JP7191754B2 - 駅ホームの補強構造 - Google Patents
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そのような盛土式の駅ホームの石積壁は、大規模地震時の外力によって、積み石崩落やすべり崩壊などを起こして崩れてしまうことが懸念されている。
こうした組積式の石積壁を補強するのに、石積壁の前面に伸縮性を有する補強ネットを固定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
石積ブロックが積み重ねられた石積壁が駅ホームの延在方向に沿って延設されており、その石積壁が盛土を支えている構造の駅ホームを補強する駅ホームの補強構造であって、
前記石積壁の延設方向に沿う任意の間隔毎に、その石積壁における最上段の前記石積ブロックから最下段の前記石積ブロックまでを貫いて配設されている複数の芯材と、
前記駅ホームの延在方向に亘って、前記石積壁の外面に添設されているカバー部材と、
前記石積壁の外面側で前記芯材に沿うように上下方向に延在して、前記芯材が貫いている前記石積ブロックに前記カバー部材を定着させている縦向きの定着部材と、
を備えるようにした。
また、上記目的を達成するため、この発明は、
石積ブロックが積み重ねられた石積壁が駅ホームの延在方向に沿って延設されており、その石積壁が盛土を支えている構造の駅ホームを補強する駅ホームの補強構造であって、
前記石積壁の延設方向に沿う任意の間隔毎に、その石積壁における最上段の前記石積ブロックから最下段の前記石積ブロックまでを貫いて配設されている複数の芯材と、
前記駅ホームの延在方向に亘って、前記石積壁の外面に添設されているカバー部材と、
前記石積壁の外面側で前記芯材に沿うように上下方向に延在して、前記芯材が貫いている前記石積ブロックに前記カバー部材を定着させている縦向きの定着部材と、
前記駅ホームの延在方向に亘って、前記カバー部材の上縁と下縁を前記石積ブロックに定着させている横向きの定着部材と、
を備えるようにした。
なお、ここでの石積ブロックは、石材からなるブロックと、コンクリート製のブロックのいずれであってもよい。
特に、芯材が貫いている石積ブロックにカバー部材を定着させているので、カバー部材によって石積ブロックを好適に拘束することができ、その石積ブロックのずれを防いで石積壁が損壊するのを防ぐことができる。
このような駅ホームの補強構造を既存の駅ホームに構築すれば、例えば大規模地震が発生した場合でも、石積壁が崩壊することはなく、駅ホームが損壊してしまうことはない。
前記石積壁における最上段の石積ブロックの上には平板部材が固定されており、
前記平板部材は、その下面が前記石積壁の裏側の前記盛土に圧接された状態で固定されているようにする。
前記石積壁における最上段の石積ブロックの上には、その石積ブロックの上に所定の空間を設けるための空間形成部材が固定され、その空間形成部材の上には平板部材が固定されており、
前記平板部材は、その下面が前記石積壁の裏側の前記盛土に圧接された状態で固定されているようにする。
特に、空間形成部材によって石積ブロックと平板部材の間に所定の空間を設けることができるので、例えば、駅ホームの平板部材の上にホームドア設備を設置した場合に、その空間にホームドア設備のケーブルなどを通すことが可能になる。
前記平板部材には、前記盛土に埋め込まれている棒状部材の一端部が固定されているようにする。
前記棒状部材は、その他端部を前記石積壁から離間する側に向けて傾斜した姿勢で前記盛土に埋め込まれているようにする。
この駅ホームの石積壁2はその外面の大部分が鉛直面を成すように複数の石積ブロック1が積まれて形成されている。
なお、本実施形態でいう石積ブロック1は、石材からなるブロックと、コンクリート製のブロックのいずれであってもよい。
本実施形態の駅ホームの補強構造100は、例えば、図1(a)(b)に示すように、石積壁2の延設方向に沿う任意の間隔毎に、その石積壁2における最上段の石積ブロック1から最下段の石積ブロック1までを貫いて配設されている複数の芯材10と、駅ホーム(石積壁2)の延在方向の全長に亘って、石積壁2の外面に添設されているカバー部材20と、芯材10が貫いている石積ブロック1にカバー部材20を定着させている定着部材30を備えている。
また、この駅ホームの補強構造100は、石積壁2における最上段の石積ブロック1の上に固定されている平板部材40と、一端部が平板部材40に固定されて他端側が盛土3に埋め込まれている棒状部材50を備えている。
また、笠石を外して最上段の石積ブロック1の上に平板部材40を固定した後、平板部材40で覆われていない盛土3の上に、アスファルト舗装面4を形成した。
