JP3698339B2 - 建築物の耐震用基礎構造 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物を砂地層に浮かして支持すると共に地震が発生した時の衝撃エネルギ−を砂地層で吸収させることが可能な建築物の耐震用基礎構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の木造建築物の基礎構造を示す図であり、この構造は、所定深さ掘り下げた溝底に砕石を敷き込み、それをてん圧した後に地中梁を構築させ、土ならしを行い、コンクリ−ト打設して土間を形成させる。該土間の上に束石(6)を並べ、該束石(6)の上に床束(7)を立設し、その上に大引や根太を載せると共に地中梁の上面に土台を載せて床(8)を形成し、更に柱を立設させて建築物(9)を建てていた。しかしながら、これは地震に対しては弱いため、束石(6)と床束(7)を金具で固定させたものや、束石(6)と大引き或いは根太の間に線材を掛けて固定するものもあるが、従来の木造建築物の基礎構造には、地震に有効な耐震用のものが殆どなかった。又、鉄骨建築物に於いては、耐震用としてダンパ−機能を有するゴム等の部材を鉄骨柱の下端に設けたものが見受けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の鉄骨建築物に於ける耐震用としてゴム等の部材を用いたものは、長期間経過すると風化し易く、地震発生時に役目を果たせなくなる恐れがあった。尚、従来から砂には衝撃エネルギ−を吸収するものとして良く知られているが、砂は崩れ易く不安定なため建築物には適さないと判断され、極力砂地には建築物を建てないように心掛けているのが現状であり、砂地に一般の建築物を建てる発想は従来には無かった。
【0004】
本発明は地震が直下型であっても建築物に加わる衝撃エネルギ−を吸収すると共に震度が強くなっても安心して建築物の中に居ることが可能となる建築物の耐震用基礎構造を提供することを目的とするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、現状地盤を所定深さ掘り下げた底盤と内壁にコンクリ−ト打設して内枠を形成し、その内部に砂を入れて砂地層を形成させ、建築物の大きさに合わせた平盤と、その平盤の下方には多数の砂充填室を設けるために縦横に設けた仕切板とから成る浮上盤を前記砂地層の中央に被せ、前記浮上盤と前記内壁との間にブロックを埋設すると共に前記浮上盤の周囲に前記ブロックを多数配置させて誘導壁を組立てる構造とする。又、前記浮上盤を複数段として砂地層へ埋め込み、順次地震の衝撃エネルギ−を吸収する構造としても良い。尚、本発明で言う前記砂充填室とは、砂を抱え込む仕切られた空間を指し、下方が開口されたものを言う。又、前記内枠は、予め地上で形成し、その内部に砂を入れた後、前記内枠の周囲を盛土する構造と成すものも含むものとする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は木造建築物の基礎構造の実施形態を示す図であり、これに基づき説明する。(1)は現状地盤を所定深さ掘り下げ、そこに砕石を敷き込んだ底盤(11)と内壁(12)に、コンクリ−ト打設して形成させた内枠である。又、前記内枠(1)の底面には水抜き穴(11a)が設けられている。(2)は内枠(1)の内部に砂を略満杯に入れて形成した砂地層である。(3)は建築物(9)の大きさよりも若干大きめな平盤(31)と、その平盤(31)の下方に多数の砂充填室(3a)を設けるために縦横に設けた仕切板(32)とから成るコンクリ−ト製の浮上盤であり、該浮上盤(3)は砂地層(2)の中央に被せて配置される。尚、前記浮上盤(3)はコンクリ−ト製に限定されるものではない。(4)は浮上盤(3)と内壁(12)との間にブロック(41)を埋設すると共に浮上盤(3)の周囲を取り囲むように多数配置させて組立てられた横揺れ減衰用誘導壁であり、該誘導壁(4)はブロック(41)だけで組立てられ、それらのブロック(41)を連結するためのコンクリ−トや鉄筋は使用せず、単に並べるだけのものである。