JP3699204B2 - コンバインの姿勢制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右一対の履帯式走行装置にて、前記走行機体の高さ及び走行機体の左右傾斜を調節することができるようにしたコンバインの姿勢制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圃場の凹凸や軟弱度に応じて、コンバインの走行機体の左右両側に対してその下方の左右一対の履帯式走行装置のうちの一方または両方を昇降させることにより、その上のコンバインの走行機体の左右方向の傾斜角度を水平状もしくは任意の傾斜角度に保持するように制御することは、例えば特開平1−291720号公報、特公平6−69329号公報等にて開示されている。
【0003】
そして、特公平6−69329号公報では、脱穀装置と穀粒タンクを左右並列状に搭載した走行機体の下方に左右一対の履帯式走行装置を各々独立的に昇降操作する左右一対の油圧シリンダと、走行機体の水平面に対する左右傾斜角度を検出するための傾斜角センサと、前記履帯式走行装置と走行機体との相対高さを検出するための左右一対の相対車高センサと、目標相対車高を設定するための相対車高設定器と、目標傾斜角度を設定する傾斜角設定器とを備え、走行機体の左右傾斜角度を目標傾斜角度に保持し、且つ走行機体を目標相対車高となるように前記昇降駆動手段を作動させる制御において、走行機体左右の目標相対車高値、検出された相対車高値を、左右の傾斜角度(目標角度、コンバイン角度)に換算する一方、左右一対の油圧シリンダのピストンロッドの進退移動可能長さと、前記目標角度に対応するピストンロッドの進退移動の目標長さとの対比にて制御するようにしている。
【0004】
その場合、前記目標長さが算出されると、それが油圧シリンダの最大ストローク(可変長)範囲でカバーされるか否かを判断し、目標長さが可変長より大であれば、この可変長を目標長さと決定し、油圧シリンダを伸長させ、油圧シリンダのピストンロッドの進退移動の極限位置(上限位置または下限位置))を検出するリミットスイッチにて感知し、ストロークエンドになれば、傾斜角度警報ランプで表示させる。
【0005】
次に、目標長さが可変長より小であるときには、例えば、前記目標角度が走行機体を右方向に傾斜(右下がり傾斜)させる場合、左の走行装置の目標位置(=目標相対車高+目標長さ)を算出し、その目標位置が左の油圧シリンダの最大ストローク範囲を越えるか否かを判別し、越える場合には、左の走行装置の目標位置を油圧シリンダの最大ストローク位置(上限位置)に設定する。また、左の走行装置の目標位置が油圧シリンダのストローク範囲内に収まる場合には、逆の右の走行装置の目標位置が右の油圧シリンダの最小ストローク位置(下限位置)に設定し、左の走行装置の目標位置を前記目標長さの2倍分だけ最小ストローク位置(下限位置)より長いシリンダ長位置に選定するというようにして、左右の走行装置の目標位置が決まれば、相対車高センサによる位置情報から前記油圧シリンダの必要作動長さ(修正長さ)を決める。そして、油圧シリンダの不感帯域にある場合には油圧シリンダの作動を中止し、不感帯域を越えると前記修正長さだけ油圧シリンダを作動させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の姿勢制御では、走行機体の右または左に対する走行装置のうちの一方(実施例では左の走行装置)の目標位置を基準にして、当該走行装置の走行機体に対する相対車高の制御を実行してから、他方の走行装置の走行機体に対する相対車高の調整を実行するので、目標相対車高及び目標傾斜角度への姿勢制御が迅速でない。特に、前記両油圧シリンダの必要作動長さ(修正長さ)を決定するまでの判断ステップが多くなり、実際の油圧シリンダの作動までの時間が掛かりすぎるという問題がある。また、この制御では、目標位置を一方の油圧シリンダのピストンロッドの伸縮の限度位置(上限または下限)に設定することを優先させているので、傾斜姿勢制御と相対車高姿勢制御とを同時に実行すると、相対車高が最大もしくは最小の位置に収斂しやすい。換言すると、一方の油圧シリンダのピストンロッドが伸縮の限度位置に来たとき、当該油圧シリンダを逆方向に作動させることにより、傾斜姿勢制御と相対車高姿勢制御と有機的に関連させて迅速に実行することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、この問題を解消したコンバインの姿勢制御装置を提供することを技術的課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため、請求項1に記載の発明のコンバインの姿勢制御装置は、脱穀装置と穀粒タンクを左右並列状に搭載した走行機体の下方に左右一対の履帯式走行装置を各々独立的に昇降操作する左右一対の昇降駆動手段と、走行機体の水平面に対する左右傾斜角度を検出するための傾斜角センサと、前記履帯式走行装置と走行機体との相対高さを検出するための左右一対の相対車高センサと、目標相対車高を設定するための相対車高設定器と、目標傾斜角度を設定する傾斜角設定器とを備え、走行機体の左