JP3703901B2 - 走査光学系 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査光学系に関するものであり、例えば、高速で画像取り込みが可能なフィルムスキャナー等に用いられる走査光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より様々なフィルムスキャナーが提案されているが、そのなかでもミラースキャン方式のフィルムスキャナーは一般によく知られている。ミラースキャン方式のフィルムスキャナーは、主に、副走査方向に受光素子が並んだラインセンサー(例えば、ラインCCD)と、ラインセンサー上でフィルムの画像を結像させる走査光学系と、主走査のために揺動回転するミラーと、で構成されている。
【0003】
上記フィルムスキャナーには、被走査面であるフィルム画面が平坦であるため、これを走査した際にミラーの回動に伴ってミラーと被走査面との間の光路長が変化してしまうといった問題がある。このような問題を解決するため、特公昭62-20526号公報では、ミラーと被走査平面との間に、ペッツバール和等が規定された回転非対称な結像光学系を設けることにより、上記光路長を補正して、平坦な被走査面を湾曲なく高速走査するようにした走査装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特公昭62-20526号の走査装置に用いられている回転非対称の結像光学系は、製造が困難な面形状を有する高価な光学系であるため、走査装置のコストアップを招いてしまうという問題がある。また、ミラーの大型化が避けられないため、ミラーを高速に回転することが困難であり、フィルム1コマの画像の取り込みに10秒から数分かかるという問題がある。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであって、その目的は、被走査面が平坦であっても湾曲のない高速走査を可能とする低コストの走査光学系を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の走査光学系は、
2次元物体からの光を集光する物体側レンズ群と、前記物体側レンズ群を通過した光を偏向させることによって2次元物体を撮像するための主走査を行うミラーと、前記物体側レンズ群とは独立したレンズ系であって、前記ミラーによって偏向された主走査方向に直交する副走査方向における軸上光及び軸外光を共に撮像面上で結像させる像側レンズ群と、を備えた走査光学系であって、
前記物体側レンズ群と像側レンズ群が共に回転対称なレンズから構成されており、前記物体側レンズ群の射出瞳と前記像側レンズ群の入射瞳を略一致させ、その一致している瞳の近傍に前記ミラーを配置し、前記像側レンズ群と前記ミラーの間で前記ミラーの近傍に絞りを配置したことを特徴とする。
【0008】
本発明において、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを略一致させるとは、互いに略同一の瞳径を有する、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを、略同一位置に位置させることをいう。上記定義に従い、物体側レンズ群と像側レンズ群との光軸が一致している光学系において、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを一致させる構成について、(1)2つの瞳が、互いに略同一の瞳径を有するが略同一位置に位置していない場合、(2)2つの瞳が、互いに略同一位置に位置するが略同一の瞳径を有していない場合、(3)2つの瞳が、互いに異なる瞳径であって位置も異なる場合、(4)前述の本発明、の順に更に詳しく説明する。
【0009】
(1)の構成の場合、2つの瞳の光軸上の位置が略同一位置にないため、例えば、物体側レンズ群から軸上光が発散光として射出されるような場合、軸上光の一部は像側レンズ群の入射瞳を通過することができず、光量にロスを生じてしまう。逆に、物体側レンズ群から軸上光が収束光として射出されるような場合、像側レンズ群は、レンズ群のうち光が通過しない領域が大きくなり、光学系全体が大型化してしまう。また、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とが略同一位置になければ、物体側レンズ群の射出瞳を通過した軸外光(すなわち、像高をもつ光)を全て像側レンズ群の入射瞳に入射させることはできない。