また誘導壁(4)は各方向別に独立したものとさせると良い(図3参照)。尚、前記誘導壁(4)は必ず建築物(9)から10cm以上離して設けられている。(5)は浮上盤(3)の周囲の砂地層(2)上部に割ぐり石を敷いて形成した砂利層である。(6)は浮上盤(3)の上に並べた束石(つかいし)で、(7)は束石(6)の上に立設する床束(ゆかつか)である。(8)は床で、(9)は建築物であり、該建築物(9)の土台は、浮上盤(3)の仕切板(32)の上に来るように配置して建てる。
【0007】
図2は木造建築物を複数軒まとめて建てる際の基礎構造の別実施形態を示す図であり、これは前記実施形態と比べると、複数段の浮上盤(3)を砂地層(2)へ埋め込み、直下型地震の衝撃エネルギ−を順次吸収する構造と成し、且つ数十軒分まとめて建築物(9)を建てる大型な浮上盤(3)を利用することが可能な基礎構造である。これについて詳細に説明すると、内枠(1)は前記実施形態のものよりも大きく形成し、その内部には砂だけを入れて砂地層(2)が形成され、砂利層(5)は設けない。前記浮上盤(3)は2段であり、1段目は砂地層(2)の中央に被せて埋設すると共に底盤(11)から適宜に離して配置し、且つその上に更に別の浮上盤(3)を適宜離して砂地層(2)の中央に被せたものである。また前記誘導壁(4)は浮上盤(3)の周囲に多数のブロック(41)を複数段配置させて組立て、最上段のものは砂が逃げないように内側に突出部を設けている。尚、前記浮上盤(3)の外側に設けた仕切板(32)下端の内側には面取り(32a)を設けると良い[図4(c)参照]。又、前記浮上盤(3)は建築物(9)に応じて2段以上埋設したものとしても良い。更に前記木造建築物の代り鉄骨建築物を建てても良い。
【0008】
次に本発明の作用について説明する。予め浮上盤(3)と誘導壁(4)を砂地層(2)に埋設して配置させ、前記浮上盤(3)の上に建築物(9)を建てておく[図4(a)参照]。先ず、横揺れの地震が発生した場合には、地盤が横方向に揺れると共に横方向から内枠(1)へ図中に示す白色矢印の如く衝撃エネルギ−が加わり、その衝撃エネルギ−は砂を介して誘導壁(4)にぶつかって減衰し、その力が大きい場合には多少の傾きを生じる[図4(b)参照]。減衰された衝撃エネルギ−は更に砂を介して浮上盤(3)に伝わる。すると、平盤(31)の下方に設けた多数の砂充填室(3a)には砂を抱え込んでいるので、この砂によって衝撃エネルギ−が更に減衰され、建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−は始めに加えられたものよりも遥かに小さくなり、建築物(9)には被害が起きない程度までに減衰可能なものとなるのである。この時、砂充填室(3a)に抱え込まれた砂は外部へ逃げようとするが、仕切板(32)によって外へ逃げることを防止するのである。特に浮上盤(3)の外側に設けた仕切板(32)下端の内側に面取り(32a)が設けられていると、建築物(9)の荷重が仕切板(32)に加わり、その下端に於いては内側に分力が働くため、外側の仕切板(32)下端の砂は内側に移動され、砂充填室(3a)に抱え込まれた砂が外に逃げることなく保持できる[図4(c)参照]。前記浮上盤(3)に伝えられた衝撃エネルギ−は、更に左側の誘導壁(4)に当って減衰するため、反動による跳ね返りの衝撃エネルギ−も殆ど無くなるのである。
【0009】
