JP3701191B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の吸気バルブや排気バルブの動作タイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は運転状態により要求される吸気および排気のバルブタイミングが変化するものであるが、従来、ほとんどの内燃機関ではカムシャフトはクランクシャフトからタイミングベルトなどにより駆動され、吸気および排気バルブの開閉タイミングはクランクシャフトの回転角に対して固定的に決定されていた。しかし、近年、内燃機関の出力向上や排気ガスと燃費の低減のために可変バルブタイミングシステムが採用されるようになり、バルブタイミングの制御に関する技術が種々開示されるようになってきた。
【0003】
例えば、特開平9−256878号公報に開示された技術もその一例であり、この公報に開示された技術は、内燃機関の出力軸の回転位相を変位させてカムを駆動し、吸気バルブと排気バルブとの少なくとも一方のバルブタイミングを調整するものにおいて、内燃機関の出力軸とカムとの位相差からバルブタイミングを検出し、内燃機関の運転状態から設定した目標バルブタイミングとの位相が一致するようにバルブタイミング調整手段の制御ゲインを設定すると共に、実バルブタイミングの推移からカム回転位相の変位速度を求め、この回転位相の変位速度を規範速度と比較して両者の速度差が是正されるように制御ゲインを補正するようにしたもので、これにより変位速度のバラツキを吸収し、応答性と収束性とを向上するようにしたものである。
【0004】
具体的には、このバルブタイミングの調整は、実バルブタイミングと目標バルブタイミングとに偏差が生じると、この偏差により演算した比例値と微分値とを基に応答遅れ補償分のデューティ比を油圧制御バルブに出力し、続いて、ある時点での偏差により比例値と微分値とを同様に求めたデューティ比を油圧制御バルブに出力して目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差が所定値以下になるまでそのデューティ比を保持するようにし、このデューティ比を保持している間の2点間の実バルブタイミングの変化とこの変化に要する所用時間とから回転位相の変位速度を求め、この変位速度と規範値の速度とを比較して変位速度が規範値より速い場合には応答遅れ補償デューティ比を小さく設定し、遅い場合には応答遅れ補償デューティ比を大きく設定するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置においては上記のように、回転位相の変位速度を検出するのに、ある時点で求めたデューティ比を油圧制御バルブに出力してこれを保持するため、通常の所定バルブタイミング毎の目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差から演算した比例値と微分値とから求めたデューティ比による制御に対して応答性が悪化する場合がある。また、検出した回転位相の変位速度と規範の速度とを比較してその差に応じてデューティ比を補正するようにしているため、目標バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差が生じた最初の応答遅れについてのみ補正が行われることになり、補正が充分とは言い難く、充分な応答性が得られないことがある。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、油圧制御バルブの製造上のバラツキや経時変化に対し、安定した応答性が得られると共に、流量特性のバラツキを制御で補正することが可能な内燃機関のバルブタイミング制御装置を得ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる内燃機関のバルブタイミング制御装置は、内燃機関のクランク軸に駆動され、吸気バルブを開閉するカム、前記内燃機関のクランク軸に駆動され、排気バルブを開閉するカム、前記両カムの少なくとも一方のカムと前記クランク軸との間の回転位相を変えるバルブタイミング可変手段、このバルブタイミング可変手段の動作位置を検出する動作位置検出手段、前記バルブタイミング可変手段に対する制御量を出力する制御手段を備え、この制御手段が前記バルブタイミング可変手段の規範となる特性として上記内燃機関に装着されたバルブタイミング可変手段のモデル特性を記憶すると共に、前記内燃機関の運転状態に応じた目標バルブタイミング位置を演算し、この目標バルブタイミング位置に対する前記バルブタイミング可変手段の制御量の演算は、前記動作位置検出手段が検出するバルブタイミング位置と、前記規範となる特性のバルブタイミング位置との比較結果により補正量を算出し、前記動作位置検出手段が検出したバルブタイミング位置と前記目標バルブタイミング位置から求めた制御量を前記補正量で補正することにより決定されるようにしたものである。
【0008】