右傾斜角度を目標傾斜角度に保持し、且つ走行機体を目標相対車高となるように前記昇降駆動手段を作動させる制御装置とを備えたコンバインであって、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、走行機体を水平状態もしくはほぼ水平状態に姿勢変更する姿勢制御を、目標相対車高となる姿勢の制御よりも優先させて実行するに際して、前記ファジィ制御装置は、目標傾斜角度に対する検出傾斜角度の傾斜角度偏差値と、その時間的変化率とを前件部とし、基準となる傾斜側に対する傾斜角度ファジィ出力値を後件部とする第1ファジィルールと、前記傾斜角度ファジィ出力値乃至その反転符号の傾斜角度ファジィ出力値と、目標相対車高に対する車高偏差値とを前件部とし、前記昇降駆動手段に対する駆動ファジィ出力値を後件部とする第2ファジィルールとを備え、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、当該上限値もしくは下限値でない側の前記前件部における車高偏差値を零とするように設定したものである。
【0009】
【0010】
【発明の作用・効果】
前記請求項1に記載の発明の構成によれば、傾斜角センサによる検出値、設定した目標傾斜角度、相対車高センサによる検出値及び設定した目標相対車高の、各値を使用したファジィルールの結果により、左右の昇降駆動手段を独立的に作動させて、走行機体を所定の目標の相対車高及び左右傾斜姿勢となるように制御するのであるから、従来のように、右または左のうちの一方の相対車高の位置を基準にして一方の昇降駆動手段を作動してから他方の昇降駆動手段をさせる制御に比べて迅速に目標相対車高及び目標傾斜角度になるような姿勢制御を行える。
【0011】
そして、このファジィ制御に際して、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値のときには、左右の履帯式走行装置に対して走行機体の左右の相対高さは同じ状態であり、左右の昇降駆動手段とそれぞれ上限値もしくは下限値を越えて昇降させることはできないので、その逆方向に作動させればよい。他方、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、ファジィ制御にて、走行機体を水平状態もしくはほぼ水平状態に姿勢変更する姿勢制御を、目標相対車高となる姿勢の制御よりも優先させて実行すると、左右の昇降駆動手段が上限位置または下限位置で停止したままの状態よりも、可動方向に昇降駆動手段が作動する機会が多くなり、迅速な姿勢制御を行えると共に、走行機体の左右姿勢を迅速に水平状態になることにより、コンバインの脱穀選別作業も安定して円滑に行えるという効果を奏する。
【0012】
また、前記請求項1に記載の発明の構成によれば、ファジィ制御装置は、目標傾斜角度に対する検出傾斜角度の傾斜角度偏差値と、その時間的変化率とを前件部とし、基準となる傾斜側に対する傾斜角度ファジィ出力値を後件部とする第1ファジィルールと、前記傾斜角度ファジィ出力値乃至その反転符号の傾斜角度ファジィ出力値と、目標相対車高に対する車高偏差値とを前件部とし、前記昇降駆動手段に対する駆動ファジィ出力値を後件部とする第2ファジィルールとを備えているので、第2ファジィルールでは、相対車高と走行機体の左右傾斜とを同時に考慮した駆動ファジィ出力を計算することができ、この駆動ファジィ出力に基づいて、目標相対車高及び目標傾斜角度となるように、左右の昇降駆動手段を独立的に作動させて迅速な姿勢制御が可能となる。そして、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、当該上限値もしくは下限値でない側の前記前件部における車高偏差値を零とするように設定したものであるから、第2ファジィルールでは、前記反転符号の傾斜角度ファジィ出力値と車高偏差値を零とする前件部の設定により、上限値もしくは下限値となった側の昇降駆動手段を昇降の移動可能な方向に作動させることができる。
【0013】
従って、左右の昇降駆動手段を独立的且つ同時的に作動させることにより、圃場面の傾斜の如何に拘らず、履帯式走行装置と走行機体との相対車高を目標値にし、且つ走行機体の左右の傾斜角度を目標の水平または所定の角度になるように迅速に姿勢制御できるという効果を奏するのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。
図において、符号1はコンバインを示し、該コンバイン1は、走行機体2を支持する左右一対の履帯式(走行クローラ式)走行装置3,3と、前記走行機体2の上面に搭載した脱穀装置4と、前記走行機体2の前部に昇降動可能に装着した刈取前処理装置5とによって構成されている。
【0015】
前記一対の走行装置3,3は、左右一対の走行クローラ6と、これら両走行クローラ6の内部に配設した前後長手のトラックフレーム7とによって構成され、前記両走行クローラ6は、前記走行機体2に取付けしたミッションケース8から左右に突出するミッションファイナル9の先端における駆動用輪体10と、前記トラックフレーム7の後端部にテンション機構11を介して取付けた緊張用輪体12とに、各々巻掛けされ、また、前記トラックフレーム7には、前記クローラ6に対する複数個の接地用輪体13が取付けられていると共に、両端に接地用輪体14,15を備えた天秤型リンク16が、ピン軸17にて回動自在に枢着されている。
