JP3698213B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤 - Google Patents
ハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像剤に関し、更に詳しくは、経時における破壊強度の減少が著しく抑制され、さらに経時における溶解性の劣化や付着性が改良されたハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料(以下、感材とも称す。)は、露光後、現像、脱銀、洗浄、安定化等の工程により処理される。処理は通常自動現像機(以下、自現機とも称す。)で行われ、その場合は補充液補充方式が一般に広く用いられ、処理槽内の処理液の活性度を一定に保つ様にコントロールされている。補充液補充方式の場合、感材からの溶出物の希釈、蒸発量の補正及び消費成分の補充を目的としており、液体を供給する関係から通常オーバーフロー液が多量に排出されている。
【0003】
一方近年、写真廃液の海洋投棄に関する規制やプラスチック材料の廃棄に対する規制が世界的に強化されてきており、写真廃液をゼロにし、しかも液剤用ポリボトルを使用しない新しいシステムの開発が求められている。又、液体危険物の輸送に関する安全性確保のために包材に対する安全規制が強化されコストの上昇を招いている。更に、最近急増しているミニラボ店においては低コスト化と人手不足から未熟な作業者による作業が多くなり、補充液の溶解或いは希釈準備作業の難しさ故に、誤溶解に起因する事故が相次ぎ、補充システムに対する苦情が多く出される様になってきた。
【0004】
従って当写真業界においては、写真廃液がほとんどなく、ボトルも使用せずしかも溶解作業が全く不要となる固体ケミカルの補充システムの開発が強く求められている。
【0005】
この要望に応える方法として、特開平5-119454号公報にはほとんど全ての処理成分を固体化し、直接処理槽に投入する方法が開示されている。
【0006】
ところで処理剤は、製造後ユーザーの手に渡るまでの間、及び手に渡った後、使用されるまでに様々な雰囲気下で保存される。例えば、東南アジアの一部においては、自現機は、除湿、冷房機能の備わっていない場所に設置される場合がある。使い勝手から、処理剤は自現機の近辺に保存されることが多く、雨季等において、この処理剤保存場所付近の雰囲気が気温30〜45℃で相対湿度70〜80%などと高温多湿になる場合がある。他方、処理剤はシベリアなど寒冷地の冬においては輸送の過程等で−10〜−30℃などの極低温になる場合もあり、保存による該処理剤の劣化が懸念され、保存環境に影響を受けない安定な処理剤が望まれている。更に写真用処理剤は輸送及び市場において使用されるまで長ければ数年滞留することが一般的に知られており、経時における保存性の向上が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らがパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を含有する固体処理剤について種々検討した結果、大気中で長期間保存されると、水分等を吸収して固体処理剤の形状が崩れたり、発色現像主薬となる化合物が分解して減少したり、固体処理剤同士が付着してブロッキングを生じることが分かった。更に保存後の輸送での振動等により割れ欠け、ひび割れ等を生じて、固体処理剤の形状(顆粒や錠剤状)を保てず、自動現像機で使用する際に、投入不良と言った問題等を生じることが判った。これらの対策として非常に硬い固体処理剤とすると、溶解に時間がかかり実用に供し得ず、さらにこれらを自動現像機に使用する際には固着を生じることもあり、処理に支障をきたすことも判明した。
【0008】
破壊強度の減少は、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が存在する固体処理剤は吸湿性や潮解性のあるアルカリ剤等を含有している為、その潮解性により経時において含水率が高くなってしまい、含水率が低いときに保っていた処理剤の結合力が減少していくことによる。更に、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬は結合力が乏しく、低補充、迅速化を行うに際して発色現像主薬の固体処理剤全体に占める成分比率を上昇させた際には、更に悪化してしまう。
【0009】
化合物の分解もこの含水率の上昇による。
【0010】
結合力を補完するために、一般的に医薬用に使用されているポリヒドロキシアルデヒド類、ポリヒドロキシケトン類、セルロース類、デンプン類、グリコーゲン類を用いるのみでは十分な効果は得られなかった。
【0011】
そこで本発明の第1の目的は、劣悪な環境下に保存し、取り扱われた場合にも、固体処理剤の破壊強度及びパラフェニレンジアミン系発色現像主薬の減少が少なく、かつ溶解性を損なわないハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像固体処理剤を提供することである。
【0012】
第2の目的は、長期に保存した場合の固体処理剤の付着やブロッキングを改良したハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像固体処理剤を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
予め分割秤量され、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬を5〜20重量%と平均分子量2000〜20000であるポリアルキレングリコールを1〜30重量%含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤、該固体処理剤が顆粒及び錠剤から選ばれる形態であること、ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであること、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が、一般式〔I〕(化1),〔II〕(化2)または〔III〕(化3)で表される化合物であること、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が、4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-〔β-(メタンスルホンアミド)エチル〕アニリン硫酸塩又は4-アミノ-3-メチル-N-エチル-β-(ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩であること、少なくともパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を含有する造粒物とアルカリ剤を含有する造粒物とを予め別個に形成し、それぞれを混合して形成した顆粒、又はそれぞれを混合した後打錠して形成した錠剤であること、
によって達成される。
【0014】
即ち本発明者らは、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬の成分比率を特定の範囲とし、さらに特定の平均分子量のポリアルキレングリコールを特定の範囲の成分比率で含有させることにより、上記問題を解決できることを見出して、本発明に至ったものである。
【0015】
ポリエチレングリコールを含有している固体処理剤を記載するものとして、特開昭51-61837号,特開平4-254853号が知られているが、これらには本発明の構成を示唆するものは何もない。
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
本発明の固体処理剤は、粉末状、顆粒状、錠剤状のいずれでもよいが、固体処理剤を溶解槽または直接処理層に添加する際の投入精度の点で、顆粒状あるいは錠剤状であることが好ましく、さらに好ましくは錠剤状である。ここでいう顆粒とは、粉末を造粒して得た粒径が50〜5000μmの粒状物のことを言い、錠剤とは、粉末または顆粒を一定の形状に圧縮成形したものを言う。
【0018】
好ましい錠剤の製造方法としては、粉末処理剤を造粒した後打錠工程を行い圧縮成型する方法である。単に粉末処理剤を混合して打錠工程により形成された錠剤に比べ溶解性や保存性が改良され結果として写真処理性能も安定になるという利点がある。
【0019】
写真処理剤を固体化する方法は、特開平4-29136号、同4-85535号、同4-85536号、同4-85533号、同4-85534号、同4-172341号、同2-109042号、同2-109043号、同3-39735号、同3-39739号、特開昭51-61837号、同54-155038号、同52-88025号、英国特許第1,213,808号等の各公報に記載の方法、すなわち、顆粒を作製するための造粒方法としては、例えば転動造粒、押し出し造粒、圧縮造粒、撹拌造粒、流動層造粒、転動流動層造粒等、錠剤を作製する圧縮成形には、例えば油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、ブリケッティングマシンを用いることができる。
【0020】
圧縮成形した固体処理剤は、任意の形状を取ることが可能であるが、生産性、取扱い性の観点からまたはユーザーサイドで使用する場合の粉塵の問題から円筒型、いわゆる錠剤が好ましい。
【0021】
