本発明の実施の形態について図1から図34に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態では無線通信の構成で説明するが、本発明は、ネットワークの中に有線接続で通信を行う通信装置、通信システム、基地局、端末局を含んでいてもよい。
〔実施の形態1〕
図3、図4は、本実施の形態に係る無線通信システム1の概略を示す模式図である。図3、図4に示すように、無線通信システム1は、基地局10が1あるいはそれ以上の端末局30(30A・30B・30C…)と無線通信を行うシステムである。基地局10は、外部ネットワーク2と端末局30との間の通信を中継する。すなわち、無線通信システム1は、基地局10と端末局30とで構成され、基地局10から定期的に送信されるビーコン信号(定期的な信号)に基づいて基地局10から端末局30を特定して、特定された端末局30に送信すべきデータの有無と次のビーコン信号の送信周期とをビーコン信号によって通知する。
図1、図2、は、無線通信システム1の詳細な構成を示す機能ブロック図である。なお、図1は、端末局30で実行されるアプリケーションが1つである場合を示している。図2は、端末局30で実行されるアプリケーションが複数である場合を示している。
基地局10は、外部インタフェース部11、基地側無線通信部12、アンテナ19を少なくとも備えて構成されている。外部インタフェース部11は、有線LANやモデムにより専用回線や電話回線などから外部ネットワーク2に接続し、インターネットなどのネットワーク上のサーバとの間でデータ転送を行う。アンテナ19は、端末局30とやりとりする無線信号の発信および受信を行う。
基地側無線通信部12は、制御部13、送信部17、受信部18を備えている。送信部17は、通信制御部15の制御により端末局30にアンテナ19を介して信号を送信する。受信部18は、通信制御部15の制御により端末局30からアンテナ19を介して信号を受信する。
制御部13は、記憶部(バッファ)14、通信制御部(送信周期設定手段)15、タイマ部16から構成されている。記憶部14は、外部ネットワーク2から受信したデータを一時的にバッファリングする。タイマ部16は、ビーコン信号を端末局30に送信するタイミングをとる。
通信制御部15は、無線通信するための制御を行う。特に、通信制御部15は、端末局30からのビーコン周期変更要求に応じて、ビーコン信号を発信する周期を変更する。すなわち、通信制御部15は、端末局30より受信した設定要求に基づいてビーコン信号の送信周期を設定する。また、通信制御部15は、端末局30が複数の場合(図4)、ビーコン信号の送信周期を最も短い周期が必要な端末局30に合わせて決定する。また、空きバッファサイズの要求を端末局30から受けたとき、記憶部14の空きバッファサイズを取得して、端末局30に送信する。この空きバッファサイズは、ビーコン信号に含めて送信されてもよいし、通知のための信号によって別途送信されてもよい。
端末局30は、入力部31、出力部32、アプリケーション部33、端末側無線通信部(送信周期設定要求手段)36、電源部43、アンテナ44を少なくとも備えて構成されている。
入力部31および出力部32は、端末局30のユーザが端末局30を操作するためユーザインタフェースである。具体的には、入力部31は、ボタン、キー、マウス、タブレットなどの入力デバイスである。出力部32は、ディスプレイやスピーカなどの出力デバイスである。端末局30のユーザは、入力部31および出力部32を用いて、アプリケーション部33で動作するアプリケーションを利用することができる。
アンテナ44は、基地局10とやりとりする無線信号の発信および受信を行う。
電源部43は、端末側無線通信部36の通信回路40へ電力を供給する電源である。
アプリケーション部33は、アプリケーション実行部(アプリケーション実行手段)34、通信インタフェース部(通信インタフェース手段)35から構成されている。
アプリケーション実行部34は、基地局10を介して外部と通信を行うアプリケーションを実行する。すなわち、アプリケーション実行部34は、メール、ストリーミング、IP電話等のアプリケーションを実行する。なお、アプリケーション実行部34で実行するアプリケーションは、端末局30の使用に応じて適宜選択可能である。
通信インタフェース部35は、ユーザが入力部31を操作してアプリケーション実行部34においてアプリケーションを実行し、実行中のアプリケーションの状況によって端末側無線通信部36に制御の指示を出す。すなわち、通信インタフェース部35は、アプリケーション実行部34にて実行されているアプリケーションの種類および/または通信特性に応じたビーコン信号の送信周期を端末側無線通信部36に通知する。
ここで、本明細書において、「通信特性」とは、(a)アプリケーションの通信パターン、(b)アプリケーションの状態、(c)端末局となる機器の種類、(d)(a)〜(c)の組合せ、などに応じて決まるものである。そして、この「通信特性」と「アプリケーションの種類」を、ビーコン周期を決定するための情報(ビーコン周期決定情報(送信周期決定情報))として利用する。
例えば、アプリケーションの種類がメールであれば、ユーザが設定した自動メール受信チェック間隔が通信特性を決める要素となる。また、アプリケーションの種類がストリーミングであれば、ストリーミング再生のデータレートと基地局10のバッファサイズが通信特性を決める要素となる。また、アプリケーションの種類がIP電話であれば、待受け状態においては受信チェック間隔が、通話状態においてはパケット送出間隔が通信特性を決める要素となる。
例えば、通信インタフェース部35は、アプリケーション実行部34にて実行されているアプリケーションの状態を取得し、該状態に応じてビーコン信号の送信周期を決定する。また、通信インタフェース部35は、基地局10の持つバッファのサイズに基づいて、ビーコン信号の送信周期を決定する。また、通信インタフェース部35は、1つの端末局30で複数のアプリケーションを実行する場合、ビーコン信号の送信周期を最も短い周期が必要なアプリケーションに合わせて決定する。
そのために、通信インタフェース部35は、自動メール受信チェック間隔や再生のデータレートなどの条件を、アプリケーションごとに対応付けたテーブル(図示せず)を保持していてもよい。なお、このテーブルへの記録は、アプリケーションの端末局30へインストール時や実行を終了する時に行うことができる。
なお、図2に示すように、アプリケーション部33では、複数のアプリケーション(アプリケーション実行部34A・34B・34C…)を動作させることができる。このとき、通信インタフェース部35は、アプリケーション実行部34ごとに設けてもよいし、図2のように、複数のアプリケーション実行部34…がひとつの通信インタフェース部35を共用してもよい。
端末側無線通信部36は、送信制御部37、タイマ部38、受信制御部39、送信部41、受信部42から構成されている。特に、端末側無線通信部36は、通信インタフェース部35より通知されたビーコン信号の送信周期の設定要求を基地局10に対して送信する。
送信制御部37は、通信インタフェース部35からの指示に従って送信部41を制御して、基地局10にアンテナ44を介して信号を送信する。
受信制御部39は、通信インタフェース部35からの指示に従って受信部42を制御し、基地局10からアンテナ44を介して信号を受信する。
タイマ部38は、基地局10から送られてくるビーコン信号を受信するタイミングをとる。
送信部41および受信部42から通信回路40が構成されている。電源部43からの通信回路40へ電力供給は、受信制御部39によって制御される。すなわち、受信制御部39は、電源部43から通信回路40への電力供給をビーコン信号の受信時のみONして、それ以外の期間はOFFする。
以下、本実施の形態に係る無線通信システム1におけるビーコン周期の制御について、(1)〜(3)の場合を例として説明する。
(1)1つの基地局10を1つの端末局30で利用し、端末局30で1つのアプリケーションを実行する場合、端末局30が実行するアプリケーションに最適なビーコン周期に設定する。また、実行中のアプリケーションの通信パターンや状態に応じて最適なビーコン周期に設定する。
図5は、アプリケーションが1つの場合のアプリケーション部33の動作を示すフローチャートである。図6は、アプリケーションが1つの場合の端末側無線通信部36の動作を示すフローチャートである。図7は、アプリケーションが1つの場合の基地局10の動作を示すフローチャートである。なお、図5,図6,図7は、アプリケーションがメール、ストリーミング、IP電話の場合を1つにまとめたものである。
〔メール〕
第1に、アプリケーション実行部34がメールのアプリケーションを実行する場合の制御について説明する。なお、最初、ビーコン周期はデフォルト値(T0=100msec)に設定されているものとする。
図8は、アプリケーションがメールの場合のビーコン周期を変更する動作を示すシーケンス図であり、図9は、それにメールデータを受信する動作を追加したシーケンス図である。
アプリケーションがメールの場合、端末局30は、アプリケーションで設定されている自動メール受信チェック間隔に一致したビーコン周期への変更を基地局10に要求する。これにより、端末局30は、メールの受信チェックに必要最小限の周期で間欠受信が可能となる。したがって、端末局30は、自己のビーコンの受信周期を最適化することにより、ビーコン信号を受信するタイミングまで電源部43からの通信回路40への電力供給をOFFにして、消費電力を抑えることができる。
具体的には、まず、アプリケーション実行部34がメールのアプリケーションを起動すると(S11)、通信インタフェース部35が、端末側無線通信部36へメールアプリ起動を通知し、メールのアプリケーションに対して設定されている自動メール受信チェック間隔(例:60sec)に基地局10のビーコン周期を設定するように要求する(S13,S23)。
