JP3694384B2 - Icカードを利用した旅行者管理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカードを用いて旅行者の管理を行う装置に関し、特に、旅行情報を一括管理して旅行者管理業務を効率化するICカードを利用した旅行者管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
旅行者の個人情報等を記憶させたICカードを利用して、例えば、改札手続等の旅行者管理業務を行う従来の技術としては、例えば、特開平5-266393号公報に掲載されたICカードによる交通管理システムなどが公知である。また、前記の従来技術に関連して、特定区域内への入退者を管理する従来の技術としては、例えば、特開平5-258139号公報に掲載された特定区域内サービス提供システムなどがある。
【0003】
これらの従来技術では、旅行者が改札等を通過する際に、ICカード及び外部親装置間で情報が交信され、ICカードに記憶された情報と外部親装置に記憶された照合情報とが対比されて、その結果を基に旅行者の通過を認めるか否かが判断される。これにより改札手続等の処理がスムーズに行われるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術は、ICカードと外部親装置の間だけで情報の交信及び照合が行われるため、処理される情報が複数、多岐にわたると、照合等に時間がかかってしまい高速に処理を行うことが難しかった。例えば、旅行者が複数の旅行を予約したときなどには、その予約した複数の旅行に関する全ての情報をICカードに記憶させ、改札等の通過時に、ICカードの記憶情報のうちから有効な情報を検索、照合する必要が生じる。このように取扱う情報が増える程、処理速度の低下を招き、効率的な改札手続等が困難となる。また、より大きな記憶容量がICカードや外部親装置に必要となる。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、旅行者を管理する際に取扱う旅行情報を旅行識別情報に基いて一括管理することにより、多量の情報を高速に処理して旅行者管理業務を効率化するICカードを利用した旅行者管理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため本発明のうちの請求項1に記載の発明は、予め申込まれた旅行に関する情報を管理する旅行管理手段と、旅行者の所持するICカードと、旅行者の交通手段利用時に、該旅行者の所持する前記ICカードに記憶された情報および前記旅行管理手段で管理された情報に基づいて、前記旅行者の利用が有効であるか否かを判断する旅行者利用判断手段と、を備えて構成されるICカードを利用した旅行管者管理装置であって、前記旅行管理手段は、前記予め申込まれた旅行に関する情報をデータベースに旅行情報として登録して管理すると同時に、該データベースに登録される各旅行情報に1対1に対応した旅行申込毎に異なる旅行識別情報を生成し、該旅行識別情報を旅行申込をした旅行者の所有するICカードに送ると共に、前記旅行識別情報が有効となる旅行者利用判断手段に送り、前記ICカードは、カード所有者の個人情報および前記旅行管理手段から送られてくる前記旅行識別情報を記憶し、前記旅行者利用判断手段は、前記旅行管理手段から送られてくる自己に有効な前記旅行識別情報を少なくとも記憶し、旅行者の交通手段利用時に、該旅行者の所持する前記ICカードに記憶された旅行識別情報を読取り、その読取った旅行識別情報が記憶している複数の旅行識別情報のうちのいずれかに一致することにより、前記旅行者の利用を有効と判断する、ことを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、旅行者は予め旅行申込を行い、例えば、旅行者のID番号、旅行日や利用区間等の旅行に関する情報を旅行管理手段に登録させる。旅行管理手段は、各旅行者から申込まれた旅行に関する情報をデータベースに旅行情報として登録して管理すると同時に、該データベースに登録される各旅行情報に1対1に対応した旅行申込毎に異なる旅行識別情報を生成する。その旅行識別情報は、旅行申込をした旅行者の所有するICカードに送られ記憶されると共に、その旅行識別情報が有効となる旅行者利用判断手段に送られ記憶される。実際に鉄道を利用する際には、自己の所有するICカードを旅行者利用判断手段のところで提示して、ICカードに記憶された旅行識別情報を読取らせる。旅行者利用判断手段は、読取った旅行識別情報と記憶した旅行識別情報とを照合し、一致する場合に旅行者の利用を有効と判別する。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記旅行申込を入力する申込入力手段と、該申込入力手段から入力された旅行申込を受付処理し、その旅行に関する情報を前記旅行管理手段に送信する申込処理手段と、該申込処理手段で処理された旅行にかかる利用料金の精算処理を行う精算処理手段と、を備えて構成されるものとする。