また、前記動作位置検出手段によるバルブタイミング可変手段の動作位置は、クランク軸の回転角、もしくは、カムの回転角によって検出するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1ないし図8は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置を説明するためのもので、図1は内燃機関に装着されたバルブタイミング制御装置の構成を説明する説明図、図2はバルブタイミングを説明する特性図、図3は制御装置の構成を示すブロック図、図4は規範特性演算部の構成を示すブロック図、図5はバルブタイミング演算制御部の構成を示すブロック図、図6は規範モデルに対するPDコントローラの構成を示すブロック図、図7は補正量演算部のブロック図、図8は実際のバルブタイミングを制御するPDコントローラの構成を示すブロック図である。
【0010】
まず、図1によりバルブタイミング制御装置を搭載した内燃機関の構成を説明すると次の通りである。図において、1は内燃機関、2は内燃機関1の吸気通路3に設けられたエアクリーナ、4は内燃機関1の吸気量を計量するエアフローセンサ、5は吸気量を調節して内燃機関1の出力を制御するスロットルバルブ、6はスロットルバルブ5の開度を検出するスロットル開度センサ、7は吸気量に見合った燃料を供給するインジェクタ、8は内燃機関1の燃焼室内の混合気を点火する点火プラグ、9は内燃機関1の排気通路10に設けられ、排気ガス中の残存酸素量を検出するO2 センサ、11は排気ガス浄化用の三元触媒である。
【0011】
12は内燃機関1のクランク軸1aに設けられたクランク角検出用のセンサプレートでクランク角センサ13と共にクランク軸1aの回転位置(クランク角)を検出する。14は内燃機関1のカム軸1bに設けられたカム角検出用のセンサプレートでカム角センサ15と共にカム軸1bの回転角(カム角)を検出する。16は油圧制御バルブなどから構成される駆動手段であり、内燃機関1のカム軸1bに取り付けられた図示しないアクチュエータに対する供給油圧と供給油量とを制御することにより、クランク軸1aから駆動されるカム軸1bに設けられたカム軸1cのクランク軸1aに対する相対位置を制御し、所定の範囲内においてクランク軸1aに対するカム1軸bの回転角(カム位相)を制御するもので、駆動手段16と図示しないアクチュエータとでバルブタイミング可変手段を構成する。
【0012】
17は制御手段であり、内燃機関1の運転状態に応じてカム位相の制御を行うと共に、内燃機関1の種々の制御を行う。18は点火プラグ8に点火電圧を供給する点火装置である。なお、図1におけるカム軸1bとカム1cとは吸気の制御に用いられるものであり、以下に述べる制御は吸気用のバルブ操作について説明するが、排気用バルブの操作や、また、吸気用と排気用との両バルブを操作することもできるものである。
【0013】
このような構成を持つ内燃機関1において、クランク軸1aの回転はタイミングベルト、または、チェーンなどによりカム軸1bに伝達されるが、例えばカム軸1bの図示しないスプロケットなどにはバルブタイミング可変手段のアクチュエータが設けられており、クランク軸1aとカム軸1bとの相対回転位置が所定範囲内において可変に構成されているため、カム軸1bと一体で回転しているカム1cとの相対回転位置も所定範囲内において可変となっており、クランク角に対して吸気バルブと排気バルブとの少なくとも一方のバルブタイミングが制御可能に構成され、このバルブタイミングは駆動手段16に対する制御量により制御される。
【0014】
また、内燃機関1の吸気量はエアフローセンサ4により計量され、制御手段17はこの吸気量に見合った燃料が噴射されるようにインジェクタ7を制御すると共に適切な点火時期を演算して点火装置18を制御する。燃焼した排気ガスは排気通路10に設けられた三元触媒11により浄化されるが、この浄化効率を最良なものとするために排気通路10に設けられたO2センサ9により排気ガス中の残存酸素量を検出し、混合気が理論混合比となるように制御手段17がフィードバック制御を行う。
【0015】
図2は、クランク軸1aに対する回転位相が、排気バルブ側が固定であり、吸気バルブ側が可変の場合のクランク軸1aの回転角に対する各バルブのリフト量を示すものである。吸気バルブは実線から破線の間でタイミングの変化が可能となっており、実線は排気バルブに対するバルブオーバラップが最小となる最遅角位置で、破線はオーバラップが最大となる最進角位置である。従って、バルブタイミングを進角させることは、バルブオーバラップ量が大きくなる方向に制御することであり、遅角させることは、バルブオーバラップ量が小さくなる方向に制御することである。また、バルブタイミングは制御手段17の制御量により、最遅角位置から最進角位置までの間において、任意の位置で保持することが可能である。
【0016】
