JP3696013B2 - マルチキャリア変調用ダイバーシチ受信方式及びマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信装置 - Google Patents

マルチキャリア変調用ダイバーシチ受信方式及びマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多数の搬送波(キャリア)を用いるマルチキャリア変調用受信方式及びマルチキャリア変調用受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばシングルキャリア変調の受信方式に検波後ダイバーシチ受信を適用した受信回路として特開平9−247066、特開平10−229360、特開平10−256966などが知られている。これらは受信波を検波したのち、各々のアンテナでの先行波と遅延波の合成信号の位相を揃え、振幅に比例した重み付けを行うことで最大比合成を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば直交周波数分割多重方式(OFDM)のようなマルチキャリア変調方式の受信装置に上述の検波後ダイバーシチ受信を適用しようとすれば、各キャリアごとに位相のずれが異なるため、最適なダイバーシチ受信を行うためにはアンテナ毎に直交変換回路(高速フーリエ変換器など)が必要で且つ各キャリア毎にダイバーシチ回路を1つずつ組み込む必要があり、回路規模が膨大となるという問題があった。
【0004】
よって本発明の目的は、マルチキャリア変調用受信方式或いはマルチキャリア変調用受信装置に適用できるダイバーシチ受信方式を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の手段によれば、マルチキャリア変調を用いた通信におけるダイバーシチ受信方式において、第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナの、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々と複素合成信号とから第1、第2、…、第nの複素相互相関信号をとる手段と、第1、第2、…、第nの複素相互相関信号を重みとして第1、第2、…、第nの複素受信信号から複素合成信号を加重合成する手段とを有し、加重合成された複素合成信号を複素相互相関信号をとる手段に逐次フィードバックすることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の手段によれば、マルチキャリア変調を用いた通信におけるダイバーシチ受信方式において、第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナの、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々と複素合成信号とから、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々の遅延量を走査しつつ第1、第2、…、第nのスライディング相関信号をとる手段と、第1、第2、…、第nのスライディング相関信号をとる手段の出力の第1、第2、…、第nの最適遅延量に応じて第1、第2、…、第nの複素受信信号を各々遅延する第1、第2、…、第nの遅延手段と、第1、第2、…、第nのスライディング相関信号を重みとして第1、第2、…、第nの遅延された複素受信信号から複素合成信号を加重合成する手段とを有し、加重合成された複素合成信号をスライディング相関信号をとる手段に逐次フィードバックすることを特徴とする。
【0008】
請求項3又は請求項4に記載の手段は、それぞれ請求項1又は請求項2に記載のマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信方式を適用したマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信装置としたものである。
【0009】
【作用及び発明の効果】
マルチキャリア変調信号の受信において、最大比合成によるダイバーシチ受信を行う際、合成信号をフィードバックして、各アンテナの受信信号の合成のためのパラメータを算出する。ここで言うパラメータとは、例えば振幅(増幅率)、位相、更には実時間上での遅延時間などである。このパラメータにより、受信信号の所望波が強めあった合成信号を得ることができる。こうして合成信号が逐次フィードバックされることにより、所望波の合成信号を強くすることができる。
【0010】
受信信号を複素信号として扱い、相関信号を位相情報の乗った複素相互相関信号とすれば、所望波の位相を揃えることができる。また、遅延量を走査しつつスライディング相関信号を取ることで、各アンテナでの所望波の遅延時間差をも揃えた、より強い合成信号を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
〔第1実施例〕
図1は、本発明に係るマルチキャリア変調用受信装置のダイバーシチ受信回路100を示したブロック図である。n本のアンテナRX−1、RX−2、…、RX−nで受信された信号R1、R2、…、Rnが、各々パラメータ演算回路10−1、10−2、…、10−nと合成回路11に出力される。パラメータ演算回路10−1、10−2、…、10−nでは、パラメータの組(ベクトル)w1、w2、…、wnを合成回路11に出力する。ここでパラメータとは、所望波を強くするための振幅(増幅率)と位相の組(複素数)、実時間上での遅延時間などから選ばれる。合成回路11は信号R1、R2、…、Rnとパラメータの組(ベクトル)から例えば複素演算により合成信号Sを出力する。合成信号Sは検波部1000に提供されるとともにパラメータ演算回路10−1、10−2、…、10−nにもフィードバックされる。これにより所望波が次第に強まるようフィードバック制御することが可能となる。