本実施形態の石積壁2は、石積ブロック1が6段積みされてなり、下から2段目の途中まで地中に埋没している。
この芯材10は、石積壁2(石積ブロック1)に形成した貫通孔に挿入されて配設されたものでも、その貫通孔を形成しつつ石積壁2(石積ブロック1)に螺入するように配設されたものでもよい。
なお、芯材10は、石積壁2の延設方向に沿う所定間隔(例えば5m)毎に配設されていても、駅ホームの構造(例えば、ホーム上の柱の位置など)に応じた適切な間隔に配設されていてもよい。
また、芯材10の下端部は、最下段の石積ブロック1から突き出していなくても、突き出していてもよい。
このカバー部材20は、6段積みの石積ブロック1のうち、地中に埋没していない上側4段の石積ブロック1の外面に添設されている。
特に、カバー部材20は、伸縮性を有していない材料、あるいは伸縮性を殆ど有していない材料(弾性変形し難い材料)からなるネット状の部材であり、石積壁2(石積ブロック1)の外面に密接した状態で添設されている。このカバー部材20自体も伸縮性を有していない(あるいは伸縮性を殆ど有していない)。
なお、カバー部材20は、駅ホーム(石積壁2)の延在方向の全域に亘る長さを有していても、定着部材30の配設箇所で繋ぎ合わせるように分割された長さを有していてもよい。
この定着部材30は、例えば、ボルトなどを用いて石積ブロック1に固定されており、石積ブロック1との間に挟み込んでいるカバー部材20をその石積ブロック1(石積壁2)の外面に定着させている。
ここでの定着部材30は、4段分の石積ブロック1の高さと略同じ長さを有しており、縦向きに配設されている。
なお、締結部材Bは、平板部材40や石積ブロック1に直接ねじ込む(打ち込む)ようにしても、予め平板部材40や石積ブロック1にドリルであけた穴に螺入するようにしてもよい。
この平板部材40は、その下面が石積壁2の裏側の盛土3に圧接された状態で固定されている。つまり、平板部材40は、石積壁2の裏側の盛土3を押圧して圧密した状態で固定されている。
また、平板部材40が石積壁2の裏側の盛土3を圧密していることで、平板部材40と石積壁2の上部(例えば上側2段)と盛土3の一部が一体化した態様になっている。
なお、平板部材40が盛土3を圧密する面のサイズは、平板部材40が石積ブロック1と接触している面のサイズよりも大きく、2倍以上のサイズであることが好ましい。
この棒状部材50は、平板部材40に水平抵抗力を付与するために配設されている。
なお、棒状部材50は、石積ブロック1に固定された平板部材40に貫通孔を形成しつつ螺入するなどして盛土3に埋め込まれたものでも、盛土3上に一端部を露出させて他端側を盛土3に埋め込んだ後、コンクリートを打設して形成した平板部材40にその一端部が固定されたものでもよい。
特に、芯材10が貫いている石積ブロック1にカバー部材20を定着させているので、カバー部材20によって石積ブロック1を好適に拘束することができ、その石積ブロック1のずれを防いで石積壁2が損壊するのを防ぐことができる。
つまり、本実施形態の駅ホームの補強構造100を既存の駅ホームに構築すれば、例えば大規模地震が発生した場合でも、石積壁2が崩壊することはなく、駅ホームが損壊してしまうことはない。
このように、本実施形態の駅ホームの補強構造100であれば、駅ホームが損壊するのを防ぐことができる。
例えば、図2に示すように、平板部材40に一端部が固定されている棒状部材50が配設されていなくてもよい。
例えば、駅ホームの基礎である盛土3の安定性が高い場合には、平板部材40が石積壁2の裏側の盛土3を圧密して、平板部材40と石積壁2の上部と盛土3の一部が一体化していることで、石積ブロック1がカバー部材20側にずれ難くなっているので、棒状部材50が配設されていなくても、石積壁2は盛土3の土圧に抗することができる。
このような駅ホームの補強構造100であっても、駅ホームが損壊するのを防ぐことができる。
ここでは、芯材10に沿う縦向きの定着部材30に加え、最上段の石積ブロック1の上縁に沿って配設された横向きの定着部材30と、上から4段目の石積ブロック1の下縁に沿って配設された横向きの定着部材30とによっても、カバー部材20を石積ブロック1に定着させている。
この横向きの定着部材30は、駅ホーム(石積壁2)の延在方向の全長に亘って配設されている。
このように定着部材30を増やすことで、カバー部材20が石積ブロック1のずれを押さえる拘束力が増すようになる。
このような駅ホームの補強構造100であっても、駅ホームが損壊するのを防ぐことができる。
なお、芯材10に沿う縦向きの定着部材30に加え、斜め向きに配設した定着部材30によってカバー部材20を石積ブロック1に定着させるようにしてもよい。
