JP3700302B2 - 感熱記録体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ尿素化合物ポリ尿素化合物を顕色剤として用いる感熱記録体に関するものである。従来の顕色剤と比較して、記録部の画像保存性及び白紙部の耐熱地色安定性に優れており、記録画像の長期保存性が求められる用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、感熱記録体は、通常電子供与性化合物である無色あるいは淡色の染料前駆体と電子受容性化合物である顕色剤とを、それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダー、充填剤、増感剤、滑剤その他の助剤を添加して得た塗液を紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗布したもので、感熱ヘッド、ホットスタンプ、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色記録を得るものである。これらの感熱記録体は、計測用レコーダー、コンピュータの端末プリンター、ファクシミリ、自動券売機、バーコードラベルなど広範囲の分野に応用されている。
【0003】
しかし、近年における感熱記録体用記録装置の多様化、高性能化の進展に伴い、感熱記録体に対して要求される品質もより高度なものとなってきた。また、電子写真方式やインクジェット方式などの普通紙記録方式の普及に伴い、感熱記録方式もこれら普通紙記録と比較される機会が多くなっている。そのため、例えば、感熱記録体の記録部(画像)の安定性、あるいは記録前後の非記録部(地色部又は白紙部)の安定性などが、普通紙記録方式と同程度の品質に近づくことが求められている。特に記録画像の保存安定性の点から、耐光性、耐油性、耐水性、および耐可塑剤性などに優れた感熱記録体が要求されている。
【0004】
これらの問題を解決するため、耐油性、耐可塑剤性について感熱発色層中にエポキシ化合物(特開平4−97887号公報)、アジリジン化合物(特開平4−113888号公報)、各種金属塩を含有する例(特開昭63−22683号公報など)が知られている。しかし、その効果は不十分である。
【0005】
一方、従来から用いられてきたフェノール系顕色剤に代り、ヒドロキシ基を有さずに染料前駆体を発色せしめうる酸性雰囲気を呈した、いわゆる非フェノール系顕色剤が開発されつつある。例えば、チオ尿素化合物(特開昭58−211496号公報)、カルボニルスルホンアミド化合物(特開平4−282291号公報)、有機リン化合物(特開平6−99666号公報)などが挙げられる。発色画像の消色原因の一つに染料と顕色剤との解離があるが、上記非フェノール系顕色剤は従来のフェノール系顕色剤よりも水、油、可塑剤等に溶けにくく、画像保存性が向上すると考えられる。しかし、多少の効果はあるものの、その程度は未だ十分なものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、記録部の画像保存性及び白紙部の耐熱地色安定性を改良した安価な感熱記録体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本研究者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリ尿素化合物が感熱記録体の顕色剤として優れた機能を発揮することを見い出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ポリ尿素化合物を単独又は2種以上併用して用いることを特徴とし、下記一般式(1)、(2)、(3)、又は(4)で表される繰り返し単位を有するポリ尿素化合物は本発明において有効に用いられる。
【0008】
【化5】
Figure 0003700302
【0009】
【化6】
Figure 0003700302
(但し、R1、R2はどちらか一方がHで他方はメチル基を表す。)
【0010】
【化7】
Figure 0003700302
(但し、A1は−NH−を表す。R3は炭素数1〜12のメチレン鎖、置換又は未置換のアリール基を表す。)尚、置換基としては発色能を阻害しないものであればよく、アルキル基やアルコキシ基、ハロゲン等が挙げられる。
【0011】
【化8】
Figure 0003700302
(但し、R4、R5はどちらか一方がHで他方はメチル基を表す。A2は−NH−を表す。
6は炭素数1〜12のメチレン鎖、置換又は未置換のアリール基を表す。)尚、置換基としては発色能を阻害しないものであればよく、アルキル基やアルコキシ基、ハロゲン等が挙げられる。
【0012】
本発明の化合物は、フェノール性OH基を持たない非フェノール系顕色剤である。尿素又はウレタン化合物を顕色剤として用いた例は既に公知(特開昭57−57993号公報、特開昭58−211496号公報等)であり、該化合物が染料前駆体を発色させる十分な顕色能力を有していることが明らかになっている。さらにこれらを顕色剤として用いた場合、従来のフェノール系顕色剤と比較して記録部の画像保存性が向上することが知られている。その理由は、尿素又はウレタン系顕色剤はフェノール系顕色剤に比べ油や可塑剤、各種溶剤等への溶解度が小さいため、これらに曝されても溶出することがなく、結果として染料との解離による画像消失が起こらず、優れた画像保存性が得られるためと考えられる。
