以下、本発明の実施例1,実施例2,実施例3,実施例4,実施例5,実施例6,実施例7を説明する。
本発明の実施例1の電気掃除機は、電動送風機28を備えた掃除機本体1と、掃除機本体1に着脱自在な集塵装置2とを備え、集塵装置2は、吸い込んだ空気を旋回させて空気から塵埃を分離する分離部(例えば、塵埃分離部4)と、分離部に連通し塵埃を収容する収容部(例えば、塵埃収容部5)とを備え、分離部と収容部とは、軸方向に配列され、収容部は、分離部と連通する側に開口し分離部と連通する側とは反対側に凹んだ形状を有するフィルタ(例えば、集塵かご12)を備え、分離部の旋回流の外側の空気は、収容部内のフィルタ内に流入し、分離部の旋回流の内側の空気は、収容部内でかつフィルタの外側に流入することを特徴とする。
そして、本発明の実施例1によれば、分離部と収容部とを軸方向に配列して連通し、そして、分離部の旋回流の外側の空気を収容部内の凹んだ形状を有するフィルタ内に流入し、分離部の旋回流の内側の空気を収容部内でかつ凹んだ形状を有するフィルタの外側に流入することにより、使用者の手を煩わせることなく塵埃を圧縮し、堆積した塵埃を使用者が容易に排出でき、さらに、吸引力の低下を抑制することができる。
または、本発明の実施例1の電気掃除機は、本体吸気口21と吸引力を発生する電動送風機28とを備えた掃除機本体1と、掃除機本体の本体吸気口21と電動送風機28との間に着脱自在な集塵装置2とを備え、集塵装置2は、略円筒形状を有し本体吸気口21に連通可能な第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)と、第1の集塵部の軸方向端部に連通しかつ電動送風機28に連通する第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)とを備え、第1の集塵部は、円周面に複数の貫通孔33を有する内筒7を略円筒形状内に内包し、第2の集塵部は、第1の集塵部と連通する側に開口し第1の集塵部と連通する側とは反対側に凹んだ形状を有する通気部材(例えば、集塵かご12)を内包し、第1の集塵部の内筒7の外側は、第2の集塵部内の凹んだ形状を有する通気部材の開口に連通し、第1の集塵部の内筒7の内側は、第2の集塵部内でかつ凹んだ形状を有する通気部材の外側に連通することを特徴とする。
そして、本発明の実施例1によれば、第2の集塵部を第1の集塵部の軸方向端部に連通し、そして、第1の集塵部の内筒7の外側を第2の集塵部内の凹んだ形状を有する通気部材の開口に連通し、第1の集塵部の内筒7の内側を第2の集塵部内でかつ凹んだ形状を有する通気部材の外側に連通することにより、使用者の手を煩わせることなく塵埃を圧縮し、堆積した塵埃を使用者が容易に排出でき、さらに、吸引力の低下を抑制することができる。
図1に、本発明の実施例の掃除機本体1の側面から見た断面図を示す。電気掃除機の使用状態では、掃除機本体1が横置きとなり、電気掃除機の収納状態では、掃除機本体1が縦置きとなるのが好ましい。電気掃除機の使用状態において、本体吸気口21側を前方(上流側)、本体排気口30側を後方(下流側)とすると、電気掃除機の収納状態では、本体吸気口21が重力作用方向上側となり本体排気口30が重力作用方向下側となる。掃除機本体1が横置きされた場合は、掃除機本体1の下面が、掃除機本体1が置かれた面(例えば、床面)に対して平行になり、重力作用方向に対して垂直となる。
まず、掃除機本体1の構造を説明する。吸い込んだ空気から塵埃を捕集する集塵装置2は、掃除機本体1の前側に着脱自在に配置される。集塵装置2の長手方向(軸方向)を重力作用方向(縦型配置)とすると、掃除機本体1の高さが高くなる。一方、集塵装置2内の旋回流の軸方向(集塵装置2の軸方向)が重力作用方向に近いほど遠心分離作用による分離効果が大きくなり、集塵装置2内の旋回流の軸方向が重力作用方向に対して45度を超えると遠心分離作用による分離効果が極端に低下する。そこで、掃除機本体1の高さを小さくすると共に遠心分離作用による分離効果の低下を抑制するために、本実施例では、集塵装置2の軸方向は、重力作用方向に対して40度〜45度程度とする。ただし、遠心分離作用による分離効果を高くするには、集塵装置2の軸方向は、重力作用方向に対して40度よりも小さくてもよい(例えば、0度)。塵埃分離部(旋回部)4を下側に配置し、塵埃収容部5を上側に配置する代わりに、塵埃分離部4を上側に配置し、塵埃収容部5を下側に配置してもよい。この場合は、入口管3は、塵埃分離部4の軸方向の前側端部の円周面に接続されるのが好ましい。
集塵装置2は、吸い込んだ空気を旋回させ、遠心分離作用(サイクロン方式)によって塵埃を分離する塵埃分離部4と、塵埃分離部4に連通し、塵埃分離部4で分離された塵埃を収容する塵埃収容部5を備える。塵埃分離部4と塵埃収容部5とは、集塵装置2の軸方向に配列され、それぞれの軸方向端部で接続され、連通する。つまり、塵埃分離部4は、掃除機本体1の前側に配置され、塵埃収容部5は、塵埃分離部4に対して掃除機本体1の前側に配置される。使用者が塵埃分離部4と塵埃収容部5とを容易に分離可能なように、塵埃分離部4と塵埃収容部5とが連結されている。掃除機本体1の前端に、管状の本体吸気口21を備える。塵埃分離部4の軸方向の前側端面の一部は、開口しており、その開口部が入口管3に接続される。塵埃分離部4の軸方向の前側端面ではなく、塵埃分離部4の軸方向の前側端部の円周面が、入口管3に接続されてもよい。入口管3は、掃除機本体1の幅方向の中央に形成されるのが好ましい。内筒7および凹み部8も、掃除機本体1の幅方向の中央に形成されるのが好ましい。
塵埃分離部4は、中空の略円筒状の外筒6と、外筒6と同心軸で外筒6に内包される中空の略円筒状の内筒7を備える。旋回流の軸心が重力によって重力作用方向にずれることによって遠心分離作用による分離効果が低下するのを抑制するために、塵埃分離部4の軸方向が重力作用方向に対して傾いている場合には、内筒7の軸心を外筒6の軸心に対して下方向にずらしてもよい。図3(A)に示すように、外筒6の軸方向一端面(前側端面)は、入口管3に接続される開口を除き閉塞されおり、外筒6の軸方向他端面(後側端面)は、開口している。外筒6は、使用者から塵埃の堆積が見えるようにまたは外筒6外に設けたセンサが塵埃の堆積を検出できるように、透明または半透明のプラスチックや樹脂で構成されるのが好ましい。内筒7の軸方向一端面(前側端面)は閉塞されており、内筒7の軸方向他端面(後側端面)は、開口している。図3(A)に示すように、内筒7の軸方向一端面の閉塞部分の中央に、内筒7の軸方向内側へ凹んだ凹み部8が形成される。入口管3は、内筒7の軸方向一端面の閉塞部分、つまり凹み部8に対向している。図3(A)に示すように、凹み部8の一部は、内筒7の外周端まで達している。空気の圧力損失を低減するために、凹み部8の開口方向は、下方向であるのが好ましい。ただし、凹み部8の開口方向は、上方向でも横方向でもよい。図3(A)に示すように、凹み部8の内筒7の外周端部では、凹み部8が内筒7の半径方向に真っ直ぐに向くのではなく、やや円周方向に傾いている。図1に示すように、凹み部8の軸方向の深さは、内筒7の円筒部分の軸方向の長さの略半分程度である。ただし、凹み部8の軸方向の深さは、内筒7の円筒部分の軸方向のほぼ全長にわたってもよい。この場合は、内筒7の円筒部分のほぼ全長にわたって内筒7の円周面の一部に凹み部8の開口が形成されることになる。さらに、凹み部8の外周端部に、案内管38が接続される。案内管38の断面は略1/2円形状であり、内筒7の外周面に沿って形成され、内筒7の外周面も流路の内壁面の一部を形成する。案内管38は内筒7の外周面に、円周方向に数cm程度形成される。よって、入口管3によって軸方向に流入した空気は、凹み部8によって半径方向に向きを変え、さらに、凹み部8の内筒7の外周端部でやや円周方向に変えられ、さらに案内管38で円周方向に変えられる。また、凹み部8は凹凸がなく、曲面で形成されるのが好ましい。これによって、圧力損失を抑制しつつ空気を十分に旋回させることができる。案内管38は、なくても構わない。
内筒7の軸方向他端面(後側端面)の外周に、外筒6へ向かって延びる外延部34が形成される。つまり、図3(A)に示すように、内筒7の軸方向他端面(後側端面)は、内筒7の内側が開口した円環状となっている。
図3(A)に示すように、外延部34の円周方向の一部は、開口している。この開口によって、内筒7外の空気が、塵埃収容部5に流入することができる。内筒7は、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀,銅)や抗菌物質(例えば、銀,銅)を含有するあるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成されるのが好ましい。ただし、内筒7は、円筒部分も含め樹脂で構成されてもよい。そして、図3(A)に示すように、外筒6の軸方向他端面から内筒7が軸方向へ挿入されることによって、外延部34の外周端が外筒6の内周に当接され、その結果、外筒6の軸方向他端面が閉塞される。使用者が外筒6と内筒7とを容易に分離可能なように、外筒6と内筒7とが連結される。内筒7の円周面に、複数の貫通孔33を備える。複数の貫通孔33によって、内筒7はフィルタ機能を有する。この貫通孔33によって、大きなごみが内筒7内へ流入することなく、内筒7外側から内筒7内側へ空気が流入することができる。吸込力にもよるが、1円玉以上の重さのごみは、外筒6内を吸い上げられることができず、外筒6内に残ることがある。使用者が外筒6と内筒7とを容易に分離可能なように、外筒6と内筒7とが連結することによって、使用者は、外筒6と内筒7とを容易に分離でき、外筒6内に堆積したごみを容易に排出でき、また、内筒7の貫通孔33にひっかかった髪の毛や糸くずを容易に除去することができる。
塵埃分離部4と塵埃収容部5との接続部の気密を保つために、内筒7の軸方向他端面に、パッキング9を備える。パッキング9は、外延部34に設けられるだけでなく、内筒7の軸方向にも突出している。よって、内筒7の内側は、完全な中空ではなく、パッキング9によって一部閉塞空間が存在する。さらに、パッキング9の内筒7の内側へ突出した部分に、内筒7の軸方向内側へ凹んだ凹み部39が形成される。凹み部39は把手の機能を有する。これにより、使用者が凹み部39に指を挿入して、塵埃分離部4あるいは内筒7を保持することができる。外延部34の上側の一部は、開口しており、前蓋11の外側流路35に連通する。つまり、外筒6の内側であって内筒7の円筒部分の外側が、前蓋11の外側流路35に連通する。図3(A)に示すように、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の壁面は、円周方向に案内管38の開口に対向する側の壁面が高く、円周方向に案内管38の開口側の壁面が低いのが好ましい。例えば、塵埃分離部4を前方から見た場合に案内管38の開口方向が反時計回り方向だとすると、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の壁面のうち左側の壁面が高く、右側の壁面が低い。つまり、外延部34の上側の一部が開口しているため、外延部34の円周方向は、内筒7の外周の一周分には満たないが、らせん状にずれている。よって、内筒7外の旋回流は、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の高い壁面にぶつかって、スムーズに軸方向へ向きを変えることができ、旋回流に含まれる塵埃も塵埃収容部5へ流れやすくなる。一方、内筒7の内側は、前蓋11の内側流路36に連通する。
塵埃収容部5は、軸方向一端面(前側端面)と軸方向他端面(後側端面)とが開口し、横断面で略逆三角形状の中空のケース10を備える。ケース10の軸方向一端面は、開閉可能な前蓋11によって閉塞される。前蓋11の下端部に軸31を備え、軸31はケース10の下端部によって支持される。前蓋11は、軸31を支点としてケース10の軸方向に前後回動可能である。前蓋11の上端部のケース10側には、爪が突出している。一方、ケース10の前側上部に、使用者が押下することが可能なボタン17(レバーでもよい)を備え、ボタン17に、ケース10の前側に延びる伝達棒(ロッド)18が連結されている。伝達棒18の一端は、ボタン17に連結され、伝達棒18の他端は、爪状に形成されている。伝達棒18の他端の爪は、前蓋11の上端部の爪に係合可能である。ケース10に前蓋11が閉じられた状態では、伝達棒18の他端の爪と前蓋11の上端部の爪とが係合して、前蓋11が開くのを防止することができる。そして、使用者がボタン17を押下すると伝達棒18が前側へスライドして(上側に回動してもよい)、伝達棒18の他端の爪と前蓋11の上端部の爪との係合が解除され、重力によってケース10から前蓋11を開くことができる。把手16の形成方向が水平であるのに対して、ケース10の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)の法線方向は、水平方向に対して45度〜50度傾斜している。つまり、使用者が把手16を握って塵埃収容部5を持ち上げた際には、ケース10の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)は、下方向(重力作用方向)を向いている。よって、重力によってケース10から前蓋11が開くことができる。尚、後述するが、集塵かご(集塵容器)12が、バネ(弾性体)によってケース10の前側へ飛び出すように付勢されていれば、集塵かご12が前蓋11の後面を押すため、使用者がボタン17を押下すると、集塵かご12の押す力によってスムーズにケース10から前蓋11が開くこともできる。換言すると、集塵かご12の開口面が前蓋11の後面によって押さえ受けられることによって、集塵かご12がケース10内に収納され、その収納状態が維持される。
ケース10の軸方向他端面は、開閉可能なフィルタ15によって閉塞される。フィルタ15の下端部に軸32を備え、軸32はケース10の下端部によって支持される。フィルタ15は、軸32を支点としてケース10の軸方向に前後回動可能である。フィルタ15は、断面形状が略四角形の枠体内にプリーツ状に折られたフィルタ部材79が形成される。図4(B)に示すように、フィルタ部材79の波方向は縦方向(重力作用方向)であるのが好ましい。フィルタ15は、例えば、高密度のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)である。HEPAフィルタとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。フィルタ15のケース10の反対側の面に、パッキング25を備えていてもよい。パッキング25によって、塵埃収容部5の軸方向他端面と掃除機本体1(特に吸気ダクト27入口)との気密を保持できる。尚、軸31と軸32は、共用されてもよい。また、軸32は、フィルタ15の下端部ではなく、フィルタ15の上端部に備えられてもよい。
ケース10に、集塵かご12を内包する。集塵かご12の形状は、一つの面が開口したかご形状,立体的形状,箱形状または容器形状であってもよいし、ちりとり形状であってもよい。つまり、集塵かご12は、開口と反対側に凹んだ形状を有する。集塵かご12の断面形状は、略四角形状であってもよいし、略円形状であってもよいし、略三角形状であってもよい。集塵かご12の断面形状は、開口面から底面へ向かって、小さくなるのが好ましい。これによって、塵埃が排出される側(開口側)に向かって断面積が拡がるため、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。集塵かご12の形状は、枠体(支骨)によって形成される。集塵かご12の開口面以外の底面、上下左右面に、金属やナイロンなどで構成されたメッシュ部材が被覆または貼着されているのが好ましい。集塵かご12の底面だけでなく、上下左右面にも通気性を持たせることによって、集塵かご12の底面に塵埃が堆積しても流路を確保することができ、吸い込み空気の圧力損失を低減し、吸引力の低下を抑制することができる。このメッシュ部材は、通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有する。通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有するものであれば、メッシュ部材の代わりに使い捨てのティッシュペーパでもよいし、メッシュ部材とティッシュペーパとを組み合わせてもよい。例えば、メッシュ部材の上に使用者がティッシュペーパを装着してもよい。集塵かご12の開口面は、ケース10の軸方向一端面(前側端面)の開口面に一致する。つまり、集塵かご12の開口方向と、ケース10の軸方向一端面の開口方向とが同一である。そして、図6に示すように、集塵かご12の開口面の外周端の上側半分程度は、ケース10の軸方向一端面の内周面に当接し、集塵かご12の開口面の外周端の下側半分程度は、ケース10の軸方向一端面の内周面に当接していない。集塵かご12の下部に軸14を備える。軸14は、ケース10内に支持される。よって、集塵かご12は下部の軸14を支点として、ケース10の軸方向前後に回動可能である。これによって、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、重力によって塵埃収容部5から集塵かご12の一部が飛び出すことができる。ケース10に対する軸14の形成位置は、ケース10に対する軸31の形成位置と同じ側(下側)であるため、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、前蓋11によって阻害されることなく、塵埃収容部5から集塵かご12の一部が飛び出すことができる。さらに、軸14に、集塵かご12を前蓋11側に押し出す方向に弾性力が作用するつるまきバネを備えてもよい。これによって、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、バネの弾性力によって塵埃収容部5から集塵かご12の一部が勢いよく飛び出すことができ、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。さらに、集塵かご12は、上下に2分割されており、つまり上半分の枠体(支骨)と下半分の枠体(支骨)という2つの構造物からなるのが好ましい。2分割された集塵かご12は、集塵かご12の底面の外側に形成された軸13によって連結される。よって、図4(A)に示すように、集塵かご12は、底面の中間を支点として、集塵かご12の開口面が上下に割れる。特に、集塵かご12の一部が塵埃収容部5から飛び出した際に、集塵かご12が上下に割れる。これによって、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃をさらに容易に排出することができる。特に、集塵かご12の内面にへばりついた塵埃も容易にはがし落とすことができる。ただし、集塵かご12の上下2分割の構成は、必須ではない。また、上述したように、ケース10の前側は重力作用方向に対し40度〜45度傾いていることに加え、集塵かご12は塵埃収容部5から30度傾いて飛び出すため、集塵かご12内に堆積した塵埃を略重力方向に排出することができる。