【0009】
かかる構成によれば、旅行者の旅行申込が、申込入力手段から入力されて申込処理手段に送られる。申込処理手段は、その旅行申込に従って交通手段の予約や利用料金の計算等の受付処理を実行し、その旅行に関する情報を旅行管理手段に送る。また、精算処理手段では、申込処理手段で計算された利用料金の金額の精算処理が行われる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、前記ICカードが、申込まれた旅行の利用日に限り、対応する記憶した旅行識別情報を外部に出力するものとする。
かかる構成によれば、ICカードに記憶された旅行識別情報は、申込んだ旅行に対応する利用日だけ外部に出力されるため、利用日以外の日の無効な利用について、その利用の有効性を旅行者利用判断手段で判別するような無駄が省かれる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、前記旅行者利用判断手段が、前記旅行識別情報を旅行者別に分類して記憶するものとする。
かかる構成によれば、旅行者利用判断手段では、ICカードから読取った旅行識別情報に一致するものが、旅行者別に分類して記憶された旅行識別情報から検索されるようになり、その検索処理速度が高速化する。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項2〜4のいずれか1つに記載の発明において、異なる交通事業者毎に複数設けられた前記申込処理手段への前記申込入力手段からの旅行申込を仲介し、各交通事業者に共通な前記旅行識別情報を生成する仲介手段を備え、該仲介手段で生成された各交通事業者に共通な旅行識別情報が、旅行申込者の所有する前記ICカードに送られて記憶されると共に、各々の交通事業者に対応した前記旅行管理手段を経由して前記旅行識別情報が有効となる旅行者利用判断手段に送られて記憶されるものとする。
かかる構成によれば、複数の申込処理手段への旅行申込が仲介手段を介して行われ、旅行申込毎に、各交通事業者に共通な旅行識別情報が生成されて、交通事業者別の旅行者管理業務が一元管理されるようになる。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発明の具体的な構成として、前記ICカードが、記憶した情報を外部に発信し且つ外部からの信号を受信する通信機能を備えた非接触ICカードとしてもよい。
また、請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明の具体的な構成として、前記旅行管理手段は、無効になった前記旅行識別情報を消去させる消去命令を前記旅行者利用判断手段に送り、前記旅行者利用判断手段は、前記旅行管理手段からの消去命令に従って、記憶している複数の旅行識別情報のうちから無効になった旅行識別情報を消去するようにしてもよい。
また、請求項8に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発明の具体的な構成として、前記旅行管理手段は、前記旅行者利用判断手段に送る前記旅行識別情報に有効期間情報を付加し、前記旅行者利用判断手段は、前記旅行管理手段からの有効期間情報に応じて、記憶している複数の旅行識別情報のうちから利用日を過ぎた旅行識別情報を消去するようにしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて説明する。
ただし、以下の実施形態では、旅行者が交通手段として、例えば、鉄道等を利用する場合を考え、鉄道利用の際の駅務処理(旅行者管理)について説明する。
図1は、第1の実施形態のICカードを利用した駅務管理装置の構成を表すブロック図を示す。
【0015】
