JP3704541B2 - 車両用シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部を物品収納部とするシートベース上にシートクッションを起伏自在に設けるとともにシートベースの後部にリクライニング金具を介してシートバックを取付けて必要に応じてシートクッションを跳ね上げ起立させることにより物品収納部に小物を収納できるようにした車両用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の目的使用がアウトドアレジャー等への適用など多様化するに伴い、シートクッションの下部を小物などを収納できる物品収納部とした車両用シートが実開昭62ー151134号公報や実開平5ー26606号公報などにより提案されている。
【0003】
ところが、従来のこの種の車両用シートにおいては、シートクッションをシートベースの前端にリンク機構を介して回転・起立できるように連結するとともに通常の使用状態においてシートクッションが跳ね上がることを防止するための複雑なロック機構を組み込んだものであって、ロック機構の組み込みに手数を要するうえにロック機構の解除操作も面倒なものとなるなどの問題がある。また、図6に示されるように、シートクッションの後部上面をシートバックの下端で押さえて通常の使用状態においてはシートクッションが跳ね上がることのないようにしたものが考えられるが、このようなものにおいてシートクッションを前方に跳ね上げて収納部の上部開口を開放するには、先ず、リクライニング機構30によりシートバック32を略水平状態までフルに後傾させてシートバックの下端による押さえを解いたうえ、シートクッション31を前方部の回転ヒンジ33を中心に跳ね上げて前側へ引き起こす必要があり、このためにシートバック32を略水平状態までフルに後傾させるに充分な後部スペースを要するという難点や、シートバックの後傾の際に後部側の荷物を邪魔にならない位置まで移動させたりシート自体を前側へ移動させたりする等の手間がいるという難点があり、また、この結果、後部座席のレイアウト上の設計にも大きな制約が課される等の問題点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、複雑なロック機構を組み込む必要がないうえにロック機構の解除操作手数も簡単で、しかも、シートバックの後部スペースも殆ど関係なくシートクッションを前向きに跳ね上げることができて座席のレイアウトの設計の自由度を高めることのできる車両用シートを提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の車両用シートは、内部を物品収納部とするシートベース上にシートクッションを設けるとともにシートベースの後部にリクライニング金具を介してシートバックを取付けた車両用シートにおいて、前記シートクッションをシートベースの前端に起伏自在に枢着して前記物品収納部の蓋と座の両機能を有する正常状態と、物品収納部の上部開口を開放した起立状態の2態様に切替可能とする一方、前記リクライニング金具には、シートバックの下端が前記シートクッションの後部上面にあってシートクッションの跳ね上げ阻止機能を発揮する正常位置と、前記跳ね上げ阻止機能が解かれる後部位置との2位置に起立保持されるように切替可能な切替機構を組み込んであることを特徴とするものである。また、このような発明におけるリクライニング金具の切替機構は特に限定されるものではないが、請求項2に記載したように、シートベースに取付けられたロアアームにリクライニング用のアッパアームを連結してこのアッパアームにロック付きヒンジ機構を介して前倒可能な中折れアームを連結したものとして、この中折れアームにシートバックが取付けられているものや、請求項3に記載したように、シートベースに取付けられたロアアームにリクライニング用のアッパアームを連結してこのアッパアームに上端がシートバックの側面に連結された前リンクと後リンクの下端を連結するとともに、後リンクの中間部にロックレバーの係合部と係脱自在なロックピンを設けたものが製作容易で安価に提供できるので好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図面は、本発明を自動車のフロントシートに適用した場合を示すものであって、図中1は内部を物品収納部3としたシートベースの上部前端に起伏自在に枢着されているシートクッション、2はシートベースの後部に周知のリクライニング機構を備えたリクライニング金具6を介して取付けられたシートバックであって、前記シートクッション1は前端の回転ヒンジ4を中心として後部を前方に向け跳ね上げ自在とされ、一方、シートクッション1の後部にはリクライニングヒンジピン6aに係合するロック溝5が形成されており、以上の構成は従来のこの種の車両用座席と基本的には変わることがないが、本発明ではシートクッション1とシートバック2とを連結しているリクライニング金具6が従来のものと相違している。。
【0007】
すなわち、本発明におけるリクライニング金具6には、シートバック2の下端が前記シートクッション1の後部上面にあってシートクッション1の跳ね上げ阻止機能を発揮する正常の背凭位置と、前記跳ね上げ阻止機能が解かれる後部位置との2位置に起立保持されるように切替可能な切替機構7を組み込んである。このリクライニング金具6の切替機構7の具体的構成は特に限定されるものではないが、図1〜図4に示す第1の実施態様においては、シートベースに取付けられたロアアーム8に図示しない周知のリクライニング機構を介してリクライニング用のアッパアーム9を連結し、このアッパアーム9にロック付きヒンジ機構10を介して前倒可能な中折れアーム11を連結したものとして、この中折れアーム11にシートバック2の側面を取付たものとしている。そして、この中折れアーム11は、図2に示されるように、リクライニング金具6のアッパーアーム9の上端部に連結されていて、中折れレバー12の操作によって中折れヒンジピン13を中心として前側へ略90°前倒しできるよう構成されており、これにより前記リクライニング金具6のリクライニング機構の操作とは別にシートバック2のみを前倒し可能とすることができるものとなっている。
【0008】
このように構成されたものは、図3に示されるように、通常はシート形状となっていて着座に供されるものであり、この場合、シートクッション1はその後部上面をシートバック2の下端で固定された状態となっているため、走行時においてもシートクッション1が外れることもなく安全であり、また、ガタ等の発生もなく快適なシート状態を保持できることとなる。