前蓋11内には、軸方向に貫通する外側流路35および内側流路36が形成される。そして、外側流路35は、前蓋11の上側に形成され、外側流路35の一端は塵埃分離部4の特に外筒6と内筒7の筒部の間にあたる外延部34の開口に連通し、外側流路35の他端はケース10の特に集塵かご12の開口に連通する。電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止するために、外側流路35の他端は集塵かご12の開口のうち半分よりも上側あるいは上端近傍に連通するのが好ましい。ただし、外側流路35の他端は、集塵かご12の開口の中央部に連通してもよい。さらに、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止するために、外側流路35の内部または他端部に、外側流路35を覆う逆止弁(図示せず)を形成するのが好ましい。逆止弁は、上端を支点として、集塵かご12へ回動する。ただし、逆止弁は必須の構成ではない。外側流路35の断面積は、外側流路35の一端から他端へ向けて拡大している。外側流路35の形成方向は、外側流路35の一端から他端へ向けて前蓋11の外側から中心側へ向かう方向である。つまり、集塵かご12の外側から中心側へ向かう方向である。外側流路35から集塵かご12へ流入する空気の乱れを抑制するため、外側流路35の形成方向は、集塵かご12の外側流路35が連通する側の壁面(上側壁面)の方向であるのが好ましい。内側流路36は、前蓋11の中央から下側にかけて形成され、内側流路36の一端は塵埃分離部4の特に内筒7の軸方向他端開口(内筒7内)に連通し、内側流路36の他端はケース10の特に集塵かご12の外側に連通する。内側流路36の他端は、集塵かご12の外部下側に連通するのが好ましい。内側流路36は、外側流路35を避けて形成される。内側流路36の断面積は、外側流路35とは逆に、内側流路36の一端から他端へ向けて縮小している。
塵埃収容部5の上部外側には、水平方向に延びる使用者が握ることが可能な把手16を備える。使用者は、この把手16を持って、塵埃収容部5を上方へ持ち上げ、塵埃分離部4を掃除機本体1に残したまま、塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外すことができる。尚、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを連結していれば、使用者は、この把手16を持って、塵埃収容部5を上方へ持ち上げれば、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを一体として、つまり集塵装置2そのものを掃除機本体1から取り外すこともできる。図1に示すように、塵埃収容部5の軸方向他端面(フィルタ15部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりはケース10側に傾斜するのが好ましい。つまり、塵埃収容部5の軸方向他端面の上部よりも下部がケース10側に近いのが好ましい。また、図1に示すように、塵埃収容部5の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりはケース10側に40度〜45度程度傾斜している。つまり、塵埃収容部5の軸方向一端面の上部よりも下部がケース10側に近い。これによって、塵埃収容部5の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となる。これによって、使用者が塵埃収容部5を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、塵埃収容部5を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。そして、使用者は、塵埃収容部5の取り外し後に、凹み部39を持って、塵埃分離部4を上方または斜め上方へ持ち上げ、塵埃分離部4を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。図1に示すように、塵埃分離部4の軸方向一端面(入口管3部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりは外筒6側に傾斜するのが好ましい。つまり、塵埃分離部4の軸方向他端面の上部よりも下部が外筒6側に近いのが好ましい。これによって、使用者が塵埃分離部4を上方または斜め上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、塵埃分離部4を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。また、使用者が塵埃分離部4を取り外す場合だけでなく、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを一体として、つまり集塵装置2そのものを掃除機本体1から取り外す際も、集塵装置2の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となるため、集塵装置2を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、集塵装置2を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。
本体吸気口21には、ホース継手管20が挿入され、ホース継手管20を保持可能である。本体吸気口21の一端に、パッキング22を備える。これによって、ホース継手管20と入口管3との気密を保持できる。掃除機本体1の前方下端(集塵装置2の下側)に、キャスタを支持するためのキャスタ支持部23を備える。掃除機本体1内の後方上側に、掃除機本体1の前後方向に延びる吸気ダクト27を備える。吸気ダクト27の延設方向一端の開口は、フィルタ15に対向する。吸気ダクト27の一端の開口付近に、補助フィルタ26を備える。これによって、集塵装置2外に残った塵埃を電動送風機28が吸い込むのを抑制することができる。吸気ダクト27の延設方向他端は閉塞されており、吸気ダクト27の延設方向他端近傍の下部、つまり、電動送風機28側が開口している。掃除機本体1の吸気ダクト27の一端の開口の上部に、フィルタ15に接触する位置に、フィルタ15に付着した塵埃を除去する除塵装置24を備える。除塵装置24は回転体の外周にらせん状のバネ(弾性体)を備える。除塵装置24はモータによってまたはコードリールの引き出しによって回転し、らせん状のバネがフィルタ15のフィルタ部材79を弾くことによって、フィルタ15に付着した塵埃を振るい落とす。上述したように、フィルタ15の波方向は縦方向のため、振るい落とされた塵埃は重力作用方向に落ちやすくなっている。フィルタ15から振るい落とされた塵埃は、ケース10内に堆積することとなる。これによって、フィルタ15の目詰まりを抑制し、空気の圧力損失の低下を抑制し、吸引力の低下を抑制することができる。掃除機本体1内の後方下側に、吸引力を発生する電動送風機28を備える。電動送風機28は、電動送風機28の吸込口が上方を向く縦置きで設置される。電動送風機28の下流側かつ電動送風機28よりも前側に、電動送風機28の排気口に連通する排気ダクト40を備える。さらに、排気ダクト40の下流側かつ排気ダクト40よりも前側に、排気ダクト40に連通するフィルタ29を備える。フィルタ29は、断面形状が略四角形の枠体78内にプリーツ状に折られたフィルタ部材79が形成される。フィルタ部材79の波方向は縦方向(重力作用方向)であるのが好ましい。フィルタ15は、例えば、高密度のULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)である。ULPAフィルタは、定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタであり、HEPAフィルタの粒子捕集効率よりも高い粒子捕集効率を有する。そして、掃除機本体1の後端面に、本体排気口30を備える。
次に、電気掃除機の動作時(使用時)の空気の流れを説明する。図1中の矢印は、空気の流れを示す。使用者が電気掃除機の電源をONにすると、電動送風機28が作動し、吸引力を発生する。ホース継手管20から吸い込まれた空気は、入口管3を通って、外筒6内に流入し、凹み部8にぶつかって半径方向に向きを変え、さらに、凹み部8の内筒7の外周端部でやや円周方向に向きを変え、さらに案内管38で円周方向に向きを変える。この結果、空気は、外筒6の軸心を中心として外筒6を旋回する。つまり、旋回流となる。
空気の旋回に伴う遠心分離作用によって、空気に含まれる重い塵埃は旋回流の外側に集まる。空気に含まれる軽い塵埃は旋回流の外側だけでなく、内側にも残る。ただし、一般家庭での掃除において、塵埃の大部分は旋回流の外側に集まり、旋回流の内側にはあまり塵埃が残らない。内筒7外の空気は重い塵埃と共に、外側流路35を通って、集塵かご12へ流入する。塵埃は集塵かご12によって捕集され、堆積し、さらに吸引力によって圧縮される。塵埃は吸引力によって自動的に圧縮されるため、使用者の手を煩わすことなく、多くの塵埃を保持できる。空気は集塵かご12の底面および上下左右面を通過して、フィルタ15に到達する。一方、旋回流の内側空気は、内筒7の貫通孔33から内筒7内に流入する。貫通孔33よりも大きな塵埃は、貫通孔33を通過することができず、内筒7外に残る。内筒7内の空気は軽い塵埃および小さい塵埃と共に、内側流路36を通って、ケース10内で集塵かご12の外部下側へ流入し、フィルタ15に到達する。集塵かご12内を通過した空気と集塵かご12内を通過しなかった空気は、フィルタ15の手前で合流して、フィルタ15を通過する。よって、集塵かご12は、ケース10内を、外側流路35に連通する空間と内側流路36に連通する空間とに区画している(仕切っている)。あるいは、集塵かご12は、ケース10内を、外側流路35に連通する空間とフィルタ15に面している空間とに区画している(仕切っている)。フィルタ15では、軽い塵埃および小さい塵埃その他空気に含まれる塵埃が捕集される。フィルタ15を通過して塵埃をほとんど含まない空気は、補助フィルタを通過して吸気ダクト27に流入し、吸気ダクト27の下部の開口を通り電動送風機28の上部の吸込口から吸い込まれる。電動送風機28の側部の排出口から排出された空気は、排気ダクト40を通って、フィルタ29に到達し、フィルタ29によって残った塵埃が捕集される。フィルタ29を通過した空気は、電動送風機28の周りやコードリール室(図示せず)、掃除機本体1の下部のすき間などを通って、本体排気口30から掃除機本体1外部へ排出される。特に、フィルタ29は、空気清浄機に搭載されるフィルタと同程度またはそれ以上の集塵効率を有するため、掃除機本体1から外部へ排出される空気は、空気清浄機と同程度またはそれ以上に清浄化されている。図2(A)に、本発明の実施例の集塵装置2の斜視図を示し、図2(B)に、本発明の実施例の集塵装置2の側面から見た断面図を示す。使用者は、把手16を握って集塵装置2を上方へ持ち上げることによって、掃除機本体1から集塵装置2を取り外すことができる。ただし、塵埃分離部4を掃除機本体1に残して、塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外すようにしてもよい。図2(A)に示すように、軸方向から見た塵埃分離部4の断面の外形状は、略円形状である。塵埃収容部5の断面の外形状は、前蓋11の部分では略円形状であるが、前蓋11の部分以降では略四角形状であり、フィルタ15の部分でも略四角形状である。図2(B)に示すように、ケース10の軸方向一端の開口方向とケース10の軸方向他端の開口方向とは一直線上になく、45度〜50度程度異なる。つまり、塵埃収容部5の軸方向は、中間よりも少し前側で、曲がっている。上述したが、集塵装置2の軸方向一端面(入口管3の部分)は、わずかに下方向(重力作用方向)を向き、集塵装置2の軸方向他端面(フィルタ15の部分)も、わずかに下方向(重力作用方向)を向いており、集塵装置2の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となるため、集塵装置2を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、集塵装置2を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。
図3(A)に、本発明の実施例の内筒7および外筒6の斜視図を示し、図3(B)に、本発明の実施例の内筒7の裏側の斜視図を示す。外筒6の一端面は、入口管3の形成部分を除き、閉塞し、外筒6の他端面は、開口する。内筒7は、円筒部分の一端に、円環状の外延部34を有する。図3(A)に示すように、外筒6内に軸方向に内筒7の円筒部分から挿入されることによって、外筒6の他端面の外周端が外延部34の外周端に当接して、外筒6内に内筒7が形成される。図3(A)に示すように、入口管3の開口方向と凹み部8の開口とは対向している。凹み部8の内筒7の外周端部への開口方向は略下向きであり、案内管38の円周方向の開口方向は、反時計周りである。尚、案内管38の円周方向の開口方向は、時計周りであってもよい。そして、外延部34の上部に、軸方向に貫通する孔を備え、つまり外延部34の上部が開口している。開口の左壁面は、右壁面に比較して高くなっている。つまり、案内管38の円周方向の開口方向に対向する外延部34の上部の開口の壁面(左壁面)が他の壁面(右壁面)より高くなっている。そして、外延部34の表面はらせん状になっており、空気を外延部34の上部の開口に滑らかに導く流路の機能を有する。図3(B)に示すように、内筒7内の上側略半円部分に、内筒7の内側へ向かって凹み閉塞した凹み部39を備え、下側略半円部分は、内筒7内に開口している。集塵かご12に塵埃が堆積していない状態において内筒7内の空気の流量より内筒7外の空気の流量を多くする場合は、内筒7内の開口面積よりも外延部34上部の開口面積を大きくしてもよい。内筒7内への開口に比較して凹み部39の領域を多くしてもよいし、凹み部39に比較して内筒7内への開口の領域を多くしてもよい。そして、使用者は凹み部39に指を入れて、容易に塵埃分離部4あるいは内筒7を持つことができる。
内筒7の円筒部を抗菌効果のある金属材料で形成する場合は、先ず、金属の薄板に、直径0.1mm〜0.4mm程度の複数の貫通孔33をエッチング加工し、その後、両端を接合して円筒形状にする。貫通孔33はパンチング加工でもよい。抗菌効果のある金属材料として、例えば、ステンレス,銀,銅などがある。ステンレス,銀,銅に限らず、銀や銅を含むまたは銀や銅が表面析出した合金であればよい。金属の薄板の厚さは1mm以下であり、加工性を向上するには0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。金属薄板の厚さが薄い場合には、強度や真円度を向上するために、円筒状の金属薄板の軸方向の両端を、成形性のよい樹脂で固定するのが好ましい。具体的には、凹み部8や案内管38を有する内筒7の略円形状の一端部の形状および円環状の外延部34を有する内筒7の他端部の形状が形成された形状に、円筒状の金属薄板をセットし、その後、型に樹脂を流し込むことによって、インサート成型する。インサート成型による場合、金属薄板は両端を接合して円筒形状にしなくてもよい。こうして、凹み部8や案内管38を有する内筒7の略円形状の一端部および円環状の外延部34を有する内筒7の他端部を樹脂で構成した、内筒7の円筒部分のみを金属材料で構成することができる。インサート成型によって、製造過程を簡素化できる。
図4(A)に、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を開いた状態の斜視図を示し、図4(B)に、本発明の実施例の塵埃収容部5の後部フィルタを開いた状態の斜視図を示す。図4(A)に示すように、軸31を支点として前蓋11が下方向へ回動して開くと、軸14を支点として集塵かご12も下方向へ回動して飛び出す。この際に、集塵かご12は、軸13を支点として上下に2分割される。塵埃収容部5から飛び出した際の集塵かご12の開口は、塵埃収容部5内に収納されていた際の集塵かご12の開口に比較して拡がる。これによって、集塵かご12の内面にへばりついた塵埃を容易にはがし落とすことができる。尚、使用者が、集塵かご12の内面に沿ってティッシュペーパを装着した際には、ティッシュペーパの端を集塵かご12の開口部の枠体と前蓋11の外周端とで挟みこめば、ティッシュペーパがずれたり外れたりするのを抑制できる。図4(B)に示すように、軸32を支点としてフィルタ15も下方向へ回動して開く。これによって、使用者は、ケース10内で集塵かご12外部に堆積した塵埃を容易に排出することができ、さらに、フィルタ15のケース10側面に付着した塵埃も容易に除去することができる。