図1において、本駅務処理装置は、旅行管理手段としての中央データ処理装置1を中心として、例えば、駅A,B毎に設置された駅データ処理装置2A,2B 、中継局3及び申込処理手段としての事業者サーバー4を通信回線で接続する。各駅A,Bには、利用者(鉄道を利用する旅行者)の所持する非接触ICカードcと交信して改札手続を行う自動改札機5A,5B が設置され、該自動改札機5A,5B と駅データ処理装置2A,2B とがそれぞれ接続される。また、列車内にも非接触ICカードcと交信して車内改札等の処理を行う列車内機器6が設けられ、該列車内機器6と中継局3とが接続される。事業者サーバー4には、申込入力手段としての利用者端末7及び精算処理手段として銀行センター8が通信回線で接続される。
【0016】
ここでは、自動改札機5A,5B 及び列車内機器6が、それぞれ旅行者利用判断手段としての機能を備えるものとする。
中央データ処理装置1は、事業者サーバー4で処理された旅行に関する情報(以下、旅行情報とする)を通信回線を介して入力し、データベースに登録すると共に、個々の旅行申込に対応して旅行識別情報としての旅行ID番号を発行する。発行された旅行ID番号は、事業者サーバー4及び利用者端末7を介して利用者の非接触ICカードcに送信され、かつ、対応する旅行情報について有効となる自動改札機5A,5B や列車内機器6に、駅データ処理装置2A,2B や中継局3を介して送信される。データベース化される旅行情報、及び旅行ID番号の内容については後述する。
【0017】
駅データ処理装置2A,2B は、設置駅A,Bの自動改札機5A,5B から出力される情報を中央データ処理装置1に送信すると共に、中央データ処理装置1から出力される情報を受信して、その情報に対応する自動改札機5A,5B に送る。
中継局3は、列車内機器6から出力される情報を中央データ処理装置1に送信すると共に、中央データ処理装置1から出力される情報を受信して、その情報に対応する列車内機器6に送る。
【0018】
事業者サーバー4は、鉄道事業者により管理され、利用者からの旅行申込みを受付処理する。この事業者サーバー4には、例えば、利用者の所有するパソコン等の利用者端末7がモデムを介してパソコン通信やインターネット等により接続され、その利用者端末7の操作に応じて旅行の申込みが行われる。また、事業者サーバー4には銀行センター8が通信回線を介して接続され、申込まれた利用料金の口座振替処理が行われる。更に、事業者サーバー4は、受付処理した旅行情報を中央データ処理装置1に送り、中央データ処理装置1で発行された旅行ID番号を受信する。受信した旅行ID番号は、利用者端末7に送られて利用者の非接触ICカードcに記憶される。尚、ここでの旅行は、鉄道利用全般を意味し、例えば、定期利用等も含むものとする。
【0019】
自動改札機5A,5B は、各駅A,Bの改札口に設置され、非接触ICカードcから発信される情報を受信する図示されないアンテナ部を有し、駅構内に入場しようとする利用者、または駅構内から出場しようとする利用者が所持する非接触ICカードcに記憶された旅行ID番号を受信する。また、中央データ処理装置1から駅データ処理装置2A,2B を介して送られてくる旅行ID番号を記憶する図示されないメモリを備え、アンテナ部で受信した非接触ICカードcからの旅行ID番号とメモリに記憶した旅行ID番号とを照合し、利用者の改札通過の可否を判別して案内する。尚、非接触ICカードを用いた自動改札機の構成については、例えば、本出願人の先願である特願平8-146166号で用いる自動改札機の構成等と同様とすることができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0020】
列車内機器6は、列車内の利用者が所持する非接触ICカードcから発信される旅行ID番号を受信する図示されないアンテナ部を有し、また、中央データ処理装置1から中継局3を介して送られてくる旅行ID番号を記憶する図示されないメモリを備え、アンテナ部で受信した非接触ICカードcからの旅行ID番号とメモリに記憶した旅行ID番号とを照合してその利用者の利用可否を判別し、判別結果を乗務員及び本人に通知する。
【0021】
上記構成の駅務処理装置で利用される非接触ICカードcは、情報を記憶するメモリ及びデータ通信機能を備える。メモリには、利用者の個人情報(例えば、ID番号等)が予め記憶されると共に、旅行申込時に発行される旅行ID番号が記憶される。メモリに記憶された個人情報や旅行ID番号は、無線信号等によって外部に発信され、自動改札機5A,5B や列車内機器6に送られる。また、非接触ICカードcを所有する利用者は、指定した銀行口座等から利用料金を引き落としできる契約を鉄道事業者との間で結ぶものとする。