図3は制御手段17でのバルブタイミング制御を示すブロック図であり、19はバルブタイミングを演算する演算制御部、20は規範特性演算部である。演算制御部19はカム角センサ15からの信号SGCと、クランク角センサ13からの信号SGTと、エアフローセンサ4からの信号AFSとを入力し、バルブタイミングの位置検出と内燃機関1の充填効率とを演算し、これらから制御量ODpdを演算してバルブタイミング可変手段の駆動手段16に出力する。また、演算制御部19は規範特性演算部20に規範目標電流値Olpdiを出力し、規範特性演算部20が内燃機関1に装着されたバルブタイミング可変手段のモデル特性から規範進角量Pdiを演算し、この演算結果を演算制御部19が入力してバルブタイミング可変手段の駆動手段16に出力する制御量ODpdを補正する。以下に演算制御部19と規範特性演算部20との詳細構成と動作とを説明する。
【0017】
規範特性演算部20は図4のブロック図に示す構成を持ち、21は演算制御部19から規範目標電流値Olpdiを入力する入力部、22はバルブタイミングの変化速度を0としてクランク軸1aに対するカム1cの相対回転位置を保持する制御量である規範保持電流値を生成する規範保持電流生成手段、23は規範目標電流値Olpdiから規範保持電流値を減算して保持電流を基準とした電流偏差値を生成する減算器、24は駆動回路などでの遅れを考慮して入力された電流偏差値に対して一次遅れ演算を行う一次遅れ演算手段である。
【0018】
25はルックアップテーブルで、電流偏差値を入力して設定された変換テーブルを参照し、電流偏差値をクランク角の変化速度(クランク角deg/sec)に変換する。26は積分器で、クランク角の変化速度を入力してクランク角Pdiに変換し、遅れ処理手段27により無駄時間分遅らせて出力手段28から演算制御部19にクランク角Pdiを規範進角量として出力する。一次遅れ演算手段24の時定数とルックアップテーブル25の変換テーブルと遅れ処理手段27の無駄時間とは、内燃機関1に装着されたバルブタイミング可変手段の規範値が得られるような理想的なモデル特性となるように各値が設定されるか、もしくは、バルブタイミング可変手段の特性の中央値の値を用いて設定される。
【0019】
図5は演算制御部19の構成を示すブロック図であり、30はバルブタイミング検出手段で、カム角センサ15からの信号SGCと、クランク角センサ13からの信号SGTとを入力して実際のバルブタイミングである検出進角量Pdを算出する。31はクランク角センサ13からの信号SGTを基に内燃機関1の回転速度を検出する回転速度検出手段であり、ここで検出された内燃機関1の回転速度Neは充填効率演算手段32に与えられ、充填効率演算手段32ではこの回転速度Neとエアフローセンサ4からの吸入空気量信号AFSとにより内燃機関1の負荷状態を示す充填効率Ceを演算する。
【0020】
33は目標進角量演算手段であり、例えば、回転速度Neと充填効率Ceとを入力して予め設定された二次元マップを補間参照し、内燃機関1の運転状態に適合した目標バルブタイミング位置、すなわち、目標進角量Ptを演算する。34は目標進角量Ptと上記した規範特性演算部20の出力手段28から出力される規範進角量Pdiとを入力してその差を求め、規範進角量偏差dPiとしてPDコントローラ35と補正値演算手段36とに出力する減算器であり、このPDコントローラ35は図6に示すような構成を有している。
【0021】
図6において、図5の減算器34にて生成された規範進角量偏差dPiは比例ゲインPgainを保有する乗算器42に入力され、ここで比例ゲインPgainが規範進角量偏差dPiに乗算されて規範比例値dPpiが生成される。また規範進角量偏差dPiは記憶手段43に入力されてここでは規範進角量偏差の前回値(dPi(i−1))として保存され、減算器44にて今回の規範進角量偏差dPiと前回の規範進角量偏差(dPi(i−1))との差が求められて微分ゲインDgainを保有する乗算器45に入力され、Dgainが乗算されて規範微分値dPdiが算出される。
【0022】
46は加算器であり、規範比例値dPpiと規範微分値dPdiとが加算されて規範目標進角速度dPpdi、すなわち、バルブタイミング可変手段の目標変位速度が求められ、規範目標電流演算手段47にて記憶されたテーブル値を補間参照して規範目標電流値偏差Ipdiが求められる。22は上記したようにバルブタイミング可変手段が一定の位置を保持するためにバルブタイミング可変手段の駆動手段16に与える保持電流を生成する規範保持電流生成手段であり、規範保持電流生成手段22が生成する規範保持電流値ILiと規範目標電流値偏差Ipdiとが加算器48により加算されて規範目標電流値OIpdiとして規範特性演算部20の入力部21に与えられる。従って、このPDコントローラ35と図4に示した規範特性演算部20とは閉ループ構成となっておりフィードバック制御されることになる。
【0023】