なお、ビーコン周期は、通信インタフェース部35にアプリケーションごとにあらかじめ設定されていてもよいし、設定の必要が生じるたびにアプリケーション実行部34から通信インタフェース部35に通知してもよい。
端末側無線通信部36では、アプリケーション部33からメールアプリ起動通知をビーコン周期の指定とともに受信すると(S32)、ビーコン信号に要求されたビーコン周期を含めて基地局10へビーコン周期変更要求を送信する。
基地局10では、端末局30からビーコン周期の変更要求を受信すると(S68)、通信制御部15が指定されたビーコン周期に変更する(S69)。なお、基地局10は、変更前のビーコン送信時刻に、端末局30宛のビーコン信号に次のビーコン周期を載せて端末局30に送信する。
一方、端末局30では、ビーコン受信時刻(変更前)になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信(S33〜S35)した後、通信回路40の電源をOFFする(S43)。このとき、受信制御部39は、ビーコン信号に含まれるビーコン周期の設定が、要求したものであることを確認し、ビーコン信号の受信周期に設定する(S44)。すなわち、次回からビーコン受信周期は60secとなる。また、ビーコン信号に自局宛のデータが有ることを示す情報が載っていると、データを受信してアプリケーション部33に渡す(S40〜S42)。
その後、アプリケーション部33では、端末側無線通信部36からデータを受けると(S15)、アプリケーション実行部34が出力部32にデータを出力させる(S16)。ユーザがメールを終了すると(S24)、通信インタフェース部35はアプリケーション終了通知を端末側無線通信部36に送り、基地局10へビーコン周期を元(メールを起動する前)に戻すように要求させる(S25,S47,S50)。
なお、アプリケーションがメールの場合、ユーザが自動メール受信チェック間隔の時間設定を変更すると、ビーコン周期を変える状況が発生する。
また、図9は、データ通信のための信号がビーコン周期を変更するシーケンスにおいて、どのタイミングで送られるかを追加したものである。すなわち、図9に示すように、基地局10にメールデータがある場合(「メールサーバから新着メール有の通知」の場合)、メールデータは、ビーコン信号に続くデータ通信のための信号で送られる。このように、ビーコン信号により、基地局10から端末局30へ送信すべきメールデータの有無を知らせることができる。
また、図9に電源ON区間(斜線部)として示すように、端末局30は、ビーコン周期の変更要求を送信した後、通信回路40の電源をOFFする。そして、変更前のビーコン受信時刻になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信し、メールサーバへ新着メールを問い合わせて、新着メールがあればそのメールデータを受信した後、通信回路40の電源をOFFする。その後は、変更後のビーコン受信時刻になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信し、メールサーバへ新着メールを問い合わせて、新着メールがあればそのメールデータを受信した後、通信回路40の電源をOFFする動作を繰り返す。このように、端末局30は、基地局10から送信される信号を受信し終えると、次のビーコン信号を受信するタイミングになるまで通信回路40の電力供給をOFFする。すなわち、端末局30は、信号を受信していないときは通信回路40の電源をOFFする。
〔ストリーミング〕
第2に、アプリケーション実行部34がストリーミングのアプリケーションを実行する場合の制御について説明する。なお、最初、ビーコン周期はデフォルト値(T0=100msec)に設定されているものとする。
図10は、アプリケーションがストリーミングの場合のビーコン周期を変更する動作を示すシーケンス図であり、図11は、それにストリーミングデータを受信する動作を追加したシーケンス図である。
アプリケーションがストリーミングの場合、端末局30は、基地局10のバッファ(記憶部14)サイズを調べ、ストリーミング再生のデータレートとバッファサイズとから、データ再生が破綻しない最も長いビーコン周期を計算し、得られたビーコン周期への変更を基地局10に要求する。これにより、端末局30は、データ破綻しない周期での間欠受信が可能となる。したがって、端末局30は、自己のビーコンの受信周期を最適化することにより、ビーコン信号を受信するタイミングまで電源部43からの通信回路40への電力供給をOFFにして、ストリーミング再生中の消費電力を抑えることができる。
具体的には、まず、アプリケーション実行部34がストリーミングのアプリケーションを起動すると(S11)、通信インタフェース部35が、ストリーミングのアプリケーションに対して設定されている再生のデータレート(例:480Kbps)を取得するとともに(S14)、端末側無線通信部36へストリーミングアプリ起動を通知し、基地局10へ空きバッファサイズの通知を要求する(S19)。
なお、再生のデータレートは、通信インタフェース部35にアプリケーションごとにあらかじめ設定されていてもよいし、設定の必要が生じるたびにアプリケーション実行部34から通信インタフェース部35に通知してもよい。
端末側無線通信部36では、アプリケーション部33からストリーミングアプリ起動通知を基地局10のバッファサイズの通知要求とともに受信すると(S32)、ビーコン信号にバッファサイズの通知要求を含めて基地局10へ送信する。
基地局10では、端末局30からバッファサイズの通知要求を受信すると(S66)、通信制御部15が、記憶部14の空きバッファサイズ(例:30KByte)を取得して、それをビーコン信号に含めて端末局30に送信する(S67)。
次に、端末局30では、基地局10から空きバッファサイズを受信すると(S37〜S39,S20)、通信インタフェース部35が、ストリーミング再生のデータレート(例:480Kbps)と空きバッファサイズ(例:30KByte)とから、データ再生が破綻しない最も長いビーコン周期を算出する(S21)。この例の場合、30KByte=240Kbitより240/480=500msecとなる。そして、通信インタフェース部35が、端末側無線通信部36に対して、得られたビーコン周期(例:Tr=500msec)に基地局10のビーコン周期を設定するように要求する(S22)。
以降の処理は、メールのアプリケーションの場合のビーコン周期変更の処理と同様であるため説明を省略する。
なお、アプリケーションがストリーミングの場合、ユーザが別のストリーミングデータを選択すると、ビーコン周期Trを変える状況が発生する。
この例では端末局30で基地局10の空きバッファサイズを受け取って最適なビーコン周期を算出しているが、このビーコン周期の算出処理を基地局10で行うようにしてもよい。この場合はストリーミング再生のデータレートを端末局30が基地局10に通知する。
また、図11は、データ通信のための信号がビーコン周期を変更するシーケンスにおいて、どのタイミングで送られるかを追加したものである。すなわち、図11に示すように、基地局10にストリーミングデータがある場合(「記憶部に蓄積データ有」の場合)、ストリーミングのデータは、ビーコン信号に続くデータ通信のための信号で送られる。このように、ビーコン信号により、基地局10から端末局30へ送信すべきストリーミングデータの有無を知らせることができる。
また、図11に電源ON区間(斜線部)として示すように、端末局30は、変更前のビーコン受信時刻に通信回路40の電源をON/OFFしながら、空きバッファサイズの通知要求の送信、空きバッファサイズの受信、ビーコン周期の変更要求を送信を行う。ビーコン周期の変更後は、ビーコン受信時刻になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号およびストリーミングデータを受信した後、通信回路40の電源をOFFする動作を繰り返す。このように、端末局30は、基地局10から送信される信号を受信し終えると、次のビーコン信号を受信するタイミングになるまで通信回路40の電力供給をOFFする。すなわち、端末局30は、信号を受信していないときは通信回路40の電源をOFFする。
〔IP電話〕
第3に、アプリケーション実行部34がIP電話のアプリケーションを実行する場合の制御について説明する。なお、最初、ビーコン周期はデフォルト値(T0=100msec)に設定されているものとする。
図12は、アプリケーションがIP電話の場合のビーコン周期を変更する動作を示すシーケンス図であり、図13は、それに着信の動作を追加したシーケンス図である。
アプリケーションがIP電話の場合、端末局30は、待受けの間は例えば1secのビーコン周期に設定し、通話中はパケット送出間隔に合わせて遅延の影響が出ない値(例:20msec)に設定する。これにより、端末局30は、パケット送出間隔に合わせた間欠受信が可能となる。したがって、端末局30は、自己のビーコンの受信周期を最適化することにより、ビーコン信号を受信するタイミングまで電源部43からの通信回路40への電力供給をOFFにして、通話中の消費電力を抑えることができる。
具体的には、まず、アプリケーション実行部34がIP電話のアプリケーションを起動すると(S11)、通信インタフェース部35が、端末側無線通信部36へIP電話アプリ起動を通知し、IP電話のアプリケーションに対して設定されている待受け時の受信チェック間隔(例:Ta=1sec)に基地局10のビーコン周期を設定するように要求する(S13,S23)。
なお、待受け時および通話時のビーコン周期は、通信インタフェース部35にアプリケーションごとにあらかじめ設定されていてもよいし、ビーコン周期の変更を要求するたびにアプリケーション実行部34から通信インタフェース部35に通知してもよい。
端末側無線通信部36では、アプリケーション部33からIP電話の起動通知を待受け時のビーコン周期の指定とともに受信すると(S32)、ビーコン信号に要求されたビーコン周期(例:T=1sec)を含めて基地局10へビーコン周期変更要求を送信する。