又、直下型の縦揺れの地震が発生した場合には、地盤が縦方向に揺れると共に底盤(11)から内枠(1)に衝撃エネルギ−が加わると、先ず砂を介して浮上盤(3)に伝わる。この時、前記衝撃エネルギ−は平盤(31)に伝わる迄に砂地層(2)によって、衝撃エネルギ−が大幅に減衰され、建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−はかなり小さくなり、建築物(9)は若干持ち上げられるが、被害が起きない程度までに減衰可能なものとなるのである。また建築物(9)が下がる時には、前記建築物(9)の重量が浮上盤(3)に加わった状態で下がる。この時、浮上盤(3)には仕切板(32)があるので安定して直ぐに元の位置に戻され、且つ砂充填室(3a)の砂によって、衝撃エネルギ−が更に吸収されて減衰するのである。従って、前記浮上盤(3)が元の位置に戻る際の反動による跳ね返りの衝撃エネルギ−は殆ど減衰されてなくなる。尚、この時、浮上盤(3)の仕切板(32)に面取り(32a)を設けておくと、図4(c)に示すように仕切板(32)に荷重が加わるため、砂充填室(3a)の砂は抱え込まれるように内側に移動して逃げにくくなり、且つ浮上盤(3)は下方に沈まずに浮上したままの状態で、始めの位置に落ち着き、浮上盤(3)によって建築物(9)が支持されるのである。このように平盤(31)の下方に設けた多数の砂充填室(3a)は砂を抱え込むことにより、次に加わる衝撃エネルギ−に対処出来るものとなるのである。また本発明は浮上盤(3)の大きさが、多数の建築物(9)をまとめた大きさに形成して、一度に耐震基礎工事を施工することができる。しかも、浮上盤(3)に砂を抱え込んで砂地層(2)に浮上した状態であっても、砂に荷重が常時加わって砂が固められる状態になるので、砂が安定する。この結果、地震の衝撃エネルギ−は砂によって一気に且つ何度も衝撃エネルギ−を吸収出来ると共に震度が強くても効率良く減衰する。特に従来の耐震構造のものと比較すると、本発明は震度が弱い時には衝撃エネルギ−が砂によってある程度伝えられるが、震度が強くなると衝撃エネルギ−は瞬間的に加わり、砂がずれて伝わりにくくなるため、震度が強いほど本発明の効果が発揮出来るものとなるのである。尚、本発明の基礎構造の内枠(1)には、雨水が多量に溜ると、砂が溶けて液状現象を発生する恐れがあるので、底面に水抜き穴(11a)が多数設けておくと良い。又、砂は他の耐震用資材に比べ、遥かに安いコストで使用出来るので、施工費が高くならずに済むのである。
【0010】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0011】
請求項1のように建築物(9)を浮上盤(3)の上に建て、且つ、該浮上盤(3)を砂地層(2)に埋設すると共に浮上盤(3)の周囲に誘導壁(4)を砂地層(2)に埋設することにより、地震が直下型であっても建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−は砂地層(2)の砂によって効率良く吸収されると共に大きな地震が発生しても建築物(9)にはダメ−ジが少なくて済み、建築物(9)の中に安心して居ることが可能となる。このため、本発明は従来困難であった木造建築物の基礎構造であっても、地震に有効な耐震用基礎構造を施工することが可能となり、更に鉄骨建築物に於いて、長期間使用しても風化する心配が無く、地震発生時に役目を必ず果たせるものとなる。尚、砂は極めて安いコストで使用でき、且つ砂は地震の衝撃エネルギ−が一気に且つ何度も繰返して吸収出来ると共に震度が大きくなっても効率良く減衰でき、従来の耐震構造のものと比較すると、震度が強いほど本発明の効果が発揮出来るものとなるのである。
【0012】
請求項2のように建築物(9)を浮上盤(3)の上に建て、且つ複数段の浮上盤(3)を砂地層(2)に埋設すると共に浮上盤(3)の周囲に誘導壁(4)を砂地層(2)に埋設することにより、浮上盤(3)の大きなものが施工可能となり、一度に多数の建築物(9)をまとめた耐震基礎工事を施工することができると共に請求項1と同様な効果が得られる。
【0013】
請求項3に示すように浮上盤(3)の外周に設けた仕切板(32)下端の内側に面取り(32a)を設けることにより、地震が発生して建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−によって、浮上盤(3)の砂充填室(3a)に抱え込まれる砂は、内側に移動して外へ逃げにくくなった状態で保持できるため、浮上盤(3)内部の砂は常時確保でき、沈んで底盤(11)に当る心配はなく、且つ、地震による衝撃エネルギ−がより確実に吸収出来るものとなる。