【0010】
(2)の構成の場合、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群にある入射瞳とが略同一位置にあるので、実質的には、瞳径の小さい方の瞳が光を規制する作用を有することとなる。従って、物体側レンズ群の射出瞳径の方が像側レンズ群の入射瞳径よりも大きい場合、軸上光及び軸外光にかかわらず、物体側の光をすべて像側に伝達することができない。逆に、像側レンズ群の入射瞳径の方が物体側レンズ群の射出瞳径よりも大きい場合、像側レンズ群は、レンズ群のうち光が通過しない領域が大きくなり、光学系全体が大型化してしまう。
【0011】
(3)の構成の場合、物体側レンズ群から像側レンズ群へ軸上光をもれなく伝達するように、物体側レンズ群の射出瞳径と像側レンズ群の入射瞳径を適切に定めることができる。しかしながら、この場合においても、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とが略同一位置になければ、(1)の場合と同様に、物体側レンズ群の射出瞳を通過した軸外光を全て像側レンズ群の入射瞳に入射させることはできない。
【0012】
これに対して、(4)の本発明では、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを略一致させる構成となっているので、軸上光だけでなく軸外光をも、物体側レンズ群から像側レンズ群へともれなく伝達することができる。
【0013】
例えば、プリンター等に用いられているレーザ走査光学系では、主走査方向には軸上光及び軸外光が共に用いられるため、像側に位置するレンズ群の入射瞳位置の近傍にミラーが配置される。しかし、副走査方向の軸外光は用いられない(つまり、副走査方向に像高をもたない)ので、本発明における物体側レンズ群,像側レンズ群に相当する各レンズ群の瞳を一致させる必要はない。これに対して、本発明では、ミラーによって偏向された副走査方向における軸上光及び軸外光が共に像側レンズ群によって撮像面上で結像する(つまり、副走査方向に像高をもつ)構成となっているので、前述したように物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを略一致させないと、物体側レンズ群の射出瞳を通過した軸外光を全て像側レンズ群の入射瞳に入射させることができないのである。
【0014】
上記のように物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを略一致させると、物体側レンズ群と像側レンズ群とは瞳を共有する一つのレンズ系となる。通常の光学系を用いると、ミラーを回転させたときに円弧を描いて物体の走査が行われるため、像面に湾曲が生じる。しかし、上記のように物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを略一致させた場合、物体側レンズ群と像側レンズ群とのそれぞれについて像面湾曲が発生しなければ、走査光学系全系についても像面に湾曲は生じない。物体側レンズ群と像側レンズ群とのそれぞれについて像面湾曲の補正を行うことは容易であるため、複雑な面形状を有する光学系を用いる必要がなく、例えば、回転対称な球面系のみで物体側レンズ群と像側レンズ群を構成することができる。この回転対称な球面系は、安価であり、しかも製造容易である。
【0015】
本発明においては、上記のように一致している瞳の近傍にミラーが配置されているので、物体側レンズ群から像側レンズ群へと光がもれなく伝達されるために必要なミラーサイズは、より小さなものとなる。このように一致している瞳の近傍に配置したミラーで光を偏向させた場合でも、上記と同様、物体側レンズ群と像側レンズ群とのそれぞれについて像面湾曲が発生しなければ、走査光学系全系についても像面に湾曲は生じない。
【0016】
例えば、ミラーで光を偏向させることによって物体を撮像するための主走査を行う場合、ミラーが光束を規制する絞りとして作用すると、ミラーと光束とが成す角度の変化に伴って射影が変化する。この射影の変化の影響によって、像側レンズ群への入射光量が変化する。本発明の構成によると、像側レンズ群とミラーとの間でミラーの近傍に絞りが配置されているので、ミラーでは光束は規制されず、絞りによって光束が規制されることになる。その結果、像側レンズ群への入射光量は一定になり、照度分布の悪化が防止される。