図5(A)は、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を塵埃収容部外側から見た正面図であり、図5(B)は、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を塵埃収容部内側から見た正面図である。尚、図中の斜線部分は、断面ではなく、最も手前の表面を示している。前蓋11の下端に、ケース10に回動自在に支持される軸31を備える。前蓋11は、略円形状をしている。図5(A)に示す斜線部分の外側の略円部分は、塵埃分離部4の軸方向他端面の外周端に当接可能である。図5(A)に示す斜線部分の内側の略円部分は、塵埃分離部4の内筒7の軸方向他端面の外周端に当接可能である。前蓋11の上側つまり軸31と反対側で、斜線部分の外側の略円部分と内側の略円部分との間に、外側流路35の開口が形成される。外側流路35の表側(塵埃収容部5外側)の開口位置は、前蓋11の左右側や下側でもよいが、外側流路35の裏側(塵埃収容部5内側)の開口位置を前蓋11の上側とする場合は、外側流路35の長さを短くして空気の圧力損失を低減するために、外側流路35の表側の開口位置も、前蓋11の上側であるのが好ましい。一方、内筒7の内側に内側流路36の開口が形成される。図5(A)の正面図では、外側流路35の開口面積よりも内側流路36の開口面積のほうが大きいが、内筒7内の上側略半円部分は、凹み部39が形成されているので、内筒7内の空気の流量より内筒7外の空気の流量を多くする場合は、実質的な流路面積としては、外側流路35の開口面積よりも内側流路36の開口面積のほうが小さい。尚、斜線部分の外側の略円部分と内側の略円部分との間の外側流路35の開口が形成されていない部分は、閉塞されている。図5(B)に示す斜線部分の外側の略円部分は、ケース10の軸方向一端面の外周端および集塵かご12の開口の外周端の一部に当接する。図5(B)に示すように、前蓋11の上下方向中心線よりも上側に、外側流路35の開口が形成される。これによって、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止することができる。ただし、前蓋11の上下方向中心線を含む中央部に、外側流路35の開口が形成されてもよい。さらに、外側流路35を覆う逆止弁(図示せず)を形成するのが好ましい。これによって、さらに、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止することができる。一方、前蓋11の下端近傍に、内側流路36の開口が形成される。ただし、内側流路36の開口位置は、外側流路35の開口位置に対して、下側でもよいし、左右側または上側でもよい。尚、内側流路36の開口の上側の斜線部分は、集塵かご12の開口の外周端の下端に当接する。そして、図5(B)に示すように、前蓋11の裏側(塵埃収容部5の内側)では、内側流路36の開口面積よりも外側流路35の開口面積のほうが大きい。さらに、図5(A)と図5(B)に示すように、外側流路35の他端(裏側)の開口面積(図5(B))は、外側流路35の一端(表側)の開口面積(図5(A))よりも大きい。つまり、外側流路35は、一端から他端へ向かって拡がっている。一方、図5(A)と図5(B)に示すように、内側流路36の他端(裏側)の開口面積(図5(B))は、内側流路36の一端(表側)の開口面積(図5(A))よりも小さい。つまり、内側流路36は、一端から他端へ向かって狭まっている。
図6に、本発明の実施例の塵埃収容部5の前蓋11を除いたときの塵埃分離部側から見た正面図を示す。尚、図5と同様に、図中の斜線部分は、断面ではなく、最も手前の表面を示している。略円形状の斜線部分は、前蓋11の外周端に当接する。図6に示すように、ケース10の軸方向一端面の開口の外周端は、集塵かご12の開口の外周端の一部に当接する。また、図6に示すように、ケース10の軸方向一端面の開口の80%以上は、集塵かご12の開口が占めている。そして、ケース10の開口の集塵かご12の開口以外の領域(残り20%程度以下)は、内側流路36の開口に対向し、内側流路36に連通する。
図7は、本発明の実施例の電気掃除機の概観図である。電気掃除機は、掃除機本体1以外に、吸口を有する吸込具50と、一端が吸込具50に連通し伸縮自在な継手管(延長管)51と、一端が継手管51の他端に連通し使用者が握る把手53や操作ボタン/スイッチを有する操作管52と、一端が操作管52の他端に連通し他端にホース継手管20が形成されるホース54とを備える。掃除機本体1の本体吸気口21にホース継手管20が挿入され、保持可能である。また、掃除機本体1の両側面に車輪55を備える。そして、使用者から操作ボタン/スイッチへの操作によって電気掃除機の電源がONされると、電動送風機28が作動して吸引力を発生する。吸込具50の吸口から吸い込まれた空気は、継手管51,操作管52,ホース54,ホース継手管20の順に通過して、掃除機本体1に流入する。
図8は、本発明の実施例の掃除機本体1の斜視図である。掃除機本体1の上面の中央付近には、一端が掃除機本体1に回動可能に軸によって支持された集塵装置2用の上カバー56を備え、掃除機本体1の上面のカバー56よりも後側には、掃除機本体1に回動可能に軸によって支持され使用者が掃除機本体1を持ち上げるための把手37を備える。
本発明の実施例によれば、使用者の手を煩わせることなく塵埃を圧縮し、圧縮し堆積した塵埃を使用者が容易に排出し、さらに、吸引力の低下を抑制することができる。上カバー56は、閉じた状態で集塵装置2の把手16を覆う大きさおよび位置に形成されるのが好ましい。さらに、上カバー56は、掃除機本体1の作動中は開かないように、その回動がロックされる、または上カバー1が開いた場合掃除機本体1の作動が停止するのが好ましい。上カバー56により、掃除機本体1の作動中に使用者が集塵装置2を取り外すのを防止することができ、電気掃除機の安全性を向上することができる。
実施例1の内筒7の詳細を、実施例2として説明する。
本発明の実施例2の電気掃除機は、集塵装置2が円周面に複数の貫通孔33を有する内筒7を内包し、内筒7の軸方向の一端が閉塞され、内筒7の軸方向の他端が開口して電動送風機28側へ連通し、内筒7の軸方向の一端が、集塵装置2の入口管3の出口側開口に対向した位置に形成される。そして、内筒7の軸方向の一端が、集塵装置2の入口管3から吸い込まれた空気を円周方向へ旋回させるよう構成されることを特徴とする。
または、本発明の実施例2の電気掃除機は、内筒7の軸方向の一端の閉塞部が、集塵装置2の入口管3から吸い込まれた空気を円周方向へ旋回させる機能を持つ形状を有することを特徴とする。
または、本発明の実施例2の電気掃除機は、内筒7の軸方向の一端の閉塞部が、内筒7の軸方向の内側へ凹んだ形状を有し(例えば、凹み部8)、凹んだ形状の一部は、内筒7の円周面に開口することを特徴とする。
そして、本発明の実施例2によれば、内筒7の一端に旋回機能を持たせることによって、幅を大きくすることなく集塵装置2の軸方向の長さを短くでき、電気掃除機をコンパクトにできる。
図9は、本発明の実施例2の内筒7を円筒部分側から見た正面図である。内筒7の円筒部分は、中空の半円柱形状の円柱部分57と中空円錐台形状の円錐台部分58とから構成される。円柱部分57は、内筒7の円筒部分の先端側に位置し、円錐台部分58は、内筒7の円筒部分の根元側に位置する。円錐台部分58の根元は、外延部34の内周端に接合している。円錐台部分58によって、円柱部分57と外延部34との接合部がなだらかになり、空気の流れの剥離や乱流の発生を抑制し、吸い込んだ空気のエネルギー損失を低減し、また騒音も抑制できる。内筒7は、外延部34と案内管38(ガイド部材)と円柱部分57と円錐台部分58とが一体成形されるのが好ましい。円筒部分は、円柱部分57と円錐台部分58とから構成されるのではなく、円柱部分57のみまたは円錐台部分58のみで構成されてもよい。つまり、円柱部分57は円柱形状であってもよいし、円錐台形状であってもよい。
R1は円柱部分57の外形半径、R2は円錐台部分58の外形半径、R3は外延部34の外形半径、R4は案内管38の外形半径である。外延部34の外形は略真円である。円柱部分57の半円も、略真円である。外延部34と円柱部分57と円錐台部分58とは、同心軸上に形成され、R1<R2<R3の関係である。例えば、R1は3cm程度で、R2は5cm程度で、R3は、6.5cm程度である。案内管38の軸心は、円柱部分57の軸心に対して図9では左側にずれて位置し、R1<R4<R2の関係である。例えば、R4は4cm程度である。円柱部分57の円周方向の一端(図9の下側)は終端し、他端(図9の上側)は案内管38に接合する。案内管38の側壁は、円柱部分57の他端から案内管終端部59の手前に至るまで、曲率半径R4で半円形状になだらかに湾曲し、案内管終端部59の側壁でも、円柱部分57の外側で円柱部分57の外周に沿って(円錐台部分58の外周に沿って)なだらかに湾曲する。つまり、案内管38は、一端が凹み部8の開口に連結され、他端が円柱部分57の外側で円柱部分57の外周に沿った方向(円錐台部分58の外周に沿った方向)に向き、その間180°転向するように、略半円形状になだらかに湾曲する。凹み部8自身は、凹み部8の側壁から底部中心に向かって段差なく、なだらかに球状に形成されるのが好ましく、凹み部8から案内管38の接合部も、段差なく、なだらかに形成されるのが好ましい。これによって、吸い込んだ空気のエネルギー損失を低減し、また騒音も抑制できる。
円柱部分57の厚さD1(外形R1と凹み部8の側壁との間)は3mm程度であり、3mm程度の厚さD1の内側は、中空となっており、その空間は貫通孔33に連通する。円柱部分57の一端部は、空気の流れがほぼ180度転向する流路の内壁を形成するため、厚いほうが、騒音を低減できる。そこで、円柱部分57の厚さD1が3mm程度であるのに対して、円柱部分57の一端部での厚さを6mm程度と厚くするのが好ましい。つまり、円柱部分57の一端部の曲率半径を3mm程度とするのが好ましい。これによって、騒音を低減できる。尚、円柱部分57の厚さD1も厚くすると、塵埃がつまり易くなるため、円柱部分57の厚さD1は3mm程度であるのが好ましい。凹み部8の半径(R1−D1)は、入口管3の出口開口の内側半径に一致または若干(1mm以内)大きいほうが好ましい。凹み部8の半径が、入口管3の出口開口の内径よりも小さいと、塵埃がつまったり、空気のエネルギー損失が大きくなったり、騒音が増加する恐れがあるからである。
貫通孔33は、円錐台部分58や案内管38には形成されず、円柱部分57の外周面にのみ形成されるのが好ましい。ただし、貫通孔33は、円柱部分57の外周面だけでなく、円錐台部分58や案内管38にも形成されてもよい。貫通孔33の直径は2mm程度であってもよい。貫通孔33の直径を2mm程度とすると、貫通孔33の数は100個程度であるのが好ましい。
案内管38の一部である案内管終端部59は、半径方向から見ると、案内管終端部59の円周方向根元部60から案内管終端部59の円周方向先端部61へ向かって略「く」の字形状を有する。図9に示すように、案内管終端部59と円柱部分57とは、半径方向から見ると重複している。案内管38の終端(案内管終端部59)が円柱部分57の一端と重複する位置まで延びて形成されることによって、吸い込んだ空気に十分な旋回力を与えることができる。案内管終端部59に対して円周方向の反対側(180度反対側)に、外側流路35の一端開口(外延部34の上部の開口)が形成される。貫通孔33は、少なくとも案内管終端部59から外側流路35の一端開口までの間に形成されていればよい。外側流路35に塵埃が流れ易くするために、外側流路35の一端開口の円周方向の長さは長いほうが好ましい。外側流路35の一端開口の下流側壁面65(左壁面)が上流側壁面66(右壁面)より高くなっており、下流側壁面65は、軸方向から見ると内周側から外周側へ向かって傾斜または湾曲しており、内周側よりも外周側が上流側壁面6へ向かって円周方向に長い。これは、万が一髪の毛や糸くずなどの長さのあるごみが下流側壁面65に引っ掛かった場合、外周側を円周方向に長くすることで、これらのごみを内周側へ導く力が働き、徐々にバランスを崩し、塵埃収容部5にごみを収めるためである。塵埃収容部5に蓄積された塵埃が前蓋11の外側流路35の他端開口からこぼれ落ちるのを抑制するために、外側流路35の一端開口は、上側に配置されるのが好ましい。そこで、遠心分離距離を長くしたい場合には、外側流路35の一端開口の位置はそのままにして、凹み部8の開口の形成位置および案内管終端部59の形成位置は、時計回り方向で外側流路35の一端開口に近い位置、図9では左側の位置にすればよい。
図10も、本発明の実施例2の内筒7を円筒部分側から見た正面図である。図10中の矢印は、吸い込んだ空気の流れ方向を示す。凹み部8に略軸方向に流入した空気は、凹み部8によって半径方向に転向し、案内管38によって円周方向に転向し、内筒7と外筒6との間を半周程度(つまり案内管終端部59から外側流路35の一端開口まで)円周方向および軸方向へ流れ(旋回し)、流入した空気の大部分が外側流路35の一端開口に流れ込む(流れ64)。よって、凹み部8と案内管38は、略軸方向に流入した空気を旋回させる機能を有する。内筒7と外筒6との間を半周程度(つまり案内管終端部59から外側流路35の一端開口まで)円周方向および軸方向へ流れる(旋回する)空気の一部は、貫通孔33から内筒7内へ流れ込む(流れ63)。また、外側流路35の一端開口に流れなかった空気は、案内管38と外筒6との間を半周程度(つまり外側流路35の一端開口から案内管終端部59まで)円周方向に流れ(流れ64)、案内管38から出てきた空気と合流する。本発明の実施例2では、内筒7の外側を旋回した空気は、外側流路35を通って、電動送風機28に連通する塵埃収容部5に流れ込むため、遠心分離距離を長くする必要はなく、半周程度でよい。よって、内筒7の高さひいては塵埃分離部4の軸方向長さを短くでき、集塵装置2の軸方向長さを短くでき、掃除機本体1をコンパクトにできる。塵埃分離部4の外形直径は、内筒7の外形直径すなわち外延部34の外形直径2R3にほぼ相当する。塵埃分離部4の軸方向長さ(入口管3は含まず)は、内筒7の軸方向高さH5にほぼ相当する。そして、H5<2R3の関係を有する。よって、塵埃分離部4の軸方向高さは、塵埃分離部4の上下幅あるいは左右幅よりも小さい。例えば、2R3は13cm程度であり、H5は7cm程度である。外側流路35の一端開口に流れ込む空気(流れ62)の流量を流量V1、貫通孔33から内筒7内へ流れ込む空気(流れ63)の流量を流量V2、外側流路35の一端開口に流れなかった空気(流れ64)の流量を流量V3とすると、V1>V2>V3の関係を有する。また、入口管3での流速に比較して、案内管38での流速が高く、案内管38での流速に比較して、外側流路35での流速が高い。つまり、流れ62は、案内管38で加速し、外側流路35でも加速して、2段階に加速する。よって、入口管3の流路断面に比較して、案内管38の流路断面が小さく、案内管38の流路断面に比較して、外側流路35の流路断面が小さい。
半径方向の流路幅Wは、案内管38の案内管終端部59での流路幅W1に対して、案内管38を出た位置での流路幅W2は拡がり、案内管終端部59の出口から外側流路35の一端開口まで一定(流路幅W2)であり、外側流路35の一端開口から案内管終端部59までは徐々に流路幅W2から流路幅W3まで狭くなり、案内管終端部59では流路幅W3となる。そしてW2>W1>W3の関係を有する。W3が小さすぎると、塵埃がつまる恐れがあるため、例えば、W3は、1.0cm程度である。例えば、W2は、R3−R1であり、4cm程度である。W1は、W2−W3−(案内管終端部59の半径方向の厚み)であり、3cmよりも若干小さい。
図11は、本発明の実施例2の内筒7を円筒部分側から見た斜視図である。案内管終端部59の側壁は、円周方向に対して垂直に終端しているのではなく、2段階に屈曲した略「く」の字形状に終端している。具体的には、案内管終端部59の軸方向先端部から軸方向中間部までは円周方向に対する垂線に近い角度で終端し、案内管終端部の案内管終端部59の軸方向根元部までは円周方向に対する垂線よりもかなり傾斜して終端している。例えば、案内管終端部59の側壁が、案内管終端部59の円周方向根元部60の位置で、円周方向に対して垂直に終端すると、十分な旋回力を与えることができず、十分に塵埃を分離できない。一方、案内管終端部59の円周方向先端部61の位置で、円周方向に対して垂直に終端すると、旋回力が強すぎ、旋回の一周目で外側流路35に流れ込む空気が少なくなり、外側流路35に塵埃(特に比重の大きい塵埃)が吸い込まれず、塵埃分離部4内に塵埃が残る場合がある。特に、本発明では、塵埃分離部4の入口側が重力方向下に位置に、出口側が重力方向上に位置するため、外側流路35に塵埃が吸い込まれず、塵埃分離部4内に塵埃が残るのが顕著である。そこで、案内管終端部59を略「く」の字形状に終端することによって、凹み部8に流入した空気に、必要十分な旋回力を与えることができる。さらに、凹み部8に流入した空気は、軸方向の下流側へ向かって流れることになるため、案内管終端部59で見ると、案内管終端部59の軸方向先端側よりも軸方向根元側の流量が多くなる(圧力が高くなる)。そこで、案内管終端部59の軸方向先端側よりも軸方向根元側を円周方向に長くすることによって、流量の多い案内管終端部59の軸方向根元側に十分な旋回力を与えることができる。尚、案内管終端部59を略「く」の字形状にする代わりに、案内管終端部59の側壁を軸方向先端側から軸方向根元側に向かって1段階で円周方向に徐々に傾斜していてもよい。
図12は、本発明の実施例2の内筒7を外延部裏側から見た上面図である。図13は、本発明の実施例2の内筒7を外延部裏側から見た斜視図である。パッキング9(シール部材)は、3本のネジ67(取付部材)によって、外延部34の裏側に取り付けられている。パッキング9は、外周側に位置する円環状のリップ68(張り出し部)と内周側に位置する円環状のリップ69(張り出し部)を備える。リップ68は、外側流路35における内筒7と前蓋11との気密を保持するために設けられており、リップ69は、内側流路36における内筒7と前蓋11との気密を保持するために設けられている。そして、リップ68およびリップ69は、内周側から外周側へ向かって延びて形成される。よって、集塵分離部4に対して集塵収容部5が取り付けられた場合に、リップ68およびリップ69が集塵収容部5の前蓋11に当接し、弾性変形して、気密を保持する。さらに、電動送風機28が作動して、吸引力が発生すると、集塵収容部5に集塵分離部4が吸い寄せられて、リップ68およびリップ69がさらに弾性変形して、気密を保持する。よって、電動送風機28が停止している場合に比較して電動送風機28が作動している場合は、集塵収容部5と集塵分離部4との間の気密の保持力が増す。ただし、リップ69は、外周側から内周側へ向かって延びて形成されるのが好ましい、リップ69が、内周側から外周側へ向かって延びて形成されると、外側流路35の終端の内周側の部分100に、外側流路35からの塵埃が引っかかったり、漏れたりする。リップ69を、外周側から内周側へ向かって延びて形成することにより、塵埃が引っかかったり、漏れたりするのを抑制できる。尚、パッキング9は、リップ68およびリップ69を含めゴムなどの弾性材料によって一体に成形されるのが好ましい。
円筒部分の内周側(リップ69の内周側)の略上半分は、円筒部分の軸方向内側に凹んだ凹み部39を有するパッキング9によって閉塞され、円筒部分の内周側(リップ69の内周側)の略下半分は、パッキング9によって閉塞されずに開口している。この開口は、内側流路36を形成している。パッキング9によって閉塞された部分の面積は、開口している部分の面積と同一であってもよいし、小さくてもよい。パッキング9によって閉塞された部分の面積を、開口している部分の面積よりも小さくすることによって、内側流路36を流れる空気のエネルギー損失や騒音を低減できる。