【0009】
一方、物品収納部3を利用する場合には、図4に示されるように、中折れレバー12を操作して中折れアーム11を介してシートバック2のみを前側へ略90°前倒し、次いで、この状態のままリクライニング金具6のリクライニング機構の操作でアッパーアーム9を目一杯後傾させた状態とすると、中折れアーム11に取付けられているシートバック2は中折れアーム11とアッパーアーム9との角度を略90°としたまま保持されているため、正常起立位置に起立されることなく、前記跳ね上げ阻止機能が解かれる後部位置で起立した状態をとることとなり、従って、シートクッション1の後部上面がシートバック2の下端で固定されていた状態は解除されることとなる。そこで、回転ヒンジ4を中心にシートクッション1の後方側を跳ね上げると、物品収納部3の上端開口が露呈されるので、必要な物品の出し入れ等の利用に供すればよい。
【0010】
また、リクライニング金具6の切替機構7としては、図5に示す第2の実施態様のように、シートベースに取付けられたロアアーム8にリクライニング用のアッパアーム9を連結してこのアッパアーム9に、上端がシートバック2の側面に連結された前リンク21と後リンク22を平行させてその下端をもって連結するとともに、後リンク22の中間部にロックレバー24の係合部25と係脱自在なロックピン23を設けたものとしてもよい。
【0011】
このようにした第2の実施の形態の場合も、通常はシート形状となっていて着座に供されるものであり、この場合、シートクッション1はその後部上面を平行する前リンク21と後リンク22がロックレバー24によりリンクとして作用しないためにその後部上面に下端が位置する正常背凭位置として起立しているシートバック2で固定された状態を保持することとなり、走行時においてもシートクッション1が外れることもなく安全であり、また、ガタ等の発生もなく快適なシート状態を保持できることとなるが、物品収納部3を利用する場合には、図5に示されるように、ロックレバー24の係合部25とロックピン23との係合を解けば、前リンク21と後リンク22が平行リンクとして機能してシートバック2は正常起立位置から後退して前記跳ね上げ阻止機能が解かれる後部位置に起立した状態をとることとなって、シートクッション1の後部上面がシートバック2の下端で固定されていた状態は解除されるから、回転ヒンジ4を中心にシートクッション1の後方側を跳ね上げると、物品収納部3の上端開口が露呈されるので、必要な物品の出し入れ等の利用に供すればよい。
【0012】
いずれにしても、本発明においては従来のように、シートバック2を略水平状態までフルに後傾させなくても蓋体に相当するシートクッション1の開閉操作を行うことができるため、後部側に大きなスペースを必要とせずコンパクトな設計が可能となり、また、複雑なロック機構を組み込む必要がないうえ、ロック機構の解除操作手数も簡単である。
【0013】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、リクライニング金具には、シートバックの下端が前記シートクッションの後部上面にあってシートクッションの跳ね上げ阻止機能を発揮する正常起立位置と、前記跳ね上げ阻止機能が解かれる後部位置との2位置に起立保持されるように切替可能な切替機構を組み込んであるので、複雑なロック機構を組み込む必要がないうえにロック機構の解除操作手数も簡単で、しかも、シートバックの後部スペースも殆ど関係なくシートクッションを前向きに跳ね上げることができて座席のレイアウトの設計の自由度を高めることのできる車両用シートを提供することができる。
よって本発明は従来の問題点を一掃した車両用シートとして、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す全体斜視図である。
【図2】リクライニング金具の第1の実施の形態を周知のリクライニング機構部分を省略して示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるシートとしての通常の状態を示す全体斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の操作手順を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の操作手順を示す説明図である。
【図6】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 シートクッション
2 シートバック
3 物品収納部
6 リクライニング金具
7 切替機構
8 ロアアーム
9 アッパアーム
11 中折れアーム
21 前リンク
22 後リンク
23 ロックピン
24 ロックレバー

Claims (3)

  1. 内部を物品収納部とするシートベース上にシートクッションを設けるとともにシートベースの後部にリクライニング金具を介してシートバックを取付けた車両用シートにおいて、前記シートクッションをシートベースの前端に起伏自在に枢着して前記物品収納部の蓋と座の両機能を有する正常状態と、物品収納部の上部開口を開放した起立状態の2態様に切替可能とする一方、前記リクライニング金具には、シートバックの下端が前記シートクッションの後部上面にあってシートクッションの跳ね上げ阻止機能を発揮する正常起立位置と、前記跳ね上げ阻止機能が解かれる後部位置との2位置に起立保持されるように切替可能な切替機構を組み込んであることを特徴とする車両用シート。
  2. リクライニング金具の切替機構を、シートベースに取付けられたロアアームにリクライニング用のアッパアームを連結してこのアッパアームにロック付きヒンジ機構を介して前倒可能な中折れアームを連結したものとして、この中折れアームにシートバックが取付けられている請求項1に記載の車両用シート。
  3. リクライニング金具の切替機構を、シートベースに取付けられたロアアームにリクライニング用のアッパアームを連結してこのアッパアームに上端がシートバックの側面に連結された前リンクと後リンクの下端を連結するとともに、後リンクの中間部にロックレバーの係合部と係脱自在なロックピンを設けたものとした請求項1に記載の車両用シート。
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