図5に戻り、バルブタイミング検出手段30からの検出進角量Pdと目標進角量演算手段33からの目標進角量Ptとが減算器37に入力されて進角量偏差dPが求められ、この進角量偏差dPと上記した規範進角量偏差dPiとが補正値演算手段36に入力される。補正値演算手段36は図7に示す構成を持ち、バルブタイミング可変手段に対する応答性の補正量を求めるものである。図7において、減算器37からの進角量偏差dPと減算器34からの規範進角量偏差dPiとが減算器49に入力されて規範進角量偏差dPiから進角量偏差dPが減算され、偏差dPcrが求められる。さらに、乗算器50にてゲインPCRgainが乗算されて補正値dPpcrが算出され、判定手段53に入力される。
【0024】
判定手段53には進角量偏差dPが判定値として入力され、進角量偏差dPが0以上の値であれば補正値dPpcrはそのまま出力され、0未満であれば符号反転手段54を経由して入力される(−dPpcr)を出力する。すなわち、目標進角量Ptに対して検出進角量Pdの方が規範進角量Pdiより応答速度が遅ければ、進角量偏差dPと目標進角量Ptとの差が(+)となるので補正値はプラス値であり、逆であれば補正値はマイナス値である。55は定数生成部でありここで生成される定数1.0が加算手段56で加算され、補正係数Crとして図5に示すPDコントローラ38に出力される。従って、応答性が遅ければ補正係数Crは1.0以上となり、補正時に乗算することで増量されて応答性が速くなる方向に補正され、逆に応答性が速ければ補正係数Crが1.0以下となり、補正時に乗算することで減量されて応答性を遅くする方向に補正される。
【0025】
再び図5に戻り、減算器37で検出進角量Pdと目標進角量Ptとの差として求められた進角量偏差dPはバルブタイミングを制御するPDコントローラ38に入力され、また、PDコントローラ38には図7で詳述した補正値演算手段36からの補正係数Crが入力されてバルブタイミング可変手段の駆動手段16に対する目標電流偏差Ipdが求められる。このPDコントローラ38は規範特性演算部20を制御するPDコントローラ35とは同一定数(比例ゲイン、微分ゲイン、進角速度対電流値偏差テーブル)が設定されており、補正係数Crによる補正の部分のみが動作としては異なるものである。
【0026】
このPDコントローラ38の構成を示したのが図8のブロック図であり、図8において、減算器37からの進角量偏差dPは比例ゲインPgainを保有する乗算器57に入力され、ここで比例ゲインPgainが乗算されて比例値dPpが生成される。また、進角量偏差dPは記憶手段58に入力されてここでは進角量偏差の前回値(dP(i−1))として保存され、減算器59にて今回の進角量偏差dPと前回の進角量偏差(dP(i−1))との差が求められて微分ゲインDgainを保有する乗算器60に入力され、dPと(dP(i−1))との差にDgainが乗算されて微分値dPdが算出される。
【0027】
61は加算器であり、比例値dPpと微分値dPdとが加算されて目標進角速度dPpd、すなわち、バルブタイミング可変手段の目標変位速度が求められ、目標電流偏差演算手段62にて記憶されたテーブル値を補間参照して目標電流値偏差Ipdtが求められる。36は上記した応答性の補正係数を求める補正値演算手段であり、この補正値演算手段36が出力する補正係数Crと目標電流偏差演算手段62が出力する目標電流値偏差Ipdtとが乗算器63により乗算されて規範進角量Pdiに対する実進角量Pdの応答性の差を補正し、目標電流値偏差Ipdとして出力手段64から出力される。
【0028】
また図5に戻り、39は保持電流学習手段であり、例えば、検出された実進角量が目標進角量に追従できており、進角位置すなわちバルブタイミングの位置が安定している状態において、駆動手段16に対する制御量、例えば、油圧制御バルブに対する制御電流を学習するものである。この学習された制御量はバックアップRAMに記憶され、バックアップ電源が遮断されない限り保存される。40は加算器であり、PDコントローラ38が出力する目標電流値偏差Ipdと保持電流学習手段39が学習した保持電流学習値ILとが加算され、目標電流値OIpdの信号としてPWM変調器41に出力され、PWM変調器41から目標電流値OIpdとしてバルブタイミング可変手段の駆動手段16に出力される。
【0029】
このように、規範特性演算部20の時定数や変換テーブルなどを規範モデルとして理想特性に設定し、この規範モデルより求めたクランク角と実際に検出したクランク角とを比較してその偏差により補正量を演算し、補正するようにしたので、実際に内燃機関に装着されているバルブタイミング制御装置の応答性を規範モデルの応答性、すなわち、理想とする応答性に近づけることが可能になり、駆動手段16などの製造上のバラツキなどに影響されることなく内燃機関1の性能を安定させることができるものである。また、この制御を行うことにより、バルブタイミング制御装置の経年変化による性能変化を吸収することができ、駆動手段16などの製造公差を緩和することもできるものである。
【0030】
なお、補正量の演算に際し、上記の説明では比例演算を行うようにしたが、微分演算や積分演算など他の手法を使用しても同様の効果が得られ、また、規範モデルのクランク角を用いて補正したが、予め演算した演算結果のみを応答性に関するデータとして変換テーブルに記憶させることもでき、吸気バルブの制御でなく、排気バルブの制御にも使用することができるものである。
