JP3703529B2 - 水溶性防錆剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水系における金属防錆剤に関し、更に詳しくは、鉄系金属に対する防錆性能及び潤滑性に優れた水溶性防錆剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水系の防錆剤としては、スルホンアミド誘導体、イミダゾール誘導体、アルケニルコハク酸誘導体等が知られている。これら防錆剤の中で、アルケニルコハク酸誘導体は、例えば、特開昭50−159432号公報に記載されているように、潤滑油媒質に防錆性を付与する添加剤として使用されている。また、その後、このアルケニルコハク酸誘導体は、水溶性防錆剤としても使用されるようになり、例えば特公昭58−27346号公報には、アルケニルコハク酸と不飽和アルコールとの部分エステル又はそのアルカリ金属塩或いはアミン塩を含有する金属の防食剤が開示されており、特開昭61−56287号公報にも、同様の構成の防錆剤が開示されている。
【0003】
更に、特開平2−8266号公報には、アルケニルコハク酸とモノアルコールとのエステルを構成成分として含む、金属表面に保護塗膜を形成するための保護塗料が開示されている、また、特開平6−17268号公報には、アルケニルコハク酸とアルキルアルコールとのモノエステルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を含有する防食剤が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の各公報に開示された特定のアルケニルコハク酸エステルの塩等を含有する防錆剤などは、いずれも水系における防錆性能が不十分で劣っており、また、特公昭58−27346号公報に記載された防錆剤は高価であり、経済的にも不利である。
【0005】
本発明の水溶性防錆剤は、上記の問題を解決するものであり、特定の炭素数のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸と、飽和多価アルコールとのモノエステルのアルカリ金属塩、アミン塩等を使用することにより、水系における防錆性能等に優れた水溶性防錆剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、水溶性防錆剤の成分として使用するアルケニルコハク酸誘導体の構成と、水系における防錆性能との関係について鋭意研究した結果、アルケニルコハク酸とエステルを構成するアルコールとして、吸着性の良い飽和多価アルコールを用いること、及び長鎖のアルケニル基とすること、によって優れた防錆効果が発揮されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
第1発明の水溶性防錆剤は、アルケニル基の炭素数が12〜20であるアルケニルコハク酸と、飽和多価アルコールとのモノエステルの塩を含有し、上記飽和多価アルコールは、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトールから選ばれる1種であることを特徴とする。
【0008】
上記「アルケニル基」は、ドデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル及びイソオクタデセニル等であり、アルケニル基の炭素数が12未満では、初期の優れた防錆性が比較的短時間で大きく低下するとともに、摩擦係数がやや大きくなる。また、炭素数が20を越える場合も、同様に経時的な防錆性の低下が大きい。この炭素数は16〜20であることが好ましく、この範囲であれば初期の優れた防錆性が長期間維持される。
【0009】
上記「飽和多価アルコール」としては、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトールの使用が、優れた防錆性が長く維持され、また、潤滑性も良好な防錆剤が得られるため好ましい。
【0010】
上記「エステル」と反応して上記「塩」を構成するものとしては、第2発明のように、ナトリウム、カリウム等の「アルカリ金属」、カルシウム等の「アルカリ土類金属」及び「アミン」を使用することができる。また、このアミンとしては、生成する塩が水溶性となるものであればよく、例えば第3発明の、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン及びシクロヘキシルジエタノールアミンが好ましく、これらのアミンを使用すれば、防錆性及び潤滑性に優れた水溶性防錆剤を容易に得ることができる。
【0011】
尚、本発明の水溶性防錆剤は、水溶性切研削油、水溶性塑性加工油等の潤滑油並びに水溶性洗浄剤、浮遊選鉱剤等に用いることができ、そのような場合、通常それら潤滑油等に使用される乳化剤、pH調整剤、消泡剤及び着色剤等を必要に応じて適宜配合して用いることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
下記のアルケニルコハク酸と飽和多価アルコールからなる合成例1〜14のモノエステルを、以下の条件によって合成した。
合成例1;C8 アルケニルコハク酸(三洋化成株式会社製)1モルと、1,4−ブタンジオール2モルを100℃の加温下、攪拌しながら7時間反応させ、モノエステルを合成した。
【0013】
合成例2;C11アルケニルコハク酸1モルと、1,4−ブタンジオール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
合成例3;C12アルケニルコハク酸(三洋化成株式会社製、商品名「DSA」)1モルと、1,4−ブタンジオール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
【0014】
合成例4;C18アルケニルコハク酸〔三菱石油株式会社製、商品名「パベラスNP」(インナー化α−オレフィン使用)〕1モルと、1,4−ブタンジオール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
合成例5;C20アルケニルコハク酸1モルと、1,4−ブタンジオール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
【0015】
合成例6;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、ブテンジオール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
合成例7;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、ブチンジオール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
【0016】
合成例8;C21アルケニルコハク酸1モルと、1,4−ブタンジオール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
合成例9;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、ブタノール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
【0017】
合成例10;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、ヘキサノール1モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