【0013】
一方、一般に顕色剤を高分子量とすると、顕色能が大幅に低下してしまう傾向があることが知られている。これに対し、本発明は、尿素又はウレタン化合物の油や可塑剤、各種溶剤等に対する不溶性が画像消失を防ぐという考えをさらに推し進め高分子量とすることで、より画像保存性を向上させることが可能であることに着目するとともに、尿素又はウレタン化合物は高分子量となっても実用に足る顕色能を有することを初めて見い出すことによってなされたものである。
【0014】
本発明で用いるポリ尿素顕色剤は、従来用いられてきたフェノール系顕色剤は勿論のこと、これまで提案された低分子量の尿素又はウレタン顕色剤よりも格段に優れた画像保存性を示す。さらに、尿素又はウレタン系化合物と同様に白紙部の耐熱地色安定性が良好である。特に、一般式(1)、(2)、(3)、又は(4)で表される繰り返し単位を有するポリ尿素化合物における効果は顕著であり好ましい。
【0015】
加えて、本発明のポリ尿素の原料となるジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート<商品名:MDI>やトルイレン−2,4−ジイソシアネート<2,4−TDI>、トルイレン―2,6―ジイソシアネート<2,6−TDI>は、塗料や接着剤、ポリウレタン原料として工業的に大量に生産されていることから、非常に容易かつ安価に入手可能である。また、製造する際も特殊な設備を必要とせず、高収率で合成することができる。そのため、本発明の顕色剤の製造コストは非常に安価になる利点がある。
【0016】
本発明で用いられる一般式(1)、(2)、(3)、又は(4)の化合物の具体例として以下の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、例示中nは4以上の整数を表す。
【0017】
【化9】
Figure 0003700302
【0018】
【化10】
Figure 0003700302
【0019】
【化11】
Figure 0003700302
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリ尿素化合物は、従来公知の方法(例えばE.L.Lawton et al.,J.Appl.Polym.Sci.,25,187(1980)やD.J.Lyman,J.Polym.Sci.,45,49(1960)など)により合成することができる。ポリ尿素の場合、ジイソシアネートとジアミンを不活性ガス雰囲気下で混合し、数分〜数時間室温で撹拌して反応させる。生成する沈殿を濾取し、乾燥すればよい。
【0021】
本発明の感熱記録体を製造するには、従来公知の種々の製造方法を利用することができる。具体的には、以下の様な方法で製造することができる。即ち、ポリ尿素化合物、染料前駆体、増感剤をそれぞれボールミル、アトライター、サンドグラインダー等の粉砕機あるいは乳化機で微粒化し、各種填料及び各種添加剤を加え、水溶性バインダーの水溶液中で分散して塗料とし、これをエアーナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター等の各種コーター等で任意の支持体に塗工すると感熱記録体が得られる。
【0022】
本発明の感熱記録体に使用する染料前駆体としては、従来公知のものを使用することができる。以下に染料前駆体を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0023】
3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド<商品名:CVL>、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB>、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン<ODB−2>、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<S−205>、3−ジエチルアミノ−7−m−トリフルオロメチルアニリノフルオラン<Black−100>、3−ジブチルアミノ−7−o−クロロアニリノフルオラン<TH−107>、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン<PSD−150>、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン<Green−2>、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド<MGL>、トリス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン<LCV>、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド<インドリルレッド>、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン<OR−55>、3,3−ビス[2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド<NIR−Black>、1,1,5,5−テトラキス(p−ジメチルアミノフェニル)−3−メトキシ−1,4−ペンタジエン、1,1,5,5−テトラキス(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,4−ペンタジエン。