【0031】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明の内燃機関のバルブタイミング制御装置の請求項1に記載した発明によれば、内燃機関のクランク軸に駆動され、吸気バルブを開閉するカム、前記内燃機関のクランク軸に駆動され、排気バルブを開閉するカム、前記両カムの少なくとも一方のカムと前記クランク軸との間の回転位相を変えるバルブタイミング可変手段、このバルブタイミング可変手段の動作位置を検出する動作位置検出手段、前記バルブタイミング可変手段に対する制御量を出力する制御手段を備え、この制御手段が前記バルブタイミング可変手段の規範となる特性として上記内燃機関に装着されたバルブタイミング可変手段のモデル特性を記憶すると共に、前記内燃機関の運転状態に応じた目標バルブタイミング位置を演算し、この目標バルブタイミング位置に対する前記バルブタイミング可変手段の制御量の演算は、前記動作位置検出手段が検出するバルブタイミング位置と、前記規範となる特性のバルブタイミング位置との比較結果により補正量を算出し、前記動作位置検出手段が検出したバルブタイミング位置と前記目標バルブタイミング位置から求めた制御量を前記補正量で補正することにより決定されるようにしたので、バルブタイミング可変手段の製造上のバラツキなどに影響されることなく特性を安定させることができ、経年変化による性能変化を吸収し、製造公差を緩和することが可能な内燃機関のバルブタイミング制御装置を得ることができるものである。
【0032】
また請求項2の発明によれば、バルブタイミング可変手段の動作位置を、クランク軸の回転角、もしくは、カムの回転角により検出するようにしたので、クランク角センサなど既存の検出手段により請求項1の効果を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置の構成を説明する説明図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置のバルブタイミングの特性図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置の制御装置のブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置の規範特性演算部のブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置の演算制御部のブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置のPDコントローラのブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置の補正量演算部のブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置のPDコントローラのブロック図である。
【符号の説明】
1 内燃機関、1a クランク軸、1c カム、4 エアフローセンサ、
5 スロットルバルブ、7 インジェクタ、12、14 センサプレート、
13 クランク角センサ、15 カム角センサ、16 駆動手段、
17 制御手段、19 演算制御部、20 規範特性演算部、
21 バルブタイミング検出手段、33 目標進角量演算手段、
36 補正値演算手段、35、38 PDコントローラ。

Claims (2)

  1. 内燃機関のクランク軸に駆動され、吸気バルブを開閉するカム、前記内燃機関のクランク軸に駆動され、排気バルブを開閉するカム、前記両カムの少なくとも一方のカムと前記クランク軸との間の回転位相を変えるバルブタイミング可変手段、このバルブタイミング可変手段の動作位置を検出する動作位置検出手段、前記バルブタイミング可変手段に対する制御量を出力する制御手段を備え、この制御手段が前記バルブタイミング可変手段の規範となる特性として上記内燃機関に装着されたバルブタイミング可変手段のモデル特性を記憶すると共に、前記内燃機関の運転状態に応じた目標バルブタイミング位置を演算し、この目標バルブタイミング位置に対する前記バルブタイミング可変手段の制御量、前記動作位置検出手段が検出するバルブタイミング位置と、前記規範となる特性のバルブタイミング位置との比較結果により補正量を算出し、前記動作位置検出手段が検出したバルブタイミング位置と前記目標バルブタイミング位置から求めた制御量を前記補正量で補正することにより決定されることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記動作位置検出手段によるバルブタイミング可変手段の動作位置は、クランク軸の回転角、もしくは、カムの回転角によって検出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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