JP3699679B2 - 電気掃除機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気を旋回流にすることにより遠心分離により塵埃を含む空気中から塵埃を分離するサイクロン方式の集塵部を備えた電気掃除機に関する。
【0002】
【従来の技術】
サイクロン方式の集塵部を備えた電気掃除機は、塵埃の集塵量の増加に伴う吸気能力の低下が少ないことや、紙パックのような集塵のための消耗品が不要であることなどの特徴を有している。
【0003】
上記サイクロン方式の集塵部を備えた電気掃除機の従来技術としては、例えば、特開2000−342492号公報や特開平9−253011号公報に開示されたものが知られており、吸気された塵埃を含む空気を旋回流に形成することによって遠心分離により空気中から塵埃を分離し、分離された塵埃を集塵部の下部に堆積させるように構成されている。
【0004】
図12は、従来技術に係るサイクロン方式電気掃除機の掃除機本体の構成を示すものである。掃除機本体100に内蔵された電動送風機101を回転させることにより、先端に吸込具が連結された吸気ホース(図示省略)が接続される吸気口102から吸引された塵埃を含む空気は、吸気を旋回流に形成する誘導流路103から塵埃分離室104内に流入する。塵埃分離室104は、図13に示すように略円筒形に形成され、前記誘導流路103により吸気された空気の流れ方向が円筒の接線方向になり、流路断面積が狭められることにより、塵埃分離室104内に流入した空気は高速の旋回流となり、旋回流による遠心分離により空気中から塵埃が分離され、分離された塵埃は流入口105から一部の空気と共に塵埃収容室106に流入し、塵埃収容室106の底に堆積する。塵埃収容室106の空気は略中央部から第1フィルタ107を通り、塵埃分離室104の空気と共に第2フィルタ108を通って電動送風機101に吸引される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のサイクロン方式の電気掃除機にあっては、上記のように塵埃収容室106内に単純に堆積させるだけであるため、塵埃が繊維質のものが多い場合に集塵した質量の割には嵩張った状態になる。従って、集塵ケースの容積に比して集塵量が少なくなり、大型の集塵ケースを搭載することになり、電気掃除機の小型軽量化の流れに逆行することになる。
【0006】
本発明が目的とするところは、サイクロン方式の特徴を生かしつつ塵埃の圧縮機能を設けて集塵容量の増大化を図った電気掃除機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本願第1発明は、電動送風機によって発生させた吸引風により吸込具から吸引した塵埃を含む空気を集塵ケースに導き、遠心分離により空気中から塵埃を分離して集塵する電気掃除機において、前記集塵ケースは、吸引風を旋回流にして空気中の塵埃を遠心分離する塵埃分離室と、分離された塵埃を堆積させる塵埃収容室と、この塵埃収容室の略中央部から前記塵埃分離室の略中央部を通って前記電動送風機につながる空気流路を形成する吸気筒と、前記塵埃収容室に堆積した塵埃上に下降させて堆積塵埃を圧縮する圧縮板とを備え、前記吸気筒の塵埃分離室内に位置する周面にフィルタを設けた通気口を形成し、内周面に前記フィルタに接する除塵体を設けた外筒を前記吸気筒と同心に且つ軸心方向に移動可能に配設し、前記外筒の側周面には操作レバーを形成し、前記圧縮板を前記外筒の下端に設けて前記塵埃分離室と塵埃収容室との間を区画する区画壁の一部を形成すると共に、前記操作レバーに押圧が加えられない状態においては前記外筒が前記吸気筒の外周に対向して位置し、前記操作レバーの押圧操作により前記外筒が下降して、前記外筒の下端に設けられた圧縮板が前記塵埃収容室内に堆積した塵埃を圧縮することを特徴とするもので、塵埃収容室に堆積した塵埃は圧縮板を下降させることにより圧縮されるので、塵埃に繊維質のものが多く含まれて嵩高くなる場合でも圧縮により体積が縮小して塵埃収容室に堆積させ得る塵埃の量を増加させることができる。従って、掃除機を大型化させることなく集塵量の増加を図ることができる。
