JP3699545B2 - レンズの測光情報伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、一眼レフカメラに装着されるレンズの自動絞り装置に関し、特にその絞に関する測光情報をカメラボディ側に伝達する測光情報伝達装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
本出願人は、最大口径から所定の中間絞口径迄は絞設定環の設定絞値に応じて開放口径が変化し、上記中間絞口径から最小絞口径迄は絞設定環の設定絞値に拘らず開放口径が一定に保持されるレンズについて特許を得た(特公平7−74880号公報)。この自動絞り装置によれば、最大口径から所定の中間絞口径迄の領域では、絞の設定を変えると、その絞効果(ソフトフォーカス効果)を直接ファインダ視することができ、一方、中間絞値から最小絞迄は、シャッタレリーズの直前に設定絞値に絞り込む自動絞として機能する。すなわちファインダが暗くなることを避けたい絞領域では、絞効果の確認の必要性が低いことから、絞効果を確認するすることなく、自動絞機能を得ることができる。なおここで言うソフトフォーカス効果とは、レンズの球面収差による効果で、絞込によって、効果が少なくなるという性質がある。
【0003】
さらに、本出願人は、この自動絞り装置において、測光方式および絞値情報をカメラボディ側に伝達する測光情報伝達装置についても特許を得た(特公平7−19015号公報)。この測光情報伝達装置は、最大口径から中間絞値迄は、いわゆる絞込測光を行ない、中間絞値から最小絞値迄は開放測光を行なうものであり、絞設定環とは別に、絞情報をカメラボディ側に伝達する絞連係部材(絞情報伝達部材)を設け、この絞設定環と絞連係部材との間に、上記開放口径の変化領域では絞設定環の回動位置に拘らず絞連係部材を一定位置に保持し、開放口径の非変化領域では両者を一緒に回動させる連動機構を介在させたことを特徴としている。
【0004】
この連動機構は、具体的には、絞設定環、絞連係部材ともに全環状部材として構成されていて、両者の間に、両者を逆方向に回動付勢する連係ばねを張設していた。ところが、この連係ばねは、絞設定環の回動位置(設定絞値)によって引張量が変化するため、絞設定環(絞操作環)の回転トルクを不均一にしていた。また絞設定環(絞操作環)を設定絞値にクリックするクリック力は、連係ばねの最大付勢力に抗する大きさとしなければならず、いきおい大きい操作力を要することとなって操作感に悪影響を与えていた。
【0005】
【発明の目的】
本発明は従って、最大口径から所定の中間絞口径迄は絞設定環の設定絞値に応じて開放口径が変化し、上記中間絞口径から最小絞口径迄は絞設定環の設定絞値に拘らず開放口径が一定に保持され、さらに、レンズ側からボディ側への絞込測光と開放測光の情報伝達を自動的に行なうことのできる測光情報伝達装置において、絞設定環と絞情報伝達部材との間にばね力を介在させる必要のない、操作感に優れた測光情報伝達装置を得ることを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、最大口径から所定の中間絞口径迄は絞設定環の設定絞値に応じて開放口径が変化し、中間絞口径から最少絞口径迄は絞設定環の設定絞値に拘らず開放口径が一定に保持されるレンズであって、絞設定環とは別に、絞情報をカメラボディ側に伝達する絞情報伝達部材を設け、この絞設定環と絞情報伝達部材との間に、上記開放口径の変化領域では絞設定環の回動位置に拘らず絞情報伝達部材を一定位置に保持し、開放口径の非変化領域では両者を一緒に回動させる連動機構を介在させたレンズの測光情報伝達装置において、絞情報伝達部材を、一端部が絞設定環上の光軸からの偏心位置に枢着され、他端部に絞情報伝達突起を有する円弧状レバー部材として構成し、この絞情報伝達レバーとレンズの固定部分との間に、開放口径の変化領域において絞設定環が回動したときには絞情報伝達突起の位置を変化させず、開放口径の非変化領域において絞設定環が回動したときには上記絞情報伝達突起を絞設定環と一緒に回動させるカム機構を設けたことを特徴としている。
【0007】