合成例11;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、オクタンジオール1モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
【0018】
合成例12;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、トリメチロールプロパン2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
合成例13;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、グリセリン2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
【0019】
合成例14;C18アルケニルコハク酸(合成例4と同じ商品)1モルと、ペンタエリスリトール2モルを合成例1と同様の条件で反応させ、モノエステルを得た。
尚、合成例10及び11の生成物中のモノエステルの含有量は95〜98重量%程度と高く、また、この合成例10、11以外では、エステルを合成した後、水洗により遊離のアルコールを除去し、生成物中のモノエステル含有量を80〜90重量%とした。この場合、他の20〜10重量%は、ジエステル或いはトリエステル以上のエステルである。更に、上記のC8 は、アルケニルコハク酸のアルケニル基が炭素数8のオクテニル基であることを意味し、他も同様である。これらアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分岐を含む基であってもよい。
【0020】
上記の各モノエステルを使用し、下記の防錆剤A及び防錆剤Bの各水溶性防錆剤を調製し、その防錆性及び潤滑性(摩擦係数を測定)を評価した。
(1) 水溶性防錆剤
▲1▼防錆剤A
合成例1〜14のモノエステルとトリエタノールアミンの等量を混合してアミン塩とし、その後、水道水で1重量%水溶液として水溶性防錆剤を調製した。
▲2▼防錆剤B
合成例1〜14のモノエステルに、それぞれの酸価から算出した等量の水酸化カリウムを添加してカリウム石けんとし、水道水で1重量%水溶液として水溶性防錆剤を調製した。
【0021】
(2) 防錆性及び潤滑性の測定
▲1▼防錆性;鋳鉄切屑浸漬法によって実施した。鋳鉄切屑をシャーレに採り、室温で切屑すべてを浸すのに十分な量の防錆剤A又はBを加え、5分後、防錆剤を除き、放置した時のさび発生を経時的に観察した。評価結果は、◎;さびなし、○;数点さび発生、△;十数点さび発生、×;全面さび発生、を意味する。
▲2▼潤滑性;潤滑性を評価する指標として、振子型油性試験機を用いて摩擦係数を測定した。
防錆剤A及び防錆剤Bの防錆性及び潤滑性の評価結果を、それぞれ表1、表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
表1の結果によれば、アルケニル基の炭素数が8と少ない合成例1のエステルを使用した防錆剤では、24時間経過後には発さびがみられ、また摩擦係数も大きく、防錆性、潤滑性ともに劣っていることが分かる。炭素数11のアルケニルコハク酸を使用した合成例2では、合成例1に比べれば性能が向上しているが、本発明の範囲内の合成例3〜5のエステルを使用した例では、防錆性、潤滑性ともに更に優れていることが分かる。特に、アルケニル基の炭素数が18或いは20である場合は、非常に良好な結果となっている。
【0025】
これに対して、不飽和多価アルコールを使用した合成例6〜7、炭素数21のアルケニルコハク酸を使用した合成例8、及びモノアルコールを使用した合成例9と10では、摩擦係数はそれほど大きくはないが、いずれも24〜48時間経過後には発さびがみられ、防錆性の点で劣っていることが分かる。
【0026】
また、炭素数18のアルケニルコハク酸と、三価以上の飽和多価アルコールを使用した合成例12〜14でも、良好な結果が得られており、長期に渡って優れた防錆性が維持され、摩擦係数も小さく、非常に優れた性能を有する防錆剤であることが分かる。
尚、表2の防錆剤Bの場合は、防錆剤Aにくらべて全般に防錆性、潤滑性ともに低いが、本発明の水溶性防錆剤の性能が相対的に優れている点では防錆剤Aの場合とまったく同様である。
【0027】
【発明の効果】
第1発明の水溶性防錆剤は、防錆性に優れ、調製が容易であるとともに、安価でもある。また、第2発明の特定の飽和二価アルコール等を使用したモノエステル、及び第3、第4発明に特定したアミン等からなる塩とすることにより、より安定した性能の水溶性防錆剤を得ることができる。
Claims (3)
- アルケニル基の炭素数が12〜20であるアルケニルコハク酸と、飽和多価アルコールとのモノエステルの塩を含有し、上記飽和多価アルコールは、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン及びペンタエリスリトールから選ばれる1種であることを特徴とする水溶性防錆剤。
- 上記モノエステルの塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアミン塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の水溶性防錆剤。
- 上記アミン塩を構成するアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン及びシクロヘキシルジエタノールアミンから選ばれる1種である請求項1又は請求項2に記載の水溶性防錆剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18089595A JP3703529B2 (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 水溶性防錆剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP18089595A JP3703529B2 (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 水溶性防錆剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH093667A JPH093667A (ja) | 1997-01-07 |
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Family
ID=16091206
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18089595A Expired - Lifetime JP3703529B2 (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 水溶性防錆剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3703529B2 (ja) |
-
1995
- 1995-06-23 JP JP18089595A patent/JP3703529B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH093667A (ja) | 1997-01-07 |
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