JP3699904B2 - 液体現像剤を用いた画像形成装置、キャリア処理装置及びキャリア処理方法 - Google Patents

液体現像剤を用いた画像形成装置、キャリア処理装置及びキャリア処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体現像剤から発生するキャリア溶媒の蒸気を含んだ排気を浄化し清浄な排気を排出することができる、液体現像剤を用いた画像形成装置、液体現像剤を用いた画像形成装置の排気浄化を行うキャリア処理装置及びキャリア処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体現像剤を用いた湿式の電子写真画像形成装置は、乾式装置では実現できない利点を有しており、近年その価値が見直されつつある。乾式に対する湿式電子写真技術の主な利点は、(1)サブミクロンサイズの極めて微細なトナーを用いることが出来るため、高画質を実現できること、(2)少量のトナーで十分な画像濃度が得られるため、経済的であるうえに印刷(例えばオフセット印刷)並みの質感を実現できること、(3)比較的低温でトナーを用紙に定着出来るため、省エネルギーを実現できること、などである。
【0003】
一方、従来の液体トナーによる湿式電子写真技術にはいくつかの本質的な問題点が含まれており、そのために長い間乾式技術の独壇場を許してきた。例えば、静電潜像を現像するために高低抗ないしは絶縁性の液体をキャリア液とした液体現像剤を用いなければならず、多くの場合、キャリア液として石油系の溶媒が用いられ、溶媒が空気中へ揮発し臭気を伴うため、その対策が必要である。また、液体現像剤の電界転写においては、帯電粒子であるトナーが周知の電気泳動現象によって溶媒中を移動して用紙へ転写される。従って、電界転写においては所定量の溶媒が潜像保持体と用紙の間に介在していなければならず、その結果、転写後の用紙には多量の溶媒が付着する。この溶媒は、熱による定着工程でその一部が揮発し、装置外へ放出されるため、溶媒の臭気や吸入による人体への悪影響といった問題を引き起こした。また、定着後に装置外へ排紙された用紙は依然として多量の溶媒を含んでおり、アレルギー体質のユーザーがこれに触れた場合には湿疹等の皮膚炎をもたらすことがある。
【0004】
このような問題を解決するため、潜像保持体から一旦中間転写媒体へ転写し、しかる後に用紙へ転写する方法が提案されている。米国特許第5,148,222号公報、同第5,166,734号公報、同第5,208,637号公報等には、潜像保持体から中間転写媒体へ電界によって転写し、しかる後に用紙へ圧力(および熱)によって転写する方法が開示されている。これらの提案においては、熱及び圧力によって用紙に転写するため、電界転写の場合のような溶媒の介在は必要とせず、上記の問題は生じない。また、中間転写媒体に付着した溶媒は、用紙への圧力転写に先立って、加熱やエアーの吸引などによって気化させたり吸い取ったりすることが可能であるため、用紙への溶媒付着を著しく低減できる。
【0005】
しかし、これらの提案においても、キャリア液の用紙への付着は低減できてもキャリア液の蒸気が発生することを防止できるわけではないため、キャリア液蒸気が装置内に充満することになる。この場合、装置内の空気をそのまま装置外に排出することは前述の理由等から好ましくない。そこで、溶剤蒸気を装置内で回収することが行われている。例えば、特開昭48−82835号公報では、定着部の周囲で発生するキャリア液蒸気を吸引して液化回収を行っている。しかし、冷却によって液化を行うにしても、溶媒蒸気の濃度を冷却温度における飽和蒸気圧の濃度より低く下げることは出来ないため、回収効率が悪い。また、冷却により飽和蒸気圧まで溶媒蒸気濃度が下がっているとはいっても、そのまま装置外に排出するのが好ましくないのは前述からも明らかである。更に、キャリア蒸気を液化回収する際に、キャリア蒸気だけでなく混合している空気や水なども共に冷却されるため、キャリアのみを効率よく回収することが難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の液体現像技術を用いた電子写真装置においては、現像剤に含まれるキャリア液が用紙に付着して、あるいは蒸気として装置外に放出され易いという問題がある。
【0007】
