JP3701690B2 - 3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の製造方法 - Google Patents
3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は感圧複写紙または感熱紙用の顕色剤として有用な3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、サリチル酸系化合物は、感圧紙および感熱紙用顕色剤として使用すると、発色像の鮮明さおよび保存安定性等が優れている。反面、感圧紙においては無色の色素を溶解させたカプセルオイルとの相溶性不足に基づく発色速度の遅れや、発色画像が水で消失する等耐水性の不良があり、これら欠点を補うため、種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、サリチル酸骨格に芳香族置換基を導入することが試みられ、次のような芳香族置換サリチル酸製造方法等が提案されている。
【0004】
(1)3,5−ジ置換サリチル酸の製造方法として対応する各置換フェノールと二酸化炭素からコルベーシュミット反応により製造する方法が知られている。例えば、特公昭49−10856号公報に開示されている3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸はフェノールとα−メチルスチレンから得られる2,4−ジ(α,α−ジメチルベンジル)フェノールを原料として製造されている。しかし、この方法は反応工程が長く、収率が低いという欠点のほかに、カルボキリル基を導入する際反応を高温高圧下で行うため、一般に特殊な高圧装置等を必要とし、高価となるという難点がある。
【0005】
このような製造コスト上の問題点を克服する目的で、類似構造のサリチル酸化合物を製造する試みがなされている。例えば、サリチル酸あるいはサリチル酸エステルを原料とし、該化合物のアルキル化反応を試みる方法がある。
【0006】
(2)サリチル酸1モルに1ーフェニルエタノール類を2モル反応させて5−〔α−メチルー4ー(α−メチルベンジル)ベンジル〕サリチル酸または3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸との混合物を得る方法(特開昭61−100493号公報、62−96449号公報)が知られている。この方法では置換サリチル酸は種々の混合物として製造され、煩雑な操作によりモノ置換サリチル酸あるいはジ置換サリチル酸との混合物の金属塩として分離するという製造上の問題があり、さらにこの混合物を感圧複写紙用顕色剤として使用した場合顕色シートにおける発色性能や保存安定性などの品質にも再現性が得られにくいという問題がある。
【0007】
(3)脂肪族カルボン酸の存在下に、有機スルホン酸または無機酸を触媒として用いてサリチル酸にスチレン化合物を反応させジ置換サリチル酸を得る方法が提案されている(特開平2−91043号公報)。この場合酢酸、プロピオン酸等の脂肪族カルボン酸と硫酸、メタンスルホン酸とを併用して比較的高温の90〜130℃で反応を行い、かつ、酸の使用量がサリチル酸に対して50重量%以上で実施されるため、この多量の廃酸の処理も問題であり工業的に有利な方法ではない。また、この方法では反応生成物はたとえば3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸と3−α−メチルベンジル−5−(1,3−ジフェニルブチル)サリチル酸および3−(1,3−ジフェニルブチル)−5−α−メチルベンジルサリチル酸の混合物である。このような反応生成物を感圧紙用顕色剤として使用した場合、上述の(2)の場合と同様の問題点がある。
【0008】
(4)脂肪族スルホン酸の存在下で、サリチル酸に例えばスチレン、P−メチルスチレン等のビニル基含有環式化合物を反応させて環置換サリチル酸を得る方法が提案されている(特開平3−222793号公報、特開平4−129789号公報)。この場合脂肪族スルホン酸を触媒量(サリチル酸1モルに対し、0.01〜0.1モル)使用し、反応温度を100〜160℃と比較的高い温度でスチレンと反応させているためスチレンの各種重合物やその他の副生物が生成し、この反応条件では副反応を抑制することはできない。本発明者等が、特開平3−222793号公報中の実施例1および特開平4−129789号公報の実施例1を追試した後述の比較例において、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の選択率は46%〜49%と低いものであった。これは、モノ置換体やトリ置換体の生成に加えスチレンの重合物、さらにはダイマー、付加物が多量に生成するためである。