基地局10では、端末局30からビーコン周期の変更要求を受信すると(S68)、通信制御部15が指定されたビーコン周期に変更する(S69)。このとき、通信制御部15は、変更前のビーコン周期のタイミングで変更後のビーコン周期を知らせるビーコン信号を発信した後、変更後のビーコン周期のタイミングでのビーコン信号を発信を開始する。
一方、端末局30では、ビーコン受信時刻(変更前)になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信(S33〜S35)した後、通信回路40の電源をOFFする。このとき、受信制御部39は、ビーコン信号に含まれるビーコン周期の設定が、要求したものであることを確認し、ビーコン信号の受信周期に設定する(S44)。すなわち、次回からビーコン受信周期は待受け時の1secとなる。また、ビーコン信号に自局宛のデータが有ることを示す情報が載っていると、データを受信してアプリケーション部33に渡す(S40〜S42)。
その後、アプリケーション部33では、端末側無線通信部36からデータを受けると(S15)、アプリケーション実行部34が出力部32で音や表示によって着信を知らせる(S16)。そして、ユーザがオンフックして通話状態になると、端末局30は、上述した待受け時のビーコン周期の変更処理と同様にして、通話時のビーコン周期Ta(例:20msec)に変更する。さらに、ユーザがオフフックして再び待受け状態になると、待受け時のビーコン周期Ta(例:1sec)に変更する。このように、アプリケーションがIP電話の場合、端末局30では、待受け/通話の状態に応じて、ビーコン周期を変更する。
また、図13は、データ通信のための信号がビーコン周期を変更するシーケンスにおいて、どのタイミングで送られるかを追加したものである。すなわち、図13に示すように、基地局10にIP電話の音声データがある場合(「データ送信」)、音声データは、ビーコン信号に続くデータ通信のための信号で送られる。このように、ビーコン信号により、基地局10から端末局30へ送信すべき音声データの有無を知らせることができる。
また、図13に電源ON区間(斜線部)として示すように、端末局30は、待受け時には、待受け時のビーコン受信時刻になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信するとともに、着信有り場合には着呼信号を受信した後、通信回路40の電源をOFFする動作を繰り返す。また、通話時には、通話時のビーコン受信時刻になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信するとともに、音声データを受信した後、通信回路40の電源をOFFする動作を繰り返す。このように、端末局30は、基地局10から送信される信号を受信し終えると、次のビーコン信号を受信するタイミングになるまで通信回路40の電力供給をOFFする。すなわち、端末局30は、信号を受信していないときは通信回路40の電源をOFFする。
(2)1つの基地局10を1つの端末局30で利用し、端末局30で複数のアプリケーションを実行する場合、より短いビーコン周期が必要なアプリケーションに合わせたビーコン周期に設定する。アプリケーションを終了した時には、他の実行中のアプリケーションの中で最も短いビーコン周期を必要とするアプリケーションに合わせたビーコン周期に設定する。
図14は、アプリケーションとして、メールを実行中にIP電話を実行し、IP電話を先に終了した場合をビーコン周期を変更する動作を示すシーケンス図である。図15は、アプリケーションが複数の場合の端末側無線通信部36の動作を示すフローチャートである。なお、図15は、アプリケーションがメール、ストリーミング、IP電話の場合を1つにまとめたものである。
ここでは、図2に示した無線通信システム1において、アプリケーション実行部34Aでメールを実行中に、アプリケーション実行部34BでIP電話を実行し、IP電話を先に終了した場合を例として説明する。
具体的には、まず、端末局30は、(1)〔メール〕で説明した処理によって、アプリケーション実行部34Aのメールの自動メール受信チェック間隔に従って、基地局10のビーコン周期(例:60sec)を設定する。その後、端末局30は、(1)〔IP電話〕で説明した処理によって、アプリケーション実行部34BのIP電話の待受け状態の時の受信チェック間隔(例:Ta=1sec)に基地局10のビーコン周期を設定するように要求する。
このとき、端末側無線通信部36は、アプリケーション部33からIP電話の起動通知を待受け時のビーコン周期の指定とともに受信すると(S72)、要求されたビーコン周期(例:Ta=1sec)が現在のビーコン周期(例:T=60sec)より短いか否かを判定し(S89)、短ければ(YES)、要求されたビーコン周期(例:T=1sec)をビーコン信号に含めて基地局10へビーコン周期変更要求を送信する(S90)。
そして、IP電話の通話状態でのビーコン周期(例:20msec)がメールのビーコン周期(例:60sec)より短いため、端末局30は、(1)〔IP電話〕で説明した処理によって、アプリケーション実行部34BのIP電話の待受け/通話の状態に応じたビーコン周期によって、ビーコン周期を変更しながら、アプリケーション実行部34Aのメールおよびアプリケーション実行部34BのIP電話の通信を行う。
その後、ユーザがIP電話アプリを終了すると、通信インタフェース部35は、他のアプリケーションの実行中であるか否かを判定し(S91)、他のアプリケーションの実行中であれば(YES)、そのアプリケーションのビーコン周期(この例ではメールのT=60sec)に変更するように、端末側無線通信部36に基地局10へ要求させる(S92)。一方、他のアプリケーションの実行中でなければ(NO)、デフォルトのビーコン周期(例:T0=100msec)に変更するように、端末側無線通信部36に基地局10へ要求させる(S93)。
以上より、上記無線通信システム1によれば、1つの基地局10を1つの端末局30で利用し、端末局30で複数のアプリケーションを実行する場合にも、端末局30は、自己のビーコンの受信周期を最適化することにより、ビーコン信号を受信するタイミングまで電源部43からの通信回路40への電力供給をOFFにして、消費電力を抑えることができる。
なお、この例ではアプリケーションが2つの場合について説明したが、3つ以上の場合は1つのアプリケーションを終了した時に他のアプリケーションが起動しているかを判断する。そのために、通信インタフェース部35は、起動中のアプリケーションとそのアプリケーションが要求するビーコン周期との対応を管理する、例えばテーブル(図示せず)を保持してもよい。これにより、通信インタフェース部35は、最も短いビーコン周期を必要するアプリケーションが分かり、それに合わせたビーコン周期を設定することができる。また、この例では端末局30で最も短いビーコン周期の判定を行っているが、この判定を基地局10で行うようにしてもよい。この場合は端末局30で起動中のアプリケーションがそれぞれ要求するビーコン周期を基地局10に通知する。
(3)1つの基地局10を複数の端末局30…で利用する場合、より短いビーコン周期が必要な端末局30に合わせたビーコン周期に設定する。アプリケーションを終了した時には、アプリケーション実行中の他の端末局30の中で最も短いビーコン周期を必要とする端末局30に合わせたビーコン周期に設定する。
図16は、端末局30が複数の場合の端末側無線通信部36の動作を示すフローチャートである。図17は、端末局30が複数の場合の基地局10の動作を示すフローチャートである。なお、図16,図17は、アプリケーションがメール、ストリーミング、IP電話の場合を1つにまとめたものである。
ここでは、端末局30A(図4)でメールを実行中に、端末局30B(図4)でIP電話を実行し、端末局30BのIP電話を先に終了した場合を例として説明する。
具体的には、まず、端末局30Aがメールを実行したことにより、(1)〔メール〕で説明した処理によって、メールの自動メール受信チェック間隔に従って、基地局10のビーコン周期(例:60sec)を設定する。その後、端末局30BがIP電話を実行したことにより、(1)〔IP電話〕で説明した処理によって、端末局30Bのアプリケーション実行部34BがIP電話の待受け状態の時の受信チェック間隔(例:Ta=1sec)に基地局10のビーコン周期を設定するように要求する(S119)。
このとき、基地局10では、通信制御部15が、端末局30Bが要求してきたビーコン周期と(S139)、その時点でのビーコン周期とを比較して(S140)、より短いビーコン周期を選択する(S141)。この例の場合、メールのビーコン周期よりもIP電話の待受け状態でのビーコン周期の方が短いので、IP電話の待受け状態でのビーコン周期に変更する。このとき、通信制御部15は、変更前のビーコン周期のタイミングで変更後のビーコン周期を知らせるビーコン信号を端末局30A・30Bへ発信した後、変更後のビーコン周期のタイミングでのビーコン信号の発信を開始する。
その後、端末局30BのIP電話アプリが先に終了した場合、端末局30Bの通信インタフェース部35は、端末側無線通信部36にIP電話アプリの終了を基地局10へ送信させる(S120)。
このとき、基地局10では、通信制御部15が、端末局30Bで終了したIP電話アプリのほかにアプリケーションが動作しているかを判定する(S142)。判定の結果、他のアプリケーションがあれば(YES)、通信中の端末局30の中で最もビーコン周期の短いビーコン周期に変更する(S143)。この例では、端末局30Aで動作しているメールのビーコン周期(Tb=60sec)に変更することになる。
以上より、上記無線通信システム1によれば、1つの基地局10を複数の端末局30…で利用する場合にも、ビーコンの受信周期を最適化することにより、ビーコン信号を受信するタイミングまで電源部43からの通信回路40への電力供給をOFFにして、消費電力を抑えることができる。