このカム機構は、例えば、絞情報伝達レバーに設けたカム溝と;このカム溝に嵌まる、レンズの固定位置に設けた姿勢制御ピンと;から構成し、このカム溝に、開放口径の変化領域に対応する非円弧区間と;開放口径の非変化領域に対応する光軸を中心とする円弧区間と;を設けることができる。また、絞設定環には、光軸を中心とする円弧状溝を設け、姿勢制御ピンを、この円弧状溝と絞情報伝達レバーのカム溝の双方に共通に嵌めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に一枚を代表させて描いた絞羽根11には、その表裏にダボ11a、11bが突出形成されている。この絞羽根11は、相対回転可能な絞支持環12と絞開閉環13によって挟着されており、この絞支持環12と絞開閉環13に、ダボ11aとダボ11bをそれぞれ嵌入させる、カム溝12aと支持孔13aが形成されている。カム溝12aは、周知のように、絞支持環12と絞開閉環13を相対回転させると、複数の絞羽根11による絞開口が開閉する形状をしている。
【0009】
この絞支持環12と絞開閉環13は双方が回動可能である。図に絞込み方向を矢印で示した。絞支持環12は、自身のばね掛けピン12bと鏡筒固定部(レンズ固定部)のばね掛けピン14との間に張設した引張ばね15により、絞込方向に回動付勢されている。また絞支持環12には、回動範囲規制ピン12cと、連動突出片12dとが光軸と平行な方向の前後に突出形成されている。前方に延びる回動範囲規制ピン12cは、鏡筒固定部に設けた回動範囲規制溝16に嵌まり、後方に延びる連動突出片12dは、カムリング18から光軸と平行な方向に突出する規制突出片18aとの係合位置に延びている。
【0010】
絞開閉環13は、後方のレリーズリング22側に延びる、光軸と平行な被動突出片13cを有している。
【0011】
絞設定環(カムリング)18は、その径方向突起18bにより、外部から回動操作可能な図示しない絞操作環(絞目盛環)と一体に回動する。このカムリング18の周面には、絞込区間20aと自動絞区間20b(図5参照)とを有するカム面20が形成されている。絞込区間20aは、一定の径を有する部分であって、最大口径(最小F値)から所定の中間絞値(例えばF2〜F4)に対応し、自動絞区間20bは、絞込区間20aから径を徐々に縮小する部分であって、中間絞値から最小絞(最大F値)に対応する。規制突出片18aは、絞設定環18が絞開放位置にあるとき、引張ばね15の力に抗して連動突出片12dを押し、絞設定環18が所定の中間絞値になる迄、連動突出片12dとの接触を保持する。
【0012】
この絞設定環18のカム面20には、軸21aで鏡筒固定部に枢着された中間レバー21のフォロアピン21bが当接係合する。フォロアピン21bは、V字状をなす中間レバー21の一方の脚部21cに植設されており、この中間レバー21の他方の脚部は、レリーズリング22に植設したストッパピン22aと当接係合して、レリーズリング22の最大回動端を規制するストッパ脚21dを構成している。
【0013】
レリーズリング22はさらに、光軸と平行に後方に延びるボディ連動杆22bと、ボディ連動杆22bと反対の前方に延びる開閉環連動杆22cとを有し、開閉環連動杆22cは、その先端二股部22d内に、絞開閉環13の被動突出片13cを嵌入させている。このレリーズリング22は、自身に植設したばね掛けピン22eと、鏡筒固定部に固定したばね掛けピン24との間に張設した引張ばね25により、絞込方向に回動付勢されている。従って、絞開閉環13も同方向に回動付勢されている。ボディ連動杆22bは、ボディへの装着状態では、ボディ側絞駆動部材(図示せず)と当接し、レリーズリング22は引張ばね25を撓ませる方向、つまり絞開放方向に回動させられた位置に保持される。ボディ側駆動部材は、シャッタレリーズに先立ち、ボディ連動杆22bとの非係合位置に逃げる部材である。
【0014】
絞設定環18の図1、図2の下部には、絞情報伝達レバー26の枢着孔18cが穿設されている。この枢着孔18cの位置は、光軸からの偏心位置である。一方、絞設定環18の裏面には、略半円状の絞情報伝達レバー26が位置しており、この絞情報伝達レバー26の一端部に設けた軸(ダボ)26aがこの枢着孔18cに回動自在に支持されている。絞情報伝達レバー26の他端部には、ボディ側に、絞込測光と開放測光の別、および開放測光時の絞値情報を伝達する絞情報伝達突起26bが突設されている。この実施例では、軸26aと絞情報伝達突起26bの間隔は約180゜に設定している。
【0015】
絞情報伝達レバー26には、軸26aと絞情報伝達突起26bの中間位置に、カム溝27が穿設されている。このカム溝27は、図3に示すように、非円弧区間27aと、光軸を中心とする円弧区間27bとを有しており、このカム溝27に、鏡筒固定部を構成するレバー28の先端に設けた姿勢制御ピン30が嵌まっている。姿勢制御ピン30は、絞設定環18側からカム溝27に嵌まっており、このため、絞設定環18には、このピン30を緩通させる光軸を中心とする円弧状溝18dが形成されている。
【0016】