【0009】
(5)サリチル酸アルキルエステルのアルキル化反応については、例えばサリチル酸メチルに、アルカンスルホン酸の存在下にスチレンを反応させ、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸メチルを得る方法が知られている(特公昭61−26772号公報)。この方法ではスチレンを使用するために、スチレンの各種重合物やその他の副生物が多量に生成する。この方法は本発明者らが特開平1−133780号公報にて開示したサリチル酸エステル樹脂を製造する方法と類似しており、触媒、サリチル酸エステルとスチレンのモル比、反応温度など変えても樹脂化し副反応を抑制することはできない。本発明者らが、特公昭61−26772号公報の実施例4を追試した後述の比較例において、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸メチルの選択率は43%と低いものであった。この原因は、モノ置換体やトリ置換体の生成に加えスチレンの重合物、さらにはダイマー、付加物などが多量に生成するためであり、触媒のアルカンスルホン酸の使用量も多く工業的に有利な方法とはいえない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の新規な製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、サリチル酸とα−メチルベンジルハライド類とを有機溶剤中、脂肪族スルホン酸の存在下で反応させて、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸を得る方法を見出した。さらに、サリチル酸とα−メチルベンジルハライド類とを有機溶剤中アルカンスルホン酸の存在下で反応させ、得られる3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸を60〜90重量%含む、α−メチルベンジル基置換サリチル酸誘導体組成物の多価金属化物が、顕色剤として顕色シートに用いられるとその発色像の耐水性および低温性が改良されることを見出した。また反応に使用された脂肪族スルホン酸は、反応終了後分離回収が容易で、しかも分離回収された脂肪族スルホン酸は再利用可能であることも見出した。
【0012】
すなわち、本発明は
(1)サリチル酸と一般式(I)
【0013】
【化3】
(式中、R1およびR2は水素原子を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表されるα−メチルベンジルハライド類を有機溶剤中、脂肪族スルホン酸の存在下で反応させることを特徴とする3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の製造方法に関するものである。
【0014】
この発明で使用する原料は、サリチル酸とα−メチルベンジルハライド類であり、α−メチルベンジルハライド類のハロゲンの種類としては、塩素、臭素が挙げられるが、好ましくは塩素である。好ましいα−メチルベンジルハライド類としてはα−メチルベンジルクロライドが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0015】
この発明の製造方法における各種α−メチルベンジルハライド類の使用量は、サリチル酸1モルに対して1.5〜3モルが好ましい。1.5モル未満あるいは3モルを越えて使用した場合目的とする3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の生成率が低くなり好ましくない。
【0016】
この反応で使用する脂肪族スルホン酸類としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのうち特に好ましいのはメタンスルホン酸である。
【0017】
脂肪族スルホン酸の使用量はサリチル酸に対して1倍重量以上あればよく、経済的、工業的に好ましくは1〜2倍重量の範囲である。
【0018】
反応温度は0〜180℃の範囲で、好ましくは20〜30℃の範囲である。
【0019】
反応時間は、反応温度により異なるが、通常1〜120時間である。
【0020】
使用する有機溶剤としては反応に不活性なもの、例えば,1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン,o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、o−クロロトルエン、m−クロロトルエン、p−クロロトルエン等が挙げられる。これらの溶剤の使用量は原料に対して経済性を考慮すれば30(容量/重量)倍以下が好ましい。