一方、活性炭などの吸着剤を充填したフィルタにキャリア蒸気を含んだ排気を通気させてキャリア蒸気の回収を行うことも可能である。しかし、この場合には、フィルタに充填された吸着剤の一部分のみがキャリア蒸気の吸着により消耗し、効率的に使用できない。また、処理能力を高めるために吸着剤量を増加させて蜜に充填すると、流路抵抗の増加により排気流量の増加が難しくなり、かえってフィルタの処理能力の低下を招いてしまうという問題がある。従って、吸着剤を充填したフィルタで大流量の排気を浄化処理することは難しい。
【0008】
従って、吸着剤を用いてキャリアを処理する場合にも排気流量をあまり多くすることができないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、現像剤のキャリア液の装置外への放出を最小限に抑制し、且つ、キャリア蒸気を含む大流量の排気の浄化が可能なキャリア処理及びこれが実施される液体トナーを用いた電子写真画像形成装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の液体現像剤を用いた画像形成装置は、液体現像剤を用いて画像を現像し記録媒体に前記画像を記録するための画像形成システムと、前記液体現像剤のキャリア溶媒を吸収又は吸着可能な粒子状の処理剤を移動可能に収容し通気可能な複数のカートリッジと、多層状に並列した前記複数のカートリッジを保持する保持部材と、前記画像形成システムにおいて前記液体現像剤で現像される画像上から気化するキャリア溶媒を含んだ排気を前記複数のカートリッジへ供給して貫流させる送気システムとを有することを要旨とする。
【0011】
本発明に係るキャリア処理装置は、液体現像剤を用いて画像を記録媒体に記録する画像形成装置に取り付けられて前記液体現像剤から気化するキャリア溶媒を含んだ排気が供給される、前記キャリア溶媒を処理するためのキャリア処理装置であって、前記液体現像剤のキャリア溶媒を吸収又は吸着可能な粒子状の処理剤を移動可能に収容し通気可能な複数のカートリッジと、多層状に並列した前記複数のカートリッジを保持する保持部材と、前記複数のカートリッジに排気を貫流させるための流入口及び排出口とを有することを要旨とする。
【0012】
さらに、本発明に係るキャリア処理方法は、液体現像剤を用いて画像を記録媒体に記録する画像形成装置において前記液体現像剤から気化するキャリア溶媒を処理するキャリア処理方法であって、前記液体現像剤のキャリア溶媒を吸収又は吸着可能な粒子状の処理剤を移動可能に収容し通気可能な複数のカートリッジを多層状に並べ、気化した前記キャリア溶媒を含んだ排気を前記複数のカートリッジに供給して貫流させ、前記処理剤の処理能力が低下した時、前記複数のカートリッジのうち前記排気の流れについて最上流に位置するカートリッジを除去し、残りのカートリッジの下流に新たなカートリッジを加えることを要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、実施形態に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、液体現像剤を使用する湿式電子写真画像形成装置の第1の実施形態を示す概略図である。
【0015】
図1の画像形成装置は、感光体層を表面に有する潜像保持体1を有し、潜像保持体1には、例えば、有機系もしくはアモルファスシリコン系の感光体層をアルミニウムなどの導電性材料でできた剛体基体上に設けた感光体ドラムを使用することができる。さらに、この感光体層の最表面に離型層を設け、トナー粒子が潜像保持体に固着するのを抑制することが好ましい。なお、図1ではローラ状の潜像保持体1を用いて説明するが、例えば、剛体基体の代わりに弾性体ベルトを用い、この弾性体ベルト表面に感光体層を形成して回転可能に支持したものを潜像保持体として採用することもできる。
【0016】
潜像保持体1は、矢印A方向に回転し、コロナ帯電器やスコロトロン帯電気等の帯電器2−1により帯電された後、形成画像に応じて変調されて照射されるレーザビーム3−1により選択的に露光されることによって、露光されない帯電領域と露光により帯電量が減衰した領域とからなる静電潜像が潜像保持体1表面に形成される。
【0017】
静電潜像保持体1表面に形成された静電潜像は、現像器4−1により現像がなされる。現像器4−1は、液体現像剤を収納する容器と、現像電圧が印加されたローラ状の現像電極とを有し、現像電極は潜像保持体1と非接触で対向するように配置され、現像電極を回転させることで現像電極と潜像保持体1との間に液体現像剤を搬送して現像を行ない可視像化する。
【0018】