なお、この例では端末局30が2つの場合について説明したが、3つ以上の場合は1つの端末局30から基地局10が終了通知を受けた時に、他の端末局30と通信しているかを判断する。そのために、通信制御部15は、通信中の端末局30とその端末局30が要求するビーコン周期との対応を管理する、例えばテーブル(図示せず)を保持してもよい。これにより、通信制御部15は、最も短いビーコン周期を必要とする端末局30が分かり、それに合わせたビーコン周期を設定することができる。
また、図18は、複数の端末局30が複数のアプリケーションを実行する場合の端末側無線通信部36の動作を示すフローチャートである。この場合、通信インタフェース部35は、自局に動作中のアプリケーションがあると、最も短いビーコン周期を基地局10に送信し、起動中のアプリケーションがないと終了通知を基地局10に送信する。この場合の基地局10の動作を示すフローチャートは図17と同じである。
つづいて、図22から図25を参照しながら、端末局30が、基地局10へ、ビーコン周期の代わりに、基地局10がビーコン周期を決定するための情報(ビーコン周期決定情報(送信周期決定情報)を送信する場合について説明する。
ここで、上述したように、「通信特性」とは、(a)アプリケーションの通信パターン、(b)アプリケーションの状態、(c)端末局となる機器の種類、(d)(a)〜(c)の組合せ、などに応じて決まるものである。そして、無線通信システム1では、「通信特性」と「アプリケーションの種類」を、ビーコン周期を決定のための情報(ビーコン周期決定情報)として利用する。
図22は、アプリケーションの種類とビーコン送信周期とを対応付けた管理テーブルの一例である。基地局10の通信制御部15には、図22のような管理テーブルがあらかじめ格納されている。そして、端末局30は、アプリケーション実行部34が実行するアプリケーションの種類(メール、ブラウザ等)を示す情報をビーコン周期決定情報として、基地局10に送信する。基地局10では、通信制御部15が、ビーコン周期決定情報として受信したアプリケーションの種類を示す情報に基づいて管理テーブルを参照して、ビーコン送信周期を決定し、設定する。図22の例では、アプリケーションの種類がメールの場合は60sec、ブラウザの場合は1secというようにビーコン送信周期が設定されることになる。
また、図23は、アプリケーションの種類および通信パターンとビーコン送信周期とを対応付けた管理テーブルの一例である。基地局10の通信制御部15には、図23のような管理テーブルがあらかじめ格納されている。そして、端末局30は、アプリケーション実行部34が実行するアプリケーションの種類(ストリーミンング等)を示す情報と、通信パターンを示す情報(ストリーミング再生のデータレートが300Kbps等)とをビーコン周期決定情報として、基地局10に送信する。基地局10では、通信制御部15が、ビーコン周期決定情報として受信したアプリケーションの種類および通信パターンを示す情報に基づいて管理テーブルを参照して、ビーコン送信周期を決定し、設定する。図23の例では、アプリケーションの種類がストリーミンングで、ストリーミング再生のデータレートが300Kbpsの場合、ビーコン送信周期は40msecにビーコン送信周期が設定されることになる。
また、図24は、アプリケーションの種類および状態とビーコン送信周期とを対応付けた管理テーブルの一例である。基地局10の通信制御部15には、図24のような管理テーブルがあらかじめ格納されている。そして、端末局30は、アプリケーション実行部34が実行するアプリケーションの種類(IP電話等)を示す情報と、状態を示す情報(待受け、通話等)とをビーコン周期決定情報として、基地局10に送信する。基地局10では、通信制御部15が、ビーコン周期決定情報として受信したアプリケーションの種類および状態を示す情報に基づいて管理テーブルを参照して、ビーコン送信周期を決定し、設定する。図24の例では、アプリケーションの種類がIP電話であり、アプリケーションの状態が待受けの場合は1sec、通話の場合は20msecというようにビーコン送信周期が設定されることになる。
また、図25は、アプリケーションの種類および端末局30の機器の種類を対応付けた管理テーブルの一例である。基地局10の通信制御部15には、図25のような管理テーブルがあらかじめ格納されている。そして、端末局30は、アプリケーション実行部34が実行するアプリケーションの種類(メール等)を示す情報と、端末局30の機器の種類を示す情報(携帯電話、携帯情報端末、ノートパソコン等)とをビーコン周期決定情報として、基地局10に送信する。基地局10では、通信制御部15が、ビーコン周期決定情報として受信したアプリケーションの種類および機器の種類を示す情報に基づいて管理テーブルを参照して、ビーコン送信周期を決定し、設定する。図25の例では、アプリケーションの種類がメールであり、機器の種類が携帯電話の場合は10sec、機器の種類が携帯情報端末やノートパソコンの場合は60secというようにビーコン送信周期が設定されることになる。
上記のように、端末局30は、基地局10へ、ビーコン周期の代わりに、ビーコン周期決定のための情報(ビーコン周期決定情報)を含めて、ビーコン周期変更要求を送信することができる。そして、ビーコン周期決定情報として、「アプリケーションの種類」のみを利用してもよいし、「通信特性」のみを利用してもよいし、両方を利用してもよい。もちろん、情報が多い方が、ビーコン周期をより精密に設定できることはいうまでもない。
なお、本発明に係る端末局は、定期的な信号(ビーコン信号)の送信周期を決定するための情報を送信周期設定要求手段(端末側無線通信部36)に通知する通信インタフェース手段(通信インタフェース部35)を備え、送信周期設定要求手段が、通信インタフェース手段より通知された定期的な信号の送信周期の設定要求を基地局に対して送信するように構成されていてもよい。また、端末局は、定期的な信号の送信周期を決定するための情報が、端末局において実行するアプリケーションの種類であってもよい。また、端末局は、定期的な信号の送信周期を決定するための情報が、通信特性であってもよい。また、端末局は、定期的な信号の送信周期を決定するための情報が、端末局において実行するアプリケーションの種類と、通信特性との組み合わせであってもよい。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図1から図4、図19から図21に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態に係る無線通信システム1では、端末局30が実行するアプリケーションの種類および/または通信特性(アプリケーションの通信パターンや状態)によって自己のビーコン受信周期を動的に変更する。すなわち、基地局10のビーコン周期を変更しない点が実施の形態1とは相違する。なお、無線通信システム1の概略および詳細な構成は、図1から図4と同様である。
具体的には、本実施の形態に係る無線通信システム1では、端末側無線通信部36(受信周期設定手段)は、ビーコン信号を受信する受信周期を、基地局10がビーコン信号を送信する送信周期の倍数に設定する。また、通信インタフェース部35(通信インタフェース手段)は、アプリケーション実行部34にて実行されているアプリケーションの種類および/または通信特性に応じたビーコン信号の受信周期を端末側無線通信部36に通知する。例えば、通信インタフェース部35は、アプリケーション実行部34にて実行されているアプリケーションの状態を取得し、該状態に応じてビーコン信号の受信周期を決定する。また、通信インタフェース部35は、基地局10の持つバッファのサイズに基づいて、ビーコン信号の受信周期を決定する。また、通信インタフェース部35は、1つの端末局30で複数のアプリケーションを実行する場合、ビーコン信号の受信周期を最も短い周期が必要なアプリケーションに合わせて決定する。
以下、本実施の形態に係る無線通信システム1におけるビーコン周期の制御について、(1)〜(2)の場合を例として説明する。
(1)端末局30だけの処理でビーコン受信周期を変更する。ビーコン受信周期は基地局10のビーコン周期の倍数にする。
なお、基地局10は、端末局30から受信確認の信号(ACK)を受信するまで同じビーコン信号を送信するようにしてもよい。この場合、基地局10は、端末局30のビーコン受信周期の間に同じ内容のビーコン信号を複数回の発信することになる。ただし、基地局10は、同じ内容のビーコン信号を再送する回数を制限するために、端末局30が設定するビーコン周期の倍数に上限を設けてもよい。
図19は、アプリケーション部33の動作を示すフローチャートである。なお、図19は、アプリケーションがメール、ストリーミング、IP電話の場合を1つにまとめたものである。
ここで、図4のネットワーク構成において、端末局30Aでメールを実行し、端末局30Bでストリーミングを実行する場合を例として説明する。端末局30Aでは、通信インタフェース部35が、基地局10のビーコン送信周期100msecの整数倍の60secにビーコン受信周期を設定する。端末局30Bでは、通信インタフェース部35が、基地局10のビーコン送信周期100msecの整数倍の500msecにビーコン受信周期を設定する。なお、各端末局30のビーコン受信周期は、基地局10や他の端末局30へは知らされない。
具体的には、まず、端末局30Aにおいて、アプリケーション実行部34がメールのアプリケーションを起動すると、通信インタフェース部35が、端末側無線通信部36へメールアプリ起動を通知し、メールのアプリケーションに対して設定されている自動メール受信チェック間隔(例:60sec)にビーコン受信周期を設定するように要求する。