図14は、本発明の実施例2の内筒7を上側から見た側面図である。外側流路35の一端開口の下流側壁面65(左壁面)が上流側壁面66(右壁面)より高くなっており、この高さの差分dHだけ開口している。これによって、円筒部分の外側の流れは、下流側壁面65に沿ってスムーズに軸方向へ向きを変えることができ、旋回流に含まれる塵埃も塵埃収容部5へ流れやすくなる。外側流路35の内壁面101は、外側流路35の入口である下流側壁面65から外側流路35の出口である内筒7の軸方向他端面に向かって、円周方向に傾斜または湾曲して形成される。これによって、塵埃が外側流路35内をスムーズに流れることができる。尚、外側流路35の内壁面101が傾斜または湾曲しているため、外側流路35から出た空気の流れには、軸方向の成分だけでなく、円周方向の成分(旋回成分)も残る。
図15は、本発明の実施例2の内筒7を右側から見た側面図である。外延部34は、外側流路35へ向かって(下側から上側へ向かって)、軸方向の高さが低くなっている。外延部34の表面は、1周分では、外側流路35へ向かってらせん状に形成される。円柱部分57の高さをH1、円錐台部分58の最も高い位置での高さをH2とすると、H1>H2の関係を有する。また、案内管38の最も高い位置での高さをH3とすると、H3>H1の関係を有する。貫通孔33は、少なくとも案内管終端部59から外側流路35の一端開口までの間に形成されていればよいが、その中でも、外側流路35側よりも案内管終端部59側に集中して形成されていればよい。外側流路35側では、貫通孔33に流れ込む流量よりも外側流路35に流れ込む流量が多くなるため、外側流路35側に貫通孔33を形成する意味がないためである。
図16は、本発明の実施例2の内筒7を右側から見た断面図である。凹み部8の軸方向で最も深い部分での深さをH4とすると、H4<H1の関係を有する。つまり、凹み部8の深さは、円柱部分57の高さよりも浅い。立体的に見ると、凹み部8は半球状であり、凹み部8の断面形状は、図14に示すようにほぼ半円である。よって、凹み部8の深さH4は、円柱部分57の外形半径R1あるいは凹み部8の開口部の半径にほぼ等しい。よって、凹み部8の軸方向の形成位置は、貫通孔33の軸方向の形成位置にオーバーラップする。凹み部8の深さH4が深すぎると、貫通孔33から吸い込まれる空気の流量が少なくなり、一方、凹み部8の深さH4が浅すぎると、凹み部8に塵埃がつまる恐れがあるからである。射出成形の容易さも考慮して、凹み部8は半球状とするのが好ましい。ただし、凹み部8は半球状に限定されるのではなく、半球状よりも浅い楕円形状あるいは深い楕円形状であってもよい。そして、案内管38の底面の一端は、凹み部8の底面に段差なくなだらかに接合され、案内管38の底面の他端は、外延部34の表面に段差なくなだらかに接合され、案内管38の底面は、案内管38の底面の一端から案内管38の底面の他端に至るまで段差なくなだらかに傾斜するのが好ましい。尚、半球状の凹み部8の半分から案内管38が連結されるので、案内管38の部分を除くと実際には凹み部8は1/4球状となる。
そして、円筒部分の外側を旋回した空気は、外側流路35から排出される(流れ62)。貫通孔33から円筒部分の内側に流れ込んだ空気は、円筒部分内の空間および外延部34内の空間を、小さく旋回しながら、内側流路36から排出される(流れ63)。貫通孔33から円筒部分の内側に流れ込んだ空気は、円筒部分の外側を旋回した空気に比較して、エネルギー損失がかなり大きくなるが、塵埃収容部5に塵埃が堆積していない状態において、貫通孔33から円筒部分の内側に流れ込んだ空気の流量は、円筒部分の外側を旋回した空気の流量に比較してかなり少ないため、全体として見るとエネルギー損失は少ない。
図17(a)は、本発明の実施例2の塵埃分離部を正面から見た斜視図であり、図17(a)は、本発明の実施例2の塵埃分離部を右側側面から見た側面図である。図17中の矢印は、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部との当接範囲を示す。円柱部分57の半円形状の軸方向先端部が、入口管3の出口端部と当接している。組立精度の問題から、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部とは完全に当接せずに、多少の間隙(1mm以下)があってもよい。ただし、間隙があると空気が漏れ、エネルギー損失が増加し、また騒音も大きくなる。よって、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部とを気密にする場合は、円柱部分57の軸方向先端部と入口管3の出口端部との間にパッキング(シール部材)を介在させてもよい。
一方、断面拡大図に示すように、外筒7の軸方向端面の内側に、案内管38の軸方向先端部の全長にわたって、案内管38の軸方向先端部に沿って段差を形成する。外筒7の軸方向端面の厚さをD2とし、外筒7の軸方向端面の案内管38の軸方向先端部に対応する部分よりも内周側の厚さをD3とすると、D2>D3の関係を有することから、(D3−D2)の段差が生じる。例えば、D2は3mm程度であり、D3は2mm程度である。よって、段差は、1mm程度である。よって、外筒7の軸方向端面の内側は、案内管38の軸方向先端部に対応する部分よりも内周側で薄くなる。そして、断面拡大図に示すように、この段差に案内管38の軸方向先端部が当接するように内筒6および外筒7を組み合わせる。
この段差は、外筒7の軸方向端面の内側と案内管38の軸方向先端部との間のシール機能を有するため、この段差によって、空気のエネルギー損失を低減し、または騒音を低減できる。加工精度や組立精度が悪かったり、電動送風機が28が稼動して、内筒7が塵埃収容部5側に吸い寄せられて、案内管38の軸方向先端部が、外筒6の軸方向端面の内側に完全に当接しない場合にも、段差が空気の漏れを抑制できる。案内管38の軸方向先端部の厚さは、円柱部分57の軸方向先端部の厚さD1に比較して、薄く、パッキングなどのシール部材を形成するのが困難なため、段差によってシール機能を実現するのが好ましい。尚、入口管3は、外筒6と一体に成形されるのが好ましい。
外筒7の内周面(側壁面)で、かつ、外筒7の軸方向端面(上面)に近い側で、かつ、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまでの間に、整流板102(リブ、羽根)を形成する。整流板102の形成位置は、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまでの間の中央付近でもよいし、中央よりも案内管38の出口開口側であってもよい。整流板102は板形状で、円周方向に延びて形成される。整流板102は円周方向の長さは、案内管38の出口開口から外側流路35の入口開口に至るまで距離よりも極めて小さい。図17(b)に示すように、整流板102の形成方向は、整流板102の形成位置から外側流路35の入口開口に向かう方向である。整流板102は1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。整流板102と外延部34との間には大きな隙間があり、この大きな隙間には当然に空気が流れる。整流板102と外筒7の軸方向端面の内側との間にも小さい隙間があり、この大きな隙間にも空気が流れる。この整流板102と外筒7の軸方向端面の内側との間にも小さい隙間を形成し、空気の流れを形成することによって、整流板102の両面に流れが発生するため、整流板102の下流端での乱流の発生を抑制できる。そして、この整流板102によって、旋回流を外側流路35の入口開口へ向かわせることができる。よって、案内管38から流れ込んだ空気が、外筒7内を何周も旋回することなく、外側流路35へ導かれるため、空気のエネルギー損失を低減できる。また、流速の遅い内周側(内筒7の外周面)ではなく、流速の早い外周側(外筒6の内周面)に形成するため、整流板102の形状が小さくても、旋回流を転向させる効果がある。整流板102を小さくできるため、空気の流れの乱れを小さくでき、空気のエネルギー損失を低減できる。
本発明の実施例2によれば、内筒7の先端部に凹み部8を形成して旋回機能を持たせることによって、集塵装置2の軸方向の長さを短くでき、掃除機本体1をコンパクトにできる。
実施例1の塵埃分離部4および塵埃収容部5の詳細を、実施例3として説明する。
本発明の実施例3の電気掃除機は、第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)が、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)側の軸方向一端部に、第2の集塵部の着脱方向に沿った面を有する第1の部材(例えば、突起部材70)を備え、第1の集塵部が、第2の集塵部側の軸方向他端部の第1の部材に対応する位置に、第1の部材の第2の集塵部の着脱方向に沿った面に対向する面を有する第2の部材(例えば、凹み部39)を備えることを特徴とする。そして、本発明によれば、使用者が第2の集塵部を掃除機本体1に装着する際に、第1の部材と第2の部材とにより第2の集塵部の挿入をガイドできるため、使用者にとって、第2の集塵部の装着が容易となり、また、第1の集塵部および掃除機本体1に対する第2の集塵部の位置ずれも抑制できるため、第1の集塵部と第2の集塵部との間あるいは第2の集塵部と掃除機本体1との間の気密を保持でき、電気掃除機の吸込仕事率の低下を抑制できる。さらに、空気漏れによる騒音の発生も抑制できる。
または、本発明の電気掃除機は、第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)が、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)側の軸方向一端部に、掃除機本体1の底面に対して略垂直な面を有する第1の部材(例えば、突起部材70)を備え、第1の集塵部が、第2の集塵部側の軸方向他端部の第1の部材に対応する位置に、第1の部材の略垂直な面に対向する面を有する第2の部材(例えば、凹み部39)を備えることを特徴とする。そして、本発明によれば、使用者が第2の集塵部を掃除機本体1に装着する際に、第1の部材と第2の部材とにより第2の集塵部の挿入をガイドできるため、使用者にとって、第2の集塵部の装着が容易となり、また、第1の集塵部および掃除機本体1に対する第2の集塵部の位置ずれも抑制できるため、第1の集塵部と第2の集塵部との間あるいは第2の集塵部と掃除機本体1との間の気密を保持でき、電気掃除機の吸込仕事率の低下を抑制できる。さらに、空気漏れによる騒音の発生も抑制できる。
また、本発明の電気掃除機は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)と第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)とが連通する部分に介在する第1のシール部材(例えば、パッキング9)と、第2の集塵部と掃除機本体1とが連通する部分に介在する第2のシール部材(例えば、パッキング25)とを備え、第1のシール部材が、第2のシール部材に比較して、弾性力の大きい材料で構成することを特徴とする。そして、本発明によれば、第2の集塵部と掃除機本体1との間に比較して離間し易い第1の集塵部と第2の集塵部との間の気密を保持でき、電気掃除機の吸込仕事率の低下を抑制できる。さらに、空気漏れによる騒音の発生も抑制できる。
また、本発明の電気掃除機は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)と第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)とが連通する部分に介在する第1のシール部材(例えば、パッキング9)と、第2の集塵部と掃除機本体1とが連通する部分に介在する第2のシール部材(例えば、パッキング25)とを備え、第2の集塵部が、第1のシール部材と第2のシール部材とによって、第1の集塵部が装着された掃除機本体1に支持されることを特徴とする。そして、本発明によれば、使用者が第2の集塵部を掃除機本体1から容易に取り外すことができ、塵埃の排出操作が容易となる。さらに、本発明によれば、第1の集塵部と第2の集塵部との間および第2の集塵部と掃除機本体1との間の気密を保持でき、電気掃除機の吸込仕事率の低下を抑制できる。さらに、空気漏れによる騒音の発生も抑制できる。
また、本発明の電気掃除機は、集塵装置2の軸方向一端部から集塵装置2の軸方向一端面に対向する掃除機本体1の壁面部(例えば、前側壁面)にかけて、集塵装置2が本体吸気口から離隔するのを規制する部材(例えば、突起部材72および係合穴82)を備えることを特徴とする。そして、本発明によれば、掃除機本体1と塵埃分離部4との間の気密を保持でき、電気掃除機の吸込仕事率の低下を抑制できる。さらに、空気漏れによる騒音の発生も抑制できる。
また、本発明の電気掃除機は、集塵装置2の軸方向一端部と集塵装置2の軸方向一端面に対向する掃除機本体1の壁面部(例えば、前側壁面)とを係合する部材(例えば、突起部材72および係合穴82)を備えることを特徴とする。そして、本発明によれば、掃除機本体1と塵埃分離部4との間の気密を保持でき、電気掃除機の吸込仕事率の低下を抑制できる。さらに、空気漏れによる騒音の発生も抑制できる。
図18は、本発明の実施例3の掃除機本体1を右側から見た側面図である。図19は、本発明の実施例3の掃除機本体1を右上側から見た斜視図である。特に、使用者が、上カバー56を開いて、掃除機本体1に塵埃分離部4を残し塵埃収容部5のみを略上方向へ引っ張り出した状態を示す。点線矢印は、塵埃収容部5の引っ張り方向を示す。点線矢印の方向は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面(例えば、床面)に対して垂直方向または垂直方向よりもやや前側方向(例えば、5度)である。
塵埃分離部4に一体に形成された入口管3の軸方向一端がパッキング22に当接し、塵埃分離部4の軸方向他端の下部が、係合部材71(固定部材)によって掃除機本体1に係合され、固定される。塵埃分離部4の軸方向他端の下部と係合部材71とによって係合機構が実現される。よって、使用者が係合部材71を操作しない限り、塵埃分離部4は、掃除機本体1に固定されている。一方、塵埃収容部5が掃除機本体1に装着された状態では、塵埃収容部5の軸方向一端が、パッキング9を介して塵埃分離部4の軸方向他端に当接し、塵埃収容部5の軸方向他端が、パッキング25を介して掃除機本体1に当接し、塵埃収容部5の上面が上カバー56によって覆われており、塵埃収容部5の他の部分は、塵埃分離部4や掃除機本体1に当接していない。つまり、塵埃収容部5は、その軸方向一端および他端で、塵埃分離部4や掃除機本体1に浮いた状態で上方向に支持される。よって、使用者は、上カバー56を開いて、把手16を持って塵埃収容部5を点線矢印方向へ引っ張れば、塵埃分離部4を掃除機本体1に残したまま、塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外すことができる。つまり、塵埃収容部5を塵埃分離部4とは独立して掃除機本体1から取り外すことができる。よって、使用者にとって、塵埃収容部5の取り外しが容易である。塵埃の大部分は、塵埃収容部5に堆積、圧縮されるので、使用者は、集塵装置2を掃除機本体1から取り外してさらに塵埃分離部4と塵埃収容部5を分離して塵埃収容部5内の塵埃を排出するという3段階の操作をしなくても、塵埃分離部4を掃除機本体1に残したまま塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外して塵埃収容部5内の塵埃を排出するという2段階の操作で済むため、使用者にとって、塵埃の排出操作が容易となる。尚、把手16は、塵埃収容部5の後端から前側にかけてなだらかに傾斜しているため、使用者は、塵埃収容部5を垂直方向または垂直方向よりもやや前側方向に引っ張り出せる。さらに、塵埃収容部5がパッキング9およびパッキング25のみによって塵埃分離部4および掃除機本体1に支持され、塵埃収容部5の他の部分が掃除機本体1から浮いた状態であることから、電動送風機28が作動して吸引力が発生すると、その吸引力によって塵埃収容部5が塵埃分離部4側および掃除機本体1の後側壁面側へパッキング9およびパッキング25を押し付ける方向へ変位できるため、塵埃分離部4と塵埃収容部5との間の気密、および塵埃収容部5と掃除機本体1との間の気密を保持できる。
塵埃収容部5の軸方向一端の軸心付近には、塵埃収容部5の着脱をガイドまたは補助するための突起部材70が形成される。突起部材70は、塵埃収容部5の軸方向一端面から軸方向へ突出して形成される。突起部材70は、前蓋11と同一材料で、前蓋11と一体に形成されるのが好ましいが、一体に形成されなくてもよい。突起部材70の前端面は、略引っ張り方向つまり掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して略垂直方向または垂直方向よりも、やや前側方向(例えば、0〜5度の範囲内の所定の角度)に形成される。突起部材70と塵埃分離部4の凹み部39によってガイド機構が実現される。特に、使用者は、塵埃収容部5を掃除機本体1に装着する際に、まず塵埃収容部5の把手16を持って、突起部材70の前端面を塵埃分離部4の凹み部39の前側壁面に当接し、その後塵埃収容部5を押し込み、通常の力で押し込めなくなったら、上カバー56を閉じれば、塵埃収容部5を掃除機本体1に装着できる。よって、使用者にとって、塵埃収容部5の装着も容易である。尚、塵埃収容部5が所定の位置まで押し込まれない場合には、上カバー56が閉じないように、上カバー56の内側形状(塵埃収容部5に当接する面の形状)を形成してもよい。
図20は、本発明の実施例3の掃除機本体1を右側から見た側面図である。図21は、本発明の実施例3の掃除機本体1を右上側から見た斜視図である。特に、掃除機本体1から塵埃収容部5を取り外した後に、塵埃分離部4を略上方向へ引っ張り出した状態を示す。点線矢印は、塵埃分離部4の引っ張り方向を示す。点線矢印の方向は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して略垂直方向である。
係合部材71は、板形状をしており、その後側が軸によって掃除機本体1に支持されている。さらに、係合部材71の前側を掃除機本体1側に向かって付勢するように、軸の周りにまたは係合部材71自体にばねが取り付けられている。塵埃分離部4が装着された状態では、塵埃分離部4の軸方向他端の下部が係合部材71の前側に係合し、バネの付勢力によって塵埃分離部4が外れないように固定される。塵埃分離部4は、入口管3や塵埃分離部4の軸方向他端の下部以外に、塵埃分離部4の底面が掃除機本体1に支持されてもよい。