また、現像電極の下流側にローラ状のかぶりとり電極を併設し、この電極に非画像部に残存するトナー粒子を吸引する電位を印加することもできる。また、このローラにより、液体現像剤中のキャリア液をかきとって余剰キャリア液の量を予め減量しておくこともできる。
【0019】
なお、液体現像剤は、アイソパーL、ノルパー(いずれも商品名、エクソン社製)などの絶縁性、非極性のキャリア液と、このキャリア液中に分散させた粒径0.1μm〜2μm程度のトナー粒子(荷電粒子)とを含み、現像電極に現像電圧を印加することによってこのトナー粒子を静電潜像に応じて付着させることでトナーの色目の可視像を形成する。
【0020】
現像器4−2,4−3,4−4は、それぞれ異なる色のトナー粒子を含んでいる点以外は現像器4−1と同様な構成をしている。また、帯電器2−2,2−3,2−4は帯電器2−1と基本的に同様な構成をしており、帯電器2−2、露光装置3−2および現像器4−2により、2色目の可視像を1色目の可視像上に形成し、同様に、帯電器2−3、露光装置3−3および現像器4−3により、3色目の可視像を2色目の可視像上に形成し、さらに帯電器2−4、露光装置3−4および現像器4−4により、4色目の可視像を3色目の可視像上に順次積層していく。もちろん、必要に応じて画像を形成する色の数は変更可能である。
【0021】
なお、レーザビーム3−1乃至3−4は、それぞれ光源から発せられた光がポリゴンミラー10によって反射され、fθレンズ12,13によって潜像保持体1表面で結像するものである。さらに、レーザビーム3−1はミラー20−2およびミラー20−1により、レーザビーム3−2はミラー20−3およびミラー20−4により、レーザビーム3−3はミラー2−5およびミラー20−6により、レーザビーム3−4はミラー20−7およびミラー20−8により、それぞれ反射され、所定の位置で潜像保持体1の移動方向に対して直交する方向に露光して静電潜像を形成する。また、ポリゴンミラー10は、ポリゴンモータ11によって回転することで、それぞれのレーザビームが所定位置に達するように走査する。
【0022】
このようにして、静電潜像保持体1表面にはトナー粒子により可視像が形成され、除去しきれないキャリア溶媒が残存する。
【0023】
潜像保持体1表面のトナー粒子像(可視像)は、中間転写ドラムなどの中間転写体6へ転写される。ここでの転写方法は、圧力(必要に応じ圧力及び熱)による転写方式や静電転写方式が挙げられる。
【0024】
圧力による転写の場合、中間転写媒体6は潜像保持体1に圧接されており、トナー粒子の粘着力を利用して潜像保持体1表面のトナー画像を中間転写媒体6へ転写させている。このようにトナー粒子の粘着力を利用してトナー画像を中間転写媒体6へ転写する場合、特に、潜像保持体表面にほとんどキャリア溶媒が存在しない状態で転写を行うことで転写効率を格段に向上させることが可能になる。このため、現像器4−4と中間転写媒体6との間において静電潜像保持体表面のキャリア溶媒を除去するために、吹き付け空気により潜像保持体1表面のキャリア溶媒を気化するキャリア溶媒除去装置101を設けている。気化したキャリア溶媒を含む排気は、回収フード100により拡散が防止され、キャリア処理装置110へ供給される。
【0025】
このようにして余剰のキャリア溶媒を除去したトナー画像が中間転写媒体6へ転写されることにより、転写効率の向上と共に、用紙への溶媒付着がなくなるので、キャリア溶媒成分の用紙を介した排出を防止することが可能となる。
【0026】
また、中間転写媒体6を加熱することによって、前述のキャリア液除去装置101で除去しきれなかったトナー粒子の隙間に浸透したキャリア液を気化させ除去することもできる。これは、加熱によってトナー粒子の粘弾性が増加して転写効率が向上するという効果もあり、非常に有効である。気化したキャリアの拡散はフード5により防止され、回収フード100を通じてキャリア処理装置110へ供給される。吹き付け空気を中間転写媒体6に供給してキャリア液を気化してもよい。
【0027】
キャリア蒸気は、上述の場合以外にも装置内のあらゆる場所で、液体現像剤からの自然揮発や、加熱又は送風による気化によって発生し得る。従って、装置内にキャリア蒸気が相当量発生し、キャリア蒸気を回収する何らかの手段が必要なことは明らかである。
【0028】
中間転写媒体6へ転写されたトナー画像は、中間転写媒体6と加圧体7に挟持されて矢印B方向に搬送される用紙9などの被記録媒体へと転写され、用紙9はハウジング103の外部へ排出される。潜像保持体1表面のトナー画像を直接用紙9に転写するように構成することも可能である。
【0029】