このとき、通信インタフェース部35では、メールの自動メール受信チェック間隔が現在のビーコン受信周期と異なれば(S197)、次のように、変更要求するビーコン受信周期を決定する。すなわち、アプリケーションに適したビーコン受信周期が基地局10のデフォルトのビーコン周期T0以上かつ整数倍であるか否かを判定し(S198,S200)、条件を満たしていれば、そのままビーコン受信周期とする(S201)。例えば、デフォルトのビーコン周期T0が100msecであって、ビーコン受信周期がTr=60secであれば、要求どおりに変更される。一方、アプリケーションに適したビーコン受信周期がデフォルトより短い場合は変更しない(S198でNO)。また、アプリケーションに適したビーコン受信周期がデフォルトの整数倍でない場合(例えば、60.01sec)(S200でNO)、デフォルトの整数倍の中で最も近く、かつ要求の値を超えない値に設定する(S202)。
そして、端末側無線通信部36は、通信インタフェース部35からの要求に従って、ビーコン受信周期に設定する。その後、端末側無線通信部36は、ビーコン受信時刻になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信した後、通信回路40の電源をOFFする。このとき、ビーコン信号に自局宛のデータが有ることを示す情報が載っていると、データを受信してアプリケーション部33に渡す(S190〜S192)。
ユーザがメールを終了すると(S196)、通信インタフェース部35はアプリケーション終了通知を端末側無線通信部36に送り、ビーコン受信周期をデフォルト(メールを起動する前)に戻す(S199)。なお、アプリケーションがメールの場合、ユーザが自動メール受信チェック間隔の時間設定を変更すると、ビーコン周期Trを変える状況が発生する。
次に、端末局30Bにおいて、アプリケーション実行部34がストリーミングのアプリケーションを起動すると、通信インタフェース部35が、ストリーミングのアプリケーションに対して設定されている再生のデータレート(例:480Kbps)を取得するとともに、端末側無線通信部36へストリーミングアプリ起動を通知し、基地局10へ空きバッファサイズの通知を要求させる(S195)。端末側無線通信部36が基地局10から空きバッファサイズを受信すると(S188)、通信インタフェース部35が、ストリーミング再生のデータレート(例:480Kbps)と空きバッファサイズ(例:30KByte)とから、データ再生が破綻しない最も長いビーコン受信周期を算出する。この例の場合、30KByte=240Kbitより240/480=500msecとなる。そして、通信インタフェース部35は、端末側無線通信部36に対して、得られた値に(例:Tr=500msec)にビーコン受信周期を設定するように要求する(S197)。
このとき、通信インタフェース部35では、算出したビーコン受信周期が現在のビーコン受信周期と異なれば(S197)、上述したように、デフォルトの整数倍の中で最も近く、かつ算出したビーコン受信周期を超えない値に設定する(S198,S200,S201,S202)。例えば、算出したビーコン受信周期がデフォルトより短い場合は変更しない。また、算出したビーコン受信周期が512msecのようにデフォルトの整数倍でない場合は、デフォルトの整数倍の中で最も近く、かつ512msecを超えない値の500msecに設定する。
そして、端末側無線通信部36は、通信インタフェース部35からの要求に従って、ビーコン受信周期に設定する。その後、端末側無線通信部36は、ビーコン受信時刻になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信した後、通信回路40の電源をOFFする。このとき、ビーコン信号に自局宛のデータが有ることを示す情報が載っていると、データを受信してアプリケーション部33に渡す(S190〜S192)。
ユーザがストリーミングを終了すると(S196)、通信インタフェース部35はアプリケーション終了通知を端末側無線通信部36に送り、ビーコン受信周期をデフォルト(ストリーミングを起動する前)に戻す(S199)。
なお、アプリケーションがストリーミングの場合、ユーザが別のストリーミングデータを選択すると、ビーコン周期Trを変える状況が発生する。
(2)1つの基地局10を複数の端末局30…で利用する場合、基地局10のビーコン周期はそのままで端末局30…のビーコン受信周期のみ変更する。端末局30…のビーコン受信周期は基地局10のビーコン周期の倍数になる。(1)の場合とは、基地局10が各端末局30…のビーコン受信周期を決定して通知する点が異なる。なお、基地局10のビーコン信号の発信周期は一定であるため、他の端末局30には影響を与えない。
図20は、アプリケーション部33の動作を示すフローチャートである。図21は、基地局10の動作を示すフローチャートである。なお、図20,図21は、アプリケーションがメール、ストリーミング、IP電話の場合を1つにまとめたものである。
ここで、図4のネットワーク構成において、端末局30Aでメールを実行し、端末局30Bでストリーミングを実行する場合を例として説明する。端末局30Aでは、通信インタフェース部35が、基地局10のビーコン送信周期100msecの整数倍の60secにビーコン受信周期を設定する。端末局30Bでは、通信インタフェース部35が、基地局10のビーコン送信周期100msecの整数倍の500msecにビーコン受信周期を設定する。
具体的には、まず、端末局30Aにおいて、アプリケーション実行部34がメールのアプリケーションを起動すると、通信インタフェース部35が、端末側無線通信部36へメールアプリ起動を通知し、メールのアプリケーションに対して設定されている自動メール受信チェック間隔(例:60sec)にビーコン受信周期を設定するように、基地側無線通信部12に要求させる(S228,S229)。
そして、基地局10では、端末局30Aからビーコン受信周期の変更要求を受信すると(S249)、通信制御部15が、(1)で上述したように、デフォルトの整数倍の中で最も近く、かつ自動メール受信チェック間隔を超えない値に設定する(S250)。例えば、通信制御部15は、端末局30Aからビーコン周期T=60secへの変更要求を受けると、要求されたビーコン周期がデフォルトのビーコン周期100msec以上かつ整数倍であるため、ビーコン周期T=60secへの変更を端末局30Aに送信する。なお、変更要求のビーコン周期がデフォルトのビーコン周期より短い場合は変更しない。また、変更要求のビーコン周期が60.01secのようにデフォルトのビーコン周期の整数倍でない場合は、デフォルトのビーコン周期の整数倍の中で最も近く、かつ60.01secを超えない値の60secに設定する。
次に、基地局10は、変更前のビーコン送信時刻に、端末局30A宛のビーコン信号に、次のビーコン周期Tt=60secを載せて端末局30Aに送信する。
一方、端末局30Aでは、ビーコン受信時刻(変更前)になると、通信回路40の電源をONして、基地局10からのビーコン信号を受信(S213〜S216)した後、通信回路40の電源をOFFする(S223)。このとき、受信制御部39は、ビーコン信号に含まれるビーコン周期の設定が、要求したものであることを確認し、ビーコン信号の受信周期に設定する(S224)。すなわち、次回からビーコン受信周期は60secとなる。また、ビーコン信号に自局宛のデータが有ることを示す情報が載っていると、データを受信してアプリケーション部33に渡す(S220〜S222)。アプリケーション部33では、端末側無線通信部36からデータを受けると、出力部32にデータを出力する。
その後、ユーザがメールを終了すると(S227)、通信インタフェース部35はアプリケーション終了通知を端末側無線通信部36に送り、基地局10へビーコン周期を元(メールを起動する前)に戻すように要求させる(S230)。その結果、端末局30Aのビーコン受信周期は100msecに戻る。
なお、アプリケーションがメールの場合、ユーザが自動メール受信チェック間隔の時間設定を変更すると、ビーコン周期を変える状況が発生する。
端末局30Bにおけるストリーミングアプリケーションについては、同様であるので説明を省略する。
なお、複数の端末局30…で複数のアプリケーションを実行している場合、例えば、端末局Aでビーコン周期1secを必要とするアプリケーションap1とビーコン周期512msecを必要とするアプリケーションap2とビーコン周期50msecを必要とするアプリケーションap3とが起動中であるとすると、100msec以上で最も短いビーコン周期を満たす512msecが選択されるが、100msecの整数倍でないので100msecの整数倍の中で最も近く、かつ512msecを超えない500msecに端末局Aのビーコン受信周期を設定する。
また、複数の端末局30…で決定したビーコン受信周期を基地局10に送信して、基地局10から受信したビーコン信号によって、変更後のビーコン受信周期を確認する構成とすることもできる。これにより、複数の端末局30…で複数のアプリケーションを実行する場合において、基地局10のビーコン周期はそのままで、複数の端末局30…で最適なビーコン受信周期を設定することができる。
以上のように、本発明に係る無線通信システム1では、端末局30が自己のアプリケーションの通信パターンや状態によって自己のビーコンの受信周期を最適化することにより、端末局30の消費電力を抑えることができる。また、端末局30が自己のアプリケーションの通信パターンや状態を基地局10に知らせ、ビーコンの送信周期を最適化することにより端末局30の消費電力を抑えることができる。また、ストリーミング再生やIP電話の通話などのアプリケーションにおいて、データロスや遅延の影響なく間欠的にデータを受信することにより、端末局30の消費電力を抑えることができる。また、複数のアプリケーションを実行した場合や複数の端末局30が通信する場合において、ビーコンの受信周期を最適化することにより端末局30の消費電力を抑えることができる。
