組み立てることができる。
【0049】
請求項3〜5によれば、分離手段により、製品エージェントの分離を行うので、一つの製品を情報を情報を柔軟に分解して、いくつかの部品を並列に製造することができる。
【0050】
請求項6によれば、加工データや製造データをツリー構造としたので、過去の情報をたどることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】図1の装置の結合動作を示したフローチャートである。
【図3】図1の装置の結合動作を説明する図である。
【図4】加工データ52c及び製造データ53cのデータ構造を説明する図である。
【図5】図1の装置の分離動作を示したフローチャートである。
【図6】図1の装置の分離動作を説明する図である。
【図7】加工データ52b及び製造データ53bのデータ構造を説明する図である。
【図8】エージェントベースの生産システムの構成を示した図である。
【図9】図8の装置の動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
40 製品エージェント
42 結合手段
43 分離手段
51 レシピ
52 加工データ
53 製造データ
Claims (6)
- 製品を加工する複数の工作機械と、
これらの工作機械に対して動作司令を出す複数の制御機器と、
プログラムで、前記製品と一対一に設けられ、製品の製造手順を記述したレシピを持つ製品エージェントにより、前記制御機器を制御し、製品エージェントのレシピの結合命令により、製品エージェントの結合手段を用いて、他の製品エージェントと結合し、レシピに書かれた手順に従って、情報用ネットワークを介して、製品エージェントの授受を行う複数の制御コンピュータと
を有することを特徴とする生産システム。 - 制御コンピュータは、製品エージェントのレシピの結合命令により、製品エージェントの結合手段を用いて、結合相手の製品エージェントから加工データまたは製造データの少なくとも1つの取得、または、結合相手の製品エージェントへ加工データまたは製造データの少なくとも1つの送付を行い、製品エージェントを停止させることを特徴とする請求項1記載の生産システム。
- 製品を加工する複数の工作機械と、
これらの工作機械に対して動作司令を出す複数の制御機器と、
プログラムで、前記製品と一対一に設けられ、製品の製造手順を記述したレシピを持つ製品エージェントにより、前記制御機器を制御し、製品エージェントのレシピの分離命令により、製品エージェントの分離手段を用いて、製品エージェントを分離し、レシピに書かれた手順に従って、情報用ネットワークを介して、製品エージェントの授受を行う複数の制御コンピュータと
を有することを特徴とする生産システム。 - 制御コンピュータは、製品エージェントのレシピの分離命令により、製品エージェントの分離手段を用いて、新たに製品エージェントを生成し、少なくともレシピを複写することを特徴とする請求項3記載の生産システム。
- 制御コンピュータは、製品エージェントのレシピの分離命令により、製品エージェントの分離手段を用いて、新たな製品エージェントに、加工データまたは製造データの少なくとも1つを複写することを特徴とする請求項4記載の生産システム。
- 加工データまたは製造データを少なくとも一方をツリー構造としたことを特徴とする請求項2または5記載の生産システム。
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