【0014】
請求項4に示すように誘導壁(4)として複数段にブロック(41)を埋設させて配置することにより、横方向の衝撃エネルギ−をより効率良く吸収出来るものとなり、更に浮上盤(3)のずれ防止となる。又、誘導壁(4)の組立て工事が簡単に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の耐震用基礎構造を示す断面図である。
【図2】別実施形態の耐震用基礎構造を示す断面図である。
【図3】図1の要部部材を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の作用を示す説明図である。
【図5】従来の木造建築物の基礎構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内枠
11 底盤
12 内壁
2 砂地層
3 浮上盤
3a 砂充填室
31 平盤
32 仕切板
32a 面取り
4 誘導壁
41 ブロック
5 砂利層
9 建築物
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物を砂地層に浮かして支持すると共に地震が発生した時の衝撃エネルギ−を砂地層で吸収させることが可能な建築物の耐震用基礎構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の木造建築物の基礎構造を示す図であり、この構造は、所定深さ掘り下げた溝底に砕石を敷き込み、それをてん圧した後に地中梁を構築させ、土ならしを行い、コンクリ−ト打設して土間を形成させる。該土間の上に束石(6)を並べ、該束石(6)の上に床束(7)を立設し、その上に大引や根太を載せると共に地中梁の上面に土台を載せて床(8)を形成し、更に柱を立設させて建築物(9)を建てていた。しかしながら、これは地震に対しては弱いため、束石(6)と床束(7)を金具で固定させたものや、束石(6)と大引き或いは根太の間に線材を掛けて固定するものもあるが、従来の木造建築物の基礎構造には、地震に有効な耐震用のものが殆どなかった。又、鉄骨建築物に於いては、耐震用としてダンパ−機能を有するゴム等の部材を鉄骨柱の下端に設けたものが見受けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の鉄骨建築物に於ける耐震用としてゴム等の部材を用いたものは、長期間経過すると風化し易く、地震発生時に役目を果たせなくなる恐れがあった。尚、従来から砂には衝撃エネルギ−を吸収するものとして良く知られているが、砂は崩れ易く不安定なため建築物には適さないと判断され、極力砂地には建築物を建てないように心掛けているのが現状であり、砂地に一般の建築物を建てる発想は従来には無かった。
【0004】
本発明は地震が直下型であっても建築物に加わる衝撃エネルギ−を吸収すると共に震度が強くなっても安心して建築物の中に居ることが可能となる建築物の耐震用基礎構造を提供することを目的とするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は成されたものであり、つまり、現状地盤を所定深さ掘り下げた底盤と内壁にコンクリ−ト打設して内枠を形成し、その内部に砂を入れて砂地層を形成させ、建築物の大きさに合わせた平盤と、その平盤の下方には多数の砂充填室を設けるために縦横に設けた仕切板とから成る浮上盤を前記砂地層の中央に被せ、前記浮上盤と前記内壁との間にブロックを埋設すると共に前記浮上盤の周囲に前記ブロックを多数配置させて誘導壁を組立てる構造とする。又、前記浮上盤を複数段として砂地層へ埋め込み、順次地震の衝撃エネルギ−を吸収する構造としても良い。尚、本発明で言う前記砂充填室とは、砂を抱え込む仕切られた空間を指し、下方が開口されたものを言う。