さらに、本発明に係る無線通信システム1では、モバイル機器等の端末局30において、端末側無線通信部36を自由に省電力制御できる。これにより、モバイル機器の使い方に応じた最適な低消費電力制御が可能となる。
つづいて、図26から図34を参照しながら、端末局30が複数である場合の処理について、詳細に説明する。簡単に要約すると、(1)ある端末局30Aからの要求で基地局10がビーコン送信周期を短く変更した場合、他の端末局30Bは自局のビーコン信号の受信周期を送信周期の倍数の中で最適な長さに変更する。(2)基地局10は、ビーコン送信周期を短く変更する要求の場合、全ての端末局からの要求を受け付けるが、ビーコン送信周期を長く変更する要求の場合、直前に短くする要求を受付けた端末局からの要求のみ受け付ける。これにより、短いビーコン送信周期で実行している端末局30の通信が他の端末局30の影響を受けない。なお、基地局10のビーコン送信周期の設定については〔実施の形態1〕と、端末局10のビーコン受信周期の設定については本〔実施の形態2〕で前述したものと同じであるので、詳細な説明は省略する。
端末局30が複数あり、ある端末局30Aからの要求で基地局10がビーコン送信周期を短く変更した場合、他の端末局30Bは自局のビーコン受信周期を、基地局10のビーコン送信周期の倍数の中で最適な長さに変更する。これにより、ある端末局30Aによって基地局10のビーコン送信周期が短く変更されても、他の端末局30Bは最適なビーコン受信周期を保ち、消費電力を抑えることができる。
図26を用いて、このときの端末局30Bの動作を具体的に説明する。図26は、基地局10のビーコン送信周期が短く変更された場合の端末局30の動作を示すフローチャートである。
まず、基地局10のビーコン送信周期Tbが短く変更されたことを検出する(S261でYES)。次に、アプリケーションを実行中であり(S262でYES)、かつ、ビーコン送信周期Tbがアプリケーションに最適でない場合(S263でNO)、自局のビーコン受信周期Trをビーコン送信周期Tbの整数倍の中で最も近くかつ超えない値に設定する(S264)。
また、ある端末局30Aからの要求で基地局10がビーコン送信周期を長く変更した場合、他の端末局30Bは基地局10のビーコン送信周期を自局にとって最適な長さに変更する要求を出すようにしてもよい。これにより、ある端末局30Aによって基地局10のビーコン送信周期が長く変更されても、他の端末局30Bは最適なビーコン受信周期を保ち、消費電力を抑えることができる。なお、このときビーコン受信周期が長い端末局30Aは、前記の処理(図26)によって、ビーコン受信周期を基地局10のビーコン送信周期の倍数の中で最適な長さに変更して、最適なビーコン受信周期を保ち、消費電力を抑えることができる。
図27を用いて、このときの端末局30の動作を具体的に説明する。図27は、基地局10のビーコン送信周期が長く変更された場合の端末局30の動作を示すフローチャートである。
まず、基地局10のビーコン送信周期Tbが長く変更されたことを検出する(S271でYES)。次に、アプリケーションを実行中であり(S272でYES)、かつ、ビーコン送信周期Tbがアプリケーションに最適でない場合(S273でNO)、基地局10にビーコン送信周期Tbの変更要求を送信する(S274)。
また、ビーコン送信周期を短く変更する場合、基地局10は全ての端末局30からの要求を受付けてビーコン送信周期を変更し、要求を出した端末局30A以外の端末局30Bはビーコン受信周期をビーコン送信周期の倍数の中で最適な長さに変更するようにしてもよい。また、ビーコン送信周期を長く変更する場合、デフォルトからの変更の場合を除き、基地局10は現在のビーコン送信周期に設定する要求を出した端末局30Aからの要求のみを受付け、それ以外の端末局30Bからの要求は受付けないようにしてもよい。この場合、ビーコン送信周期を長く変更する要求を受付けられなかった端末局30Bは、自局のビーコン受信周期を現在のビーコン送信周期の倍数の中で最適な長さに変更すればよい。
図28を用いて、このときの基地局10の動作を具体的に説明する。図28は、端末局30からビーコン送信周期の変更要求を受けた時の基地局10の動作を示すフローチャートである。
まず、端末局30からビーコン送信周期Tbの変更要求があったことを検出する(S281でYES)。次に、ビーコン送信周期Tbを短くする変更要求の場合(S282で“短く”)、あるいは、現在のビーコン送信周期Tbを設定した端末局30から長くする変更要求を受けた場合(S285でYES)、その端末局30に変更要求が有効であることを応答し(S283)、ビーコン送信周期Tbを変更する(S284)。
これに対して、ビーコン送信周期Tbを長くする変更要求を、現在のビーコン送信周期Tbを設定した端末局30以外の端末局30から受けた場合(S285でNO)、その端末局30に変更要求が無効であることを応答する(S286)。この場合、ビーコン送信周期Tbを変更しない。
次に、図29を参照しながら、端末局30がビーコン送信周期を短く変更する要求を出した場合の端末局30の動作を説明する。
基地局10にビーコン送信周期Tbを短くする変更要求を送信し(S291)、その後、基地局10からの応答を受信する(S292)。
次に、図30を参照しながら、端末局30がビーコン送信周期を長く変更する要求を出した場合の端末局30の動作を説明する。
まず、基地局10にビーコン送信周期Tbを長く変更する要求を送信し(S301)、その後、基地局10から応答を受信する(S302)。次に、応答が無効であれば(S303で“無効”)、ビーコン受信周期Trを現在のビーコン送信周期Tbの整数倍の中で基地局10に要求した値に最も近くかつ超えない値に設定する(S304)。
図31は、このときの端末局30と基地局10の動作を示すシーケンス図である。
基地局10のビーコン送信周期が100ms(デフォルト)である状態において、端末局30Aがビーコン送信周期20msを要求し、それを基地局10が受信する(t11)。次に、基地局10から、要求が有効である旨の応答を端末局30Aが受信する(t12)。このとき、基地局10は、ビーコン送信周期を20msに変更して、その旨をすべての端末局30にブロードキャストで送信する。
次に、この状態において、他の端末局30Bがビーコン送信周期1000msを要求し、それを基地局10が受信する(t13)。この要求に対して、基地局10は、現在のビーコン送信周期より長くする要求であり、かつ、現在のビーコン送信周期への変更を要求した端末局30Aからの変更要求でないので、要求を無効とし、その旨を端末局30Bへ送信する(t14)。端末局30Bは、変更要求が無効とされた応答を基地局10より受信すると、現在のビーコン送信周期20msの整数倍であるビーコン受信周期1000msに設定する。
次に、この状態において、端末局30Aがビーコン送信周期1000msを要求し、それを基地局10が受信する(t15)。この要求に対して、基地局10は、現在のビーコン送信周期より長くする要求であるが、現在のビーコン送信周期への変更を要求した端末局30Aからの変更要求であるので、要求を有効とし、その旨を端末局30Aへ送信する(t15)。このとき、基地局10は、ビーコン送信周期を1000msに変更して、その旨をすべての端末局30にブロードキャストで送信する。
ここで、ビーコン送信周期を長く変更した時に、現在のビーコン送信周期に設定する要求を出した端末局30Aが要求した値が他の端末局30Bが要求した値よりも長かった場合、基地局10がビーコン送信周期を長く変更した後で、他の端末局30Bがビーコン送信周期を短く変更する要求を出すことになる。この場合、基地局10がビーコン送信周期を短く変更するまでの間、他の端末局30Bにとって最適でない状態になる可能性がある。
図32を参照しながら、上記問題を説明する。図32は、端末局30と基地局10の動作を示すシーケンス図である。
図32は、図31のt13において、他の端末局30Bがビーコン送信周期1000msの代わりにビーコン送信周期500msを要求した場合を示している(t13′)。この要求に対して、基地局10は、現在のビーコン送信周期より長くする要求であり、かつ、現在のビーコン送信周期への変更を要求した端末局30Aからの変更要求でないので、要求を無効とし、その旨を端末局30Bへ送信する(t14)。端末局30Bは、変更要求が無効とされた応答を基地局10より受信すると(t14)、現在のビーコン送信周期20msの整数倍であるビーコン受信周期500msに設定する。
その後、図31と同様に、端末局30Aがビーコン送信周期1000msを要求し、それを基地局10が受信する(t15)。この要求に対して、基地局10は、現在のビーコン送信周期より長くする要求であるが、現在のビーコン送信周期への変更を要求した端末局30Aからの変更要求であるので、要求を有効とし、その旨を端末局30Aへ送信する(t15)。このとき、基地局10は、ビーコン送信周期を1000msに変更して、その旨をすべての端末局30にブロードキャストで送信する。
このとき、端末局30Bは、ビーコン受信周期500msに対してビーコン送信周期1000msであるため、基地局10にビーコン送信周期500msを要求する(t17)。この要求に応じて、基地局10は、ビーコン送信周期を500msへ変更する(t18)。しかし、端末局30Aの要求によりビーコン送信周期が1000msに変更されてから、端末局30Bの要求によりビーコン送信周期が500msに変更されるまでの間、端末局30Bにとっては最適なビーコン送信周期でない状態となる。
そこで、現在のビーコン送信周期の設定要求を出した端末局30Aからビーコン送信周期を長く変更する要求があった場合、基地局10は、他の端末局30Bと通信しているかを判断し、通信している場合には、他の端末局30Bが要求するビーコン送信周期と現在のビーコン送信周期の設定要求を出した端末局30Aが要求するビーコン送信周期とを比較し、短い方の値にビーコン送信周期を変更し、一方、通信していない場合には、現在のビーコン送信周期の設定要求を出した端末局30Aが要求した値にビーコン送信周期を変更するようにしてもよい。これにより、全ての端末局30は自局にとって最適なビーコン受信間隔を設定することができ、消費電力を抑えることができる。