【0022】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
ここでは、利用者が旅行の申込みを行い、実際に鉄道を利用するまでの本駅務処理装置の動作について説明する。
まず、利用者は、旅行を申込むために、利用者端末7を事業者サーバー4に接続する。そして、利用者端末7を操作して、旅行に必要な情報(例えば、乗車ルート、空席案内、時刻、料金等)を事業者サーバー4から取得する。得られた情報を確認した後、利用者端末7を操作して、利用日、利用区間、利用列車等を選択して乗車券(ただし、後述するように乗車券は実際には発行されない)の予約購入を行う。事業者サーバー4では、利用者端末7から入力された情報を基に、予約手続が行われ、利用料金が算出される。次に、利用者が、事前に鉄道事業者と契約を結んで発行された非接触ICカードcのID番号を利用者端末7から入力すると、そのID番号及び前記算出された利用料金が、事業者サーバー4から銀行センター8に送られる。銀行センター8では、ID番号により特定される利用者の銀行口座から鉄道事業者の銀行口座への利用料金の口座振替が行われる。口座振替が完了すると、その処理内容を知らせる情報が事業者サーバー4から利用者端末7に送られて表示され、利用者によって確認される(処理内容の控えを利用者端末7のプリンタ等で印刷することも可能である)。
【0023】
そして、事業者サーバー4は、申込まれた内容、例えば、利用者のID番号、利用日、利用区間、利用列車などに関する旅行情報を中央データ処理装置1に送信する。中央データ処理装置1は、事業者サーバー4からの旅行情報をデータベースに登録して一括管理すると同時に、その旅行情報に1対1に対応する、例えば、シリアル番号等で表される旅行ID番号を発行する。この旅行ID番号は、中央データ処理装置1から事業者サーバー4に送られ利用者端末7を介して利用者の非接触ICカードcに書込まれ、かつ、その旅行ID番号が有効となる自動改札機や列車内機器にも記憶される。例えば、登録された利用区間が駅A,Bを含むときには、旅行ID番号が駅データ処理装置2A,2B を介して自動改札機5A,5B に送られ記憶される。このようにして旅行の申込処理が完了する。
【0024】
尚、自動改札機5A,5B や列車内機器6に記憶された旅行ID番号の消去は、例えば、利用日を過ぎた旅行ID番号を消去させる消去命令を中央データ処理装置1から自動改札機5A,5B 若しくは列車内機器6に送ることにより行なわれるものとしたり、また例えば、中央データ処理装置1から送られる旅行ID番号に付加的に有効期間情報を持たせ、その有効期間情報に応じて旅行ID番号を消去するプログラムを自動改札機5A,5B 及び列車内機器6に設けることにより行われるものとする。この消去命令の実行は、通常1日単位で行われるようにする。
【0025】
次に、旅行の申込をした利用者が実際に鉄道を利用するときには、乗車駅(例えば、駅Aとする)の構内に入場するために自動改札機5Aを通る。その際、利用者は、所持する非接触ICカードcを自動改札機5Aのアンテナ部付近にかざして、非接触ICカードcから発信される記憶情報を自動改札機5Aに読取らせる。自動改札機5Aは、読取った情報から識別した旅行ID番号に一致する旅行ID番号がメモリに記憶されているか否かを照合する。一致する旅行ID番号がメモリに記憶されている場合には、利用が有効であると判別して利用者の入場許可を案内する。一方、一致する旅行ID番号が記憶されていない場合には、利用が無効であると判別して利用者の入場不許可を案内する。
【0026】
自動改札機5Aの通過が許可され駅Aの構内に入場すると、利用者は、予約した列車に乗車する。列車内では、その利用者の所持する非接触ICカードから発信される記憶情報が列車内機器6で受信される。列車内機器6は、上記入場時の処理と同様に、受信した情報から識別した旅行ID番号に一致する旅行ID番号がメモリに記憶されているか否かを照合して、利用の有効性(実際に乗車した列車が申込をした利用列車であるか)を判別する。その判別結果に従って列車の利用可否の案内が利用者及び列車乗務員に通知される。
【0027】
列車の乗車が許可されて降車駅(例えば、駅Bとする)まで移動すると、利用者は、駅Bの構内から出場するために自動改札機5Bを通る。その際にも入場時と同様に、非接触ICカードcを自動改札機5Bのアンテナ部付近にかざすと、非接触ICカードcの記憶情報が自動改札機5Aに読取られる。自動改札機5Aは、読取った情報から識別した旅行ID番号とメモリに記憶された旅行ID番号とを照合して利用の有効性を判別し、その利用者の出場可否を案内する。