【0017】
上記本発明において、前記一致している瞳が絞りである場合、前記物体側レンズ群及び像側レンズ群が、それぞれ独立した前絞りレンズとしての結像性能を有することが望ましい。ミラーによって物体を撮像するための主走査が行われると、物体側レンズ群,像側レンズ群のうち、少なくとも一方のレンズ群中の光路は変化することになる。例えば、主走査方向において、物体側レンズ群に入射する光が軸外光であっても、像側レンズ群には軸上光として入射することになる。しかし、物体側レンズ群及び像側レンズ群が、それぞれ独立した前絞りレンズとしての結像性能を有していれば、走査光学系全系として充分な結像性能が得られることになる。
【0018】
上記本発明において、前記像側レンズ群は、像側にテレセントリック又は略テレセントリックであることが望ましい。例えば、複板式(例えば、3板式)ラインCCD等のラインセンサーを撮像部として用いた場合、像側レンズ群が像側にテレセントリックであるほど、多色分解プリズム(例えば、3色分解プリズム)のダイクロイック膜との角度特性のマッチングが良くなるからである。
【0019】
上記本発明において、前記物体側レンズ群は、物体側にテレセントリック又は略テレセントリックであることが望ましい。物体側レンズ群への入射光が光軸に対して角度を持っている場合、コサイン4乗則に従って照度分布の悪化が生じる。物体側レンズ群が物体側にテレセントリックであるほど、この照度分布の悪化を防ぐ上で有利となるのである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施した走査光学系を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図中、x軸,y軸,z軸は互いに直交する軸を示している。まず、図1に、本発明の実施の形態に共通する走査光学系の基本構成を示す。この走査光学系は、主として、像側から順に、像側レンズ群Gr1,ミラーM,及び物体側レンズ群Gr2から成るミラースキャン方式の走査光学系である。走査光学系の物体側には、撮像中、フィルム画面1が位置固定で配置されており、走査光学系の像側には、ラインCCD3とプリズム2が配置されている。プリズム2は、3板式色分解を行う場合に用いられる色分解プリズムであり、色分解等を行わない場合には不要である。
【0021】
物体側レンズ群Gr2(この部分で光軸はx軸に対して平行である。)は、フィルム画面1からの光を集光する。図1中、RBは主・副走査方向における軸上光であり、RAは副走査方向における物高Z(+),像高Z’(−)の軸外光であり、RCは副走査方向における物高Z(−),像高Z’(+)の軸外光である。平面状のミラーMは、物体側レンズ群Gr2を通過した光を偏向させることによってフィルム画面1の主走査を行う。偏向はミラーMの回転により行われ、また、フィルム画面1の主走査はy軸方向に行われる。像側レンズ群Gr1(この部分で光軸はy軸に対して平行である。)は、ミラーMによって偏向された副走査方向(z軸方向)における軸上光及び軸外光を共にラインCCD3の撮像面上で結像させる。ラインCCD3の撮像面上に形成される像は、フィルム画面1上の副走査方向(z軸方向)におけるライン状の像であり、ラインCCD3によって1ラインずつ画像情報として取り込まれる。
【0022】
物体側レンズ群Gr2を構成しているレンズは、y軸,z軸の両方向について光束をカバーするように、y−z断面が円形状を成している。これに対し、像側レンズ群Gr1は、ラインCCD3の受光素子配列方向である副走査方向(z軸方向)のみ光束をカバーすればよいので、x−z断面がz軸方向に長い小判形状を成している。このように像側レンズ群Gr1を小判形状とすることにより、走査装置内の省スペース化を図ることができる。
【0023】
この走査光学系では、ラインCCD3が撮像部として用いられているが、ラインCCD3の代わりに他のラインセンサーを撮像部として用いてもよく、また、撮像部として感光体ドラムを用いてもよい。感光体ドラムを用いる場合、その母線を副走査方向に対して平行になるように配置し、感光体ドラムの回転をミラーMの回動に同期させる。
【0024】