また造粒は乾式造粒または湿式造粒と任意の方法で作成可能であるが造粒物の顆粒強度の点で湿式造粒が好ましい。湿式造粒は原料粉体に溶媒を添加して造粒を行うが、このとき好ましく用いられる溶媒としてはアルコール、アセトン、アセトニトリル、水などの極性溶媒であり、これらの混合溶媒でもよい。さらに好ましくは防爆性の観点から水を用いることである。
【0022】
本発明の固体処理剤が顆粒の場合は顆粒の粒子の60重量%以上が平均粒径±100〜150μmの偏差内に入ることが、投入精度の上から好ましい。
【0023】
本発明の固体処理剤が錠剤の場合は、圧縮成形に用いる造粒物の平均粒径は、造粒物を混合し、圧縮成形する際、成分の不均一化、いわゆる偏析を起こりにくくするという点で100〜800μmのものを用いることが好ましく、より好ましくは200〜700μmである。さらに造粒物粒子の粒度分布は、60重量%以上が平均粒径±100〜150μmの偏差内にあるものが投入精度の点で好ましい。
【0024】
本発明におけるパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を造粒する際、アルカリ剤と混合せずにパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を含有する造粒物とアルカリ剤を含有する造粒物と分けて造粒する、いわゆる分別造粒することが本発明の効果の点で好ましい。さらに分別造粒することにより保存性、反応性も著しく向上するという効果も得られる。この方法は、錠剤状に成形する際にも同様の効果が得られる。また分別造粒する際に、アルカリ剤、保恒剤と分別することが上記効果をさらに発揮する。
【0025】
本発明で用いられるポリアルキレングリコールを添加する形態としては、粉末状、顆粒状、水溶液、フレーク状のいずれでもよく、ポリアルキレングリコールが固体の場合、造粒時に添加することが好ましく、錠剤状に圧縮整形する際には造粒時に添加しても、ポリアルキレングリコールを含有しない造粒物に添加して混合しても両者を併用してもよいが、造粒時に添加することが好ましい。ポリアルキレングリコールが液体の場合には、造粒時に液体として添加することが好ましい。
【0026】
また、造粒時に添加する際、圧縮成形に用いる顆粒を分別造粒する場合は、発色現像主薬を含有する造粒物、アルカリ剤を含有する造粒物、保恒剤を含有する造粒物のどのパートに含有させても、複数のパートに分けて添加してもよいが、造粒後の造粒物の乾燥性の点からアルカリ剤を含有するパートに添加することが特に好ましい。
【0027】
固体処理剤の強度のパラメータとしては、錠剤の場合、例えば錠剤の圧縮破壊強度(錠剤の長形方向に対して圧力を加えた際の破壊強度)として評価でき、モンサント型硬度計、ストーク型硬度計、スピードチェッカー(岡田精工(株)製)等を用いて測定することができる。顆粒の場合は、グラノ(岡田精工(株)製)等市販されている機器等を用いて測定する値で評価することが可能である。
【0028】
本発明でいう予め分割秤量とは、顆粒状の場合、固体処理剤を供給する際の1包当たりのことを意味し、錠剤状の場合は、1錠当たりを意味する。
【0029】
本発明に用いられるパラフェニレンジアミン系発色現像主薬としては、アミノ基またはベンゼン環上に親水性基を少なくとも1つ有するものが、感光材料の汚染がなく、かつ皮膚に対する刺激が少ない長所を有し、好ましく用いられる。
【0030】
具体的な親水性基としては、
−(CH2)n−CH2OH
−(CH2)−NHSO2−(CH2)n−CH3
−(CH2)m−O−(CH2)n−CH3
−(CH2CH2O)nCmH2m+1
−(CH2)m−CON(CmH2m+1)2
(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表わす。)
−COOH
−SO3H
等が好ましいものとして挙げられる。
【0031】
本発明に好ましく用いられる発色現像剤の具体的例示化合物として、以下のものがあげられる。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
このうち好ましいものは(D−1),(D−3),(D−17),(D−18)であり、より好ましくは(D−1),(D−3)である。尚、これらの化合物は含水塩であっても無水塩であってもよい。
【0037】
これらの化合物の発色現像用錠剤中の含有率としては5〜20重量%である。好ましくは本発明の効果の点から5〜15重量%である。
【0038】
また発色現像用固体錠剤中に経時保存性の観点から糖類を含有させることが好ましい。本発明でいう糖類とは、単糖類とこれが複数個互いにグリコシド結合した多糖類とをいう。
【0039】
単糖類とは、単一のポリヒドロキシアルデヒド、ポリヒドロキシケトン及びこれらの還元誘導体、酸化誘導体、デオキシ誘導体、アミノ誘導体、チオ誘導体など広い範囲の誘導体の総称である。多くの糖は、一般式 CnH2nOnで表されるが、この一般式で表される糖骨格から誘導される化合物も含めて、本発明では単糖類と定義する。これらの単糖類のうちで好ましいものは、糖のアルデヒド基及びケトン基を還元して各々第一、第二アルコール基とした糖アルコールであり、特に好ましくは、炭素数が6のヘキシットである。
【0040】
多糖類には、セルロース類、デンプン類、グリコーゲン類などが含まれ、セルロース類には、水酸基の一部又は全部がエーテル化されたセルロースエーテル等の誘導体を含み、デンプン類には加水分解して麦芽糖に至るまでの種々の分解生成物であるデキストリン類等を含む。セルロース類は溶解性の観点からアルカリ金属塩の形でもかまわない。これら多糖類で好ましく用いられるものは、セルロース類とデキストリン類であり、より好ましくはデキストリン類である。
【0041】
本発明の単糖類の具体的例示化合物を次に示す。
【0042】
〔例示化合物〕
B−(1) グリセリン
B−(2) D-トレイット
B−(3) L-トレイット
B−(4) meso-エリトレット
B−(5) D-アラビット
B−(6) L-アラビット
B−(7) アドニット
B−(8) キシリット
B−(9) D-ソルビット
B−(10) L-ソルビット
B−(11) D-マンニット
B−(12) L-マンニット
B−(13) D-イジット
B−(14) L-イジット
B−(15) D-タリット
B−(16) L-タリット
B−(17) ズルシット
B−(18) アロズルシット
本発明の多糖類の具体的例示化合物を次に示す。
【0043】
C−(1) α-デキストリン
C−(2) β-デキストリン
C−(3) γ-デキストリン
C−(4) δ-デキストリン
C−(5) ε-デキストリン
C−(6) α-限界デキストリン
C−(7) β-限界デキストリン
C−(8) ホスホリラーゼ限界デキストリン
C−(9) 可溶性デンプン
C−(10) 薄手ノリデンプン
C−(11) 白色デキストリン
C−(12) 黄色デキストリン
C−(13) ブリテッシュガム
C−(14) パインフロー (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(15) パインデックス100 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(16) パインデックス 1 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(17) パインデックス 2 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(18) パインデックス 3 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(19) パインデックス 4 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(20) パインデックス 6 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(21) フードテックス (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(22) マックス 1000(商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(23) グリスターP (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(24) TK−16 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(25) MPD (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(26) H−PDX (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(27) スタコデックス (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(28) マビット (商品名、林原商事株式会社製)
C−(29) プルラン (商品名、林原商事株式会社製)
C−(30) メチルセルロース
C−(31) ジメチルセルロース
C−(32) トリメチルセルロース
C−(33) エチルセルロース
C−(34) ジエチルセルロース
C−(35) トリエチルセルロース
C−(36) カルボキシメチルセルロース
C−(37) カルボキシエチルセルロース