転写後の潜像保持体1表面には、小量の転写残りトナー粒子が残存し得る。この転写残りトナー粒子は、クリーナ8によって除去されることで一連の画像形成プロセスが終了する。そして、潜像保持体1表面にはトナー粒子が存在しない状態で、次の現像プロセスが行われる。
【0030】
次に、本実施形態におけるキャリア処理について図1及び図2を用いて説明する。
【0031】
本実施形態におけるキャリア処理装置110は、処理剤として粒子状の活性炭300を用い、キャリア蒸気を活性炭300中の微小孔に吸着することで収集する。活性炭は、多用なガス吸着に実績がある効率的なガス回収手段のひとつであり、この他に、例えばシリカゲル等を用いても良い。キャリア処理装置110は、処理剤である粒子状活性炭300を収納するカートリッジ301を保持するための保持ケース302を有し、保持ケース302には、流入口303と排出口304とが設けられており、ポンプ、ブロア又はファン等の送気手段115によって、流入口303に接続される配管102からキャリア溶媒の蒸気を含むガスが流入してカートリッジ301を鉛直方向上方に貫流し、キャリア蒸気が除去されたガスが配管117を通じて排出される。送気手段115は、キャリア処理装置110よりもキャリア溶媒蒸気を含むガスの流れに対して上流にあってもよい。
【0032】
図2は、上記実施形態におけるキャリア処理装置110の詳細を示し、(a)はキャリア処理装置110の排気流れ方向に沿った軸方向断面図、(b)は(a)と垂直な軸方向断面図である。キャリア処理装置110は、保持ケース302の内壁に複数のカートリッジ301を支持し水平方向に案内するレール306を有し、図2(b)において矢印で示すように、カートリッジ301をレール306に沿って水平に移動することによって保持ケース302に脱着可能であり、保持ケース302に挿入されたカートリッジ301は鉛直方向に並列し、ガスの流れ方向に沿って多層状のフィルタを構成する。カートリッジ301は直方体形もしくは円筒形で、側面は空気を遮断する材料で、上面及び下面は通気性材料で形成される。
【0033】
カートリッジ301の上面及び下面の通気性材は、粒子状活性炭の粒子径より小さい通過孔を有し、この実施形態では、粒子状活性炭の粒子径より小さいメッシュサイズを有する金網を用いているが、同様のテフロンメッシュ等の樹脂メッシュを用いても良い。従って、キャリア溶媒の蒸気を含むガスはカートリッジ301を透過可能であるが、粒子状活性炭300はカートリッジ外には出ない。粒子状活性炭300は、各カートリッジ301内にある程度の隙間が残るように収容されるため、粒子状活性炭300はカートリッジ301内を移動可能である。粒子状活性炭300としては、粒径が0.1mm以上5mm以下程度、好ましくは0.5mm以上1.0mm以下の流動性のあるものが用いられ、ガス中よりキャリア溶媒の蒸気を除去する。上記実施形態では、粒子状活性炭として微細な球状活性炭を使用しているが、いわゆるペレット状に形成した活性炭や、活性炭以外の粒子状吸着材の利用も可能である。
【0034】
ガスが流入口303より流入すると、図2(a)において矢印で示すように、ガスはカートリッジ301の通気性材を通過して、カートリッジ301内の粒子状活性炭300を吹き上げ舞い上げる。吹き上げられた粒子状活性炭300は、重力によって落下する。従って、粒子状活性炭300は、ガス流によって処理室内を移動し、ガス流と対面する部分も変化する。これにより、活性炭粒子のキャリア吸着に用いられる部分が一部分に固定されることが防止され、カートリッジ301内の粒子状活性炭が全体に均一に使用されるので、短時間で活性炭の吸着能が破過するのを防止できる。つまり、粒子状活性炭を疎に装填することにより、排気の流圧を用いて粒子状活性炭を移動・攪拌することができ、活性炭の使用効率を向上させることができる。また、カートリッジを通過する際の排気流の圧損が少なくなり、排気処理に要するエネルギーを節約し大流量の排気を流通させることが可能である。これは、潜像保持体1よりキャリア溶媒を除去するために空気流の流量が0.1〜3m3/min程度であることが必要であることを考慮すると、現像画像の溶媒除去による排気の処理を行う上で有利である。
【0035】
図2のようなキャリア処理装置を用いて排気の浄化を行うと、排気の流路距離とキャリア蒸気濃度との関係は、例えば図3(b)のようになる。この実施形態においては、3段目のカートリッジにおいてキャリア蒸気濃度が基準値以下になり、カートリッジの段数を3段以上に設定すれば良いことを示している。吸着能が破過したら、図2(b)のように適宜カートリッジを交換する。このように複数のカートリッジを用いることにより、吸着剤が破過したカートリッジのみを交換することができ、資源の節約及びコスト低減に有効である。