【0012】
パラメータ演算回路でパラメータを決定する際、例えばトレーニング信号(既知の参照信号)を含むマルチキャリア信号の場合は、信号部分の誤差を小さくするように決定される。また、ガードインターバルを含むマルチキャリア信号の場合はガードインターバルとその複写もとであるシンボル後端部との波形比較により誤差を小さくするように決定される。また、合成信号と受信信号の相関をとることで、相関値に比例した複素振幅(増幅率と位相)として決定することもできる。
【0013】
〔第2実施例〕
本発明のダイバーシチ受信としては、合成回路をn個の乗算器と1個の加算器の組み合わせとし、乗算器を複素乗算器とし、パラメータ演算回路を複素相互相関演算により複素重みを計算するものとしても良い。これを図2にダイバーシチ回路200として示す。
【0014】
図2のダイバーシチ回路200は、n本のアンテナRX−1、RX−2、…、RX−nで受信された信号R1、R2、…、Rnが、各々複素相互相関演算部20−1、20−2、…、20−nと複素乗算器21−1、21−2、…、21−nとに出力される。各々複素相互相関演算部20−1、20−2、…、20−nでは複素重みw1'、w2'、…、wn'を算出し、複素乗算器21−1、21−2、…、21−nに出力する。複素乗算器21−1、21−2、…、21−nは信号R1、R2、…、Rnを複素信号として扱い、複素重みw1'、w2'、…、wn'とから信号w1'R1、w2'R2、…、wn'Rnを複素加算器22に出力する。複素加算器22は信号w1'R1、w2'R2、…、wn'Rnの和S=w1'R1+w2'R2+…+wn'Rnを検波部2000と複素相互相関演算部20−1、20−2、…、20−nとに出力する。
【0015】
今、右肩の*で複素共役を示すとすれば、複素重みwi'は、次の式で示されるものである。
i'=∫Ri*dt …(1)
【0016】
複素相互相関演算部20−i(1≦i≦n)においては、次の方式で信号Riと和Sから複素重みwi'を計算する。アンテナRX−iで受信された信号Riを、先行波Diと遅延波Uiの和であるとする。また、フィードバックされた和Sを、先行波の和による部分と遅延波の和による部分とに分け、D0+U0と置く。受信された信号Ri=Di+Uiと、和S=D0+U0の相関信号を取れば次の通りである。尚、積分区間は任意であるので示さないが積分は定積分を示す。
∫Ri*dt=∫(Di0 *+Ui0 *)dt+∫(Di0 *+Ui0 *)dt …(2)
【0017】
式(2)で、右辺の第2の積分は相関が小さいので、確率論的に極めて小さい値を取ると考えて良い。すると、和S=D0+U0の、D0が大きい場合は式(2)は、
∫Ri*dt≒∫Di0 *dt …(3−1)
また、和S=D0+U0の、U0が大きい場合は式(2)は、
∫Ri*dt≒∫Ui0 *dt …(3−2)
となることがわかる。このような相関信号∫Ri*dtに比例するように複素重みwi'を決定することで、図2のようなダイバーシチ回路200は、n本のアンテナRX−1、RX−2、…、RX−nで受信された信号の、先行波が全体として強い場合は先行波が大きく、遅延波が全体として強い場合は遅延波が強くなるよう、フィードバックによりダイバーシチ合成されることとなる。複素重みwi'を用いることにより、位相情報も相関を取ることとなり、相関度のより高い信号が複素空間でより大きな重みを以て複素加重合成される。
【0018】
図3は本発明の効果を示すため、シミュレーションを行った結果である。横軸DURは先行波と遅延波の比を示し、右側ほど先行波の割合が高い。図3では、比較例として、フィードバックの無い、入力信号から位相を回転させ、各入力信号電力を元に重み付けすることによりダイバーシチ合成を行うものを示している。図3によれば、本発明は、比較例、ダイバーシチ無しに比較して、ビット誤り率(BER)が著しく改善されていることがわかる。
【0019】
〔第3実施例〕
図4は、本発明の第3の実施例を示す発明に係るマルチキャリア受信装置のダイバーシチ回路300を示したブロック図である。n本のアンテナRX−1、RX−2、…、RX−nで受信された信号R1、R2、…、Rnが、各々スライディング相関演算部30−1、30−2、…、30−nと遅延回路33−1、33−2、…、33−nに出力される。遅延素子33−i(1≦i≦n)は、スライディング相関演算部30−iから得られる遅延量τiだけ遅延された信号Ri'を複素乗算器31−iに出力する。複素乗算器31−iではスライディング相関演算部30−iから得られる複素重みwi'と遅延信号Ri'の積を複素加算器32に出力する。複素加算器32は、複素乗算器31−1、31−2、…、31−nの出力w1'R1'、w2'R2'、…、wn'Rn'の和S'=w1'R1'+w2'R2'+…+wn'Rn'をとり、和S'は検波部3000に提供されるとともにスライディング相関演算部30−1、30−2、…、30−nにもフィードバックされる。
【0020】
スライディング相関演算部30−i(1≦i≦n)においては、次の方式で遅延されていない信号Riと和S'から重みwi'を計算する。アンテナRX−iで受信された信号Riを、先行波Diと遅延波Uiの和であるとする。また、フィードバックされた和S'を、先行波の和による部分と、受信時の遅延波の和による部分とに分け、D0'+U0'と置く。受信された信号Ri=Di+Uiと、和S=D0'+U0'の相関信号を取れば次の通りである。尚、積分区間は任意であるので示さないが積分は定積分を示す。また、右肩の*で複素共役を示す。
∫RiS'*dt
=∫(Di0'*+Ui0'*)dt+∫(Di0'*+Ui0'*)dt …(4)
【0021】
式(4)で、右辺の第2項の積分は相関が小さい場合は、確率論的に極めて小さい値を取ると考えて良い。しかし遅延量τiを走査することで右辺第1項の積分よりも第2項の積分を大きくできる可能性もある。そこで遅延量τiを走査し、式(4)を最大とする遅延量τiと、そのときの複素積分から複素重みwi'を求めることで,より強いダイバーシチ合成を行うことができる。式(4)を更に次のように展開する。