【0024】
本発明において顕色剤として用いられるポリ尿素化合物は、それぞれ単独で用いるか、ポリ尿素化合物同士2種以上併用して用いてもよい。
【0025】
染料前駆体と顕色剤を発色成分とする感熱記録体においては、発色感度を上げるために通常増感剤が使用される。以下に増感剤を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0026】
ステアリン酸、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘン酸、エチレンビスステアロアミド、ヤシ脂肪酸アミド、モンタン系ワックス、ポリエチレンワックス、フェニル−α−ナフチルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、ジフェニルカーボネート、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、トリフェニルメタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビスフェノキシエタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビスフェノキシブタン、1,4−ビスフェノキシブテン、2−ナフチルベンジルエ−テル、1,4−ジエトキシナフタリン、1,4−ジメトキシナフタリン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、2−ナフトエ酸フェニルエステル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニル−2−プロパノール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、ノルマルオクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、ノルマルオクタデシルカルバモイルベンゼン。
【0027】
本発明においては、記録画像の安定性を向上させるため、各種助剤を添加してもよい。以下に助剤を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0028】
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、p−クロロ安息香酸金属塩(Zn、Ca)、p−ニトロ安息香酸金属塩(Zn、Ca)、フタル酸モノベンジルエステル金属塩(Zn、Ca)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチル)フェノール。
【0029】
本発明の感熱記録体に使用するバインダーとしては、従来、感熱記録の分野で公知のものを使用することができる。以下にバインダーを例示するが、これらに限定されるものではない。
【0030】
重合度が2000以下の完全ケン化ポリビニールアルコール、部分ケン化ポリビニールアルコール、カルボキシ変性ポリビニールアルコール、アマイド変性ポリビニールアルコール、スルホン酸変性ポリビニールアルコール、その他の変性ポリビニールアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン、酢酸ビニール、アクリルアミド、アクリル酸エステル等の重合体及び共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、その他を挙げることができる。これら天然及び合成高分子物質は水またはアルコール等の有機溶剤に溶解して使用するほか、水等の媒体に乳化またはペースト状に分散した状態で使用できる。また、これらを2種類以上使用することもできる。
【0031】
本発明の感熱記録体に使用する填料としては、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、水酸化マグネシウム、酸化チタン、尿素ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、その他の天然または合成の無機または有機填料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらを2種類以上使用することもできる。
【0032】
添加剤としては、紫外線吸収剤、消泡剤、蛍光増白剤、耐水化剤、滑剤等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明の感熱記録体に使用する染料前駆体及び顕色剤の量、その他の各種主成分の種類及び量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され特に限定されるものではないが、通常、染料前駆体1部に対して、顕色剤1〜8部、填料1〜20部が好ましく、バインダーは全固形分中10〜25%が好ましい。