【0008】
また、塵埃分離室内の空気は吸気筒のフィルタで塵埃が除かれて電動送風機に吸気される。フィルタに付着した塵埃は外筒を軸心方向に移動させることにより、外筒の内周面に設けられた除塵体がフィルタから塵埃を掻き出し、除去された塵埃は塵埃収容室に落下収容される。
【0009】
また、圧縮板による塵埃の圧縮時にフィルタの除塵が同時にできるようになる。
【0010】
また、塵埃を圧縮するための操作が行なわれたときに区画壁の一部が圧縮板として塵埃収容室内に下降するように構成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
以下に示す第1〜第3の各実施形態は、図1に示すような床移動型の電気掃除機1として構成されたもので、先端に吸込具3を着脱可能に装着した延長管2は手元ハンドル4に連結され、手元ハンドル4から延出するホース6はホース継ぎ手5によって掃除機本体7に連結されている。この電気掃除機1はサイクロン方式の電気掃除機1として構成され、掃除機本体7に内蔵された電動送風機によって発生させた吸気風により前記吸込具3から吸気した塵埃を含む空気を延長管2、手元ハンドル4、ホース6、ホース継ぎ手5を通じて集塵ケース11(第2の実施形態の構成では集塵ケース12、第3の実施形態の構成では集塵ケース13)に導き、集塵ケース11(12,13)内で旋回流にすることにより、空気中から塵埃を遠心分離して集塵ケース11(12,13)内に集塵する。集塵ケース11(12,13)はそれに設けられた把手9を持って掃除機本体から取り出すことができ、溜まった塵埃を捨てて清掃することが容易に行なえるように構成されている。
【0013】
本発明は、前記集塵ケース11内に集塵された塵埃を圧縮する機能を有することを特徴とするもので、以下に圧縮構造が異なる第1〜第3の各実施形態について説明する。尚、以下に示す記述において上下方向あるいは水平方向は、電気掃除機1を図1に示したように床面に使用状態で置いた場合の方向を示す。
【0014】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係る集塵ケース11及びその構成を示すもので、本体ケース60の前方側に着脱可能に装着されている。集塵ケース11は、吸気された塵埃を含む空気を誘導流路14に通して形成した旋回流による遠心力によって空気中から塵埃を分離する塵埃分離室15と、この塵埃分離室15から流入した塵埃を収容する塵埃収容室16と、この塵埃収容室16の空気を略中央部上方から吸気して前記塵埃分離室15の空気と共に吸気流路26に流入させる吸気筒25と、この吸気筒25の同心円上を軸心方向に移動可能に配設され、吸気筒25の側周面の軸方向に形成された開口部に設けられたフィルタ21に接するように内周面にブラシ毛(除塵体)22が取り付けられた外筒17と、この外筒17の下端と一体に形成されて塵埃分離室15と塵埃収容室16との間を区画して外筒17の軸心方向への移動により塵埃収容室16内に進退移動する圧縮板18とを備えて構成されている。
【0015】
本体ケース60に形成された吸気口20には前記ホース継ぎ手5が連結され、本体ケース60内に配設された電動送風機61が駆動されると、前記吸込具3から吸入された塵埃を含む空気は前記吸気口20から塵埃分離室15内に流入する。図3は塵埃分離室15の水平方向断面を示すもので、誘導流路14によって流入した空気は略円筒形の塵埃分離室15の接線方向に導かれると共に、流路断面積が狭められることによって流速が増し、高速の旋回流となって塵埃分離室15の内周面に沿って下向き傾斜の流路を流れ、空気中の塵埃が遠心分離によって分離され、一部の空気と共に流入口27から塵埃収容室16内に流入する。塵埃分離室15内の旋回流の中心部分の空気は塵埃がほとんど無い状態になっているが、第2フィルタ24を通って細かい塵埃が濾過され、吸気流路26から電動送風機61に吸引される。
【0016】