C−(38) アミノエチルセルロース
C−(39) ヒドロキシメチルセルロース
C−(40) ヒドロキシエチルメチルセルロース
C−(41) ヒドロキシプロピルセルロース
C−(42) ヒドロキシプロピルメチルセルロース
C−(43) ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート
C−(44) カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース
これら糖類の添加量は固体発色現像処理剤の単位重量当り5〜15重量%が好ましい。
【0044】
糖類は広く天然に存在しており、市販品を簡単に入手できる。また種々の誘導体についても酸化、還元あるいは脱水反応などを行うことによって容易に合成できる。
【0045】
本発明に於けるポリアルキレングリコールは下記一般式〔A〕で示されるものが好ましく用いられる。
【0046】
【化8】
【0047】
又、本発明のポリアルキレングリコール中のエチレンオキサイドの含有率は溶解性と強度の減少の防止から60重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは70重量%以上である。尚、本発明における平均分子量は、水酸基価により算出したものを言う。
【0048】
以下にポリアルキレングリコールの具体的例示化合物を示す。
【0049】
【化9】
【0050】
本発明の固体処理剤中には固体の保恒剤を共存させることが好ましく、更に、現像主薬を含む造粒物が、現像主薬と保恒剤を混合し、造粒したものであるのが好ましい。保恒剤としては、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等)、重亜硫酸塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等)、メタ重亜硫酸塩(メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)、ヒドロキシルアミン誘導体等が挙げられる。
【0051】
ヒドロキシルアミン誘導体としては下記一般式〔H〕で表される化合物が挙げられる。
【0052】
【化10】
【0053】
式中、R13、R14は、それぞれ置換されていてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、R15CO基又は水素原子を表し、R13、R14は互いに結合して窒素を含むヘテロ環基を形成するものであってもよい。R15は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアミノ基を表す。
【0054】
R13、R14で表される置換されていてもよいアルキル基は炭素原子数1〜3のものが好ましく、同一でも異なっていてもよい。置換基としては、水酸基、スルホ基、ホスホン基、アルコキシ基、カルバモイル基、シアノ基等が挙げられる。
【0055】
次に一般式〔H〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体の好ましい例を示す。
【0056】
なお、化合物H−12〜H−20及びH−27はアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)の形で用いることができる。
【0057】
【化11】
【0058】
これらの化合物は、通常、遊離のアミン、塩酸塩、硫酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、蓚酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の形で用いられ、固体であることが好ましい。
【0059】
中でも特に好ましい化合物は、H−1、H−6、H−17、H−18及びH−25であり、その塩としての具体例を以下に示す。
【0060】
【化12】
【0061】
本発明に係る固体発色現像処理剤には、アルカリ剤を含有させることが好ましく、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、燐酸二ナトリウム、燐酸三カリウム、燐酸二ナトリウム、燐酸二カリウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、四硼酸ナトリウム、四硼酸カリウム、o-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o-ヒドロキシ安息香酸カリウム、5-スルホ-2-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5-スルホサリチル酸ナトリウム)、5-スルホ-2-ヒドロキシ安息香酸カリウム(5-スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができる。
【0062】
本発明の発色現像用固体処理剤には、現像促進剤として、特公昭37-16088号、同37-5987号、同38-7826号、同44-12380号、同45-9019号及び米国特許第3,813,247号等に代表されるチオエーテル系化合物、特公昭44-30074号、特開昭50-137726号、同56-156826号及び同52-43429号等に代表される4級アンモニウム塩類、米国特許2,610,122号及び同4,119,462号記載のp-アミノフェノール類、米国特許2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41-11431号、米国特許2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等に記載のアミン系化合物、その他1-フェニル-3-ピラゾリドン類、ヒドラジン類、メソイオン型化合物、イオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて含有させることができる。
【0063】
本発明において、カブリ防止等の目的で塩素イオン、臭素イオン及び沃素イオンを放出する化合物を発色現像用固体処理剤中に添加できる。
【0064】
また、本発明の発色現像用固体処理剤には特開平4-118649号公報第19頁から第20頁に記載の一般式〔K〕で示されるキレート剤を添加することが好ましい。更に又、発色現像用固体処理剤には、アニオン、カチオン、両性、ノニオンの各界面活性剤を含有させることができる。
【0065】
写真処理剤を固体化するには、濃厚液又は微粉ないし粒子状写真処理剤と水溶性結着剤を混練し成型化するか、仮成型した写真処理剤の表面に水溶性結着剤を噴霧したりすることで被覆層を形成する等、任意の手段が採用できる(特開平4-29136号、同4-85535号、同4-85536号、同4-85533号、同4-85534号、同4-172341号参照)。
【0066】
【実施例】
以下本発明について具体的実施例にて説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。
【0067】
実施例1
カラーペーパー用発色現像固体処理錠剤の作成
操作(A)
ビス(2-スルホエチル)ヒドロキシルアミン2ナトリウム塩40g、p-トルエンスルホン酸ナトリウム170g、チノパールSFP(チバガイギー社製)30g、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム25g、ポリアルキレングリコール(表1,2記載)を表1,2に記載量、これら全てを市販の混合造粒機で水を少量づつ添加し造粒する。水の添加量は25mlとした。その後、乾燥機中で60℃で6時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。以上により造粒物Aを得た。
【0068】
操作(B)
例示化合物D−1,D−17又はD−18 145gとポリアルキレングリコールを表1,2に記載量、これらを市販の混合造粒機で水を少量づつ添加し造粒する。水の添加量は20mlとした。その後、乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Bを得た。
【0069】
操作(C)
p-トルエンスルホン酸ナトリウム135g、亜硫酸ナトリウム3.5g、水酸化カリウム65g、ポリアルキレングリコール(表1,2記載)を表1,2に記載量、炭酸カリウム330g、これらを市販の混合造粒機で水を少量づつ添加し造粒する。水の添加量は33mlとした。その後、乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Cを得た。
【0070】
操作(D)
上記操作(A)〜(C)で造粒した造粒物A,B,Cを表1,2に記載の重量%になるように混合機中で10分間混合する。次に混合物を菊水製作所製タフプレスコレクト1527HUを改造した打錠機により打錠する。一錠当りの充填量は、10.0gとして990kg/cm2の圧縮圧力で成形した。
【0071】
得られた固体処理剤はほぼ直径30mm、厚さ10mmの円筒型であった。
【0072】
各錠剤の成分比率を下記表1,2に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
操作(E)
45℃相対湿度55%に調温、調湿された環境室内で操作Dで作成した錠剤を2錠積み重ねてガラス瓶に密栓をして、前記環境室に1週間保存した。
【0076】