又、前記内枠は、予め地上で形成し、その内部に砂を入れた後、前記内枠の周囲を盛土する構造と成すものも含むものとする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は木造建築物の基礎構造の実施形態を示す図であり、これに基づき説明する。(1)は現状地盤を所定深さ掘り下げ、そこに砕石を敷き込んだ底盤(11)と内壁(12)に、コンクリ−ト打設して形成させた内枠である。又、前記内枠(1)の底面には水抜き穴(11a)が設けられている。(2)は内枠(1)の内部に砂を略満杯に入れて形成した砂地層である。(3)は建築物(9)の大きさよりも若干大きめな平盤(31)と、その平盤(31)の下方に多数の砂充填室(3a)を設けるために縦横に設けた仕切板(32)とから成るコンクリ−ト製の浮上盤であり、該浮上盤(3)は砂地層(2)の中央に被せて配置される。尚、前記浮上盤(3)はコンクリ−ト製に限定されるものではない。(4)は浮上盤(3)と内壁(12)との間にブロック(41)を埋設すると共に浮上盤(3)の周囲を取り囲むように多数配置させて組立てられた横揺れ減衰用誘導壁であり、該誘導壁(4)はブロック(41)だけで組立てられ、それらのブロック(41)を連結するためのコンクリ−トや鉄筋は使用せず、単に並べるだけのものである。また誘導壁(4)は各方向別に独立したものとさせると良い(図3参照)。尚、前記誘導壁(4)は必ず建築物(9)から10cm以上離して設けられている。(5)は浮上盤(3)の周囲の砂地層(2)上部に割ぐり石を敷いて形成した砂利層である。(6)は浮上盤(3)の上に並べた束石(つかいし)で、(7)は束石(6)の上に立設する床束(ゆかつか)である。(8)は床で、(9)は建築物であり、該建築物(9)の土台は、浮上盤(3)の仕切板(32)の上に来るように配置して建てる。
【0007】
図2は木造建築物を複数軒まとめて建てる際の基礎構造の別実施形態を示す図であり、これは前記実施形態と比べると、複数段の浮上盤(3)を砂地層(2)へ埋め込み、直下型地震の衝撃エネルギ−を順次吸収する構造と成し、且つ数十軒分まとめて建築物(9)を建てる大型な浮上盤(3)を利用することが可能な基礎構造である。これについて詳細に説明すると、内枠(1)は前記実施形態のものよりも大きく形成し、その内部には砂だけを入れて砂地層(2)が形成され、砂利層(5)は設けない。前記浮上盤(3)は2段であり、1段目は砂地層(2)の中央に被せて埋設すると共に底盤(11)から適宜に離して配置し、且つその上に更に別の浮上盤(3)を適宜離して砂地層(2)の中央に被せたものである。また前記誘導壁(4)は浮上盤(3)の周囲に多数のブロック(41)を複数段配置させて組立て、最上段のものは砂が逃げないように内側に突出部を設けている。尚、前記浮上盤(3)の外側に設けた仕切板(32)下端の内側には面取り(32a)を設けると良い[図4(c)参照]。又、前記浮上盤(3)は建築物(9)に応じて2段以上埋設したものとしても良い。更に前記木造建築物の代り鉄骨建築物を建てても良い。
【0008】
次に本発明の作用について説明する。予め浮上盤(3)と誘導壁(4)を砂地層(2)に埋設して配置させ、前記浮上盤(3)の上に建築物(9)を建てておく[図4(a)参照]。先ず、横揺れの地震が発生した場合には、地盤が横方向に揺れると共に横方向から内枠(1)へ図中に示す白色矢印の如く衝撃エネルギ−が加わり、その衝撃エネルギ−は砂を介して誘導壁(4)にぶつかって減衰し、その力が大きい場合には多少の傾きを生じる[図4(b)参照]。減衰された衝撃エネルギ−は更に砂を介して浮上盤(3)に伝わる。すると、平盤(31)の下方に設けた多数の砂充填室(3a)には砂を抱え込んでいるので、この砂によって衝撃エネルギ−が更に減衰され、建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−は始めに加えられたものよりも遥かに小さくなり、建築物(9)には被害が起きない程度までに減衰可能なものとなるのである。この時、砂充填室(3a)に抱え込まれた砂は外部へ逃げようとするが、仕切板(32)によって外へ逃げることを防止するのである。特に浮上盤(3)の外側に設けた仕切板(32)下端の内側に面取り(32a)が設けられていると、建築物(9)の荷重が仕切板(32)に加わり、その下端に於いては内側に分力が働くため、外側の仕切板(32)下端の砂は内側に移動され、砂充填室(3a)に抱え込まれた砂が外に逃げることなく保持できる[図4(c)参照]。前記浮上盤(3)に伝えられた衝撃エネルギ−は、更に左側の誘導壁(4)に当って減衰するため、反動による跳ね返りの衝撃エネルギ−も殆ど無くなるのである。