【0016】
前記走行機体2は、左右一対の前後長手の上下対のメインフレーム2a,2aと、その前部及び後部を横方向に連結するための断面下向きコ字状に形成した横部材18,19とからなり、前記左右の履帯式走行装置3,3を独立的に昇降駆動するための左右一対の昇降駆動手段は、走行機体2側に中途部を、支持軸20,21を介して各々上下回動自在に枢支した前後一対のベルクランクレバー27,29と、該前後両ベルクランクレバー27,29の上端側を前後に連結するロッド部材28と、走行機体2の前後方向に伸縮して前記後側のベルクランクレバー29,29を作動させる左右一対の油圧シリンダ31,32とにより構成する。
【0017】
即ち、側面視略L字状のベルクランクレバー27,29の中途部を、支持軸20,21を介して走行機体2側に装着するにあたり、前記両横部材18,19における先端が、前記走行クローラ6の内径側に突出するように設けて、この両横部材18,19内に、各々支持軸20,21を、当該各支持軸20,21が横部材18,19と平行に延びるように配設して、これら両支持軸20,21を、その両先端部における軸受体22,22及び中央部における軸受体24,24にて、各横部材18,19に対して着脱自在に取付ける一方、前記両横部材18,19のうち前部横部材18の両先端部に、前記ミッションケース8から突出するミッションファイナル9の先端部を、ブラケット25を介して着脱自在に取付けし、更に、前記両横部材18,19のうち後部横部材19の両先端部に、前記走行クローラ6の上側に対するガイド用のキャリアローラ26を取付ける。
【0018】
そして、前記ベルクランクレバー27,29の後向きの各アーム部を前記左右各履帯式走行装置におけるトラックフレーム7,7に各々ピン33,34を介して枢着する。
さらに、前記横部材18,19に穿設した孔35,36から、前後ベルクランクレバー27,29の上向き基部側を上向きに突出させ、この後ベルクランクレバー29,29の上向き基部間を前後長手のロッド部材28にて連結する。他方、走行機体2の前後方向に伸縮して前記後側のベルクランクレバー29,29を作動させる左右一対の油圧シリンダ31,32を、走行機体2における左右一対の前後長手のメインフレーム2a,2a間に配置し、油圧シリンダ31,32のピストンロッド37,37に回動自在に連結した各々中間アーム38,38と、後ベルクランクレバー29,29の上向き基部とをピン軸39にて回動自在に連結する(図5及び図6参照)。このように構成すれば、走行機体2と高さ方向においてほぼ平行状に配置した油圧シリンダ31,32のピストンロッドを大きく突出させて、前後ベルクランクレバー27,29を大きく回動させ、走行機体2に対して履帯式走行装置3,3を大きく下向き移動させても、中間アーム38,38が後ベルクランクレバー29,29の上向き基部に対して屈曲回動して、油圧シリンダ31,32のほぼ水平姿勢が大きく変動せず、走行機体2上の上下隙間の小さい箇所に油圧シリンダを配置することができる。
【0019】
次に、図5及び図6を参照しながら、前記左右の履帯式走行装置3,3と走行機体2との相対高さを検出するための左右一対の相対車高センサ45,45の構成について説明する。図1及び図2に示すように、走行機体2の進行方向右側に前記脱穀装置4を、左側に穀粒タンク40を配置し、穀粒タンク40の前側には運転室41が設けられている。そして、脱穀装置4で脱穀された穀粒(籾等)を穀粒タンク40に一時貯留し、所定量積載されると、放出オーガ42を介して外部の運搬車等に放出する。この放出オーガ42の横向き筒は図示しない回動駆動アクチェータにて水平方向及び上下方向に回動するようになっている。
【0020】
前記回動式のポテンショメータからなる左右一対の相対車高センサ45,45は、脱穀装置4の下面もしくは前記穀粒タンク40と脱穀装置4との間であって、走行機体2との上下隙間内に配置されるものであり、具体的には走行機体2における前後長手の左右一対のメインフレーム2a,2aの後部寄り部位で、走行クローラ6,6の上面後部側にて脱穀装置4における一番流穀樋43と二番流穀樋44との間の山形状の隙間46に配置される。なお、一番流穀樋43とその前方位置の唐箕フアンとの間の山形状の隙間に配置しても良い。
【0021】
その構成をさらに詳述すると、前記隙間46の下方には、前記左右一対のメインフレーム2a,2aの間を連結する断面下向きコ字状の支持板47をボルト等にて固定し、その上側に左右一対の相対車高センサ45,45を固定し、後述するそれぞれのリンク機構56,56を介して連動連結するものである。