ここで、基地局10において、上記のような通信中の端末局30の中で最も短いビーコン送信周期を選択する処理は、通信制御部15が行う。具体的には、通信制御部15は、ビーコン送信周期を現在より長く変更する要求を受けた場合、現在のビーコン送信周期に変更する要求を出した端末局30からの要求であるか否かを判断する。そして、通信制御部15は、現在の送信周期に変更する要求を出した端末局からの要求であると判断した場合、要求に従ってビーコン送信周期を変更する。また、通信制御部15は、通信中のすべての端末局30が要求しているビーコン送信周期を保持する。そして、通信制御部15は、通信中の全ての端末局30から要求されたビーコン送信周期の中で最も短い値を選択する。
図33を用いて、このときの基地局10の動作を具体的に説明する。図33は、端末局30からビーコン送信周期の変更要求を受けた時の基地局10の動作を示すフローチャートである。なお、端末局30のフローチャートは、図29、図30と同じである。
まず、端末局30からビーコン送信周期Tbの変更要求があったことを検出する(S281でYES)。次に、ビーコン送信周期Tbを短くする変更要求の場合(S282で“短く”)、その端末局30に変更要求が有効であることを応答し(S283)、ビーコン送信周期Tbを変更する(S284)。
また、現在のビーコン送信周期Tbを設定した端末局30から長くする変更要求を受けた場合には(S285でYES)、通信中の他の端末局30があり、かつ、該他の端末局30が要求しているビーコン送信周期Tb′の中に新たに受けたビーコン送信周期Tbよりも短いものがあるか否かを判定する(S311、S312)。そして、そのような通信中の他の端末局30が要求しているビーコン送信周期Tb′の中に新たに受けたビーコン送信周期Tbよりも短いものがない場合(S311でNO、または、S312でYES)、端末局30に変更要求が有効であることを応答し(S283)、ビーコン送信周期Tbを変更する(S284)。
一方、通信中の他の端末局30が要求しているビーコン送信周期Tb′の中に新たに受けたビーコン送信周期Tbよりも短いものがある場合(S311でYES、かつ、S312でNO)、端末局30に変更要求が無効であることを応答し(S286)、ビーコン送信周期Tb′の値に変更する(S313)。これにより、通信中の端末局30の中で最も短いビーコン送信周期Tbに変更することができる。
図34は、このときの端末局30と基地局10の動作を示すシーケンス図である。
基地局10のビーコン送信周期が100ms(デフォルト)である状態において、端末局30Aがビーコン送信周期20msを要求し、それを基地局10が受信する(t21)。次に、基地局10から、要求が有効である旨の応答を端末局30Aが受信する(t22)。このとき、基地局10は、ビーコン送信周期を20msに変更して、その旨をすべての端末局30にブロードキャストで送信する。
次に、この状態において、他の端末局30Bがビーコン送信周期500msを要求し、それを基地局10が受信する(t23)。この要求に対して、基地局10は、現在のビーコン送信周期より長くする要求であり、かつ、現在のビーコン送信周期への変更を要求した端末局30Aからの変更要求でないので、要求を無効とし、その旨を端末局30Bへ送信する(t24)。端末局30Bは、変更要求が無効とされた応答を基地局10より受信すると、現在のビーコン送信周期20msの整数倍であるビーコン受信周期500msに設定する。
次に、この状態において、端末局30Aがビーコン送信周期1000msを要求し、それを基地局10が受信する(t25)。この要求に対して、基地局10は、現在のビーコン送信周期より長くする要求であり、かつ、現在のビーコン送信周期への変更を要求した端末局30Aからの変更要求であるが、現在通信中の他の端末局30Bがあり、かつ、端末局30Bから要求されたビーコン送信周期500msの方が短いので、端末局30Aからの変更要求を無効とし、その旨を端末局30Aへ送信する(t26)。このとき、基地局10は、通信中の端末局30の中で最も短いビーコン送信周期500msに変更して、その旨をすべての端末局30にブロードキャストで送信する。また、端末局30Aは、現在のビーコン送信周期500msの整数倍であるビーコン受信周期1000msに設定する。
なお、本発明に係る端末局は、基地局と少なくとも2つの端末局とで構成され、基地局から送信される定期的な信号(ビーコン信号)の送信周期を端末局に通知する通信システムであって、端末局Aにおいて、送信周期設定要求手段(端末側無線通信部36)により基地局に送信周期を現在より短く設定する要求を出し、基地局において、端末局Aより受信した設定要求に基づいて定期的な信号の送信周期を現在より短く変更した場合、端末局A以外の端末局において、定期的な信号を受信する受信周期を、基地局が定期的な信号を送信する送信周期の倍数に設定する受信周期設定手段(端末側無線通信部36)を備えて構成されていてもよい。
また、本発明に係る基地局は、上記設定要求が定期的な信号の送信周期を現在より長く変更する要求の場合、現在の送信周期に変更する要求を出した端末局からの要求であるか否かを判断する端末局判断手段(通信制御部15)を備えていてもよい。また、本発明に係る基地局は、上記端末局判断手段により、現在の送信周期に変更する要求を出した端末局からの要求であると判断した場合、上記定期的な信号の送信周期を変更してもよい。また、本発明に係る基地局は、上記端末局判断手段により、現在の送信周期に変更する要求を出した端末局からの要求であると判断した場合、上記要求を出した端末局以外の端末局と通信しているか否かを判断する通信判断手段(通信制御部15)を持ち、上記通信判断手段により、他の端末局との通信を行っていると判断した場合、通信中の全ての端末局の中で最も短い値を要求した送信周期に変更してもよい。
なお、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本発明に係る無線通信システムは、ビーコン周期の変更を、アプリケーションの通信パターンや状態に応じて行うほか、端末局となる機器の種類(携帯電話、携帯情報端末、ノートパソコン、携帯TVなど)に応じて行うようにしてもよいし、機器の種類とアプリケーションの種類との組合せに応じて行うようにしてもよい。
また、ストリーミングアプリやIP電話アプリを実行する場合、基地局の空きバッファサイズのうち安定して送るために必要なサイズ分を確保しておいて、他のアプリケーションや他の端末局が基地局のバッファを使う時は残りの空きバッファを使うようにしてもよい。
また、上述したように、端末局30において通信インタフェース部35は、アプリケーション部33と端末側無線通信部36との間に位置してミドルウェアとして機能する。そして、通信インタフェース部35は、アプリケーションごとに設けられるように構成されてもよいし、複数のアプリケーションによって共用されるように構成されてもよい(図2)。
通信インタフェース部35をアプリケーションごとに設ける場合、通信インタフェース部35は、当該アプリケーションと一体に構成することができる。このように構成した場合、アプリケーションは、メールアプリやストリーミングアプリとしての通常の機能に加えて、通信インタフェース部35として、アプリケーションの通信パターンや状態を取得する機能と、それらに基づいてビーコン周期を変更するように端末側無線通信部36を制御する機能とを備えた、いわば専用のアプリケーションとなる。
一方、通信インタフェース部35が複数のアプリケーションによって共用される構成の場合、アプリケーションは、メールアプリやストリーミングアプリとしての通常の機能のみを備えていればよく、いわば汎用のアプリケーションとなる。この場合、通信インタフェース部35は、端末側無線通信部36に設けることもできる。
本発明に係る端末局30は、アプリケーションが専用/汎用のいずれにせよ、ミドルウェア(通信インタフェース部35)がアプリケーションの通信パターンや状態を取得してビーコン周期の変更を行うものである。
また、上記端末局30で動作するアプリケーションは、ソフトウェアで実現されるものに限定されず、ハードウェアで実現されるものであってもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されるものであってもよい。
本発明に係る無線通信システムは、基地局と端末局とで構成され、基地局から定期的に送信されるビーコン信号に基づいて基地局から端末局を特定して、上記特定された端末局に送信すべきデータの有無と次のビーコン信号の送信周期とを通知する無線通信システムであって、端末局において、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求を基地局に対して送信する手段(端末側無線通信部36)を備え、基地局において、上記設定要求に基づいて上記ビーコン信号の送信周期を設定する手段(通信制御部15)を備えていてもよい。さらに、上記無線通信システムは、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局で実行するアプリケーションの通信パターンに応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局で実行するアプリケーションの種類に応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局で実行するアプリケーションの状態に応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局となる機器の種類に応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局となる機器の種類と実行するアプリケーションの組合せとに応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、基地局の持つバッファのサイズを調べる手段(通信制御部15)を備えていてもよい。また、上記無線通信システムは、複数のアプリケーションを実行する場合、ビーコン信号の送信周期を最も短い周期が必要なアプリケーションに合わせてもよい。また、上記無線通信システムは、端末局が複数の場合、ビーコン信号の送信周期を最も短い周期が必要な端末局に合わせてもよい。また、上記無線通信システムは、端末局が複数の場合、基地局のビーコン信号の送信周期はそのままで、各端末局のビーコン受信周期を変更してもよい。また、上記無線通信システムは、端末局のビーコン受信周期が基地局のビーコン信号の送信周期の倍数であってもよい。