この保存した錠剤の付着性(くっつき状態)を調べた。
【0077】
さらにこの保存後の錠剤を40℃に温調した恒温槽中でマグネティックスターラーで撹拌(150r.p.m.)しながら水500mlに溶解し、溶解性を評価した。
【0078】
さらにこの保存した錠剤の圧縮破壊強度をスピードチェッカー(岡田精工(株)製)により測定し、保存前の圧縮破壊強度を100%として減少率を求めた。
【0079】
評価結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
実施例2
カラーネガ用発色現像固体処理錠剤の作成
操作(F)
炭酸カリウム400g、亜硫酸ナトリウム55g、水酸化ナトリウム15g、ポリアルキレングリコール(表4,5記載)を表4,5記載の量、これらの総てを市販の混合造粒機で水を少量ずつ添加しながら造粒する。水の添加量は最終的に20mlとした。その後乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Fを得た。
【0082】
操作(G)
ヒドロキシルアミン硫酸塩400g、臭化カリウム50g、ジエチレントリアミン5酢酸20g、ポリアルキレングリコール(表4,5記載)を表4,5の量、市販の混合造粒機で水を少量ずつ添加しながら造粒する。水の添加量は最終的に30mlとした。その後乾燥機中で40℃で10時間乾燥し水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Gを得た。
【0083】
操作(H)
例示化合物D−3 150g、ポリアルキレングリコール(表4,5記載)を表4,5記載の量からなる組成物を市販の混合造粒機で水を少量ずつ加えながら造粒する。水の添加量は最終的に20mlとした。その後乾燥機中で40℃で12時間乾燥し水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Hを得た。
【0084】
操作(I)
前記造粒物F,G及びHを表4,5記載の重量%になるように(但し、F,G及びHの重量%の合計が100%とならないものについては、ポリアルキレングリコール(表4、5に記載のもの)を加えて100%として)混合機中で混合した。それぞれの混合物で菊水製作所製タフプレスコレクト1527HUを改造した打錠機により、一錠当りの充填量は10.0gとして990kg/cm2の圧縮圧力で打錠し固体処理剤(錠剤)40〜78を作製した。得られた固体処理剤はほぼ直径30mm,厚さ10mmの円筒形であった。
【0085】
各錠剤の成分比率を下記表4,5に示す。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
操作(J)
操作(I)で作成した錠剤を操作(E)同様に保存して評価した。結果を表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】
実施例3
操作(K)
実施例2の表4中の錠剤53の造粒物Fに例示化合物B−(11)またはC−(14)を表7に示すごとくそれぞれ1錠中に5,10,15%になるように添加し、操作(F)同様にして造粒物F′を作成した。
【0091】
操作(L)
操作(K)で作成した造粒物を1錠中の発色現像主薬、ポリアルキレングリコールそれぞれの含有率が10%になるようにして造粒物F′,G及びIを混合機中で混合した。
【0092】
操作(M)
操作(L)の混合物を操作(I)同様打錠した。
【0093】
作成した錠剤をシャーレに入れ、25℃,相対湿度40%に調温・調湿された環境室に1週間保存し、保存後の錠剤一錠中の発色現像主薬の含有率を測定し、保存前の含有率を100%として残存率を求めた。
【0094】
評価結果を表7に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
実施例4
操作(N)
例示化合物D−1、D−3、D−17又はD−18 150gとポリアルキレングリコールからなる組成物(表8、9に記載)を粉砕機にて粒径100μm以下になるまで粉砕し、市販の撹拌造粒機で水を少量ずつ添加し造粒した。水の添加量は組成物に対して8重量%とした。その後、乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュ及び150メッシュの篩にかけ、150メッシュの篩に残ったものを造粒物Jとした。
【0097】
操作(O)
ビス(2-スルホエチル)ヒドロキシルアミン2ナトリウム塩80g、p-トルエンスルホン酸ナトリウム190g、チノパールSFP(チバガイギー社製)30g、これら全てを粒径100μm以下になるまで粉砕した後、撹拌造粒機で水を少量づつ添加しながら造粒した。水の添加量は12mlとした。その後、乾燥機中で60℃で6時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュ及び150メッシュの篩にかけ、150メッシュの篩に残ったものを造粒物Kとした。
【0098】
操作(P)
ヒドロキシルアミン硫酸塩80g、臭化カリウム10g、1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジホスホン酸ジナトリウム塩1水和物10g、これら全てを粒径100μm以下になるまで粉砕した後、撹拌造粒機で水を5ml添加しながら造粒した。その後乾燥機中で60℃で5時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュ及び150メッシュの篩にかけ、150メッシュの篩に残ったものを造粒物Lとした。
【0099】
操作(Q)
炭酸カリウム330g、p-トルエンスルホン酸ナトリウム150g、亜硫酸ナトリウム5g、水酸化リチウム・1水塩10g及びジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム5gの混合物を用い、水の添加量を20mlとする以外は操作(P)と同様にして造粒物Mを作製した。
【0100】
操作(R)
炭酸カリウム750g、亜硫酸ナトリウム100g、ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム50g及びp-トルエンスルホン酸100gの混合物を用い、水の添加量を40mlとする以外は操作(P)と同様にして造粒物Nを作製した。
【0101】
操作(S)
前記操作により作製された造粒物J、K及びMを表8に記載の重量%になるように混合機中で10分間混合した。これを混合機Oとした。
【0102】
操作(T)
前記操作により作製された造粒物J、L及びNを表9に記載の重量%になるように混合機中で10分間混合した。これを混合機Pとした。
【0103】
実験(A)
混合物O及びPをそれぞれ30gずつ分取し、ガラス瓶に入れて密栓し、45℃55%RHに調温・調湿した環境室内に1週間保存した。保存後の混合物を16メッシュの篩にかけ、篩上に残った顆粒により付着性(ブロッキング性)を評価した。
【0104】
更に、この保存後の混合物を40℃に温調した恒温槽中でマグネティックスターラーで撹拌(150r.p.m.)しながら水1500mlに溶解し、溶解性を評価した。
【0105】
実験(B)
混合物O及びPをそれぞれ30gずつ分取し、これを開放したシャーレに入れ25℃45%RHに調温・調湿した環境室内に1週間保存した。保存後、150メッシュの篩にかけ、微粉の発生をテストすることにより強度の減少の評価をした。
【0106】
評価基準
全く発生なし :◎
ほとんど発生なし :○
顆粒が壊れて微粉が発生する:×
結果を表8及び9に示す。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
以上の結果より、ポリアルキレングリコールの平均分子量は2000〜20000が好ましく、より好ましくは2000〜15000であり、ポリアルキレングリコールはA−(4)〜(8)がより好ましいことが判る。
【0110】
更にポリアルキレングリコールの固体処理剤全体に対する重量%は1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜20重量%であることが判る。
【0111】
パラフェニレンジアミン系発色現像主薬の固体処理剤全体に対する重量%は5〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜15重量%である。
【0112】
【発明の効果】
本発明により、発色現像固体処理剤が劣悪な環境下に長期保存した場合にも、破壊強度や発色現像主薬の減少が少なく、かつ溶解性を損なわず、更に固体処理剤同士の付着やブロッキングが改良される。
【産業上の利用分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像剤に関し、更に詳しくは、経時における破壊強度の減少が著しく抑制され、さらに経時における溶解性の劣化や付着性が改良されたハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料(以下、感材とも称す。)は、露光後、現像、脱銀、洗浄、安定化等の工程により処理される。処理は通常自動現像機(以下、自現機とも称す。)で行われ、その場合は補充液補充方式が一般に広く用いられ、処理槽内の処理液の活性度を一定に保つ様にコントロールされている。補充液補充方式の場合、感材からの溶出物の希釈、蒸発量の補正及び消費成分の補充を目的としており、液体を供給する関係から通常オーバーフロー液が多量に排出されている。
【0003】