【0028】
このように第1の実施形態によれば、中央データ処理装置1で旅行情報をデータベース化して旅行ID番号を発行し、その旅行ID番号を非接触ICカードc及び自動改札機5A,5B や列車内機器6に記憶させ、鉄道利用時には、非接触ICカードcから発信される旅行ID番号に基いて、自動改札機5A,5B や列車内機器6で利用の有効性が判別されるようにしたことによって、非接触ICカードcと自動改札機等との間で交信、照合される情報が旅行ID番号だけになるため、高速処理が可能となり駅務管理の効率化を図ることができる。また、非接触ICカードcは、少なくとも旅行ID番号を記憶できればよいため、中央データ処理装置1にデータベース化される旅行情報が多量であっても非接触ICカードの記憶容量を小さなものにできる。
【0029】
次に、本発明にかかる第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の旅行者管理装置において、非接触ICカードcに、有効日に限って旅行ID番号を発信する機能を付加したものである。この機能を付加したこと以外の第2の実施形態の構成は、図1に示した第1の実施形態の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
第2の実施形態で利用する非接触ICカードcは、上述した非接触ICカードcと同様にメモリ及びデータ通信機能を備え、かつ、内部に日付を記録するカレンダー機能を持つ。メモリには、上述した旅行の申込手続の際に、旅行ID番号に有効日(申込んだ旅行の利用日)に関する情報を付加したデータが記憶される。図2に、非接触ICカードc内のメモリの構造例を概念的に示す。
【0031】
この非接触ICカードcを利用した第2の実施形態の作用については、利用者が利用者端末7を操作して事業者サーバー4で旅行の申込を行い、その旅行情報が中央データ処理装置1のデータベースに登録され、旅行ID番号が有効な自動改札機5A,5B 及び列車内機器6に記憶されるまでの処理は、第1の実施形態の処理と同様であり、加えて、上記のように有効日に関する情報が付加された旅行IDが非接触ICカードcに記憶される。
【0032】
そして、実際に利用者が鉄道を利用する際には、第1の実施形態の場合と同様に、例えば、自動改札機5Aを通るとき、利用者は、所持する非接触ICカードcを自動改札機5Aのアンテナ部付近にかざす。このとき、実際の利用日が非接触ICカードcに記憶された有効日に一致する場合にのみ非接触ICカードcからID番号が発信され、実際の利用日が有効日と異なる場合にはID番号が発信されない。利用者の進入を検知した自動改札機5Aでは、非接触ICカードcからの旅行ID番号を受信すると、第1の実施形態の場合と同様に、旅行ID番号の照合が行なわれ利用の有効性が判別されて、利用者の通過可否が案内される。一方、非接触ICカードcからの旅行ID番号の受信がないときには、自動改札機5Aでは、その日の利用を申込んでいない者が進入したと判断されて通過不許可が案内される。
【0033】
また、自動改札機5B及び列車内機器6での処理についても、上記自動改札機5Aでの処理と同様にして考えられるので、ここでの説明は省略する。
このように第2の実施形態によれば、利用日に限って非接触ICカードcからID番号が発信されるようにしたことで、申込をした利用日と異なる日に利用しようとする者について、旅行ID番号の照合を行い利用の有効性を判別するといった無駄が省かれ、より効率的な駅務管理を行うことができる。
【0034】
尚、上記第2の実施形態では、非接触ICカードcからのID番号の発信を日付で区別するようにしたが、例えば、指定券など時分が決まった利用を扱う場合には、日付及び時間で区別してID番号を発信するようにしてもよい。この場合、非接触ICカードcは、日時を測る機能を有するものとする。
次に、本発明にかかる第3の実施形態について説明する。
【0035】
第3の実施形態は、第1の実施形態の旅行者管理装置において、自動改札機5A,5B 及び列車内機器6に、中央データ処理装置1から送られる旅行ID番号を利用者別に分類して記憶する機能を付加したものである。この機能を付加したこと以外の第3の実施形態の構成は、図1に示した第1の実施形態の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0036】
