JP3698795B2 - コウジ酸生産菌の培養方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、糸状菌Aspergillus oryzaeによるコウジ酸の培養においてその生産性を改善する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コウジ酸発酵は、ブドウ糖などの炭素源を利用して、コウジ酸生産能を有する微生物によって行われていることは広く知られている(特公昭60−36753号公報)。
【0003】
通常、糸状菌による発酵生産には固体培養法が用いられるのが一般的である。しかし、工業的には固体培養法は装置コストが高くなるため、液体培養による高効率生産が検討されている(特開平5−76378号公報)。
【0004】
ところで、いずれのコウジ酸培養方法においても培養装置の運転条件の設定とコウジ酸生産能力を検討した報告は少ない(化学工業シンポジウムシリーズ,1995. vol.44 p95-101.等)。
【0005】
一般的に微生物を用いた発酵の生産性向上には、生産する微生物自身の改良を主としているが、微生物の改良は副産物の生成など、時として大きなリスクを背負う場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況を鑑み、簡便に生産性を向上させるためには微生物を培養する際、重要な指針の一つである培養液中の溶存酸素濃度を制御することが考えられる。この溶存酸素濃度の制御の方法には、攪拌回転数、通気量、培養槽内圧によるもの、あるいは富化空気の通気(純酸素の使用)によるものが一般的である。
【0007】
しかし一方で糸状菌の場合、液体培養における攪拌回転数等の物理的培養条件の変更においてはペレット化する報告がされている(Acta.Biotechnol. 1989, Vol. 9, No. 2, p149-156, 等)。
また、糸状菌の場合一般的にペレット化した菌体は有用物の生産能力が低下することが知られている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以上のような問題点を解決するため鋭意検討を重ねた結果、培養槽内圧を調整するという簡便な方法を施すことで、コウジ酸の生産性の向上、あるいは培養日数の低減を達成し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、1.コウジ酸生産菌Aspergillus oryzaeを液体培養で培養するにあたり、培養槽内圧を1.0〜3.0kg/cm2に高めることを特徴とする、コウジ酸の生産性を改善する培養方法。
2.培養槽内圧を1.0〜2.0kg/cm2とすることを特徴とする、上記1.記載の培養方法。
である。
【0009】
本発明における培養槽内圧は1.0〜3.0kg/cm2 であり、培養槽内圧を高めるほど、コウジ酸の生産性の向上、あるいは培養日数の低減が促進される傾向を示す。培養槽内圧を高める方法としては、通気量を一定に保ちながら発酵槽の排気バルブの開度を調整し、培養槽内圧を保つ方法が挙げられる。また発酵槽に通気させる空気は通常の空気でよい。
本発明は、発酵槽に酸素富化空気を通気し低圧力で培養槽内溶存酸素濃度を高めた場合と比較して、発酵槽に通気させる空気を特定することなく、培養槽内圧を特定に保つことにより、コウジ酸の生産性の向上、あるいは培養日数の低減がはかれる。
【0010】
培養槽内圧が1.0kg/cm2 未満の場合、コウジ酸の生産性の向上、あるいは培養日数の低減の効果について、顕著な向上は認められない。また培養槽内圧が高いほど効果は向上する傾向にあるが、現状の設備の安全面等を考慮し上限値を3.0kg/cm2 とする。
【0011】
また、培養槽内圧を1.0〜2.0kg/cm2 とすることで、特別な設備を必要とすることのない、簡便で工業的に有利な効果を有する。培養槽内圧を2.0kg/cm2 超過とした場合、一般に市販される培養槽では運転あるいは設計上の想定圧力を超える可能性があり、さらに大型の培養槽となると、高い槽内圧で空気の通気量を保つために高い効能力の空気供給装置が必要となる。よって培養槽内圧2.0kg/cm2 超過に対応する培養条件を満たすためには特別な設備を必要とする。
【0012】
本発明において用いられるコウジ酸生産微生物としては、Aspergillus oryzae(IFO4191,IFO4254,IAM2142,ATCC7252)が挙げられ得る。
【0013】
本発明における発酵培地は、資化し得る窒素源と炭素源を組み合わせて使用すれば良く、例えば窒素源としては、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカー、ペプトン、各無機アンモニウム塩等が約0.1〜1.0%で使用でき、炭素源としてはグルコース、マルトース、各種澱粉、しょ糖、廃糖蜜等の糖類が約5〜15%、および必要に応じて資化出来る有機酸、例えば酢酸、クエン酸などが約0.5〜2%使用できる。その他、これらの培地組成にリン酸、マグネシウム、ナトリウム、カリウム等の無機塩や微量必須栄養素、消泡剤、分散剤等を適宜使用し得る。
【0014】