略円筒形に形成された塵埃収容室16内に内周壁面に沿うように流入した塵埃のうち、質量の大きい砂ゴミ等の塵埃は塵埃収容室16の底面周囲に集まり、質量の小さい綿ゴミ等の塵埃は旋回する空気の流れと共に旋回し、電気掃除機1の運転が停止されたときに塵埃収容室16の底に堆積する。塵埃収容室16の略中央上方には吸気筒25に向かう吸引力が働いているので、塵埃収容室16内の空気は旋回する流れが弱まった底部側から中央に引き寄せられて上昇し、吸気筒25の底面に設けられた第1フィルタ19で微細な塵埃が濾過され、塵埃分離室15内からフィルタ21を通って吸気筒25内に入った空気と共に吸気筒25内から第2フィルタ24を通って吸気流路26から電動送風機61に吸引される。
【0017】
前記吸気筒25は、図3及び図4に示すように、側周面に円筒形の軸心方向にフィルタ21を設けた複数の開口部が形成されている。吸気筒25はフィルタ21を設けた開口部から塵埃分離室15の空気を吸引するので、遠心分離されなかった微細な塵埃がフィルタ21に付着するが、それを除去する作業がし難い位置にある。また、塵埃収容室16に堆積する塵埃のなかで繊維質のものは、ふんわりとして嵩高い状態で堆積し、塵埃収容室16の塵埃収容容積を占拠するので吸塵量を低下させることになる。塵埃収容室16の容積を拡大させると吸塵量を増加させることができるが、徒に掃除機本体7を大型化させ、小型軽量化の要求にそぐわないものとなる。
【0018】
上記課題を解決するために、吸気筒25と同心円上に外筒17が設けられ、その下端と一体に圧縮板18が配設されている。外筒17は、塵埃分離室15から吸気筒25内への通気を阻害しないように複数の開口部17aが形成され、下端に圧縮板18を一体に形成すると共に、把手28が設けられている。図4は集塵ケース11を図2に示した状態と異なる断面で示すもので、外筒17の一側周面には図3に示すように直径方向に外方に延出させた操作レバー28が形成されている。この操作レバー28はスプリングバネ31によって上向きに付勢されているので、操作レバー28に押圧が加えられない状態においては外筒17及び圧縮板18は、図4に示す状態にあり、外筒17の開口部分はフィルタ21に対向する位置に形成されている。
【0019】
図5は、前記操作レバー28を押圧操作した状態を示すもので、操作レバー28の押圧操作により外筒17が下降すると、外筒17の上方内周面にフィルタ21に対向するように設けられたブラシ毛22は外筒17の下降に従ってフィルタ21の表面を擦って付着した塵埃を掻き落とす。更に、外筒17の下端に一体化された圧縮板18は外筒17の下降に従って塵埃収容室16内に堆積した塵埃を圧縮する。この操作レバー28の押圧操作は、電動送風機61が停止している任意のタイミングで行なうことができるが、電気掃除機1で掃除を開始する前に操作すると、フィルタ21が清掃され、堆積した塵埃、特に嵩高い繊維質の塵埃を圧縮して塵埃収容室16の余剰容積が拡大するので、集塵能力が低下しない状態で電気掃除機1を使用することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
図6及び図7は、第2の実施形態に係る集塵ケース12の構成を示すもので、本体ケース60の前方側に着脱可能に装着されている。尚、第1の実施形態の構成と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は簡略にする。
【0021】
集塵ケース12は、吸気された塵埃を含む空気を旋回流に形成して空気中から塵埃を遠心分離する塵埃分離室32と、この塵埃分離室32で遠心分離された塵埃を収容する塵埃収容室33と、この塵埃収容室33内の空気を略中央上方から吸気して前記塵埃分離室32の空気と共に吸気流路26(図2参照)に流入させる吸気筒34と、この吸気筒34の同心円上に上下動自在に配設され、吸気筒34の下端側に設けられたフィルタ36に接するように下端周縁部に除塵体39が取り付けられた外筒38とを備えて構成されている。
【0022】