【0009】
又、直下型の縦揺れの地震が発生した場合には、地盤が縦方向に揺れると共に底盤(11)から内枠(1)に衝撃エネルギ−が加わると、先ず砂を介して浮上盤(3)に伝わる。この時、前記衝撃エネルギ−は平盤(31)に伝わる迄に砂地層(2)によって、衝撃エネルギ−が大幅に減衰され、建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−はかなり小さくなり、建築物(9)は若干持ち上げられるが、被害が起きない程度までに減衰可能なものとなるのである。また建築物(9)が下がる時には、前記建築物(9)の重量が浮上盤(3)に加わった状態で下がる。この時、浮上盤(3)には仕切板(32)があるので安定して直ぐに元の位置に戻され、且つ砂充填室(3a)の砂によって、衝撃エネルギ−が更に吸収されて減衰するのである。従って、前記浮上盤(3)が元の位置に戻る際の反動による跳ね返りの衝撃エネルギ−は殆ど減衰されてなくなる。尚、この時、浮上盤(3)の仕切板(32)に面取り(32a)を設けておくと、図4(c)に示すように仕切板(32)に荷重が加わるため、砂充填室(3a)の砂は抱え込まれるように内側に移動して逃げにくくなり、且つ浮上盤(3)は下方に沈まずに浮上したままの状態で、始めの位置に落ち着き、浮上盤(3)によって建築物(9)が支持されるのである。このように平盤(31)の下方に設けた多数の砂充填室(3a)は砂を抱え込むことにより、次に加わる衝撃エネルギ−に対処出来るものとなるのである。また本発明は浮上盤(3)の大きさが、多数の建築物(9)をまとめた大きさに形成して、一度に耐震基礎工事を施工することができる。しかも、浮上盤(3)に砂を抱え込んで砂地層(2)に浮上した状態であっても、砂に荷重が常時加わって砂が固められる状態になるので、砂が安定する。この結果、地震の衝撃エネルギ−は砂によって一気に且つ何度も衝撃エネルギ−を吸収出来ると共に震度が強くても効率良く減衰する。特に従来の耐震構造のものと比較すると、本発明は震度が弱い時には衝撃エネルギ−が砂によってある程度伝えられるが、震度が強くなると衝撃エネルギ−は瞬間的に加わり、砂がずれて伝わりにくくなるため、震度が強いほど本発明の効果が発揮出来るものとなるのである。尚、本発明の基礎構造の内枠(1)には、雨水が多量に溜ると、砂が溶けて液状現象を発生する恐れがあるので、底面に水抜き穴(11a)が多数設けておくと良い。又、砂は他の耐震用資材に比べ、遥かに安いコストで使用出来るので、施工費が高くならずに済むのである。
【0010】
【発明の効果】
本発明はこのように構成させたことにより、下記に記載する効果を有する。
【0011】
請求項1のように建築物(9)を浮上盤(3)の上に建て、且つ、該浮上盤(3)を砂地層(2)に埋設すると共に浮上盤(3)の周囲に誘導壁(4)を砂地層(2)に埋設することにより、地震が直下型であっても建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−は砂地層(2)の砂によって効率良く吸収されると共に大きな地震が発生しても建築物(9)にはダメ−ジが少なくて済み、建築物(9)の中に安心して居ることが可能となる。このため、本発明は従来困難であった木造建築物の基礎構造であっても、地震に有効な耐震用基礎構造を施工することが可能となり、更に鉄骨建築物に於いて、長期間使用しても風化する心配が無く、地震発生時に役目を必ず果たせるものとなる。尚、砂は極めて安いコストで使用でき、且つ砂は地震の衝撃エネルギ−が一気に且つ何度も繰返して吸収出来ると共に震度が大きくなっても効率良く減衰でき、従来の耐震構造のものと比較すると、震度が強いほど本発明の効果が発揮出来るものとなるのである。