【0021】
この発明でサリチル酸とα−メチルベンジルハライド類とを反応させる一般的な方法はサリチル酸と脂肪族スルホン酸および有機溶剤を所定量仕込み、前記一般式(I)に示すα−メチルベンジルハライド類を滴下しながら反応させる。
【0022】
この反応の終点は高速液体クロマトグラフィーにより原料であるサリチル酸とα−メチルベンジルハライド類の減少を見ながら決定することができる。
【0023】
このようにして得られる反応生成物の組成は、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸が60〜90重量%、3または5−(α−メチルベンジル)サリチル酸(モノ置換サリチル酸誘導体と略記する)が0〜40重量%3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸に更にα−メチルベンジル基が反応したサリチル酸化合物(トリ置換サリチル酸誘導体と略記する)が0〜40重量%でこれらが全体で95重量%以上を構成し、残余は芳香族サリチル酸樹脂、α−メチルベンジルハライド類のオリゴマーである。3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸を主成分とし、モノおよび/またはトリ置換サリチル酸誘導体が含まれることもある前記物質を、α−メチルベンジル置換サリチル酸誘導体組成物という。
【0024】
高純度(99%以上)の3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸は、前記反応生成物を再結晶(例えば、トルエン:n−ヘキサン、1:1v/vの混合溶媒による再結晶)を行ったり、カラムクロマトグラフィー等により精製することにより得られる。
【0025】
このような本発明の製造方法は、従来から知られている3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸または該化合物を含有する組成物を製造する方法に比べ、高い反応選択性を持ち、工業的に極めて有利な製造方法である。
【0026】
本発明者らはサリチル酸エステル類とα−メチルベンジルハライド類から3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸を製造する方法を見出し先に特許出願(特願平3ー178311号)しているが、この場合、生成する3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸エステル類を加水分解しなければならず、製造上効率的とも言えない。また原料としてサリチル酸エステル類を使用するるため本発明のサリチル酸を使用する方法に比べやや高価になる傾向があった。
【0027】
本発明の製造方法の大きな特徴は、本来電子吸引性基であるカルボキシル基を有する芳香族化合物であるため求電子的反応に対しては反応性が低いとされていたサリチル酸を原料として、温和な条件により目的とする3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸を製造する方法を見出した点にある。さらに、反応に使用した脂肪族スルホン酸は反応終了後容易に分離回収ができ、その上再利用が可能であり、廃酸処理の問題もなく、工業的、経済的に極めて有利な製造方法である点も特徴である。
【0028】
次に、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびこれを含有する組成物(両者を総称して以下サリチル酸化合物とする)の多価金属化物の製法について述べる。
【0029】
多価金属化物はサリチル酸化合物のアルカリ金属塩と水溶性多価金属塩とを、水または双方可溶な溶剤中で反応させて製造する。
【0030】
すなわち、サリチル酸化合物中のカルボキシル基に対して当量以上のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩またはアルコキシドを含有するその水溶液、アルコール溶液あるいは水−アルコール溶液中にサリチル酸化合物を分散させて、0〜100℃の温度条件下に溶解させ、この溶解液に水溶性多価金属塩をそのまま、または水溶液、アルコール溶液もしくは水−アルコール溶液として0〜100℃において添加反応せしめることにより固体としてサリチル酸化合物の多価金属塩を得る。サリチル酸化合物のカルボキシル基に対して約0.5〜1当量の水溶性多価金属塩を反応させることが望ましい。
【0031】
