JP3699133B2 - 不整地走行四輪車 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、不整地走行四輪車に関し、特に、左右連結車軸の最低地上高を十分に確保することができる不整地走行四輪車に関する。
【0002】
【従来の技術】
車体フレームの前後輪間にエンジンを装荷し、このエンジンから延出した駆動軸によって四輪駆動を行う不整地走行四輪車(例えば、特公平4−18593号公報、特開昭61−261176号公報)が知られている。
【0003】
この不整地走行四輪車51の車輪52a,52b…は、図5のごとく、車体フレーム53に設けられた左右独立の懸架車軸54,54によって、またはスイングアーム55を介して設けられた左右連結車軸56によって支えられる。左右独立車軸54,54は操舵機構を有する前輪側に主として用いられ、スイングアーム55による左右連結車軸56は、簡易な構成によって大きな上下ストロークを得ることができるので一般に後輪側に用いられる。
【0004】
前後輪車軸に至るエンジン57からの動力伝達は、その伝動軸線がスイングアームによって振れる場合を含め、エンジン出力軸57aの軸線から外れて屈曲する場合において、ヨークジョイント軸57bやユニバーサルジョイント軸57cを介設してなされる。
【0005】
このエンジン出力を受けて車輪に駆動力を伝達するために車軸の左右両輪間にはギヤ機構58,59を備える。このギヤ機構58,59は、車体フレーム53またはスイングアーム55の構成に基づいて車両中央軸線寄りに設けられ、その内部構成は、エンジン側をなす駆動軸と車軸側をなす従動軸とが略直交する一対のベベルギヤ58a,59aによる減速機構をなす。また、同ギヤ機構には必要に応じて差動機構58bを備える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ギヤ機構58,59は、一対のベベルギヤの内の車軸54,56側の低速ギヤについてその減速比に対応する大きな外径を要することから、同ギヤ機構58,59部分は下方に大きく突出することとなり、車軸まわりでの最低地上高の確保が困難となる。
【0007】
したがって、前輪52a,52aの操舵操作によって障害物を避け、この障害物の上方を独立懸架軸54が通過したとしても、スイングアーム55支持の左右連結車軸56を有する後輪側においては、後輪52bの径が前輪52aより大径をなして車軸高さが十分であっても、図6に示すごとく、障害物60とギヤ機構59部の干渉によって走行できない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、スイングアーム支持による左右連結車軸でなる後輪について、その十分なる最低地上高を簡易な構成によって確保することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1は、車体フレームに装荷されたエンジンと、このエンジンによって駆動される前輪部と後輪部とを備え、この後輪部はスイングアームによって支持される左右連結車軸とその駆動力を減速伝達するギヤ機構とからなる不整地走行四輪車において、前記エンジン出力軸をユニバーサルジョイントを介して後部推進軸の前側に連結し、該後部推進軸の後部を、これに設けたギヤを介して後輪車軸に連結したギヤ減速機構に連結し、エンジンのクランク軸と略平行とした前記エンジン出力軸と前記ギヤ減速機構とを連結する前記後部推進軸を直線的に接続して、該ギヤ減速機構に対して斜めに配設し、前記ギヤ減速機構を、左右の後輪の一方の側に近接するように偏寄して配置し、前輪車軸に連結したギヤ変速機構を備え、エンジン出力軸の前端は前輪への動力伝達軸に接続され、前記前輪への動力伝達軸は前記前輪車軸に連結したギヤ変速機構に接続されており、前記エンジン出力軸と前記後部推進軸と前記前輪への動力伝達軸が略一直線上に設けられていることを特徴とする。
【0010】
【作用】
ギヤ機構を後輪車軸の一方の車輪に近接する位置に設けたことから、左右連結車軸の中央部は車軸高さの地上高が確保される。
【0011】
【実施例】
発明の実施例を添付図面に基づいて以下に説明する。図1は本発明の実施例に係る不整地走行四輪車の構成を示す平面図、図2は前輪側ギヤ機構の断面図、図3は後輪側ギヤ機構の断面図、図4は同不整地走行四輪車の後輪車軸に係る地上高を示す後面図である。
【0012】
図1において、不整地走行四輪車1は、その車体フレーム2前部に前輪3,3用の左右独立の懸架車軸4,4を備え、同車体フレーム2の後側には、ピボット軸5により連結するスイングアーム6によって支持される後輪7,7用の左右連結車軸8を備える。また、前後輪3,7は略同径をなす。