また、この走査光学系はフィルムスキャナーに応用したものであるが、本発明の走査光学系を他の走査装置に応用することも可能である。例えば、ラインCCD3の代わりに画像情報を含む光を発する装置(例えば、LEDアレイや透過型のLCDパネル)を配置し、フィルム画面1の代わりに画像情報を含む光を受光して、その読み込み,記録等を行う受光装置(エリアCCDや平面状感光体)を設けてもよい。この場合、像側レンズ群Gr1が物体側レンズ群となり、物体側レンズ群Gr2が像側レンズ群となる。
【0025】
次に、物体側レンズ群Gr2の射影方式の違いによって生じる像の歪みについて説明する。図2(A)は、フィルム画面1(図1)上のフィルム画像を示しており、同図中、Ymaxは主走査範囲、Zmaxは副走査範囲である。図2(B)〜(D)は、射影方式の異なる物体側レンズ群Gr2を用い、等角速度でミラーMを回転させることによってフィルム画面1の主走査を行ったときの、ラインCCD3の撮像面位置で形成されるフィルム画像{図2(A)}の像を示している。図2(B)に示す像は物体側レンズ群Gr2としてfθレンズを用いた場合に得られ、図2(C)に示す像は物体側レンズ群Gr2としてfsinθレンズを用いた場合に得られ、図2(D)に示す像は物体側レンズ群Gr2としてftanθレンズを用いた場合に得られる。
【0026】
fθ方式{図2(B)}では、主走査方向(y軸方向)の間隔が等しいため、ミラーMの回転速度を補正する必要はないが、主・副走査の両方向(y,z軸方向)について2次元的な像の補正を行う必要がある。fsinθ方式{図2(C)}及びftanθ方式{図2(D)}では、主走査方向の間隔が異なるため、ミラーMの回転速度を補正する必要はあるが、必要となる像の補正は1次元的である。ただし、fθ方式,fsinθ方式の場合、主走査方向(y軸方向)に湾曲した歪みが生じるため、ラインCCD3の撮像面上に、対応するフィルム画面1上の前記ライン状の像を全て投影することは困難である。
【0027】
この走査光学系においては、物体側レンズ群Gr2としてftanθ光学系が用いられている。ftanθ方式の場合、ミラーMで光を偏向させることによってフィルム画面1の主走査を行うと、物体側レンズ群Gr2の光路が変化し、それに伴って射影も変化する。つまり、ftanθ系の射影方式では、図2(D)に示すようにミラーMによって偏向される光が主走査方向(y軸方向)において軸上から軸外へと離れるほど、物体側レンズ群Gr2に入射する光は本来入射すべき光よりも軸外の光となるため、像に主走査方向の歪みが生じてしまう。ミラーMによる走査速度を補正すれば、主走査方向における射影の変化を解消することができるので、この走査光学系では、ミラーMによって偏向される光が軸上から軸外へと離れるほど主走査速度を速くすることによって、像に主走査方向の歪みが生じないようにしている。このようにして、主走査方向に歪みのない高速走査が可能となる。
【0028】
一方、副走査においても、ミラーMによって偏向される光が主走査方向において軸上から軸外へと離れるほど、物体側レンズ群Gr2に入射する光は本来入射すべき光よりも軸外の光となるため、像に副走査方向の歪みが生じてしまう。像に対して副走査方向の1次元的な補正を行えば、副走査方向における射影の変化を解消することができるので、この走査光学系では、取り込み画像の処理によって像の副走査方向の歪みを電気的に補正するようにしている。上記像の副走査方向の補正は、ラインCCD3の受光素子の配列方向(z軸方向)の補正となるため、補正は容易である。このようにして、副走査方向に歪みのない高速走査が可能となる。
【0029】
この走査光学系においては、通常のミラースキャン方式の走査光学系と同様、ミラーMの回転によって主走査のための偏向を行うが、ミラーMは揺動回転のみを行うわけではない。つまり、物体側レンズ群Gr2と像側レンズ群Gr1との間にはミラーMの全周回転を可能とする空間が設けられているため、ミラーMを全周回転させることによって、ミラーMの軸受け部に偏った負荷が継続してかからないようにすることができるのである。このミラーMの全周回転は、例えば、主走査を1回行う毎に行ってもよく、主走査を所定回数行う毎に行ってもよく、スタートアップ時(つまり、走査装置の電源をONした時)にのみ行ってもよい。
【0030】