多価金属化物の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類を除く金属を包含するが、好ましい多価金属としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、亜鉛、スズ、バリウム、コバルトおよびニッケル等が挙げられる。これらのうち、亜鉛は特に好ましい。
【0032】
以上説明した方法により得られるサリチル酸化合物の多価金属化物は、顕色剤として優れた特性を有するものである。該多価金属化物を顕色剤として用いるには、例えば、サンドグラインデイングミルのような装置を用い、粉砕し、適当な粒度にして用いるとよい。実際に使用するには、さらに該顕色剤を溶剤に懸濁させるか、溶解させて所望の形態にして用いればよく、公知の各種顕色剤との併用、すなわち活性白土のような無機固体酸、フェノールーホルムアルデヒド樹脂のような有機重合体または他の芳香族カルボン酸金属塩等との併用も可能であり、さらに亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、鉛、チタン、カルシウム、コバルト、ニッケル、マンガンおよびバリウムからなる群から選ばれた多価金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩の少なくとも1種とを併用してもよい。
【0033】
上記顕色剤により感圧複写紙用顕色シートを調製する方法としては、(1)該金属化物の水性懸濁液を用いて水性塗料を調製し、紙等の支持体に塗布する方法、(2)抄紙時に該金属化物を漉き込む方法、(3)該金属化物を有機溶剤に溶解または懸濁したものを用いて塗料を調製し、支持体に塗布する方法等のいずれも使用できる。
【0034】
塗工により紙等の支持体に顕色剤層を形成するには、顕色剤は適当な粘度、塗工適性を有していることが望ましく、前記のように水性懸濁液としたり、溶剤に溶解または懸濁させた後、さらにカオリン粘土類、炭酸カルシウム、澱粉、合成または天然ラテックス等を配合して適当な粘度、塗工適性に調整し塗料として用いる。該塗料において顕色剤成分が占める割合は全固形分中の10〜70%が望ましく、顕色剤の成分の割合が10%未満では十分な発色性を発揮し得ず、また70%を超えると顕色シートの紙面特性が低下する。塗料の塗布量は乾燥重量で0.5g/m2 以上、好ましくは1〜10g/m2 である。
【0035】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
まず、各実施例および比較例で得られた生成物を顕色剤として用いた感圧複写紙用顕色シートの作製およびその顕色シートの性能測定法を以下に述べる。性能測定結果は一括して表2に示した。
【0037】
1、顕色シートの作製
後述する参考例1〜4で得られたサリチル酸化合物の多価金属化物を顕色剤として用い、下記組成にてサンドグラインデイングミルで分散させて懸濁液を調製した。
顕色剤 6重量部
ポリビニルアルコール(クラレ#117)10%水溶液 3重量部
水 22.5重量部
次に該懸濁液を用いて下記組成の塗料を調製した。
懸濁液 10重量部
軽質炭酸カルシウム 10重量部
澱粉 0.8重量部
合成ゴムラテックス 0.8重量部
水 32.5重量部
これらの塗料を上質紙に乾燥時塗布量が5.0〜5.5g/m2 となるように塗布乾燥し、顕色シートを得た。
【0038】
2、発色速度および発色濃度の測定(5℃、60%RHおよび20℃、65%RHの恒温恒湿室内で実施)
クリスタルバイオレットラクトン(CVL)を主な感圧色素とする市販の青発色上用紙(十条製紙NWー40T)を用い、水性塗料を塗布した顕色シート(下用紙)との両塗布面を対向させて重ね合わせ、電子タイプライタ−で打圧発色させる。
【0039】
打刻1分30秒後、および24時間後の2点についてΣ−80色差計を用いて測定しY値で表示する(Y値が低いほど発色濃度が高い)。
【0040】
3、発色像の耐光堅牢度
2の方法で発色させた顕色シートをカーボンアークフェドメーター(スガイ試験機製)に、2時間(および4時間)暴露し照射後の反射率をΣー80色差計を用いて測定しY値で表示した。
【0041】
Y値が低く、かつ試験前値との差が小さいほど光による褪色が少なく好ましい。
【0042】
4、発色像の耐水性
2の方法で発色させた顕色シートを水中に2時間浸漬し、発色像の濃度変化を肉眼で観察した。
【0043】
5、顕色シートの黄変性
(5−1)NOX による黄変
JIS L−1055〔染色物および染料の酸化窒素ガス堅牢度試験法〕に基づき、顕色シートをNa NO2(亜硝酸ナトリウム)とH3 PO4(リン酸)との反応により発生するNOX ガス雰囲気の密閉容器中に1時間保存して、黄変の程度を調べる。
【0044】