即ち、このリンク機構56,56は、前記支持板47の下面側にはそれぞれ一対の軸受48‥‥にて両端を回転自在に軸支された作動軸49,50が配置され、該各作動軸49,50の一端に下向きに突設した第1アーム51,51と前記各後ベルクランクレバー29,29の上向き基部側のピン軸39とを前後長手の連結ロッド52,52にてピン連結する一方、各作動軸49,50の他端に突設する第2アーム53,53の先端と、各相対車高センサ45,45の回動アーム54,54とを縦ロッド55,55にてピン連結することにより構成されている。この場合、各第2アーム53及び縦ロッド55が移動可能ならしめるために前記支持板47に抜き孔(図示せず)が穿設されている。また、前記支持板47のほぼ全長にわたって着脱自在に覆うカバー体57により前記相対車高センサ45,45に土や泥が被らないようにしている。
【0022】
この構成により、図5から明らかなように、各油圧シリンダ31(32)のピストンロッド37を(走行機体2の後方に)突出動させると、中間アーム38を介して後ベルクランクレバー29の先端側は下向き回動し(図5の実線状態参照)、トラックフレーム7は走行機体2から下方に離れ、走行機体2と履帯式走行装置3の下面との相対高さは大きくなり、走行機体2は圃場面に対して高くなる。このとき、連結ロッド52は後移動し、第1アーム51、作動軸49(50)、第2アーム53及び縦ロッド55を介して相対車高センサ45の回動アーム54は図5において反時計方向に回動する。
【0023】
前記と逆に、各油圧シリンダ31(32)のピストンロッド37を(走行機体2の前方に)後退動させると、中間アーム38を介して後ベルクランクレバー29の先端側は上向き回動し(図5の二点鎖線状態参照)、トラックフレーム7は走行機体2に対して接近し、走行機体2と履帯式走行装置3の下面との相対高さは小さくなり、走行機体2は圃場面に対して低くなる。この場合には、連結ロッド52は前移動するので、相対車高センサ45の回動アーム54は、図5において二点鎖線で示すように、時計方向に回動することになる。
【0024】
このように、左右の昇降駆動手段によって、左右を各々単独で、その前後一対の両ベルクランクレバー27,29を一斉に揺動回動することにより、トラックフレーム7を、走行機体2に対して上下動することができるから、走行機体2の高さの調節、及び走行機体2の左右傾斜の調節を行うことができると共に、左右それぞれの油圧シリンダ31,32の伸縮量に関連させて相対車高センサ45,45を作動させることにより、走行機体2の左右に対する左右の走行装置3,3の相対高さを検出できるのである。
【0025】
なお、図7に示すように、運転室41内の操作パネル部60には、走行機体2の左右の相対車高の平均値で設定するためのボリューム式の相対車高設定器61と、水平面に対する走行機体2の左右傾斜角度を設定するためのボリューム式の傾斜角度設定器62と各種の表示パネル63,64,65と、手動操作により車高及び左右傾斜を調節するための十字方向傾動型手動レバー66と、刈取り脱穀作業・走行等のための作業操作レバー67等を備え、走行機体2の左右操向は丸ハンドル68にて実行する。また、前記相対車高設定器61は、その摘みを所定目盛位置にセットすると、車高をその設定した目標値になるように、図8のマイクロコンピュータ式の制御装置70によって自動制御され、摘みを零位置にセットするとその自動制御がOFF状態となる。なお、十字方向傾動型手動レバー66を傾動すると、その動きによる作業指令が優先されるように、車高自動制御はONからOFFに切り替わる。
【0026】
制御装置70には、ファジィ制御のための各種演算処理を実行するCPU、このCPUにて演算処理するのに必要な後述するファジィルール等各種制御プログラムや設定データ値等を予め記憶させたROM(読み出し専用メモリ)、演算処理を実行するのに用いられる各種データ(検出値、設定値等)を一時的に記憶するためのRAM(随時読み書き可能メモリ)、タイマ(マイクロコンピュータのタイマ機能等)、インターフェイス等を備える。
【0027】
制御装置70の入力インターフェイスには、刈取・脱穀を開始するときその駆動伝達クラッチ(図示せず)をONするための脱穀スイッチ71と、前記相対車高設定器61と、傾斜角度設定器62と、前記操作パネル部60内等に配置された静電容量式等の傾斜角センサ72と、前記左右一対の相対車高センサ45,45と、超音波式の対地高さセンサ73等を接続する。傾斜角センサ72は、水平に対する走行機体2の左右方向の傾斜角度を検出するものであり、前記傾斜角度設定器62による設定値との比較に基づき、走行機体2の左右傾斜を水平もしくは任意の傾斜角度に保持するべく、左右の油圧シリンダ31,32に対する各電磁制御弁74,75の電磁ソレノイド74a,74b(75a,75b)を作動させるのに用いる。
【0028】
また、前記相対車高設定器61により設定された相対車高(左右の履帯式走行装置3,3の走行機体2に対する平均高さ)の情報を制御装置70に入力すると、前記傾斜角度設定器62の設定値に基づく左右傾斜の状態にて、目標(設定)の相対車高になるように、左右の油圧シリンダ31,32に対する各電磁制御弁74,75の電磁ソレノイド74a,74b(75a,75b)を作動させる。この場合、この昇降姿勢制御と、前記左右傾斜の姿勢制御とは同時的に実行されるものであり、そのため、後述するファジィ制御を実行する。
【0029】