第3の実施形態では、旅行の申込手続きが行なわれ、中央データ処理装置1に旅行情報が登録されて旅行ID番号が発行されると、その旅行ID番号に個人識別情報(ID番号)を付加した情報が、対応する自動改札機5A,5B または列車内機器6に送信される。この情報は、例えば図3に示すように、旅行ID番号の後ろに利用者のID番号が付加されている。自動改札機5A,5B 及び列車内機器6では、中央データ処理装置1からの情報を受信すると、その情報に付加された利用者のID番号に基いて、旅行ID番号が利用者別に分類され記憶される。従って、同一の利用者が複数の旅行を申込んでいるような場合には、その利用者についての旅行ID番号がまとめて記憶されるようになる。
【0037】
実際に利用者が鉄道を利用する際には、第1の実施形態の場合と同様に、利用者の所持する非接触ICカードcの記憶情報が自動改札機5A,5B または列車内機器6に読取られ、その記憶情報から旅行ID番号及び利用者のID番号が識別される。自動改札機5A,5B または列車内機器6は、利用者別に分類して記憶された旅行ID番号から、識別した利用者のID番号に対応する旅行ID番号を検索し、更に、識別した旅行ID番号に一致するものを照合して利用の有効性を判別する。このとき、検索した利用者について複数の旅行ID番号が記憶されている場合には、それらの旅行ID番号のうちのいずれか1つが有効であれば、その利用が有効であると判別する。そして、その判別結果に応じて利用者の通過可否を案内する。
【0038】
このように第3の実施形態によれば、自動改札機5A,5B 及び列車内機器6が、旅行ID番号を利用者別に分類して記憶するようにしたことで、これらの機器で利用の有効性を判別するときに簡単に検索処理ができるようになるため、駅務管理を一層効率化することが可能である。特に、本装置で処理する情報量が多くなる程、自動改札機等に記憶する情報量が膨大になるため本実施形態が有効となる。
【0039】
次に、本発明にかかる第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態では、例えば、3つの鉄道事業者の駅務を1元管理する場合を説明する。
図4は、第4の実施形態の旅行者管理装置の構成を表すブロック図を示す。
図4において、本駅務処理装置の構成が第1の実施形態の構成(図1)と異なる部分は、3つの鉄道事業者がそれぞれ中央データ処理装置1,1',1”及び事業者サーバー4,4',4”を管理し、仲介手段としての旅行業者サーバー9が利用者端末7から各事業者サーバー4,4',4”への旅行申込を仲介する構成とした部分である。各中央データ処理装置1,1',1”には、第1の実施形態と同様に、駅データ処理装置及び中継局を介して自動改札機及び列車内機器が接続される。ただし、図4では、中央データ処理装置1',1”に接続する各機器を省略してある。
【0040】
旅行業者サーバー9には、各事業者サーバー4,4',4”、利用者端末7及び銀行センター8が通信回線を介して接続され、利用者から各鉄道事業者への旅行申込及び利用料金の口座振替がまとめて処理されると共に、申込まれた旅行情報に1対1に対応する各鉄道事業者に共通な旅行ID番号が発行される。旅行業者サーバー9を介して申込まれた旅行情報は、各事業者サーバー4,4',4”から各々の中央データ処理装置1,1',1”に送られて、第1の実施形態と同様に、それぞれのデータベースに登録される。また、旅行業者サーバー9で発行された旅行ID番号は、利用者端末7を介して利用者の非接触ICカードcに書込まれると同時に、各事業者サーバー4,4',4”から各々の中央データ処理装置1,1',1”を経由して、対応する自動改札機や列車内機器に記憶される。
【0041】
実際に各事業者の鉄道を利用する際には、利用者は、所持する非接触ICカードcから発信される記憶情報(旅行ID番号)を各事業者の自動改札機や列車内機器に読取らせ、第1の実施形態の処理と同様にして、旅行ID番号の照合が行われて利用の有効性が判別される。
このように第4の実施形態によれば、3つの鉄道事業者を利用する旅行を申込むような場合であっても、旅行業者サーバー9が介入して各鉄道事業者への旅行申込をまとめて処理し、各鉄道事業者に共通な旅行ID番号を発行する構成としたことによって、異なる鉄道事業者間の駅務処理を1元的に管理できるようになり、利用者及び各鉄道事業者にとってより利便性の優れた装置となる。