【0013】
前輪車軸4,4と後輪車軸8との間の車体フレーム2にエンジン9を装荷するとともに、このエンジン9の駆動力を減速伝達するギヤ機構10,11を上記前後輪車軸4,8に備える。前輪車軸4のギヤ機構10は差動機構12を内設して車体フレームに取付けられ、また、後輪車軸8のギヤ機構11は一方の車輪7に近接する位置に設ける。
【0014】
これら前後のギヤ機構10,11を結ぶ線上にエンジン9のクランク軸(図示せず)に平行な前後輪共通出力軸9aを配設する。共通出力軸9aは、図1に明示したように前側が車幅方向内側を指向し、後側が車幅方向の外方を指向し、平面視で斜めに前後方向を向くように配設されている。
出力軸9aの前側は前輪車軸4のギヤ機構10に直結の前部推進軸9bを介して入力され、また、出力軸9aの後側はユニバーサルジョイント9dを介して後部推進軸9cに連結され、後部推進軸9cは後輪車軸8のギヤ機構11に連結する
たがって、エンジン9はその出力軸9aを車両の前後方向軸線に対して傾斜して配設される。そして図1で明らかなように、出力軸9a、前後の推進軸9b,9cは、直線的に接続される。
【0015】
上記エンジン9は図示せぬクラッチ、減速機、逆転機を一体に組込み、出力軸9aを前後共通とする簡易な構成をなす。また、前輪3,3にはハンドル13から図示せぬ操舵機構が連結し、一方、後輪7のギヤ機構11と反対側の車輪7に近接してブレーキ機構14を備える。
以上により、図1で明らかなように、エンジン出力軸9aをユニバーサルジョイント9dを介して後部推進軸9cの前側に連結し、該後部推進軸9cの後部を、これに設けたギヤを介して後輪車軸に連結したギヤ減速機構11に連結し、エンジン9のクランク軸と略平行としたエンジン出力軸9aとギヤ減速機構11とを連結する後部推進軸9cを直線的に接続して、該ギヤ減速機構11に対して斜めに配設し、ギヤ減速機構11を、左右の後輪7,7の一方の側に近接するように偏寄して配置した。また、前輪車軸4,4に連結したギヤ変速機構10を備え、エンジン出力軸9aの前端は前輪3,3への動力伝達軸9bに接続され、前輪への動力伝達軸9bは前輪車軸4,4に連結したギヤ変速機構10に接続されており、エンジン出力軸9aと後部推進軸9cと前輪への動力伝達軸9bが略一直線上に設けられている。
【0016】
図2において、前輪車軸4のギヤ機構10は、エンジン出力を受ける入力軸10aと、この入力軸10aに対する直交軸から傾斜する交差角をなして減速噛合する駆動ベベルギヤ15b及び被動ベベルギヤ15a(低速側ギヤ)からなるベベルギヤ伝達機構15を備えた差動機構12と、差動出力軸12a,12aとからなる
入力軸10aは、前記した前部推進軸9bの前部の一部、あるいは前部と一体化したもので構成され、入力軸10aの前端部に前記した駆動ベベルギヤ15bが固着されている。
【0017】
ベベルギヤ伝達機構15の低速側15aは減速比に対応する大径をなし、この大径の低速側15aを含めてギヤケース10b内に収容される。また、差動出力軸12a,12aは独立懸架軸4,4を経て図1の車輪3,3に連結する。
【0018】
図3において、後輪車軸8のギヤ機構11は、エンジン出力を受ける入力軸11aと、この入力軸11aに対する直交軸から傾斜する交差角をなして減速噛合する駆動ベベルギヤ16b及び被動ベベルギヤ16a(低速側ギヤ)からなるベベルギヤ伝達機構16と、左右連結車軸8とからなる。
入力軸11aは、前記した後部推進軸9cの後部の一部、あるいは後部と一体化したもので構成され、入力軸11aの後端部に前記した駆動ベベルギヤ16bが固着されている。
【0019】
ベベルギヤ伝達機構16の低速側16aは減速比に対応する大径をなし、この大径の低速側16aを含めてギヤケース11b内に収容される。また、左右連結車軸8は図1の左右車輪7,7に連結する。
【0020】
図4において、後輪車軸8の一方の車輪7の近傍にギヤ機構11を設け、他方の車輪7の近傍にドラム式ブレーキ機構14を設ける。したがって、車輪近傍には、車軸8径に対して大きな外形をなすギヤ機構11およびブレーキ機構14による大径部が形成される一方、左右連結車軸8の中央部近傍はシャフトスリーブ8aの下端までの最大限度の地上高が確保され、この範囲内の路上突起物17を跨いだ場合にも走行障害を受けることがない。
【0021】
上記の如く構成される不整地走行四輪車の作用を以下に説明する。
【0022】