対地高さセンサ73は刈取前処理装置5における下面前部等に圃場面(下面)に向けて配置され、刈取前処理装置5による穀稈の刈高さを制御する場合に、図示しない刈高さ設定器で予め設定された高さに刈取前処理装置5における刈刃が位置するように図示しない昇降用油圧シリンダの作動を制御するためのものである。
【0030】
なお、前記傾斜角センサ72、前記左右一対の相対車高センサ45,45、超音波式の対地高さセンサ73、相対車高設定器61及び傾斜角度設定器62はアナログ式であるので、そのアナログ検出値をそれぞれ図示しないA/D変換機器を介してデジタル信号に変換して制御装置70に入力する。また、前記各電磁制御弁74,75の電磁ソレノイド74a,74b(75a,75b)を作動させるための出力信号は、所定の演算に従うデューティ比によるパルス信号とし、図示しないドライブ回路を介して各電磁制御弁74,75の作動を制御するものである。
【0031】
次に、本発明のファジィ制御について説明する。本発明の第1ファジィルールでは、傾斜角度検出値θs と目標傾斜角度θt との差異から求められた傾斜角偏差値(右基準値)Δθ(=θt−θs )と、傾斜角度変化率(単位時間当たりの傾斜角度変化量)θρ( =Δθs/Δt)とを前件部とし、傾斜角ファジィ出力値Fθを後件部とする。そして、第2ファジィルールでは、前記求められた傾斜角ファジィ出力値Fθ(右基準値)と、相対車高偏差値ΔHとを前件部とし、右側の油圧シリンダ31を駆動するための電磁制御弁74の駆動ファジィ出力値FPRを後件部として求め、さらに、前記の傾斜角ファジィ出力値Fθのカウンター値(符号反転値)−Fθ(左側)と、相対車高偏差値ΔHとを前件部とし、左側の油圧シリンダ32を駆動するための電磁制御弁75の駆動ファジィ出力値FPLを後件部として求める。
【0032】
次いで、出力規則(第3ルール)を適用して、前記計算された右の駆動ファジィ出力値FPRに応じて左右各々の電磁制御弁74,75の昇降用電磁ソレノイド74a,74b、75a,75bに対するパルス信号を出し、左右の油圧シリンダ32,31を作動させて、目標の傾斜角度及び相対車高になるように姿勢制御するのである。
【0033】
この場合、第2ファジィルールの適用に際して、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、走行機体を水平状態もしくはほぼ水平状態に姿勢変更する姿勢制御を、目標相対車高となる姿勢の制御よりも優先させて実行するため、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、当該上限値もしくは下限値でない側の前記前件部における車高偏差値を零とするように設定するものである。
【0034】
この場合、図10に記載の姿勢とは、コンバインを後面から見たものであって、ファジィ制御開始直前の姿勢を示し、中立姿勢とは、右相対車高センサ45による検出値(相対車高検出値)HsR 及び左相対車高センサ45による検出値(相対車高検出値)HsL がいずれも上限値と下限値との間にある状態をいう。
左傾斜とは、コンバインを後面から見たとき、圃場面69の左右傾斜の如何に拘らず、左側の走行装置3と走行機体2との相対車高が小で、右側の走行装置3と走行機体2との相対車高が大である状態をいう(以下同じ)。そして、左傾斜(下)とは、左側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL が下限値であって、右側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsR は下限値と上限値との間にある場合をいう(以下同じ)。
【0035】
従って、左傾斜(下)の例として、図9(a)及び図9(b)の場合があり、左側の走行装置3と走行機体2との相対車高が最小で、右側の走行装置3と走行機体2との相対車高の調節が可能な場合、即ち、左側の油圧シリンダ32のピストンロッド37が最も後退した位置(それ以上は後退させない位置)となり、これに伴って左側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL が下限値となる。他方、右側の油圧シリンダ32のピストンロッド37の進退動に余裕があって、右側の相対車高センサ45の検出値は下限値と上限値との間にある。
【0036】
左傾斜(上)とは、右側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsR が上限値であって、左側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL は下限値と上限値との間にある場合をいう(以下同じ)。
左傾斜(最大)とは、左側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL が下限値であって、右側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsR は上限値にある場合をいう(以下同じ)。
【0037】