【0042】
尚、上記第4の実施形態では、3つの鉄道事業者の駅務を1元管理する場合を説明したが、これと同様にして、任意の数の鉄道事業者の駅務を1元管理できることは明らかである。また、各鉄道事業者と利用者の間に旅行業者が介入する構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば、旅行業者の代わりに各鉄道事業者のうちの一事業者が代表して旅行申込を処理する構成などとしてもよい。更に、第2、3の実施形態のように、非接触ICカードに利用日に限り情報を発信する機能を設けたり、自動改札機や列車内機器に旅行ID番号を利用者別に記憶する機能を設けたりして効率化を図ることも可能である。
【0043】
また、上述した第1〜4の実施形態では、利用者端末7により旅行申込を行う場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、利用者端末7と同様の端末を駅構内等に設置して、その端末に券売機、係員操作型出札発行機や精算機等としての機能を持たせることも応用可能である。更に、ICカードとして非接触ICカードcを用いたが、例えば、電極端子を介して情報を伝達する接触式のICカード等を用いても構わない。加えて、旅行者利用判断手段を駅A,Bの自動改札機及び列車内機器としたが、本発明はこれに限られるものではない。また、旅行者が利用する交通手段を鉄道として説明したが、本発明の交通手段は鉄道に限られるものではなく、例えば、航空機や船舶等であってもよい。更に、例えば、鉄道と航空機などのように、異なる複数の交通手段を利用する旅行者の管理を行なう装置としても応用可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうちの請求項1、2又は6に記載の発明は、旅行管理手段で旅行情報をデータベースに登録して管理し、該データベースに登録される各旅行情報に1対1に対応した旅行申込毎に旅行識別情報を生成して、その旅行識別情報をICカードに送って記憶させると共に、当該旅行識別情報が有効となる旅行者利用判断手段に送って記憶させ、利用時には、ICカードから旅行者利用判断手段に旅行識別情報を伝達して、その旅行識別情報を基に利用の有効性を判別するようにしたことによって、ICカードと旅行者利用判断手段との間で情報量の多い旅行情報を伝達する必要がなくなり旅行識別情報を交信すればよくなるため、高速処理が可能となり旅行者管理業務の効率化を図ることができる。また、ICカードは、少なくとも旅行識別情報を記憶できればよいため、旅行管理手段で管理する旅行情報が多量であってもICカードの記憶容量を小さなものにできる。
【0045】
請求項3に記載の発明は、鉄道利用日に限ってICカードから旅行識別情報が出力されるようにしたことで、申込をした利用日と異なる日に利用しようとする者について、その有効性を旅行者利用判断手段で判別するといった無駄が省かれ、より効率的な旅行者管理業務を行うことができる。
請求項4に記載の発明は、旅行者利用判断手段が、旅行識別情報を旅行者別に分類して記憶するようにしたことで、利用の有効性を判別するときに、旅行識別情報の検索処理が簡単にできるようになるため、旅行者管理業務を更に効率化することが可能である。特に、本装置で処理する情報量が多くなる程、旅行者利用判断手段に記憶する情報量が膨大になるため本発明が有効となる。
【0046】
請求項5に記載の発明は、仲介手段を介して異なる交通事業者への旅行申込をまとめて処理する構成としたことによって、複数の交通事業者に申込をするような場合であっても、各交通事業者の旅行者管理業務を1元的に管理できるようになり、旅行者及び各交通事業者にとってより利便性の優れたものとなる。
請求項7又は8に記載の発明は、旅行管理手段が旅行者利用判断手段に対して無効になった旅行識別情報を消去させる消去命令、又は有効期間情報を付加した旅行識別情報を送るようにしたことで、その消去命令や有効期間情報に応じて、旅行者利用判断手段に記憶されている複数の旅行識別情報のうちで利用日を過ぎたりなどして無効になった旅行識別情報が消去されるようになるため、一層の効率化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態で利用するICカード内のメモリ構造例を示す概念図である。
【図3】本発明の第3の実施形態で自動改札機または列車内機器に記憶される情報の構造例を示す概念図である。