カム溝27の非円弧区間27aは、絞設定環18がカム面20の絞込区間20aで回動する間においては、絞情報伝達レバー26の軸26aが絞設定環18とともに回動移動しても絞情報伝達突起26bが移動しないように、姿勢制御ピン30によって絞情報伝達レバー26を軸26aを中心に揺動させる形状をしている。これに対し、円弧区間27bは、絞設定環18がカム面20の自動絞区間20bに入って回動する間において、絞情報伝達レバー26の軸26aが絞設定環18とともに回動移動すると、単に姿勢制御ピン30に対して相対移動し、絞情報伝達突起26bに軸26aと等しい回動量を与える(絞情報伝達レバー26を揺動させない)。絞設定環18と絞情報伝達レバー26との間には、絞情報伝達突起26bの位置を以上のように制御するためのばね部材は何ら設けられていない。
【0017】
上記構成の本装置は、次のように作動する。まず絞設定環が開放径(上記例ではF2)に設定されている状態では、絞操作環と等しい回動をする絞設定環18の規制突出片18aが絞支持環12の連動突出片12dを最大に押して、絞支持環12を絞開放位置に保持している。絞設定環18を開放径から所定中間絞値(同F4)の間で回動させると、規制突出片18aの回動に伴い、絞支持環12は、引張ばね15の力によって絞り込み方向に回動する。すなわち複数の絞羽根11によって構成される絞開口は、絞り込まれ、ファインダによってその絞効果を確認することができる。
【0018】
この絞込区間では、絞設定環18のカム面20は、その絞込区間(同一径区間)20aを中間レバー21のフォロアピン21bに接触させる。従って中間レバー21は回動しない。すなわちストッパ脚21dとレリーズリング22のストッパピン22aとは接触状態を保持している。よってこの絞込区間でシャッタをレリーズすると、ボディ側の絞駆動部材がボディ連動杆22bから単に逃げるだけであり、レリーズリング22および絞開閉環13は回動しない。
【0019】
そしてこの絞込区間(開放口径の変化区間)では、絞設定環18が絞込方向に回動することにより、絞情報伝達レバー26の軸26aも同方向に移動する。ところが、姿勢制御ピン30は、この絞情報伝達レバー26に形成されているカム溝27の非円弧区間27aに嵌まっているため、絞情報伝達レバー26は、絞設定環18の回動によって絞情報伝達突起26bが移動しないように、自身も軸26aを中心に揺動する。図4のF2、F2.8、F4の図は、この絞込区間の絞設定環18の回動位置と絞情報伝達レバー26の揺動位置を描いたもので、絞情報伝達突起26bの位置、つまり姿勢制御ピン30と絞情報伝達突起26bとの角度αは、変化していない。よって、このときの絞情報伝達突起26bの位置により、絞込測光を行なうべき旨の信号がボディに伝達される。なお、実際には、絞情報伝達突起26bの位置によって特別な絞込測光の信号を発することなく、開放口径の変化によって、取り込まれる光量が変化することにより、絞込測光を行なうことができる。つまり、絞情報伝達突起26bは、以上の状態において動かないことが必須であり、そのことから直接に特別な絞込測光情報を得なくともよい。
【0020】
絞設定環18が所定中間絞値(F4)に達すると、絞支持環12の回動範囲規制ピン12cは回動範囲規制溝16の端部に当接し、以後、絞支持環12の絞込方向への回動は規制される。絞設定環18がさらに小絞開口(大F値)に回動すると、今度はカム面20の自動絞区間20bが中間レバー21のフォロアピン21bに当接する。すると、中間レバー21は、カム面20の自動絞区間20bの形状に従って回動し、そのストッパ脚21dの位置を変える。すなわちストッパ脚21dは、レリーズリング22のストッパピン22aと接触しない状態となる。この状態において、シャッタがレリーズされると、その直前にボディ側の絞駆動部材がボディ連動杆22bから逃げ、その結果、引張ばね25の力によって、レリーズリング22および絞開閉環13が絞込方向に回動する。絞開閉環13の回動端は、ストッパピン22aがストッパ脚21dに当接する位置で規制されるため、シャッタレリーズ時の絞開口は、設定絞値になる。
【0021】
また、絞設定環18が所定中間絞値(F4)に達すると、姿勢制御ピン30は、カム溝27の非円弧区間27aから円弧区間27bに入る。円弧区間27bは、光軸を中心とする円弧であるから、以後絞設定環18を絞込方向に回動させても、絞情報伝達レバー26の軸26aを中心とする揺動運動は生じない。その結果、絞情報伝達突起26bは、絞設定環18と一緒に回動し、設定絞値に応じてその位置を変化させることとなる。図4のF4とF22の間の区間は、この絞情報伝達突起26bの移動区間であり、絞情報伝達突起26bがこの区間内に入ったことにより、開放測光を行なうべき旨の信号が出され、さらにその回動位置により、絞設定環18によって設定された絞値情報がボディに伝達される。