【0034】
本発明の感熱記録体に使用される支持体としては、上質紙、中質紙、コート紙等の紙や、合成紙、プラスチックフィルム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
さらに保存性を高める目的で、高分子物質等のオーバーコート層を感熱発色層上に設けることもできる。また、保存性及び感度を高める目的で、有機填料又は無機填料を含有するアンダーコート層を発色層と支持体の間に設けることもできる。
【0036】
【実施例】
下記に実施例として本発明で用いるポリ尿素化合物の合成例、及び感熱記録体の製造例を例示し、本発明を具体的に説明する。
−本発明の化合物の合成−
【0037】
[合成例1] MDIと4,4’−ジアミノジフェニルメタンとのポリ尿素化合物(A−01)の合成
4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.0gを無水アセトン20mlに溶解した。ここに窒素雰囲気下で、MDI3.75gを無水アセトン20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下後すぐに白色沈殿が生成した。そのまま室温で2時間撹拌した。反応終了後、沈殿を濾別し、アセトンで洗浄、減圧乾燥して白色固体(A−01)を6.22g(収率92%)得た。
<分解点>300℃以上
<IRスペクトル>
(KBr錠剤法,cm-1)3306,3019,1649,1595,1540,1508,1407,1304,1229,1199,1178,810,501
【0038】
[合成例2] MDIと1,6−ヘキサメチレンジアミンとのポリ尿素化合物(A−02)の合成
1,6−ヘキサメチレンジアミン1.86gをジメチルアセトアミド20mlとアクリロニトリル20mlに溶解した。ここに窒素雰囲気下で、MDI4.00gをジメチルアセトアミド20mlとアクリロニトリル20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下後すぐに溶液が白濁した。そのまま室温で2時間撹拌した。反応終了後、溶液をメタノール300mlに投入し、生成した沈殿を濾別し、アセトンで洗浄、減圧乾燥して白色固体(A−02)を4.65g(収率79%)得た。
<分解点>260−270℃
<IRスペクトル>
(KBr錠剤法,cm-1)3314,2929,2851,1639,1596,1541,1510,1411,1307,1236
【0039】
【0040】
[合成例4] 2,4−TDIと4,4’−ジアミノジフェニルメタンとのポリ尿素化合物(A−06)の合成
4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.42gを無水アセトン20mlに溶解した。ここに窒素雰囲気下で、2,4−TDI2.47mlを無水アセトン20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下後すぐに溶液が白濁した。そのまま室温で2時間撹拌した。反応終了後、生成した沈殿を濾別し、アセトンで洗浄、減圧乾燥して白色固体(A−06)を6.14g(収率96%)得た。
<分解点>300℃以上
<IRスペクトル>
(KBr錠剤法,cm-1)3293,2272,1645,1596,1540,1510,1409,1304,1218,1203,810,662,507
【0041】
[合成例5] 2,4−TDIと1,6−ヘキサメチレンジアミンとのポリ尿素化合物(A−08)の合成
1,6−ヘキサメチレンジアミン2.67gをジメチルアセトアミド20mlとアクリロニトリル20mlに溶解した。ここに窒素雰囲気下で、2,4−TDI3.29mlをジメチルアセトアミド20mlとアクリロニトリル20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下後すぐに溶液が白濁した。そのまま室温で2時間撹拌すると徐々に半透明ゲル状固体になった。反応終了後、これをメタノール300mlに投入し、生成した沈殿を濾別し、アセトンで洗浄、減圧乾燥して白色固体(A−08)を5.41g(収率81%)得た。
<分解点>230−245℃
<IRスペクトル>
(KBr錠剤法,cm-1)3326,2930,2856,1633,1546,1446,1413,1215,1011,649,591
【0042】
【0043】
[合成例7] 2,6−TDIと1,6−ヘキサメチレンジアミンとのポリ尿素化合物(A−14)の合成
1,6−ヘキサメチレンジアミン2.67gをジメチルアセトアミド20mlとアクリロニトリル20mlに溶解した。ここに窒素雰囲気下で、2,6−TDI4.00gをジメチルアセトアミド20mlとアクリロニトリル20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下後すぐに溶液が白濁した。そのまま室温で2時間撹拌した。反応終了後、溶液をメタノール300mlに投入し、生成した沈殿を濾別し、アセトンで洗浄、減圧乾燥して白色固体(A−14)を6.34g(収率95%)得た。