保存終了後、1時間目にΣ−80色差計を用いWB値で表示する。WB値が大きく、かつNOX ガスに曝されていないシート(表2には未試験シートと表示)のWB値との差が小さいほどNOX ガス雰囲気下での黄変性が少ないことを意味する。
【0045】
(5−2)光による黄変
顕色シートをカーボンアークフェドメーター(スガイ試験機製)に、4時間照射し、反射後Σー80色差計を用いWB値で表示する。WB値が大きく、かつ、未照射シート(表2には未試験シートと表示)のWB値との差が小さいほど光照射による黄変性が少ないことを意味する。
【0046】
実施例1
サリチル酸138g(1.0モル)とメタンスルホン酸276g,P−クロロトルエン276gをフラスコに仕込み、1−クロロエチルベンゼン281g(2.0モル)を1時間かけて滴下する。滴下終了後 4時間反応した。反応終了後直ちに撹拌を止め30分静置すると有機層(上層)と酸層(下層)が分離する。その後下層の酸層を268g分離回収(回収率97%)した。次いで上層の有機層に水138gを加え0.5時間撹拌を行い、液が有機層と水層(上層)の2層に分離するまで静置して、有機層を取り出し溶媒を留去した。残留物のHLCによる測定結果は サリチル酸1%、モノ置換サリチル酸 5%、ジ置換サリチル酸82%、トリ置換サリチル酸10%、他1%であった。その後、トルエン:n−ヘキサンが3:7(v/v)の混合溶媒を340g装入し撹拌しながら熟成すると結晶が析出する。その結晶を濾過、洗浄しさらにトルエンにより再結晶を行いHLC純度98%の3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸120gを得た。融点147〜150℃
【0047】
【表1】
1H−NMR(DMSO−d6)
1.6(m,6H),4.1(m,1H),4.6(m,1H),7.1〜7.3(m,1H),7.65(m,1H),9.4(br,1H),10.5(s,1H)
MS:m/z=346(M)
なお、HLCよる測定結果を図1に示した。図中9.44が3.5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸である。
測定条件は次の通りである。
機種 : LIQUID CHOROMATOGRAPH LC−3A(島津)
カラム : YMC−Pack AM−312
移動層 : アセトニトリル/MeOH/水/トリフロロ酢酸=725ml/100ml/175ml/0.5g
流速 : 1ml/min.
検出器 : SPD−2A(UV−254nm)
波形処理 : 機種 島津クロマトパック C−R3A
参考例1
サリチル酸138g(1.0モル)とメタンスルホン酸276g,P−クロロベンゼン276gをフラスコに仕込み、1−クロロエチルベンゼン281g(2.0モル)を2時間かけて滴下する。滴下終了後8時間反応した。反応終了後直ちに撹拌を止め30分静置すると有機層(上層)と酸層(下層)が分離する。その後下層の酸層を分離回収(回収率97%)した。次いで上層の有機層に水138gを加え0.5時間撹拌を行い、液が有機層と水層(上層)の2層に分離するまで静置して、有機層を取り出し溶媒を留去した。残留物のHLCによる測定結果はサリチル酸1%、モノ置換サリチル酸5%、ジ置換サリチル酸82%、トリ置換サリチル酸10%、他1%であった。その後、15%苛性ソーダ270gを装入し溶解させた後30℃で43%硫酸亜鉛水溶液340gを1時間かけて滴下し、1時間熟成し、濾過、水洗、乾燥してα−メチルベンジル置換サリチル酸の亜鉛塩350gを得た。
【0048】
参考例2
サリチル酸138g(1.0モル)と実施例1で分離回収したメタンスルホン酸260g,およびクロロベンゼン276gをフラスコに仕込み、1−クロロエチルベンゼン281g(2.0モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後8時間反応させた後、撹拌を止め静置すると有機層(上層)と酸層(下層)が分離する。その後下層の酸層を分離回収し、次いで上層の有機層に水138gを加え0.5時間撹拌を行い液が有機層と水層(上層)の2層に分離するまで静置して、有機層を取り出し溶媒を留去した。残留物のHLCによる測定結果は実施例1と同様な組成であった。その後15%苛性ソーダ270gを装入し溶解させた後、30℃で43%硫酸亜鉛水溶液340gを1時間かけて滴下し、1時間熟成し、濾過、水洗、乾燥してα−メチルベンジル置換サリチル酸の亜鉛塩350gを得た。
【0049】
参考例3