そして、使用者は、一方の手で、バネの付勢力に逆らって、係合部材71による係合を解除し、他方の手で、凹み部39の内側または外側を持って、塵埃分離部4を点線矢印方向へ引っ張れば、塵埃分離部4を掃除機本体1から取り外すことができる。よって、使用者は、塵埃分離部4を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。塵埃分離部4を掃除機本体1に装着する際には、使用者は、凹み部39の内側または外側を持って、まず入口管3の一端をパッキング22に当接し、その後塵埃分離部4を押し込むことによって、係合部材71の前側が塵埃分離部4の軸方向一端の下部を乗り越えて係合が達成され、塵埃分離部4を掃除機本体1に装着できる。よって、使用者は、塵埃分離部4を掃除機本体1に容易に装着できる。尚、塵埃収容部5の軸方向他端面は、塵埃収容部5の軸方向他端に対向する掃除機本体1の後側壁面(電動送風機28の前方壁面)にほぼ前面にわたって形成されるが、掃除機本体1の前側から見ると、吸気ダクト27の入口開口(補助フィルタ26)は、左側に寄って形成される。また、掃除機本体1の後側壁面は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して略垂直方向に形成される。
さらに、塵埃分離部4の軸方向一端面の外側の入口管3よりも上側には、塵埃分離部4の軸方向先端側を掃除機本体1の前側の内壁に引っ掛けるための突起部材72(係合部材)が形成される。電動送風機28が作動すると吸引力が発生し、その吸引力によって塵埃収容部5が後側へ変位しようとし、さらに、その吸引力によって塵埃分離部4も集塵装置2の軸方向で塵埃収容部5側に変位し、その結果として塵埃分離部4が掃除機本体1から浮き上がろうとする。つまり、塵埃分離部4の軸方向他端は、係合部材71に係合されているので、塵埃分離部4の軸方向他端の変位は規制される。一方、塵埃分離部4の軸方向一端は、入口管3の軸方向一端がパッキング22に当接しているだけではその変位が規制されないため、パッキング22からずれたり離間してしまい、気密を保持できず、吸引力の低下を招いたり、騒音を発生する。そこで、突起部材72によって、入口管3の軸方向一端がパッキング22からずれたり離間するのを防止し、吸引力の低下や騒音の発生を抑制する。
図22は、本発明の実施例3の集塵装置2を右側から見た側面図である。特に、塵埃分離部4と塵埃収容部5とが分離された状態を示す。
塵埃収容部5の軸方向他端には、フィルタ15が設けられている。フィルタ15は、断面形状が略四角形の枠体78内にフィルタ部材79が形成される。フィルタ15の外周の全周にわたって、略四角形状のパッキング25が形成される。よって、パッキング25は、フィルタ15と共にケース10に対して回動可能である。パッキング25は、前後方向に伸縮するようひだ折りであるのが好ましい。そして、図22のように側面から見ると、パッキング25は、フィルタ15よりもケース10側に配置される。つまり、フィルタ15は、パッキング25よりも外側(電動送風機28側)に出ている。図22のように側面から見たときのフィルタ15の後端面の形成方向は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して略垂直であり、掃除機本体1の後側壁面に沿った方向(例えば、平行)である。一方、図22のように側面から見たときのパッキング25の後端面の形成方向は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対する垂線に対して角度b傾斜している。つまり、パッキング25の後端面の形成方向は、塵埃収容部5の引っ張り方向に対しても略角度b傾斜している。よって、パッキング25の後端面は、フィルタ15の後端面に対しても角度b傾斜している。パッキング25の後端面の上端の位置に対して、パッキング25の後端面の下端の位置が、前側(ケース10側)にある。図22のように側面から見たときに、パッキング25の後端面の上端の位置は、フィルタ15の後端面の上端の位置に略一致するが、パッキング25の後端面の下端の位置は、フィルタ15の後端面の下端の位置よりも前側にある。例えば、角度bは、5度〜10度の範囲内の所定の角度である。そして、掃除機本体1の後側壁面は、フィルタ15に対向する壁面よりもパッキング25に対向する壁面のほうが、前側に形成される。さらに、フィルタ15の位置に対してパッキング25の位置よりも、掃除機本体1のフィルタ15に対向する壁面の位置に対するパッキング25に対向する壁面の位置の方が、前側にあるのが好ましい。これによって、使用者が塵埃収容部5を押し込んだ際に、フィルタ15が掃除機本体1に当接する以前に、パッキング25を掃除機本体1に当接することになる。
塵埃分離部4と塵埃収容部5との間に介在するパッキング9よりも、塵埃収容部5と掃除機本体1との間に介在するパッキング25の方が、粘性が低い材料で構成されるのが好ましい。これは、パッキング9の形成方向に比較して、パッキング25の形成方向が、塵埃収容部5の引っ張り方向、つまり掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して略垂直な方向に近いため、掃除機本体1から塵埃収容部5を着脱する際に大きなせん断力を受ける。パッキング25の粘性が高いと、掃除機本体1から塵埃収容部5を着脱する際にパッキング25がパッキング受け面80にひっついてしまい、着脱に大きな力を要する。そこで、パッキング9よりもパッキング25の粘性を低くすることによって、掃除機本体1から塵埃収容部5の着脱が容易になる。パッキング9よりもパッキング25の粘性を低くするために、パッキング9よりもパッキング25を弾性力の小さい材料で構成する。換言すると、パッキング25よりもパッキング9を弾性力の大きい材料で構成することになる。塵埃分離部4は掃除機本体1にほぼ固定された状態であるのに対して、塵埃収容部5は掃除機本体1から浮いた状態であり、さらに、パッキング25の位置よりもパッキング9の位置のほうが電動送風機28から流路上遠いため、塵埃収容部5と掃除機本体1との間に比較して塵埃分離部4と塵埃収容部5との間の方が離間し易くなる。パッキング25よりもパッキング9の弾性力の大きくして、塵埃分離部4と塵埃収容部5との間が離間するのをパッキング9の弾性変形で許容することによって、離間し易い塵埃分離部4と塵埃収容部5との間の気密を保持できるという他の効果も得られる。
図22のように側面から見たときの突起部材70の前端面の形成方向は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対する垂線に対して角度c傾斜している。塵埃収容部5の引っ張り方向に対しても略角度c傾斜している。突起部材70の前端面の上端の位置に対して、突起部材70の前端面の下端の位置が、後側(ケース10側)にある。
例えば、角度cは、0〜5度の範囲内の所定の角度である。よって、角度c≦角度bの関係を有する。角度bを大きくしたときは、角度cを小さくしてもよいし、逆に、角度bを小さくしたときは、角度cを大きくしてもよい。例えば、角度bを10度とすると、角度cを0にしてもよい。つまり、パッキング25の後端面が十分に傾斜しているのであれば、突起部材70の前端面は傾斜していなくてもよい。角度bを5度とし、角度cも5度としてもよい。尚、突起部材70の前端面は凹み部39の前側壁面に対向しているが、突起部材70の前端面を受ける凹み部39の前側壁面の形成方向は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して略垂直であってもよい。このように、突起部材70の前端面とパッキング25の後端面とを逆「ハ」の字形状とすることにより、使用者にとって、掃除機本体1に対する塵埃収容部5の着脱が容易になる。特に、突起部材70の形成角度cに対して接触面積が大きく、粘性の高いパッキング25の形成角度bを大きくすることによって、塵埃収容部5の着脱が容易になる。
さらに、フィルタ15の枠体78の下部には、フィルタ15の後端面に対して突出した凸部73を有する。凸部73は、フィルタ15の後端面に対して略垂直な方向に突出している。一方、掃除機本体1の後側壁面のうちフィルタ15の枠体78に対向する位置の下部、すなわちフィルタ15の凸部73に対向する位置に、凹部81が形成される(図26参照)。この凸部73と凹部81とは対応する形状を有する。よって、凹部81は、掃除機本体1の後側壁面に対して略垂直な方向に凹んでいる。そして、この凸部73と凹部81とにより、塵埃収容部5が掃除機本体1に装着されたときに、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して垂直な方向への塵埃収容部5の変位を規制する機構を実現する。そして、塵埃収容部5を掃除機本体1に装着する際に、フィルタ15の凸部73が掃除機本体1の壁面の凹部81に嵌め合わされる以前に、突起部材70の前端面の下端が凹み部39の前側壁面に当接するように、突起部材70の位置および前端面の長さを決めるのが好ましい。これにより、使用者は、塵埃収容部5を掃除機本体1に装着する際に、まず突起部材70を凹み部39に当接し、その後塵埃収容部5を押し込むと、フィルタ15の凸部73が掃除機本体1の壁面の凹部81に嵌め込まれて、塵埃収容部5が掃除機本体1に装着された状態となる。よって、使用者にとって、塵埃収容部5を掃除機本体1にスムーズに装着することができ、また、塵埃収容部5が掃除機本体1に装着できたという感覚も得られる。また、フィルタ15の凸部73および掃除機本体1の壁面の凹部81を有することによって、塵埃収容部5が掃除機本体1に装着されたときに、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して垂直な方向へ塵埃収容部5が変位するのを防止することができ、塵埃収容部5と塵埃分離部4および掃除機本体1との気密を保持できる。
さらに、図22のように側面から見たときの入口管3の入口開口の形成方向は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対する垂線に対して角度d傾斜している。塵埃分離部4の引っ張り方向に対しても略角度d傾斜している。入口管3の入口開口の上端の位置に対して、入口管3の入口開口の下端の位置が、後側(塵埃分離部4側)にある。例えば、角度dは、5度〜10度の範囲内の所定の角度である。塵埃分離部4と一体に形成された入口管3の前端である入口開口を角度d傾斜したことにより、掃除機本体1からの塵埃分離部4の着脱が容易となる。
図23は、本発明の実施例3の集塵装置2を右側から見た断面図である。特に、塵埃分離部4と塵埃収容部5とが当接した状態を示す。集塵装置2の軸心は、入口管3の軸心かつ外筒6の軸心かつ内筒7の軸心かつ前蓋11の軸心である。軸心の形成方向(軸方向)に対して、塵埃分離部4の軸方向一端面および軸方向他端面、前蓋11の軸方向一端面および軸方向他端面、塵埃収容部5の一端面は、略垂直に形成される。
集塵装置2の軸心は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対する垂線に対して、角度a傾斜している。例えば、角度aは、40度〜45度の範囲内の所定の角度である。ただし、角度aは、40度より小さくてもよい。よって、塵埃分離部4の軸方向一端面および軸方向他端面、前蓋11の軸方向一端面および軸方向他端面、塵埃収容部5の一端面は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して角度a傾斜していることになる。
図23のように側面から見ると、凹み部39は、前方から、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して略垂直な前側壁面、塵埃分離部4の軸方向他端面に略平行な底面、塵埃分離部4の軸方向他端面に略垂直な後側壁面から構成される。塵埃収容部5が装着される際に、突起部材70の前端面が、凹み部39の前側壁面に当接する。突起部材70の前端面は凹み部39の前側壁面に対向するが、突起部材70の前端面は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して角度c傾斜しているので、凹み部39の前側壁面に対しても略角度c傾斜していることになる。電動送風機28の停止中は、突起部材70の前端面と凹み部39の前側壁面とが当接していてもよいし、当接せずに多少の間隙があってもよい。電動送風機28が作動して塵埃分離部4が塵埃収容部5に引き寄せられると、凹み部39の前側壁面が突起部材70の前端面に当接して、塵埃分離部4が塵埃収容部5へ変位するのを規制し、パッキング9がつぶれるのを抑制するのが好ましい。尚、突起部材70を前蓋11に形成し、凹み部39を内筒7に形成する代わりに、凹み部39を前蓋11に形成し、突起部材70を内筒7に形成してもよい。
図24は、本発明の実施例3の塵埃収容部5を前側から見た正面図である。前蓋11の上左側には、圧縮された塵埃の堆積量を目視できる透明または半透明の窓74が形成される。窓74には、ごみ捨てラインが描かれており、ごみ捨て時期を使用者に知らせることができる。前蓋11の軸方向一端面(前面)の下側の特に外延部34の裏側の下部に張り出したネジボス(ネジ67が形成される突起)に対応した位置には、外延部34の裏側の下部に張り出したネジボス(ネジ67が形成される突起)を受けるためのボス受け75が形成される。塵埃分離部4と塵埃収容部5が当接した際に、外延部34のネジボスが前蓋11のボス受け75内に挿入されることにより、塵埃分離部4と塵埃収容部5とが相対的に変位するのを規制することができる。外延部34のネジボスと前蓋11のボス受け75により、規制機構が実現される。
前蓋11の軸方向一端面の最外周部、つまり外延部34の裏側のリップ68に対応する位置には、外延部34の裏側のリップ68を受けるためのパッキング受け面76が形成される。パッキング受け面76は、少なくともリップ68よりも幅広な円環状部を含み、リップ68を受け易いようにその円環状部は平面で形成されるのが好ましい。前蓋11の軸方向一端面の内周側、つまり外延部34の裏側のリップ69に対応する位置には、外延部34の裏側のリップ69を受けるためのパッキング受け面77が形成される。パッキング受け面77も、少なくともリップ69よりも幅広な円環状部を含み、リップ69を受け易いようにその円環状部は平面で形成される。リップ68とパッキング受け面76とによって、外側のシール機構(シール部材)が実現され、リップ69とパッキング受け面77とによって、内側のシール機構(シール部材)が実現される。そして、突起部材70は、パッキング受け面77のさらに内周側の上側に形成される。これは、外延部34の裏側で内筒7の内周側に形成される凹み部39の位置に対応させるためである。また、突起部材70は、左右方向に並列な2つの突起部材70から構成される。このように左右方向に幅を持たせることによって、突起部材70の前端面が凹み部39の前側壁面に当接したときに安定性が増す。ただし、突起部材70は、1つの突起部材70で構成されてもよい。また、パッキング受け部77の外周でかつパッキング受け部76の内周に形成されてもよい。
図25は、本発明の実施例3の塵埃収容部5を左後側から見た斜視図である。図26は、本発明の実施例3の塵埃収容部5を軸方向他端に対向する掃除機本体1の後側壁面(電動送風機の前方壁面)の前側から見た正面図である。フィルタ15は、断面形状が略四角形の枠体78内にフィルタ部材79が形成される。凸部73は、フィルタ15の枠体78の下部の左右の2箇所に形成される。凹部81は、掃除機本体1の後側壁面(電動送風機28の前方壁面)のうちフィルタ15の枠体78に対向する位置の下部の左右の2箇所に形成される。尚、フィルタ15に凸部73が形成され、掃除機本体1の後側壁面に凹部81が形成される代わりに、フィルタ15に凹部81が形成され、掃除機本体1の後側壁面に凸部73が形成されてもよい。
図26では、補助フィルタ26(吸気ダクト27の入口開口)は、掃除機本体1の後側壁面のうち左側に寄って形成される。掃除機本体1の後側壁面の上側には、除塵装置24を収納する収容部82が形成される。掃除機本体1の後側壁面の最外周部、つまりパッキング25の対応する位置には、パッキング25を受けるためのパッキング受け面80が形成される。パッキング受け面80は、少なくともパッキング25よりも幅広な略四角形状部を含み、パッキング25を受け易いようにその略四角形状部は平面で形成されるのが好ましい。パッキング受け面80は、補助フィルタ26や収容部82が形成される面よりも、掃除機本体1の前側に飛び出して形成される。側面から見たときのパッキング受け面80の形成方向は、パッキング25の後端面の形成方向に沿うように、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対する垂線に対して角度b傾斜している。よって、パッキング受け面80は、補助フィルタ26や収容部82が形成される面に対しても角度b傾斜している。パッキング受け面80の上端の位置に対して、パッキング受け面80の下端の位置が、前側(塵埃収容部5側)にある。パッキング25とパッキング受け面80とによって、シール機構(シール部材)が実現される。
図27は、本発明の実施例3の塵埃分離部4を前側から見たときの正面図である。突起部材72は、塵埃分離部4の軸方向一端面の外側の入口管3よりも上側に形成される。左右方向では、突起部材72は、塵埃分離部4の中央部に形成される。突起部材72は、左右方向に幅をもって形成される。ただし、突起部材72は、左右に方向に平行に配置された複数の突起部材72によって構成されてもよい。尚、図27中の点線は、外筒6の内面に形成された段差を示す。
図28は、本発明の実施例3の塵埃分離部4の側面図および掃除機本体1の前側の横断面図である。塵埃分離部4に形成される突起部材72は、塵埃分離部4の軸方向に延びて、つまり掃除機本体1の前側壁面に向かって延びて形成され、その先端部に凸部を有する。つまり、突起部材72は、爪形状あるいはL字形状を有する。一方、掃除機本体1の前側壁面の突起部材72に対応する位置には、突起部材72を受けるための係合穴82が形成される。突起部材72と係合穴82とによって係合機構(係合部材71)あるいは離間するのを規制する機構が実現される。使用者は、塵埃分離部4を掃除機本体1に装着する際に、まず突起部材72を係合穴82に挿入し、その後、入口管3の入口開口端を掃除機本体1に取り付けられたパッキング22に当接し、その後、塵埃分離部4の軸方向他端の下部を、係合部材71に押し当てればよい。電動送風機28が作動すると吸引力が発生し、塵埃分離部4が掃除機本体1から浮き上がろうとするが、突起部材72の先端部の凸部が、係合穴82の内側壁面に当接してひっかかり、塵埃分離部4の軸方向一端が掃除機本体1の前側壁面からずれたり離間するのを抑制する。よって、入口管3の軸方向一端がパッキング22からずれたり離間するのも防止し、吸引力の低下や騒音の発生を抑制する。