【0036】
処理剤の吸着能の破過は、排気流れの最上流(最下)位置に位置する1段目のカートリッジにおいて最も早く、排気処理の効率及びカートリッジ交換の管理の点を考慮すると、1段目のカートリッジを取り除いた際に2段目以降のカートリッジを順に繰上げて新たなカートリッジを最下流位置に加えるのが好ましい。
【0037】
図4は、キャリア処理装置の第2の実施形態を示し、カートリッジの順送りを容易にするために保持ケース302aのレール306a,306bを可動式に設けている。このキャリア処理装置110aにおいては、排気流れの最上流に位置する1段目のカートリッジ301aが破過すると、先ず、図4(a)に示すように、レール306に沿って水平に移動させて保持ケース302aから取り外す。次に、保持ケース302a内壁より突出して2段目のカートリッジ301bを支持するレール306aを、図4(b)のように水平方向にケース外側に摺動させて保持ケース302a側壁の孔部に埋没させると、2段目のカートリッジ301bが下方に落下する。この後、レール306aを元の位置に戻して保持ケース302a内壁より内側に突出させ、3段目のカートリッジ301cを支持するレール306bを動かして保持ケース302a側壁に埋没させると、3段目のカートリッジ301cが下方に落下してレール306aによって支持される。更に、レール306bを戻し、新たなカートリッジを3段目としてレール306bに沿って挿入する。上記において、可動式のレール306a,306bは、弾性部材や磁石等の付勢手段を用いて位置の復帰を容易にするように変形してもよい。
【0038】
図5は、キャリア処理装置の第3の実施形態を示す。このキャリア処理装置110bにおいては、可動式レール306c,306dは、保持ケース302bの側壁の孔部に設けられるローラ307と回動可能な支持軸308とからなる。ローラ307は、支持軸308が水平方向に延伸する状態で保持ケース302bの内壁より内側に突出する。1段目のカートリッジ301aを水平に動かして保持ケース302bから取り外し、レール306cの支持軸308を下方に回動させて傾斜させると、レール306cのローラ307は側壁の孔部内に埋没し、2段目のカートリッジ301bが下方に落下する。レール306cを元の位置に戻して、同様にレール306dの支持軸308を下方に傾斜させると、レール306dのローラ307は側壁の孔部内に埋没し、3段目のカートリッジ301cが下方に落下する。ローラを使用することにより、保持ケースの内壁に沿った鉛直方向のカートリッジの移動抵抗が軽減され、カートリッジの順送り移動が滑らかになる。
【0039】
図6は、キャリア処理装置の第4の実施形態を示す。このキャリア処理装置110cにおいては、複数のカートリッジ301dを支持する可動式レール306eは、保持ケース302c内に設けられた1対の無端状のベルト309上に形成され、対向するベルト309の間にカートリッジ301dが保持される。ベルト309は、各々、1対のローラ310によって回転可能に支持され、カートリッジ301dの保持位置は、ローラ310を回転してベルト309を移動しレール306eの位置を調節することによって決められる。従って、カートリッジ交換の際には、排気流れの上流(最下)位置のカートリッジ301をローラ310の軸方向に沿って水平に移動して保持ケース302cから抜取り、排気流れの下流側から上流側へカートリッジ301が移動するようにローラ310を回転してベルト309を移動させる。この後、新たなカートリッジを下流側に追加挿入する。レール306eの位置決めを容易にするために、弾性片に係合する歯車をローラ310に添設してローラの回転が所定角度毎に規制されるように構成しても良い。
【0040】
上記の実施形態において、キャリア処理装置に流れる排気流れは、一般的に中央において流圧が高くなるので、カートリッジの上下面を構成する通気性材料として、編み込みピッチが中心部において最も小さく、周辺部になるほどピッチが大きくなるメッシュを用いると、流入口303から供給される排気の流圧が高い中央に近いほど流路抵抗が高くなり、粒子状活性炭300にかかる流圧が平均化する。
【0041】
また、カートリッジを脱着する保持ケースの側面部を完全に遮断するカバーを設けて保持ケースから排気が洩れないように構成すると、カートリッジ全体を通気性材料で形成することが可能となる。