サリチル酸69g(0.5モル)と参考例1で分離回収したメタンスルホン酸250g,P−クロロトルエン138gをフラスコに仕込み、1−クロロエチルベンゼン140.6g(1.0モル)を2時間かけて滴下する。滴下終了後3時間反応させた後、静置すると有機層と酸層に分離する。その後酸層を分離回収し直ちに溶剤を留去した。残留物のHLCによる測定結果は、モノ置換サリチル酸4.5%、ジ置換サリチル酸83%、トリ置換サリチル酸9.3%、他3.2%であった。残留物に、15%苛性ソーダ150gを加え溶解させた後30℃で20%硫酸亜鉛水溶液405gを1時間かけて滴下し、2時間熟成したのち、濾過、水洗、乾燥してα−メチルベンジル置換サリチル酸の亜鉛塩175gを得た。
【0050】
参考例4
サリチル酸13.8g(0.1モル)とメタンスルホン酸27.6g,クロロベンゼン27.6gをフラスコに仕込み、P−メチル−α−メチルベジルクロライド31.0g(0.2モル)を2時間かけて滴下する。滴下終了後20時間反応した。反応終了後直ちに撹拌を止め30分静置すると有機層(上層)と酸層(下層)が分離する。その後下層の酸層を分離回収(回収率98%)した。次いで上層の有機層に水27.6gを加え0.5時間撹拌を行い、液が有機層と水層(上層)の2層に分離するまで静置して、有機層を取り出し溶媒を留去した。残留物のHLCによる測定結果は、サリチル酸1%、モノ置換サリチル酸5%、ジ置換サリチル酸86%、トリ置換サリチル酸7%、他1%であった。残留物に、15%苛性ソーダ27.0gを加え溶解させた後30℃で43%硫酸亜鉛水溶液34.0gを1時間かけて滴下し、1時間熟成し、濾過、水洗、乾燥してα−メチルベンジル置換サリチル酸の亜鉛塩37.0gを得た。
【0051】
比較例1
76.1g(0.5モル)のサリチル酸メチルおよび10gのメタンスルホン酸をフラスコに仕込み、60〜65℃の温度を保ちながらスチレン140g(1.35モル)を14時間かけて滴下する。滴下終了後、30分間同温度にて熟成し得られた反応液に40%苛性ソーダ水溶液63.6g(NaOH 0.63モル)を加え95〜105℃の温度で3時間反応させ加水分解を終えた。その後硫酸で中和し3,5−ジ(αメチルベンジル)サリチル酸を含有する油状生成物を得た。HLCによる分析結果は3,5−ジ(αメチルベンジル)サリチル酸の含有率は43.3%であった。これを図2に示した。なお、図中、RT9.44が3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、5.19が5−(α−メチルベンジル)サリチル酸である。
【0052】
参考例1と同様にして油状生成物の亜鉛化を試みたが、ガム状になり、満足な亜塩化物は得られなかった。
【0053】
比較例2
サリチル酸50gとメタンスルホン酸10gのスラリーを撹拌しながら130℃まで加熱した。スチレン75gを滴下しさらにサリチル酸149gを加え、150℃に加熱した後1時間かけてスチレン225gを滴下し、滴下終了後150〜160℃に1時間保持した。しかるのち90℃まで冷却して反応を終了した。
【0054】
HLCによる分析の結果は3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の含有率は48.6%であった。これを図3に示した。なお、図中、RT9.44が3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、5.19が5−(α−メチルベンジル)サリチル酸である。
【0055】
反応終了後2規定の水酸化ナトリウム水溶液750mlを装入し、均一水溶液とした。その後あらかじめ塩化亜鉛124gを分散して調製した温度10〜15℃の水溶液5lに少しずつ滴下した。析出した結晶を濾過、水洗、乾燥して亜鉛塩を得た。
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
本発明の製造方法では3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸が、安価な原料と簡単な操作で得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって単離した3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸のHLCによる分析結果の一例を示す。
【図2】従来の方法で得られた3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸含有油状物のHLCによる分析結果の一例を示す。
【図3】従来の他の方法で得られた3.5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸含有油状物のHLCによる分析結果の一例を示す。
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1992
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