∫RiS'*dt
=∫(Di0'*+Ui0'*)dt+∫Di0'*dt+∫Ui0'*dt …(5)
【0022】
スライディング相関演算部内で、遅延量をあらかじめ走査し、式(5)の第2項或いは第3項の積分値として第1項の積分値よりも大きな値が得られた場合、その時の遅延量τiを出力することで、同様なダイバーシチ合成を行うことができる。
【0023】
本発明は、マルチキャリアの受信装置において、最大比合成を検波前に行うものである。上述の3実施例はその典型例を示したものであり、回路構成は上述の3実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な第1の実施例に係るダイバーシチ回路の構成を示したブロック図。
【図2】本発明の具体的な第2の実施例に係るダイバーシチ回路の構成を示したブロック図。
【図3】第2の実施例のダイバーシチ回路と比較例のビット誤り率を比較したシミュレーションを示したグラフ図。
【図4】本発明の具体的な第3の実施例に係るダイバーシチ回路の構成を示したブロック図。
【符号の説明】
100、200、300…ダイバーシチ回路
RX−i…i番目のアンテナ
10−i…i番目のパラメータ演算回路
20−i…i番目の複素相互相関演算部
30−i…i番目のスライディング相関演算部
21−i、31−i…i番目の複素乗算器
11…合成回路
22、32…複素加算器
33−i…i番目の遅延回路

Claims (4)

  1. マルチキャリア変調を用いた通信におけるダイバーシチ受信方式において、
    第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナの、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々と複素合成信号とから第1、第2、…、第nの複素相互相関信号をとる手段と、
    第1、第2、…、第nの複素相互相関信号を重みとして第1、第2、…、第nの複素受信信号から複素合成信号を加重合成する手段とを有し、
    加重合成された複素合成信号を前記複素相互相関信号をとる手段に逐次フィードバックすることを特徴とするマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信方式。
  2. マルチキャリア変調を用いた通信におけるダイバーシチ受信方式において、
    第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナの、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々と複素合成信号とから、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々の遅延量を走査しつつ第1、第2、…、第nのスライディング相関信号をとる手段と、
    第1、第2、…、第nのスライディング相関信号をとる手段の出力の第1、第2、…、第nの最適遅延量に応じて第1、第2、…、第nの複素受信信号を各々遅延する第1、第2、…、第nの遅延手段と、
    第1、第2、…、第nのスライディング相関信号を重みとして第1、第2、…、第nの遅延された複素受信信号から複素合成信号を加重合成する手段とを有し、
    加重合成された複素合成信号を前記スライディング相関信号をとる手段に逐次フィードバックすることを特徴とするマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信方式。
  3. マルチキャリア変調を用いた通信におけるダイバーシチ受信装置において、
    第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナと、
    第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナの、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々と複素合成信号とから第1、第2、…、第nの複素相互相関信号をとる複素相互相関演算部と、
    第1、第2、…、第nの複素相互相関信号を重みとして第1、第2、…、第nの複素受信信号から複素合成信号を加重合成する複素加重演算部とを有し、
    加重合成された複素合成信号を前記複素相互相関演算部に逐次フィードバックすることを特徴とするマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信装置。
  4. マルチキャリア変調を用いた通信におけるダイバーシチ受信装置において、
    第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナと、
    第1、第2、…、第n(nは2以上の整数)アンテナの、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々と複素合成信号とから、第1、第2、…、第nの複素受信信号の各々の遅延量を走査しつつ第1、第2、…、第nのスライディング相関信号をとるスライディング相関演算部と、
    第1、第2、…、第nのスライディング相関演算部の出力の第1、第2、…、第nの最適遅延量に応じて第1、第2、…、第nの複素受信信号を各々遅延する第1、第2、…、第nの遅延回路と、
    第1、第2、…、第nのスライディング相関信号を重みとして第1、第2、…、第nの遅延された複素受信信号から複素合成信号を加重合成する複素加重合成部とを有し、
    加重合成された複素合成信号を前記スライディング相関演算部に逐次フィードバックすることを特徴とするマルチキャリア変調用ダイバーシチ受信装置。
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