電動送風機61が駆動されると、前記吸込具3から吸入された塵埃を含む空気は塵埃分離室32内に流入する。図7は塵埃分離室32の水平方向断面を示すもので、流入した空気は略円筒形の塵埃分離室32の接線方向に導かれると共に、流路断面積が狭められることによって流速が増し、高速の旋回流となって塵埃分離室32の内周面に沿って下向き傾斜の流路を流れ、空気中の塵埃が遠心分離によって分離され、塵埃は一部の空気と共に流入口42から塵埃収容室33内に流入する。旋回流の中心部分の空気は吸気筒34の下方側に設けられたフィルタ36で細かい塵埃が濾過されて吸気流路26を経て電動送風機61に吸引される。
【0023】
塵埃分離室32から塵埃収容室33内に内周壁面に沿うように一部の空気と共に流入した塵埃は塵埃収容室33内に収容される。塵埃収容室33の略中央上方には吸気筒34に向かう吸引力が働いているので、塵埃収容室33内の空気は旋回流の速度が弱まる底部側から中央に引き寄せられて上昇し、吸気筒34への入口に設けられた第1フィルタ35を通って塵埃が濾過されて吸気筒34内に入り、塵埃分離室32の空気と共に第2フィルタ37を通って吸気流路26から電動送風機61に吸引される。
【0024】
吸気筒34はその側周面下端側にフィルタ36を設けた開口部から塵埃分離室32の空気を吸引するので、フィルタ36には微細な塵埃が付着するが、それを除去する作業がし難い位置にある。また、塵埃収容室33に堆積する塵埃のなかで繊維質のものは、ふんわりとして嵩高い状態で堆積し、塵埃収容室33の塵埃収容容積を占拠するので吸塵量を低下させることになる。塵埃収容室33の容積を拡大させると吸塵量を増加させることができるが、徒に掃除機本体7を大型化させ、小型軽量化の要求にそぐわないものとなる。
【0025】
上記課題を解決するために、吸気筒34と同心円上の上方に外筒38が上下移動可能に配設されている。外筒38には、その下端に先端部が前記フィルタ36に接する除塵体39が設けられ、一側周面には直径方向に外方に延出させた操作レバー40が形成されている。この操作レバー40はスプリングバネ41によって上向きに付勢されているので、操作レバー40に押圧が加えられない状態においては外筒38は図6に示す状態にある。
【0026】
図8は、前記操作レバー40を押圧操作した状態を示すもので、操作レバー40の押圧操作により外筒38が下降すると、下降動作によって前記除塵体39がフィルタ36の表面に付着した塵埃を除塵体39が掻き落としてフィルタ36を清掃する。外筒38が吸気筒34の下端まで下降すると、吸気筒34のフィルタ36面は閉じられるので、塵埃分離室32内から吸気筒34への吸気は停止される。従って、吸気筒34の吸気は塵埃収容室33に集中し、塵埃分離室32内の空気も全て塵埃収容室33に流れるので、塵埃収容室33から吸気筒34への吸引力が急増する。塵埃収容室33内に集塵された塵埃のうち、繊維質の塵埃は軽量でふんわりしているため吸気筒34への吸引力が急増すると、図示するように第1フィルタ35の下に吸引され、繊維質の塵埃が集まって圧縮される。
【0027】
操作レバー40に対する押圧を解除すると、操作レバー40はスプリングバネ41の付勢により押し上げられて外筒38が上昇するので、吸気筒34のフィルタ36の面は開放され、図6に示す状態に復帰する。この状態では塵埃分離室32から吸気筒34への吸気が発生するので、塵埃収容室33から吸気筒34への吸気量は減少し、第1フィルタ35の下に圧縮された塵埃を吸着していた吸引力は下がるので、圧縮された塵埃は落下して塵埃収容室33の底面上にある他の塵埃と一緒になり、圧縮されたことにより全体の塵埃体積が減少する。
【0028】
この操作レバー40の押圧操作は、電動送風機61を駆動させた任意のタイミングで行なうことができるが、電気掃除機1で掃除を開始する前に操作すると、フィルタ36が清掃され、堆積した塵埃を圧縮して塵埃収容室33の余剰容積が拡大するので、集塵能力が低下しない状態で電気掃除機1を使用することができる。
【0029】