一方近年、写真廃液の海洋投棄に関する規制やプラスチック材料の廃棄に対する規制が世界的に強化されてきており、写真廃液をゼロにし、しかも液剤用ポリボトルを使用しない新しいシステムの開発が求められている。又、液体危険物の輸送に関する安全性確保のために包材に対する安全規制が強化されコストの上昇を招いている。更に、最近急増しているミニラボ店においては低コスト化と人手不足から未熟な作業者による作業が多くなり、補充液の溶解或いは希釈準備作業の難しさ故に、誤溶解に起因する事故が相次ぎ、補充システムに対する苦情が多く出される様になってきた。
【0004】
従って当写真業界においては、写真廃液がほとんどなく、ボトルも使用せずしかも溶解作業が全く不要となる固体ケミカルの補充システムの開発が強く求められている。
【0005】
この要望に応える方法として、特開平5-119454号公報にはほとんど全ての処理成分を固体化し、直接処理槽に投入する方法が開示されている。
【0006】
ところで処理剤は、製造後ユーザーの手に渡るまでの間、及び手に渡った後、使用されるまでに様々な雰囲気下で保存される。例えば、東南アジアの一部においては、自現機は、除湿、冷房機能の備わっていない場所に設置される場合がある。使い勝手から、処理剤は自現機の近辺に保存されることが多く、雨季等において、この処理剤保存場所付近の雰囲気が気温30〜45℃で相対湿度70〜80%などと高温多湿になる場合がある。他方、処理剤はシベリアなど寒冷地の冬においては輸送の過程等で−10〜−30℃などの極低温になる場合もあり、保存による該処理剤の劣化が懸念され、保存環境に影響を受けない安定な処理剤が望まれている。更に写真用処理剤は輸送及び市場において使用されるまで長ければ数年滞留することが一般的に知られており、経時における保存性の向上が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らがパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を含有する固体処理剤について種々検討した結果、大気中で長期間保存されると、水分等を吸収して固体処理剤の形状が崩れたり、発色現像主薬となる化合物が分解して減少したり、固体処理剤同士が付着してブロッキングを生じることが分かった。更に保存後の輸送での振動等により割れ欠け、ひび割れ等を生じて、固体処理剤の形状(顆粒や錠剤状)を保てず、自動現像機で使用する際に、投入不良と言った問題等を生じることが判った。これらの対策として非常に硬い固体処理剤とすると、溶解に時間がかかり実用に供し得ず、さらにこれらを自動現像機に使用する際には固着を生じることもあり、処理に支障をきたすことも判明した。
【0008】
破壊強度の減少は、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が存在する固体処理剤は吸湿性や潮解性のあるアルカリ剤等を含有している為、その潮解性により経時において含水率が高くなってしまい、含水率が低いときに保っていた処理剤の結合力が減少していくことによる。更に、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬は結合力が乏しく、低補充、迅速化を行うに際して発色現像主薬の固体処理剤全体に占める成分比率を上昇させた際には、更に悪化してしまう。
【0009】
化合物の分解もこの含水率の上昇による。
【0010】
結合力を補完するために、一般的に医薬用に使用されているポリヒドロキシアルデヒド類、ポリヒドロキシケトン類、セルロース類、デンプン類、グリコーゲン類を用いるのみでは十分な効果は得られなかった。
【0011】
そこで本発明の第1の目的は、劣悪な環境下に保存し、取り扱われた場合にも、固体処理剤の破壊強度及びパラフェニレンジアミン系発色現像主薬の減少が少なく、かつ溶解性を損なわないハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像固体処理剤を提供することである。
【0012】
第2の目的は、長期に保存した場合の固体処理剤の付着やブロッキングを改良したハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像固体処理剤を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
予め分割秤量され、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬を5〜20重量%と平均分子量2000〜20000であるポリアルキレングリコールを1〜30重量%含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤、該固体処理剤が顆粒及び錠剤から選ばれる形態であること、ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであること、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が、一般式〔I〕(化1),〔II〕(化2)または〔III〕(化3)で表される化合物であること、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が、4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-〔β-(メタンスルホンアミド)エチル〕アニリン硫酸塩又は4-アミノ-3-メチル-N-エチル-β-(ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩であること、少なくともパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を含有する造粒物とアルカリ剤を含有する造粒物とを予め別個に形成し、それぞれを混合して形成した顆粒、又はそれぞれを混合した後打錠して形成した錠剤であること、
によって達成される。
【0014】
即ち本発明者らは、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬の成分比率を特定の範囲とし、さらに特定の平均分子量のポリアルキレングリコールを特定の範囲の成分比率で含有させることにより、上記問題を解決できることを見出して、本発明に至ったものである。
【0015】
ポリエチレングリコールを含有している固体処理剤を記載するものとして、特開昭51-61837号,特開平4-254853号が知られているが、これらには本発明の構成を示唆するものは何もない。
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
本発明の固体処理剤は、粉末状、顆粒状、錠剤状のいずれでもよいが、固体処理剤を溶解槽または直接処理層に添加する際の投入精度の点で、顆粒状あるいは錠剤状であることが好ましく、さらに好ましくは錠剤状である。ここでいう顆粒とは、粉末を造粒して得た粒径が50〜5000μmの粒状物のことを言い、錠剤とは、粉末または顆粒を一定の形状に圧縮成形したものを言う。
【0018】
好ましい錠剤の製造方法としては、粉末処理剤を造粒した後打錠工程を行い圧縮成型する方法である。単に粉末処理剤を混合して打錠工程により形成された錠剤に比べ溶解性や保存性が改良され結果として写真処理性能も安定になるという利点がある。
【0019】
写真処理剤を固体化する方法は、特開平4-29136号、同4-85535号、同4-85536号、同4-85533号、同4-85534号、同4-172341号、同2-109042号、同2-109043号、同3-39735号、同3-39739号、特開昭51-61837号、同54-155038号、同52-88025号、英国特許第1,213,808号等の各公報に記載の方法、すなわち、顆粒を作製するための造粒方法としては、例えば転動造粒、押し出し造粒、圧縮造粒、撹拌造粒、流動層造粒、転動流動層造粒等、錠剤を作製する圧縮成形には、例えば油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、ブリケッティングマシンを用いることができる。
【0020】
圧縮成形した固体処理剤は、任意の形状を取ることが可能であるが、生産性、取扱い性の観点からまたはユーザーサイドで使用する場合の粉塵の問題から円筒型、いわゆる錠剤が好ましい。
【0021】
また造粒は乾式造粒または湿式造粒と任意の方法で作成可能であるが造粒物の顆粒強度の点で湿式造粒が好ましい。湿式造粒は原料粉体に溶媒を添加して造粒を行うが、このとき好ましく用いられる溶媒としてはアルコール、アセトン、アセトニトリル、水などの極性溶媒であり、これらの混合溶媒でもよい。さらに好ましくは防爆性の観点から水を用いることである。
【0022】
本発明の固体処理剤が顆粒の場合は顆粒の粒子の60重量%以上が平均粒径±100〜150μmの偏差内に入ることが、投入精度の上から好ましい。
【0023】
本発明の固体処理剤が錠剤の場合は、圧縮成形に用いる造粒物の平均粒径は、造粒物を混合し、圧縮成形する際、成分の不均一化、いわゆる偏析を起こりにくくするという点で100〜800μmのものを用いることが好ましく、より好ましくは200〜700μmである。さらに造粒物粒子の粒度分布は、60重量%以上が平均粒径±100〜150μmの偏差内にあるものが投入精度の点で好ましい。
【0024】