本発明に係る無線通信システムにおける通信管理方法は、基地局と端末局とで構成され、基地局から定期的に送信されるビーコン信号に基づいて基地局から端末局を特定して、上記特定された端末局に送信すべきデータの有無と次のビーコン信号の送信周期とを通知する無線通信システムにおける通信管理方法であって、端末局において、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求を基地局に対して送信するステップを含む、基地局において、上記設定要求に基づいて上記ビーコン信号の送信周期を設定するステップを含んでいてもよい。さらに、上記通信管理方法は、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局で実行するアプリケーションの通信パターンに応じて決められてもよい。また、上記通信管理方法は、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局で実行するアプリケーションの種類に応じて決められてもよい。また、上記通信管理方法は、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局で実行するアプリケーションの状態に応じて決められてもよい。また、上記通信管理方法は、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局となる機器の種類に応じて決められてもよい。また、上記通信管理方法は、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が端末局となる機器の種類と実行するアプリケーションとの組合せに応じて決められてもよい。また、上記通信管理方法は、基地局の持つバッファのサイズを調べ、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求が上記バッファのサイズに応じて決められてもよい。また、上記通信管理方法は、複数のアプリケーションを実行する場合、ビーコン信号の送信周期を最も短い周期が必要なアプリケーションに合わせてもよい。また、上記通信管理方法は、端末局が複数の場合、ビーコン信号の送信周期を最も短い周期が必要な端末局に合わせてもよい。また、上記通信管理方法は、端末局が複数の場合、基地局のビーコン信号の送信周期はそのままで、各端末局のビーコン受信周期を変更してもよい。また、上記通信管理方法は、端末局のビーコン受信周期が基地局のビーコン信号の送信周期の倍数であってもよい。
本発明に係る端末局は、基地局と端末局とで構成され、基地局から定期的に送信されるビーコン信号に基づいて基地局から各端末局を特定して、上記特定された端末局に送信すべきデータの有無と次のビーコン信号の送信周期を通知する無線通信システムにおける端末局であって、上記ビーコン信号の送信周期の設定要求を基地局に対して送信する手段(端末側無線通信部36)を備えていてもよい。
本発明に係る基地局は、基地局と端末局とで構成され、基地局から定期的に送信されるビーコン信号に基づいて基地局から端末局を特定して、上記特定された端末局に送信すべきデータの有無と次のビーコン信号の送信周期を通知する無線通信システムにおける基地局であって、上記設定要求に基づいて上記ビーコン信号の送信周期を設定する手段(通信制御部15)を備えていてもよい。
本発明に係る端末局は、基地局と端末局とで構成され、基地局と端末局との間で通信を行う無線通信システムにおける端末局であって、通信の制御を行う通信制御手段(端末側無線通信部36)に対して制御の指示を出す制御指示手段(通信インタフェース部35)を備えていてもよい。さらに、上記端末局は、制御指示手段による指示が端末局で実行するアプリケーションの通信パターンに応じて決められてもよい。また、上記端末局は、制御指示手段による指示が端末局で実行するアプリケーションの種類に応じて決められてもよい。また、上記端末局は、制御指示手段による指示が端末局で実行するアプリケーションの状態に応じて決められてもよい。また、上記端末局は、制御指示手段による指示が端末局となる機器の種類に応じて決められてもよい。また、上記端末局は、制御指示手段による指示が端末局となる機器の種類と実行するアプリケーションとの組合せに応じて決められてもよい。
本発明に係る無線通信システムは、基地局と端末局とで構成され、基地局と端末局との間で通信を行う無線通信システムであって、端末局において、基地局と通信するための制御を行う端末局通信制御手段(端末側無線通信部36)と、上記端末局通信制御手段に対して制御の指示を出す制御指示手段(通信インタフェース部35)とを備え、基地局において、端末局と通信するための制御を行う基地局通信制御手段(制御部13)と、上記端末局の制御指示手段からの指示に基づいて基地局通信制御手段を制御する手段(通信制御部15)とを備えていてもよい。さらに、上記無線通信システムは、制御指示手段による指示が端末局で実行するアプリケーションの通信パターンに応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、制御指示手段による指示が端末局で実行するアプリケーションの種類に応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、制御指示手段による指示が端末局で実行するアプリケーションの状態に応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、制御指示手段による指示が端末局となる機器の種類に応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、制御指示手段による指示が端末局となる機器の種類と実行するアプリケーションの組合せに応じて決められてもよい。また、上記無線通信システムは、基地局の持つバッファのサイズを調べる手段(通信制御部15)を備えていてもよい。
また、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである通信管理プログラム(基地局10の制御プログラム、端末局30の制御プログラム)のプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU、DSP)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
具体的には、上記基地局10の通信制御部15は、基地局10のメモリ(図示せず)に格納された所定のプログラムを、基地局10のマイクロプロセッサなどが実行することにより実現される。また、上記端末局30の通信インタフェース部35、送信制御部37、受信制御部39は、端末局30のメモリ(図示せず)に格納された所定のプログラムを、端末局30のマイクロプロセッサなどが実行することにより実現される。
上記プログラムコードを供給するための記録媒体は、システムあるいは装置と分離可能に構成することができる。また、上記記録媒体は、プログラムコードを供給可能であるように固定的に担持する媒体であってもよい。そして、上記記録媒体は、記録したプログラムコードをコンピュータが直接読み取ることができるようにシステムあるいは装置に装着されるものであっても、外部記憶装置としてシステムあるいは装置に接続されたプログラム読み取り装置を介して読み取ることができるように装着されるものであってもよい。
例えば、上記記録媒体としては、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、上記プログラムコードは、コンピュータが記録媒体から読み出して直接実行できるように記録されていてもよいし、記録媒体から主記憶のプログラム記憶領域へ転送された後コンピュータが主記憶から読み出して実行できるように記録されていてもよい。
さらに、システムあるいは装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。そして、通信ネットワークとしては、特に限定されず、具体的には、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、具体的には、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された搬送波あるいはデータ信号列の形態でも実現され得る。
なお、プログラムコードを記録媒体から読み出して主記憶に格納するためのプログラム、および、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするためのプログラムは、コンピュータによって実行可能にあらかじめシステムあるいは装置に格納されているものとする。
上述した機能は、コンピュータが読み出した上記プログラムコードを実行することによって実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行うことによっても実現される。
さらに、上述した機能は、上記記録媒体から読み出された上記プログラムコードが、コンピュータに装着された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行うことによっても実現される。