【0022】
以上の絞設定環18の回動動作に伴う絞情報伝達突起26bの位置制御には、ばね力は用いられていない。このため、絞設定環18の回動抵抗が、増加したり、絞設定環18の回動位置によって変化することがなく、好ましい操作感が得られる。
【0023】
なお常時は絞を開放とし、シャッタレリーズ時に設定絞とする自動絞装置およびそのカム機構は従来多数が知られている。実施例に示したカム機構はその一例を示すものであり、本発明は、これらのカム機構の如何を問わない。
また実施例においては、姿勢制御ピン30を絞設定環18を挟んで絞情報伝達レバー26の前方に設けているが、絞情報伝達レバー26の後方に設けることもできる。この場合、絞設定環18の円弧状溝18dは省略することが可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明は、最大口径から所定の中間絞口径迄は絞設定環の設定絞値に応じて開放口径が変化し、中間絞口径から最小絞口径迄は絞設定環の設定絞値に拘らず開放口径が一定に保持されるレンズにおいて、最大口径から所定の中間絞口径迄の領域においては、絞情報伝達突起を移動させずに特定位置に保持することにより、絞込測光を行なうべき信号をボディに伝達することができ、中間絞口径から最小絞口径迄の領域では、絞設定環と一緒に絞情報伝達突起を移動させて、開放測光を行なうべき旨、およびその設定絞値を伝達することができる。そして、絞情報伝達突起を有する絞情報伝達レバーは絞設定環の偏心位置上に枢着されていて、カム機構により絞情報伝達突起の位置が制御されるので、設定絞値により、絞設定環の操作力が変化したり、操作力が重くなったりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレンズの測光情報伝達装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同絞設定環、絞情報伝達レバー部材及び姿勢制御ピンの関係を示す分解斜視図である。
【図3】絞情報伝達レバーのカム溝の形状を示す平面図である。
【図4】絞設定環の回転角と、絞情報伝達レバーの動きを示す正面図である。
【図5】自動絞装置のカム機構の正面図である。
【符号の説明】
11 絞羽根
12 絞支持環
13 絞開閉環
18 絞設定環
18c 枢着孔
18d 円弧状溝
20 カム面
20a 絞込区間
20b 自動絞区間
21 中間レバー
22 レリーズリング
26 絞情報伝達レバー
26a 軸
26b 絞情報伝達突起
27 カム溝
27a 非円弧区間
27b 円弧区間
30 姿勢制御ピン

Claims (3)

  1. 最大口径から所定の中間絞口径迄は絞設定環の設定絞値に応じて開放口径が変化し、上記中間絞口径から最少絞口径迄は絞設定環の設定絞値に拘らず開放口径が一定に保持されるレンズであって、
    上記絞設定環とは別に、絞情報をカメラボディ側に伝達する絞情報伝達部材を設け、この絞設定環と絞情報伝達部材との間に、上記開放口径の変化領域では絞設定環の回動位置に拘らず絞情報伝達部材を一定位置に保持し、開放口径の非変化領域では両者を一緒に回動させる連動機構を介在させたレンズの測光情報伝達装置において、
    上記絞情報伝達部材を、一端部が絞設定環上の光軸からの偏心位置に枢着され、他端部に絞情報伝達突起を有する円弧状レバー部材として構成し、
    この絞情報伝達レバーとレンズの固定部分との間に、上記開放口径の変化領域において絞設定環が回動したときには上記絞情報伝達突起の位置を変化させず、開放口径の非変化領域において絞設定環が回動したときには上記絞情報伝達突起を絞設定環と一緒に回動させるカム機構を設けたことを特徴とするレンズの測光情報伝達装置。
  2. 請求項1記載のレンズの測光情報伝達装置において、上記カム機構は、絞情報伝達レバーに設けたカム溝と;このカム溝に嵌まる、レンズの固定位置に設けた姿勢制御ピンと;を備え、
    上記カム溝は、上記開放口径の変化領域に対応する非円弧区間と;開放口径の非変化領域に対応する光軸を中心とする円弧区間と;を備えているレンズの測光情報伝達装置。
  3. 請求項1または2に記載のレンズの測光情報伝達装置において、絞設定環には、光軸を中心とする円弧状溝が備えられ、上記姿勢制御ピンは、この円弧状溝と絞情報伝達レバーのカム溝の双方に共通に嵌まっているレンズの測光情報伝達装置。
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