上記のようにミラーMの軸受け部にかかる偏った負荷を軽減することによって、ミラーMの軸受け部が偏摩耗したり部分的に油切れになったりする等の問題が発生するのを防止することができる。さらに、ミラーMを揺動回転させる駆動装置(例えば、ガルバノ装置)を用いる必要がなく、それよりも安価で構成も簡単な駆動装置(例えば、DCモータ等から成る駆動装置)でミラーMの全周回転を行うことができるので、走査装置の低コスト化を達成すると共にその構成を簡単にすることができる。
【0031】
次に、図1に示す走査光学系の詳細な構成を3つの実施の形態を挙げて説明する。図3〜図5,図6〜図8,図9〜図11は、第1〜第3の実施の形態にそれぞれ対応するx−y断面図であり、図3,図6及び図9はミラー回転角(すなわち、ミラー振り角)θ=45°(このとき、物高Y=0である。)での光路を示しており、図4,図7及び図10はミラー回転角θ=48.5°での光路を示しており、図5,図8及び図11はミラー回転角θ=41.5°での光路を示している。また、図3,図6及び図9のレンズ構成図中、Si(i=1,2,3,...)は物体(フィルム画面1)側から数えてi番目の面を示している。
【0032】
《第1の実施の形態》
図3〜図5に示す第1の実施の形態では、像側レンズ群Gr1,物体側レンズ群Gr2は、それぞれ9枚の回転対称な球面レンズから成っており、ミラーMを介して収差補正上有利な対称型の構成をとっている。また、像側レンズ群Gr1は、x−z断面が小判形状を成している。前述したように、像側レンズ群Gr1を小判形状とすることによって、走査装置内の省スペース化を図ることができる。なお、図3〜図5中、θ=45°(図3)を中心としたθ=45°±3.5°に対応する物高Yが主走査範囲Ymaxである。
【0033】
第1の実施の形態は、物体側レンズ群Gr2の射出瞳と像側レンズ群Gr1の入射瞳とが略一致した構成となっているため、物体側レンズ群Gr2の射出瞳を通過した軸上光及び軸外光は、全て像側レンズ群Gr1の入射瞳に入射して、物体側レンズ群Gr2から像側レンズ群Gr1へともれなく伝達される。従って、ミラーMで偏向された副走査方向における軸上光及び軸外光は、共に像側レンズ群Gr1によってラインCCD3の撮像面上で結像することになる。
【0034】
上記のように物体側レンズ群Gr2の射出瞳と像側レンズ群Gr1の入射瞳とを略一致させると、物体側レンズ群Gr2と像側レンズ群Gr1とは瞳を共有する一つのレンズ系となる。物体側レンズ群Gr2と像側レンズ群Gr1とは、前述したように回転対称な球面系のみから成っており、それぞれ像面湾曲が良好に補正されている。従って、走査光学系全系についても像面に湾曲が生じない。このように安価で製造容易な回転対称球面系で、物体側レンズ群Gr2と像側レンズ群Gr1を構成することにより、走査装置の低コスト化を達成することができる。さらに、走査光学系の構成が球面系の簡単なものであることから、ミラーMの回動速度の高速化に対応しやすく、その結果、135フィルムの1コマの画像取り込みを0.2〜1秒程度で行うことが可能である。
【0035】
ミラーMは、上記略一致させた瞳の近傍に配置されているので、ミラーサイズは従来のものと比べて小さいにもかかわらず、物体側レンズ群Gr2から像側レンズ群Gr1へと光はもれなく伝達される。このように一致させた瞳の近傍に配置したミラーMで光を偏向させた場合でも、各レンズ群Gr1,Gr2の像面湾曲が良好に補正されているため、ラインCCD3の撮像面上に形成される像面にも湾曲は生じない。従って、被走査面であるフィルム画面1が平坦であっても湾曲のない高速走査が可能である。また、ミラーMは、中央部分のみが反射面となっており、その外周部は遮光面(透過面でもよい。)となっている。従って、ミラーMは、反射面の大きさ及び形状で入射光束を規制する絞りとして機能する。なお、この走査光学系は、ミラーMに平行光が入射する構成となっているが、収束光や発散光が入射するように構成してもよい。
【0036】
ところで、ミラーMによってフィルム画面1の主走査が行われると、物体側レンズ群Gr2中の光路は変化することになる。つまり、主走査方向において、物体側レンズ群Gr2に入射する光が軸外光であっても、像側レンズ群Gr1には軸上光として入射することになる。しかし、物体側レンズ群Gr2及び像側レンズ群Gr1は、ミラーMを絞りとするそれぞれ独立した前絞りレンズとしての結像性能を有しているため、走査光学系全系として充分な結像性能が得られる。