次に、右傾斜とは、コンバインを後面から見たとき、圃場面69の左右傾斜の如何に拘らず、右側の走行装置3と走行機体2との相対車高が小で、左側の走行装置3と走行機体2との相対車高が大である状態をいう(以下同じ)。そして、右傾斜(下)とは、右側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsR が下限値であって、左側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL は下限値と上限値との間にある場合をいう(以下同じ)。
【0038】
また、右傾斜(上)とは、左側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL が上限値であって、右側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsR は下限値と上限値との間にある場合をいう(以下同じ)。
左傾斜(最大)とは、左側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL が上限値であって、右側の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsR は下限値にある場合をいう(以下同じ)。
【0039】
さらに、下限姿勢とは、コンバインを後面から見たとき、圃場面69の左右傾斜の如何に拘らず、左右両方の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL 、HsR が共に下限値にある場合をいう(以下同じ)。
上限姿勢とは、コンバインを後面から見たとき、圃場面69の左右傾斜の如何に拘らず、左右両方の相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL 、HsR が共に上限値にある場合をいう(以下同じ)。
【0040】
なお、図10において、左右とも、各相対車高センサ45の検出値(相対車高検出値)HsL 、HsR が上限値もしくは下限値であるときはONとし、それ以外のときには、OFFとして表示している。
次に、図9(a)の場合を例にしてファジィ制御を詳細に説明する。この状態では走行機体2が水平線80に対して1度だけ右下りに傾斜している。従って、傾斜角度検出値θs =−1°(A/D変換値=638)とする。これに対して、左右水平を目標とすべく傾斜角度設定器62にて目標傾斜角度θt =0°(A/D変換値=665)に設定する。前記傾斜角度検出値θs と目標傾斜角度θt との差異から、傾斜角偏差値(右基準値)=Δθ(=θt−θs )を求める。
【0041】
A/D変換値では、Δθ=638−665=−27となる。この場合、不感帯の値8にてさらに割り算し、傾斜角偏差値(右基準値)=Δθ=−27/8≒−3とする。
他方、傾斜角度変化率(単位時間当たりの傾斜角度変化)=θρ( =Δθs/Δt)を、例えば、傾斜角センサ72による検出のサンプリングタイムを20msec.間隔で実行することにより演算する。このとき、図9(a)で反時計方向(+)に0.1 度の変化量があるとすると、傾斜角センサ72により検出される傾斜角度の変化量Δθs =13mVであって、A/D変換値としての傾斜角度変化率θρ=+3とする。
【0042】
第1ファジィルールは図11に示し、図11の最上段欄(傾斜角度変化率を示す)と図11の左端欄(傾斜角偏差値を示す)とで囲まれるテーブル内の値が傾斜角ファジィ出力値Fθ(右基準)となる。
従って、第1ファジィルールによれば、図11の上段欄(傾斜角度変化率を示す)の「3」の位置における縦列と、図11の左端欄(傾斜角偏差値を示す)の「−3」の位置における横列との交点の値「−2」が傾斜角ファジィ出力値Fθとなる。
【0043】
次いで、第2ファジィルールを適用して、左右の油圧シリンダ32,31に対する各電磁制御弁75,74を作動させるための指令信号としての2つの駆動ファジィ出力値を求める必要がある。そのため、第2ファジィルールを2回適用する必要があるので、この第2ファジィルールでは、前記求められた傾斜角ファジィ出力値Fθ(右基準値)と、(右側の)相対車高偏差値ΔHとを前件部とし、右側の油圧シリンダ31を駆動するための電磁制御弁74の駆動ファジィ出力値FPRを後件部として求め、さらに、前記の傾斜角ファジィ出力値Fθのカウンター値(符号反転値)−Fθ(左側)と、(左側の)相対車高偏差値ΔHとを前件部とし、左側の油圧シリンダ32を駆動するための電磁制御弁75の駆動ファジィ出力値FPLを後件部として求める。
【0044】
この場合、右側の相対車高センサ45による相対車高検出値(右)HsR 、左側の相対車高センサ45による相対車高検出値(左)HsL とし、目標相対車高(左右の平均値)Ht とすると、相対車高偏差(平均値)ΔH=〔(HsR +HsL )/2〕−Ht である。
【0045】
図9(a)の実施例において、左側の油圧シリンダ32のピストンロッド37は最も後退した状態であり、それに対応する左側の相対車高センサ45による相対車高検出値(左)HsL は下限値であって、アナログ値1.2 V(A/D変換値=246とする。また、右側の相対車高センサ45による相対車高検出値(右)HsR =1.6 V(A/D変換値=326)とする。さらに、目標相対車高(左右の平均値)Ht =1.2 V(A/D変換値=246)とする。