【図4】本発明の第4の実施形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1, 1',1” 中央データ処理装置
4, 4',4” 事業者サーバー
5A,5B 自動改札機
6 列車内機器
7 利用者端末
8 銀行センター
9 旅行業者サーバー
c 非接触ICカード

Claims (8)

  1. 予め申込まれた旅行に関する情報を管理する旅行管理手段と、旅行者の所持するICカードと、旅行者の交通手段利用時に、該旅行者の所持する前記ICカードに記憶された情報および前記旅行管理手段で管理された情報に基づいて、前記旅行者の利用が有効であるか否かを判断する旅行者利用判断手段と、を備えて構成されるICカードを利用した旅行管者管理装置であって、
    前記旅行管理手段は、前記予め申込まれた旅行に関する情報をデータベースに旅行情報として登録して管理すると同時に、該データベースに登録される各旅行情報に1対1に対応した旅行申込毎に異なる旅行識別情報を生成し、該旅行識別情報を旅行申込をした旅行者の所有するICカードに送ると共に、前記旅行識別情報が有効となる旅行者利用判断手段に送り、
    前記ICカードは、カード所有者の個人情報および前記旅行管理手段から送られてくる前記旅行識別情報を記憶し、
    前記旅行者利用判断手段は、前記旅行管理手段から送られてくる自己に有効な前記旅行識別情報を少なくとも記憶し、旅行者の交通手段利用時に、該旅行者の所持する前記ICカードに記憶された旅行識別情報を読取り、その読取った旅行識別情報が記憶している複数の旅行識別情報のうちのいずれかに一致することにより、前記旅行者の利用を有効と判断することを特徴とするICカードを利用した旅行者管理装置。
  2. 前記旅行申込を入力する申込入力手段と、
    該申込入力手段から入力された旅行申込を受付処理し、その旅行に関する情報を前記旅行管理手段に送信する申込処理手段と、
    該申込処理手段で処理された旅行にかかる利用料金の精算処理を行う精算処理手段と、
    を備えて構成されたことを特徴とする請求項1記載のICカードを利用した旅行者管理装置。
  3. 前記ICカードが、申込まれた旅行の利用日に限り、対応する記憶した旅行識別情報を外部に出力することを特徴とする請求項1又は2記載のICカードを利用した旅行者管理装置。
  4. 前記旅行者利用判断手段が、前記旅行識別情報を旅行者別に分類して記憶することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のICカードを利用した旅行者管理装置。
  5. 異なる交通事業者毎に複数設けられた前記申込処理手段への前記申込入力手段からの旅行申込を仲介し、各交通事業者に共通な前記旅行識別情報を生成する仲介手段を備え、該仲介手段で生成された各交通事業者に共通な旅行識別情報が、旅行申込者の所有する前記ICカードに送られて記憶されると共に、各々の交通事業者に対応した前記旅行管理手段を経由して前記旅行識別情報が有効となる旅行者利用判断手段に送られて記憶されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のICカードを利用した旅行者管理装置。
  6. 前記ICカードが、記憶した情報を外部に発信し且つ外部からの信号を受信する通信機能を備えた非接触ICカードであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のICカードを利用した旅行者管理装置。
  7. 前記旅行管理手段は、無効になった前記旅行識別情報を消去させる消去命令を前記旅行者利用判断手段に送り、
    前記旅行者利用判断手段は、前記旅行管理手段からの消去命令に従って、記憶している複数の旅行識別情報のうちから無効になった旅行識別情報を消去することを特徴とする請 求項1〜6のいずれか1つに記載のICカードを利用した旅行者管理装置。
  8. 前記旅行管理手段は、前記旅行者利用判断手段に送る前記旅行識別情報に有効期間情報を付加し、
    前記旅行者利用判断手段は、前記旅行管理手段からの有効期間情報に応じて、記憶している複数の旅行識別情報のうちから利用日を過ぎた旅行識別情報を消去することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のICカードを利用した旅行者管理装置。
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