本発明におけるパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を造粒する際、アルカリ剤と混合せずにパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を含有する造粒物とアルカリ剤を含有する造粒物と分けて造粒する、いわゆる分別造粒することが本発明の効果の点で好ましい。さらに分別造粒することにより保存性、反応性も著しく向上するという効果も得られる。この方法は、錠剤状に成形する際にも同様の効果が得られる。また分別造粒する際に、アルカリ剤、保恒剤と分別することが上記効果をさらに発揮する。
【0025】
本発明で用いられるポリアルキレングリコールを添加する形態としては、粉末状、顆粒状、水溶液、フレーク状のいずれでもよく、ポリアルキレングリコールが固体の場合、造粒時に添加することが好ましく、錠剤状に圧縮整形する際には造粒時に添加しても、ポリアルキレングリコールを含有しない造粒物に添加して混合しても両者を併用してもよいが、造粒時に添加することが好ましい。ポリアルキレングリコールが液体の場合には、造粒時に液体として添加することが好ましい。
【0026】
また、造粒時に添加する際、圧縮成形に用いる顆粒を分別造粒する場合は、発色現像主薬を含有する造粒物、アルカリ剤を含有する造粒物、保恒剤を含有する造粒物のどのパートに含有させても、複数のパートに分けて添加してもよいが、造粒後の造粒物の乾燥性の点からアルカリ剤を含有するパートに添加することが特に好ましい。
【0027】
固体処理剤の強度のパラメータとしては、錠剤の場合、例えば錠剤の圧縮破壊強度(錠剤の長形方向に対して圧力を加えた際の破壊強度)として評価でき、モンサント型硬度計、ストーク型硬度計、スピードチェッカー(岡田精工(株)製)等を用いて測定することができる。顆粒の場合は、グラノ(岡田精工(株)製)等市販されている機器等を用いて測定する値で評価することが可能である。
【0028】
本発明でいう予め分割秤量とは、顆粒状の場合、固体処理剤を供給する際の1包当たりのことを意味し、錠剤状の場合は、1錠当たりを意味する。
【0029】
本発明に用いられるパラフェニレンジアミン系発色現像主薬としては、アミノ基またはベンゼン環上に親水性基を少なくとも1つ有するものが、感光材料の汚染がなく、かつ皮膚に対する刺激が少ない長所を有し、好ましく用いられる。
【0030】
具体的な親水性基としては、
−(CH2)n−CH2OH
−(CH2)−NHSO2−(CH2)n−CH3
−(CH2)m−O−(CH2)n−CH3
−(CH2CH2O)nCmH2m+1
−(CH2)m−CON(CmH2m+1)2
(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表わす。)
−COOH
−SO3H
等が好ましいものとして挙げられる。
【0031】
本発明に好ましく用いられる発色現像剤の具体的例示化合物として、以下のものがあげられる。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
このうち好ましいものは(D−1),(D−3),(D−17),(D−18)であり、より好ましくは(D−1),(D−3)である。尚、これらの化合物は含水塩であっても無水塩であってもよい。
【0037】
これらの化合物の発色現像用錠剤中の含有率としては5〜20重量%である。好ましくは本発明の効果の点から5〜15重量%である。
【0038】
また発色現像用固体錠剤中に経時保存性の観点から糖類を含有させることが好ましい。本発明でいう糖類とは、単糖類とこれが複数個互いにグリコシド結合した多糖類とをいう。
【0039】
単糖類とは、単一のポリヒドロキシアルデヒド、ポリヒドロキシケトン及びこれらの還元誘導体、酸化誘導体、デオキシ誘導体、アミノ誘導体、チオ誘導体など広い範囲の誘導体の総称である。多くの糖は、一般式 CnH2nOnで表されるが、この一般式で表される糖骨格から誘導される化合物も含めて、本発明では単糖類と定義する。これらの単糖類のうちで好ましいものは、糖のアルデヒド基及びケトン基を還元して各々第一、第二アルコール基とした糖アルコールであり、特に好ましくは、炭素数が6のヘキシットである。
【0040】
多糖類には、セルロース類、デンプン類、グリコーゲン類などが含まれ、セルロース類には、水酸基の一部又は全部がエーテル化されたセルロースエーテル等の誘導体を含み、デンプン類には加水分解して麦芽糖に至るまでの種々の分解生成物であるデキストリン類等を含む。セルロース類は溶解性の観点からアルカリ金属塩の形でもかまわない。これら多糖類で好ましく用いられるものは、セルロース類とデキストリン類であり、より好ましくはデキストリン類である。
【0041】
本発明の単糖類の具体的例示化合物を次に示す。
【0042】
〔例示化合物〕
B−(1) グリセリン
B−(2) D-トレイット
B−(3) L-トレイット
B−(4) meso-エリトレット
B−(5) D-アラビット
B−(6) L-アラビット
B−(7) アドニット
B−(8) キシリット
B−(9) D-ソルビット
B−(10) L-ソルビット
B−(11) D-マンニット
B−(12) L-マンニット
B−(13) D-イジット
B−(14) L-イジット
B−(15) D-タリット
B−(16) L-タリット
B−(17) ズルシット
B−(18) アロズルシット
本発明の多糖類の具体的例示化合物を次に示す。
【0043】
C−(1) α-デキストリン
C−(2) β-デキストリン
C−(3) γ-デキストリン
C−(4) δ-デキストリン
C−(5) ε-デキストリン
C−(6) α-限界デキストリン
C−(7) β-限界デキストリン
C−(8) ホスホリラーゼ限界デキストリン
C−(9) 可溶性デンプン
C−(10) 薄手ノリデンプン
C−(11) 白色デキストリン
C−(12) 黄色デキストリン
C−(13) ブリテッシュガム
C−(14) パインフロー (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(15) パインデックス100 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(16) パインデックス 1 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(17) パインデックス 2 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(18) パインデックス 3 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(19) パインデックス 4 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(20) パインデックス 6 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(21) フードテックス (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(22) マックス 1000(商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(23) グリスターP (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(24) TK−16 (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(25) MPD (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(26) H−PDX (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(27) スタコデックス (商品名、松谷化学工業株式会社製)
C−(28) マビット (商品名、林原商事株式会社製)
C−(29) プルラン (商品名、林原商事株式会社製)
C−(30) メチルセルロース
C−(31) ジメチルセルロース
C−(32) トリメチルセルロース
C−(33) エチルセルロース
C−(34) ジエチルセルロース
C−(35) トリエチルセルロース
C−(36) カルボキシメチルセルロース
C−(37) カルボキシエチルセルロース
C−(38) アミノエチルセルロース
C−(39) ヒドロキシメチルセルロース
C−(40) ヒドロキシエチルメチルセルロース
C−(41) ヒドロキシプロピルセルロース
C−(42) ヒドロキシプロピルメチルセルロース
C−(43) ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート
C−(44) カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース
これら糖類の添加量は固体発色現像処理剤の単位重量当り5〜15重量%が好ましい。
【0044】
糖類は広く天然に存在しており、市販品を簡単に入手できる。また種々の誘導体についても酸化、還元あるいは脱水反応などを行うことによって容易に合成できる。
【0045】
本発明に於けるポリアルキレングリコールは下記一般式〔A〕で示されるものが好ましく用いられる。
【0046】
【化8】
【0047】