【0046】
従って、前記計算式に前記各値を代入すれば、A/D変換値では、相対車高偏差(平均値)ΔH=40となるが、不感帯の値16にてさらに割り算し、ΔH=40/16≒+3とする。
ここで、第2ファジィルールを規定した図12を適用するに際して、前述のように、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、当該上限値もしくは下限値でない側の前記前件部における車高偏差値を零とするように設定するものである。
【0047】
即ち、図9(a)の実施例においては、左側の相対車高検出値(左)HsL が下限値であるので、右側の相対車高偏差ΔHR=0に設定し、
左側については前述の計算結果を使用して相対車高偏差ΔHL=+3とする。
右側の駆動ファジィ出力値FPRを求めるには、第2ファジィルールの図12では、その最上段欄(相対車高偏差ΔHR=0)に対応する縦列と左端欄(傾斜角ファジィ出力値Fθ=−2)に対応する横列との交点の値「2」が駆動ファジィ出力値FPRとなる。
【0048】
同じく、第2ファジィルールの図12では、その最上段欄(相対車高偏差ΔHL=3)に対応する縦列と左端欄(カウンター値(符号反転値)−Fθ=2)に対応する横列との交点の値「−3」が左側の駆動ファジィ出力値FPLとなる。
さらに、この左右の駆動ファジィ出力値FPL、FPRから図14、図13に記載の出力規則(第3ルール)に準拠して、各々の電磁制御弁75,74の電磁ソレノイドに対する出力パルスを決定する。ここで、図13に従えば、右側の駆動ファジィ出力値FPR=2、即ち(7>FPR値>0)であるので、右油圧シリンダ31の電磁制御弁74に対して、上昇用の電磁ソレノイド74aを所定のパルス出力にて駆動し、右の走行装置3を上昇動させる。それと同時に図14の規則によれば、左側の駆動ファジィ出力値FPL=−3、即ち(0>FPL値>−7)であるので、左油圧シリンダ32の電磁制御弁75に対して、上昇用の電磁ソレノイド75aを駆動させない、0パルス出力であるとともに、左油圧シリンダ32は前述のように元々ピストンロッド37が最も後退した下限値であるので、下降用電磁ソレノイド75bに対する下降用の出力パルス信号は0とし下降動もしない。
【0049】
従って、この場合は、左の走行装置3を上下動させず、右の走行装置3のみを上昇動させることにより、走行機体2の左右が水平となり、且つ相対車高が目標値となるように姿勢制御されるのである。
次に、図9(b)の場合のファジィ制御を詳細に説明する。この状態では走行機体2が水平線80に対して1度だけ左下りに傾斜している。従って、傾斜角度検出値θs =+1°(A/D変換値=692)とする。これに対して、左右水平を目標とすべく傾斜角度設定器62にて目標傾斜角度θt =0°(A/D変換値=665)に設定する。前記傾斜角度検出値θs と目標傾斜角度θt との差異から、傾斜角偏差値(右基準値)=Δθ(=θt−θs )を求める。
【0050】
A/D変換値では、Δθ=692−665=+27となる。この場合、不感帯の値8にてさらに割り算し、傾斜角偏差値(右基準値)=Δθ=27/8≒+3とする。
他方、傾斜角度変化率(単位時間当たりの傾斜角度変化)=θρ( =Δθs/Δt)は前記図9(a)の実施例と同じく、図9(b)で反時計方向(+)に0.1 度の変化量があるとすると、傾斜角センサ72により検出される傾斜角度の変化量Δθs =13mVであって、A/D変換値としての傾斜角度変化率θρ=+3とする。
【0051】
従って、第1ファジィルールによれば、図11の上段欄(傾斜角度変化率を示す)の「3」の位置における縦列と、図11の左端欄(傾斜角偏差値を示す)の「3」の位置における横列との交点の値「4」が傾斜角ファジィ出力値Fθとなる。
【0052】
次いで、第2ファジィルールを適用するに際して、検出結果から、相対車高検出値(左)HsL は下限値であって、アナログ値1.2 V(A/D変換値=246となる。また、右側の相対車高センサ45による相対車高検出値(右)HsR =1.8 V(A/D変換値=366)となる。さらに、目標相対車高(左右の平均値)Ht =1.2 V(A/D変換値=246)とする。
【0053】
従って、前記計算式に前記各値を代入すれば、A/D変換値では、相対車高偏差(平均値)ΔH=61となるが、不感帯の値16にてさらに割り算し、ΔH=61/16≒+4とする。
そして、左側の相対車高検出値(左)HsL が下限値であるので、右側の相対車高偏差ΔHR=0に設定し、左側については前述の計算結果を使用して相対車高偏差ΔHL=+4とする。
【0054】
そして、第2ファジィルールを規定する図12では、その最上段欄(相対車高偏差ΔHR=0)に対応する縦列と左端欄(傾斜角ファジィ出力値Fθ=4)に対応する横列との交点の値「−4」が、右側の駆動ファジィ出力値FPRとなる。同じく、第2ファジィルールを示す図12では、その最上段欄(相対車高偏差ΔHL=4)に対応する縦列と左端欄(カウンター値(符号反転値)−Fθ=−4)に対応する横列との交点の値「1」が左側の駆動ファジィ出力値FPLとなる。
【0055】