図1の前輪3,3は、独立の懸架車軸4,4によって上下動自在に支持され、かつ、ハンドル13の操作によって操向される。後輪7,7は、スイングアーム6のピボット軸5によって上下動自在に支持される。
【0023】
車体フレーム2に装荷されたエンジン9の駆動力は、その前後共通出力軸9aから前後に分れ、前側は直結軸9bとギヤ機構10とを介して左右独立の懸架車軸4,4に伝達され、一方、後側はユニバーサルジョイント軸9cとギヤ機構11とを介して後輪の左右連結車軸8に伝達される。
【0024】
前輪3,3が進路上の障害物を跨ぎ、その上方を独立懸架軸4が通過した場合には、連結車軸8がその後輪7,7の間に図4のごとく上記障害物17を跨ぎ、前後輪3,7が略同径であっても、左右連結車軸8の中央部は少なくとも前輪3の車軸4高さに略等しい地上高が確保されているので、従来のごとくの後輪中間部に備えられたギヤ機構部の干渉によって走行しにくい事態を避けることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上に説明したごとく、車体フレームに装荷されたエンジンと、このエンジンによって駆動される前輪部と後輪部とを備え、この後輪部はスイングアームによって支持される左右連結車軸とその駆動力を減速伝達するギヤ機構とからなる不整地走行四輪車において、エンジン出力軸をユニバーサルジョイントを介して後部推進軸の前側に連結し、該後部推進軸の後部を、これに設けたギヤを介して後輪車軸に連結したギヤ減速機構に連結し、エンジンのクランク軸と略平行としたエンジン出力軸とギヤ減速機構とを連結する後部推進軸を直線的に接続して、該ギヤ減速機構に対して斜めに配設し、ギヤ減速機構を、左右の後輪の一方の側に近接するように偏寄して配置し、前輪車軸に連結したギヤ変速機構を備え、エンジン出力軸の前端は前輪への動力伝達軸に接続され、前輪への動力伝達軸は前輪車軸に連結したギヤ変速機構に接続されており、エンジン出力軸と後部推進軸と前輪への動力伝達軸が略一直線上に設けられているようにしたので、左右連結車軸の中央部は車軸高さの地上高が確保される。
【0026】
したがって、前輪側が通過し得た進路上の障害物に対して後輪部の車軸中央での干渉を生じることがないので、不整地走行における走破性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る不整地走行四輪車の構成を示す平面図
【図2】前輪側ギヤ機構の断面図
【図3】後輪側ギヤ機構の断面図
【図4】同不整地走行四輪車の後輪車軸に係る地上高を示す後面図
【図5】従来の不整地走行四輪車の構成を示す平面図
【図6】同不整地走行四輪車の後輪車軸に係る地上高を示す後面図
【符号の説明】
1…不整地走行四輪車、2…車体フレーム、3…前輪、4…独立懸架車軸、5…ピボット軸、6…スイングアーム、7…後輪、8…左右連結車軸、8a…シャフトスリーブ、9…エンジン、9a…共通出力軸、9b…直結の前部推進軸、9c…後部推進軸、9d…ユニバーサルジョイント、10…ギヤ機構、10a…入力軸、10b…ギヤケース、11…ギヤ機構、11a…入力軸、11b…ギヤケース、12…差動機構、12a…差動出力軸、14…ブレーキ機構、15…ベベルギヤ伝達機構、15a…低速側、16…ベベルギヤ伝達機構、16a…低速側、17…路上突起物。

Claims (1)

  1. 車体フレームに装荷されたエンジンと、このエンジンによって駆動される前輪部と後輪部とを備え、この後輪部はスイングアームによって支持される左右連結車軸とその駆動力を減速伝達するギヤ機構とからなる不整地走行四輪車において、
    前記エンジン出力軸をユニバーサルジョイントを介して後部推進軸の前側に連結し、該後部推進軸の後部を、これに設けたギヤを介して後輪車軸に連結したギヤ減速機構に連結し、
    エンジンのクランク軸と略平行とした前記エンジン出力軸と前記ギヤ減速機構とを連結する前記後部推進軸を直線的に接続して、該ギヤ減速機構に対して斜めに配設し、
    前記ギヤ減速機構を、左右の後輪の一方の側に近接するように偏寄して配置し、
    前輪車軸に連結したギヤ変速機構を備え、エンジン出力軸の前端は前輪への動力伝達軸に接続され、
    前記前輪への動力伝達軸は前記前輪車軸に連結したギヤ変速機構に接続されており、
    前記エンジン出力軸と前記後部推進軸と前記前輪への動力伝達軸が略一直線上に設けられている、
    ことを特徴とする不整地走行四輪車。
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