又、本発明のポリアルキレングリコール中のエチレンオキサイドの含有率は溶解性と強度の減少の防止から60重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは70重量%以上である。尚、本発明における平均分子量は、水酸基価により算出したものを言う。
【0048】
以下にポリアルキレングリコールの具体的例示化合物を示す。
【0049】
【化9】
【0050】
本発明の固体処理剤中には固体の保恒剤を共存させることが好ましく、更に、現像主薬を含む造粒物が、現像主薬と保恒剤を混合し、造粒したものであるのが好ましい。保恒剤としては、亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等)、重亜硫酸塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等)、メタ重亜硫酸塩(メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)、ヒドロキシルアミン誘導体等が挙げられる。
【0051】
ヒドロキシルアミン誘導体としては下記一般式〔H〕で表される化合物が挙げられる。
【0052】
【化10】
【0053】
式中、R13、R14は、それぞれ置換されていてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、R15CO基又は水素原子を表し、R13、R14は互いに結合して窒素を含むヘテロ環基を形成するものであってもよい。R15は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアミノ基を表す。
【0054】
R13、R14で表される置換されていてもよいアルキル基は炭素原子数1〜3のものが好ましく、同一でも異なっていてもよい。置換基としては、水酸基、スルホ基、ホスホン基、アルコキシ基、カルバモイル基、シアノ基等が挙げられる。
【0055】
次に一般式〔H〕で表されるヒドロキシルアミン誘導体の好ましい例を示す。
【0056】
なお、化合物H−12〜H−20及びH−27はアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)の形で用いることができる。
【0057】
【化11】
【0058】
これらの化合物は、通常、遊離のアミン、塩酸塩、硫酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、蓚酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の形で用いられ、固体であることが好ましい。
【0059】
中でも特に好ましい化合物は、H−1、H−6、H−17、H−18及びH−25であり、その塩としての具体例を以下に示す。
【0060】
【化12】
【0061】
本発明に係る固体発色現像処理剤には、アルカリ剤を含有させることが好ましく、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、燐酸二ナトリウム、燐酸三カリウム、燐酸二ナトリウム、燐酸二カリウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、四硼酸ナトリウム、四硼酸カリウム、o-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o-ヒドロキシ安息香酸カリウム、5-スルホ-2-ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5-スルホサリチル酸ナトリウム)、5-スルホ-2-ヒドロキシ安息香酸カリウム(5-スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができる。
【0062】
本発明の発色現像用固体処理剤には、現像促進剤として、特公昭37-16088号、同37-5987号、同38-7826号、同44-12380号、同45-9019号及び米国特許第3,813,247号等に代表されるチオエーテル系化合物、特公昭44-30074号、特開昭50-137726号、同56-156826号及び同52-43429号等に代表される4級アンモニウム塩類、米国特許2,610,122号及び同4,119,462号記載のp-アミノフェノール類、米国特許2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41-11431号、米国特許2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等に記載のアミン系化合物、その他1-フェニル-3-ピラゾリドン類、ヒドラジン類、メソイオン型化合物、イオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて含有させることができる。
【0063】
本発明において、カブリ防止等の目的で塩素イオン、臭素イオン及び沃素イオンを放出する化合物を発色現像用固体処理剤中に添加できる。
【0064】
また、本発明の発色現像用固体処理剤には特開平4-118649号公報第19頁から第20頁に記載の一般式〔K〕で示されるキレート剤を添加することが好ましい。更に又、発色現像用固体処理剤には、アニオン、カチオン、両性、ノニオンの各界面活性剤を含有させることができる。
【0065】
写真処理剤を固体化するには、濃厚液又は微粉ないし粒子状写真処理剤と水溶性結着剤を混練し成型化するか、仮成型した写真処理剤の表面に水溶性結着剤を噴霧したりすることで被覆層を形成する等、任意の手段が採用できる(特開平4-29136号、同4-85535号、同4-85536号、同4-85533号、同4-85534号、同4-172341号参照)。
【0066】
【実施例】
以下本発明について具体的実施例にて説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されない。
【0067】
実施例1
カラーペーパー用発色現像固体処理錠剤の作成
操作(A)
ビス(2-スルホエチル)ヒドロキシルアミン2ナトリウム塩40g、p-トルエンスルホン酸ナトリウム170g、チノパールSFP(チバガイギー社製)30g、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム25g、ポリアルキレングリコール(表1,2記載)を表1,2に記載量、これら全てを市販の混合造粒機で水を少量づつ添加し造粒する。水の添加量は25mlとした。その後、乾燥機中で60℃で6時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。以上により造粒物Aを得た。
【0068】
操作(B)
例示化合物D−1,D−17又はD−18 145gとポリアルキレングリコールを表1,2に記載量、これらを市販の混合造粒機で水を少量づつ添加し造粒する。水の添加量は20mlとした。その後、乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Bを得た。
【0069】
操作(C)
p-トルエンスルホン酸ナトリウム135g、亜硫酸ナトリウム3.5g、水酸化カリウム65g、ポリアルキレングリコール(表1,2記載)を表1,2に記載量、炭酸カリウム330g、これらを市販の混合造粒機で水を少量づつ添加し造粒する。水の添加量は33mlとした。その後、乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Cを得た。
【0070】
操作(D)
上記操作(A)〜(C)で造粒した造粒物A,B,Cを表1,2に記載の重量%になるように混合機中で10分間混合する。次に混合物を菊水製作所製タフプレスコレクト1527HUを改造した打錠機により打錠する。一錠当りの充填量は、10.0gとして990kg/cm2の圧縮圧力で成形した。
【0071】
得られた固体処理剤はほぼ直径30mm、厚さ10mmの円筒型であった。
【0072】
各錠剤の成分比率を下記表1,2に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
操作(E)
45℃相対湿度55%に調温、調湿された環境室内で操作Dで作成した錠剤を2錠積み重ねてガラス瓶に密栓をして、前記環境室に1週間保存した。
【0076】
この保存した錠剤の付着性(くっつき状態)を調べた。
【0077】
さらにこの保存後の錠剤を40℃に温調した恒温槽中でマグネティックスターラーで撹拌(150r.p.m.)しながら水500mlに溶解し、溶解性を評価した。
【0078】
さらにこの保存した錠剤の圧縮破壊強度をスピードチェッカー(岡田精工(株)製)により測定し、保存前の圧縮破壊強度を100%として減少率を求めた。
【0079】
評価結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
実施例2
カラーネガ用発色現像固体処理錠剤の作成
操作(F)
炭酸カリウム400g、亜硫酸ナトリウム55g、水酸化ナトリウム15g、ポリアルキレングリコール(表4,5記載)を表4,5記載の量、これらの総てを市販の混合造粒機で水を少量ずつ添加しながら造粒する。水の添加量は最終的に20mlとした。その後乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Fを得た。
【0082】
操作(G)