塵埃分離部4に突起部材72を形成し、掃除機本体1の前側壁面に係合穴82を形成する変わりに、掃除機本体1の前側壁面に突起部材72を形成し、塵埃分離部4に係合穴82を形成してもよい。突起部材72の形成位置は、塵埃分離部4の軸方向一端面でも上端に近い側であってもよいし、入口管3よりも下側であってもよい。また、突起部材72の代わりに、塵埃分離部4の軸方向先端の上端面を押さえつけるための押さえ部材を掃除機本体1の前側に形成してもよいし、入口管3の上端面を押さえつけるための押さえ部材を掃除機本体1の前側に形成してもよい。
実施例1の塵埃収容部5の詳細を、実施例4として説明する。
本発明の実施例4の電気掃除機は、通気部材(例えば、集塵かご12)を、通気部材かケースに内包される第1の状態から通気部材の開口面と水平方向とのなす角度(例えば、角度e−角度f)が45度以内の所定の角度となる第2の状態に至るまでケースの前方方向に回動可能であることを特徴とする。または、本発明は、通気部材(例えば、集塵かご12)を、通気部材かケースに内包される第1の状態から通気部材の開口面と把手の形成方向とのなす角度(例えば、角度e−角度f−角度h)が45度以内の所定の角度となる第2の状態に至るまでケースの前方方向に回動可能であることを特徴とする。そして、本発明によれば、通気部材を、通気部材の開口面と水平方向とのなす角度が45度以内の所定の角度となる第2の状態に至るまでケースの前方方向に回動可能としたことにより、または、通気部材を、通気部材の開口面と把手の形成方向とのなす角度が45度以内の所定の角度となる第2の状態に至るまでケースの前方方向に回動可能としたことにより、使用者が通気部材内に堆積した塵埃を排出するのが容易となる。
または、本発明の実施例4の電気掃除機は、通気部材(例えば、集塵かご12)をケースに取り付けるための取付部材を、集塵部(例えば、塵埃収容部5)を側面から見たときに集塵部の後端面の形成方向または掃除機本体の底面に対する垂線に対して傾斜して、ケース内に固定したことを特徴とする。そして、本発明によれば、通気部材をケースに取り付けるための取付部材を、集塵部を側面から見たときに集塵部の後端面の形成方向または掃除機本体の底面に対する垂線に対して傾斜して形成したことにより、集塵部の前後方向を長くすることなく、集塵部をケースに取り付ける機構の強度を向上し、または、ケースがたわむのを抑制することができる。
図29は、本発明の実施例4の塵埃収容部を軸方向先端側から見た正面図である。特に、前蓋11を除いた状態を示す。図6と同様であるが、図6に対し図29は、集塵かご12内での空気の流れ62と、集塵かご12内での塵埃83の堆積状態を示す。
図26に示す通り、吸気ダクト27の入口開口は、掃除機本体1の左右方向のうち左側に寄って形成される。また、図5(B)に示す通り、外側流路35の出口開口は、前蓋11の上下方向中心線よりも上側に形成され、左右方向で対称な形状を有する。また、図10に示す通り、内筒7の外周側を旋回した空気の流れ62は、円周方向(旋回方向)で外側流路35に流れ込み、下流側壁面65によって軸方向に転向される。しかし、下流側壁面65によって軸方向に転向されたとしても、空気の流れ62には円周方向(旋回方向)の成分が残っているため、空気の流れ62は、外側流路35の塵埃分離部4の軸方向他端部分(外側流路35の中間部分)、前蓋11の軸方向一端部分(外側流路35の中間部分)でも軸方向かつ円周方向を向き、前蓋11の軸方向他端部分(外側流路35の出口部分)でも軸方向かつ円周方向を向く。つまり、図29に示すように、空気の流れ62は、集塵かご12内の入口開口部でも、軸方向だけでなく半時計回りの円周方向にも向いている。よって、集塵かご12内での空気の流れ62は、フィルタ15へ直接吸い込まれるだけでなく、円周方向左向きに対向する集塵かご12の左側壁面に衝突し、さらに、集塵かご12の底面に衝突する。集塵かご12の底面に衝突した流れ62は、さらに、集塵かご12の右側壁面に衝突し、集塵かご12の入口開口つまり前蓋11の軸方向他端面へ向かって旋回した後に、集塵かご12内に流れ込んだ最初の流れ62と合流することとなる。よって、集塵かご12内に流れ込んだ空気には、集塵かご12内を手前,左,奥,右,、手前の順に旋回する流れ62(塵埃収容部5を上から見ると、時計回り方向の旋回)が生じる。特に、集塵かご12にメッシュ部材が形成される場合には、空気の流れ62の衝突や旋回が顕著となる。ただし、集塵かご12の底面および上下左右の側壁面は通気可能なように開口しているため、集塵かご12の底面および上下左右の側壁面から集塵かご12外へ向かう流れも生じる。このとき、集塵かご12の底面と上側壁面と右側壁面とで形成される集塵かご12の右上部分は、流れ62の旋回力が強いため、空気に含まれる塵埃は、旋回流による遠心分離作用によって旋回流の外周側へ飛ばされ、集塵かご12の右上部分に堆積する。つまり、塵埃は、集塵かご12の右上部分から次第に堆積していく。よって、吸気ダクト27の入口開口が左側に寄って存在するにも関わらず、塵埃83が右側から堆積するため、集塵かご12内に塵埃83が堆積していったとしても、旋回流の発生が妨げられにくく、また吸気ダクト2の入口開口に対応する部分が塵埃83によって塞がれにくいため、塵埃83の堆積に伴う空気のエネルギー損失の発生が抑制され、塵埃83の堆積に伴う吸引力の低下を抑制することができる。尚、塵埃83が集塵かご12の右上部分から堆積していく場合にも、集塵かご12の底面および上下左右の側壁面から集塵かご12外へ向かう流れがあるため、集塵かご12の底面および上下左右の側壁面にも、多少の塵埃がへばりつくことになる。
図30は、本発明の実施例4の塵埃収容部を側面から見た断面図である。特に、ケース10に対して前蓋11が閉まった状態を示す。外側流路35は、前蓋11の軸方向一端面を過ぎた前蓋11内の位置で、急に拡大する。さらに、外側流路35の前蓋11の軸方向他端面(外側流路35の出口開口)を過ぎた集塵かご12内の位置でも、急に拡大する。
よって、空気の流れ62は、前蓋11の軸方向一端面を過ぎた前蓋11内の位置で急に遅くなると共に拡散し、さらに、前蓋11の軸方向他端面(出口開口)を過ぎた集塵かご12内の位置でも急に遅くなると共に拡散する。
また、集塵かごの底部84の上端と下端とは非対称とする。具体的には、集塵かごの底部84の上端つまり集塵かご13の底面と上側壁面との接合部分は、集塵かごの底部84の下端つまり集塵かご13の底面と下側壁面との接合部分に比較して、曲率半径を大きくして、なだらかに形成される。集塵かご12の軸方向は、フィルタ15の軸方向に対して角度a傾斜しているため、集塵かごの底部84の下端が、集塵かご13のうちで最もフィルタ15に近接する。前蓋11の軸方向一端面での外側流路35の開口の上下方向の中心点とフィルタ15の軸方向一端面(入口面)の上下方向の中心点とを結んだ直線(線分)上に、集塵かごの底部84の下端がほぼ位置する。そして、集塵かご12内に流れ込んだ空気の流れ62は、フィルタ15へ向かうことになるが、外側流路35の出口開口を出た位置で拡散し、一部は集塵かご12の上側壁面に沿って集塵かごの底部84へ向かい、他の一部は集塵かごの底部84に衝突して集塵かご12の下側壁面に沿って集塵かご12の入口開口へ向かって旋回する。集塵かご12の上側壁面は、フィルタ15に向かう流れ62の方向に沿って形成されているため、集塵かごの底部84へ向かって流れやすく、一方、集塵かご12の下側壁面は、フィルタ15に向かう流れ62の方向に対向して形成されているため、流れが停留しやすい。集塵かご12の上側壁面は、集塵かご12の下側壁面の上流側に位置し、また、旋回力が強いため、塵埃83は、集塵かご12のうち底部84の上端から堆積していく。尚、集塵かごの底部84の上端の外側には、ケース10の前側への集塵かご12の飛び出しを規制する突起部材87を備える。突起部材87は、集塵かご12の回動支点である軸14を中心とする円の半径方向に延びて形成されるのが好ましい。あるいは、突起部材87は、その半径方向に沿った面を有するのが好ましい。
図30の拡大図は、集塵かご12のケース10への支持構造を示す。図31は、本発明の実施例4の塵埃収容部5を後側から見た後面図である。特に、ケース10に対してフィルタ15を開いた状態を示す。図30の拡大図に示すように、集塵かご12は取付部材85によってケース10の内側に取り付けられる。これによって、ケース10の外観が損なわれるのを抑制できる。図31に示すように、取付部材85は略四角形状を有しており、前後方向および左右方向にある程度の幅を有する。取付部材85の左右方向の両端には、突起部86が形成される。突起部86をケース10の一部(ケース10の下面からケース10内に斜め方向に延びて形成される部分)に嵌め込むことによって取付部材85をケース10に固定する。そして、取付部材85の前側にて軸14を支持する。軸14に、集塵かご12を前蓋11側に押し出す方向に弾性力が作用するつるまきバネを備えてもよい。
そして、集塵かご12が前側へ飛び出す際には、取付部材85がケース10側に残り、軸14を支点として集塵かご12のみが前側へ変位する。ここで、取付部材85は、掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に平行な方向および掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して垂直な方向に対して、または塵埃収容部5またはケース10の軸方向他端面の形成方向に対して、斜め方向に形成する。取付部材85は、塵埃収容部5またはケース10の軸方向一端面の形成方向に対して、略垂直な方向に形成してもよい。塵埃収容部5およびケース19は、側面から見た形状が略逆三角形状または略扇形状であり、つまり上辺に比較して下辺が短い。このような塵埃収容部5において、特許文献3のように取付部材を水平方向に形成すると、塵埃収容部5の下辺が長くなってしまい、集塵装置2の軸方向の長さが長くなり、掃除機本体1の前後方向の長さも長くなってしまう。取付部材85自体を短くすると、取付部材85をケース10に固定するための強度が不足する。特に、軸14につるまきバネを形成した場合には、取付部材85につるまきバネの弾性力が反作用するため、取付部材85が撓んだり、損傷しやすくなる。また、集塵かご12が飛び出した状態でも、取付部材85に集塵かご12の荷重がかかるため、撓んだり、損傷しやすくなる。そこで、取付部材85を長くし(集塵かご12の軸方向長さの1/2以上)、かつ、塵埃収容部5の下辺を短くするために、取付部材85を掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に平行な方向および掃除機本体1の底面または掃除機本体1が置かれた面に対して垂直な方向に対して、または塵埃収容部5またはケース10の軸方向他端面の形成方向に対して、斜め方向に形成する。図31において、使用者は、取付部材85の「押す」と描かれた部分を押すことによって、ケース10から取付部材85と共に集塵かご12を取り外せる。
図32は、本発明の実施例4の塵埃収容部を側面から見た断面図である。特に、ケース10に対して前蓋11が開き、集塵かご12がケース10の前方方向へ飛び出した状態を示す。図23に示す通り、軸心は垂直方向に対して角度a傾斜しており、前蓋11の軸方向一端面および軸方向他端面の形成方向およびケース10の軸方向一端面の形成方向は、軸方向に対して略垂直である。よって、前蓋11の軸方向一端面および軸方向他端面の形成方向およびケース10の軸方向一端面の形成方向は、垂直方向(重力作用方向)に対して略(180−a)度傾斜しており、水平方向(重力作用方向に垂直な方向)に対して略角度a傾斜している。よって、ケース10の軸方向一端面の形成方向は、水平方向に対して角度e傾斜しており、この角度eは角度aに略等しい。よって、例えば、角度eも、角度aと同様に、40度〜45度の範囲内の所定の角度である。前蓋11は、ケース10に対して軸31を支点として前方向から下方向へ回動するが、図32に示す通り前蓋11の軸方向一端面および軸方向他端面の形成方向が少なくとも略垂直方向になるまで開口可能である。前蓋11は、ケース10の軸方向一端面の形成方向に対しては、少なくとも角度(e+90)度開口可能である。前蓋11は、ケース10の軸方向一端面の形成方向に対して、角度(e+90)度より大きく開口するのが好ましい。尚、水平方向に対する面の形成方向の角度は、垂直方向に対する面の法線方向の角度と同一である。
集塵かご12は、ケース10からの飛び出しに伴い集塵かごの底部84の中間の外側に形成された軸13を支点として、集塵かごの上半部88と集塵かごの下半部89に割れ、集塵かごの上半部88と集塵かごの下半部89とは相対的に角度gだけ開く。例えば、角度gは11.5度程度である。集塵かごの上半部88の外側に形成された突起部材87(集塵かご12の一部)が、ケース10の軸方向一端面開口の内側に当接し、集塵かご12の飛び出しが規制される。この規制によって、集塵かごの下半部89の前側端面は、ケース10の軸方向一端面に対して、最大で角度f開くことになる。例えば、角度fは33度程度である。尚、集塵かご12の前側端面(開口面)と底面とは略平行である。集塵かごの上半部88の前側端面は、ケース10の軸方向一端面に対して、最大で角度(f−g)開くことになる。また、集塵かごの下半部89の前側端面は、水平方向に対しては、角度(e−f)になるまで開くことになる。例えば、角度eを40度、角度fを33度とすると、角度(e−f)は7度程度となる。つまり、集塵かごの下半部89の前側端面は、水平方向に対して、7度程度まで近接し、集塵かごの上半部88の前側端面も、水平方向に対して、(11.5+7)=18.5度程度まで近接する。よって、集塵かごの上半部88の前側端面および集塵かごの下半部89の前側端面は、水平方向に近くなり、つまり水平方向と垂直方向との中間の45度よりも水平方向に近くなり、換言すると、集塵かごの上半部88の前側端面および集塵かごの下半部89の前側端面の法線方向が、垂直方向(重力作用方向)に近くなり、つまり水平方向と垂直方向との中間の45度よりも垂直方向に近くなるため、集塵かご12に堆積した塵埃83が落下しやすくなる。
把手16は、塵埃収容部5の後端から前側にかけてなだらかに傾斜している。使用者は、前蓋11を開くために把手16の前方に形成されたボタン17を操作するために、把手16の前側を持つことになる。塵埃収容部5の重心位置に依存するが、使用者が把手16の前側を持つと、把手16の前側が傾斜しているため塵埃収容部5全体が水平方向に対してやや上向きに傾斜することになる。把手16の前側の形成方向(接線方向)が、水平方向に対して角度h傾斜しているとすると、塵埃収容部5全体が水平方向に対して角度h上向きとなる。例えば、角度hは12度程度である。使用者が把手16の前側を持って集塵かご12内の塵埃83を排出する場合にも、集塵かごの下半部89の前側端面は、水平方向に対して、角度(e−f+h)、例えば、19度まで近接し、集塵かごの上半部88の前側端面も、水平方向に対して、角度(e−f+g+h)、例えば、30.5度程度まで近接する。よって、使用者が把手16の前側を持って集塵かご12内の塵埃83を排出する場合にも、集塵かごの上半部88の前側端面および集塵かごの下半部89の前側端面は、水平方向に近くなり、つまり水平方向と垂直方向との中間の45度よりも水平方向に近くなるため、集塵かご12に堆積した塵埃83が落下しやすくなる。ただし、把手16が塵埃収容部5の後端から前側にかけてなだらかに傾斜していることは必須ではなく、把手16が水平方向に真っ直ぐに形成されてもよい。
図33は、本発明の実施例4の塵埃収容部の側面図である。前蓋11の上左側には、圧縮された塵埃の堆積量を目視できる透明または半透明の窓74が形成される。特に、ケース10が不透明である場合には、使用者は塵埃83の堆積量を目視できないため、窓74が必要となる。窓74には、ごみ捨てライン90が描かれており、ごみ捨て時期を使用者に知らせることができる。ごみ捨てライン90の形成方向は、集塵かご12内の塵埃83の堆積方向に対して略垂直な方向、すなわちフィルタ15への吸い込み方向に対して略垂直な方向、すなわち略水平方向に対して略垂直な方向である。また、ごみ捨てライン90の形成位置は、集塵かご12内に堆積した塵埃83が前蓋11の軸方向一端部の開口からこぼれ落ちない位置、例えば、前蓋11の軸方向一端部の開口の下端に対応する位置である。外側流路35が塵埃により塞がれたとしても、内側流路36が開口しているため、吸引力はそれほど低下しない。よって、ごみ捨てライン90の形成位置を、塵埃83が前蓋11の開口からこぼれ落ちない位置とすることによって、集塵かご12内に可能な限り塵埃を堆積して、使用者が塵埃を排出する回数を低減し、使用者の負担を軽減することができる。ただし、吸引力の維持を優先する場合には、ごみ捨てライン90の形成位置を、後側かつ下側にしてもよい。窓74は、前蓋11の左側に形成される代わりに、右側に形成されてもよいし、前蓋11に形成される代わりに、ケース10に形成されてもよい。
図34は、本発明の実施例4の塵埃収容部の右側から見た断面図である。図34(a)は、集塵かご12の全開状態であり、図34(a)は、集塵かご12の半開状態を示す。
上記で説明した通り、突起部材87が、ケース10の軸方向一端面開口の内側に当接し、集塵かご12の飛び出しが規制されて、図34(a)のような全開状態となる。
図34(a)の拡大図に示す通り、集塵かごの上半部88の上側の前側には、集塵かご12を半開状態に維持するための突起部材91および突起部材92を備える。突起部材91および突起部材92は何れも三角形状を有する。突起部材91と突起部材92とは前後方向に直線状に形成され、突起部材91は前側に形成され、突起部材92は後側に形成され、突起部材91と突起部材92との間には間隙(凹部)を有する。突起部材91と突起部材92の頂点の高さは、集塵かごの上半部88の上面を基準にして、同一か、突起部材92のほうが低いのが好ましい。図34(a)において、突起部材91の左辺(前側面)の傾斜角は、突起部材92の右辺(後側面)の傾斜角よりも大きいのが好ましい。突起部材92の左辺(前側面)の傾斜角は、突起部材92の右辺の傾斜角よりも大きい。突起部材92の左辺の傾斜角は、底辺に対して90度に近い(80度〜90度)であるのが好ましい。突起部材91の右辺(後側面)の傾斜角は、突起部材91の左辺の傾斜角よりも大きい。