【0042】
上記から理解されるように、処理剤を装填する複数のカートリッジを用いて多段に構成することにより、一段構成の場合と比べて、堆積した処理剤の自重による排気流れの圧損を生じ難いので、通過するガスによる処理剤の移動を容易にすることができる。従って、処理剤の適度な移動により、処理剤の表面全体が均一に使用され、処理剤全体の排気との接触効率の改善も顕著になる。
【0043】
また、処理剤が多段構成であることにより、必要な部分のみ処理剤の交換を行うことができるので、処理剤の使用効率を向上させることができ、コスト削減に貢献することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液体現像剤を用いた写真印刷画像形成において気化するキャリア溶媒を、装置内で効率的に回収することができ、キャリア蒸気の漏出による臭気、高濃度溶媒蒸気による人体への悪影響を抑制することが可能となる。更に、環境保護への貢献にも役立つ。
【0045】
また、潜像保持体からキャリア溶媒を除去するために大流量の吹き付け空気を利用する場合にも、排気処理における流路抵抗が少ないため、消費電力の少ない排気ファンが活用でき、本発明のキャリア処理装置を用いた循環エアサイクルを、吹きつけ空気を供給するファンのみで稼働することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1の画像形成装置に用いられるキャリア処理装置の第1の実施形態を示し、(a)はキャリア処理装置の排気流れ方向に沿った軸方向断面図、(b)は(a)と垂直な軸方向断面図。
【図3】図2のキャリア処理装置における軸方向断面図(a)、及び、排気の流路距離とキャリア蒸気濃度との関係を示すグラフ(b)。
【図4】本発明のキャリア処理装置の第2の実施形態を示し、(a)はキャリア処理装置の排気流れ方向に沿った軸方向断面図、(b)は(a)と垂直な軸方向断面図。
【図5】本発明のキャリア処理装置の第3の実施形態を示す、排気流れ方向に沿った軸方向断面図。
【図6】本発明のキャリア処理装置の第4の実施形態を示す、排気流れ方向に沿った軸方向断面図。
【符号の説明】
1 潜像保持体(感光ドラム)、 3 レーザビーム、 4 現像ユニット、
6 中間転写媒体、 7 加圧ローラ、 9 画像転写媒体(用紙)、
100 回収フード、 101 キャリア溶媒除去装置、
103 ハウジング、 110 キャリア処理装置、
300 粒子状活性炭、 301 カートリッジ、
302 保持ケース、 303 流入口、 304 排出口、
306 レール

Claims (3)

  1. 液体現像剤を用いて画像を現像し記録媒体に前記画像を記録するための画像形成システムと、前記液体現像剤のキャリア溶媒を吸収又は吸着可能な粒子状の処理剤を移動可能に収容し通気可能な複数のカートリッジと、多層状に並列した前記複数のカートリッジを保持する保持部材と、前記画像形成システムにおいて前記液体現像剤で現像される画像上から気化するキャリア溶媒を含んだ排気を前記複数のカートリッジへ供給して貫流させる送気システムとを有することを特徴とする液体現像剤を用いた画像形成装置。
  2. 液体現像剤を用いて画像を記録媒体に記録する画像形成装置に取り付けられて前記液体現像剤から気化するキャリア溶媒を含んだ排気が供給される、前記キャリア溶媒を処理するためのキャリア処理装置であって、前記液体現像剤のキャリア溶媒を吸収又は吸着可能な粒子状の処理剤を移動可能に収容し通気可能な複数のカートリッジと、多層状に並列した前記複数のカートリッジを保持する保持部材と、前記複数のカートリッジに排気を貫流させるための流入口及び排出口とを有することを特徴とするキャリア処理装置。
  3. 液体現像剤を用いて画像を記録媒体に記録する画像形成装置において前記液体現像剤から気化するキャリア溶媒を処理するキャリア処理方法であって、前記液体現像剤のキャリア溶媒を吸収又は吸着可能な粒子状の処理剤を移動可能に収容し通気可能な複数のカートリッジを多層状に並べ、気化した前記キャリア溶媒を含んだ排気を前記複数のカートリッジに供給して貫流させ、前記処理剤の処理能力が低下した時、前記複数のカートリッジのうち前記排気の流れについて最上流に位置するカートリッジを除去し、残りのカートリッジの下流に新たなカートリッジを加えることを特徴とするキャリア処理方法。
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