コウジ酸を生産する糸状菌Aspergillus oryzaeの培養において、培養槽内圧がその生産性向上や培養日数低減に有効に働く原因は明らかではないが、以下のように推察される。糸状菌Aspergillus oryzaeは微生物の中では細胞壁を有する真菌類であり、また同じ真菌類の酵母と比較し菌体のサイズが大きい。さらに糸状形態を有する微生物は培養日数が進むにつれ、菌糸同士がからみつきペレットあるいはフロックと呼ばれる直径数mm〜数cmにおよぶ菌塊を形成する。この菌体サイズの大きさと菌塊の形成が、糖からコウジ酸を生成するような酸素を必要とする反応において、通常は菌体内部の生合成経路を有効に利用することを妨げるのに対し、菌体深部まで強制的に酸素や基質を供給し得るであろう本発明の条件が生合成系を有効に働かせていると考えられる。また、高槽内圧培養と同様の条件を満たす別の方法としては、菌体密度を低くし、培養液中の酸素と接触を有利にする希釈培養法が有効であると考えられる。しかし、希釈を行うことは、培地濃度当たりではほぼ同じコウジ酸生産性を示しても、同一液量当たりのコウジ酸濃度は低くなるため生産量的には不利である。
【0015】
以下、実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。
本発明で行う培養方法は一般的なものであるが、2段のフラスコによる前培養を経た後、30L容培養装置による液体培養によって行っている。
【0016】
【実施例】
次に実施例及び比較例をあげて本発明の方法を説明する。
実施例1 培養槽内圧1.0kg/cm2におけるコウジ酸生産菌Aspergillus oryzaeの培養
Czapek-Dox斜面寒天固体培地にて増殖させたAspergillus oryzae(IAM2142)の胞子を、500mlの坂口フラスコに分注し滅菌したグルコース2%、ペプトン0.5%、信越シリコーンKM70 0.05%を組成とする培地100ml(pH4.0)に接種し、30℃で48時間振とう培養(210rpm)したものから更に同様の培地1Lを分注し滅菌した5L三角フラスコに全量を接種し、30℃で48時間振とう培養(210rpm)したものを種菌とした。発酵培地の培地組成はグルコース10%、酵母エキス0.3%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、信越シリコーンKM72 0.05%(pH4.0)とした。この発酵培地18Lを30L容通気撹拌式発酵槽に入れ、121℃で15分殺菌後、種菌を対液5%接種し温度30℃、通期量0.8VVM、内圧1kg/cm2、250rpmの回転数で10日間培養を行った。この培養において培養初期よりグルコース消費速度の増加及びコウジ酸濃度の上昇が確認され、培養8日目に添加グルコース当たり45%のコウジ酸が生産された。
【0017】
実施例2〜3 培養圧力によるコウジ酸生産性及び培養日数の比較
実施例1の方法に準じ、培養槽内圧を1.5kg/cm2、2.0kg/cm2、と変えて培養を行った。
培養槽内圧が高まるほどグルコース消費速度及びコウジ酸生産性の向上が確認された
【0018】
比較例1
実施例1の方法に準じ、培養槽内圧0.5kg/cm2で培養を行った。
培養には10日間を有し、10日目のコウジ酸濃度はグルコース当たり40%に留まった。
【0019】
比較例2
実施例1の方法に準じ、酸素富化空気を用い、溶存酸素濃度を培養槽内圧1.5kg/cm2のものとほぼ同等にし、内圧0.2kg/cm2で培養を行った。
培養状態、生産性ともに比較例1と同等であった。
【0020】
実施例及び比較例の結果を図1に示した。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、培養槽内圧を1.0〜3.0kg/cm2とすることにより、従来菌株自身の改造(育種)によってのみ、液体培養における生産性向上や培養日数低減が可能と考えられていた糸状菌Aspergillus oryzaeによるコウジ酸発酵を、容易に効率化することが可能となる。さらに培養槽内圧を1.0〜2.0kg/cm2とすることにより、特別な製造設備を必要としない、より簡便で工業的に有利な製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1〜2の培養経過を示す図である。
横軸は培養日数であり、左縦軸は酵素法にて測定したグルコース濃度、右縦軸は鉄−アラム法によって測定したコウジ酸濃度を示す。
凡例のうち白抜きのものは培養日数−グルコース濃度の測定値を、黒塗りのものは培養日数−コウジ酸濃度の測定値を示す。
文例の条件は以下の通りである。
実施例1;培養槽内圧1.0kg/cm2
実施例2;培養槽内圧1.5kg/cm2
実施例3;培養槽内圧2.0kg/cm2
比較例1;培養槽内圧0.5kg/cm2
比較例2;酸素富化空気を用い王存酸素濃度は実施例2と同様にし、培養槽内圧0.2kg/cm2
【図2】実施例1〜3及び比較例1〜2の培養中の溶存酸素濃度変化を示す図である。
横軸は培養日数であり、縦軸はガルバニ型発酵槽用溶存酸素電極により指示された溶存酸素濃度を示す。
凡例のうち黒塗りのものは実施例を、白抜きのものは比較例をそれぞれ示す。
文例の条件は以下の通りである。
実施例1;培養槽内圧1.0kg/cm2
実施例2;培養槽内圧1.5kg/cm2
実施例3;培養槽内圧2.0kg/cm2
比較例1;培養槽内圧0.5kg/cm2
比較例2;酸素富化空気を用い王存酸素濃度は実施例2と同様にし、培養槽内圧0.2kg/cm2

Claims (2)

  1. コウジ酸生産菌Aspergillus oryzaeを液体培養で培養するにあたり、培養槽内圧を1.0〜3.0kg/cm2に高めることを特徴とする、コウジ酸の生産性を改善する培養方法。
  2. 培養槽内圧を1.0〜2.0kg/cm2とすることを特徴とする、請求項1記載の培養方法。
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