【0037】
《第2の実施の形態》
図6〜図8に示す第2の実施の形態では、像側レンズ群Gr1,物体側レンズ群Gr2は、それぞれ9枚の回転対称な球面レンズから成っており、ミラーMを介して収差補正上有利な略対称型の構成をとっている。また、ラインCCD3側にプリズム2を備えているため、色分解を行う場合に適した構成となっている。
【0038】
物体側レンズ群Gr2の射出瞳と像側レンズ群Gr1の入射瞳とを略一致させた点については、前述した第1の実施の形態と同様であり、その効果も同様である。また、物体側レンズ群Gr2及び像側レンズ群Gr1は、絞りAを前絞りとする、それぞれ独立した前絞りレンズとしての結像性能を有しているため、前記第1の実施の形態と同様、走査光学系全系として充分な結像性能が得られる。
【0039】
第2の実施の形態の特徴は、上記略一致させた瞳の近傍に絞りAを配置し、物体側レンズ群Gr2と絞りAとの間にミラーMを配置した点にある。ミラーMで光を偏向させることによってフィルム画面1の主走査を行う場合、第1の実施の形態のように、ミラーMが光束を規制する絞りとして作用すると、ミラーMと光束とが成す角度の変化に伴って射影が変化する。この射影の変化の影響によって、像側レンズ群Gr1への入射光量が変化する。例えば、ミラー回転角θが大きくなるほどミラーMが受光する光量は多くなり、逆に、ミラー回転角θが小さくなるほどミラーMが受光する光量は少なくなる。従って、ラインCCD3で取り込まれる画像に光量ムラが生じることになる。
【0040】
第2の実施の形態の構成によると、物体側レンズ群Gr2と絞りAとの間に、全面が反射面のミラーMが配置されているので、ミラーMでは光束は規制されず、絞りAによって光束が規制されることになる。その結果、像側レンズ群Gr1への入射光量は一定になり、照度分布(すなわち、ラインCCD3の撮像面上での照度分布)の悪化が防止される。なお、物体側レンズ群Gr2とミラーMとの間に絞りAを配置した場合には、主走査において光束にケラレが生じることになる。
【0041】
像側レンズ群Gr1は、像側に略テレセントリックな光学系となっているため、複板式(例えば、3板式)ラインCCD等のラインセンサーを撮像部として用いる場合に適している。像側レンズ群Gr1が像側にテレセントリックであるほど、多色分解プリズム(例えば、3色分解プリズム)のダイクロイック膜との角度特性のマッチングが良くなるからである。また、物体側レンズ群Gr2への入射光が光軸に対して角度を持っている場合、コサイン4乗則に従って照度分布の悪化が生じるが、物体側レンズ群Gr2は、物体側に略テレセントリックな光学系となっているので、これらの照度分布の悪化を防ぐ上で有利である。なお、像側,物体側レンズ群Gr1,Gr2にテレセントリック系が用いられている点については、前記第1の実施の形態も同様である。
【0042】
《第3の実施の形態》
図9〜図11に示す第3の実施の形態は、その基本的な構成及び効果は前述した第2の実施の形態と同様であるが、第1,第2の実施の形態と比べてより実際的な構成となっている。そのレンズ枚数は少なく、像側レンズ群Gr1が7枚の回転対称な球面レンズから成っており、物体側レンズ群Gr2が6枚の回転対称な球面レンズから成っている。また、ラインCCD3側にプリズム2及びカバーガラスを備えているため、色分解を行う場合により適した構成となっている。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施した走査光学系の構成を、コンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで例として挙げる実施例1〜実施例3は、前述した第1〜第3の実施の形態(図3〜図5,図6〜図8,図9〜図11)にそれぞれ対応する実施例である。そして、各実施例のコンストラクションデータにおいて、Si(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面、ri(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面Siの曲率半径、di(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の軸上面間隔を示しており、Ni(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目のレンズのd線に対する屈折率(Nd)を示している。