上記のように塵埃分離室32の空気を吸気筒34から吸気する状態を開閉操作して、塵埃収容室33内の塵埃を圧縮する構成は、図9に示すような構造を適用することもできる。
【0030】
図9において、円筒形の吸気筒44はその側周面に軸心方向にフィルタ(図示省略)を配した複数の通気口44aが円周方向に列設形成されており、この吸気筒44の外周面上を回動できるように外筒45が配設されている。外筒45には前記通気口44aに対応させて複数の開口部45aが形成され、一側周面には直径方向に延出させて操作レバー46が形成され、操作レバー46はスプリングバネ47によって円周方向に付勢されている。
【0031】
前記操作レバー46を操作しない状態においては、図9(a)に示すように、吸気筒44の通気口44aと外筒45の開口部45aとは、それぞれの位置が一致して塵埃分離室32内の空気は開口部45a及び通気口44aを通って吸気筒44内に吸気される。図9(b)に示すように、操作レバー46を押圧すると、外筒45は回動して開口部45aが形成されていない部位で吸気筒44の通気口44aを閉じる状態になる。この状態では塵埃分離室32内の空気は吸気筒44には吸気されず、吸気筒44に吸気されるのは塵埃収容室33だけとなり、先に図8に示したように、繊維質のような軽く嵩高い塵埃は第1フィルタ35の下面に吸引されて圧縮される。従って、電気掃除機1を運転した状態で操作レバー46を押圧操作すると、塵埃収容室33内の嵩高い塵埃は圧縮され、塵埃収容室33の余剰容積が拡大するので、集塵能力が低下しない状態で電気掃除機1を使用することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る集塵ケース13とその周辺部の構成を示すもので、本体ケース60の前方側に着脱可能に装着されている。尚、第1及び第2の各実施形態の構成と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は簡略にする。
【0033】
集塵ケース13は、吸気された塵埃を含む空気を旋回流に形成して空気中から塵埃を遠心分離する塵埃分離室50と、この塵埃分離室50からの旋回流が流入して遠心分離された塵埃を収容する塵埃収容室51と、この塵埃収容室51の底面側から吸気した空気を塵埃分離室50の入口に戻して空気循環させる循環流路52とを備えて構成されている。
【0034】
電動送風機61が駆動されると、前記吸込具3から吸入された塵埃を含む空気は吸気口20から塵埃分離室50内に流入する。流入した空気は誘導流路14により略円筒形の塵埃分離室50の接線方向に導かれると共に、流路断面積が狭められることによって流速が増し、高速の旋回流となって塵埃分離室50の内周面に沿って下向き傾斜の流路を流れ、空気中の塵埃が遠心分離され、分離された塵埃は一部の空気と共に塵埃収容室51内に流入する。
【0035】
略円筒形に形成された塵埃収容室51内に内周壁面に沿うように流入した塵埃は塵埃収容室51の底面周囲から堆積していき、空気は旋回流が弱まる底部側から塵埃収容室51の略中央上方に働く吸気によって上昇し、第1フィルタ53で細かい塵埃が濾過され、塵埃分離室50内の空気と共に第2フィルタ55を通って吸気流路26から電動送風機61に吸引される。
【0036】
塵埃収容室51内に堆積する塵埃のなかで繊維質のものは、ふんわりとして嵩高い状態で堆積し、塵埃収容室51の塵埃収容容積を占拠するので吸塵量を低下させることになる。塵埃収容室51の容積を拡大させると吸塵量を増加させることができるが、徒に掃除機本体7を大型化させ、小型軽量化の要求にそぐわないものとなる。
【0037】
この課題を解決するために、塵埃収容室51の底面側と塵埃分離室50の入口との間の空気流路を形成する循環流路52が設けられている。塵埃収容室51の底面側にはフィルタ(図示省略)を設けた循環空気穴54が形成されており、塵埃収容室51内の一部の空気は循環空気穴54から循環流路52に流れる。塵埃分離室50の入口は誘導流路14により前述したように高速の旋回流が形成されているので、その負圧により入口に開口する循環流路52内の空気は塵埃分離室50内に引き込まれ、空気の一部が循環することになる。