この左右の駆動ファジィ出力値FPL、FPRから図14、図13に記載の規則に準拠して、各々の電磁制御弁75,74の電磁ソレノイドに対する出力パルスを決定すると、図13に従えば、右側の駆動ファジィ出力値FPR=−4、即ち(−7<FPR値<0)であるので、右油圧シリンダ31の電磁制御弁74に対して、下昇用の電磁ソレノイド74bを所定のパルス出力にて駆動し、右の走行装置3を下降動させる。それと同時に図14の規則によれば、左側の駆動ファジィ出力値FPL=1、即ち(0<FPL値<7)であるので、左油圧シリンダ32の電磁制御弁75に対して、上昇用の電磁ソレノイド75aを所定のパルス出力にて駆動し、左の走行装置3を上昇動させる。
【0056】
従って、この場合は、右の走行装置3を下降動させつつ、左の走行装置3を上昇動させて、走行機体2の左右が水平となり、且つ相対車高が目標値となるように姿勢制御されるのである。
従って、圃場内にコンバインを乗り入れて脱穀クラッチをオンにして刈取脱穀作業を開始するに際して、圃場が湿田のように軟弱地であるときには、一方または左右双方の走行クローラ6箇所だけが地面にめり込み、圃場面と走行機体2の下面との対地高さは相対的に低くなるので、前記車高設定器61により設定された相対車高を比較高い値に設定することが好ましい。
【0057】
また、穀粒タンク40内に穀粒が多く積載されたときには、穀粒タンク40がある走行機体2の右側が沈み込み易くなるので、車高設定器61や傾斜角度設定器62による設定値を変更して走行機体の重心の偏在に伴う当該走行機体の左右傾斜姿勢を安定方向に変更することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンバインの側面図である。
【図2】 コンバインの平面図である。
【図3】 コンバインの底面図である。
【図4】 走行機体と履帯式走行装置との関係を示す平面図である。
【図5】 要部側断面図である。
【図6】 図5のVI−VI線矢視平面図である。
【図7】 運転室内の要部斜視図である。
【図8】 制御装置の機能ブロック図である。
【図9】 (a)は左側の履帯式走行装置と走行機体との相対車高が下限値であって、走行機体は右傾斜している状態を示し、(b)は左側の履帯式走行装置と走行機体との相対車高が下限値であって、走行機体は左傾斜している状態を示す図である。
【図10】 種々の姿勢の場合の制御の概略を示す図である。
【図11】 第1ファジィルールを示す図である。
【図12】 第2ファジィルールを示す図である。
【図13】 計算された駆動ファジィ出力に基づく右電磁ソレノイドの作動態様を示す図である。
【図14】 計算された駆動ファジィ出力に基づく左電磁ソレノイドの作動態様を示す図である。
【符号の説明】
2 走行機体
3 履帯式走行装置
4 脱穀装置
6 走行クローラ
27,29 ベルクランクレバー
31,32 油圧シリンダ
45,45 相対車高センサ
61 相対車高設定器
62 傾斜角設定器
70 制御装置
72 傾斜角センサ
74,75 電磁制御弁
74a,74b,75a,75b 電磁ソレノイド
Claims (1)
- 脱穀装置と穀粒タンクを左右並列状に搭載した走行機体の下方に左右一対の履帯式走行装置を各々独立的に昇降操作する左右一対の昇降駆動手段と、走行機体の水平面に対する左右傾斜角度を検出するための傾斜角センサと、前記履帯式走行装置と走行機体との相対高さを検出するための左右一対の相対車高センサと、目標相対車高を設定するための相対車高設定器と、目標傾斜角度を設定する傾斜角設定器とを備え、走行機体の左右傾斜角度を目標傾斜角度に保持し、且つ走行機体を目標相対車高となるように前記昇降駆動手段を作動させる制御装置とを備えたコンバインであって、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、走行機体を水平状態もしくはほぼ水平状態に姿勢変更する姿勢制御を、目標相対車高となる姿勢の制御よりも優先させて実行するに際して、
前記ファジィ制御装置は、目標傾斜角度に対する検出傾斜角度の傾斜角度偏差値と、その時間的変化率とを前件部とし、基準となる傾斜側に対する傾斜角度ファジィ出力値を後件部とする第1ファジィルールと、前記傾斜角度ファジィ出力値乃至その反転符号の傾斜角度ファジィ出力値と、目標相対車高に対する車高偏差値とを前件部とし、前記昇降駆動手段に対する駆動ファジィ出力値を後件部とする第2ファジィルールとを備え、相対車高センサによる検出値が、両者とも同時に上限値もしくは下限値以外であって、少なくとも一方の検出値が上限値もしくは下限値であるときは、当該上限値もしくは下限値でない側の前記前件部における車高偏差値を零とするように設定したことを特徴とするコンバインの姿勢制御装置。
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- 1996-06-18 JP JP15659096A patent/JP3699204B2/ja not_active Expired - Fee Related
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