また、全系の焦点距離fと、ミラー回転角θ=45°(このとき、物高Y=0である。)のときの像側の有効FナンバーEFFNOと、を併せて示す。さらに、表1に、各実施例におけるミラー回転角θ(°)とそのミラー回転角θと対応する物高Y(mm)を示す。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、物体側レンズ群の射出瞳と像側レンズ群の入射瞳とを略一致させた構成となっているので、被走査面が平坦であっても湾曲のない高速走査が可能である。また、安価で製造容易な回転対称球面系のみで物体側レンズ群と像側レンズ群を構成することができるため、低コストで実現することができる。従って、本発明にかかる走査光学系を用いれば、走査装置の低コスト化を効果的に行うことができる。
【0049】
さらに、本発明によれば、ミラーサイズが小型化されるため、走査装置のコンパクト化を効果的に行うことができる。また、本発明によれば、絞りによって照度分布の悪化が防止されるため、光量ムラのない高画質の像を得ることができる。
【0050】
本発明において、物体側,像側レンズ群がそれぞれ独立した前記前絞りレンズとしての結像性能を有する場合には、走査光学系全系としても充分な結像性能が得られるため、より一層高画質の像を得ることができる。また、本発明において、像側レンズ群が像側にテレセントリックであるほど、多色分解等に好適な走査光学系を実現することができ、また、物体側レンズ群が物体側にテレセントリックであるほど、照度分布の悪化がより一層防止されるため、更に光量ムラのない高画質の像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の基本構成を模式的に示す斜視図。
【図2】図1の実施の形態における物体側レンズ群の射影方式と像面との関係を説明するための図。
【図3】第1の実施の形態(実施例1)のミラー回転角θ=45°のときのレンズ構成図。
【図4】第1の実施の形態(実施例1)のミラー回転角θ=48.5°のときのレンズ構成図。
【図5】第1の実施の形態(実施例1)のミラー回転角θ=41.5°のときのレンズ構成図。
【図6】第2の実施の形態(実施例2)のミラー回転角θ=45°のときのレンズ構成図。
【図7】第2の実施の形態(実施例2)のミラー回転角θ=48.5°のときのレンズ構成図。
【図8】第2の実施の形態(実施例2)のミラー回転角θ=41.5°のときのレンズ構成図。
【図9】第3の実施の形態(実施例3)のミラー回転角θ=45°のときのレンズ構成図。
【図10】第3の実施の形態(実施例3)のミラー回転角θ=48.5°のときのレンズ構成図。
【図11】第3の実施の形態(実施例3)のミラー回転角θ=41.5°のときのレンズ構成図。
【符号の説明】
1 …フィルム画面
2 …プリズム
3 …ラインCCD
Gr1 …像側レンズ群
Gr2 …物体側レンズ群
M …ミラー
A …絞り
Claims (4)
- 2次元物体からの光を集光する物体側レンズ群と、前記物体側レンズ群を通過した光を偏向させることによって2次元物体を撮像するための主走査を行うミラーと、前記物体側レンズ群とは独立したレンズ系であって、前記ミラーによって偏向された主走査方向に直交する副走査方向における軸上光及び軸外光を共に撮像面上で結像させる像側レンズ群と、を備えた走査光学系であって、
前記物体側レンズ群と像側レンズ群が共に回転対称なレンズから構成されており、前記物体側レンズ群の射出瞳と前記像側レンズ群の入射瞳を略一致させ、その一致している瞳の近傍に前記ミラーを配置し、前記像側レンズ群と前記ミラーの間で前記ミラーの近傍に絞りを配置したことを特徴とする走査光学系。 - 前記一致している瞳が絞りである場合、前記物体側レンズ群及び像側レンズ群がそれぞれ独立した前絞りレンズとしての結像性能を有することを特徴とする請求項1に記載の走査光学系。
- 前記像側レンズ群は、像側にテレセントリック又は略テレセントリックであることを特徴とする請求項1に記載の走査光学系。
- 前記物体側レンズ群は、像側にテレセントリック又は略テレセントリックであることを特徴とする請求項1に記載の走査光学系。
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