【0038】
塵埃収容室51の底面側から空気の一部が流出することにより、底面上に堆積する塵埃は流出する空気の流れにのり、圧縮された状態に堆積し、圧縮されたことにより全体の塵埃堆積量が減少する。
【0039】
図11に示す構成は、循環流路56を集塵ケース13aの把手9内に形成したものである。把手9は中空構造に形成され、塵埃収容室51の底面に設けた循環空気穴57は把手9の中空部を利用した循環流路56に連通し、循環流路56は塵埃分離室50の入口に連通して、図示するような空気の流路を形成する。
【0040】
塵埃収容室51において、質量の大きい塵埃は旋回流による遠心力によって底部周囲に飛ばされて堆積し、繊維質のような質量が小さく嵩高い塵埃は旋回流と共に回転するが、旋回流の流速が弱まる底部側では中央部付近に集まりやすくなり、その位置に循環空気穴57からの吸気があると、より集中して堆積量が増し、吸気に伴って圧縮が進行する。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した通り本願発明によれば、圧縮板を下降させて塵埃収容室に堆積した塵埃を圧縮して塵埃の堆積を減少させることができ、繊維質の塵埃のような嵩高い塵埃で塵埃収容室の容積が占拠されて集塵能力が低下することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る電気掃除機の全体構成を示す斜視図
【図2】 第1の実施形態に係る集塵ケースの構成を示す断面図
【図3】 第1の実施形態に係る塵埃分離室及び吸気筒の構成を示す断面図
【図4】 第1の実施形態に係る圧縮板及び外筒の構成を示す断面図
【図5】 同上の圧縮板及び外筒を下降させた状態を示す断面図
【図6】 第2の実施形態に係る集塵ケースの構成を示す断面図
【図7】 第2の実施形態に係る外筒及び吸気筒の構成を示す断面図
【図8】 同上の外筒を下降させた状態を示す断面図
【図9】 第2の実施形態における吸気筒及び外筒の変形例を示す断面図
【図10】 第3の実施形態に係る集塵ケースの構成を示す断面図
【図11】 第3の実施形態における循環流路の変形例を示す断面図
【図12】 従来技術に係る電気掃除機の部分断面図
【図13】 従来技術に係る塵埃分離室の構成を示す断面図
【符号の説明】
1 電気掃除機
9 把手
11,12,13 集塵ケース
15,32,50 塵埃分離室
16,33,51 塵埃収容室
17,38 外筒
18 圧縮板
21、36 フィルタ
22 ブラシ毛(除塵体)
25、34 吸気筒
26 吸気流路
39 除塵体
52,56 循環流路
54、57 循環空気穴

Claims (1)

  1. 電動送風機によって発生させた吸引風により吸込具から吸引した塵埃を含む空気を集塵ケースに導き、遠心分離により空気中から塵埃を分離して集塵する電気掃除機において、前記集塵ケースは、吸引した塵埃を含む空気を旋回流にして空気中の塵埃を遠心分離する塵埃分離室と、分離された塵埃を堆積させる塵埃収容室と、この塵埃収容室の略中央部から前記塵埃分離室の略中央部を通って前記電動送風機につながる空気流路を形成する吸気筒と、前記塵埃収容室に堆積した塵埃上に下降させて堆積塵埃を圧縮する圧縮板とを備え、前記吸気筒の塵埃分離室内に位置する周面にフィルタを設けた通気口を形成し、内周面に前記フィルタに接する除塵体を設けた外筒を前記吸気筒と同心に且つ軸心方向に移動可能に配設し、前記外筒の側周面には操作レバーを形成し、前記圧縮板を前記外筒の下端に設けて前記塵埃分離室と塵埃収容室との間を区画する区画壁の一部を形成すると共に、前記操作レバーに押圧が加えられない状態においては前記外筒が前記吸気筒の外周に対向して位置し、前記操作レバーの押圧操作により前記外筒が下降して、前記外筒の下端に設けられた圧縮板が前記塵埃収容室内に堆積した塵埃を圧縮する電気掃除機。
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