そして、ケース10の前方へ集塵かご12が飛び出す場合には、集塵かご12の自重やバネの付勢力によっていきおいがあるため、ケース10の軸方向一端面開口の内側に突出した端部93が、突起部材91の左辺をすべり、突起部材91と突起部材92との間の間隙を飛び越えて、突起部材92の右辺をすべる。よって、集塵かご12は、図34(b)に示すような半開状態になることなく、全開状態となる。一方、使用者の操作によって、ケース10内に集塵かご12を収納する場合には、端部93が、使用者の押す力が強いと突起部材91と突起部材92との間の間隙を飛び越えることになるが、使用者の押す力が弱いと、端部93が、突起部材92の右辺をすべり、突起部材92の頂点を乗り越えて、突起部材92の左辺をすべり、突起部材91と突起部材92との間の間隙に落ちることになる。このとき、使用者が集塵かご12を押す力を排除すると、端部93が、突起部材92の左辺に当接し、ケース10の前方への集塵かご12の飛び出し(回動)が規制されて、半開状態となる。そして、半開状態から、使用者が、前蓋11を集塵かご12の前面に当接し、前蓋11の軸方向一端面に押す力を加えることによって、前蓋11の軸方向他端面が集塵かご12の前面を押し、端部93が、突起部材91の右辺をすべり、突起部材91の頂点を乗り越えて、突起部材91の左辺をすべり、集塵かご12が収納状態となると共に、前蓋11が全閉状態となる。ただし、突起部材91の左辺も傾斜を有するため、前蓋11が開放状態であっても、あるいは、使用者が集塵かご12を押さえていなくても、集塵かご12の前面開口を上方に向ければ、端部93が、突起部材91の左辺に当接して、集塵かご12の収納状態を維持できる。これによって、使用者は、集塵かご12をケース10内に収納しやすくなり、前蓋11も閉じ易くなる。
そして、使用者は、半開状態において、集塵かご12の前面開口を上方に向け、集塵かご12の内側にティッシュペーパを設定し、ティッシュペーパの上から集塵かご12の底面を押して、集塵かご12をケース10内に押し込めば、前蓋11を開いた状態で、集塵かご12をケース10内に収納できる。使用者は、その後、前蓋11を閉じることができる。これにより、使用者は、集塵かご12をケース10内に収納する動作をすれば、集塵かご12の底面までティッシュペーパを押し込むことになるため、ティッシュペーパを集塵かご12の底面および上下左右の側壁面に密着して、確実に装着することができる。そして、ティッシュペーパを集塵かご12の底面および上下左右の側壁面に密着して装着できれば、塵埃を捕集した際に、ティッシュペーパが破損するのを抑制できる。
以下、実施例1〜4の他の実施例を説明する。
実施例1〜4では、パッキング9の外周部の軸方向根元側端部が軸方向を向いて終端しているのに対し、実施例5では、パッキング9の外周部の軸方向根元側端部が外周方向へ延びている点を特徴とする。また、実施例1〜4に対し、実施例5では、段差にリブ95を追加した点を特徴とする。また、実施例1〜4に対し、実施例5では、内筒7の軸方向先端部に位置決め用のリブ96を追加した点を特徴とする。実施例1〜4に対し、実施例5では、内筒7のパッキング9の外周面のうち下側に位置決め用の凸部98を追加した点を特徴とする。実施例1〜4に対し、実施例5では、前蓋11内の外側流路35内に軸方向に延びるリブ104を形成し、外側流路35を上側に狭くした点を特徴とする。実施例1〜4に対し、実施例5では、前蓋11のパッキング受け面76とパッキング受け面77との間に外部と連通する貫通孔105を追加した点を特徴とする。
つまり、本発明は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)は、円周面に複数の貫通孔を有する内筒7を略円筒形状の外筒6内に内包し、内筒の第2の集塵部側の端部(例えば、軸方向根元側端部)と外筒6との間にシール部材(例えば、パッキング9)を有し、シール部材の第2の集塵部側の端部は、外周側に延びていることを特徴とする(外延部94)。これにより、内筒の第2の集塵部側の端部と外筒との気密を十分に確保でき、空気のエネルギー損失を低減しまたは騒音を低減できる。
または、本発明は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)は、円周面に複数の貫通孔を有する内筒7を略円筒形状の外筒6内に内包し、内筒7の本体吸気口側の端部(例えば、軸方向先端側端部)から内筒7の外周面に向かって形成された流路(例えば、凹み部8および案内管38)を有し、外筒6の本体吸気口側の端部の内面のうち流路の側壁に対向する部分に、突起部材(例えば、リブ95)を有することを特徴とする。これにより、内筒の本体吸気口側の端部と外筒との気密を十分に確保でき、空気のエネルギー損失を低減しまたは騒音を低減できる。
または、本発明は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)は、円周面に複数の貫通孔を有する内筒7を略円筒形状内に内包し、内筒7の本体吸気口側の端部(例えば、軸方向先端側端部)のうち下側に、突起部材(例えば、リブ96)を有することを特徴とする。
これにより、外筒内に内筒を装着する際に外筒と内筒の相対的な位置決めがしやすくなり、外筒内に内筒を装着するのが容易となる。
または、本発明は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)は、円周面に複数の貫通孔を有する内筒7を略円筒形状の外筒6内に内包し、内筒7の第2の集塵部側の端部(例えば、軸方向根元側端部)と外筒6との間にシール部材(例えば、パッキング9)を有し、シール部材の外周面のうち下側に、突起部材(例えば、凸部98)を有することを特徴とする。これにより、外筒内に内筒を装着する際に外筒と内筒の相対的な位置決めがしやすくなり、外筒内に内筒を装着するのが容易となる。
または、本発明は、第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)と連通する流路(例えば、外側流路35)の下側壁面が、軸方向に延びる突起部材(例えば、リブ104)によって形成されることを特徴とする。これにより、第2の集塵部内に溜った塵埃が第1の集塵部側に逆流したり、またはこぼれ落ちるのを抑制できる。
または、本発明は、第1の集塵部(例えば、塵埃分離部4)と第2の集塵部(例えば、塵埃収容部5)とが連通する部分(例えば、前蓋11)に、第1の集塵部と第2の集塵部とが連通する流路(例えば、外側流路35)と集塵装置2の外部(例えば、大気)とを連通する孔(例えば、貫通孔105)を有することを特徴とする。これにより、第1の集塵部と第2の集塵部とが連通する流路に塵埃がつまるのを抑制できる。
図35は、本発明の実施例5の内筒を右側から見た断面図である。図35の拡大図は、リップ68およびパッキング9の軸方向根元側端部の拡大図を示す。
パッキング9の外周部は、リップ68よりも外周側に位置する。パッキング9の外周側の軸方向根元側の端面は、リップ68の軸方向根元側の端面よりも軸方向先端側に位置する。パッキング9の外周面は、軸方向を向いているが、軸方向根元部では次第に径が拡大しており軸方向に対して傾斜している。内筒7が外筒6内に挿入された際に、このパッキング9の外周面が、外筒6の内周面に当接する。このとき、パッキング9の径が拡大している外周部の軸方向根元部が、外筒6の内面に半径方向に押圧(圧迫)され、弾性変形し、パッキング9の外周部の軸方向根元部と外筒6の内面とが密着し、内筒7と外筒6の気密が確保される。しかし、半径方向の密着だけでは、気密が十分に確保できず、空気が漏れ、空気のエネルギー損失の発生や騒音の発生の恐れがある。
そこで、実施例5では、図35の拡大部に示すように、パッキング9の外周部の軸方向根元部を、さらに外周側に延長し、外延部94を形成した。よって、パッキング9の外周部の軸方向根元部は、断面で見ると、略L字形状を有する。外延部94は、パッキング9の一周にわたって形成されるのが好ましい。また、外延部94の半径方向の幅は、外筒6の外壁の厚さと同等であるのが好ましいが、外筒6の外壁の厚さよりも多少小さくても、多少大きくてもよい。そして、内筒7が外筒6内に挿入された際に、パッキング9の外周面が、外筒6の外壁の内周面に当接し、外延部94の軸方向先端側の面が、外筒6の軸方向根元側の端面に当接する。つまり、外筒6の軸方向根元側の端面をパッキング9に覆うこととなる。外延部94により、軸方向つまり外筒6内への内筒7の挿入方向でも、内筒7と外筒6の気密が確保される。これによって、気密を十分に確保でき、空気のエネルギー損失を低減でき、騒音も低減できる。
図36(a)は、本発明の実施例5の塵埃分離部を正面から見た斜視図であり、図17(a)は、本発明の実施例5の塵埃分離部を右側側面から見た側面図である。図36(a)の断念拡大図に示すように、外筒7の軸方向端面の内側の段差部分に、軸方向に延びるリブ(突起)95を形成する。リブ95は、板厚が略均一な板状であり、外筒7の軸方向端面の内側の段差部分に沿って湾曲している。リブ95の軸方向の高さD4は、例えば、5〜6mm程度である。D4>(D3−D2)である。つまり、リブ95の軸方向の高さは、段差よりも大きい。外筒7の軸方向端面の内側に段差が形成される範囲に対するリブ95が形成される範囲は、段差が形成される範囲よりも短い。一方、外筒7の軸方向端面の内側のうち、内筒6の軸方向先端部に対応する部分には、段差は形成されていないが、リブ95を形成する。リブ95は、内筒6の軸方向先端部に沿っても湾曲している。よって、リブ95は、外筒7の軸方向端面の内側のうち、案内管38の軸方向先端部に対応する部分の一部から内筒6の軸方向先端部に対応する部分の一部に至るまで、連続的に形成する。ただし、リブ95は、内筒6の軸方向先端部に対応する部分に形成されていなくてもよい。リブ95が形成される範囲は、少なくとも内筒7の上下中心よりも上側に形成されていればよい。断面拡大図に示すように、段差に案内管38の軸方向先端部が当接するように内筒6および外筒7を組み合わせると、リブ95の内周面と、案内管38の軸方向先端部の外周面および内筒6の軸方向先端部の外周面が対向することとなる(好ましくは当接することとなる)。このリブ95も、外筒7の軸方向端面の内側と案内管38の軸方向先端部および内筒6の軸方向先端部との間のシール機能を有するため、段差のみを形成した場合に比較して、空気のエネルギー損失を低減し、または騒音を低減できる。尚、リブ95を形成するのであれば、段差は形成しなくてもよい。
図37は、本発明の実施例5の内筒を外延部裏側から見た斜視図である。図35,図36(a),図37に示すように、内筒6の軸方向先端部のうち下側に、軸方向に延びるリブ(突起)96を形成する。図36(a)の示すように、リブ96は、正面から見ると、略台形状を有しており、軸方向先端側に向かうにしたがって、リブ96の幅は次第に小さくなっている。リブ96は、内筒6の軸方向先端部に沿って、湾曲している。図35に示すように、リブ96の根元側の厚さは、円柱部分57の軸方向先端部の厚さD1よりも多少小さいが、同等であってもよい。図35に示すように、リブ96の根元側の厚さは、軸方向先端側に向かうにしたがって、次第に小さくなっている。このリブ96は、外筒6内に内筒7を装着する際のガイド機能を有する。
一方、図36(b)の示すように、外筒6の軸方向先端部の内側のうち下側および入口管3の内側の下側には、リブ96の形状に対応する形状を有する係合穴97を形成する。
係合穴97は、外筒6に内筒7を装着した際に、リブ96に対応する位置に形成される。
ただし、係合穴97は、リブ96が挿入しやすいように、リブ96よりも多少大きいのが好ましい。係合穴97は、閉塞された穴である。係合穴97の軸方向根元側(開口側)は、係合穴97の軸方向先端側(閉塞側)に比較して、開口面積が大きいのが好ましい。つまり、係合穴97の軸方向根元側は、幅および厚さが大きくなっているのが好ましい。
使用者は、凹み部39の内側または外側を持つと、内筒7の上側が、使用者にとっても上側となり、内筒7の下側が、使用者にとっても下側となる。使用者は、凹み部39の内側または外側を手で持って外筒6内に内筒7を装着する際に、下側に位置するリブ96を係合穴97に挿入すれば、円周方向あるいは左右方向の内筒7と外筒6の相対位置が決められるため、その後、内筒6の上側を外筒6内に挿入しやすくなる。これによって、内筒7と外筒6の相対的な位置ズレも抑制できる。内筒7が外筒6に対して浮いて取り付けられたり、曲がって取り付けられたりするのを抑制できる。特に、リブ96が挿入方向である軸方向先端側の幅および厚さが小さく、係合穴97の軸方向根元側の幅および厚さが大きいため、使用者は、リブ96と係合穴97の相対位置が多少ズレていても、リブ96を係合穴97に挿入できる。尚、係合穴97を内筒7の軸方向先端部に形成し、リブ96を外筒6の軸方向先端部の内側に形成してもよい。
図35,図36(b),図37に示すように、内筒7のパッキング9の外周面のうち下側に、外周側に突出する凸部98を形成する。凸部98の突出量は、1mm程度である。図35に示すように、凸部98は、パッキング9の外周面のうち半径方向に拡大する手前の軸方向に延びる部分に形成されるのが好ましい。凸部98は、パッキング9よりも硬質の材料で構成されるのが好ましいが、パッキング9と同一材料で一体に形成されてもよい。
一方、図36(b)に示すように、外筒6の内周面のうち下側に、外周側へ凹んだ凹部99を形成する。凹部99は、外筒6に内筒7を装着した際に、凸部98に対応する位置に形成される。凹部99は、凸部98に対応する形状を有する。凸部98は、閉塞された穴である。
使用者は、凹み部39の内側または外側を手で持って外筒6内に内筒7を装着する際に、リブ96よりも下側に位置する凸部98を凹部99に嵌め込み、次に、リブ96を係合穴97に挿入すれば、円周方向あるいは左右方向の内筒7と外筒6の相対位置が決められるため、その後、内筒6の上側を外筒6内に挿入しやすくなる。これによって、リブ96および係合穴97のみを形成した場合に比較して、内筒7と外筒6の相対的な位置ズレを抑制できる。内筒7が外筒6に対して浮いて取り付けられたり、曲がって取り付けられたりするのを抑制できる。また、凸部98を内筒7のパッキング9の外周面に形成し、凹部99を外筒6の外周壁の内周面に形成しているため、軸方向に対しても、相対的に抵抗となる。よって、凸部98および凹部99により、内筒7が外筒6内に装着された状態で、使用者が凹み部39の内側または外側を手で持った際に、内筒7が外筒6から脱落するのを抑制することもできる。尚、凹部99を内筒7のパッキング9の外周面に形成し、凸部98を外筒6の外周壁の内周面に形成してもよい。
リップ68およびリップ69、パッキング9の表面にシボ加工を施し、または、微細な凹凸を形成してもよい。または、リップ68およびリップ69、パッキング9の表面に、潤滑剤を塗布してもよい。潤滑剤としては、例えば、フッ素を含んだ材料を用いる。または、リップ68およびリップ69、パッキング9に、フッ素を練り込んでもよい。これにより、リップ68およびリップ69がパッキング受け面76およびパッキング受け面77に固着し、または、パッキング9が外筒6の外周壁の内周面に固着して、分離しにくくなるのを抑制できる。リップ68およびリップ69がパッキング受け面76およびパッキング受け面77に固着するのを抑制し、または、パッキング9が外筒6の外周壁の内周面に固着するのを抑制するものであれば、上記実施例に限定されるものではない。
図38は、本発明の実施例5の塵埃収容部を側面から見た断面図である。図39は、本発明の実施例5の塵埃収容部の前蓋を塵埃収容部内側から見た正面図である。
図38に示すように、前蓋11の外側流路35内に、軸方向に延びる板形状のリブ104を形成する。リブ104は、前蓋11内の前端から後端に至るまで軸方向に延びている。この結果、リブ104の上側に外側流路35が形成され、リブ104の下側に流路は形成されない。外側流路35の流路断面は、上方向に狭くなっている。リブ104の下側に塵埃が溜るのを防止するのであれば、リブ104を略L字形状とし、リブ104の下側は集塵かご12には連通しない閉塞空間としてもよい。図39では、リブ104は、逆止弁103の裏側に隠れていることから、点線で示している。図39に示すように、リブ104の左右方向の幅は、外側流路35の左右方向の幅に至っている。このリブ104により、集塵かご12内に溜った塵埃が外側流路35からこぼれ落ちるのを抑制することができる。また、リブ104により、外側流路35から流入する流れ62が、上方向つまり集塵かご12の上側壁面に向かうため、流れ62の旋回力が増し、空気と塵埃の分離能力を向上できる。
図39に示すように、外側流路35の出口端に、リブ104の上側に形成される外側流路35の出口開口を覆うだけの逆止弁103を形成する。逆止弁103は、上端を支点として、集塵かご12へ回動する。逆止弁103は、弾性材料例えばゴムによって構成されるのが好ましい。この逆止弁103により、集塵かご12内に溜った塵埃が外側流路35からこぼれ落ちるのを抑制することができる。
図40は、本発明の実施例5の塵埃収容部5を軸方向前側から見た正面図である。前蓋11を閉じた状態である。図41は、本発明の実施例5の集塵装置2を上側から見た断面図である。
図40に示すように、前蓋11の前壁の左側に、前蓋11の前壁を貫通する貫通孔105を形成する。貫通孔105は、前蓋11の左側のうちパッキング受け面76とパッキング受け面77との間に形成される。貫通孔105の直径は、3.4mm程度である。貫通孔105が大きすぎると、掃除機本体1の吸込仕事率(吸引力)が低下し、貫通孔105が小さすぎると、貫通孔105から適量の外気を取り込めない。貫通孔105の流路面積は、掃除機本体1の吸込仕事率(吸引力)との関係で決定するのが好ましい。図41に示すように、貫通孔105は、前蓋11の外部(大気)と連通する。つまり、貫通孔105は、前蓋11の前壁を貫通し、外側流路35には連通しない前蓋11の内側に開口する。外側流路35には連通しない前蓋11の内側は、前蓋11の側壁と後壁との間の隙間から、外部に連通する。図41に示すように、塵埃分離部4と塵埃収容部5とが結合(装着)された状態では、貫通孔105は、リップ68とリップ69との間の空間に開口する。前蓋11の前壁の左側は、外側流路35の内筒7の出口端では流れ62の下流側に位置する。
そして、図41に示すように、電動送風機28が作動して吸引力が発生すると、リップ68とリップ69との間の空間が負圧となり、外気の流れ106が、外部から前蓋11の側壁と後壁との間の隙間を通って外側流路35には連通しない前蓋11の内側に流入し、前蓋11の前壁の貫通孔105を通って、リップ68とリップ69との間の空間に流入する。そして、外気の流れ106は、外側流路35の終端の内周側の部分100を通って、流れ62に合流し、外側流路35に流入する。つまり、図13では、流れ62は、外側流路35の内筒7の出口端から、外側流路35の終端の内周側の部分100を通って、リップ68とリップ69との間の空間に流入するのではなく、リップ68とリップ69との間の空間から外側流路35の終端の内周側の部分100を通って外側流路35の内筒7の出口端に流入してきた外気と合流することとなる。よって、この貫通孔105により、流れ62に含まれる塵埃が外側流路35の終端の内周側の部分100に引っかかるのを抑制することができる。尚、貫通孔105の位置や形状は、上記に限定されるものではなく、外側流路35の内筒7の出口端で流れ62の下流側のリップ68とリップ69との間の空間と外部とを連通するものであればよい。例えば、貫通孔105やスリットを、リップ68に形成してもよい。