<分解点>250℃以上
<IRスペクトル>
(KBr錠剤法,cm-1)3320,2930,2857,1636,1558,1472,1438,1294,1241,1066,783,668
【0044】
−感熱記録体の製造−
[実施例1〜7]下記組成物からなる感熱記録体を作製した。即ち、まず下記配合の染料分散液(A液)と顕色剤分散液(B液)を各々サンドグラインダーにて平均粒子径1μmまで磨砕した。
(A液:染料分散液)
3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 4.6部
水 2.6部
(B液:顕色剤分散液)
本発明の化合物(表1、2参照) 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
次いで、下記の割合でA液とB液及びカオリンクレーの分散液を混合して感熱塗料とした。
A液:染料分散液 9.2部
B液:顕色剤分散液 36.0部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
この感熱塗料を50g/m2の基紙の片面に塗布量6.0−6.5g/m2になる様に塗布乾燥し、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500−600秒になる様に処理し、感熱記録体を作製した。
【0045】
[比較例1〜3]顕色剤分散液(B液)において、本発明の化合物に代えて下記に示す従来公知の顕色剤を用いた以外は、実施例1〜7と同様にして感熱記録体を作製した。
2,2−ビス4−(ヒドロキシフェニル)プロパン (B−01)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン (B−02)
1,3−ジフェニル尿素 (B−03)
【0046】
−感熱記録体の評価−
[発色方法]作製した感熱記録体をUBIプリンター201(UBI社製)を使用し、印加エネルギー450mj/mm2で、作製した感熱記録体に記録を行った。次いで、その記録部及び白紙部の画像濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルターを使用)により測定した。これを試験サンプルとし、以下の試験を行った。
【0047】
[耐可塑剤性試験]:試験サンプルを塩化ビニルフィルム(三菱樹脂(株)製ダイアラップ300G)に接触させ、40℃で24時間放置し、記録部の画像残存濃度をマクベス濃度計で測定した。
【0048】
[耐油性試験]:試験サンプルをサラダ油に1時間浸し、油を拭き取り、24時間室温に放置し、記録部の画像残存濃度をマクベス濃度計で測定した。
【0049】
[耐水性試験]:試験サンプルを水道水に24時間浸し、30℃で2時間乾燥し、記録部の画像残存濃度をマクベス濃度計で測定した。
【0050】
[白紙部の耐熱地色試験]:試験サンプルを100℃で30分放置し、白紙部の濃度をマクベス濃度計で測定した。
【0051】
記録部の画像保存性試験の結果を表1、白紙部の耐熱地色試験の結果を表2に示す。その際の画像残存率は下記数式1より算出した。この値が大きい程、画像保存性が優れている事を示す。
【0052】
【数1】
画像残存率(%)=(試験後の画像濃度/試験前の画像濃度)×100
【0053】
【表1】
Figure 0003700302
【0054】
【表2】
Figure 0003700302
【0055】
この結果から明らかなように、本発明の化合物を顕色剤として用いた実施例1〜7は、従来のフェノール系顕色剤を用いた比較例1〜2に比べ、記録部の画像保存性が格段に向上している。また、低分子量の尿素化合物を顕色剤に用いた比較例3と比べても、画像保存性の大幅な向上が見られる。さらに本発明の化合物は白紙部の耐熱地色の安定性も良好である。
【0056】
【発明の効果】
本発明のポリ尿素化合物を顕色剤として用いた感熱記録体は、記録部の画像保存性及び白紙部の耐熱地色安定性に非常に優れており、また安価に製造可能であるため、極めて有用なものである。

Claims (1)

  1. 無色または淡色の染料前駆体と、加熱時に反応して該染料前駆体を発色させる顕色剤とを含む感熱発色層を有する感熱記録体(但しマイクロカプセルを用いたものは除く)において、該顕色剤として下記一般式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を有するポリ尿素化合物をそれぞれ単独又はこれらから2種以上併用して用いることを特徴とする感熱記録体。
    Figure 0003700302
    Figure 0003700302
    (但し、R1、R2はどちらか一方がHで他方はメチル基を表す。)
    Figure 0003700302
    (但し、A1は−NH−を表す。R3は炭素数1〜12のメチレン鎖、置換又は未置換のアリール基を表す。)
    Figure 0003700302
    (但し、R4、R5はどちらか一方がHで他方はメチル基を表す。A2は−NH−を表す。
    6は炭素数1〜12のメチレン鎖、置換又は未置換のアリール基を表す。)
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