【0012】
請求項2のように建築物(9)を浮上盤(3)の上に建て、且つ複数段の浮上盤(3)を砂地層(2)に埋設すると共に浮上盤(3)の周囲に誘導壁(4)を砂地層(2)に埋設することにより、浮上盤(3)の大きなものが施工可能となり、一度に多数の建築物(9)をまとめた耐震基礎工事を施工することができると共に請求項1と同様な効果が得られる。
【0013】
請求項3に示すように浮上盤(3)の外周に設けた仕切板(32)下端の内側に面取り(32a)を設けることにより、地震が発生して建築物(9)に加わる衝撃エネルギ−によって、浮上盤(3)の砂充填室(3a)に抱え込まれる砂は、内側に移動して外へ逃げにくくなった状態で保持できるため、浮上盤(3)内部の砂は常時確保でき、沈んで底盤(11)に当る心配はなく、且つ、地震による衝撃エネルギ−がより確実に吸収出来るものとなる。
【0014】
請求項4に示すように誘導壁(4)として複数段にブロック(41)を埋設させて配置することにより、横方向の衝撃エネルギ−をより効率良く吸収出来るものとなり、更に浮上盤(3)のずれ防止となる。又、誘導壁(4)の組立て工事が簡単に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の耐震用基礎構造を示す断面図である。
【図2】別実施形態の耐震用基礎構造を示す断面図である。
【図3】図1の要部部材を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の作用を示す説明図である。
【図5】従来の木造建築物の基礎構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 内枠
11 底盤
12 内壁
2 砂地層
3 浮上盤
3a 砂充填室
31 平盤
32 仕切板
32a 面取り
4 誘導壁
41 ブロック
5 砂利層
9 建築物
Claims (4)
- 所定深さ掘り下げた底盤(11)と内壁(12)にコンクリ−ト打設して内枠(1)を形成し、その内部に砂を入れて砂地層(2)を形成させ、建築物(9)の大きさに合わせた平盤(31)と、その平盤(31)の下方には多数の砂充填室(3a)を設けるために縦横に設けた仕切板(32)とから成る浮上盤(3)を前記砂地層(2)の中央に被せ、前記浮上盤(3)と前記内壁(12)との間にブロック(41)を埋設すると共に前記浮上盤(3)の周囲に前記ブロック(41)を多数配置させて横揺れ減衰用誘導壁(4)を組立て、前記浮上盤(3)の周囲の前記砂地層(2)上部に割ぐり石を敷いて砂利層(5)を形成したことを特徴とする建築物の耐震用基礎構造。
- 所定深さ掘り下げた底盤(11)と内壁(12)にコンクリ−ト打設した内枠(1)を形成し、その内部に砂を入れて砂地層(2)を形成させ、建築物(9)の大きさに合わせた平盤(31)と、その平盤(31)の下方には多数の砂充填室(3a)を設けるために縦横に設けた仕切板(32)とから成る浮上盤(3)を前記砂地層(2)の中央に被せて埋設すると共に底盤(11)から適宜に離して配置し、且つその上に更に別の浮上盤(3)を適宜離して前記砂地層(2)の中央に被せ、2つの前記浮上盤(3)の周囲を取り囲むと共に前記浮上盤(3)と前記内壁(12)との間に多数のブロック(41)を配置させ埋設して横揺れ減衰用誘導壁(4)を組立てたことを特徴とする建築物の耐震用基礎構造。
- 前記浮上盤(3)に設けた外周側の仕切板(32)下端の内側に面取り(32a)を設けた請求項1又は2記載の建築物の耐震用基礎構造。
- 前記誘導壁(4)が複数段に埋設されて配置した請求項1又は2記載の建築物の耐震用基礎構造。
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