次に、本発明に係る駅ホームの補強構造の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
実施形態2の駅ホームの補強構造100は、既存の駅ホームにホームドアを設置するのにあわせて駅ホームを補強するための補強構造である。
そして、芯材10は、5段積みの石積ブロック1を貫いて配設されている
また、カバー部材20は、5段積みの石積ブロック1のうち、地中に埋没していない上側3段の石積ブロック1の外面に添設されている。
L形鋼61は、石積ブロック1の上の空間62をより広くするための機能と、盛土3が空間62に侵入しないようする土留めの機能を有している。特に、このL形鋼61は、石積壁2の裏側の盛土3を押圧して圧密した状態で配設されている。
本実施形態では、H形鋼60とL形鋼61によって、駅ホームに設置するホームドア設備Dのケーブルなどを通すための空間62を形成している。
なお、L形鋼61は空間形成部材の一部としても機能している。
この平板部材40は、その下面が石積壁2の裏側の盛土3に圧接された状態で固定されている。つまり、平板部材40は、石積壁2の裏側の盛土3を押圧して圧密した状態で固定されている。
そして、この平板部材40の上にホームドア設備Dの本体が設置される。
つまり、ホームドアを設置する既存の駅ホームに、この駅ホームの補強構造100を構築すれば、例えば大規模地震が発生した場合でも、石積壁2が崩壊することはなく、駅ホームが損壊してしまうことはない。
この駅ホームの補強構造100であれば、ホームドアを設置した駅ホームが損壊するのを防ぐことができる。
また、H形鋼60のみで石積ブロック1の上に空間62を形成してもよい。
2 石積壁
3 盛土
4 アスファルト舗装面
10 芯材
20 カバー部材
30 定着部材
40 平板部材
50 棒状部材
60 H形鋼(空間形成部材)
61 L形鋼
62 空間
100 駅ホームの補強構造
B 締結部材
D ホームドア設備
Claims (6)
- 石積ブロックが積み重ねられた石積壁が駅ホームの延在方向に沿って延設されており、その石積壁が盛土を支えている構造の駅ホームを補強する駅ホームの補強構造であって、
前記石積壁の延設方向に沿う任意の間隔毎に、その石積壁における最上段の前記石積ブロックから最下段の前記石積ブロックまでを貫いて配設されている複数の芯材と、
前記駅ホームの延在方向に亘って、前記石積壁の外面に添設されているカバー部材と、
前記石積壁の外面側で前記芯材に沿うように上下方向に延在して、前記芯材が貫いている前記石積ブロックに前記カバー部材を定着させている縦向きの定着部材と、
を備えたことを特徴とする駅ホームの補強構造。 - 石積ブロックが積み重ねられた石積壁が駅ホームの延在方向に沿って延設されており、その石積壁が盛土を支えている構造の駅ホームを補強する駅ホームの補強構造であって、
前記石積壁の延設方向に沿う任意の間隔毎に、その石積壁における最上段の前記石積ブロックから最下段の前記石積ブロックまでを貫いて配設されている複数の芯材と、
前記駅ホームの延在方向に亘って、前記石積壁の外面に添設されているカバー部材と、
前記石積壁の外面側で前記芯材に沿うように上下方向に延在して、前記芯材が貫いている前記石積ブロックに前記カバー部材を定着させている縦向きの定着部材と、
前記駅ホームの延在方向に亘って、前記カバー部材の上縁と下縁を前記石積ブロックに定着させている横向きの定着部材と、
を備えたことを特徴とする駅ホームの補強構造。 - 前記石積壁における最上段の石積ブロックの上には平板部材が固定されており、
前記平板部材は、その下面が前記石積壁の裏側の前記盛土に圧接された状態で固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駅ホームの補強構造。 - 前記石積壁における最上段の石積ブロックの上には、その石積ブロックの上に所定の空間を設けるための空間形成部材が固定され、その空間形成部材の上には平板部材が固定されており、
前記平板部材は、その下面が前記石積壁の裏側の前記盛土に圧接された状態で固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駅ホームの補強構造。 - 前記平板部材には、前記盛土に埋め込まれている棒状部材の一端部が固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の駅ホームの補強構造。
- 前記棒状部材は、その他端部を前記石積壁から離間する側に向けて傾斜した姿勢で前記盛土に埋め込まれていることを特徴とする請求項5に記載の駅ホームの補強構造。
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