実施例5に示す前蓋11の別の形状を、実施例6として説明する。
本発明の実施例6の電気掃除機は、内筒7の軸方向の一端が、集塵装置の入口管から吸い込まれた塵埃を含んだ空気を円周方向へ旋回させるよう構成され、旋回させた空気は、前蓋11に設けた外側流路35を通し、集塵かご12内を旋回する。そして、塵埃は集塵かご12内に留まり、空気は電動送風機側へと吸引される。本実施例6は、前蓋11の外側流路35の両端を、集塵かご12の内壁形状と繋がるように形成することで、集塵かご12内の旋回の乱れを低減することを特徴とする。または、本発明の実施例6の電気掃除機は、外側流路35および内側流路36の両方に逆止弁を設け、ごみ捨ての際の塵埃のこぼれを抑制するとともに、外側流路35側の逆止弁は、前蓋11の外周側に支持部を設け、支持位置を逆止弁の中心とし、支持幅は逆止弁幅の2/3にした形状により、集塵かご12に入る空気の流れを整流することを特徴とする。
または、本発明の実施例6の電気掃除機は、集塵装置が、一部が開口し他部が通気性を有する部材(例えば、メッシュ部材109)で覆われた集塵かご12と、集塵かご12の下流側に配置されるフィルタ15と、本体吸気口と集塵かご12の開口とを連通する流路(例えば、外側流路35)とを備え、流路内に流入した空気は、流路によって旋回して、集塵かご12の開口に到達し、流路の出口端の一部は、集塵かごの開口の一部に製造誤差範囲内で近接することを特徴とする。
そして、本発明によれば、集塵かご12に収容する塵埃の圧縮性を高めるとともに、集塵かご12を吹き抜ける塵埃量を減少することができ、集塵かごの容積を抑えることができる。
図42は、本発明の実施例6の前蓋11であり、逆止弁を備えていない状態で塵埃収容部内側から見た正面図、図43は前蓋11を塵埃収容部内側から見た正面図、また図44は、前蓋11を塵埃収容部外側から見た正面図である。
前蓋11は、透明なABS樹脂などの材料で形成した集塵状況を確認できる窓74を設けている。リブ104で形成される下側の空間104aは、集塵かご12内の塵埃がいっぱいになると徐々に塵埃が溜まっていくので、ごみを捨てる時期を知らせるために設けている。空間104aは、集塵かご12側の面は開口し、他の面は閉塞されている。また、空間104aはリブ104を挟んで外側流路35よりも、断面が略円形状の前蓋11の中心側に配置されているため、空間104aの集塵かご12側の面の開口は、外側流路35の出口端(集塵かご12側)の開口よりも面積が大きい。また、図38および図39に示す外側流路35の形状よりも左右方向の両端を拡大しているため、窓74との間の空間が少なく、集塵状況を把握しやすくなっている。
図42に示すように、外側流路35の出口端の開口形状は、略台形状または略半月形状である。ただし、外側流路35の出口端の開口形状は、略小判形状,略楕円形状,略長方形状,多角形状であってもよい。図29に示すように、集塵かご12の入口端の開口形状は、略八角形状または略小判形状である。ただし、集塵かご12の入口端の開口形状は、略円形状,略楕円形状,略長方形状,多角形状であってもよい。
実施例5で示したように、外側流路35にはゴム製の逆止弁を設ける。更に本実施例6では、内側流路36についてもゴム製の逆止弁を設け、内側流路36側からの塵埃のこぼれも抑制する。外側流路35の逆止弁107は板厚1.0mm、内側流路36の逆止弁108は、板厚0.5mmとしている。つまり、内側流路36の逆止弁108の板厚は、外側流路35の逆止弁107は板厚よりも薄いのが好ましい。これは、内側流路36の流量の方が、外側流路35よりも少ないためであり、逆止弁108の板厚は、厚すぎると抵抗が大きくなり、流れを大きく阻害するためである。逆止弁108の板厚については、抵抗になり過ぎず、吸引時に回動できる構造であればこの限りではない。また、逆止弁108は、固定ピース108aとネジ108bで固定しており、内側流路36の外側から見た開口面積よりも若干大きく形成している。このため、固定ピース108aを支点に集塵かご12の存在する方向のみに回動する。また、外側流路35に設けた逆止弁107は、前蓋11の外周側に支持部107aを設けており、支持幅を逆止弁107の幅の2/3とし、逆止弁107の中心で支持している。これは、支持部107aを支点に、吸引時、旋回方向の面が持ち上がることで、流入方向を抑制することができ、流入する空気を整流する効果も備えている。支持部107aは、外側流路35の形状上、本実施例6では前蓋11の外周側としているが、反対側に設けても同じ効果が得られる。また、逆止弁107の支持幅は、支持部107aを支点に旋回方向に回動すればこの限りではなく、2/3以下でも以上でも良い。吸引時に、逆止弁107に掛る剪断力に耐える寸法が必要であり、本実施例6では、支持幅を2/3としている。また、支持幅は2/3程度であるが、図のように3点で支持している。これは、逆止弁107の回動を軽くするためであり、先述したように、吸引時に逆止弁107に掛る剪断力に耐える寸法で、所望の回動範囲が得られれば、この限りではない。また、支持位置を逆止弁107の中心ではなく、左右どちらかに寄せても良いが、旋回方向側には支持部を設けない。
図46は、前蓋11を閉じた状態の図45のA−A断面である。外側流路35の出口端の左右方向の両端は、集塵かご12の入口端の左右の内壁と段差の少ない状態で接する形状にする。少ない状態とは、製造誤差範囲内で近接する状態をいう。つまり、製造誤差(1mm前後)程度、外側流路35が集塵かご12の内壁よりも大きく(広く)でもよいしまたは小さく(狭く)てもよい。流れの乱れを低減するには、上流側に位置する外側流路35が、下流側に位置する集塵かご12の内壁よりも小さいのが好ましいが、製造誤差程度であれば大きくてもよい。集塵かご12の内壁に接する部分は、旋回方向側(図42の外側流路35の右側)だけでも良いが、外側流路35両端が接する形状の方が好ましい。図45に示すように、外側流路35の出口端の上下方向の上端も、集塵かご12の入口端の上側内壁と段差の少ない状態で接する形状にする。尚、図46に示すように、上下方向の断面を見ると、外側流路35の側壁面の出口端の形成方向は、塵埃収容部5の軸方向に沿った(略平行な)方向であり、一方、集塵かご12の側壁面の入口端の形成方向は、塵埃収容部5の軸方向に沿った方向ではなく、集塵かご12の入口端から奥側にいくに従って中央側に傾斜した方向である。よって、外側流路35の側壁面の出口端の形成方向は、集塵かご12の側壁面の入口端の形成方向と一致していない。ただし、外側流路35の側壁面の出口端の形成方向は、集塵かご12の側壁面の入口端の形成方向と一致するのが好ましい。一致する場合は、外側流路35から出た空気は、集塵かご12の略接線方向に流入することとなる。
図46中に示す矢印は、集塵かご12内を旋回する流れである。内筒7の外周を旋回し外側流路35を通過した空気の流れ110aは、旋回しながら集塵かご12内に流入することとなる。よって、図46に示すように、上下方向でのある断面で見ると、流れ110aは、外側流路35内を右から左に流れるように見える。外側流路35の出口端付近では、流れ110aは外側流路35内の左側側面に衝突し、集塵かご12内に流入する。集塵かご12内に入った空気の流れ110aは、流れ110bから流れ110cのように、集塵かご12の内側形状(内壁)に沿って旋回し、流れ110cと入口の流れ110aとの衝突が少なくなるように旋回させる。このような外側流路35形状にすることで、集塵かご12内の空気の乱れを低減することができる。これに対し、図38(実施例5)に示す前蓋11形状においては、図47に示すような空気の流れとなる。図47は、図45と同じA−A断面で切断した場合の図38の断面図である。外側流路35は、集塵かご12の内壁との繋がりに大きな段差があり、集塵かご12内に入る空気の流れ111aは、集塵かご12の内壁面に沿わず、集塵かご奥側12aに略垂直に衝突し、流れ111bおよび流れ111cの主に左右方向に異なる二つの方向に分かれる。流れ111cは流れ111dのようになり集塵かご12内を旋回し、入口の流れ111aと略垂直方向から合流するため、旋回が乱れる傾向にある。
図48は、外側流路35の両端が集塵かご12の内壁に接する形状(図46)にした場合と、集塵かご12の内壁よりも内側にある外側流路35を形成した形状(図47)での集塵容量の比較である。前蓋11に設けた窓74から集塵状況を確認し、満杯と判断したとき、つまり塵埃がごみ捨てライン90に到達したときの集塵容量と開放風量の関係を示したものである。吸引した塵埃は、一般家庭における塵埃を模擬したもので、繊維塵1に対し、2倍の砂塵を混合したものである。図48から分かるように、本実施例6(図46)の形状にした方が、同等の風量を持続しながら、集塵量が約1.5倍に増加しており、実際の集塵状況を見ても、集塵かご12内に塵が均等に堆積している。よって、本実施例6の外側流路35の形状によれば、塵埃の圧縮性を向上させることができる。
また、集塵かご12のメッシュ部材109に対して垂直方向の流れ(力)が加わる場合、流れ方向から見るメッシュ部材109の開口面積が最も大きくなるため、図47に示した集塵かご12内の流れは、微細な塵埃が集塵かご12のメッシュ部材109を吹き抜けやすい傾向にある。集塵かご12のメッシュ部材109を微細な塵埃が吹き抜けた場合、フィルタ15に溜まる構造になっており、メンテナンス時(ごみ捨て時)は、フィルタ15への塵埃の吹き抜けが少ない方が良い。図46に示す集塵かご12内の流れは、先述したように集塵かご12に沿っているため、塵埃がメッシュ部材109に対して垂直方向に衝突する流れを低減でき、メッシュ部材109を抜ける塵埃量を減らすことができる。
図49は、外側流路35の両端が集塵かご12の内壁に接する形状にした場合(図46)と、図47に示した形状での集塵かご12から吹き抜ける塵の量を比較したものである。この図から、本実施例6(図46)の外側流路35の形状にすると、メッシュ部材109を吹き抜ける塵埃量が減少することが確認できる。よって、本発明の実施例6によれば、集塵かご12に収容するごみの圧縮性を高めるとともに、集塵かご12を吹き抜ける塵埃量を減少することができ、集塵かご12の容積を最小限に抑えることで掃除機本体1をコンパクトにできる。集塵かご12から塵埃を排出する回数が減り、使用者の手間を省くことができる。また、フィルタ15につまった塵埃(細塵)を除去する回数(フィルタ15を清掃する回数)も減り、使用者の手間を省くことができる。
実施例1〜6における塵埃分離部4は、外筒底面6aに垂直方向に接する内筒7の案内管38により旋回流路を形成している。図50に示すように、旋回流路は渦巻き状の壁面で構成される。先述したように、案内管終端部59と円柱部分57は半径方向から見ると、図9に示しているように重複しており、重複部分を長く設けた方が吸込んだ空気に十分な旋回力を与えることができる。案内管38で形成される流路は、円周方向根元部60と案内管始点38a(図50に記載)の部分で開口しており、幅W4(図50に記載)と高さ(深さ)の積が案内管38の所定部分の開口面積となる。入口管3から吸い込んだ空気は、案内管38の所定部分の開口面積を調整することで加速させることができ、案内管38の所定部分の開口面積を小さく設計することで、吸引した空気の加速度が大きくなり、旋回性を向上することができる。実施例1〜6に示す案内管38の所定部分の開口面積は、外筒6の入口管3の開口面積の、約1/2となっており、強い旋回流を発生する。しかし、案内管38の所定部分の開口面積を小さく(加速度を大きく)し過ぎると、流れに起因する騒音が大きくなる。案内管38の所定部分の開口面積を拡大するには、円周方向根元部60を時計回りの方向に短くする場合と、案内管始点38aを反時計回りの方向に短くする場合とが考えられるが、円周方向根元部60を短くすると旋回流路が短くなってしまうため、案内管始点38aを短くする方が好ましい。また、重複部分をなくすと、案内管終端部59による旋回力を与えられなくなるので、案内管38の所定部分の開口面積は中心線Yと案内管始点38aと円周方向先端部61が一直線になるまでが最大の拡大面積である。よって、騒音を低減するには、案内管38の所定部分の開口面積と案内管終端部59の重複部分のバランスが重要である。図50に本実施例の内筒7形状を示す。案内管始点38aと案内管終端部59との重複部分がほとんどない状態(中心線Yと案内管始点38aと円周方向先端部61が一直線)としており、案内管38の所定部分の開口面積は、図9と比較すると約1.5倍である。案内管38の所定部分の開口面積の倍率は、設計する際の案内管38の半径R1や高さ(深さ)によって変化するので、この限りではない。しかし、単に開口面積を拡大した場合、加速度を低減するだけなので、開口面積拡大前よりも旋回性が低減する。
案内管38の所定部分の開口面積を拡大した場合の空気の流れを図36(a)および図36(b),図51を用いて説明する。図36(a)および図36(b)は、塵埃分離部4を掃除機本体1に装着した時の、塵埃分離部4の姿勢である。図36(a)から、入口管3から吸い込んだ空気のほとんどは、案内管38に沿って流れるようになっている。しかし、図51の案内管38は、案内管始点38aを中心線Yまで短くしているので、吸入口3の中心線Yよりも右側から入る流れは案内管38に沿って旋回する流れ120a、左側から入る流れはそのまま案内管終端部59を乗り越える流れ120bとなるため、旋回性が低減する。
流速低減による旋回性の低下を補うために、外筒底面6aに図52に示すようなリブ115(突起)を設ける。つまり、リブ115は、入口管3の出口端のうち、案内管38が開口している側に設けられている。つまり、入口管3から案内管38に流れ込んだ空気は、案内管38が開口へ向かって旋回するため、リブ115は、入口管3と案内管38との連結部のうち内周面に設けられている。図52は、外筒6を上側から見た斜視図で、B−B断面図を図53に示す。このようなリブ115を設けることにより、空気の流れは図54のようになる。中心線Yよりも右側の流れ120aは同じだが、左側の流れはリブ115により、凹み部8の底面および側面側へ押し付けられて流れるようになり、流れ120cのように旋回する。これにより、旋回性を向上することができる。リブ115は、外筒底面6aに対して垂直に設けており、高さを約5mm、肉厚は約2mmとしている。本形状のリブ115においては、この高さを5mmよりも低くした場合、前述した図51に示すような流れとなり、旋回性が低下する。しかし、リブ115を高くしすぎると、旋回流路の入口管3との連結部の開口面積が小さくなるので騒音が大きくなる。本実施例では、旋回性と騒音とのバランスを取り、リブ高さを約5mmとしているが、旋回流路の形状により旋回性は変化するのでこの限りではない。また、リブ115の長さ(円弧の長さ)は、案内管38に接するまで延ばしているがこの限りではなく、案内管始点38aに接する位置から、最も短くて図9に示す重複部分の範囲までとしても良い。これは、開口面積拡大前と同等の旋回性を得るためであり、これよりも短い場合は、旋回性が低下する。また、塵埃分離部4を掃除機本体1から取り外した際、万が一、塵埃が塵埃分離部4内に残っていた場合、塵埃のこぼれる可能性がある。これを防止するために、リブ115の円弧の長さは、案内管38に接するまで延ばす方が好ましい。
さらに、本実施例の別のリブ形状として、図55のような傾斜させたリブ116を設ける。傾斜させる向きは、図に示したように中心に向かうようにする。リブを傾斜させることで、垂直の場合より、凹み部8へ流れを向けることができ、案内管38からなる旋回流路を有効に利用でき旋回性が向上する。簡単な構造で傾斜したリブ116を設けるには、別部品にすることが考えられるが、ごみが通過する部分に接合部があると、隙間にごみが挟まったり、引っ掛かったりするなどの問題が発生する可能性がある。ごみ詰まりなどを考慮すると、一体形状にすることが好ましい。
さらに、本実施例の別の形状として、図56のように、リブの外周面が、リブ先端から外筒底面6aに向かってリブ断面が大きくなるように外筒底面6aに対して傾斜を設けても良い。これは、リブを設けたことによる段差を極力なくすためである。これにより、空気の流れをスムーズにし、乱れを少なくすることできる。流れに中に、突起や段差があると、その部分で剥離が発生し、流れが乱れるので、段差は極力なくすようにすることで、低騒音化を図ることができる。また、外筒底面6aにリブを立てるような形状ではなく、図57や、図58に示すように、吸気入口部から繋がるような壁を設けても良い。これも、吸入口3との段差をなくすためであり、流れをスムーズにし、低騒音化を図ることができる。また、図58のように、壁の外周面が、壁の先端から外筒底面6aに向かって壁の断面が大きくなるように外筒底面6aに対して傾斜を設けることで、剥離を防ぐことができ、低騒音化に繋がる。
さらに、本実施例の別の形状として、図59のように、外筒底面6aの肉厚を増しても同じ効果が得られる。また、外筒6の肉厚を増すと遮音の効果も得られ、更なる低騒音化に繋がる。
また、図53,図55〜図59のようなリブや壁を設けずに、案内管38を時計回りに回転させても、旋回性を得ることが可能である。
以上のように、本実施例に示した、案内管38で形成される流路の開口面積拡大と、外筒底面6aに設けたリブ(または壁)により、旋回性を維持しつつ、電気掃除機本体の騒音値を0.5〜1.0dB程度低減することができる。
図60に、本実施例の騒音値を示す。比較対象として、実施例1〜6の集塵部の場合も示している。図に示す騒音値は、電気掃除機本体の側方に配置したマイクで測定したものである。実施例1〜7の塵埃分離部では、流れに起因する騒音は1000Hz〜2000Hzの周波数であるが、実施例1〜6と比較して、案内管38で形成される流路の開口面積を拡大し、外筒底面6aにリブ(または壁)を設けた実施例7では、前記周波数の騒音レベルが低減していることがわかる。よって、本発明により、旋回性を維持しつつ騒音を低減することができる。
以上により、本発明によれば、外筒の底面に垂直方向に接する内筒の案内管により形成される旋回流路の開口面積を拡大することで流速を低減し、集塵部の騒音を低減することができる。また、本発明によれば、流速低減による旋回性の低下を補うために、外筒内側の底面の吸込口部にリブや壁を設けることで、旋回性を向上することができる。また、本発明によれば、設けたリブの段差を極力なくすために、吸込口内径に合わせたリブやリブ根元部に傾斜を設けることで、空気の流れをスムーズにし、剥離などの流れの乱れを低減し、騒音を低減することができる。または、本発明によれば、設けたリブを内側に傾斜することで、旋回性を向上することができる。