ヒドロキシルアミン硫酸塩400g、臭化カリウム50g、ジエチレントリアミン5酢酸20g、ポリアルキレングリコール(表4,5記載)を表4,5の量、市販の混合造粒機で水を少量ずつ添加しながら造粒する。水の添加量は最終的に30mlとした。その後乾燥機中で40℃で10時間乾燥し水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Gを得た。
【0083】
操作(H)
例示化合物D−3 150g、ポリアルキレングリコール(表4,5記載)を表4,5記載の量からなる組成物を市販の混合造粒機で水を少量ずつ加えながら造粒する。水の添加量は最終的に20mlとした。その後乾燥機中で40℃で12時間乾燥し水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュのふるいにかけた。これにより造粒物Hを得た。
【0084】
操作(I)
前記造粒物F,G及びHを表4,5記載の重量%になるように(但し、F,G及びHの重量%の合計が100%とならないものについては、ポリアルキレングリコール(表4、5に記載のもの)を加えて100%として)混合機中で混合した。それぞれの混合物で菊水製作所製タフプレスコレクト1527HUを改造した打錠機により、一錠当りの充填量は10.0gとして990kg/cm2の圧縮圧力で打錠し固体処理剤(錠剤)40〜78を作製した。得られた固体処理剤はほぼ直径30mm,厚さ10mmの円筒形であった。
【0085】
各錠剤の成分比率を下記表4,5に示す。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
操作(J)
操作(I)で作成した錠剤を操作(E)同様に保存して評価した。結果を表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】
実施例3
操作(K)
実施例2の表4中の錠剤53の造粒物Fに例示化合物B−(11)またはC−(14)を表7に示すごとくそれぞれ1錠中に5,10,15%になるように添加し、操作(F)同様にして造粒物F′を作成した。
【0091】
操作(L)
操作(K)で作成した造粒物を1錠中の発色現像主薬、ポリアルキレングリコールそれぞれの含有率が10%になるようにして造粒物F′,G及びIを混合機中で混合した。
【0092】
操作(M)
操作(L)の混合物を操作(I)同様打錠した。
【0093】
作成した錠剤をシャーレに入れ、25℃,相対湿度40%に調温・調湿された環境室に1週間保存し、保存後の錠剤一錠中の発色現像主薬の含有率を測定し、保存前の含有率を100%として残存率を求めた。
【0094】
評価結果を表7に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
実施例4
操作(N)
例示化合物D−1、D−3、D−17又はD−18 150gとポリアルキレングリコールからなる組成物(表8、9に記載)を粉砕機にて粒径100μm以下になるまで粉砕し、市販の撹拌造粒機で水を少量ずつ添加し造粒した。水の添加量は組成物に対して8重量%とした。その後、乾燥機中で40℃で12時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュ及び150メッシュの篩にかけ、150メッシュの篩に残ったものを造粒物Jとした。
【0097】
操作(O)
ビス(2-スルホエチル)ヒドロキシルアミン2ナトリウム塩80g、p-トルエンスルホン酸ナトリウム190g、チノパールSFP(チバガイギー社製)30g、これら全てを粒径100μm以下になるまで粉砕した後、撹拌造粒機で水を少量づつ添加しながら造粒した。水の添加量は12mlとした。その後、乾燥機中で60℃で6時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュ及び150メッシュの篩にかけ、150メッシュの篩に残ったものを造粒物Kとした。
【0098】
操作(P)
ヒドロキシルアミン硫酸塩80g、臭化カリウム10g、1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジホスホン酸ジナトリウム塩1水和物10g、これら全てを粒径100μm以下になるまで粉砕した後、撹拌造粒機で水を5ml添加しながら造粒した。その後乾燥機中で60℃で5時間乾燥し、水分含有率を1%以下とした。最後にこれを16メッシュ及び150メッシュの篩にかけ、150メッシュの篩に残ったものを造粒物Lとした。
【0099】
操作(Q)
炭酸カリウム330g、p-トルエンスルホン酸ナトリウム150g、亜硫酸ナトリウム5g、水酸化リチウム・1水塩10g及びジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム5gの混合物を用い、水の添加量を20mlとする以外は操作(P)と同様にして造粒物Mを作製した。
【0100】
操作(R)
炭酸カリウム750g、亜硫酸ナトリウム100g、ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム50g及びp-トルエンスルホン酸100gの混合物を用い、水の添加量を40mlとする以外は操作(P)と同様にして造粒物Nを作製した。
【0101】
操作(S)
前記操作により作製された造粒物J、K及びMを表8に記載の重量%になるように混合機中で10分間混合した。これを混合機Oとした。
【0102】
操作(T)
前記操作により作製された造粒物J、L及びNを表9に記載の重量%になるように混合機中で10分間混合した。これを混合機Pとした。
【0103】
実験(A)
混合物O及びPをそれぞれ30gずつ分取し、ガラス瓶に入れて密栓し、45℃55%RHに調温・調湿した環境室内に1週間保存した。保存後の混合物を16メッシュの篩にかけ、篩上に残った顆粒により付着性(ブロッキング性)を評価した。
【0104】
更に、この保存後の混合物を40℃に温調した恒温槽中でマグネティックスターラーで撹拌(150r.p.m.)しながら水1500mlに溶解し、溶解性を評価した。
【0105】
実験(B)
混合物O及びPをそれぞれ30gずつ分取し、これを開放したシャーレに入れ25℃45%RHに調温・調湿した環境室内に1週間保存した。保存後、150メッシュの篩にかけ、微粉の発生をテストすることにより強度の減少の評価をした。
【0106】
評価基準
全く発生なし :◎
ほとんど発生なし :○
顆粒が壊れて微粉が発生する:×
結果を表8及び9に示す。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
以上の結果より、ポリアルキレングリコールの平均分子量は2000〜20000が好ましく、より好ましくは2000〜15000であり、ポリアルキレングリコールはA−(4)〜(8)がより好ましいことが判る。
【0110】
更にポリアルキレングリコールの固体処理剤全体に対する重量%は1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜20重量%であることが判る。
【0111】
パラフェニレンジアミン系発色現像主薬の固体処理剤全体に対する重量%は5〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜15重量%である。
【0112】
【発明の効果】
本発明により、発色現像固体処理剤が劣悪な環境下に長期保存した場合にも、破壊強度や発色現像主薬の減少が少なく、かつ溶解性を損なわず、更に固体処理剤同士の付着やブロッキングが改良される。
Claims (6)
- 予め分割秤量され、パラフェニレンジアミン系発色現像主薬を5〜20重量%と平均分子量2000〜20000であるポリアルキレングリコールを1〜30重量%含有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤。
- 前記固体処理剤が顆粒及び錠剤から選ばれる形態であることを特徴とする請求項1のハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤。
- 前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項1又は2のハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤。
- 前記パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が、下記一般式〔I〕,〔II〕または〔III〕で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤。
- 前記パラフェニレンジアミン系発色現像主薬が、4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-〔β-(メタンスルホンアミド)エチル〕アニリン硫酸塩又は4-アミノ-3-メチル-N-エチル-β-(ヒドロキシエチル)アニリン硫酸塩であることを特徴とする請求項1乃至4のハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤。
- 少なくともパラフェニレンジアミン系発色現像主薬を含有する造粒物とアルカリ剤を含有する造粒物とを予め別個に形成し、それぞれを混合して形成した顆粒、又はそれぞれを混合した後打錠して形成した錠剤であることを特徴とする請求項2乃至5のハロゲン化銀カラー写真感光材料発色現像用固体処理剤。
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